fc2ブログ
topimage

2023-11

八瀬童子の里〜赦免地踊 - 2013.10.15 Tue

、、、「いちどリサーチにいってみなければ。」、、、、

と、いう今年1月に立てたプランを遂行してまいりました。

なにかというと、今年1月文博でやっていた八瀬童子〜天皇と里人をみて、このミステリアスな集落にいたく心惹かれたからであります。


IMG_3671.jpg

夜も更けた八瀬の里。

さて、「八瀬童子」とは、以前記事にかいたのをそのまま転用すると、、、


平安時代のころは比叡山延暦寺の雑役や駕輿丁(輿を担ぐ役)を務めていたらしく、伝説では伝教大師が使役していた鬼も子孫とも。寺役に従事する者は結髪せず、長い髪を垂らした「大童(おおわらわ)」の姿だったので童子と呼ばれたそうです。
はっきりその存在がわかってくるのは後醍醐天皇のころ以降。
1336年(南北朝のはじまり)京を脱出した後醍醐天皇が比叡山に逃れる際、八瀬郷13戸の戸主が輿を担ぎ、弓矢を取って奉護し、この功績により地租課役の永代免除の綸旨を受けたそうです。
それ以降、特に選ばれた者が輿丁として朝廷に出仕し天皇や上皇の行幸、葬送の際に輿を担ぐことが主な仕事となったとか。


P1050243.jpg

そして秋におこなわれる八瀬天満宮の秋元社の赦免地踊。

これも以前の記事をコピーすると、、、


政治力のあった天台座主が幕府に八瀬郷の入会権の廃止を認めさせたのです。
これは八瀬郷の人たちの生活基盤を根本的におびやかすものでした。
これに対し八瀬郷は再三にわたり幕府に復活を願い出るが認められず、宝永4年(1707年)になってようやく老中秋元喬知の裁定で八瀬郷の入会権は回復されたとか。
八瀬郷はこの恩に報いるため秋元を祭神とする秋元神社を建立し徳をたたえる祭礼、すなわち「赦免地踊」と呼ばれる踊りの奉納をしているそうです。(毎年10月の第2月曜日の前日にあたる日曜日)。




IMG_3672.jpg


天満宮を通り過ぎてしばらく行くと八瀬小学校があり、むかいにある門口、そのあたりで待機。
19:00 十人頭(当年30歳の集落男子がつとめ、祭の指導者、監督者となる)の祭の開始を告げる声。


IMG_3673.jpg


暗い集落の中で唯一明るいのがこの案内所にもなっているテント。これだけです。ここで花宿(灯籠が座敷に飾ってある旧家。たずねればお酒のふるまいなどもあるらしい)の地図をもらうも、ちょっと遅すぎて行けず。今度行くときはもっと早めだな。


IMG_3676.jpg

門口に十人頭10人が手に竹の棒をもって集合。


P1050247.jpg


そうこうするうちに音頭取り(道歌という道中歌を歌う)と太鼓打ちが門口に集まって、その年覚えた道歌の検分。さわりを歌って「よ〜し、よかろう!」と許しが出る。


P1050251.jpg

20:00前、きれいな花笠をつけた女子たち10人が集合。小学校4,5年生だそう。


P1050252.jpg


整列して祭の花形、灯籠着(とろぎ)を待ちます。フラッシュたいてこれなんで、ほんとうはもっと暗い中、赤い提灯だけが並んでいるように見える。


P1050256.jpg

あ、灯籠着がやってきました。さきほどの花宿にかざってあった灯籠を頭にのせてゆっくりゆっくり歩いてくる。
灯籠着は13〜14歳の中学生の男の子8人。昔女官から下賜されたという御所染めの着物を着て女装、化粧もしている。なんだか妖しい腐女子?好みの設定(^_^;


P1050259.jpg

灯籠は5kgもあるそうで、これをかぶって歩くのは少年にはかなりつらそう。灯籠着ひとりには警護(けご)という20歳の男子が支え役について、さらにもうひとり裏方さんが付く模様。


