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2023-06

修二会2015・その3〜食作法・日中上堂 - 2015.03.16 Mon

深夜のお水取りの行法明けの朝。


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昨夜の寒さがウソのような暖かさ。遠景に大仏殿の屋根を背負う桜の木々も枝が薄紅色に染まってきた。



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修二会もあと2日を残すのみの二月堂。



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向かいの東大寺開山・良弁(ろうべん)僧正を祀る開山堂には有名な椿、糊こぼしがある。庭には燃えたあとのお松明が飾られている。



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昨夜深夜にご香水をくみ上げるためあけられた若狭井の閼伽井屋はもうすでにしんと静かにしずまっている。

くみ上げの日にはここの入り口の上に「蜂の巣」とよばれる独特の大きな御幣が飾られるのだが、これは誰が取ってもよいそうで、飾られるとすぐになくなってしまうのだそうだ。飾る時間は秘密なのだそうで、、、一度見てみたいものだな。


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練行衆参籠所向かいの湯殿。ここでは練行衆の食事がつくられる。白い法衣のかたは湯屋をとりしきる駈士さんかな。



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参籠所すぐ横の練行衆が上堂する通り道、北の回廊階段には今夜のお松明がすでに準備されている。


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回廊階段の上。ここをあのお松明がゆっくりと登っていくのだ。



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参籠宿舎。練行衆だけでなく童子たちもおこもりする。



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修二会のもう一つの(個人的)お楽しみは食堂での食作法を垣間見ること、その周辺の童子さんたちの働きをみること。なので12時前には食堂の前に待機。



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食事の後には練行衆はそれぞれ食事からとりわけたものを閼伽井屋の屋根に向かって投げる。この生飯(さば)は鬼神・餓鬼に供え、鳥獣に施すという意味だが、すでに施しを享受している頭の良い奴もいる(^_^;




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おそらく食堂にともすお灯明の種火をはこぶ童子さん。この竹のミニ手桶、いいですね〜。



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練行衆たちは南の入り口から入室される。



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食堂に運び込まれるこれは湯桶かな。

食作法も勤行のひとつなのですぐに食されるわけではなく、長いお祈りのあと作法によってすすめられる。終始無言。外で耳をすませていると鐘の音や声明の声、(まだ聞いたことがないが)おかわりを求めるときに箸で机を叩く音、などなかなか味わい深い。長年かよっておられる人は声明の部分を聞いて進行状況がわかるという。



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湯屋から運び込まれるおそらく汁。



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重そうだ。



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樽を運び出す老童子。ええ味だしておられる。このご奉仕に誇りを感じて長年たずさわって来られたのだろう。


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樽や鍋を運び込むときにちらっと中に座っておられる練行衆の姿を垣間見ることができる。1日一回のみの食事、深夜(明け方)の勤行が終わり下堂するまで食べるものはおろか一滴の水も飲まないのだ。



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どうやら食作法がおわったらしい。童子たちがそれぞれの練行衆の紋のついた漆塗の丸桶に食器をさげてくる。


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湯桶もさがってくる。おこもりの童子さんの家族が声をかけるとふっと顔もゆるむ。このきびしい参籠もあと2日でおわりだ。


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飯器もさがってくる。飯につきさしたしゃもじが独特。



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長い柄杓は、童子が食事の前に三本もってくるっと回って開始の合図、1本もってくるっとまわって終了の合図となるもの。



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生飯を投げ終えた練行衆が食堂の一画にある鬼子母神の前に並び、参籠所に帰っていく。この鬼子母神の前に植えられているのが鬼子母神のシンボル、石榴の木だということを今年初めて知った。



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やがて日中のお勤めに上堂していかれるが、私は茶所でちょっと休憩。



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今年は12日ゆえお松明を身近で見ることあたわず、お松明の燃えさしがゲットできなかった。でもここにくればあると思ってたのよ。お持ち帰り用の新聞紙もおいてある心配り。


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随時補充されるので、取りそびれた方はこちらでどうぞ。燃えた杉の良い香りがする。(家人にいわせればただ焦げ臭い(-_-;))これは家に飾っておくと1〜2週間はほのかに香り気分がよい。



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修二会後半のみ、火が入る二月堂の大釜。お茶と甘酒をいただく。


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局の中に入るとあの独特の有名な声明「南無観 南無観 南無観、、、、」がきこえてくる。南無観自在菩薩が南無観自在になり、さらに南無観になる最後のパート。表の西の局では激しい五体投地もみることができる。



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茶所の上には若狭井を献じた遠敷(おにゅう)明神を祀る神社。練行衆が参籠の初めと終わりに社参する三社のうちの一つ。



