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2020-04

東京・茶道会館にて稲荷茶会 - 2020.02.20 Thu


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東京高田馬場にある茶道会館、ご高名はうわさで聞いてはいたが、なにぶん東京ゆえ行く機会もなかろうと思っていた。ところが僥倖がまいこみ、初めてこちらの茶会に。



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一昨年、これも初の畠山美術館秋の茶会によんでくださった東京のA先生が、茶道会館・稲荷茶会で釜を掛けはるのでおさそいくださったのだ。うちの母よりちょっと若いくらいの先生、あの年代の先生ってみなさん、すてきに気風がよくて面倒見もよくて好きだわ。



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いやもうビックリした。この茶道会館の広さと多彩な露地茶席のすごさ。腰掛け待合いもあちこちにあるし、露地もアップダウンの変化があるし、どこにどの席があるか迷子になってしまう。



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茶席の花は露地の花でまかなえるというのもうなづける。椿の樹には大きなヒヨドリが蜜を吸いに来ていて、ここが都心だと言うことをすっかり忘れてしまう。



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稲荷茶会は全部で6席、それぞれ趣向のちがうお席らしいが、だいたい6つ以上のヴァリエーションに富んだ茶席があるなんて!
この施設は私設だという。昭和25年、戦後まなしで荒廃した日本人の心に、茶の湯で日本の文化の誇りを復興させたいという思いから作られたもので、これが個人の力でできたとは、すごいなと思う。規模的に○日庵に負けてないのではないかしら。



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とりあえずA先生のお席に。奥の方にある峰春亭で大炉の濃茶席。
ここが待ち時間一番長く、1時間以上この待合ですごす。
待合掛けが蓮月さんの短冊で
 「鶯の妻や籠もるとゆかしきは 梅咲かこむ庵の八重垣」

今、東博で「出雲と大和」展しているし、それに合わせた歌なのかな、と思う。(出雲八重垣妻籠みに、、、)



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稲荷茶会なので薯蕷は鳥居の焼き印。香合も稲荷焼と弘入合作の稲荷土鈴。
関西ではお稲荷さんといえば伏見稲荷だけれど、東京はどこなんだろう。お隣の東京の方に聞いてみたら豊川稲荷では?とのお答え。

茶席は大炉ならではの逆勝手、A先生のお人柄ではの楽しく和やかな席となった。ご挨拶申し上げて、最後にツーショットを撮らせていただき、良い思い出に。




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次にどこへ行こうかと迷子になりつつ、あいにくの雨ながらしっとりと春雨の風情の広い庭を行く。


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市松の間の泊志会の薄茶席へ
泊志会はこの茶道会館でお稽古されている方の会だそうだ。



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ここは待合も天井がすべて竹で、数寄をつくした作り。
茶席は市松の名の通り、襖が桂離宮の松琴亭にならった青と白の市松模様になっている。
こちらはさすがのお道具立てであった。

水指が古染ですぞ、馬紋様(初午にちなみ)。覚々斎の竹二重切花入は鎹が打ってあり、水仙が美しい。炉縁が松尾大社の鳥居古材、ゆえに内側が丸みを帯び、しかも朱塗りなのである。先代寒雉の鰐口釜がおもしろい。



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お菓子が蔵前の榮久堂さんの鳥居の絵馬。ちゃんと板の木目まで再現してあって芸が細かい。

この席のお点前さんが、しゅっとした和風美人でどこかで見たことあるな〜、、と思っていて、ああ!美術系タレントのはなさんだ!と思い当たる。裏千家茶道雑誌の連載にも載っていらしたからそのご縁でこちらでお茶習われておられるのでしょう。



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さて、ここからどこがどこの写真かわからなくなってきた。なにしろ館内で迷子になっていたから。

多分点心席の山里かなあ。



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稲荷茶会なだけあって、点心にお稲荷さん♪
濁り酒をいれてくれた升はお持ち帰り。



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これ、真似してみようと思う煮物椀、蕪に具たっぷりのそぼろ汁、美味しかった〜。



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山里でたところにあら、ほんまのお稲荷さんのお社が。幟を見るに先ほど話題の豊川稲荷から分霊勧請したものらしいわ。だからわざわざ稲荷茶会をここで(毎年?)されるのね。