IMG_3702.jpg

20:00過ぎ、行列がいよいよ出発。八瀬天満宮をめざします。


IMG_3710.jpg

集落を通ってゆらゆらと頭の灯籠がゆれる。その後をみんなが追いかける。併歩するもよし、先回りするもよし。


IMG_3718.jpg


天満宮の階段を上る。これが一番大変そう。


IMG_3723.jpg

IMG_3730.jpg

鳥居から神社まで、田んぼの中の参道をゆらゆら道歌にあわせて灯籠行列が進む。実はこれこそが祭の真髄でありハイライト。
置灯籠があるとはいえ暗いので、カメラに夢中になっていると田んぼに落下する危険性あり。(^_^;)b


IMG_3739.jpg


先を行く赤い提灯は花笠少女たちの持つもの。そのあとを追いかけるように灯籠着がゆく。

P1050272.jpg


いよいよ神社の真下の階段まで到着。太鼓を打ち、音頭取りが道歌を歌いながら一段一段上っていく。


IMG_3742.jpg

そのあとを少女達がいく。


IMG_3751.jpg

灯籠着達も胸突き八丁の階段を上る。ゆらゆら、ゆらゆら、、、まことに幻想的。


IMG_3760.jpg

境内到着すると灯籠は頭からはずされて一列にならんで置かれる。


P1050276.jpg

この美しく切り絵と色とりどりの紙で飾られた灯籠はかつては毎年新調されたそうな。現在では1年に2基がせいいっぱいらしい。それにしてもこの精巧な透かし彫りは見事!というほかない。1年かけて集落のひとたちが一枚一枚彫りあげたものなのだ。


IMG_3770.jpg


ここから22:00ごろまで、神社境内の舞台でかわいらしい少女達の潮汲み踊りや、琴三味線、日本舞踊などがくりひろげられるが、これは地域の人たちの芸能発表会、、と言った感じか。

夜もふけてくると山の冷気が肌寒い。かつて八瀬集落は流入も流出もみとめない閉じた隠里であったが、現代ではもうそんなことはないだろうが、それでも代々ここに住まう八瀬の里人もおられるにちがいない。


IMG_3775.jpg

22:00前、芸能もおわり最後に灯籠着が歌にあわせて境内を3周する灯籠回し。


IMG_3779.jpg


くるくる、ゆらゆら

IMG_3791.jpg


IMG_3800.jpg


音頭取りはたくさんの歌を口伝でおぼえるそうで、なかなかたいへん。素朴で少し哀愁を帯びた曲調。


IMG_3805.jpg

灯籠回しのあとは狩場踊り。灯籠着の少年達を補佐していた警護がかわって灯籠をかぶり灯籠回しをします。灯籠着の少年たちは解放されてほっとした表情。


IMG_3814.jpg


「音頭取り、狩場踊りを歌ってた〜し〜(給え)」

歌は最後の方で、テンポが急に速くなって、「いざや帰らん 我が宿へ帰らん 狩場踊 これまでよ」。警護たちはすばやく階段を駆け下りて集落に戻っていく。その速さときたら!さすがに20代の若者は中学生とちがって力があるんだな。


IMG_3816.jpg

灯籠を見送って、帰路についたのが22:00過ぎ。


IMG_3817.jpg


八瀬の山の端に上弦の月。


<情報>

神社へ通じる道の国道の向かいに、かなり広い臨時駐車場ができますので車でもOK。京都バスは「ふるさと駅」発最終が22:50ころ(確認してね)

夜はかなり冷えます。防寒対策を。

早めに行って花宿(4軒)めぐりもできたらいいですね。



関連記事

● COMMENT ●

八瀬は特別な集落だと思っていましたがこのような行事があるとは知らなかったです。
あちこち行かれてお知らせいただき 楽しみです。
ですがこんな夜は行けないなあ。

ひいらぎ様

八瀬童子の歴史には文博の展示ですごく興味を惹かれたので、赦免地踊りは是非に、と思っていました。まわりと隔絶されるがごとき地理的条件や比叡山から近いという条件、その他いろいろかさなって「天皇の里人」がうまれたのでしょう。
ただ世界的にもそうですが、秘境といわれる地域はもうなくなりつつあって、八瀬の里も実のところもうどこにでもある普通の郊外になっているのかもしれません。

