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2024-02

お江戸で大炉茶事 - 2024.02.18 Sun


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新幹線でお江戸へ向かう。今日は霊峰富士山も9割方姿を見せてくれた。


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おのぼりさんなんで、スカイツリーの勇姿もうれしい。しかし京急線に乗ったはずがいつのまにか地下鉄浅草線になってまたいつのまにか京成線になっているってどういうこと??東京の交通網はほんまようわからん。あれだけ私鉄たくさんあって、みなさん通勤通学に迷わないのってすごいわね〜。


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さて本日は東京の茶友Kさんが亭主をつとめる茶事へ。なんと大炉である。うれしい。
以前彼女の茶事へ東京へ来たのはもう4,5年前のことになるんだな、と懐かしく思いながらの参席。懐石方はおられるにしても半東無しで8名ものお客さんをおもてなし、足腰大丈夫かしら〜と心配しつつもガッツと体力の茶人、Kさん。
昨年は東博の日タイ友好茶会にお連れいただいたな、、、と調べたらあれ4月のことだったんだ。はやいな〜ついこの前のような気がしていたが。


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寄付には大徳寺真珠庵の和尚様からの絵入り「感謝 茶謝」のはがき。Kさんは真珠庵ともご縁が深い方なのだ。和尚様の漫画チック自画像がゆる〜くて、これは下手な掛け物よりはるかに貴重で値打ちがある。

茶室はお茶道具屋さんのビルの中とは思えない、ご覧のような露地、蹲居もある。(腰掛け待合からの眺め)


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こちらは広間の隣にある小間。以前(コロナ前)こちらのほうでここの道具屋さん主催の茶事教室、Kさんと受けたっけ。あれは何年前だっただろう。小間もビル中の山居でよい感じだった。


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大炉は裏千家特有のもので、基本六畳だが、今回は八畳で。ちなみに玄々斎が幕末、華頂宮を迎えるにあたって考案したという、普通の炉より4寸大きい炉である。厳寒の頃、2月に使われることが多い。灰の量が半端でないので、普通のお宅ではなかなか切りにくいもの。逆勝手でもあるので、お稽古では頭の体操的な点前になる。
特に炭手前は、羽根の使い方が独特で、灰のまき方も通常とは違い、2年に一回くらいしかお稽古しないので全然頭に入らん難易度高いものなのだ。


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今回懐石はお借りしたお道具屋さんのお母上が手作りされたものとか。しみじみと美味しくいただく。ご亭主がひとつひとつ楽しみに集められた石杯が楽しい。ミニミニ茶碗シリーズもあって、遠近感ぼかして写真に撮ったら絶対茶碗に見える黒織部、絵唐津、井戸などなど。
甘い濁り酒などもご用意いただきしこたま飲んだ。(今日は車じゃないからね^_^)
お酒のアテにと、真珠庵の和尚さん手作りの大徳寺納豆も山盛り。普通売られている物より発酵が進んでその酸っぱさがクセになるやつ。(たくさんいただきました)


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お客様方はみなさんご亭主と一緒のお社中であったり、茶事教室でご一緒だったり、とにかくお茶、お茶事好きな方々ばかりである。ひとりひとりお酒をつぎながらご挨拶にいそがしいご亭主。
東京の茶の湯事情、特に裏千家流は関西と少し違う気がした。一般に関西のゆるさがなくて、もっときちんとした感じという印象。基本に忠実というか流派の知識もしっかり。(私がゆるいだけ??(^_^;)


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中立
寄付の天井を見たら網代だけでなく籠の目もあって、(さっきから何回も言っているけれど)ビルの中とは思えない数寄のこらしよう。

後座
鶴首の花入れに白玉椿のほんわか膨らんだつぼみとトサミズキ?
三木町棚(江岑宗左好み 紀州家拝領の菓子箱で作ったとか)に、あれは宋胡録の水指ではないか。日タイ友好茶会を思い出すねえ。
茶杓が珠光茶瓢の写しか?(作者聞き忘れ)面白い形。茶碗も各服点でたくさん出していただいたが8人分全部点てられた。たいへんだったと思う。感謝。

