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2023-10

北野天満宮御土居の紅葉2016 - 2016.12.14 Wed

しつこいと思われるのも承知の上、これで本当に最後です。ほんまに今年最後の京都の紅葉レポート。あんまりきれいだったのでゆるしてくだせえm(__)m



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京洛でもちょっとばかし遅めの紅葉が続くので、公開の日程延長した北野天満宮、御土居の紅葉。

まずは本殿裏の摂社、明月舎近くのイチョウの落葉。この屋根に積もった景色、今年もなんとかぎりぎりセーフ。




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かつて天満宮と言えば梅だけで、紅葉は有名じゃなかった、、、というかなかったのかも。境内の脇を流れる紙屋川沿いの御土居の跡を整備して公開するようになってからだから、けっこう最近のはなし。



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はは〜ん、、、これだな。今年から曲水の宴をするとて新たに作ってしまった人工の流れは。




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それはさておき御土居の紅葉苑へ。最盛期には呈茶もあってもっと人が多かったのだろうけれど、紅葉のフィナーレの時期にあたって人は少ない。




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おお!
まだまだ美しい紅葉かな。



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桜も散り始めた花吹雪が美しいように、散り紅葉もまた美しい。この最後の時期でよかったかも。



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紙屋川にかかる橋の周辺も、、、



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まだ新しい落ち葉はよい香りがする。このふとんにくるまってみたいな。



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風がふけば、頭と言わず肩といわずふりかかる散り葉。落ち葉を雨にたとえた歌もあったよな。

(「秋の夜に雨と聴こえて降りつるは風にみだるる紅葉なりけり」紀貫之)



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肩にとまった落ち葉。




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これは思わず息をのんだ。

紙屋川の両岸が赤くなっている!



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網膜に焼き付けるのは赤・赤・赤・黄・赤、、、のグラデーション。




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最後に老松さんの紅葉苑だけの特製菓子「大茶湯」をあたたかいほうじ茶とともに。味噌餡を巻き込んだ利休さんの時代の麩の焼きを模したお菓子であった。


我が家の紅葉は遅い紅葉で、まだがんばっているけれど、とりあえず紅葉の話はこれで最後。秋の都の錦、今年も堪能できました。おつきあい、ありがとうございました。



晩秋栂尾高山寺 - 2016.12.11 Sun

了徳寺で周山街道の入り口まで来たからもう少し足を伸ばして久々に学生時代夏合宿してた高山寺にいってみようと思う。今年の青楓の頃、高雄神護寺まで行ったが、高山寺はスルーしてたしな。

調べてみたら前行ったのは5年も前になる。修復なった高山寺の茶室遺香庵初公開の時以来かもしれない。



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高山寺裏参道の入り口にある市営駐車場はピークの時だけ料金をとる。だから今はいくら停めても無料。しかし、、、だれもおらんな。おそらく紅葉のピーク時はすごかったと思われる。



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お向かいを流れる由良川のほとりで、さきほど食べ残した大根焚きのお斎を食べきって、さあ、裏参道から入山しよう。




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地面が赤い。おそらくもう少し前は赤の色も鮮やかだったと思われるが、枯れてきてしまってる。まあ、そりゃあ紅葉が最高に綺麗なときに訪れればいいのだけれど、あとで石水院の方にきいたら一日1000人が来られたと言うから、、、ちょっと人混みは、、、ねえ。




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昔はピーク時でも、高雄止まりで栂尾まで来る人はあまり多くなかったんだけれどなあ。昨今の京都の観光客の多さはえげつないことになっている。海外旅行先人気№1から6に転落したのも、そのせいだろうな。(なのにまだホテルを建てまくってる京都市って、、、、(-_-#) )



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とりあえず、必ず見る「日本最古の茶園」を見る。チャの花が咲いていた。

(チャの種を中国から持ち帰った栄西禅師が高山寺の明恵聖人にそれをあげたのが茶の栽培のはじまりとされている。本当はもっと以前から茶は日本で栽培されてたらしいけど)



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さて、山上の金堂まで上ろう。



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学生時代の合宿施設であった懐かしい法鼓台。あそこで1週間たべた精進はとってもおいしかったな。



