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2020-07

町家ゲストハウスの草分け〜五条通の錺屋さん - 2020.01.31 Fri

錺屋(かざりや)さんという、人気のある古い町家のゲストハウスの存在は知っていた。京都好きブロガーさんたちも宿泊されているようだし。でも市内に住んでいると宿泊する機会も無いので、見る機会もなかろうかと思っていたが、一日限りのオープンハウスデイがあるという情報をMちゃんからキャッチ。そちらのほう(五条室町)にでかけるつてもあって、ようやく見参いたす!



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どこにあるのか正確な場所を知らずに交通量の多い五条通り(国道1号線)を歩いていたら、あら、なんだか目を惹くえらいレトロな看板が。
「六神丸」「亀田利三郎」、、、、、



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と思ったらここが錺屋さんだった!
なんとほんまに五条通りに面しているのね。こんな大通りに面している町家はもう絶滅危惧種だから、看板がなかったらスルーしてたかも。



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玄関=フロント、からいきなり大正時代のカフェー的な和服割烹着の、あまりに雰囲気にマッチしたスタッフさんが迎えてくれてびっくりした。(後にこの方以前陶々舎でお目にかかっていたことが判明)


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いつもは宿泊客しか入れないけれど年に何回か、プチちとせ市と称する蚤の市とオープンハウスをされているよし、玄関スペースにアンティーク着物などいろいろ展示。
この町家は大正期の京町家で、建具や照明器具、家具などできるだけ当時のモノを残すようにされているとか。



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この町家の所有者は「亀田六神丸」の代々の亀田利三郎さん。現在はここには住んでおられないが、六神丸の会社としては健在である。


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当時ここを建てた大正期の利三郎さん、かなりの普請数寄だったらしく、現在客室になっているそれぞれの座敷にスキモノのテイストが残っている。


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天井も網代があったり鏡板だったり、、、
この竹が通してあるの、かつては槍とかかかってたりして(^_^;



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二重の落とし掛けにも普請数寄を感じるわ。こういうパターン、表千家系の茶室でみたことあるような気がするが、最近記憶があいまいで〜(^_^;


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気になったのが、中庭にある茶室?!
腰掛け待合いまである。



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のぞいてみると二畳向切中板の席ではないか。
なんでも今はおられないお茶好きのスタッフが自分で考えて、物置かなにかを手作り改修した茶室なんだそうだ。待庵に憧れてそれに似せたとか。(待庵は隅炉だけれど) 天井も竹を使った真行草に準じた材を投入。ここでちょっと茶会のまねごとなどしてみたいね。



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こちらは玄関脇の洋室(京町家でよくあるパターン)を客室にしたもの。確かに窓の外の一号線は若干ウルサイかもだが、それも楽しめそうなかわいいお部屋である。私なら爆睡できる。



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バスタブはユニットにしてあるが、浴室のタイルは大正期のものとか、これは今では貴重。



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二階の客室の窓からは、京都タワーも見える。京都駅がほぼ徒歩圏内というのも、旅行者には魅力的だ。



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そして忘れてならないのがキッチン。ここは宿泊客が共同で使えるようになっているのだが、これを一躍有名にしたが某少年週刊誌の漫画。このキッチンが舞台なんですってよ。という前に人研ぎ以前のタイルの流しに萌える。リアルタイム経験者だからね。



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大阪ガス製ながらもう廃版になったとおぼしきガスコンロも現役で健在。イマドキの若い人は、このダイヤル式の着火スイッチや、自動湯沸かし器の使い方もわからないと聞く。ああ、昭和は遠くなりにけり。


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家の中じゅう、さきほどの割烹着のスタッフさん(町家への愛にあふれておられました)が丁寧に案内してくれたあと、一番いい客室とおぼしき縁側のある部屋へ。本日のみここは喫茶室として解放。



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この部屋はかつてご隠居さんの部屋だったそうで、ここにも普請数寄。