濃茶が終わって、ここからがハイライト!後炭手前である。
後炭なくてなんの大炉?というくらい独特でわくわく。


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炭は炭斗に入れずに雪輪瓦の向こう側、炉中に入れておく。


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大きな焙烙を使って灰、炭道具一式と匙香。この灰匙の先、金属に見えるのはなんと共通の知り合いである粟田焼Yさんの焼物なんだよ。
初掃、炉中の炭を整える。良い感じに燃えて胴炭もきれいに割れた。焙烙をくるくる180°回して匙の香を炉中へ。そして灰をまく。180°また回して元に戻し、炭を釜をのりこえてつかんでついでいく。火箸をにぎりこみ焙烙の残った灰を雪輪瓦の向こうへ、最初は匙で最後はさあ〜と両手で焙烙をもって灰を流し込む。ここがいいのよね〜!最後に灰匙を流し込んだ灰の中につきたてておしまい。
お見事〜!

みんなの歓声があがったあと、最後の薄茶。こちらもたくさんのお茶碗、一番お気に入りはやっぱり日タイ友好茶会を思い出させるベンジャロン焼であった。一般的な金彩は使わずマットな感じで先だって其中庵さんとこで見たベンジャロンにとてもよく似ている。
干菓子も御縁のある秋田のもろこし、なまはげバージョンとか秋田犬?柴犬?バージョンとかこちらも楽しませてもらった。

日頃お茶の勉強に邁進されているKさん、茶事を主宰されるのは久々とのことだが日頃のご精進、むつかしい大炉の茶事をすてきにこなされました。お江戸まで来た甲斐がございました。ありがとうございます。そして今後もよろしくお付き合いくださいね〜(^o^)




筑紫の国で夜咄茶事 - 2024.02.16 Fri



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筑紫の国の茶事は二回目だが、今回は初めての夜咄である。よって宿泊予定にてはるばる九州へ。


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西鉄のアクシデントもありつつも、それでもご連客全員そろって席入り、篝火がむかえてくれた。
この篝火、茶事の間中お友達が絶えないように面倒をみてくださった。そんな事がお願いできる友人の存在にご亭主の人徳を思う。


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ご亭主の茶室は雀のお宿、「雀居」である。


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小間の茶室でもある待合には桃の絵が掛かる。おや、この灯火器はお雛様のお道具でみたことある。ほんまの菊置上の短檠ってあるんや。


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待合でしきりと湯気をあげる釜から、お詰さんが湯をくんで、くみだしとする。待合にまで炭を使われるのはタイミング的にも大変だと思う。(待合の火鉢でも私は苦労している、、、)


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腰掛待合には熱々の手焙りが2つも。これもまたふんだんに贅沢に炭を使っていただいてありがたいこと。(昨今の炭の値段の値上がりを知っている身にはよけいにありがたい)


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腰掛け待合で迎付を待つ。この建仁寺垣もご自分で組まれたモノ。竹藪のある山をお持ちだとのことで、竹がいつでも入手できるのはうらやましい反面、お手入れもたいへんやろな〜と。ちなみに右手の行灯の紙貼りもご自分で。DIYマイスター茶人だ。

正面の織部灯籠の灯火の勢いがすごくて、炎を上げて燃えて、入れていた障子まで焼き尽くすという、まさにご亭主の熱き茶人魂をここに見る。(たしか、魚の缶詰の缶利用の灯火器だったかと)

そして夜咄の醍醐味、手燭の交換をつつがなく。
ご亭主が、席に入る前に躙り口周辺の灯火器にひとつひとつ点火されていたお姿も風情があった。


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四畳半のお茶室の床には松花堂昭乗の軸。

  誰言春色従東到
  露暖南枝花始開    (和漢朗詠集)

作者は菅原文時(道真の孫・「陰陽師」ファンの方には「だすぅ〜のお方」(^_^;)
 
(誰か言う春色東より至る 露暖かにして 南枝に花(梅)初めて咲く)


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炭手前は高麗李朝オタクの私の為にご用意くださったお道具の数々。
堅手灰器(本来平茶碗っぽい)、高麗青銅灰匙、李朝火箸にご自分で竹の持ち手をつけたもの。
炭斗が「博多曲物」。東北では曲げわっぱというが、博多も曲げ物が有名なのね。

