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2019-12

但馬の国で口切茶事2019 - 2019.12.05 Thu

そらいろつばめさんが呂宋の壺を手に入れられて初めての口切り茶事にお招きいただいたのはもう2年前になる。思えばお互いに忙しく、あっというまの2年ぶりの但馬の国である。



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秋色麗しく、そよ風でも落ち葉がちらほら音もなく落ちる。

寄付では私が初めてこちらの茶事によばれた数年前にかけていただいた服部嵐雪の短冊に再会。
嵐雪と言えば「ふとん着て寝たる姿や東山」の句が有名、その東山の麓に住む私への歓迎のお気持ちであった。当時お互いに変体仮名が読めなくて頭をひねったが、今では勝率6割ながらちょっと読めるように(^_^;



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(細かいタイル張りのベンチを腰掛け待合いに)


今回振り返ってみると、お茶事の楽しみをほぼ完璧に備えた茶事だったように思う。
おもてなしに関しては私が知る限り最高レベルのそらいろつばめさんご夫妻ならではの、ご夫妻だからこそできる茶事であった。



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腰掛け待合いから庭に出て、蹲居を使い茶室に入る。

ここのおうちは建築雑誌にも載った、キャパが100人という広間もあるアップダウンを上手に生かした素晴らしいお宅なのだが、茶室部分だけはご両親が暮らしておられた座敷をほぼ再現したものだという。



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本日のお正客は茶の湯44流派の比較検討した「お点前の研究」の著者H様ご夫妻(ほぼほぼ新婚さん)、先日宗偏流の口切りを見せていただいたA様、祗園祭宮本組を内側から書いた本を上梓され学生時代からお能を嗜むS様、そうそうたるメンバーである。(なにものでもない私(^_^;)



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本席にはお正客H様がご持参されたという新たなる御代を寿ぐ歌、脇床に小学生くらいの男の子がベルトに仕舞扇を挿して前傾の仕舞の基本ポジションを取っているお人形が!これはS様のお謡がきけるのでは、という期待に胸がふくらむとともに心憎い。



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京都まで壺を持ち込んで松籟園さんに碾茶を詰めてもらったそうである。今回濃茶は三種三袋、詰め茶(薄茶)はなんと五斤(3kg)。前回二斤で少なかったので増やされたそうだ。
御茶入日記をみんなで拝見し、お任せとする。



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そらいろつばめさんのルソンの壺は、御主人がNHKの「ルソンの壺」に出演されたのを機会に手に入れられた記念のもの、色は違うが唐物茶壺「金花」に釉薬のなだれがよく似ていてとてもよい茶壺なのだ。大きいので壺を入れる網も紐も特注での誂え品とか。



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そらいろつばめさんの懐石はいつも豪快だ。いつぞやは座を変えて炭焼きの分厚い但馬牛ステーキをだしてくださったこともあった。



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そして今回は蟹!!♪
しかも朝、津居山漁港であがったばかりの新鮮ぷりっぷり!
冷凍蟹しか普段食べていないので、この美味しさがしみる。みなさん無口になってひたすら蟹と格闘。

さらにご郷里の東北名物芋煮、これには但馬牛がたっぷり入って、私何しに来たのか思わず忘れそうになりましたわ(^_^;

お運びにはそらいろつばめさん以上にもてなし上手の御主人も手伝われて、ご夫婦で茶事できるっていいなあ〜と若干うらやましい。



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そしてお待ちかね、八寸のご馳走、S様のお謡。
季節柄「龍田」のキリを謡ってくださった。学生時代からずっとされているので、もはやプロ級、しかも体格がよくていらっしゃるので、すごく響くよいお声、100人入るおうちの隅々にまで響き渡ってすばらしかった!
これによってさらに茶事の楽しみが完璧に近づいたと私は思う。(もう二度と茶事で自分は謡うまいと思ったくらいレベル違う)



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主菓子は東京の女性がひとりでされている”あさ貴”さんの特注、本日お正客のH様ご夫婦へのお祝いの意味をこめて。中が栗あんで美味美味♪



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中立では広間で茶臼の挽きあいっこ。
実際濃茶に使われるお茶は別注だが、これもひとつの口切りの楽しみ。水屋でごりごり挽く音がご馳走と一説には言うが、実際挽いてみると上等の宇治石の臼はなめらかで全然音がしない。よってこの説はアヤシイ。



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そうこうするうち挽かれたお茶が少しずつ出てきて思わず歓声。



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(100人入れる広間です。すばらしい!)