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またまたどこに行こうか迷子になりつつ、、、



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山茶屋席

裏千家の男性の先生であったが、またこれはビックリすることに「南方録」の台子飾りのうちのひとつ(第二十七飾り)を復活させたもの。この台子では天板に香道具を飾り、茶を点てる前に聞香の灰を整えることから席中で行い、香炭団を炉中からひろいあげるという初めて拝見するもの。しかも聞香を全員で行うのだ。これは感動ものであった。

軸が金森宗和の消息とは恐れ入る。日付が二月四日、立春のころ、ちょうど時節にぴったり。古天明の真成釜、紅梅古木の炉縁、めずらしいのは玄々斎夫人の宗柏刀作の茶杓、銘を「春望」。

お菓子がここだけ写真がないが緑色の柚子餡のうぐいす餅で、翡翠色がとても美しく美味しいお菓子であった。



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ここらでそろそろどの席も仕舞にかかって、最後の席に飛び込みで入る



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絵馬席

ここを掛けられたのが表千家不白流である。さすがに軸は流祖・川上不白のもの。
棚が見たことのないような棚で、六角形の箱の上に丸卓が載っているような、、当代お好み白和棚というのだそう。それに入れた水指がなんとエルメスで馬の模様、その上お点前されたのがエルメスの故郷、フランスのご婦人だった。



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この席は幼稚園児がお運びにでたり和気あいあいとファミリーな感じで、最後の席をここにしてよかった。お菓子は「下萌」であるが、関東にはめずらしい、こなしを使ったお菓子だが、京都のこなしとちょっと違うと思った。(こなしは京都以外ではあまり使われないのよね。主に練りきりで)



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ここでタイムアウト、あと真の間の薄茶、明々軒大炉の薄茶の2席は入れなかったのは残念だが、お腹も口も主菓子4個食べて限界に近かったので、あきらめがつく。
しかし一体どれだけの、それぞれちがう趣向の茶室があるのか、びっくりもし、感動もした茶道会館であった。




大炉のお稽古一通り - 2020.02.16 Sun

本日は裏千家限定のおはなし



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大炉なんである。

普通の炉が一辺一尺四寸なのに大炉は一尺八寸もある。裏千家11代玄々斎(この人で裏千家の現在の点前が定まったと言われる)が、知恩院法親王を迎えての献茶式で、暖を取るために咄々斎(裏千家の中にある茶室)の隣の六畳に、北国の囲炉裏を模して切った炉だという。

六畳、炉縁は北山杉木地丸太、炉壇の土は聚楽土に墨をまぜた鼠色、逆勝手、、というのがお約束。



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極寒の2月にしか使われないし灰も大量に必要なので、一般的に大炉を切る人は少なく、うちの先生宅にもあるにはあるが、開けるのは2年に一回くらいかな〜。

昨年茶室披き(茶室というより茶道館披きかな)によんでいただいたお茶友さん、なにしろ広間小間完備の茶道館なうえに六畳の大炉の間もお持ちなのである。そこで大炉のお点前のお稽古におさそいいただいた。なんとありがたし!

老松さんの主菓子もご用意いただいて、五人で折据をまわし、どの点前をするか決める。私は濃茶があたった。



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まずはK様の初炭

逆勝手の炭ではあるが、炭の組み方、湿し灰が炉中に入れてある、など純粋の逆勝手ではなく、大炉独特の所作がある。大炉の醍醐味は炭手前にあると私が思う由縁である。

みなさん、ベテランさんばかりなので、逆勝手のお点前はなんなくこなされるが、一番四苦八苦するのが羽根での掃き方、湿し灰の撒き方である。



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それぞれアンチョコペーパーを製作していて(私も)、やっぱりみんな苦労しているんだなあと安心。館主様が大きなパウチにいれた図を用意してくださっていたので、それを見ながら、今年こそ覚えよう!と固く誓うのだが、なかなかねえ、、、、(^_^;

灰器がなく、湿し灰が雪輪瓦の向こうに積んであって、そこに灰匙が立てられているのが独特の風情で良い。

濃茶は私なので、写真ありません。
体の位置、大蓋の蓋置の位置、に注意すれば普通の逆勝手なので、これはなんとか。



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さて、大炉一番のハイライト(と個人的に思っている)後炭手前、O様がされた。



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後炭は炭を雪輪瓦の後に置き、灰器兼炭斗に焙烙を使うのである。灰匙をとるとき、火箸をとるとき、焙烙をくるくる回す趣がすてき。最後にあまった湿し灰を、雪輪瓦の後に焙烙からさ〜っとおとすところがえもいわれぬ風情。極寒の時期も楽しみにかえてくれそう。