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開山堂は、、、、、はっと息をのむ赤い絨毯。



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でもこれは楓ではなくて針葉樹の落葉。これもまた美しいものだ。




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合宿中はこの山道を法鼓台から上の金堂まで坐禅をしに上った。まだあけやらぬ早朝や、灯りのない夜のこの道はなかなかスリリングで、今でも懐かしい想い出だ。




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ほどなく金堂の姿が見えてきた。表参道から上るとこれは正面にみえるが、裏から山伝いに行くのが風情ある。




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まわりをほんの少し彩る名残の紅葉。
ここまで訪れる人はこの季節少ない。というかほとんどいない、、、



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坐禅は金堂の中で。一坐と一坐の間におこなう経行(きんひん)は足のしびれをとったり気分転換したりできるのだが、この縁側をぐるぐる、ぐるぐる回るのがお約束だった。最初ゆっくり、だんだん早く、最後はほぼ小走りで。




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今でも、人が来ないにもかかわらず、この縁側はつるつるに磨かれている。
数十年前の私の足が、確かにここで経行していたと思うと、やっぱりこういう構図で写真を撮るのはお約束(^_^)b



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石水院へもどる途中、いまは非公開の遺香庵の露地。
ここはなかなかいい小間だったな。(




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さて国宝石水院。
明恵聖人が後鳥羽上皇より学問所として賜った場所。




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明恵聖人と言えば樹上坐禅像が有名だが、わたしは「あかあかや あかあかあかや あかあかや あかあかあかやあかあかや月」を思い出す。なんだかすなおに無邪気に美しい月を喜んでいるそんなお姿を想像する。



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そしてそして、、、どきどき。明恵聖人の愛した彼に会える。




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もうすっかり葉を落としてしまっているけれど、山の木をバックに立つかわいい彼は、、、




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善財君。

文殊菩薩のお勧めで53人の善知識を訪ね歩き、最後に普賢菩薩の所で悟りを開いた善財童子。
(この像は西村虚空という大正〜昭和初期の方が作られた一木造り)

この場所はもともと春日・住吉大社の遥拝所だったらしいが、私が若い頃からしっているのはこの善財君。一番好きな東京国博にある善財童子をちょっとちいさくかわいくした感じ。




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石水院の庭園。ここにもほんの名残の紅葉。



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他に人がいないのをよいことに、ここでずいぶんゆっくりした。



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ここから眺める山の稜線。そこを横切る雲の形の変化をぼ〜っと眺めるもまた楽し。




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お茶室で薄茶をよばれる。




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あ、これも懐かしい近藤濶(近藤悠三の息子さん)さんの茶碗だ。学生時代彼の工房へ茶碗ひねりにいったことがある。それも高山寺絡みのご縁だったなあ。ここの鳥獣戯画の湯飲みは濶さんのものだった。もう亡くなられて何年もたつ。息子さんの高弘さんはいまでは押しも押されぬ陶芸家になった。




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ゆっくりと懐かしい高山寺の景色、こうして五年ぶりながら尋ねられるのはうれしいことだなあ、、と思いつつここを辞した。




鳴滝・了徳寺大根焚き - 2016.12.09 Fri

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鳴滝は、高雄や栂尾にいたる周山街道の入り口当たり、仁和寺よりも西の方にある地名。尾形乾山が窯をひらいた場所でもあります。このあたりの山ではまだ紅葉が楽しめそう。




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このあたりも住宅化がどんどんすすんだとはいえ、まだ田舎ののんびりした趣をのこす景色が楽しめます。




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普通の住宅のあいだにこんなお家まであるんですよ\(◎o◎)/!