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さきほどの漫画がおいてあって、それぞれ知らない人同士が漫画を読みながらおしゃべり。飲み物、お菓子いずれも100円とあって、私はハーブティーをいただく。ここのファンの若い方がすてきに着物をお召になっていらしてたのが、雰囲気に妙にマッチ。



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こちらは100円のお菓子、いや〜!懐かしいホワイトロリータ!源氏パイ!これ私が学生の時からある定番よね。そうこうするうちにMちゃんつながりのお友達も来て、お菓子をつまみながらさながら女子会になって長居をしてしまった。



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ちなみにこの六神丸をみせてもらった。



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成分は麝香とか、牛黄とか、熊胆みたいにワシントン条約で手に入らないモノもある(在庫がたっぷりあるらしい)。効能はめまい、息切れ、気付け(気付けってどういう効能かな?)、食あたりなど。しかし値段にもびっくり!まあ、貴重な生薬使っているからね。

(亀田六神丸について詳しくはコチラ



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ちなみに錺屋のこの看板は六神丸の看板をなぞって作ったモノ。そう言えば同じテイスト。
最後に大正レトロの絵から抜け出たようなスタッフさんにお見送りいただいた。
宿泊する機会はないだろうが、ミニ茶会とかのイベントでまた使ってみたいものである。




野口家住宅花洛庵〜cafe FUDAN - 2019.09.19 Thu

 油小路四条上ル、京都市指定文化財の野口家住宅・花洛庵が一般公開されると聞いて最終日にすべりこんだ。



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野口家は享保年間から代々呉服商を営んでいるお家で、りっぱな表家造りだ。
しかしなんだか様子が違うな、と思ったら、今回の公開は兵庫県立人と自然の博物館企画のWhere culture meets natureの展示会場としての公開だったらしい。



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おもての板の間の座敷は京町家らしい良い感じであったが、、、



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うぬぬぬ、、、イノシシとか鹿に見つめられるって、、、、


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茶室にニホンカモシカがいた日には、、、
これはちょっとどうも(^_^;

このお屋敷のあちこちに展示されている動物の剥製は上記博物館のもの、コンセプトが
<歴史的建造物がもつ空間の趣と自然史標本のもつ美しさを融合させ、日本の自然と文化の関わりを伝える>のだそうだ。純粋に町家を見に来た人にはちょっと仰天の組み合わせだわ。



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センチコガネの自然の色の個体差をグラデーションで展示した、これはよかったが。
今回のテーマはJapan colorだそうだし。



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残念ながら小堀遠州の伏見屋敷の座敷を移築した、といわれる奥座敷ははいれなかったが、二階にあがれた。



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こちらではテーマのJapan colorをメインに、岩絵の具とその原料鉱物の展示がきれい。



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そして自然がくれた草木染めで染めた布とその染料となった植物の展示、ここのパートは染司よしおかさんがかんでいるらしい。関連セミナーもあったようだ。確かにこの布は美しい。



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呉服商らしい展示としてはこの紅花染めの振袖。



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染料となる紅花の展示も



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野口家に伝わる大福帳、雑用帳などにも興味がある。



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まあ、ちょっと動物剥製はおいといて、町家の雰囲気が味わえたのはよかった。いつか奥座敷も公開されるといいなあ。



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野口家をでてすぐのところにある亀屋良長(御池煎餅は亀屋良永)さんの醒ヶ井の地下水をいただく。ここは紙コップまで用意してくれてはる。
もともと名水・佐女牛井(さめがい)は堀河五条あたりにあったのだが、同じ水脈になるのだろう。




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さらに足をのばして(バスに乗ったけどね〜)、寺町の古美術いもとさん(わたくし大好き李朝〜民藝系)の奥様がこの9月に開店されたばかりという堀川丸太町近くのカフェへ。
民藝と古い器のcafe FUDAN さんへ。



