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2023-06

高麗・李朝偏愛茶席〜上京区・妙覚寺〜なごみ青嵐茶会 - 2023.06.02 Fri



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不審菴、今日庵にもほど近い場所にある日蓮宗古刹妙覚寺、信長の京都の定宿でもあったお寺さんでこのたび御縁あって茶会を。


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方丈の前のこのしたたる緑、苔もなんと美しい!ほとんど水やりをしてないとご住職はおっしゃっていたが、それでこんなに苔が美しいのか!とわが庭の苔のメンテに苦労している私は思うのであった、、、


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お世話になっているY様(一年に1回のなごみ茶会主催〜いつもは東京、今年だけ京都)がここで茶会を開くにあたって、二席中一席はどうか?とお声がけいただき、下見に来たのであるが、お寺のどの部屋を使ってもらってもOKというお寺さんの太っ腹。
私はこの風の吹き抜ける玄関の座敷が一目で気に入った。



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しかも円相窓があって、ここにも美しい苔とお寺の庭から発掘?されたという大黒さん、これを背景にお茶を点てたい!と思ったのであった。


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準備として前日にもうお手の物となった(釜を釣る)竹の三脚を作る。青竹はいつもの植木屋さんにお世話になる。


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かくして点前座完成。
軸は白隠の遠羅天釜の釣り釜の画讃なので、その釣り釜を借りてきました、、、という妄想的室礼にて。
舟板にのせたのは李朝鉄火鉢、井戸水指、、高麗・李朝偏愛茶席の始まり。


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開け放った玄関にはアンティークチョガッポ(朝鮮のパッチワークの風呂敷 裏にも表にも縫い目が出ない手間のかかった手芸)を。これは4月にうかがった唐津旧大島邸茶会のM師の室礼にアイデアをいただき。(M師は李朝愛にあふれているこの道?のご先達)


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Y様の席はこの縁側、庭園の緑を掛け軸に、というご趣向、ここに座ってお茶をのんだらさぞ美味しいだろうなあ、、、と思いつつも、10席約140名のお客様に自席のことでせいいっぱい、のぞくこともかなわなかったのが悔やまれる。


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さて、自席
李朝と高麗ものを限りなく愛する故に暴走する私をだれも止められない(^_^; 中には興味のないお客様もおられたと思うが強引に押しつけてゴメンね。



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花入は高麗青磁〜三島過渡期の徳利、ちょっとかしいでいるところがむちゃ好み。朝鮮の卓であるソバン(小盤)にのせて。


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花はこのお寺の近くの花・谷中さんで前日もとめた、釣り鐘鉄線と木イチゴの葉。


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煙草盆は李朝の硯箱の懸けごを利用、なにげに紛らした伊藤明美さんのくみ出しを火入れにしたが、みなさんホンモノの狂言袴と思ってくれたみたい(*^_^*)灰吹きは李朝の煙管やすめ。
(火入れの灰型は、本当はお客さんできてくれた茶友さんがお手伝いしてくれて作ってくれた。ありがと〜)


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これが今回の秀逸、お菓子である。
今回初めてやなぎのにわ京菓子店さんにお願いした。意匠を考えるときに「トクサル(韓国の餅型)の文様をうつすのも面白いですね。」のご提案をいただき、ちょうどトクサルを蓋置に使う予定だったので食いつく。右上がそのトクサル。これは試作品をいただいた時の物。

(*ちなみにやなぎのにわさんは店舗はありません。毎月25日天神市の日に上七軒でサロン開催中)



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李朝白磁の祭器に盛ったところ。餡を漉し餡から白あんに変えてもらって、スダチを練り込んでもらった。爽やかで美味しい〜♪

最初にお菓子をだして、この模様がなにか当ててくださいと出題、最後に答えあわせ。蓋置はかくれているから正解者はゼロ。まあ、ちょっと難しいよね。


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李朝の四角足付き盆にのせたのは近左の独楽香合。
なぜ独楽香合を使ったでしょう?これも出題。

高麗は昔<こまの国>と呼ばれていたから。これは正解者1名!さすがの才女、M女史でありました。

(雅楽で右方になる朝鮮系の楽舞は高麗楽=こま楽とよばれている)