後座では白わびすけとドウダンツツジの照り葉を。
めったに見る機会のない紹鷗棚のお点前を拝見、あれは格式高い感じがして風炉先代わりの江戸時代の古い屏風ととても雰囲気があっていた。

濃茶は「松籟」を選んでくださり、とても美味しい。
茶入がちょっとヨダレが出そうな高麗・粉引のころんとしたもので、銘も「玉椿」、遠州流宗家の先代宗慶さんの眼鏡箱があって、ずっとよりそって行きたい云々(おぼられません(^_^;)の歌が書かれ、ほぼほぼ新婚のお正客ご夫婦へのなによりのお祝いとなった。



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後炭もきちんとしてくださって、炉中を眺めるのは楽しみの一つ。
胴炭は大きかったが半分はまだ残っているのに感動。

薄茶の干菓子は同じくあさ貴さんの薄氷と花蝶。



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薄器にご郷里にちかい塩釜の風景を写して、これもさかなに話はつきぬ。

ふりかえって、茶事の楽しみの要素がすべてつまって、いずれも見事にされたそらいろつばめさんに感服です。御主人のお働きにも感謝。
席入りから5時間あまり、しかも京都へ帰るのに2時間かかることすら厭うことなし!で、ありました。




大原宝泉院ライトアップと夜咄茶事 - 2019.12.03 Tue

1〜2年前、せっかく高兄さんが宝泉院ライトアップの招待券をくださったのに、大原のバス停前であまりに人っ子一人いなくて、暗くて、呂川沿いの道を宝泉院まではけっこうあるので、敵前逃亡(^_^;そのまま引き返した記憶がございます。



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いつかリベンジをねらっていたところ、このたび宝泉院で夜咄茶事があると聞いてでかけました。
まだ日のあるうち、そしてまだ人出があるうちに。



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三千院の前は、夕刻なのでぼちぼち観光客も引き上げる時刻。



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三千院の前を通り過ぎてさらに奥へ。
紅葉がちょうど美しい頃合いです。



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魚山声明発祥の地、勝林院の前の水流は”流れもあえぬ”紅葉なりけり”、あるいは”渡らば錦 中やたえなむ”のありさまにて。



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まだ明るい内になんとか宝泉院に到着。


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夜咄茶事にまだ間があったので、有名な額縁の眺めを楽しみました。
観光客も一人一人去って行って、人の写り込まないこの写真、今の季節めったに撮れるもんじゃありませんよ(*^_^*)



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本堂の一画には水屋らしきしつらいもあって、良き眺め。



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さて、夜咄茶事にご案内、本日のお客様は私をいれて3人。
宝泉院の奥の裏山の方へ導かれました。



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なんと裏庭にこんなスペースがあったなんて!
宝泉院はなんども来ているのに初めて知ったわ!



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茶室棟とでもいうのか、内蹲居もあって、あがると広間が待合になっており、ここで甘酒の汲み出しをいただきました。



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さらに奥へ行くと独立した茶席があるようです。
蹲居で手を清めていよいよ席入り。



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短檠、手燭、露地行灯、、、夜咄の雰囲気がもりあがる。
実はそれほど期待していなかったのですが、なんと男性の先生がきっちり指導してくださる本格的な夜咄茶事だったのにびっくり。キモノ来てくるべきでしたね。洋服で失礼しちゃいました。



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席は四畳半、どことなく裏千家の咄々斎を思わせる造りで、床の横に半畳のスペース、上に銅鑼がかかっているところも同じ。圓能斎が作った茶室、と言われてなるほどと合点がいきます。茶室名は「日新庵」、なんでも茨木の豪農の家に作られた物を7年ほど前にこちらへ移築されたとか。

懐石もこちらで手作りされているそうで、煮物椀のかぶらのみぞれ+餅が美味しかった!
向付が小浜の鯛の笹漬け、大原のこのあたりは小浜からの鯖街道上にあるので、というお話しもおもしろい。