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まだ出来たばかりの新しいカフェ、内装はシンプルでさりげなく河井寛次郎の版画がかかってたりするし、なにげに釣瓶の花入れなども。



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お食事メニューも充実、そしてなによりお一人様シートの居心地の良さ。
ちょっと生活圏はずれるけれど、またランチをいただきに来たいわ。




町家でレセプション〜大西常商店 - 2017.05.18 Thu

町家でお能やお茶を楽しむ会として、松原通りの京町家商店大西常商店(扇子製造卸)さんが常の会をたちあげはったのが二年前の祗園祭のころやった。

素謡いの会の田茂井さんや味方圓さんなどの能楽師シテ方のパフォーマンスが見られる他、お茶室でお茶をいただけるうえ、大きな町家を楽しむことができるので、第一回常の会から参加させてもらっている。

年末にはファンであるところの山本太朗画伯のトークもおじゃましたわ。

大西常さんとこでは常の会発足前に二階の座敷(常の会の会場)をきれいにして耐震工事もされたのだが、町家は古いだけあって日々のメインテナンスが欠かせない。今回ふたたび改修を続けるのにかなりの資金がかかることから、資金調達の為、若いお嬢さん(次期当主)がクラウドファウンディングをたちあげはった。




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いろいろお悩みもあったようだが、同じく町家を愛してやまないおはりばこさんとか、いろいろな方に背中をおされての立ち上げ。
私も常の会を楽しませていただいているので、ささやかではあるが参加させていただいた。
成立するかどうかご心配だったと思うが、予想以上の多くの方の賛同を得て、見事に成立、しかも達成目標金額をはるかに越える寄付が集まった。町家を愛して、それが日々消えていくのをだまって見るしかないはがゆい思いをしている京町家ファンは大勢いるのです。




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改修は早速おこなわれ、そのお披露目と、賛同してくれた人たちを御礼に招くレセプションがおこなわれ、私も末席を汚す。

最初改修を担当しはった田中昭義左官KKの社長さんと大西常のお嬢さん(一児の母、若いよ〜)の今回の改修にまつわるお話を聞く。特に坪庭に面した渡り廊下の壁を大津磨きにした話がおもしろかった。狭い渡り廊下、どうしてもお客さまの帯がすれたりするので、ぴっかぴかつるつるの大津磨き(泥団子と同じ原理か)は家の人にもお客さんにもやさしいのだ。
しかし、技術的にかなりむつかしく、需要が少ないことから技術の継承が急がれる技法だと思う。(ちなみにうちのトイレの壁も大津磨き(^^))今回写真を撮ろうとしたが暗くて上手く写ってなかったのでご披露できない。残念。



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(二階から見ただいどこ)



そのあとは下の座敷で宴会。
最初仕出し弁当でもとるのかな、と思っていたら、全くちがって昔の宴会スタイル。昭和の初めまで家でおこなわれていた祝言の宴会はこうだったのではないかな、と思わせるような感じで、お家の方、ボランティアスタッフの方ががんばって作ってくれはったようだ。これがうれしかったなあ。





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なぜか知り合いやお茶友さんにもここでであって、お互いになんで〜???とビックリし合う。
京都は狭いよ、ほんと。でもおかげでおしゃべりもいろいろできて楽しかったことこの上ない。




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町家好き、あるいは古典芸能が好き、そんな人たちなので、初対面の方でもなにやら通じてお話しができるのも楽しい。




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〆は、ここのだいどこに残るおくどはんで炊いたご飯を浅漬けで美味しくいただいたあとのおこげ!!
これに漬け物+お白湯でかっこんだらどれだけ美味しいか!日本人でヨカッタ、とまた思う。




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さらにお酒を片手に二階の座敷で薩摩琵琶の演奏も楽しんだ。端午の節句にちなんで武者モノ、那須与一の一節。
薩摩琵琶はどちらかというと三味線に近い。芸妓さんがつま弾く三味線に浪花節を足したような感じか。
そのあと、常の会の常連、こちらで能楽教室もされている田茂井先生も、舞台のあった岡山から急遽かけつけ髙砂の「四海波」の祝言を披露され、会はおひらきとなった。