今回、夜だったのでまわりの景色が全然見えず、今度は昼間に八瀬八幡宮へ言ってみなければ、、と思いました。

わあ、いいなあ。私も一度みたいとおもって、八瀬童子の本は買い集めているんですが、行動力が伴いません。なかなかそちらに居ない時期ということもありますが。。。

写真は夜なのにとっても綺麗にとれてますね。とても雰囲気が伝わってきます。

キレミミ様

10月はアメリカはまだまだ新学期ですよね。いつかリタイアされたらゆっくりごらんください。
京都新聞に灯籠着の少年の記事がでていて、彼は正しく八瀬童子の子孫だそうです。
やっぱりすごいなあ、、、、

しぇるさん、こんにちは

おもしろいですね~

全然、知りませんでしたが

八瀬の、雰囲気に

なんともあっていますね^^

高兄様

八瀬は歴史的にも特別な集落ですね〜。今でも八瀬童子の子孫もおられるそうで、山間のちいさな集落ににつかわしい不思議な雰囲気の祭礼でしたよ。最近は観光客もふえているとか。あ、私も観光客みたいなものだった(^_^;


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://cherubinpriel.blog.fc2.com/tb.php/176-556c932a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

千年響流〜大原魚山勝林院一千年紀 «  | BLOG TOP |  » 素晴らしき哉、それぞれの茶の道

最新コメント

プロフィール

しぇる

Author:しぇる
京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

最新記事

カテゴリ

未分類 (14)
茶の湯 (393)
茶事(亭主) (84)
茶事(客) (174)
茶会(亭主) (18)
煎茶 (10)
京のグルメ&カフェ (94)
町家ウォッチング (10)
弘道館 (7)
岡崎暮らし (109)
MUSIC (4)
能・歌舞伎 (65)
京都めぐり2023 (32)
京都めぐり2022 (29)
京都めぐり2021 (30)
京都めぐり2020 (19)
コロナ緊急事態宣言下の京都2020 (12)
京都めぐり2019 (28)
京都めぐり2018 (20)
京都めぐり2017 (30)
京都めぐり2016 (34)
京都めぐり2015 (34)
京都めぐり2014 (39)
京都めぐり2013 (36)
京都めぐり2012 (6)
本・映画 (14)
美術館・博物館 (143)
奈良散歩 (132)
大阪散歩 (1)
着物 (8)
京の祭礼・伝統行事 (60)
祇園祭2023 (9)
祇園祭2022 (11)
祗園祭2021コロナ下 (5)
コロナ下の祇園会2020 (1)
祗園祭2019 (18)
祗園祭2018 (11)
祗園祭2017 (17)
祗園祭2016 (18)
祗園祭2015 (16)
祇園祭2014 (13)
祇園祭2013 (14)
修二会2023 (10)
修二会2022 (8)
コロナ下の修二会2021 (6)
修二会2020 (5)
修二会2019 (3)
修二会2018 (4)
修二会2017 (4)
修二会2016 (3)
修二会2015 (3)
修二会2014 (3)
修二会2013 (3)
その他の町散歩 (11)
京都和菓子の会 (4)
ソウル紀行2023 (3)
イスタンブール・カッパドキア紀行2013 (8)
英国田舎紀行2015・湖水地方とコーンウォール (7)
パリ紀行2014 (7)
ノルウェー紀行2016 (4)
古筆 (1)
ポルトガル中部〜北部紀行2017 (7)
京都でお遊び (13)
ギャラリー (4)
暮らし (14)
中国茶 (49)
京都の歴史・文化について勉強 (3)
過去ブログ終了について (0)
猫 (1)
滋賀さんぽ (21)
オランダ・ベルギー紀行2018 (9)
ニュージーランド紀行2019 (9)
台北旅行2018 (3)
高野山 (2)
骨董・工芸品 (1)
東京散歩 (2)
諏訪紀行2021 (4)
金沢さんぽ (1)
御所朝茶 (4)
有田2022 (1)
熊野三山巡り (2)
兵庫さんぽ (1)
太宰府 (2)
丹後旅行 (3)
仕覆制作 (5)
信州旅行2023 (2)
京都モダン建築 (3)

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR