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2017-11

大覚寺舟遊び茶会 - 2017.10.11 Wed

奥嵯峨・嵯峨院ゆかりの大覚寺、大沢池の畔に立つ茶席望雲亭に最初に案内してもらったのは今年3月だった。かのときは梅の花がまだ咲いていて、池の蓮はみごとな枯れ蓮であった。




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建物に手を入れ、露地も改修し、ありとあらゆるお茶のための設備が充実していながら、本格的な茶会に使われることのなかった望雲亭に、最初の茶会の足跡を残せたのは、いろいろなご縁のたまもの。

いまふりかえれば夢のような1日で、この貴重な体験とご縁に感謝せずにはおれない。
少しでも記録に残しておきたく、本日は画像の量が少し多いがご容赦を。




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前日に掃除と仕込みに水屋有志と訪れたときの大沢池と舟。
数日前に観月祭の舟をだしたばかりなので、その内装をそのままひきつぐ。
さすがに竜頭はないなあ、、と思っていたら、、、




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玄関先に、、、(^_^;
結局薄茶席の亭主を丸投げしたF太朗君が、使いたいとのことで当日船首につけましたよ〜。




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これは濃茶席に使う予定の二畳向切+二畳相伴席。
船底天井なのでほんとうの舟(薄茶席)に乗る前に、舟に見立てた茶室という室礼にしよう。




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障子を開けたとき、眼前にひろがる大沢池は、建具に切り取られて見るとさらに感動的な景色だ。



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さあ!茶会の始まり!
水屋一同(若いお茶友さんたち有志)総勢12人で50余名、計5席のお客様をおむかえする。

広間は待合にしてお菓子をめしあがっていただく。
せんだって東京・太田記念美術館で見た月岡芳年、月にまつわる名場面100枚を描いた「月百姿」のうちの一、「法輪寺〜横笛」の浮世絵を飾る。(横笛は平家物語の滝口入道との悲恋の相手)

なにしろ大沢池は嵯峨院が月見のためだけに1200年前に作った人工の池、月がなければはじまらないのだ。ちなみに大沢池だけは当時とほぼその姿がかわらないのだそうだ。




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そして、舟板にのった全日根さんの陶俑にもたせたのが、、、、百人一首藤原公任

「滝の音はたえてひさしくなりぬれど なこそながれてなお聞こえけれ」

大沢池畔にある名古曽の滝、この一枚をどうしても使いたくて。短冊にするとこの広い床の間に負けるので、苦肉の策(^_^;



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めしあがっていただく主菓子は「水面の月」愛信堂さん特注。
鉢は高麗の三島。



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からすうりと萩の蒔絵盆にものせて。
水面に映った月がさざ波に光の粉をまきちらしている、、、というような風景。




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舟の中、という設定なので、風炉釜は小さく、モバイル釜、、、こと時代のミニミニ万代屋釜。
脇山さとみさんの水指と大きさがいい勝負。




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やっぱり舟なので、香合は櫂。
実は岩渕祐二さんにおねがいして2日前に届いたばかりの特注品。




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皆様、興味しんしんの香収納部はこのようになっております(^_^)b



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久野輝幸さんの茶杓・波シリーズに「波心」と銘をつけて、自分で和紙を貼った。
出典は白楽天「月点波心一顆珠」(月が波にあたってひとつぶの珠のようだ)、主菓子に響き合う銘になった。(ちなみに白楽天のこの詩は桂離宮月波楼の出典でもある)




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タイムスケジュールは比較的ゆったり。
広くて使い勝手のよい水屋の窓から大沢池の景色を楽しめる。




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薄茶席担当組は打ち合わせ中。
今回は舟とだけ告げてあとは丸投げ。
F太朗君ならきっと素敵な使い方をするだろうと信じてるから。




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舟に竜頭を取り付け中。

濃茶を終えられたお客様は、大沢池側の障子をあけはなって(ここが見せ場!)、露地から舟にのりこんでいただく。




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3月には枯れ蓮だったけしきが一転、蓮の葉の林をいく舟。
ゆったりと進む、、、、眺めるだけでもすてきだ。




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薄茶もおわり帰路にむかう舟とお客様、、、、すると!!