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最後にT様と館主様がそれぞれ薄茶点前を。逆勝手に全く問題なし!なのがさすがである。




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お茶に打ち込んで、探究心、向学心にあふれておられる面々、するすると滞りなくすすんであっという間であった。大炉の初炭・後炭・濃茶・薄茶、全部を一気にできる機会はそうないので、ほんとうに勉強になり、ありがたいことである。

館主さま、ご一緒させていただいた方々、ありがとうございました。




珠光茶会2020〜中西与三郎で日本酒茶会+大乗院茶席 - 2020.02.12 Wed


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朝起きたらこんなことになっていたので、きっと奈良も雪景色に違いないと思っていたけれど、、、



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奈良は意外とからっとしていてビックリした。

今年も珠光茶会、もう七回目になるんだな。奈良出身の珠光にちなんで、茶道七流派がつどって奈良の八寺社、ならまちでくりひろげるお茶のお祭り。第一回目から参加しているので(十数年ぶりの大雪の日もあった、、、)だいたいひとまわりはした。そこで今年は趣向を変えて、初めての試みという日本酒茶会(日本酒と和菓子のマッチング+茶会)に参加してみた。




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会場はならまちの有名な和菓子屋さん中西与三郎さんである。



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創業百余年という老舗で、古い町家の建物もすてきなのだ。受付は本来通庭だったところ。



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座敷にしつらえられたテーブル席にてまずは、奈良の蔵元のひとつである豊沢酒造の社長さんに日本酒の歴史のお話しを聞く。日本酒、とりわけ清酒の発祥の地が奈良の正暦寺であるといういうのは初めて知った。すでに室町時代からその技術はあったという。



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お話しは聞きつつも、みなさんの目はすでに目の前にあるお菓子の箱とお酒に釘付けである。お菓子は五種、それぞれに合う奈良の地酒をチョイスしたものだそうだ。



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お菓子はもちろん中西与三郎さんのオリジナル

右上から反時計回りに、、、

<龍の卵> 胡桃+摺り砂糖
       これに合うお酒は<春鹿>で有名な今西清兵衛商店さん
<侘助> 柚子の香りの練り切り
       お酒は倉本酒造さん 
<これは中西さんの特別なお菓子>なのでお酒はつきません
<鹿のささやき> これは中西さんの定番の干菓子で黒糖マカロン、大好きなやつ
       お酒はこれだけは奈良のお酒ではなくて、
       奈良と都市提携している宮城・多賀城の蔵王酒造さん
       (奈良時代、西の太宰府、東の多賀城といわれた陸奥国府があったゆかりで)
真ん中が<羽二重苺> 羽二重餅+白餡+苺
       お酒は豊澤酒造さん

あれ?五つ目は?と思ったでしょ。



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五つ目はこれ、<氷室の雫> 透明なアガー製?の錦玉 これ美味しかった
       お酒は八木酒造さんの梅酒



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酒の仕込みの水を和らぎ水(お腹でアルコールを希釈する)として飲みながらも、これ全部いただくと、かなりほろ酔いになる。(うふふふ、、、最高!)

和菓子と日本酒がよく合うことは以前から知っていたし、合わせるお店もちらほらあるので驚かないが、こんなにお菓子もお酒もたくさんの種類なんてしあわせすぎる(*^_^*)




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さらにさらに、中西さんからのプレゼント、<珠光餅>
村田珠光が好んだといわれる餅を再現したものだとか。お餅に白餡の味噌+山椒、ああ、この味は祗園祭の行者餅の味や!これも美味しい〜!



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店頭ではこの五つの蔵元さんのお酒も販売。
珠光茶会で奈良の産業を積極的に発信していこうという姿勢はすごくいいと思う(本来の珠光茶会の目的かもしれない)。日本茶しかり、いいものがとても多いのに、京都に比べてブランド力に負けてるからね。ガンバレ!奈良!



