菓子屋ここのつ〜偏愛シリーズ・乳の巻〜東京 - 2022.10.29 Sat
東京台東区の菓子屋ここのつさんの糧茶の会(お菓子とお茶のコース)。毎月1日、翌月の茶寮の予約をとるのが大変なところ、競争を勝ち抜いて?の参加である。
浅草にもほど近い、京都の三条通商店街によく似た佐竹通り商店街。日本で二番目に古い商店街だそうだ。(一番古いのは金沢の片町商店街)佐竹という名前は秋田藩佐竹家のお屋敷に由来するらしい。
その商店街を通り抜けたところ、ここのつさんはある。
ここのつさんの存在はInstagramで知っていて、数年前奈良・鹿の舟さんの茶菓会を開かれたのに行ってからすっかり虜になり、機会をうかがって昨年夏ようやく東京での参加がかなったのである。
今回2回目の訪問。お客さんは5名、ちょっと薄暗い厨房続きの席にてロウソクもともしながらのスタートである。
ここのつさんがくりひろげる<偏愛シリーズ>とは、一つの食材を選んで、いろんな糧菓のヴァリエーションをみせてくれる会。今回は「乳の巻」、つまり牛乳である。
岩手のある小さな酪農家さんの持ってきてくれた牛乳のおいしさに感動したここのつさん、以後乳製品はここ!と決めてはるそうだ。
まずは生姜と菖蒲科のリーフ(名前聞き取れず)を蒸留したお白湯をいただく。それからその感動したという牛乳を蒸したホットミルク。なるほど、さらっとしていてあとくちが全然くさみがなくさらっとしている。
ここのつさんとこではいろんなカトラリーをそのつど手渡ししてくれるのが儀式めいて好き。
最初のお皿:
お菓子が出てくる前にわれわれの座るテーブルにカセットコンロとお鍋、きび糖、バター、生クリームを持ち出す。目の前でキャラメルソースを作るのだ。キャラメルの作り方、初めて知った!こうやって作るのね。そのソースを目の前で、米粉と栗のパンケーキにかける。ソースめちゃ美味しい。
あわせるお茶は岩茶。
二番目のお皿:
最中の皮に砂糖控えめの小豆餡、カボチャ餡をはさみ、食べていくと、あ、バター!風味豊かなバターの塩味がとっても最中にあってる。しかし、、どうしてこう美味しい物はカロリーが高いのだ!?悩みの種。あわせるお茶はとっても華やかな香りの台湾烏龍茶。数年熟成させた物。
三番目のお皿:
深めの器にでてきたのはお餅とずんだかな?と思いながら口にしてうれしい裏切り。お餅は千葉の黒豆(丹波黒豆を千葉で育てた)入り、まわりのずんだと見えた浅緑の汁はいわば卵成分の少ない茶碗蒸し、それに当帰(セリ科・漢方に使われる)をすりいれたとろとろの汁。香りはセロリに似ている。この当帰、奈良で栽培されているところでであって(鹿の舟に行ったときだろうな)お気に入りなんだそうだ。あわせるお茶はルイボスと紅茶をブレンドしたお茶。これもさわやか。
四番目のお皿:
薄暗いのではっきりした色はわからないけれど薄茶〜薄紫、ちょうどサツマイモの皮の色。そんなクレープに包まれているのはサツマイモの餡と時々かりかりとする塩味のつぶつぶは焦がし?バターなんだそうだ。振りかけてあるのはエゴマ。そしてスプーンにはいった黄金色の液体は、バターから作ったギー(不純物をとりのぞいたオイル。インドでは神聖なオイルで、これで髪を洗ったり目を洗ったりするそうだ。ひゃ〜)これをかけていただく。バターとも違う味と香りは初体験。
あわせるお茶はホーリーバジルティー。(アニスに似た香り)
五番目のお皿:
透明な寒天キューブに入っているのは大豆のつぶつぶ。その下にしいてあるのは水切りをした乳成分の高いヨーグルトに柚子。寒天は大豆の煮汁を固めた物。見た目も美味しい。
前回もそうだったが、本当に心身共にリラックスしてα波のおかげで眠たくなるような心地よさ。席の雰囲気も、控えめなアンビエントもここのつさんの語りも、そしてなにより美味しいお菓子とお茶も。今回もありがとうございました。また来年も予約バトル勝ちに行きます!
家に帰って、おしえていただいたレシピで作ったキャラメルソース。美味いいいい〜!!