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膳燭もだしていただき、茶事ははじめてというお客さんに和蝋燭の芯切りを伝授したり、楽しい懐石タイムになりました。

短檠+手燭+膳燭x2だとほんと、明るい。折敷を引く段になって最後短檠と手燭だけになるとかなり暗いのね。昔はほんとにこんな中で生活していたのかしら、と人工の灯りに毒された身には思われて(^_^;

中立のころには、席入りの時見えた三日月も沈んで、大原の夜は暗く、、、、そして寒い!!
特別冷え込んだ夜ではありましたが吐く息が白く歯が、がちがちとなるくらい。そして夜空には冬の星座がくっきり見えたのです。さすが大原、夜は初めてです。暗いとは思っていましたがほんまに暗い。



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後座では夜咄のお約束通り石菖(灯りの油煙を吸うと言われる)が床に。
濃茶、続き薄、最後に留め炭まで。

現在では今の先生しかここを使っておられなくて、月一度位の割合で茶事をされているそうです。(借りることもできるそうですよ。ただし道具の搬入がちょっとたいへんだと思われますが)



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思いがけず本格的な茶事のあとは、(前にいきそこねた)ライトアップの庭園も楽しめました。こんな写真が撮れるなんて感激。
閉門20分前、それでも数人の方が熱心に写真を撮っておられました。



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明るい内にきてもこの景色は好きですが、夜も静かに美しいです。


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さて、真っ暗な帰り道、帰りはとっとと歩けますがほぼ無人なのでちょっとこわかったです(^_^;
場所により真っ暗な道もあり、スマホの灯りをたよりに下山。懐中電灯持参をおすすめします。



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呂川沿いの道を降りて駐車場へたどりつくと、、、車のフロントグラス凍ってました!
どうりで寒いわけだわ。



宇治縣神社〜藪ノ内の茶事2019秋 - 2019.12.01 Sun



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秋の宇治川、紅葉もなかなかきれいである。



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今年も薮ノ内の若武者の茶事にさそわれて宇治縣神社へ。
毎年6月5日に暗闇の奇祭といわれる縣祭がおこなわれる神社でもあり、宇治の茶業と深い関係のある神社でもある。



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この梵天はその縣祭のときに使われるもの、6月初めは茶業の繁忙期の一段落の時であり、別名<種もらい祭>とも(意味は自分で考えてね(^_^; )



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茶事が行われるのは社務所の奥の小間・棠庵(とうあん)



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藪内流の先々代・猗々斎が作った茶室で、雰囲気は燕庵にとても似ているが、燕庵に遠慮して若干のヴァリエーションがある。(三畳台目+相伴席→四畳半台目+給仕口)
先日香雪美術館の玄庵(正確な燕庵写し)にいったばかりだから、類似点・相違点がよくわかる。
なんといっても点前座にすわる亭主の姿が壁際にある二つの窓の光りでシルエットになるのが美しい。


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もうすっかりお馴染みになった薮ノ内の霰灰、季節によって霰の大きさも変えるとか、一番むつかしい灰の流儀かもしれない。枝炭を一番上に置いて、釜の底でがりがり砕く、という先生もいると聞いて、へ〜〜!?と驚く。

掛け物が薮ノ内にある茶室・談古堂にかけられていた薮ノ内の茶法「正直・清浄・礼和・質朴」を説いたものの写し。これは亭主の師匠からの拝領品と聞いた。私も存じ上げているその師匠様は今年惜しくも急逝された。彼をしのぶ思いを、深さの違いはあれ共感する。



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炭のあとは広間に移動して懐石、これも一人で作られる。若い男子ながらだんだん腕をあげてきているな、と。これは負けておられん。



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しかも中央卸売市場の近くが住まいなので、材料も豊富に手に入るのがうらやましい。
この日は三人の客で、私だけ裏千家でアウェイだったが、お話しの面白い方で楽しかったし、最近私自流よりも薮ノ内の方をよく知っているかもしれない〜と思ったり(^_^;