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茶碗は7碗、高麗茶碗をそろえた。(あとは数茶碗でごめんね)
一番の目玉はほとんどお皿!の来賓三島、あと高麗青磁〜粉青沙器〜李朝白磁への歴史を熱く語ってしまった。ご迷惑だったかも、、、(^_^;

今回Y様チームの横浜のお茶人さんとそのお弟子さん、チームの方々に水屋をまわしてもらった。初めてのチームなのに意思疎通がスムーズ、おかげでお茶点てとしゃべりに集中でき、バックをまかせられるってほんとうにありがたいとしみじみ。(手が足りず大変だったことと、、、)


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10席終えて、ほっと庭の緑に癒やされる、、、(そのあとに地獄の撤収作業、、)

こんな機会をあたえてくださり感謝、そしてお客様、水屋の方々、ありがとうございました。
楽しゅうございました。(翌日仕事で半分死んでました、、、(^_^;)




大覚寺舟遊び茶会again〜5年ぶり - 2023.04.12 Wed

大覚寺望雲亭にて舟遊び茶会をしたのはなんと5年も前!だった。あれは秋だったので、大沢池畔の桜がきれいと聞いて、今度は春にしよう、と計画してお客さん募集までしたのが3年前、あえなくコロナで中止に追い込まれた。


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そう、あれから3年、満を持して?ようやく開催の運びとなった。


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望雲亭は小間、広間いくつか、八畳のお稽古用茶席3席(多分)を擁する眺望抜群のお茶の施設で、月釜も隔月ひらかれているのだが、せっかく整備した小間を使う人がいなくて、5年前、光栄にも私にお声がけいただき初使いさせていただいた。


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今回は前と少し趣向を変えて

小間→濃茶
舟上→薄茶
大広間→煎茶   +持ち帰り点心


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待合の広間はこの大沢池を見るベストポジション(宝塔が池越しに見える)、ここを待合に。
諫山宝樹画伯(売り出し中の日本画家お友達♪)に描いてもらった謡曲「桜川」の名場面を掛け物に。(桜川でシテが網で桜の花びらをすくっているところ)


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<謡曲桜川>
日向国の貧しい母子、母を楽させようと子供の桜子は人買いに自分の身を売る。それを知った母は貧しくとも我が子なしで、どうしてしあわせになれようか、と半狂乱で子供を探してたずね歩く。遙か故郷遠く、常陸の国の桜川のほとり、おりしも桜の花びらが川にうかぶ。それを母は網ですくうが、「この桜は木の花、わがさがす桜子ではない 恋しい」と狂ってみせる。その噂を聞いてやってきた僧侶とその稚児(実は桜子)、そこで母子と気づいた僧侶により親子は再会をはたし、ふたりして日向国へ帰っていく。



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またその下に華籠、5年前も使った藤原公任の百人一首の札
「瀧の音は絶えて久しくなりぬれど なこそ流れてなほ聞こえけれ」

名古曽の瀧はこの大沢池の畔にあった嵯峨院の遺構、今は跡しかないが、公任の頃はすでに枯れていたのでこの歌が。(ちなみに大沢池も瀧も嵯峨院が作った人工のものであります)


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待合から小間の濃茶席へ。


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この望雲亭を整備し、大覚寺との御縁をむすんでくれて、この日は舟の船頭もしてくれた植木屋さんが、蹲居に一輪の椿を投げ込んでくれた。これだけではっとする景色になる不思議。


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船底天井の小間(二畳台目向切+相伴席二畳)は障子を開け放つと目の前に大沢池と薄茶席の舟が見える。茶室自体が池にこぎ出す舟のよう。障子を閉め切った濃茶席のあと、障子を開放するとぱあ〜っと広がるこの景色にみなさん歓声をあげてくださった。(私の手柄ではないが(^_^;)

しかし、この小間、前回私が使って以来ほぼ使われていないとかで、炉壇の灰が石みたいにカチカチになっていて(゚Д゚)。皆さん、使って茶会されませんか?(^_^;


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軸は江月の「虗(虚の異体字)」に松花堂の舟の絵で「虗舟=空の舟のように、とらわれることのない心」
下に桜川の桜を模した水盤。ほんとうは大沢池の桜を花に見立てたかったのだが、残念ながら桜〜〜葉っぱになってもうありません、、、(^_^;


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これも5年前に使った櫂の香合(岩渕祐二作)、練香には使えないが、ここで使わねばいつ使う?とひっぱりだす。下の古帛紗は有栖川文様、大覚寺を流れる川が有栖川で、煎茶席の大広間にある椅子とテーブルセットは有栖川宮下賜のものゆえ。


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脇床の柄香炉にいれたもう一枚の百人一首は陽成院
「つくばねのみねよりおつるみなのがわ 恋ぞつもりてふちとなりぬる」

みなのがわ(男女ノ川)は筑波の国の桜川の支流、まさに謡曲の舞台なので。

茶杓が名古曽の瀧にちなんで銘を「瀧の音」。瀧の音は絶えてひさしくなりぬれど、、、


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向切点前は普段しないので、前夜付け焼き刃で練習したが、一席目はボロボロであった(T-T)
しゃべりも安定せず、ごめんなさい〜〜。
ここの小間は洞庫(水屋に通じる)があって、ほんとうに洞庫って便利!と実感した次第。


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お菓子は和菓子店青洋さんと相談して流れる水のイメージで作ってもらった、ういろうと桜餡のお菓子。「桜川」という銘にした。菓子器は李朝白磁。


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小間から舟へ。
お見送りの水屋。


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これは朝の試運転の時の写真
桜がちらほらかすかに残る景色、この日が雨にならぬことをどれだけ前から祈っていたことか!
前日の荷物搬入は土砂降りだったし、、、


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朝方曇ってはいたが、なんとか雨にはならず。しかし、全部で五席であったが、そのうち一席は濃茶の最中に大ぶりの驟雨、どないなるか舟はあきらめか、と点前しながら心で葛藤、舟にのりにお客さん来てるし、、、



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そこは水屋の連係プレーで先に煎茶席にはいってもらい、雨が通り過ぎた後、なんとか乗舟してもらうことができた。信頼できるバックがいるってほんとうに心強いものだなあと感謝。


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その後も小雨がふったり晴れたり落ち着かない天気だったが、後半強風が雨雲をふきとばしてくれて青空が見える。やはり水面の景色は晴れの時に美しい。


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ただし、突風が吹いて小間の障子を数回ぶっ飛ばしてくれたのには参った参った。
舟上の薄茶席亭主は師匠とその茶友さんにお願いした。つーかーのチームワークである。薄茶席については、最終席で乗船させてもらったので後ほど。


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しかし絵になる大沢池の舟遊び、お寺の本堂から観光客がさかんに写真を撮っていた。


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最後の煎茶席は大広間にて。
こちらが有栖川宮下賜のテーブルセットである。さすが重厚。今回このテーブルが伸縮可動式ということを初めて知った!昔の家具職人すごい。


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煎茶は、よく下鴨・K美術で煎茶席をもたれる小川流のOさんにお願いした。小川流のお茶は滴々、ほんの1,2滴のお茶で、初めての人はびっくりしはる。煎茶席自体が初めての方もおられて、楽しまれていたようだ。(のぞくひまがなくてごめん)
こちらの席のお菓子は上七軒本店でしか買えない老松の大和橘、砂糖漬け橘の実の中に餅が入るほろ苦菓子、あとを引く。



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さて、最後の席、舟の薄茶席にお相伴させていただいた。
(その間必死に後片付けしてくれてた水屋さん、ありがとう〜〜)


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師匠の席のテーマは、松平不昧公と姫路藩主・酒井宗雅の茶の交流の逸話。
互いの参勤交代の途中、東海道見附宿で二人は邂逅する。不昧を尊敬する年若い宗雅をもてなすのに不昧は茶箱で茶を点て、お菓子に振り出しにいれた金平糖をだした、、、ということから舟上茶箱点前、そして振り出しにはいった金平糖。


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もう一つのお菓子は宗雅の姫路の銘菓「玉椿」
お点前は前日海外在住で臨時帰国したばかりの師匠の茶友さん、学園卒でさすがにとてもきれいなお点前。


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師匠の語り口は談志を尊敬するだけあって落語家並みに軽快。
そして晴れた空にこぎ出す舟の上は少し寒いくらいであったがなんと爽快!とりあえずお客さん全員、舟に無事乗られてよかった。


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舟上は火気厳禁なのでお湯はポットで。


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茶碗はこの日の為に(ほんとうは3年前の日のために)水屋もてつだってくれた若手陶芸家の生華窯・浅井慶一郎さんに頼んで焼いてもらった、お茶を飲んだら底に桜川の網がでてくる数茶碗(ちなみに絵付けは待合掛けと同じ諫山画伯)


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最終席のお客様だったイギリス人のS先生(遠州流)に桜川のクセの部分(”桜川の波かけて、、”)をおしえてもらうなど(私はキリの部分しかしらない、、(^_^;)まだまだ勉強不足ですわ。


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最後の舟も帰り、とうとう舟遊び茶会お開き。

水屋総勢16人、抜群のチームワークであった。
濃茶席の水屋は日頃お世話になっている若い方ばかり、ほんとうによくおつきあいくださりよく気働きしてキビキビうごいてくれて感謝しかない。
一つの目標に向かってみんなで力を合わせてなにかを成し遂げる時間のなんと貴重で幸せなことか。それは子供の頃からよく知っている。終わるのがもったいなくて寂しくなるくらい楽しかった。準備大変なことも多かったがすべてぶっとぶくらいに楽しかった。名残惜しい。

そしてなにより舟遊びにおつきあいくださった51名のお客様に深く感謝いたします。
3回目あるかどうかわからんが、またおつきあいください(^_^;



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最後に水をイメージした着物に舟の帯を締めたが、気づいてくださった、お客様、ありがと!




東山山麓某所の月釜で七夕茶会掛釜 - 2022.07.12 Tue



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雨上がりで蒸し暑いながら緑がきわだつ某お寺さんでの月釜、七夕の釜、掛けさせていただいた。


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寄付で笹に短冊(花入れは某氏よりお手作りを拝領)五色
その2枚に
   「飛流直下三千尺」
   「疑是銀河落九天」
 
李白の七言絶句「望廬山瀑布」の後半、この謎解きは席の最後までお預け。


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待合に耳盥にいれた梶の葉(うちの庭にわさわさ)
ほんとうは角盥(水をいれる)にしたかったのだけれど、なかなか見つからないのだ。ちなみに耳盥はお湯をいれる。


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その盥の上には竹の三脚をたて、自在の釘をつるす。けれど釣る釜がない、、、、??と思っていただいたら大成功である。答えは本席で。


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待合で食べていただくのは、索餅を模した形の求肥に爽やかな夏みかんジャムを使った和菓子。和菓子店・青洋さんにお願いして、試作を作ってもらい決定した誂え菓子である。(露打ち、水屋さんがきっちりしてくれた)

ちなみに索餅は中国から伝わった唐菓子で素麺の原型といわれ、起源となる神話があって云々、、、と席中で講釈をたれてみる(*^_^*)



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さて、本席、数寄者の達人さんは「おお!こういうことか!」と席入りの時、水屋に聞こえるようにおっしゃる。これが数寄者の心得の見本(*^_^*)
待合の自在の先にあるはずの釜はこちらの軸に。白隠の遠羅天釜(おらでがま)画賛。
「おらで釜自在天までつり上げて雲の上にも茶をや煮るらむ」
雲の上で織り姫彦星もお茶してるかしらね〜の意味もこめて。



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当代の諏訪蘇山さん、宗哲さんの姉妹コラボの瓜青磁水指は、、七夕にしか使えないけどお気に入りである。ちなみに瓜を縦割りしたために一年に一度しか天女に会えなくなった男の中国の神話もある。これは縦割りの瓜の形。


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お点前はすべて自分でさせてもらった。(さすがに終わりかけには膝が、、、膝が、、、)
夏は暑くてあまりお茶をしないので、高麗茶碗の平茶碗が少なく、お皿みたいなのもひっかき集めて高麗ブラザーズでそろえたが、主茶碗は点てるのに超絶技巧を要する(ほんとはそれほどむつかしくない)ほぼ皿!の茶碗。むしろお客様の方が飲むのに超絶技巧を要するかも(^_^;

茶器は九州の南画家・田近竹邨遺愛の雲堂手であったが、ほとんどの方が知らないこの名前をご存じ方がおられてびっくりした。


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最後に寄付の答え合わせは茶杓の銘が「瀧の音」(千家のややビッグネームの方のです)
「瀧」と「銀河」を言いたかっただけなんですが(^_^; ただこの李白の七言絶句、若い頃から大好きだったのでちょっと言ってみたかった。

