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2023-12

高野山<後編>〜護摩修法と茶籠で野点 - 2020.11.09 Mon

翌日は、空海が嵯峨天皇に賜った土地に最初に諸堂を建立した壇上伽藍から。



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しかしながら建物よりもどうしても紅葉の美しさに目を奪われるのである。


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あちこちガイドブック通りに廻ろうと思っていたが、ここで初めて高野山に来て宗教的体験をして、1時間ばかり時間を費やしたのが、、、、



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愛染明王を祀る愛染堂の護摩修法であった。
ちょうどまさに始まりを告げる鈴がならされたところである。

真言密教の仏具はどれも興味深い。それらが並ぶ護摩壇の前で若い僧侶が無言で真言を唱える。お堂の中で正座してその様子を見守ること約30分、そんなに長くなるとは思わなかったが、足を痺れさせながらすわっているとなにやら心がおちついて、お堂に吹き込む微風や外のざわめきなどをいっそう感じられる。



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おもむろに護摩壇に護摩木をやぐらに組んでいって、火をつけるのにfat wood(樹脂の多い木)を使うが、これが2回消えてしまって、はらはらどきどき、3回目にやっと木に燃え移ったときにはほっとした。(よくあることらしいが)火はだんだんと勢いを増して、その中に香油や薬種、芥子の実?(種類不明の)常緑の木の葉などを投入していく。何かがはじけ飛ぶ、いぶされるような煙の中で、仄かに丁字の匂いがした。僧形と所作のすがすがしさ、絵になるなあ。

時間にして1時間、今回の旅のなかで一番印象深いと私も思い、みんなが言う。やっと高野山へ来た気がした。



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壇上伽藍の根本大塔。建物はなんども焼失しているので、この目に鮮やかな塔は昭和9年に再建された鉄筋コンクリート製。中は弘法大師の思想をあらわす立体曼荼羅の呈であるが、京都の東寺の立体曼荼羅の方がより荘厳な感じがするのはしかたあるまい。


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境内を歩いていてごろごろごろごろ、臼をひくような音がするな、と思っていたらこの六角経蔵であった。基壇の処の取っ手を押してごろごろ1回回すと一切経を一通り読んだと同じ功徳があるとか。マニ車のようなものか。こちらも昭和9年の再建だが、発願は鳥羽天皇の皇后であった美福門院の発願だったというのが興味深い。


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この数カ所有る取っ手を押すのであるが女子一人では重くて動かず。数人で押すのが正解。



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他にも渋いお堂がたくさん立っていて、金剛峯寺より宗教的な感じがよかった。


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金剛峯寺へ通じる道、蛇腹道も紅葉が美しい。


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人も多いが、、、


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さて、先ほど買った酒饅頭を手にやってきたのは、壇上伽藍に続く湯屋谷弁財天神社の境内である。
名前の如く、かつてここに共同浴場があったとか。



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ここの綺麗な紅葉を見上げながら、、、


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ミニ野点会を。


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いつも海外旅行のお供に連れて行く茶籠を持参。(今年は出番なかったな)
お菓子は酒饅頭と、持参した金平糖、友が持ってきたすはま。



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茶碗は鶴野啓司さん。


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ポットのお湯がなくなるまで、それぞれお茶をいただく楽しい時間はこの小旅行中のハイライトの一つであった。今回はよき茶友たちが一緒でいつも以上に楽しめたのである。



高野山<前編>〜宗教都市と奥の院ナイトツアー - 2020.11.09 Mon

今回学んだのは、「高野山」という山はないってこと。


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1000m級の山々に囲まれた平坦地、そこにある宗教都市を高野山とよぶのだ。
おかざき真里さんの空海と最澄を主人公にした漫画「阿・吽」を読んで、比叡山へはこの前いったし、今度は高野山だっ!とミーハー魂を炸裂させて一泊旅行にやってきた。(友人3人も巻き込んで(^_^;)
10代のころ、一度は来ているはずだが、限られた記憶しか残っていないので、深山幽谷の宗教都市を想像していたら、なんと、高野山は「町」だった。



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しかもGO TOやらなにやらで、週末で、車が渋滞するほどの賑わいでびっくりした。



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高野山だけに高野槙があちこちに植えられて、売られてもいるのがものめずらしい。


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そして標高800mの町は市中よりも一足お先に紅葉、秋たけなわの時期を迎えていた。