薮ノ内の懐石は武家茶道というか男性向きなので、料理もお酒もこれでもか!と出てくる。八寸のあとにも強肴が出てくるし、お酒は進むし、、、。でも千鳥はないよ。



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これも男性一人が作ってはるというお菓子屋さんの主菓子「冬紅葉」。
なんというか、餡子が水ようかんみたいにつるっとあっさりで、どういうレシピなのか初めての食感だった。(アカマさんとかいうお菓子屋さん?調べても不明。今度聞いてみよう)




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後座はふたたび棠庵へ。


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床は花に変わり、竹の一重切に白玉椿、きりっと美しい。
葉っぱのつき具合が絶品、これもご亭主仲良しの花ふじのおかみさんと話しながら選んだものとか。
竹の花入も亡き師匠からのものと。なんでもよくご存じで、ほんとうに惜しい方であった。

何代か失念したが、歴代の家元のおひとりの手づくね茶碗で濃茶をいただく。
古瀬戸の茶入はひさご形でちょっとめずらしい飴釉みたいであった。



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濃茶の後席を改める間、広間におかれた香炉に正客さんが伽羅を焚いてくださった。某香舗の方なのでお香にくわしいのはわかるが、求めに応じてすぐ出せるというか常に携帯しているのはさすがだ。思わぬところで聞香ができてありがたい。



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席改め床には猗々斎?だったか舟の絵と画賛「満舟名月載持帰」
これはまた禅問答でよくわからんなあ。でもなんとなく景色がイメージできるようだ。
そうそう、ここであの香雪美術館玄庵茶会でみた竹心好みの栗蒔絵の薄器が!こちらの栗は少しデフォルメされてむしろカワイイ。
井戸脇、暦手、永楽とバリエーションの茶碗で薄茶をいただき、お開きとなる。

この後跡見をして、翌日翌々日も茶事をするという、よっぽどお茶好きやねんな〜。
数年前からこうしてお茶事によんでもらっているが、だんだんこなれてきた、というか、茶事が身についてきているという感じ(上から目線ではありませんよ)。若いから、どんどん成長する伸びしろも大きく、残りの短い私にはまぶしくうらやましい。これからもさらに期待しています!





石州流宗家夜咄〜西行庵2019 - 2019.11.29 Fri

真葛が原西行庵、毎年保存会最後の茶会が夜咄である。
毎年毎年、時期は紅葉の真っ盛り、場所は円山公園〜祗園と交通が麻痺するのがわかっていたので、キモノに水屋袴で自転車!(すっかり慣れました(=゚ω゚)ノ)




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今年の夜咄の席主は片桐家の流れをくむ石州流宗家のお家元である。
この日の朝に當麻寺へいったのは記事に書いたとおり、當麻寺は片桐石州と後西天皇とゆかりの深い寺であったので、この席は思い入れが深い。

石州流はご存じのように完全相伝であるから、全国各地にいろんな派の家元が林立している流派なのだが、昭和の初めにこれをなんとか統合しようという動きもあり、そのなかで片桐貞昌(石州 片桐且元の甥)を祖とする片桐家を家元と仰ぐのが石州流宗家であると聞いた。



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待合の小間で片桐家の紋菓・違え鷹羽(鷹の羽根がぶっちがえになっている)をいただきお薄をいただくが、御当代家元が直々にお出まし、しかもとってもおちゃめな方でお話しが楽しい。

待合は令和の御大典にちなむ物で。
掛物が「萬歳」。これは御大典の時の萬歳旗(即位の儀でたくさん幡がたてられるがそのうちの一つ)を紙に正確に写しとった物(だれだったか失念)。大正天皇か昭和天皇の即位礼の高御座の金属製飾りを蓋置にしたてたもの、車軸釜は新天皇をお乗せする馬車の車に見立てて。




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ご宗家は奈良なので、お菓子は奈良の樫舎さんではないか!お得意の葛焼だ。この季節の葛焼もなかなか。正客が弘道館の太田先生だったので、蘊蓄を語ってくださり、楽しい席になる。太田先生、文化庁のイベントで二条城でおこなわれている寛永茶会で小堀遠州に扮し、もう遠州になりきっているので年下の石州を「おい、石見(石見守だった)」と呼び捨てにしそうだと。これでまた大笑い。