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さて、ほろ酔い加減で顔の赤い方もいるご一行と、徒歩数分のならまち・にぎわいの家の茶席へ移動。

この表家造りの町家は大正6年に建てられた古物商の家だったそうだ。前はどうだったかな、記憶が定かでないが、こんなふうにいろんなイベントに使われるようになったのは最近のことだと思う。



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中に入ってびっくり、とても奥行きが深いすごい豪邸なのだ。寄付、待合、と座敷をかえて、お蔵(江戸後期)もあって、、、、



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やっとたどり着いた広間の茶席の床の間は、なんとお水取りの松明を床柱にしたという数寄をつくしたもの。襖の引き手も凝っていた。



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裏千家のご社中のお席でテーマはずばりお水取り!
二月堂瓜灯籠の蓋置、清水公照(東大寺歴代別当のお一人)さんの「水火調陽」の文字とお水取りの絵が描かれた茶碗などなど、極めつけは、、、



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待合の軸の牛王札と陀羅尼(練行衆がお籠もりの間刷り、結願の日に頒布する)!
これほしいなあ〜、なんとか手にはいらんかな〜とずーっと思っている。

楽しかった!日本酒茶会!(来年もあればこれにしようかな(^-^)/)



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時間調整に奈良ホテルのバーで一杯やって、、、というのはウソ



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ラウンジで珈琲して、、、



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奈良ホテルのすぐそばにある大乗院庭園の茶席へ。


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以前よく奈良ホテルを利用していたので、この庭園の復興具合もつぶさに見てきたが、完成した庭園に入るのは実は初めてなんである。
もともと平安時代、興福寺の門跡寺院であったが、興福寺焼討や火災で灰燼に帰したり、さまざまな復興荒廃をくりかえし、平成になってからナショナルトラストを主体とする発掘調査、整備がおこなわれ、現在にいたる庭園である。



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この一画に建てられた大乗院庭園文化館にある小間の茶室は庭園を借景にするすてきな円相窓があって、実に気持ちよい。


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今回は点て出しによる呈茶のみであるが、いつか茶席としてみてみたいなあ。
(席主はご当地奈良・石州流宗家でお稽古されている方々であった)

せっかく奈良にきたのだから、先月見た山焼の若草山に登ってみようと発心、テクテク何km歩いたか、、、、、



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なんたるチア!!(古っ!)
3月末まで閉山中とは!!Σ(゚д゚|||)




官休庵東京初釜2020 - 2020.01.25 Sat

裏千家雑誌「淡交」に「茶道心講」を連載され、ファンも多い岡本浩一先生にお声がけいただき、先生のお弟子さんご友人方々と、初めて武者小路千家・官休庵の東京初釜に行ってきた。

官休庵さんでは地元京都でも初釜をされるが、私はお呼びでないので残念に思っていたが、なんといううれしいチャンスであろうか!
官休庵は、若の宗屋さんが昨年ご結婚され、おめでたい雰囲気に包まれているに違いない。



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東京は道灌山にある武者小路千家東京稽古場
明治大正時代に実業家であった久米家の旧邸宅で、現在でも同家は武者小路千家の重鎮であるという。



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まずはお家元の濃茶席

広間に相伴席、襖が渦巻紋で、同じ帯を玄関さんがしていたので、これは流派紋のひとつなのかしら。(武者小路千家の好み紋だそうです)
当代お好みの緑漆+柱溜塗の真台子に皆具、床に武者小路五代の大黒さんの画賛、その下に緑(お家元は緑の色がたいそうお好みだと聞いた)の宝珠が熨斗アワビの上に乗り、諏訪蘇山青磁耳付花入れに紅白の牡丹(島根・牡丹で有名な大根島の)+古木となんとも華やかな室礼の中、長い長い結び柳がたれさがる。

お家元のお点前を拝見するのは初めてなのだが、なんとも豪快、それでいて柔らかい。やはり長い年月それに専心されてきた方のお点前だ。茶杓で茶碗のふちを打つとき、カーンと音がするくらいでどきどきしつつも小気味よい。
主茶碗がすてきなすてきな一入の黒楽、金継の上に鎹が2本打ってある。手に取るとずっしり重く、土色が独特。(後にこの茶碗の土は聚楽に備前の土を混ぜたものと聞く)
この茶碗にここで出会うのを楽しみにされている方も多いとか。
私は替の島台の金の方でいただいたが、銀の方が茶の渋でええ感じに色がついていた。毎年張り替えるとおっしゃるが、このままの方が味があってよいかも。