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年間800の町家が壊されていっている現実に、嘆きながら、住んでいる人のことを思えばつぶすなとも言いづらく、京町家の維持によいアイデアはないものかといつも思う。行政はあてにならない。
そんな中、苦労を承知でこうして町家をこのさき100年も200年も残していこうとされる大西常さんの試みはすばらしいと思う。そういう努力を若い世代の方がされているのには驚くと同時に敬意を払いたい。

私ができることは何一つないが、常の会に参加することでなにか少しでもお役にたてたら、と思った会であった。



吉田塾〜富岡鉄斎、、、というよりコロタイプ印刷勉強会^_^; - 2016.11.19 Sat

文化庁の有形文化財に登録されている新町六角下ルの堂々たる表家作りの無名舎・吉田家住宅。



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というより、祗園祭の北観音山のご町内といった方がわかりやすい。ご当主は山鉾連合会の会長を長らく務められ、後祭復活をライフワークとされていた吉田孝次郎さん。(いつも山鉾巡行の先頭を裃姿で歩いておられるのがかっこいい)

ここで年に何回かひらかれるNPOうつくしい京都さん主催の「吉田孝次郎が語る連続講座吉田塾」に、やっと参加できた。(なかなか日曜日は忙しくてねえ、、、)




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京都に移住する以前から京町家にいたく興味を持っていた私は、わざわざ見学予約をしてご当主のご案内の元、拝見したことがある。しらべてみたら9年前のことだった。

あれからイベントとかもあって、何回かお邪魔した。この家が一番輝くのは祗園祭期間中の屏風祭だろうな。表の格子を外して、ずっと奥の坪庭〜奥座敷までみえる涼しげなたたずまいは、「日本の美しい暮らし」を体現している。
(↓)


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(今年の宵山の吉田家屏風飾)




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表の間にて。

本日のテーマは「富岡鉄斎」。

鉄斎と言えば近代の人なのでなんとなく、なじみがある。幕末〜明治にかけての文人画家、儒学者。私は主に蓮月尼の元ですごした侍童の時代、彼女およびその人脈に受けた影響というのに興味がある。

鉄斎は三条衣棚あたりの法衣商の家に生まれたと言うから、まさにこのあたり、闊歩していたにちがいない。



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まずは吉田家から新町通りをまっすぐ北に約1km、歩いたところの便利堂さんへ、吉田さんを先頭にみなぞろぞろと。(三条富小路の便利堂のショップの場所とはちがうよ)
おりしもそちらで鉄斎展をされていたとか。すでに終了した展示を特別にみせてもらうことになったのだ。

便利堂さんは日本で唯一コロタイプ印刷の技術を残しておられる歴史ある会社(明治20年創業)
便利堂と鉄斎は実はご縁が深くて、彼の画集の印刷を受注し、家族ぐるみのつきあいであったという。展示には便利堂さんに鉄斎自ら贈った原画の他、自社のコロタイプ印刷で複製した作品などが。




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ここで我々、ちょっと鉄斎をはなれて、聞き慣れない「コロタイプ印刷」について興味津々。
コロタイプのコロはコロイド=ゼラチン、それの光による硬化性を利用した印刷技術で19世紀のなかばごろフランスで発明されたのだそうだ。

現代の一般印刷のオフセットでは、拡大すると網点という点々が見えるのだが、コロタイプは網点がなく実になめらか。見せていただいた鉄斎の特に水墨画はどうみても印刷にはみえない。
一番感動的だったのは、本物?と思った原稿用紙に薄い鉛筆で書かれた繊細で淡い文字が実は印刷だった!ということ。すごい技術だなあ。




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(コロタイプ印刷機械)



