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2020-04

其中庵様還暦茶事〜22会之内1 - 2020.03.30 Mon

宇多野に住まいされる其中庵さまの茶事、毎年ご自分の年に重ねてテーマを決めてされておられたが、とうとう昨年節目の還暦を迎えられ、還暦茶事をされた。なんと22会、招かれたお客様は160余名という秋から春にわたる一大茶事となった。



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私は昨年秋にお招きいただいたので、この茶事のお話しは実は約半年前、秋のモノなのである。なんで紅葉?と思われたでしょうが、22回おわるまでネタバレ禁止ゆえ、春になってようやく解禁というわけである。若干記憶があいまいになってはいるが、写真や会記をみながらふりかえってみよう。(季節によって内容は少しずつ変えておられると思うが。)



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この写真は今から8年前、光悦会デビューに勇んで行ってきた時の着物と帯。(気合いはいってる)この時と同じお召し物でおいでください、というリクエストがあり、???と思っていたが、なんでもすごい茶道具を手に入れたとお聞きしていたので、もしかしてこの光悦会にまつわる何か?という予感はしていたのである。



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(写真はもろ秋ですね(^_^;)


待合は珍しい池大雅の絵じゃなくて字、「遠看山有色 近聴水無声」。これをだれのものか一発であてた方がおられたとか、おそるべしなんだが、この言葉の意味がなぞなぞになっていて、これがわかった方がおられたらさらにおそるべし。


(答:=水墨画)

初座の床には其中庵さまがお好きな琳派の旗手・鈴木其一「蓬莱山図」で、めでたい。
七官青磁の鯉耳付き花入には白玉椿とカマツカの照り葉。



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(懐石はいつも端整な万惣さんの)


鐶付きが宮島の鳥居になっているユニークな名物宮嶋釜写しは12代寒雉。この本歌についての伝来をも初めて拝聴。
徳川家康が、江戸の上水路(神田上水)を見事に完成させた大久保藤五郎に「主水(もんど)」の名を与え、自ら水源の井の頭に出向き宮嶋釜で湯を沸かし茶を点て、釜は恩賞として下賜したという。
この柳営御物は後に鈍翁の手に渡り、彼は井の頭の水を取り寄せてわざわざ茶会で使ったと言うから、昔の数寄者ってほんとに好きねえ。と、限りなく鈍翁を尊敬する其中庵様にはぴったりの御趣向なのであった。

そして!呉須銀杏の香合が出てきたとき、ぴ〜ん!と来ました!(後ほど説明(^_^;)



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(紅白しんじょうの煮物椀)


小吸物にはいっていたのが野草のノカンゾウ。
このノカンゾウ、別名を「ワスレグサ」と申しまして、、、、これもまたお道具の伏線なのである。(これも後ほど)

石杯もたくさん出していただいて、相変わらず私は三島の杯に手をだしたのだが、このなかで一番高いのが、、、と教えていただいたのが桃山時代の黄瀬戸の四角い入隅の杯であった。胆礬がなく、もろ油揚、極渋。
酒器も珍しい根来の「指樽」。おそらく寺院で使われていたであろう平べったい四角の酒器で、一見、本(book)のように見える形。



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お菓子は時節柄、亥の子餅であったが、ちょっとかわった奉書をまるめたような形で中に柿、栗が入っている。柿、栗は、茶屋から、茶壺が茶家に運ばれるとき、柿、栗もいっしょに送られた名残であり、奉書はかつて宮中で下賜された亥の子餅は奉書で包まれていたからかな。(老松製)



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中立後の後座

床に清巌宗渭の一行「路従平処嶮 (人向静中忙)」(「禅林句集」)
、、、路は平処より嶮しく 人は静中に向かって忙し
よくわからんが、逆説的禅問答そのものかな。


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濃茶のお点前が、、、あ?唐物点前?堆朱の盆に載っているし、曲の水指、、、