釜が六代の好みで、先ほどの先代の大黒画賛の一部の文字をそのまま釜に鋳込んだという呼応のしっぷりがいいな。初代下間庄兵衛作(江戸中期)
台子の天板に飾られた棗には「君が代」の楽譜が蒔絵してあるが、これはこの棗を好んだ先々代が、交流のあった小林一三翁の宝塚の楽譜(すみれの花咲く頃、、か?)を蒔絵した棗をみて感動して皇紀2600年(昭和15年)を記念して作らせたものだそうだ。棗一つにも歴代のストーリーがあって感動的。

お正客を岡本先生がされたので、しかもこの席が初釜千秋楽の席だったので、お家元もリラックスされたのかご家庭内でのプライベートなお話しも次々と出て、とても興味深く拝聴。
印象的なのが畳の話。昨年こちらの畳を全部替えはったそうだが、なんと一枚数十万という肥後表。最初固かったのが使ううちにちょうどよい弾力になって、長時間すわっていても足の痛め方がちがうのだそうだ。よい畳はそれだけの価値があって、すわってみないとわからないという話だが、昨今畳が一枚もない家が増えていることを思うと残念でならない。


さて、初釜のお菓子は決まっているのだが、、、

表千家は常盤饅頭
裏千家は花びら餅
武者小路はさてなんだろう???

とらや製の紅と緑2色のきんとん「都の春」
しかも中の餡の中に求肥がはいっているのは留め菓子(家元初釜以外の用途で作ってはいけないお菓子)なんだそうだ。これで問題一つ解決。



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濃茶席のあとは点心席
こちらもお家元好みの緑のテーブルクロスの席で。
奥様(松江 田部家ご出身)、ほぼ新婚の若奥様、のおもてなし。
点心は三友居で、煮物椀の中のカラスミ入り餅がとても美味しかった。宗屋さんものちにお酌でまわられて、若奥様は初めての初釜ご奉仕、京都、東京、と、さぞや慣れぬことにお疲れのこととお察し申し上げる。訪問着にちゃんと武者小路千家のツボツボ紋の三つ紋(五つ紋?)がすでについていることをめざとく確認。

点心の中に今年の干支にちなむものが一つ入っていますと、奥様。なんだろ?と思っていたら、ナマコのおろしがけ。ナマコ=海鼠であったか!

毎年違う意匠の杯でお酒をいただきお持ち帰りできるのだが、今年の杯は干支ではなく、令和にちなむデザイン。新しい天皇さまのお印である梓の枝に、令和の元となった和歌に詠われた梅である。これはいい記念になりそうだ。



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薄茶席は若の宗屋さんご担当

なんというか、お家元とは対照的なお点前、端整で美しく見とれてしまった。姿勢も頭もぶれずにぴしっと線がとおっているのな。お家元のは無駄な力が抜けて洒脱な感じさえして、世阿弥・風姿花伝の年来稽古条々を思い出す。

棚が緑の組紐に房が巻かれた、これは茶会でよく拝見する機会のある武者小路千家お好みの矢筈棚。棚の材によって格や巻かれる組紐の色がかわるという。初釜は格の高い矢筈で、のせる柄杓まで柄が塗になっているという裏千家の者にはめずらしいもの。

主茶碗が楽吉左衛門を襲名したばかりの16代(篤人さん)の赤楽。還元がつよくて赤と言うより灰色で、形は乙御前っぽく素直。次茶碗がお母上のご実家、松江田部家伝来の米俵茶碗。
私は三島写しでいただいたが、お隣の宗和流の方はかわいらしい鼠に宝づくしであった。



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さて、玄関に「半床庵」と書かれていて、あれ?半床庵って久田家ではなかったかな?と不思議に思っていたが、こちらの稽古場内に久米家が名古屋から移築した半床庵という茶室があって、建築年などは不明ながら久田宗全好みなのだそうだ。

この小間茶室、襖があいていたのでちらっと拝見した。一見、これお茶室、、、??というような間取りで頭をひねる。実際「天ノ川席」といわれ、左右にわかれた客の真ん中の畳でお点前するというかなり変則的な茶室。しかも一畳+台目畳2枚という、、、。中柱?っぽいところの棚の下に、水屋の簀の子の小さいが敷いてある。どうも点前の配置が理解できずじまいであったが、建水の水をここにこぼすようになっているとか。珍しい茶室を拝見できた。(ちなみに久田家の半床庵とは全く意匠がちがうらしいです)