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さて、ここにある真宗大谷派(東本願寺系)了徳寺。そういうより大根焚寺と言った方がとおりがよいらしい。毎年12月9日、10日に行われる報恩講に大根焚きをふるまわれるので。




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今までは近場で西陣の千本釈迦堂の大根焚きをいただいていたが、今年は鳴滝まででかけてみた。
門前ではご近所の方かな?ちらほら露店がでている。なんだかのんびりほっこりした景色。




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お経にさそわれて斑鳩から太秦まででかけた聖徳太子が、桂の木の下で菩薩がお経を唱えておられるのに行き当たる。そこでこの桂の木をもって太子が彫った阿弥陀如来像がご本尊なのだそうだ。応仁の乱で当地に安置された、、、というのも京都らしいおはなし。



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境内にはいると、、、おお〜〜〜大根!大根!大根がいっぱい!この皮むきや切るの、さぞたいへんだったでしょうね。




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こちらの大根は千本釈迦堂の聖護院大根(まるっこい)とは違うようです。聞けば亀岡の篠大根だとか。白くてみずみずしくてこの季節とてもおいしそう。




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下ゆでは一気に強い火力で炊き上げています。




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親鸞聖人が愛宕山中の月輪寺に師である法然上人の遺跡を訪ねた帰り、了徳寺を訪れ、鳴滝の村人たちに教えを説かれた。

その教えに感銘を受けた村人たちがお礼に塩炊きの大根をごちそうしたところ親鸞聖人はおおいに感動したそうです。




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こちらは下ゆでのすんだ仕上げをまつ大根かな。



さて、その感動した親鸞聖人、そばにあったすすきの穂の束を筆代わりとし、鍋の残り煤で「帰命尽十方無碍光如来」という十名号(真言宗ではありがたいお言葉だそうです。十方にひろがりさえぎる物のない如来の光に帰依いたします、、、という意味か)を書いてそのお礼として残された、それが報恩講、大根焚きの起源とか。




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ちなみにお堂の裏にそのすすきゆかりのすすき塚があります。





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厨ではご近所の保存会のご婦人方が大根の仕上げ、もりつけにおおわらわ。




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外の境内では、こちらは洗い方のご婦人方。この寒い中、ごくろうさまです。ありがたやありがたや。




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本堂でいただく大根焚き。このお揚げさんがたまらんのよね。熱々、、、と思ったら法要がはじまり、さすがに読経を聞きながら食べるわけにもいかず、、、しばらくおあずけ状態でした(^_^;
お昼時だったので、素朴なお斎(とき)もいっしょにいただきました。芥子菜の胡麻和えが大根に合っておいしゅうございましたよ。



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箸袋に書かれた俳句。どなたの作かは不明なれど

「なつかしや けふ鳴瀧の 大根焚」

大根焚きはもう季語になっているんですねえ。




師走に洛中を駆け回る - 2016.12.07 Wed

師走はなにかれとなく忙しい、、、ような気分になる。ほんとうは毎日せわしないんだが。
せわしない年末の雰囲気にのって、寒波到来、観光客も一段落して少しおちついた洛中をあれこれかけまわり。



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年末には人出でぎゅうぎゅうになる錦市場。大晦日にのこのこでかけていって冗談でなく圧死しそうになったよ。まだ月初めなんですいすい。




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用事があるのは刃物の有次さん。外人の観光客がいっぱい。



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お願いしておいた庖丁のつくろいの受け取り。先ががっつり欠けてたのがきれいになおってる。つくろいもしてくれるのがありがたい。



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ちょうどお昼時なので錦のちょっと南でランチ。



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ネパール料理Yak&Yetiでカレーランチ、このでっかいナンでお腹一杯、これで1000円いかないとは!




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デザートは栖園で月替わりの蜜があじわえる琥珀流しを。



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あまりに人気なので、冬期はお休みだったのを12ヶ月通しで食べられるようにしはったのは最近。コンプリートの誓いをたてたのは京都移住前だったが、いまだに完遂できていない。なぜなら夏場は特に人気で行列ができるほどなので、なかなか食べられないのだ。



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12月は黒豆と黒蜜であった。



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ちなみに11月は柿だったよ(*^_^*)これはおいしかった!1月はなにかな〜。この調子でコンプリートできたらな。



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いつ前を通ってもファンタスティックな麩屋町通りの革島医院。登録有形文化財の昭和初期の建築。

洛中面白い建物ウォッチングが以前から好きだったが、歩くたびに大きな町家が小さな町家がどんどんつぶされて、マンションになっている姿を目にする。洛中の風情のある景色はいずれ消滅してしまうだろうなあ、このペースだと。悲しいけど。