暑い中にもお越しくださった月釜会員さん、招待状をお出ししたら喜んでおいでくださった茶友さん、一座建立ありがとうございました。
そしてなにより、バックをまかせて投球に専念できるピッチャーよろしく、全幅の信頼で任せて点前に集中させてもらえた、若き茶友の方々でもある秀逸水屋チームにも深く深く感謝です。






伊勢物語にまつわる茶事 - 2021.05.14 Fri



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今年は(去年も)梅の実がふくらんでくるのが一月早い。
炉仕舞いもそこそこに初風炉の茶事を。きりかえが忙しい、、、


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紆余曲折したが、杜若の季節でもあるし、「伊勢物語」のテーマで行こうと決めた。
寄付に富士山の扇と烏帽子香合を飾る。これを見ただけで「東下りに初冠(ういこうぶり)」とわかってくださった本日のお正客さま。ありがたし。これでポカンとした顔をされるとテンションさがるし。



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あいにくの雨模様で、席入りは軒下つたいに。雨の日の緑は美しい。


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本日のこの人達は「ちはやぶる かみよもきかず 竜田川、、、」
季節はちょっと違うがなんてったって在原業平だし。


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実は「筒井筒」の日本画の軸を手に入れたのも、伊勢物語にしようと思ったきっかけ。
 
  筒井筒 井筒にかけしまろが丈 すぎにけらしな いもみざるまに

(この歌が本席ですっとでてこなかったのが痛恨の極み。かわりに五つに欠けし井戸茶碗、、の方がでてきたりして(^_^;←細川三斎と秀吉の逸話)


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初座は雨で蹲居が使えなかったのが残念。


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初座の花の代わりに菖蒲と蓬の厄除けを。
菖蒲はなんとデパ地下の野菜売り場で発見、蓬はもうそこらに生えてる。これをたくさん作って端午の節句の時に軒に飾るのがならわしだが、昨今は軒のない家が多くて(^_^;


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さあ、半年ぶりの風炉、李朝鉄火鉢の小さい方を。



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端午の節句は若干過ぎていたが、菖蒲の葉を巻いた酒器で一献。


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今回の懐石はみなさん大酒飲み?で、五合瓶が1本半あきました。気持ちよい。
祗園大茶会でいつもご一緒させていただいている御面々、2年続けて中止になったが、復活したときにはまたがんばりたいね、と。


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今回もお菓子はみのり菓子さんの「杜若」
レモングラスの羊羹に錦玉という手の込んだとても美味しく美しいお菓子である。
(速水流の帛紗に似ているというご指摘もあり)


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炭点前は今年初の大失敗。風炉が小さすぎて種火がうまく作動せず、中立の時に熾しなおすはめに。しかも胴炭が入らない、、、(大汗)次回から鉄火鉢大の方を使わねば。


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後座の席入りでは、雨も上がり、蹲居をつかってもらえたので、迎え付けも。
お若い方もいらっしゃったから、お正客さまによる席入りの作法のご教授などもあり。


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薄器はやっぱり杜若

  らころも つつなれにし ましあらば るばるきぬる びをしぞおもふ

東下りで「からころも」を句の頭に織り込んで歌を読むという有名なお話し。


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この歌を歌ったのが三河の国の八つ橋という場所。

  水ゆく河の蜘蛛手なれば、橋を八つ渡せるによりてなむ 八つ橋とはいひける

で、八つ橋(固い方、しかも筒井筒ならぬ井筒屋さん(^_^;)も並べてみたが、これは琴とする説と、橋とする説あって、ややこしい。

最後の趣向として茶杓が「須磨琴」
須磨の一弦琴は現在も須磨寺に伝えられているが、考案したのが在原行平、つまり業平のお兄ちゃんってことで。(伊勢物語にも登場します)



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風炉点前、ぼろぼろでやっぱり何年やってても、しばらくおやすみするとあかんなあ。お稽古はやっぱりちゃんとしないと〜と思ったのである。
(写真は後座で熾しなおしてやっと煮えがついたところ)

茶事を考えるにあたり今回「伊勢物語」を久々に原文で通して読んだ。
伊勢物語はネタには事欠かない内容満載である。すごい数寄者さんが百一段の「あやしき藤の花」をテーマに茶会をされたが、古典に精通していない限り、まあ筒井筒、東下り、唐衣、、、あたりが限界かなあ。






