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2023-11

半泥子の軸と茶碗を楽しむ茶会@旧三井家下鴨別邸 - 2019.01.30 Wed

お茶会を開いたり招かれたり、もうすっかりお馴染みの場所、旧三井家下鴨別邸であります。



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ここのほんのお向かいというベストな立地のK美術さん、ここをご自分のお庭のように最近使いこなしておいでです。

今回こちらで、伊賀の笹山芳人さんの個展によせて、笹山さんが敬愛する川北半泥子の御茶碗とお軸をメインに据えて、それにご自分の骨董コレクション、御自作の器などとりまぜてささやかな茶会を開く亭主をさせていただきました。



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以前ここで茶会をしたときにはいろんな物品が足りなくて苦労した記憶があるのですが、なんと!備品がバージョンアップしている!やはり借りやすいお値段設定ゆえ、希望者も多く、いろんなご意見があったことをふまえての改善かと、ありがたく思いました。(カセットコンロまであった!)



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笹山さんとは、K美術さんのご縁で、伊賀丸柱の笹山窯をおたずねしたこともあり、さらに今回の主役の一人の半泥子の茶碗を手に入れられたばかりのころ、拙宅でこの茶碗でお茶を飲む、という半泥子茶会を開いたこともあります。



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30代にしてサラリーマンを辞め陶芸を志したきっかけが半泥子の茶碗であった、という笹山さん。半泥子をめざして作陶の日々、半泥子ゆかりの方から「私が持っていてもしょうがないし、そんなに半泥子がお好きならどうぞ。」と(御礼のハガキ一枚で!)ころがりこんだ半泥子の御茶碗!




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ころっと手の内におさまり、光悦の乙御前を小さくしたような、かわいらしい御茶碗。グレーの釉薬、内側に舌状にはいりこんだ白い長石釉に貫入、向いに火間、高台脇に「半泥子」とかろうじて読めるサイン(半泥子のサイン入りは少ないとのこと)、銘を「椎の実」




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(笹山コレクションの鉄道用釘の蓋置を香合に見立てた。中にちゃんと練り香入ってます)



どちらかといえば、「欲袋」とか「無茶太朗」とか「猫なんちゅ」とかいった破格の命名が有名な半泥子ですが、本来は「現代の光悦」といわれた人、こんな端整な作品の方が多いそうです。
ちなみにこの作品は昭和47年の遺作展に出て以来、半世紀近くずっとお蔵の中にしまわれていたんですね。来るべきところへ来たのは茶碗の意志なのかもしれません。
笹山さんも、いずれは次世代の人へ手渡したいと、それまでの間自分とこにとどめておく、というお気持ちだそうです。




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花入は笹山作品を、と思ったのですが、あまり土物ばかりもね〜と、先だっての茶会で水屋見舞に手作りの花入を茶友さんが持ってきてくださったのを青いうちに使おうと。(遠州好みの輪無二重切だそうです)花はレンギョウと、うちの庭の白玉。




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さて、もう一つの主人公は軸。
これも同じ方から笹山さんの友人へ譲られた物で、この日茶会のためにお借りしたという半泥子最晩年の書、「分身」



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(水指:笹山芳人 黒柿の蓋:木工作家さん作 舟板:現在の所有者は私、笹山窯に行ったときに頂戴した)




これは未発表のものだそうです。これを半泥子から贈られたのが、生涯半泥子につきそった番頭格であった藤田等風、長い間つきそってくれた等風へ、お前はわたしの「分身」に等しい、という御礼の気持ちではなかったかと想像します。そして、ご本人はご謙遜否定されますが、半泥子の分身たらんという笹山さんの気持ちもこめて、眺めると、ほんとうに良い字です。(箱見なかったら読めなかったけど、、、(^_^;)




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半泥子についてはもう改めて説明するまでもありませんが、出自が伊勢の木綿問屋の豪商であったことから、木綿糸を連想させる物を、、と愛信堂さんと相談してできたお菓子がこちら。
銘を「木綿(ゆふ)」




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中は黄味餡で、陶芸の窯の火を連想させる赤に。見た目も味も美味しく印象に残るお菓子になったのではないかと思います。



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(炉端でランチちう  釣り釜も自在も笹山コレクション 炉縁は私)


今回は各席MAX5名でこぢんまりと、良い感じの距離感での小寄せ茶会になりました。これくらいが亭主も客も楽しいのではないでしょうか。

席頭、笹山さんにご登場願い、半泥子に対する思いや、御茶碗を入手されたいきさつなど語っていただき、お客様も笹山ファンから半泥子ファン、半泥子がだれかしらないけどお茶が好き、という方ばかりで身内の茶会みたいで楽しかったです。

急遽お手伝い下さった方、K美術のスタッフの皆様にはたくさん助けていただきました。その感謝とともにまたまた貴重な機会をくださったことに深く感謝いたします。




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● COMMENT ●

しぇるさん、こんにちは

旧三井邸

来週あたり、時間が空いたら撮影に行こうかと考えていたんですよ^^

御茶つながりで

本日、本屋に行った時に「日々是好日」(以前、映画の御話されてましたか?)の

原作本を、ちらりと読みましたが

前書きの、森下典子さんの文章が素晴らしく

御茶の世界と、御自分との折り合い、接点を

明快に、私の様な未経験者でも、しっくりとわかる書き方をされていて

(あ~これ、わかるなぁ、写真撮ってる瞬間でも、こういう感じあるある)

もしかしたら、しぇるさんも、この本は読まれているのかな?


P.S

余談ですが、買った文庫は全く別物です(藤沢周平氏の用心棒日月抄)

高兄様

「日日是好日」は出た時から読んでましたから、もう20年くらい前になるのかな。
あんな淡々とした本がどいうやったら映画になるのかわからん、、と思っていたら、映画は映画できれいにまとまっていましたね。やはり希林さんの武田先生のたたずまいが成功の鍵でしょう。
映画のなかの正客バトルはかなりソフトに描かれていて、実際はあんな上品な物ではない、、と思ったり(^_^; (私の中では大寄せ茶会はもういいの)

で、高兄さんもお茶習いたくなりました?

しぇるさん、こんにちは

>で、高兄さんもお茶習いたくなりました?

いやいや、それは思わないんですが(すいません)^^;

お茶会には、参加してみたいなぁ~と思っているんですよ^^

高兄様

まあ、そうおっしゃらず〜


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