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こちらも昭和初期の有形文化財・平楽寺書店。



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姉小路通に春芳堂さんを発見。表装で有名なとこで、ここの軸装だとちょっとランクが上がるんだとか。ひとつ持ってるけど、ほんまええ箱にはいってる。外の紙箱にたしかこの暖簾と同じ模様が描かれてたわ。



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お隣は和菓子の亀末廣さん。亀屋とか亀がつく和菓子屋さんはほとんどこちらの別家さんなんよ。




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お向かいは、、、ことし3月まで新風館だったところが、、、、まあ〜〜〜!駐車場になっとるわΣ(゚д゚|||)

かわりゆく京の景色、、、でも新風館自体が私が京都を不在にしている(^◇^;)間にできとったしな。




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ついで油小路二条上ルの和誌倶楽部へ和風ステーショナリーを仕入れに。




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こちらはもともと先代の初代が、寺社に使用する経本和紙、着物用のたとう紙、市内の料理店や菓子屋の包み紙、掛け紙を作ってはったのを、現在の二代目さんが和風ポップなデザインの和紙小物ステーショナリーを扱うようになって人気が出たお店。



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奈良の中川政七商店に似ているかな。当代になって経営内容を変えて成功した例。こうやって生き残っていく老舗もあれば、昔のままをあくまで貫いて長く続く老舗もある。時代の流れに押し流されて廃業したものもあれば変革に失敗した例もあるだろう。むつかしいね、伝統産業を維持していくのは。




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懐紙やぽち袋、レターセット、ブックカバーさまざまある商品の中で一番お気に入りはこの包み香。手紙にいれる文香にしたりバッグにいれたり、、、。包み紙のデザインが豊富なのだがやっぱり黒猫のが一番好きo(^▽^)o たくさん買い込んだ。




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二条通りをてくてく歩いて帰宅する道すがら、寺町でちょっと休憩。カフェ百春さんから、コーヒーをのみながら見下ろす寺町の景色が好きだ。



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さすがにちょっと疲れて寺町丸太町でバスに乗ろうとしたら、、、、バス停はイチョウの葉っぱで埋もれていた(o‘∀‘o)*:◦♪



秋の松殿山荘特別公開 - 2016.11.26 Sat

宇治の木幡で電車をおりると、、、



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やっぱり、ここは宇治。茶畑が広がる。そこからさらに歩く。



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平安時代、藤原基房がここにいとなんだ別業・松殿。その跡地に大正年間、高谷宗範が数年掛けて作り上げた茶の湯のための広大な夢の跡、松殿山荘へ続く道も紅葉。



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以前来たときは大広間だけで失礼した。
その後宗範の山荘流をついでおられる曾孫さんの茶事によばれる機会があり、松殿山荘の記念茶会の古いアルバムなども拝見させていただき、また機会があれば行って見たいものだと思っていたので、2日間だけの秋の特別公開にいさんででかけたのだ。




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大玄関。
大阪・天王寺屋五兵衛(「あさがきた」で山王寺屋のモデルになった没落した大商家)の屋敷の玄関を移築した物。

以前書いた記事の繰り返しになるが、高谷宗範について簡単に。



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大玄関からの眺め。

宗範はもともと検事・弁護士であった。茶道は主に遠州流を学んだそうだが、後に自分の流派・山荘流を設立した。

儒教的礼儀・道徳としての茶道振興を求め国を発展させる、という「茶道経国」をとなえた。そのために「広間書院の台子茶」を復活、厳格きわまりない茶道をめざしたところから、当時の鈍翁や箒庵などの茶道を趣味・教養ととらえ草庵の佗茶を好む近代数寄者とはソリがあわなかったらしい。

特に高橋箒庵(「大正名器鑑」書いた人)とは「高谷宗範高橋箒庵両先生茶道論戦公開状」に残されているような大げんか(?)をしたようだ(^◇^;)



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30畳プラス26畳の鞘の間(まわりを取り囲んで使ったり使わなかったりできる)の大書院。