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うわ〜〜〜!の紅葉があちこちで見られるのである。


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どこにカメラを向けても絵になりすぎるので困る。


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今回京都駅から高野山直通のバスがあるのを発見して、ハイライトだけを見ようと思えば日帰りでも十分なのだが、奥の院ナイトツアーに参加したく、また宿坊にも泊まってみたいので、一泊とした。お世話になった宿坊はビルマ戦線戦没者を祀る摩尼宝塔のあるこちらである。
なにしろ高野山には100以上の子院があって、その半数が宿坊を兼ねているし、宿坊案内所もあって、気軽に泊まれる。



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あ、ビルマの竪琴。今の若い人にはわかるかなあ。


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部屋からの眺めがまた絶景で、ここからも紅葉が堪能できた。


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でもって、お坊さんがサーブしてくれる精進料理がまたおいしくて、みなさん完食。
翌朝早朝6:30からは朝のお勤めが本堂であって、これにほぼ強制的(^_^;に参加。不信心者ではあるが、なにやら敬虔な気持ちになるのである。


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宿に荷物を置いて、まずは明るい内の奥の院へ往復4kmを歩く。
奥の院は苔むした墓碑や壮大な供養塔が杉の大木の間にたちならび、有名な武将の供養塔もたくさんあるである。その昔来たときに、郷里の備前池田藩の供養塔のショボさに憤った記憶があるが、たしかに2〜3mはあろうかという供養塔の立ち並ぶ中にしょぼしょぼっと墓石が並んでいるだけで、やっぱり記憶通りしょぼかった。

深山の趣はあるが、なにせたくさんの人が歩いているので怖さとか敬虔な気持ちとかはわかないのである。あかんがな。


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その昼往復した奥の院を夜、歩こうというツアー。申し込んだときにはせいぜいうちらのグループくらいやろうと思っていたら!なんと最終的には30〜40人の団体さんになってしまって、ますます怖さもおどろおどろしさもなかったのである。(この週末は特別に多かったらしい。おそるべしGoTo)


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当日は10月の満月の日で月明かりが美しい。


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恵光院のお坊さんが案内してくださる。まずは高野山について簡単なレクチャーを。


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ここで数グループにわかれて出発。


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それなりに灯籠や灯りはあるが、一人や二人ではやっぱり恐いだろうなと思ったが、お一人でお参りされている方もいらした。


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実際はこんな暗さである。
逆に灯籠の光りが届く範囲しか見えないので、供養塔とか、墓碑とか暗くて見えず、かえってこわくない。


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要所要所、有名な人の供養塔の前で立ち止まって解説を聞く。光秀の供養塔は五輪塔の真ん中の石がなんど組んでも割れるのだとか。怨念か?(^_^;


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汗かき地蔵さんの横に姿見の井戸があって、ここをのぞいて自分の姿が映らなければ3年以内に死ぬとか。夜はのぞかん方がええよ。多分くらくて映らないから。


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杉の大木の合間から時折見える満月が心強い。


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とちゅう緩やかな覚鑁坂(かくばんざか)という階段があって、ここもこけると3年以内に云々。まあ足元に注意しろということだろう。


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御廟橋を渡る前に、自分の身を清める代わりに各種仏様に水を掛ける。ここから先は聖域なので写真撮影は御法度である。
無数の寄進された灯籠が下げられた灯籠堂は夜見ると壮観であるが、現在はLED、かつては一つ一つ蝋燭をつけていったのであろうか?
いまもお大師様が瞑想されているので御廟の前には毎日食事が運ばれるそうだ。
昔それを聞いて即身成仏の姿で残っているのかと、地下礼拝所で恐い〜とおもった記憶があるのだが、現在地下はコロナで入れない。



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帰りの2kmはマイクロバスで帰還だったが、われわれ4人だけ、徒歩で歩いて帰ることを選択、奥の院の夜と満月の雰囲気を満喫したのであった。
この日歩いた歩数はゆうに26000歩以上。ぐっすり眠れましたわ。


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翌朝、前日目をつけておいた釜飯屋さんに30分ほどならんで、、、(なにせ食堂少ないこともあって、どこも行列ができる)


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やっと山菜釜飯にありつく。おいしい♪本場だけあって胡麻豆腐のねっとり感がまたたまらん。



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宗教心より食い気の新旧女子4人が次にめざしたのは酒饅頭であったが、ここでお菓子を仕入れて続きは野点へ。



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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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