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点心席は時代が少し遡って、幕末の水戸藩主・斉彬公(一橋慶喜の父)の瓢箪図の掛け軸。
石州の茶の湯は四代将軍家綱公の茶道指南に選ばれたことから武家に浸透した流派であるから、水戸公も石州流を嗜んでいたのかもしれない。

点心は三友居さんで、煮物椀がスッポン豆腐。熱々で生姜もよくきいてほんまに美味しく体もぽかぽかである。



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紅葉の象嵌も美しい手燭を手にみなさまと雁行する夜咄の楽しみ。
本席ではさらに時代を遡って片桐石州の時代へ。

席入りしてまずビックリしたのは、、、、え?これなに?アヴァンギャルド?な花入れと思った。
西行庵の有名な円相床のまえにぶらーんとぶら下がるバネのような花入れ、下の方に椿が。
これが有名な石州好みの蛇腹花入だったのだ!
長い竹に切れ目をいれてらせんのバネのような形状にしたもの、長さは1mくらいはあろうか。これをあの時代に作ったのか!と感動する。てっきり現代のものだと思ってしまった。(あとで調べたら當麻寺の宝物庫にこれの本歌?があるそうな)
やはり耐久度には弱く、時がたつと折れてしまうものなのだそうだ。

茶杓が石州のライバル?船越伊予守であるのも感慨深い。伊予と石州は将軍家綱の前でそろって茶を点て、結局石州を将軍は茶道指南役にとりたてたのだ。

あと宗家では初釜など格式のある茶会にしか出さない黄伊羅保をこの会にだしてくださった。ここ数日ほんと、黄伊羅保の名品をたくさん見る。これが秘蔵の黄伊羅保かとありがたく拝見。それからこの会を最後に引退させる茶碗といって砂御本を。よくみればつくろいのところからにゅうがはいって、これはもう使えないと判断されたとか。

お家元はそんなお話しをジョークを交えてお話しくださるし、正客の太田先生には勉強になることをたくさん聞けるし、でほんとよい席だった。西行庵さんにも感謝。

帰り道、暗くなった円山公園をまばらになってきた観光客を追い抜いてキモノ自転車でかけぬける爽快感!♪(/・ω・)/ ♪






香雪美術館・玄庵茶会2019 - 2019.11.28 Thu

神戸は高級住宅地御影にある香雪美術館、昨年は大阪中之島にもできて人気が出てきたのか今年は初めて玄庵茶会の券の入手に苦労した。



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おかげさまでなんとか今年も玄庵茶会参加できた。

この美術館は朝日新聞の創始者の一人・村山龍平翁(香雪)の茶道具コレクションを所蔵し、玄庵茶会ではそれらをおしげもなく使ってくれるのである。
ちなみに香雪翁はお茶は藪内流であり、玄庵は露地に到るまでほんとうに正確な燕庵の写し。(燕庵見に行ったとき「玄庵そっくり〜」と言って顰蹙をかった(^_^;)



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席まで時間があったのでまずは美術館の展示を拝見。
今季のテーマは「戦国大名と利休七哲」、時代を追って、利休、織部、遠州、不昧、、の名品を拝見。
勉強になったのは、先日三井記念美術館・高麗茶碗展で見た「遊撃半使」、こちらには「遊撃呉器」、唐津・名護屋城跡で中国の講和使者が泊まった施設を遊撃丸といったのと関係があるのかな、と思っていたら、ここの解説でやっと意味がわかった。文禄慶長の役の講話使節として来日したのが遊撃将軍・沈惟敬、彼が携えてきた茶碗だから「遊撃」なのね。




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さて、美術館から一度でて、ぐるりと回って旧村山家住宅の和館棟へ。
燕庵にもある編笠門をくぐって、市中の森の中へ。野鳥の声がかしましいくらい。

寄付には松花堂昭乗の天神さんに遠州の賛「このたびは幣もとりあえず手向山、、、」の百人一首にもある歌。



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(庭園内に設けられた点心席)


織部考案の割腰掛け待合いで待っていると、藪内のお家元が中門まで迎え付けしてくださる。
いよいよ玄庵の濃茶席へ。もちろんお点前は家元自身がされる。そういえば、最初に玄庵茶会に来たはるか昔にはまだ若宗匠でいらしたなあと懐かしく思う。