畳の傷みが激しいが、あまりにも数が多くて、新しくするにも厖大な費用がかかりすぎてそのまま。それでも使用に耐えうるのはよほど高品質の畳なのだろう。




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大書院の床の間周辺。
床柱が天王寺屋五兵衛の屋敷の大黒柱。

襖の意匠も宗範自ら考え、京都の表具屋に作らせたものだそうだ。



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広間と鞘の間の間の敷居の溝に滑りやすい材を埋め込み。また節無しの五間鴨居とか、建築やってる人にはたまらんだろうね。



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鞘の間。

おりしも紅葉まっさかりで、広間からの眺めも最高であった。

そしてこの山荘に宗範はいろんなタイプの茶室、それも凝りに凝った物を17も!作ったのだ。



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そのうちの一つ春秋亭。
山道を通って塀に囲まれた茶室に到る、、、という風情。紅葉が美しい。



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茶室はそれぞれ趣がちがうのだが、中でも天井の意匠はどの部屋も面白い。これなんかかなりモダン。しかも網代に囲まれていて、(遠州流をならっていただけに)がっつり遠州七宝紋。




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中書院にいたるまでいくつかの部屋が不規則な配置で並び、まるで迷路のよう。次にどんな意匠の部屋があらわれるのかワクワクする。宗範のお孫さんたちの子供時代はここですごしたご記憶があるとのこと、実にウラヤマシイ話だ。

鴨居の上の窓が円形なのがおしゃれだが、宗範は「心は円なるを要す、行いは正なるを要す」という方円の考えをもっていたそうで、その現れらしい。庭の踏み石もそういえば○□、、、だったな。



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中書院周辺の眺め。



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桂離宮もびっくりの中書院の棚。欄間も天井も凝りに凝っていた。



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お手洗いのなにげない空間にまで宗範の思いがこもる。




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7畳の茶室・楽只庵。これも元、天王寺屋の茶室。
床柱が蔵の轆轤だったとか。早い時間にいったので、ここでしばし独座する。気持ちよい。



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茶室から露地の眺め。

しかし、天王寺屋って、どれだけすごい豪商だったんだろう。明治以降没落して末裔がどうなったか、不明なんだそうだ。(朝ドラではみかん農家になってたけれどね)



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露地側から見た茶室。ここにも方円。



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茶室はそれぞれといっていい個別の露地・蹲居を持っているのがなんといっても贅沢。



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特別公開日は宗範の曾孫さんによる山荘流の茶会がおこなわれる。その茶席になったのが前出の天王寺屋の大広間であった天五楼。この窓からの景色がすばらしい。よい季節にあたった。




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池にせり出す形のその名も蓮斎。ここからの眺めがまたすばらしく、一歩足をふみいれるとだれもが「ほ〜っ!!」と感嘆する。



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ちなみに庭側から見るとこんな風。



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室内探検を終えて広大な庭に出る。あまりに広いうえ、視界を上手にさえぎっているので(ここらへん桂離宮っぽい)ほんとに迷子になりそうだった。

この太鼓塀は春秋亭を囲むもの。すてきな落ち葉の道だ。


   踏みわけて さらにやとはむ もみぢ葉の ふり隠してし 道とみながら (古今集・詠み人知らず)



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蹲居にも降り敷き降り沈む落ち葉。



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葉っぱのおちる音まで聞こえそうな静寂。




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ここだけぽつんとはなれた(多分)撫松庵。金閣寺夕佳亭写しだそうだが、ここはまだ修復が入っていなくて傷みがはげしく、中はうかがい知ることができない。しかし、この眺めだけでも最高だ。



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眺望閣も実は18畳の茶室。天気の良い日に上れば遙かアベノハルカスまで見えるそうだ。



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その上った茶室からの景色がこれ。反対側に比叡山、愛宕山、石清水八幡宮までみえる(らしい。どこかようわからんかった)




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気持ちの良い広さに、まさにたけなわの秋をプラスして、庭を散策するのはとても幸せな時間。



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最後に天王寺屋五兵衛の茶室を引いてきたという○(?こんな漢字知らんというくらいむつかしい字で読めない)松庵の中門を見つつおいとました。




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