茶入が、古瀬戸伊予簾手であるのだが、唐物と同等の格を持たせたという其中庵様のお気持ちであろう。そしてこの茶入、銘が「忘草」。
遠州による銘は「忘れ草 生ふる野辺とは見るらめど こは忍ぶなり 後もたのまむ」伊勢物語第百段から。私はあなたのことを忘れている(忘れ草)のではなくて、忍んで(シノブ草)おもっているのですよ。これからもよろしくね、、、くらいの意味か。



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これは2011年の光悦会の会記、実はこれに載っている古瀬戸茶入「忘草」そのものであった!(挽家・内箱:遠州 遠州・江月和尚両筆添幅 三井伊皿子家伝来)
その時の着物、帯で、と言われたわけがわかった。8年ぶりにここで再会させてくださるのに舞台衣装までととのえさせてもらえるとはなんとありがたい。これこそ今茶事のハイライトともいうべき一品。

ちなみにさきほどの香合・呉須銀杏も載ってます!!お見逃がしなく!



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濃茶茶碗はこちらでお目にかかるのをいつも楽しみにしている熊川「白菊」ほか、茶杓は遠州シリーズで歌銘「すみた川 井堰にかかる白波の たちかへるへき心地こそせね(源師頼)」
なんだか美術館クラス光悦会クラスのお道具にかこまれてぼ〜っとしてしまう。感覚が麻痺してこれが普通と思ってしまったらヤバイやばい(^◇^;)ありがたいことであるが。

濃茶の大山を越えて、薄茶はほっと一息、還暦の祝いにことよせて干菓子は金沢・森八の「長生殿」。お茶碗は高麗、楽、織部、鈍阿などなど普通の茶会ではどれも主役級なのでこれも普通と思ったらやばいよ。

其中庵さま、長い還暦茶事の長距離走、無事走り終えられてなにより。おつかれさまでした。そして次は古希にむけてますますお元気でおすごしくださいませ。



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帰りしなにいただいたお土産の箱に本日のハイライト「忘草」の遠州筆の忘れ草の歌が写されているのもまたゆかしいのであった。



家具屋姫さんのワンコイン「茶事」 - 2020.03.03 Tue


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播磨国の家具屋姫さんとこへ行くのは2年ぶりくらいだろうか。昨年は思わぬ悲しい出来事があって、ずっとお休みをされていた。



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他人が知ることの出来ない色々な思いが渦巻いておられただろうと思うが、とにもかくにもお茶をしようと思われたことに安堵する。



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家具屋姫さんのお茶はいつもとびきりユニークで、それでいてしみじみ心に残る。
コルトレーン茶会、JAZZ茶会、ホームレス茶会、、、なにより印象深いのが百均茶会であった。
最初は百均?まさか〜となめていたのに、実際いってみると、百均の道具とお手持ちの道具との境をまぎらかし、どれが百均でどれがそうでないか、全く区別がつかない。その上センス良く使われているので、すごくすてきな室礼になっていた。なめていてゴメンなさ〜いと思ったものだった。



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四畳半の茶室に席入りすると蝋燭がともされ、ちょうど利休忌でもあり、mourningの雰囲気も漂う。床にはブラックホールを思わせる作家さんの絵画、お線香が一本。
亭主と客が対面する形の流し点てで。一服を献茶とし、薄茶をそれぞれいただいた。



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この日の会費はワンコイン、それも某茶道団体へ寄付されるという。お菓子がうす〜い羊羹一切れです、というお知らせに、足りないかも、、と阿闍梨餅を買っていったのだが、無用の心配であった。うす〜い、というのは冗談で、しっかりした羊羹、それも日にちを測って、羊羹の表面に砂糖結晶の皮膜ができるかできないかの絶妙なタイミングでご用意くださった。



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お茶をいただいたあと、離れのすてきな空間にいざなわれる。こちらに入るのは初めてだ。小さなカウンターキッチンもあり、すべて家具屋姫さんの設計だというのにも驚く。