しかも床の徐熙「梅鷺図」は、一番最初に玄庵茶会に来たときにかかっていた物だった。感動の再会。徐熙(10世紀中国五大十国時代)の鷺図は何枚か日本に入ってきていて、これはそのうちの一つ、また別の一つがかの松屋三名物の一つだったという。

水指が井戸の片口を見立てた物、よく見るとやはり井戸=粗質白磁なのだ。

家元自らが練ってくれた濃茶を三つの碗でいただく。主茶碗は極渋の柿の蔕「浦舟」、次茶碗がなんと長次郎の黒楽筒茶碗「楓暮」、箱が宗旦。長次郎はかせた黒楽のイメージを覆すつやつやの黒。私がいただいたのは三碗目、すごく重い馬盥みたいな信楽の茶碗「雪梅」。



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(点心席には焚き火がしてあって、灰よけに羽織を用意してくれる)

藪内の霰灰の炉にかかる釜は古芦屋で馬の地紋がある。

茶入が中興名物・瀬戸肩衝大覚寺手「初雁」
茶色い釉薬の上にむらむらの黄色い釉薬が飛んでいて、初雁の名もなるほどと思わせる。
挽家が小堀大膳宗慶(遠州長男)、箱が権十郎(三男)。

茶杓がとても面白くて、節より先に細長い穴があいている。これは清めるときとても気を使うと家元。変に力をいれたらペキっといきそうだもんなあ。寸松庵で有名な佐久間将監の作で、秀吉の妻ねねさんの甥に当たる木下長嘯子の箱あり。銘はなし。



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濃茶のあとは中庭にて点心をいただく。
見上げると玄庵の屋根。

玄庵は三畳台目+一畳相伴席で10人くらい詰め込まれるが、意外と余裕。相伴席の威力を再確認した。



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点心は今年も高麗橋吉兆、これに煮物椀が付くのでかなりお腹一杯。
さらに女将さんがお酌もしてくれる。ありがたし。今年は茶友さんのお連れがいたので、今見た道具のディスカッション?をしながらいただく。



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葡萄と今年は洋梨(柿のことも多い)と、大好きなソーダ味ゼリー。

五十畳の大広間には歌川派の祖である豊春の謡曲「松風」の三幅がかかり、俵屋宗達の四季花屏風もならぶ。ここに大火鉢や、寒桜と椿を枝ごと生けた伊万里の大壺など、一時のお大尽気分。



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庭から薄茶席の書院へ。
ここはまた紅葉が美しい。



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薄茶席は大阪のF宗匠の席である。藪内F派とでもいいたいような、とても武士らしいメリハリのきいたお点前をされる。

掛物は源俊頼の四半切、古今集・恋の歌四首
俊頼といえば百人一首の「うかりける人を初瀬のやまおろし、、、」を詠んだ人である。唐紙の地紋が亀甲でこれもきれいに見えた。
唐銅の花入れにいれられた花がなんだこれ?、、、美男カズラのまだ青い実(桑実みたい)であった!



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薄器が「源流茶話」で有名な藪内5代竹心好みの栗蒔絵。ころころの栗がかわいい。過日某所の藪内の席でも栗の薄器が出ていて、よっぽど栗がお好きだったのかな?と。

主茶碗は黄伊羅保「廬山」
今年の秋はいろんなところで黄伊羅保を見る。作行がそれぞれ違って多彩、これは見込みに砂を撒いたような胡麻がでていてなかなか渋い。

先日行った、根津美術館・川上不白生誕300年の展示で、図録の表紙にもなっている不白手づくねの「赤黒一双鶴亀(赤が鶴、黒が亀)」と同じのが出ていてなんだかうれしかった。
絵唐津で、窯の中で二つの茶碗がひっついて、一方をたたき割ったどこから飲むの?の茶碗が面白くて座の人気を博していた。印象深いよね。普通なら失敗作として捨てるところをとりあげ、溝口家伝来と伝来物にしてしまう茶人の美意識たるや!




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美術関係の茶会の中で一番好きなそして価値のある玄庵茶会、今年も無事いけました。感謝。

お土産に香雪美術館カレンダーと絵はがきをいただいたが、この般若の絵はがきはだれへ出すべきか考えてしまうが、、、、(^_^;



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