あと床の間に京都の茶友からあずかってきたという祇園祭神輿先導竹松明の燃えさしが数本。ご亭主は茶杓削りもプロ級なのだ。これで茶杓作って欲しいとたのまれたそうだ。

懐石の間も膳燭を惜しみなく、芯切りもこまめにされるのである。短檠も灯芯を7本使って、これ扱いが難しいのに、、、と灯火器マイスターの称号をさしあげたい。



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蝋燭の明かりにはガラスの酒器がよくうつる。あと、ほしいほしいと思っている垂涎の黒高麗の酒器をだされた時にはヤラレタ〜、、と。初期伊万里の杯もよかったな。


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主菓子は麩まんじゅうでそれぞれ菓子椀にいれていただく。丸くてころころ転がるな〜と思った黒文字はお庭の枝をご自分で削られた物。削りたてだからクロモジの芳香がすばらしい(これ好き)。


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中立をしようと躙り口をあけると、あたりはすっかり暗くなっていて灯火がため息が出るほど美しい。一体どれだけの灯火器をお持ちなのか。
ちなみに露地行灯の中の火は火屋付きランプである。蝋燭にしていて一度炎上したことがあるんだそうだ(^_^;


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腰掛け待合に座ってご連客と茶の話をし、灯火を愛で、このような場にいる今この瞬間が幸せなんだよね、という話をする。茶事がおわればまたみんな日常の暮らしにもどるから、今このわすかなひとときがまさしく一期一会、貴重だ。


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手焙りのこの目に見える熱量がおわかりいただけるだろうか。ほんまあっつあつ。ここまで手焙り熱くできたことがない。


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後座
障子に躙り口付近にぶらさげた灯火器の灯り。
床は払子とお多福のお面。(今日の客はお多福4人だからか?笑)

濃茶はお点前が奥様にバトンタッチして。井戸脇?御本呉器、塩笥、黒高麗(まさにかりん糖!)とこれまた大好きな高麗オンパレード。夜咄にぴったりな白い高麗白磁?の茶入、茶杓が細川三斎という。蟻腰、拭き漆、櫂先のカーブがなめらかでたまらん、華奢で細い。


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薄茶、でた!前もでて感動した複数の茶筅立て!(もちろんお手製)
濃茶を飲んだ後、茶碗に残った濃茶をお湯でうすめて薄茶点てするのに、各服になるように客の数だけ茶筅を使う手段。これほんまアイデアやわ。
しかも濃茶は星野茶園で一番高級な宝授を使ってくださっているからね。なおさら美味しい。

碁笥型の薄器は江州少林寺(守山市)の一休さんお手植えの木犀から削り出したものとか。(いくつかあるなかの一つか)
そして茶杓が先ほどの三斎の茶杓に似せた御自作。櫂先のカーブの再現がやはりむつかしいそうだ。それにしても今まで何本削らはったんやろ。

灯火器マイスター、夜咄達人、竹細工DIY茶人、、、、たくさんの称号を差し上げたいご亭主でありました。



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お開きになってふたたび入り口に戻ると、ずっとお世話をしてくれたお友達のおかげで松明はさらに赤々と夜の暗さに映える。
みたされた心で会を振り返り咀嚼し、今夜は筑紫で一晩お泊まり。ありがとうございました。




其中庵秋の茶事〜宗旦によせて2023 - 2023.12.23 Sat

(お許しでましたので遅めの其中庵さん開炉茶事の記録)

春先に「もしも鈍翁を茶事に招いたら」茶事によせてもらって以来、久々の其中庵さん茶事である。
今回はたっぷり宗旦にひたる茶事らしい。あれが出るかな?これが出るかな?とあれこれ予想大会しながら嵯峨野へ。


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開炉にあわせて新調された青竹の四つ目垣、柴折り戸がすがすがしい。

待合は芳中の画讃であるが、弘法大師の大好きなお言葉、「己の長を説くなかれ 人の短を言うなかれ」の一節。(本当は後漢の詩人・崔子玉の言葉を写したんやけど)

本席は広間だけれど小間仕立てにして。

床には宗旦の消息がかかる。(これだけで驚いてはイケナイのは後ほどわかる)
八瀬の紅葉を楽しんだあとに、その素晴らしさを漢詩と短歌にしたものが書かれている。宛先は不明。紅葉のことを「からころも(唐衣)」と表現、唐衣って杜若の季節だけかと思っていたが、たしかに錦秋もいけるわね。