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初釜ののち、これから反省会感想会をされるという岡本先生ご一行と別れて、私は東京駅へ。
いや〜、貴重な機会によくお声がけくださった。まさか官休庵の初釜に行ける日が来るなんて!と感激しつつ東都をあとにした。






芳心会・木村宗慎さんの初釜2020 - 2020.01.22 Wed

一昨年からご縁をちょうだいし、一日一菓でも有名なお茶人さん(説明不要かと、、、)木村宗慎さんのお社中、芳心会初釜へ今年もお招きいただいた。



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場所は大徳寺総見院(信長の葬儀を盛大におこなって秀吉が次の天下人であることを知らしめた塔頭、でも信長の遺灰はナイ)


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この日はなんと!
日程の都合上、一席のみ、しかも御連客の9割以上が宗慎さんのお社中の方々で、アウェイ感がものすごい(^_^; ただお正客がこの日のために選ばれたような皇室関係にお詳しい方で、お道具の説明があり非常によくわかったのはありがたかった。
というのも、今年は令和への御代の代替わり、茶会のテーマはズバリ皇室もしくは宮中のお公家さん。



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恒例の投扇興、毛氈が絞りにグレードアップ。みんなが扇を投げてぶつけたりしている屏風が、実は呉春の京都名所巡りの図だと知って思わず冷や汗。

待合の展観席では近衛信尹・三藐院の一首(読めそうでよめない、、、けど多分御代を寿ぐ感じか?)。寛永の三筆の一人であるが、署名が「関白信尹」とあるのを見て、お正客様が「信尹が関白だったのは1年くらいだからこれはとても珍しい。」とすかざすコメント。すごいわ。

さらに子年にちなむ子の日の軸やお道具の数々。瀬戸茶入が信尹の末裔である近衞豫楽院の箱。
面白かったのは三藐院の軸の下に置いてある白い木の箱。(本来は)柳の木を三角柱にして糸でつないだ柳筥(やないばこ)といって、宮中祭祀の時に天皇の分身でもある御衣を入れる箱なのだそうだが、これを上手に模した炭斗があって、こんな珍しいものは初めて。



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(末富さんの特注主菓子「丹頂」 丹頂と尾羽と嘴まであるという芸の細かさ)


香煎席では今年は中国茶。
一昨年は煎茶、昨年は紅茶ときて今年は中国茶。はやってるなあ。点前座の敷物が中国のミャオ族(現在はほとんど東南アジアへおいやられているが)のアンティークの布。よく見るとほんっと細かい刺繍がほぼ全面を覆っていて見事。
この席の渡唐天神は裏千家八代一燈のちょっとかわいらしい作。なんでも宗慎さんが最初に買われた(小学生くらいの時に?かも)お道具とか。
茶杯がかわいらしい古染、私のは安南のちっこいかわいらしい染付。こんなところにもコレクションのすごさが。お蔵のキャパが深くて大きい。



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いよいよ濃茶席
何が楽しみって、宗慎さんのいれられる花なんですよ。今年も期待にたがわずやってくれました。
竹一重切(だれの所持だったかちょっと失念)に緑の万年青の葉、真っ赤な万年青の実に、根っこが花入からはみだして竹にまとわりつくが如く。
その下に昨年も畏れつつひっくり返させてもらった春日散米折敷(応仁元年・1467年の朱書きあり)、その上に込藁、挿してあるのは稲穂である。先だっての大嘗祭を思い出させる室礼。

目を引くのが四季草花紋の蒔絵がゴージャスな棚で一番下に慳貪蓋がついていてここから建水を出す仕組み。なんでも平瀬露香所持の水指棚というそうだ。その華やかさに対してすっきり白い軟質白磁の筒型水指はオランダ。
主茶碗は後水尾天皇切り型の仁清、塩笥っぽい形で三玄院天目的な渋い色。裏に仁清の印あり。(印がないと修学院焼になるそうだ)
私がいただいた次茶碗は半使御本、花びら方のゆがみがあって綺麗な感じ。他に呉器など。
茶碗が仁清なので蓋置は乾山(仁清の仁和寺と乾山の鳴滝は目と鼻のさき)にしたとおっしゃる。

茶入がまた泣かせる藤重の中次。
焼け落ちた大阪城から九十九茄子茶入の破片を拾って漆で継いだというあの伝説的名人塗師。蓋をのせると一瞬止まった後ゆっくりとす〜っと落ちておさまる。これは下手に拝見すると痛めるので、お社中がお客なので宗慎先生の指導がとぶ(^_^;

なんでこんなすごいお道具が集まってくるのかなあ。
おまけに脇床には光格天皇の菊の御紋入りうがい碗(天皇が日常に使われる茶碗)まで!