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二月堂からみる大仏殿も遙かな奈良市街も春の気配だ。関西ではお水取りがすんだら春がくるといわれているがまさしくそのとおりだな。


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そうこうするうちに日中の勤行がおわり、参籠所へもどられる練行衆。カラス天狗がわるさをしないように「手水〜手水〜」とよばわりながら走ってかけおりる深夜の下堂とちがって、のどかな感じ。




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私も裏参道を通って帰ろう。

かくして1200年以上一度も途絶えることなく続けられた不退の行法、今年も無事おわった。

天下泰安、万民豊楽、五穀豊穣、、、南無観、南無観、、、、、





修二会2015・その2〜お水取り - 2015.03.14 Sat

仮眠をとったあと、11時半ごろ宿を出て、ふたたび二月堂へ向かう。


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東大寺境内、人影はなく気温もさらに下がってきているようだ。



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それでも二月堂境内にはいると人の姿がチラホラと増えてきた。
ご香水(こうずい)をくみ上げる若狭井を容れる閼伽井屋。遅参した遠敷明神が約した観音に手向ける水は毎年3月2日、若狭小浜の「鵜の瀬」から送られ、10日かかってここに届くという。若狭ではお水送りがおこなわれ、これもなかなか見応えのある行事らしく、近いうちに是非行って見たいと思う。

ちなみに「東香水講」は河内永久社とともに白丁姿で手松明をかざし警護、かがり火の管理にあたる「講」。(竹、藤蔓、松明などまかなう人たちのそれぞれの集団、観音講)



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香水取りの一行が南の石段を下りてくるとき、足元手元を照らすかがり火。



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ご一行がおりてこられる予定の南の門周辺。二月堂のシンボル瓜灯籠。時間の午前1時半まで、しばらくあちこちで時間をつぶす。



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二月堂の上から閼伽井屋周辺をみおろす。すでに人影がふえてきた。



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お堂の外陣のさらに外、東西南北にそれぞれ局といって、女性でも入れるスペースがある。ここにすわってお堂の中の練行衆の影や糊こぼしの造花、積み上げられた餅などを帷越しに見るもよし、差懸の音、鐘の音、音楽的な声明を聞くもまたよし。今年のソロパートの人(役名がわからない、、)はとりわけ良い声をしておられる。おもわず聞き惚れる。




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そろそろ閼伽井屋の前にもどってくると、かがり火に火がはいった。さきほどのお松明の時の喧噪がうそみたいに静かだ。



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閼伽井屋の前に警護のためスタンバイする講の白丁さん。



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雅楽の演奏にのっていよいよお水取りのご一行が階段をおりてこられる。



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先頭を行くのは練行衆・咒師(しゅし)を先導する大きな蓮松明。水取衆(練行衆)は6人、それに講社の人たち、童子がつきそう。


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閼伽井棚を担った庄駈士(しょうのくし)(写真見えにくいが前後に水をくみ取る閼伽桶に白い布を掛けた物を担いでいる)


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たくさんの松明やかがり火でなんとにぎやかな、といいたくなるくらい。ここでもまた修二会は火と水の行事なのだなと思う。



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いよいよ閼伽井屋の扉の鍵があけられる。

中へはいることができるのは、咒師と、兜巾・結袈裟山伏姿の堂童子、の3人だけ。水のくみ上げ方は秘儀とされ、咒師以外の練行衆にも秘密、真っ暗な中でおこなわれると聞く。



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汲み取る間、他の練行衆は閼伽井屋の外で警護のため立っていて、ときおり行事の進行を内陣にいる練行衆に知らせるため法螺貝をふく。

警護の人たちは松明、かがり火をともし続ける。


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くみ上げられた水がお堂に運ばれる。これを三回くりかえす。



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その間、蓮松明は横たえられ火をたやさぬよう、見守られる。



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少しだけ動画も撮ったので、音と雰囲気が再現できればと思う。(You Tubeでフルスクリーンにするとよく見えるかも)







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三回香水がくみ上げられるとご一行はふたたび蓮松明、他の手松明にまもられてお堂に帰っていかれた。


このあとふたたび南の局にはいって達陀をよこからちらっと見る。西の局が正面で一番よくみえるのだが、すでにいっぱいであぶれた。いつかここの場所をキープしよう、と来年以降の課題をまた見つける。

達陀の異形な行はこれまた修二会の華かもしれない。法螺貝の音は耳についてはなれない。達陀については昨年記事に書いたので、ご興味あればどうぞ。



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達陀がおわったころ時間は午前3時半。それでも臨時食堂になっている北側の茶所はまだ開いていた。ご年配のご婦人もエプロン姿でがんばっておられる。夜中なので食事ではなく熱いお茶をいただき冷えた体をあたためた。