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暖かくなったので、使う必要はなかったが暖炉もあり、ここでおしゃれなグリーンサラダ、家具屋姫さん特製(これもあちこち食べ歩いて研究を重ねた)の粉もんをいただく。



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とても百均とは思えないグラスやお皿!おしゃれ〜♪

順序は逆であっても、これは立派な点心、だから今回のお招きは家具屋姫さん流の茶事であるな、と思った。これまでいろんな形の茶事をあれこれ楽しんできたが、また新しい茶事の形を体験させてもらった。

日々の暮らしの中では様々なことがおこる。一様に平坦ではない。そんな暮らしの中で、茶の湯もまた心の支えとなりうることを改めて感じた。

家具屋姫さん、御連客さま、ありがとうございました。



タライとたこ焼き〜仕掛けいっぱいの茶事 - 2020.02.23 Sun

昨秋タライラマ師の井戸茶碗「八重桜」様が根津美術館へ出発なさるにあたって(江戸の茶の湯展)壮行茶事に行き損ねたのを残念に思っていたが、ようやく半年ぶり、今度は八重桜様無事お帰りを祝う?茶事へ。


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しかも美味しくて愛してやまない神戸式たこ焼きが食べられるというたこ焼き茶事、朝から食事を抜いて気合いを入れてのぞむ。



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なんという僥倖!日ごろの行いであろうか、ぱらぱらと小雨!(こんなに雨が待ち遠しい茶事はよそではありえんけど)でるぞ、でるぞ!とわくわく、、、でた〜っ!タライの笠。こちらの名物になります。ちなみにタライラマ師の二つ名はこちらから(^_^;

それからの茶事はたこ焼きもさることながら、いろんな趣向、仕掛けが入り乱れて、それを読み解くのがたいへんであったが、それもまた楽しみの一つである。

寄付では山本由之の短冊、雪の曙の山の庵をよんだもの。本席では良寛さんの消息。
、、、、で、実はこの二人兄弟なんである。由之は出奔した良寛さんの代わりに山本家を継ぐハメになった人でのちに出家隠棲、庵を結び歌人となった方。これは心憎い。

待合で薮ノ内5代目・竹心(「源流茶話」の著者)の水仙の絵に孫の竹翁の添書。画賛に水仙が雪を厭うなら霊草の座を蘭にあけわたさないといけない云々。(これ伏線)前に置かれた李朝の小壺が雪を思わせてかわいい。(これも伏線)

炭手前では交趾大亀香合について、昨年こちらに招かれた茶道具研究の大御所のエピソードもまじえた講義を拝聴。(ちなみに淡交の雑誌「なごみ」最新号にこの大御所が、ラマ師のことを書いておられたので、是非ご一読を)



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さてお楽しみの懐石である。これにたどりつくまで小一時間、親鸞聖人御絵伝の絵解きを拝聴。ありがたやありがたや(ほんとは空腹で、、、(^_^;)
まずは胡麻豆腐と湯葉。向付は肥後の小代焼、小さい器は全員ちょっとずつちがう唐津(で伊万里を焼いている)の浜野まゆみさんのもの。



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お正客の鏡割り(何度もつかえるマグネット式樽!)のあと、いよいよ待ちに待ったたこ焼きタイム、、いや、懐石。



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このところすっかり定着した息子さんとのツインたこ焼き、食べ方はそれぞれ好きなように、ソースのみの大阪風、出汁のみの明石風、藻塩だけ付ける、柚子胡椒を付ける、、、



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だが私はソース+出汁の神戸風が一番好きで浮気はしないのだ。ちなみにたこ焼き器は唐津の矢野直人さんのもの。たぶん、、、本来は抹茶茶碗かと(^_^;
唐津と和尚様の絆は、唐津やきもん祭茶会の回を重ねてますます深くなり、よそ目に見ていてもなんだか楽しそうだ。



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薬味入れの小さい皿まで李朝だし、石杯はいつもこれを選んでいるところの刷毛目である。



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幼い頃から薫陶を受けて、すでにたこ焼きの技倆では父を越えた!とみんなが認める息子さんによる、父親のたこ焼きへの修正、指導も入る(*^_^*)

このたこ焼き大好きなんで、一体何個食べただろうか(本来の茶事の目的わすれてしまうわ)。出汁にも粉にも企業秘密?があるというが、一体何なのだろう???