節分と宝船図講座 at 京町家ゲストハウス・サロン月と - 2021.02.03 Wed



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ゲストハウスでもありサロンでもあり、またみのり菓子さんのランチも時々食べに行っている熊野神社のところの月とさん。夜は格子戸越の灯りが暖かくてすてきな雰囲気である。
以前からなにかとちょくちょくお邪魔しているが、こちらは月とさんのおじいさま、おばあさま、お父上が住まれていた京町家である。(月とさんは東京生まれの東京育ち)



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ひいおじいさんが証券会社を経営されていたような京都財界の大物だったこともあって、代々受け継がれた美術品コレクションは多岐にわたり、しかも底が知れない。以前も月岡芳年の浮世絵コレクションをじかにみせていただいて感動モノであった。
お若い月とさんには???なものもけっこうあって、宝船の版画や屏風があるんですけれど、これ夏向きの室礼ですかね〜という一文をSNSで見つけて思わず食いついてしまった私。


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実は数年前から参加している京都郷土史の勉強会で、節分の季節になるとやるテーマが節分と宝船なのである(宝船図研究部会?)。主に大正時代、節分ともなれば京都中の寺社が競って宝船の版画を売り出し、人はこれをもとめて、枕の下に敷いて寝た、という。(新年ではなく節分〜立春にかけてやるところが京都らしい。)

こんな習慣があるとはこの勉強会に参加するまで知らなかった。すでに廃れている習慣でもあって、京都の人でも知らない方が多いと思う。それでもいくつかの寺社で節分(あるいは年がら年中)ともなるとこの宝船の版画が手に入る。
それを足とお金を使って、精力的に現存する宝船のコレクションをコンプリートしようもくろんでおられるのが勉強会主宰のN氏である。

月とさんの宝船図を見た途端、月ととN氏の宝船研究会ががっつり結びつき、コロナもあったことから紆余曲折あり、このたびやっとN氏を講師に迎えて、月とさんで宝船図勉強会開催の運びになった。
(ちなみに私は最古の宝船図といわれる五條天神社のをゲットして軸装までして節分に掛けることにしている)


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宝船の前掛けを締めてやる気満々のN氏。

先ほどの屏風は数寄者だったらしい、月とさんのひいおじいさんかおじいさんが集めて屏風におしゃれに表装した特注品で、N氏によるとかなりレアなものもあるそう。この日おもちいただいたレジュメにのせた宝船図の実物があって、実はすごい屏風であることが判明。(もしかしたら月とさん捨てていたかもしれないって!)


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月とさんのお蔵は深いので、勉強会のためにこんな菓子器まで出して下さった。



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で、私は講座の前にちょっとした呈茶をさせていただいた。


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御茶碗は布志名焼のもちろん「宝船」!



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お菓子はみのり菓子さんに特注した「節分」
枡の中に豆の代わりに大豆とゴマを練り込んだ餡入り。


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月とさんのいつもランチをいただく玄関上がったところのサロンは居心地がとてもいい。


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宝船図は千差万別であって、中には版がすり切れて何が描かれているのかよくわからない雑っぽいものから、鉄斎や栖鳳などの有名な日本画家が下絵を描いたものまでピンキリである。また時代によって乗っている物も変わってくる。七福神が乗っている物などは比較的新しく、東京からの流行とのこと。それでも一応基本形はあるようで、レジュメの吉田神社の宝船図と同じ物が屏風にあって感激。



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で、前から疑問に思っていたこのゲジゲジが実は百足であったことを知った。ムカデ=足が多い=おあし(お金)が多いのシャレになっていたのね。



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もうこれになると、ムカデなのかタワシなのかわからなくなってるけど(^_^;
後に写した人が意味もわからず描いたものなんだろうなあ。


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最後にN氏の宝船図コレクションをみなさんに披露、見たことない方、習慣をしらない方もみんな熱心にご覧になってました。

節分と言えば豆をまいて恵方巻きにかぶりつくだけでなく、宝船図ありますか〜?と聞いて集める新しい楽しみ方を覚えていただけたら幸いである。



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月とさんは、とてもすてきなお着物と梅の帯(おばあさまの)をしめてくださり、お茶運びの半東やらなにやらお手伝いいただき、色々と感謝である。
また二階の部屋を見せてもらったN氏が、興奮するくらいいろんなお宝があったそうで、なにかまた郷土史的な勉強会がここでできるといいなと思うのである。






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