しかしながら、なぜコロタイプが廃れたか、というとその厖大な手間!!
オフセットに取って代わられ次々と廃業していく同業者、そして日本で(もしかしたらいずれ世界でも)唯一の便利堂さんは、コロタイプを文化財複製に特化して生き残っただけでなく、見直されつつあるその技術を伝えていこうという試みもされているとか。
ちなみにモノクロが限界だったコロタイプに多色刷りを開発したのも便利堂さん。

美術館の絵はがき屋さん、、、くらいにしか認識していなかったなんて浅はかだったわ。良い勉強になった。




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ふたたびてくてく歩いて吉田家に帰る。
ここは二階の板張りの間で宴会用につくらせたとか。ここにご当主のおじいさんが鉄斎に書いてもらったという「豊楽」の軸を拝見。鉄斎74歳の字。(鉄斎は89歳まで生きた)吉田家とも交流があったのだ。




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その9年前にお邪魔したときにもここの障子は猫用、あるいは猫が自分であけた穴があったのだが、やはり今もある(^_^;
あの時は猫自体もいて、廊下で昼寝してたっけ、、、と思ったら、、、、



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あはは、、、やっぱりいたいた。あの時の猫とは違うだろうけれど。
え?見えないって?では拡大して、、、



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うちのシェルと柄がいっしょ。町家には猫がよく似合う。(たぶん)

さて、ふたたび表の間にもどって、吉田家にある鉄斎の軸をいくつか拝見。

ご当主曰わく「鉄斎はきたない絵を描き、へたな字を書く。」よって江戸時代から続くような旧家は(杉本家など)鉄斎の書画をきらって、もっぱら四条円山派などの優美な屏風など所蔵しているが、吉田家のように日清日露戦争以降に台頭した新しい時代の商家の気風にはかえってマッチしたのだ。




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ご当主が子供だった時代には、おとなりの逓信病院は三井家の屋敷のひとつ、お向かいは(これは私も壊される前を知っている)松坂屋の大きな建物(↓)、新町あたりはたくさんの表家作りや小さな町家などが軒を連ね、そういう住環境で豊かな子供時代をおくることができた、とおっしゃる。



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(2007年私が撮影)



それがつぎつぎと町家は壊され、甍の一文字がびしっと並んだ景色も失われた。
この日も南観音山にあった大きなお屋敷(料亭)が更地になったのを知ってショックだった。昔の暮らしがなにがなんでもよかったとは言わないが、町並みの美しさはもう壊滅状態だな、洛中。悲しい。



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なんだか鉄斎の話よりコロタイプとか、洛中の町並みの話に流れてしまったが、吉田さんの講座はそれが面白いのだ。生きた洛中の昭和の暮らしを知ることができる貴重な講座である。

最後に鉄斎の「不言実行」の文字がかかれた盃でお酒をみんなで回し飲み、なんとか鉄斎でまとめてお開き(^_^;!





らくたび京町家〜旧西村家住宅 - 2015.09.24 Thu

らくたびさんは洛(京都)を旅する方の強い味方。京都散策案内、京都学講座の主催など京都の魅力を全国に発信している会社です。中でも「らくたび文庫」シリーズは私もずいぶんお世話になって、家に何冊もありますよ。



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そのらくたびさん、高倉通りに本社があったのを、今年初め高倉西入る蛸薬師に移転しはった、それも国指定登録有形文化財の旧・西村家住宅に!この日1日限りの一般公開、町家見学としておでかけ。



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玄関をはいったとこの玄関庭。井戸の井桁がまたすごい。

しかしながら一般の町家は表が店になっているのだが、ここは店ではなく住居(もしくは迎賓)としての家なので仕舞屋になる。商家の町家がミセの間に格子をもうけているのに対し、塀をめぐらせているので「大塀造仕舞屋」形式なのだそうな。町家のなかでは1割くらいしかないタイプとか。