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ほんのり紅の入った白梅が古唐津残欠の松の枝に咲いた。箸を竹にして松竹梅を完成させる当たりにくいね。


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中立後の後入りで、なんとなく待合の絵を見て通り過ぎる、、、と引き返す。右に絵があって左に竹翁の添書があるので同じ水仙の絵か、と思ったがよくよく見ると体裁は同じながらいつのまにか蘭の絵にかわっているではないか!水仙の賛に蘭のことを書いていたしな。白磁の小壺の代わりに青貝の白粉解。ここで令和のもととなった万葉集の歌もうかんでくるではないか。
梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香を薫らす、、、云々)



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後座の花は小さい種類の月光椿(雄蕊の唐子咲きが小さくて上品)と鶯神楽



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薮ノ内独特の霰灰

濃茶は、根津から無事帰ってこられた井戸小貫入「八重桜」様で。これは何度見てもよいなあ。内側のおびただしい貫入が満開の桜の花に似ていると思ったが、外側がほんのり紅色なのでこの銘がついたと思われる。
このたび根津で無事来歴旧蔵が判明したそうで、さらに重々しくなったが、八重桜様はそんなこと関係なく、軽やかに掌にのっておられる。毎回会うのが楽しみで、しかも何回も出会える茶碗はそうないので、これはほんとうにありがたいことだ。



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替え茶碗はこれも大好きな粉引である。(梅は鏡前の粉を披き、、、にかけて)雲岱里(うんでり)という粉引の古窯のものだということで、粉引の特徴を講義いただく。化粧土の上に掛けられた釉薬が高麗青磁に通じる緑っぽいのが特徴ね、メモメモ(すぐ忘れるが、、、)。

茶入が高取、銘を「曙」、寄付の由之さんの歌も最後が「雪のあけぼの」であったことを思い出す。



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薄茶はふたたび待合で
おお!これは!?

なんとティンカップキャンドル3個でお湯がわく、、というステンドグラスの炉であったか!



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薮ノ内にはないという茶籠の茶箱点前をご披露された。というのも古唐津のぐい飲みのいいのをお持ちで、いつかこれを茶碗にして茶箱を組む、と思っておられたところ最近よい小茶碗をいくつかさらにゲットされたとかで。
古唐津をはじめ、古伊万里のねじ紋杯、古瀬戸の麦わら手蕎麦猪口、、、私は好みのツボにはまる鶏龍山の杯で薄茶をいただいた。(そういえば「目の眼」最新刊のテーマが鶏龍山であった)

そして、よく見ると、、、ああ!あの白磁の小壺がいつの間にか薄器になっているではないか!



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(本日の役目を終えたタライたち)


あちこちに張り巡らされた趣向の仕掛け、全部は読み切れなかったような気がするが、なんと楽しい謎解きであったことか。美しいモノもいっぱい見ることができて(勉強もちょっとして)とてもうれしい。

計5時間半(ラマ師の茶事にしては短い方か?)飽きることなく楽しんで、今回はなんとか最終近くの新幹線にまにあったのであった。



阿弥陀寺で初釜2020 - 2020.01.15 Wed

日日居さんで薄茶の初釜
その次は社中の初釜
第三弾、阿弥陀寺で、花月の会でお世話になっているR水先生のお社中とご一緒に初釜(*^_^*)




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暖冬でどこか長閑な春のような一日
ここ阿弥陀寺は寺町今出川をあがったところにあって、信長の墓所になっている。(ちなみに大徳寺総見院には遺骨はない)もひとつ、森光子さんのお墓もあるのよ。