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北回廊階段の下にある練行衆参籠所の前で練行衆の下堂を待つ。



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来た来た!回廊階段を走って駆け下りてくる。これは迫力がある。このとき童子たちは「手水(ちょうず)〜、手水〜」と大声でよばわる。「手水にいっているだけだ、すぐもどるぞ」とカラス天狗に知らせるためだとか。カラス天狗は好奇心が強く、お堂を留守にするとはいりこんで行法のマネをする、と言い伝えから。



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宿に帰ったらもう4時、朝だな、、、と思いつつ空を見上げれば下弦の月。(あ、丸にしか見えない、、、、)


この日はひだたすら寒い中で待ち続ける「行」をしたような気分だが、またひとつ修二会の課題をクリアしたような満足感でおそい就寝とする。





修二会2015・その1〜初夜上堂 - 2015.03.13 Fri

ここ20年近く毎年通っている東大寺二月堂修二会、3月1日から2週間、毎日内容を変えての行がおこなわれる。行ける曜日が限られているのでおかげさまで毎年違った日にちに行けるため、いつもなにかしら新しい発見、体験をする事ができ、その底知れずの魅力にますますはまるのであった。


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今年も奈良に着いたらまず萬々堂さんの上生「糊こぼし」(修二会のお堂を荘厳する紙でできた椿のモチーフ)を買って気合いを入れる。なにしろ今年は気合いがちがうよ、だってはじめて12日深夜のお水取り(境内の若狭井から御香水をくみ上げる)を見に行くんだから。



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浮雲遊園をつっきって二月堂へいく近道。主顔の鹿島大明神の末裔(?)
正面は若草山。

でも、今年のお松明はあきらめている。毎年最前列で拝見するのだが、12日は篭松明があがるので、参拝客はいつもの10倍近くになるし、いつもの場所は事前予約抽選であたったり、講(修二会にかかわるもろもろの役目を負った人々)の人しか入れない上、最初から最後までみることあたわず、動きながらの拝見になるのだから、2〜3本のお松明しかみられないのだ。

だからお松明だけ見たいのなら12日以外を強くおすすめする。


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なんと4時間も前にいったのに、すでにたくさんの人が。まあ、移動グループとしてはトップだったけれど。おそらく東大寺の南大門あたりまで行列が最終的にはできると思う。



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待っている間に、、、あれは!



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達陀大松だわ。
達陀は最終3日だけおこなわれる摩訶不思議でダイナミックな火と水の異形の行なのだ。それにつかわれる松明。昨年はじめてなんとかはしっこから見ることができた。あの不思議な行は忘れられない。法螺貝の異様なリズムが耳にこびりついて。



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まわりの見知らぬ人たちともお水取りの話など、いろいろおしゃべりしながら時間をつぶす。だんだん暮れてきた。ほんまにしんしんさぶい。貼るカイロもふくめ重装備MAXで着たのに、それでも体は冷えてくる。

今年は近くでは見られぬとはいえ、やはりあのお松明の火は1年に1回は見ないときっと何か忘れ物をしたような気がすると思う。



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7時半、北の回廊階段を練行衆初夜(夜の勤行)上堂を告げる三度の案内(あない)の加供奉行(練行衆4役のうち堂司つきの童子)チョロ松明が登ってくる。

「時香の案内」
「用事の案内」
「出仕の案内」

三回案内を告げると堂内で「おう」と答える声。



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続いて童子のかかげる大松明に導かれて、差懸という沓のかん高い音を響かせながら練行衆堂上。




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やはりこの火の粉を見ないとね、春はこないのよ。過去何回も来た数年前のこと、十数年前のこと、昨年のこと、あれこれ思い出しながらおもわず手をあわせる。また今年も無事見ることができたことに感謝。



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このあたりで移動を余儀なくされる。まあ、それは仕方ないとして、3本目から電気のライトをつけてしまうの、あれはいかんよ。初めて見た人がこんなものか、、、と思ってしまうではないか。あれは艶消しもいいとこだ。拝観者の安全第一とはいえ、なんとかならんものか。いや、来年はちがう日に来るよ。



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押し流されて帰る道々に地元のボランティアの方がつくってくださった竹の灯りが。この竹はお松明用に奉納された竹の残りで作った物で、持ち帰ってください、とのこと。うれしいなあ。



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これをゲットして(花入?茶杓?ろうそく入れ?なににしよう)一度宿に戻る。晩飯を食し、4時間待ちですっかり冷えた体を風呂であたため、仮眠、いよいよ深夜のお水取りに備える。


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