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濃茶の後は点心席、瓢亭さん。
黒くて見えにくいが、お節三種盛の皿は持ち帰りできて、これもお土産になる。



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これで三枚そろった!
宗慎さんのお弟子さんの塗師・西村圭功さんの工房の「天雲」シリーズ。サイズは同じだが、少しずつテイストが毎年ちがう。



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宗慎さんが何回もお酒のお酌にまわられるが、この日は車ゆえ、泣く泣くご辞退。
ご郷里、愛媛の地酒「川亀」(川亀酒造)は同級生が継がれた酒蔵だそうだ。

瓢亭さんの三段弁当はいつもおなかいっぱい、これに蒸し寿司もつくのだ。朝抜きでくるべきだった、と、、、毎年言ってるな。

懐石の席の床の間には、昨年三十六歌仙展(京博)におでましされなかった斎宮女御の軸(江戸の歌仙絵の写しだったか?)



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毎回ハズレ(懐紙もらえるけど)の福引きも今年は「富」を引き当てて末富さんの薄紅いただいた。孤篷庵和尚様の御染筆のまくりを当てた方もいて、お社中に表具のプロもおられれば古裂やさんもおられるので、そちらと交渉して軸装されるのかな(^_^;
それにしても千家十職ならぬ宗慎十職みたいな職人さんがたくさんお社中におられてうらやましいことである。人徳、茶徳ですね。



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薄茶席のお菓子はこれも恒例、宗慎さんの故郷の松山西岡菓子舗の「つるの子」(郷土愛をひしひしと感じる)マシュマロのなかに黄色いカスタードがはいって美味しい。これが入っていた大きな銀の盆には菊の御紋章があって、ヨーロッパの骨董市で見つけられたそうだが、里帰りできたんだね。替菓子器が同じく銀器だがこちらは葵の御紋が。(ケンカしなければいいけど(^_^;)

床は大きな軸で「砌竹」の歌、熾仁(有栖川宮)
香合がこれまたびっくり!皇后様(現上皇后様)ご下賜のお菓子(花びら餅的な?)をそのまま漆で固めて、本来菓子に押されていた菊の焼き印を金蒔絵で描いたもの。どうみても元お菓子にはみえない。もっとも出たらすぐ食べてしまうようではダメってことね。下の古帛紗も現皇后様の装束の余裂でしたてたもの。ほんまに皇室コンシャスなテーマ、しかも全部ホンモノという、、、(;゜0゜)

ちなみにこちらの花はゴージャスな春牡丹に松の枝。花入れも負けずゴージャスな金襴手の大壺(これも三井家旧蔵とかいろいろご由緒が、、、覚え切れんかった)

でてくる御茶碗はそれぞれ由緒もあって良いモノ、私がいただいたのは永楽の紀州公拝領「河濱支流」の印のある大綱和尚手描きの打ち出の小槌付き、大黒さん、子年にちなんで。主茶碗は青木木米の御本立鶴写し、本歌より小さくてかわいらしい。
薄器が背伸びしたような甲赤棗。というのも上の面は甲赤だが、蓋の丈が本歌よりはるかに長く中次ぎっぽい。これも宗慎さんが西村圭功さんに依頼して作られたものとか。

皇室シリーズ極めつきは、、、、
大正天皇御大典の折の高御座の金具(筒状)を金メッキしなおして作ったという蓋置!ずっしり重く、畏れ多くもかしこくも、庶民がこんなん触らせてもらえるいい時代であるなあ、、、(* ´ ▽ ` *)

毎年思うけれど、道具組に隙がなくそれでいてほんわか優しい雰囲気の席をつくられる。今回たくさんのお社中の方とご一緒してお話しを聞いて、色々と、かなりうらやましかったですね〜。



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最後に「お酒お好きなのに」飲めなかったので、ということで川亀を1本下さったご配慮に感激!
純米吟醸生酒、すっきり系の美味しいお酒、さっそく自宅でちょうだいする。



DSC09942.jpg



さらに「つるの子」までいただき、もう感謝感謝である。
初釜は翌日、翌々日も続く。お疲れだされませぬよう、来年も是非〜〜!






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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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