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大覚寺本堂近くの桟橋から謡の声が朗々と水面を渡る。
鼓の冴えた音に奥嵯峨の山がこだまを返す。
この日能のパフォーマンスをお願いしていた陶々舎つながりの能ユニット「田○田(たぼた)」のお二人だ。

これ、もう最高の贅沢、いにしえの貴賓にでもなった心地だろう。




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さて、水屋は各席二人ずつ、薄茶席の舟にご相伴、私も同席させていただく。




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蓮の林を行く。
まあ、なんとすがすがしく美しい風景だろう。




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F太朗君の雨男ぶりだけが心配だったのだが(^_^;、すばらしい晴天に恵まれた時点でもう8割方、茶会は成功したようなもの。




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お客様もみなさん、はしゃいでおられた。




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さて、迎えまする薄茶の亭主・F太朗君は本日、嵯峨天皇に梵釈寺で初めて呈茶をした、という永忠和尚のいでたちにて。



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干菓子はこれも愛信堂さんが「唐菓子(からくだもの・中国から渡ってきた菓子の原型)」のお題で作ってくださったもの。
粉熱(ふずく:豆の粉と棗、栗、くるみ、蜂蜜(当時は甘葛)などを練って作った唐菓子)
まがひ(小麦粉を練って揚げたもの)

きっと嵯峨天皇もこんな唐菓子を楽しまれた事だろう。



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舟に火気持ち込み禁止なので、お湯をもちこみ四頭形式で。



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浄瓶(じんびん)にみたてた水注。




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あらかじめ茶碗をくばり、茶をすくい入れ、お湯を注ぐ間、客はずっと茶碗をもっている。




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このように手に持ったまま点ててもらう。
ちなみにこの茶碗の載る麻の帛紗(?)、F太朗君がよなべして?作った手作り。





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お茶をいただき、空と水の景色を楽しみ、流れてくる謡いに心洗われ、、、



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水に映る空。
お客さま方もきっと心に残して下さるひとときであっただろうと思う。



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そろそろ望雲亭に帰り着く。
濃茶席から見える水屋さんの姿。




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この日、本堂ではアニメ・ワンピースのイベントに5000人がつめかけたそうだが、こちらをうらやましがって見ているのがちょっと優越感(^_^;
この舟は多数のインスタ素材になったと思われる。




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薄茶席を終えられたお客様は点心席の大広間へ。
この重厚なテーブル椅子セットは有栖川宮家からの下賜の品。ここで食べる点心は格別だったにちがいない。正面は樽の輪っかで作った満月(F太朗作)。




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われわれはどんな点心か見ることができなかったので、これはお客様のお一人からいただいた画像。なかなか美味しそう。(泉仙さん製)




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ここでも田○田のお二人に謡と鼓のパフォーマンスを。




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最後の五席目のみ、日没時間とのかねあいで、まずは舟の薄茶席からはじまる。そろそろ日もかげってきて、嵯峨野の山に残照。
朝の明るい景色も、昼の遊覧も、日暮れ近い池も、、いずれもそれぞれの趣があって、どの席の方もよい景色をご覧になったと思う。

お片付けを始めつつ、広間の待合にて、最後の周航を見送る水屋組。



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とうとう最後の濃茶席は燈火が必要になった。
これもまた味わい深い。
濃茶が練り上がる頃には外はもうほぼ真っ暗であった。(なにしろ外はほとんど灯りがない)



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こうして最後のお客様を送り出して、総勢で片付け、掃除、人海戦術でほぼ1時間くらいで撤収までいったのではなかろうか。

残念ながらこの日は満月を過ぎていたので、大沢池の上に出る月は拝めなかったが、帰る車中で東山から大きく赤くのっとでてくる月を見た。

さて、今までも何度も書いているが、仲間で一つの目標にむけてそれぞれの能力をフル活用して、走りきったあとの満たされた気持ちはなにものにも代え難い。
また、いっしょに走ってくれる仲間の存在ほどありがたいものはない。
この大覚寺も計画をはじめてほぼ半年、いろいろ趣向に悩んだりもしたが、みんなに助けられてようやくゴールにたどりつけた。
心満たされ、感謝もこめて月に祈る。

さて、明日からまた走り出さなくては!人生はまだまだ続く。



<感謝>
大覚寺ご担当の方々、大覚寺に縁を繋いで下さった方に深く感謝いたします。





月釜席主デビュー〜菊慈童に寄せて〜 - 2017.09.13 Wed

茶の湯のご縁はまことにありがたく、茶の教授者でもなく社中も持ってない、流派もかなりアヤシイ私などに月釜の席主のお話しが回ってきました。1年ほど前です。そうこういっているうちにその日がやってきました。