<おまけ>
ここのつさんへ行く前と行った後に行った美術館。
初見参東京ミッドタウン
サントリー美術館<なにコレ(なにわコレクション)>
大阪に通勤しているのに東京で大阪市立美術館の名品に出会うとは!(市美改修中)
三井記念美術館<大蒔絵展>
ここで東京のお茶友さんに出会うという不思議。
菓子屋ここのつ〜浅草で宵のお茶会 - 2021.07.14 Wed
浅草でお菓子?料理?の不思議な完全予約制茶寮を主催されている菓子屋ここのつさんの衝撃のお菓子にはじめて出会ったのは2年前、ならまち鹿の舟でのことであった。
その前からインスタにアップされるお皿の写真の数々をみて、すごく惹かれていたのだが。
実は、今回の上京の一番メインの目的であるのが、この、ここのつさんなのであった。(1ヶ月前から予約なんとか勝ちとった!)

台東区の商店街をここのつさんめざして行く。なんか既視感あると思ったら三条通り商店街に似てるな。
こちらが菓子屋ここのつさん。
写真はNGなので、つたないが出てきたお菓子?料理?の解説を文章でこころみる。
17時、外はまだ明るいがカーテンのなかにいざなわれると灯りは数本の蝋燭のみ。暗さに目が慣れない内はなんかアヤシイ魔術の集会っぽくて良い感じ。ここのつさんも黒いドレス。
最初にいただくのは、お母様の庭から採れたラベンダーの花を、ご自分で蒸留した冷たいお水。ラベンダーの香りに暑さがすっとひいていく。
最初のお茶は宮城産の釜入り茶。茶の木の北限近く、海の近くで採れたというお茶はなんだか力強い。
*お菓子一皿目:麦こがし(はったい粉)を黒糖蜜で固めた州浜。普通の州浜よりもろくてほろほろとした食感。私の世代では懐かしいはったい粉だが、別物。
お茶を二煎目三煎目と重ねつつ次なるお皿は、、、
*お菓子二皿目:桃のお皿
新鮮なので皮付きのままいただける桃のスライスに、甘酢漬けの新生姜のみじん切り、白花豆に生クリーム、そのうえに台湾産黒粒胡椒のマーガオ
一体どんな味なのかと思うでしょう?奇想天外なこの組み合わせなのにケンカしていない、天才かよ!と思わず心のなかで叫ぶ。めっちゃ美味しかったこれ。マーガオは噛むとレモングラスのような香りにするスパイス、これが効いている。
次なるお茶は沖縄紅茶。中国茶かと思うくらい香高い。これも何煎でもいける。
*お菓子三皿目:これこそお菓子?料理?
キュウリや青豆、ゴーヤなどの夏野菜、これにキャッサバ(タピオカの原料)と葛をミックスして作った喉ごしつるんの透明、それにいぶりがっこを薄く切ったのが入って、この塩味がきいている。パリパリと音をさせていただく。ドレッシングは何かわからなかったが、とても美味しい。
先ほどはラベンダーの花であったが、次の飲み物はラベンダーの茎を蒸留し、先ほどの宮城茶とあわせたもの。これは花のと全く違う香りで驚く。
*お菓子四皿目:冬瓜もなか
ぱりぱり最中の皮に、シロップ漬けの冬瓜、白花豆、バターのスライスを仕込む。もう、何これ!!めっちゃ美味しい!とこれも心の中で叫ぶ。バターのスライスがとっても効いている。クセのない冬瓜なのにじわりと美味しい。
*お菓子五皿目:透明お菓子にパッションフルーツ
アガーと寒天で作った透明お菓子にブルーベリー入り、このつるんつるんをパッションフルーツのソースでいただく。これはデザート的一皿で、パッションフルーツの甘酸っぱさがさわやか。
最後にホーリーバジルをドライにしたものをお茶に。
実際に栽培されているホーリーバジルの鉢植えをみせてもらう。淡い色のブラシのような花が咲いていた。スイートバジルとは全く違う芳香で、〆のお茶として最高であった。
以上でコースは終了であるが、部屋は高いカウンターがあって、客からはキッチンの雑多な物が見えないような工夫がしてある。語りながら庖丁を使われて、トントンと切る音はするのだが、その作業の姿は見えない。冷蔵庫にも扉に麦の穂を飾ってあって、冷蔵庫であることを意識させないような工夫が。
グラスもお皿も茶器も、とてもシンプルだがスタイリッシュ、出るお菓子毎に違うカトラリーを手渡してくださるのも良い感じであった。
なんだか心地良くてα波でまくり、心からリラックスして楽しめた茶寮であった。なんだかクセになりそう。東京は遠いけれど、通ってしまいそうな予感、、、、