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ここの茶室からは大文字が見える。



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客5人で席入り、席次は恒例のくじ引きで。
今年はお茶を始めてまだ1年というご年配男子のお正客。もし正客にあったたらいかんと一生懸命作らはったというアンチョコがたちまちお役立ち。



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懐石はいつもフレンチが御得意な奥様が作られる。
今年も美味しい。向付のサーモンマリネのレシピをしりたいわ。



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プリップリの蛸のしんじょうは初めて。たこ焼きを彷彿とさせてうまい。


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お正客は目をシロクロさせながら「千鳥の杯が何回読んでもわから〜ん!」とぼやいてはったが、そこは先生の御指導で。別杯お持ちだしまであったので、ちょっと混乱しはったかもしれないけど茶事の楽しさはそんなところにもある。



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主菓子は松江・風流堂さん(若草とか山川作ってはります)の「かぶら」
中立のご挨拶が、これは私もよくかんでしまうのだが「ご用意ができましたらお鳴り物などで」。お鳴り物なんて日常生活でつかわないものね。お正客さんがんばれ!



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後座

濃茶は紹鷗棚にて。
これが出てくるのは1年に1回あるかないかなので、扱いほとんどおぼえていないから、とても勉強になった。

茶碗がいままで見たことがないような色合いの高麗で、なんだろ?なんだろ?と思っていたらさすが、陶芸家でもあるお正客さま、一目で見抜いて面目躍如となりました(^.^)(詳細はナイショ)
これは一から高麗茶碗勉強しおさんとイカンと私は思った次第。



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後炭も拝見して、薄茶の干菓子はめでたい七福神の落雁



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今年は十日戎に行き損ねたので、ここでえべっさんを選んだよ。



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二服目は全員で交代で点てて、初点てもできた。

ほとんど新人の(茶事デビューの正客デビューという、、)お正客さまを全員でわいわいサポートするのも楽しかった初釜だった。R水先生に感謝!



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恒例の福引きでは今年数寄屋袋を当てた♪
そろそろ今のが(母のおさがり)すりきれそうなので、これもありがたし。



(初釜シリーズはまだまだ続く、、、、体力と財力の続く限り、、、、(^_^;)



但馬の国で口切茶事2019 - 2019.12.05 Thu

そらいろつばめさんが呂宋の壺を手に入れられて初めての口切り茶事にお招きいただいたのはもう2年前になる。思えばお互いに忙しく、あっというまの2年ぶりの但馬の国である。



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秋色麗しく、そよ風でも落ち葉がちらほら音もなく落ちる。

寄付では私が初めてこちらの茶事によばれた数年前にかけていただいた服部嵐雪の短冊に再会。
嵐雪と言えば「ふとん着て寝たる姿や東山」の句が有名、その東山の麓に住む私への歓迎のお気持ちであった。当時お互いに変体仮名が読めなくて頭をひねったが、今では勝率6割ながらちょっと読めるように(^_^;



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(細かいタイル張りのベンチを腰掛け待合いに)


今回振り返ってみると、お茶事の楽しみをほぼ完璧に備えた茶事だったように思う。
おもてなしに関しては私が知る限り最高レベルのそらいろつばめさんご夫妻ならではの、ご夫妻だからこそできる茶事であった。



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腰掛け待合いから庭に出て、蹲居を使い茶室に入る。

ここのおうちは建築雑誌にも載った、キャパが100人という広間もあるアップダウンを上手に生かした素晴らしいお宅なのだが、茶室部分だけはご両親が暮らしておられた座敷をほぼ再現したものだという。



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本日のお正客は茶の湯44流派の比較検討した「お点前の研究」の著者H様ご夫妻(ほぼほぼ新婚さん)、先日宗偏流の口切りを見せていただいたA様、祗園祭宮本組を内側から書いた本を上梓され学生時代からお能を嗜むS様、そうそうたるメンバーである。(なにものでもない私(^_^;)