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あまり知られていない(知らせていない?)洛東の某塔頭寺院。
こちらはほんまにお庭が美しいのです。ご住職の日ごろのお手入れ、作務のすばらしさがしのばれる見事な苔庭。季節の花々も木々も見所なのです。




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これは昨年行った嵐山法輪寺の重陽の節句の法要、その時舞われた「菊慈童」です。
今回重陽の節句のころでもあり、テーマを菊慈童としました。(仕舞も習ったところ〜♪)

ご存じの方はご存じ、有名な謡曲です。観世流以外は「枕慈童」と。





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(待合)


古代中国魏の文帝に仕える美少年・慈童がある日あやまって帝の枕をまたいでしまう。その罪によって鳥も通わぬ辺境の酈縣山(れっけんざん)に放逐されるが、憐れに思った帝はくだんの枕に妙文(法華経普門品、俗に観音経の一節)「具一切功徳 慈眼視衆生 福寿海無量 是故応頂礼」を書いて与える。山の中で慈童はその妙文を忘れないように菊の葉に書き記すと、その葉に落ちた露のしたたりが不老不死の霊薬となり、700年以上の寿命を得たというお話し。

能では700年後の時代の周の皇帝の長寿をことほぐめでたい曲なのだが、700年も一人で山の中、、なんてどんなきびしい孤独なのだろうか。心なしか、待合の軸の菊慈童もちょっとさびしそうだよね。


ちなみに左の飾りは茱萸嚢(またはぐみぶくろ)、端午の節句に厄除けにかけた薬玉を重陽の節句にこの茱萸嚢にかけかえる宮中の習慣にちなんで。(さきほどの法輪寺では重陽の法要の時、これの小さいの、拝領できます)





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本席でかける「福寿海無量」をいろんな人の書を探して、探して、やっと出会ったのが白隠さんの白衣観音の画賛だった。「慈眼視衆生 福寿海無量」観音様の慈悲に満ちた目は衆生を見守り、その福寿の深さ広さは海のように果てしない、、、、観音様がお好きでたくさん観音様の絵をかかれた白隠さん、巡り会うことができてよかった。




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慈童が大事にした妙文の書かれた枕にかけて花入は信楽の旅枕。
花は桔梗以外はうちの庭で朝取ってきたものです。




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こちらの小間、四畳半は秋には絶景の紅葉が眺められるのですが、今はまだまだ青い。




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酈縣山というさびしい山の中にぽつんと取り残された慈童をイメージして小さな水指とか、霊薬にかけて薬器の薄器とか、やっぱり〆は宗旦四天王のあの人の茶杓「若水」よね。(西翁院に有名な茶室作った人〜)若さを保ってくれた水、、、という意味で。




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愛信堂さんにお願いした主菓子「甘露」、よ〜く見てください、菊の上にたまっている露が見所!なんと芸が細かい。

思いの外、ありがたいことにお茶のお友達がたくさんご来席くださり、実は用意したお菓子では数が足りなくなったのです。あわてて電話して,追加を〜〜〜とお願いしたら必死で間に合わせてくださった、これはほんとうにありがたかったです。



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干菓子は和菓子・青洋さんの雲平。小さい菊が三色三つつながっているのです。




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だから一人分はこんな感じ。
実はこれだけは追加できず、最後のお席の方にはあたらなかったのです。この場をかりておわびいたします。すみませんすみませんm(_ _)m




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全部で10席させていただきました。
会話が思った以上に弾んだ席もあれば、私一人がしゃべりすぎた席もあり、なかなかむつかしい(^_^;お客さまもあり、、、でも日ごろおつきあいしているお茶友さんが必ず一人はどの席にもいてくださったので、気分的に楽でした。どの席も席主、たのしく気分よく語れましたわ。皆々様、ありがとうございます。

そして特筆すべきはなんといってもスーパー水屋!!
声をかけたら喜んでお手伝いしてくださった若い茶友の皆様(みんなお若いのよ、でもキャリアはすばらしい)、その手際よさ、確実さはすばらしく、この万全のバックアップに全幅の信頼をよせ、お点前もお任せ、私はしゃべりだけに専念できるという幸せ!

自分が水屋担当になったら、ここまではできないという自信(?)はありますが、どんな小さなめだたない仕事でも黙々とこなす事が大事だと学んだ日でもありました。




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(法輪寺の菊慈童 惚れちゃうよな〜この美童ぶり!)



月釜で席をもたせていただくのも最初で最後かもしれません。
こういうご縁をくださったことに感謝をしつつ、皆様にも長寿をお祈りして最後に菊慈童の画像でしめます。





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