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玄関の間からすぐに茶室へ。三畳隅炉か。
お茶を愛した当主が待庵を手本にしたという。(本歌は二畳隅炉)天井も化粧裏天井、網代、落とし天井と数寄をつくしている。



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茶室に面する露地は四畳半くらいの広さがあり、灯籠、蹲居も完備。亭主の位置から一番きれいな景色(露地)が見える設計。


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建物の真ん中を貫通する廊下は向かって右がプライベート空間(現在はらくたびのオフィス)、左が接客空間と分ける結界になっている。



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奥の座敷は八畳。奥の庭に向かってひろびろと開放感あり。特にいまは葦戸で襖などをとっぱらった夏座敷だからよけいに。



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上棟式のときにおさめられた札でこの家が昭和7年(約80年前)に建てられたものとわかる。

もともと西村家は京都の呉服屋の大番頭さんだった方のおうちだそうだ。現在のご当主は近所のマンションにお住まいというのも時代だなあ。3年前まで他人に貸していたそうだが、らくたびがかいとったのかな。とにかくつぶされずにすんでよかった。当節重厚な大きな町家があっというまにつぶされて更地になるご時世だから。悲しいことに。

(やはり相続税緩和などの措置が絶対必要だと思う。)



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奥の庭。

自然石に水が溜まるように仕立てた蹲居や、壁に埋め込まれた節付きの木の柱の意匠がおもしろい。正面は蔵。



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奥座敷からもう一間ある八畳間を経て、茶室の露地をみる。本日は赤い毛氈のところで茶席もあるのだよ。



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座敷の室礼。月見をテーマに。これは煎茶席風の飾り方だな。



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床の間の横の下地窓。藤蔓の絡ませ方がおもしろい。



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蔵と座敷とトイレ洗面所コーナーにはさまれた奥庭にはすてきな立ち蹲居もある。



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季節を写す蹲居。



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蔵。
中は会議などもできるスペースに改修されていた。



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蔵の前にちょこんといた御幣を持ったお猿さん。日吉大社のお使い・魔除け猿(神猿・まさる)だろうか。



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ここの洗面室も町家好きには萌え〜〜ポイント。よくあるじんとぎでなくて大理石の流しの簀の子の一部がガラス。そういえば昔あったな、そんなの。ここの右手にはまた萌える脱衣室まであった。



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階段から二階の天井をみると凝った舟底形天井になっている。



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蛸薬師通りに面した洋室にはマントルピースや一部色つきガラスの窓とかモダンな意匠もあり。
この正面のお家がかろうじてまだ町家(仕舞屋)なので眺めがよい。


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二階の座敷も数寄屋の意匠がいっぱいこらされていて、長押が丸太だったり(一階の長押は平)、欄間が東山三十六峰をあらわしていたり、当時の呉服屋さんの財力と教養、遊び心がすばらしい。



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二階には謎の小部屋(二畳)があり、なんだか妙におちつくんだが。



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聞けばこの東向きの窓から、昔は東山から登る月が眺められたそうな。そうか、観月の間だったんだ。残念ながら今ではおとなりのビルに眺めをふたがれているが。



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火袋フェチのはずせないポイント!走り庭とだいどこ。



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ここで茶道教室をされている先生による茶席があったのではいらせてもらう。文化財なので炭が使えないのが残念だが、お茶をそれぞれ点てていただいた。



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お菓子は栗。

こちらでは季節毎に茶会(「四季ゆるり茶会」)もあって一般参加(要予約)もできるようなので、機会があったら是非。

ちなみに直近では10月17日(土)、点心付きですってよ。



洛中の町家は絶滅危惧種で、中にはレストランなどとして生き残っている物もあるけれど、使い方をみるとなんだかなあ、、、と思うものも多くて、がっかりすることもあるけれど、ここはほんま理想的な新たな道を見つけられたしあわせな町家の一つではなかろうか。



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帰りに近くの栖園で琥珀流しをいただく。今月の蜜は葡萄でした。





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