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本席にはお正客H様がご持参されたという新たなる御代を寿ぐ歌、脇床に小学生くらいの男の子がベルトに仕舞扇を挿して前傾の仕舞の基本ポジションを取っているお人形が!これはS様のお謡がきけるのでは、という期待に胸がふくらむとともに心憎い。



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京都まで壺を持ち込んで松籟園さんに碾茶を詰めてもらったそうである。今回濃茶は三種三袋、詰め茶(薄茶)はなんと五斤(3kg)。前回二斤で少なかったので増やされたそうだ。
御茶入日記をみんなで拝見し、お任せとする。



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そらいろつばめさんのルソンの壺は、御主人がNHKの「ルソンの壺」に出演されたのを機会に手に入れられた記念のもの、色は違うが唐物茶壺「金花」に釉薬のなだれがよく似ていてとてもよい茶壺なのだ。大きいので壺を入れる網も紐も特注での誂え品とか。



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そらいろつばめさんの懐石はいつも豪快だ。いつぞやは座を変えて炭焼きの分厚い但馬牛ステーキをだしてくださったこともあった。



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そして今回は蟹!!♪
しかも朝、津居山漁港であがったばかりの新鮮ぷりっぷり!
冷凍蟹しか普段食べていないので、この美味しさがしみる。みなさん無口になってひたすら蟹と格闘。

さらにご郷里の東北名物芋煮、これには但馬牛がたっぷり入って、私何しに来たのか思わず忘れそうになりましたわ(^_^;

お運びにはそらいろつばめさん以上にもてなし上手の御主人も手伝われて、ご夫婦で茶事できるっていいなあ〜と若干うらやましい。



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そしてお待ちかね、八寸のご馳走、S様のお謡。
季節柄「龍田」のキリを謡ってくださった。学生時代からずっとされているので、もはやプロ級、しかも体格がよくていらっしゃるので、すごく響くよいお声、100人入るおうちの隅々にまで響き渡ってすばらしかった!
これによってさらに茶事の楽しみが完璧に近づいたと私は思う。(もう二度と茶事で自分は謡うまいと思ったくらいレベル違う)



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主菓子は東京の女性がひとりでされている”あさ貴”さんの特注、本日お正客のH様ご夫婦へのお祝いの意味をこめて。中が栗あんで美味美味♪



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中立では広間で茶臼の挽きあいっこ。
実際濃茶に使われるお茶は別注だが、これもひとつの口切りの楽しみ。水屋でごりごり挽く音がご馳走と一説には言うが、実際挽いてみると上等の宇治石の臼はなめらかで全然音がしない。よってこの説はアヤシイ。



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そうこうするうち挽かれたお茶が少しずつ出てきて思わず歓声。



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(100人入れる広間です。すばらしい!)


後座では白わびすけとドウダンツツジの照り葉を。
めったに見る機会のない紹鷗棚のお点前を拝見、あれは格式高い感じがして風炉先代わりの江戸時代の古い屏風ととても雰囲気があっていた。

濃茶は「松籟」を選んでくださり、とても美味しい。
茶入がちょっとヨダレが出そうな高麗・粉引のころんとしたもので、銘も「玉椿」、遠州流宗家の先代宗慶さんの眼鏡箱があって、ずっとよりそって行きたい云々(おぼられません(^_^;)の歌が書かれ、ほぼほぼ新婚のお正客ご夫婦へのなによりのお祝いとなった。



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後炭もきちんとしてくださって、炉中を眺めるのは楽しみの一つ。
胴炭は大きかったが半分はまだ残っているのに感動。

薄茶の干菓子は同じくあさ貴さんの薄氷と花蝶。



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薄器にご郷里にちかい塩釜の風景を写して、これもさかなに話はつきぬ。

ふりかえって、茶事の楽しみの要素がすべてつまって、いずれも見事にされたそらいろつばめさんに感服です。御主人のお働きにも感謝。
席入りから5時間あまり、しかも京都へ帰るのに2時間かかることすら厭うことなし!で、ありました。




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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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