弥五郎の織部好み筋釜、炉縁は炉縁界のエルメス久以。
いつも拝見している唐物脛当炭斗であるが、今回「茶屋四郎次郎所蔵」というのにひっかかる。だって大河ドラマ「どうする家康」で勘九郎が演じているのだもの(^_^;あの顔が浮かんでしまった。

香合がこれも懐かしうれし、呉須銀杏。型物香合番付にも登場する、また香合の本にも載っているまさにそれ。これは私が光悦会デビューした2011年のその光悦会東京席にでていたそのものなのですヨ。↓


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数年前に其中庵さんが入手され、ご披露の茶事で、光悦会デビュー時の着物帯でおいでくださいとのご指示のを受けた思い出も。今回帯だけ当時の物、またまた感激の再会なのである。



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今回も中尾さんのザ・懐石をいただく。
向付はそれぞれ模様がわりの金襴手、中国明代の、格が一番高いと言われる磁器である。私のは赤玉瓔珞紋。(よく古伊万里で写しているやつ)
折敷も利休好みの角不切。


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ふわふわのしんじょう。

焼物、強肴の器も一線級をだしてきはった。
古備前の沓形鉢、天龍寺青磁の鉢、(大好きな)鼠志野の皿。


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お菓子がお善哉かな〜と思っていたら、その逆。小豆の中に餅がはいるのでなく、餅に小豆をかけてある。あんころ餅をいただいているような気分でかなりお腹一杯。


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中立の待合
さて、其中庵劇場はこれから!

待合の軸が変わっている、、、と近づいてみると、これも宗旦の消息、最初の「竹の花入れ、、、」の所しか読めなかったが、それだけで十分であった。これ、本席で、出るぞ出るぞ〜!とテンションあがる〜。

後入り
床の間に出た〜!
宗旦手作りの竹一重切花入。何本かの割れは黒漆で繕ってある。入っている花は白玉とハシバミの照り葉。花を入れる穴は自然に空いた穴のようで不整形なのがまた侘びてる。

先ほどの消息の大意をいうと「竹の花入れを作りました。銘を『天晴(あっぱれ)』とつけましたのでおおさめください。また時間があるときに是非お茶飲みに来てね」
宛先は詳細不明ながら宗旦と仲良かった茶の湯友達らしい素閑老人。

雨が降れば風情あるからお茶飲みに来てね
雪が振れば面白いからお茶飲みに来てね、、、

そんな関係の茶の湯友達って私の理想、だからうらやましいぞ、素閑老人。

この花入れは今回初登場、この消息があってこそさらに物語性も価値も上がる、感動も大きい。これが今回の茶事の醍醐味でありました。
まさに「あっぱれ!」と叫びたい。



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(干菓子:亀岡楽々でもよくいただいた、八つ橋の生と焼いたのと混合紅葉 盆は鎌倉時代の黒根来)


濃茶茶碗は金海、茶入は唐物「唐衣」、初座の消息にあった歌にかけてあるのね。
薄茶は、いつも大好き大好きと公言してはばかってないので、毎回出してくださる熊川「白菊」さんで。他にも遠州流の方には高取(遠州七窯の一)、宗入赤、三玄院天目(仁清)などなど。
これも大好き大きな円座みたいな竹の蓋置、銘もそのまま「円座」by杉木普斎。

薄器がまた良かった。何回か見ているはずだが、こういう文脈で見るとまた違う感動がある。初代一閑の棗で蓋裏に黒漆で「咄(宗旦花押)」ちょっと鳥肌。

最後に濃茶薄茶で使った一対の茶杓、並べると左右対称スキー板みたいに見えるこれはなじみがある。覚々斎原叟の「伯夷叔斉」。如心斎(表千家)と一燈(裏千家)兄弟の父であることも象徴的だが、この中国古代にでてくる兄弟の有名な逸話から、宗旦は「元伯」を号としたのでは、ということを其中庵さんは熱く語って茶事はお開きとなった。

今回は花入+消息にヤラレタ其中庵劇場、あっぱれ!
ありがとうございました。






時雨の夜咄茶事2023〜速水滌源居 - 2023.12.05 Tue

茶道速水流家元のお宅である速水滌源居、北野天満宮、平野神社のご近所である。


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今宵はこちらで夜咄茶事、<時雨の茶事>である。
初めて時雨の茶事に参席したのはコロナ禍渦中の2020年、3年前であった。途中でほんとうに時雨れてきて肌寒い日で、客も3名という(4名中おひとり気分不良にて)理想的な夜咄であった。今年久々に参席。


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門を入って露地行灯に導かれるまま、奥へ奥へ。幽玄の世界の始まり。(いや、これだけの蝋燭をつけるのはさぞお手間であったことだろう)


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最初の席入りは手燭の交換から。
まったく電灯を使わないので、露地も真っ暗、足下も手燭だけではちょっとおぼつかないくらい。ただし、十四夜の月が明るくてありがたい。昔の人の月への憧れがなんとなくわかる。

広間にて初座
本日はお客さん5名、正客様、次客様が本願寺派のお坊様。
座敷も短檠と手燭だけなので、目が慣れるまではおぼつかない。

手燭の灯りで見る掛け物は光格天皇の弟宮・聖護院宮盈仁親王(えいにんしんのう)の漢詩。

流祖速水宗達は、裏千家一燈の弟子、もともと御典医の名家出身であり、茶の湯の研究をした学究肌の人であったため、盈仁親王の茶道指南を通じて、お茶を愛した光格天皇(18世紀 朝議朝権の復活に熱心であった)の支持を受け、御所風の茶風(襲の色目の帛紗なども)を確立していった御家である。


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炭手前で、釜を上げると見える炭火が暗い座敷では頼もしい。釜は「滌源居」の鋳込みがあり、流祖の頃から使われていたという釜。
羽根が野雁であって、よく見ると虎縞、、どうも宗匠はタイガースファンらしい(^_^;(のちに虎柄の備前酒器もでてた)
光格天皇から仁孝天皇へかわる大嘗祭で使われた建物の古材で作られたという、さすがの香合、ぶりぶりで、花食鳥蒔絵。これも暗い中で扱うので要注意。


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懐石の時には思いっきり膳燭をだしていただいたので明るく。膳燭には50号くらいの大きな和蝋燭、これは迫力あって明るい。お酒は白酒(しろき・大嘗祭に使われるお酒になぞらえて)、宗匠はお酒がお強い。八寸の時など千鳥でだれだけきこしめされたか(^_^;


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(画像は3年前のもの)


最後に川端道喜さんの「雪餅」を食べて中立。
宗匠から建仁寺の茶会の時に「道喜さんではお菓子は黒文字を使わずに手で食べて欲しいといわれている」とお聞きしているので、手づかみ。黒文字でぐちゃぐちゃにつぶすよりはスマートだと私も思う。(きんとんなどは別だが、、、)


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中立の時には奥庭の前にある四阿の小間茶室にて待つ。3年前はこのときに時雨れてきてとても寒かった。この小間にともされた瓢の灯りと煙草盆の火入れの火のあたたかさ(視覚的にのみだが)がありがたかったことが忘れられない。
今年は寒さはましである。四阿の暗さと庭の遠慮がちなライトアップ両方を楽しんで、銅鑼の音を待つ。


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後座の花は竹一重切(流祖だったか?)の花入に椿、ハシバミ。
炉の火は赤々と。濃茶は久々に回し飲みの一碗、白っぽい古萩である。茶入は宗達箱の黄瀬戸、これも白っぽいので、暗い中に映える。

そして本日の主役、「しぐれ」の茶杓である。
この茶杓は、流祖宗達が削り光格天皇に献上、その茶杓が巡り巡って堂上家の一つ、勧修寺家へ、そして勧修寺家より「時雨」の銘と和歌とともに速水家に下賜、戻ってきた茶杓なのである。
蟻腰、長年の使用でつやつや、結構男前な茶杓であった。天皇さんの手にも触れたと思うと感慨深いなあ。

続き薄で使われた薄器は竹製で、蓋裏に花押、蓋表面に楓の漆絵。描いたのは本願寺の大谷尊由(明治〜昭和)、ここらへんお正客様次客様を意識。尊由はかの有名な大谷探検隊の大谷光瑞の弟になる。

かくして暗い座敷で各自御礼をのべてお開きとなる。
ああ、やっぱり夜咄はいいなあ。電灯に慣れた目や生活習慣では思いもつかないが、きっと昔の人は暗闇はこわかっただろうし、蝋燭の明かりは影が多い。灯火で見る茶道具もまた風情があるのである。

滌源居を辞して外に出れば22時ごろ、中天に上った月がいかにもさやけき、と言い表したいくらいであった。






宇治縣神社〜藪内の茶事2023秋 - 2023.12.02 Sat



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年2回春と秋の薮之内の若武者の茶事。
恒例のお楽しみになっていて、もう宇治へのドライブもナビいらなくなった。(初期の頃よ〜く道間違えた)


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縣神社の奥にある露地の木々も少し遅いながら紅葉。


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前日のお掃除も大変だったと思うが、きれいに清められた蹲居を使って席入り。


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茶室・棠庵(とうあん)は薮之内十二代・猗々斎(先々代)作。 
点前座がほぼ燕庵である。間取りは三畳台目+相伴席の燕庵に遠慮して四畳半+台目、毎年藪内流家元による献茶式がおこなわれる格式ある茶室。


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上下2つの下地窓を通した光がを背景に点前する姿は美しい。

今回ご連客の中に薮之内の家元でお稽古されている方がいたので、いままで疑問に思っていた所作の数々をお聞きできて良かった。
一番流派バリエーションのある炭手前で、ついだ炭の一番上に置く枝炭を、釜の底でぐりぐりして割る、というのを不思議に思っていたが、粉にして火の通りをよくするためで、寒い時期には盛大に、暖かくなると遠慮して少し、というのがロジカルであった。
あと炭の置き方は三方向の導火線になっていることも。いままでなんとなく自流と違うな〜と思っていたことに見識をあらたにできた。

弾きの織部香合はよくあるが、4つの小さい足がついているのは初めて見た、と思ったら、薮之内の家伝の形なんだってね。初代剣仲は織部の義弟になるから、これが本歌か。


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懐石は広間にて。
広間においてある茶壺の紐の結び方が独特。これは茶壺の中を使ってしまって空になったときの結び方なんだそうだ。


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元々、男子ながら懐石つくるのお上手だったが、奥様が懐石をされるようになって、さらにバージョンアップ。向付のキンメのお造り見た目もお味もとても結構。


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自分が作るとどうも中まで火が通らず生くさい蓮根餅も、美味しい。コツを伝授してほしい。白髪ネギのあしらいも。


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同じく宇治の興聖寺で陶展中のいつもつるんでいる茶友さんたちと一緒の席だったので、ほんま楽しかった♪

ちなみに陶展の様子はこちら。↓

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老松さんのきんとん「錦秋」をいただいて中立。


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後座の床
ちなみに給仕口は広間に通じるショートカットになっていて、使い勝手が良い。

特筆すべきは水指、唐津のゆがんだ片口なんだが、この片口に合わせて立体的に作られた塗り蓋。よくこんな3Dに作ったね〜と感動。
濃茶は茶入が一入の「冠者」。薩摩に似たイメージで、耳付なところが太郎冠者の棒しばりみたいなイメージだからか。茶杓は宙宝の「千秋」。各服でいただいたお茶碗はきれいな枇杷色の御本茶碗であった。


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薄茶はまた席を改めて、今度は水指が古清水の透かし彫りのある二重になっているやつ。お茶碗にも古清水がでていて、この時代の京焼はしぶくていいねえ。(辰砂が高価だったので、赤色がほとんどない)

香合が狸香合で??と思ったら、ご亭主、学生の頃興福寺・宝蔵院隆槍術をされており、伝統的に正月の初稽古の時に狸汁をふるまう<狸汁会>というのがあって、それにちなんでとのこと。ちなみにいつの頃からか、狸のかわりにコンニャクを使うようになったそうである。(そりゃそうよね、お寺で生臭はアカンし、狸の肉は超くさいらしいし(^_^;)
下に敷いた唐草模様の古帛紗は○ザワヤで買った布でみずから仕立てはったそうだ。なんでもできるんねえ。


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(紅葉の季節のコーディネート?)


薄器は女郎花の蒔絵の棗であるが、女郎花は流派的に大切な花とかで、薮之内中興の五代・竹心のお好みだそうだ。黒い中にすっと一本立つ金蒔絵の女郎花の風情がよろしかった。

今回も薮ノ内流に関して学ぶこと多々、なにより楽しい和やかな一会、感謝である。





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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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