修二会2023〜3月10日・参籠衆記念撮影〜日中上堂 - 2023.03.14 Tue
満行も近い10日目
例のごとく食堂作法後の生飯投げのあと、参籠者全員の記念撮影がある。昨年もその現場にでくわして、厳しい行法の合間にふとなごんで素の顔をみせる時もあるのだな、と思ったのだ。

昨年は生飯投げのあたりで集合写真だったが、今年は参籠宿所前での撮影らしい。三々五々集まってこられる。
クライマックスの深夜のお水取りを2日後に控えておられるが、10日間の行法を終えられた方々、ふとゆるむひとときである。
一緒に参籠される童子さん方も大集合。行法もあと一息ですね〜。
ばらばらに宿所へかえる練行衆、これくらいの時にしか会えない家族の方々、お子さんたちが見に来ているのめざとく見つけて手を振る方もいらっしゃる。厳しい行法者からふと父親、夫としての顔に変わる。
童子さんたちもほっとなごんでおられる。
しかしすぐ日中堂上しなければ。
宙を走る?練行衆、そういえばそろそろ<走り>の行も始まるね。
12日〜13日にかけて深夜、お水取りがおこなわれる閼伽井屋も、周りの榊が青々としたものにかけ替えられていた。真ん中にハチノスといわれる独特の紙弊がかかるのは明日かな。今年もコロナのためにお水取りの時はだれも近寄れない。静寂の中で粛々と行われるのだろうな。
3年前のお水取りの画像アップしておく。
今年はより多くの修二会オタク、、いや(^_^;詳しい人たちとお知り合いになれて、いろいろ勉強させてもらった。まだまだ奥が深いことになぜか安心する。ありがとうございました。
これにて今年の修二会レポは終了。是を書いている時点でまだ終わっていないので、ひたすら無事満行を祈る。
修二会2023〜3月9日・初夜上堂〜半夜・後夜・晨朝〜下堂 - 2023.03.13 Mon
3月9日初夜
上堂する練行衆の行く手を照らすお松明があがる。

この日は最前列をゲットしたので、盛大に火の粉や灰をかぶる。(もちろん服の穴あき防止レインコートは着用)
毎年、今年も見ることができたことに感謝しつつ拝む。
コロナ前、お堂の下の柵内の芝生は立錐の余地もなく人でぎゅうぎゅう、中にはあまりお行儀のよろしくない人も混じっていたが、人数制限されるとゆったりゆっくり見ることができるので、あながち悪いことばかりではない。
欄干を走るお松明
飛び散る火の粉は鍛冶場にも似て
画像でみることはできても、杉の葉が燃える匂いはやはり現場でないと味わえない。
お松明のはぜる音、熱、もそうだ。それに匂いとが渾然一体となってやっと味わえる境地、これこそ私の、いや多くの参拝者の修二会の原点だと思う。
お松明だけ見てお水取りってこんなもんだ〜とすぐ帰っていたころがなんだか懐かしい。
今年もお堂で聴聞できないのだが、一度宿に帰り食事入浴をすませて再び二月堂へ夜の「壁耳聴聞」へ。(この言葉は修二会の大先輩の造語だが、とても気に入っている(^_^;)
堂内からは半夜〜後夜(22時半〜)の行が続く。すでに数人の方が熱心に壁耳聴聞されていた。今年は昨今まれにみるあたたかさ、というか日中はむしろ暑いくらいの年で、寒さがなくてつらくないのだが、じっとして夜も更けてくるとやはりしんしん冷えてくる。
毎日ある「法華懺法」(三人の練行衆が内陣を出て礼堂でおこなう声明)を拝聴したいと思ったのだが、耳で聞いて想像するしかなく、どこから始まってどこで終わっているのかわからずじまい。お隣に座っておられた方から「今法華懺法おわったとこですよ。」と教えてもらい、え〜?わからなかった〜、、、、と落ち込んだり。これも来年の課題。来年こそは局で聴聞したい。
御前1時前、晨朝がそろそろ終わりに近づく頃、童子さんたちが三々五々北の出仕口に集まって下堂のための準備を始めるあわただしい気配が。
まずは正装姿の堂童子さんの下堂。
晨朝の行法の様子・回向文が聞こえる、最後に「向天下(こうてんげ〜!)」、差懸の音、鐘の音などあわただしく入り乱れる。
やがて三職の方が先に下堂、手水手水〜!の声が元気がいい。すごいスピードで走り去っていかれた。
手水手水〜は練行衆が留守にしている間、行法を盗もうとする天狗達に「手水=トイレにいくあいだだけ留守にするがすぐ帰ってくるからお堂に入るなよ」と牽制している意味。
ついで残りの8人が下堂される。
光が飛び去るように消えて二月堂は静まりかえる。
あとに残ったお掃除の方が大きく外陣がみえるように開け放って掃除されるので、久々に中をちらっと拝見することができた。
深夜の道を歩いて宿へ、心は満足、、しかし、、、花粉症の症状がひどい、、、(^_^;
(東大寺付近は杉が多く、目の前にでかい良弁杉もあるので花粉症は最悪、、、)
修二会2023〜3月7日初夜・小観音出御〜お松明の点火周辺 - 2023.03.09 Thu
3月7日上七日の最終日、修二会のおりかえし、下七日のご本尊小観音様(絶対秘仏)出御が18時過ぎに。

この頃、お堂下の芝生に入るために16時からならんで17時に入って、お松明を待つ人になっていたら、18時過ぎ、お堂の方から雅楽の音が聞こえてくる。ああ、小観音様おでましやな〜と。
この小観音様出御と深夜の後入(本尊の場所におさまられる)まで見届けるのが手向山八幡宮宮司さんである。修二会友のアップした画像では、その宮司さんが折烏帽子に直垂、長刀というお姿でお堂に上がられる。(17時30分くらい)これも拝見したいもの。(この日だけだし)
そうこうするうちに日も暮れてきた。
7日はこの小観音出御のために練行衆は先にお堂に上がられているが、初夜上堂前に手松明の灯りの下いったん下堂される。
19時すべての電灯が消されて、、、
チョロ松明を持った加供奉行の三度の案内(あない)
三回出仕口まで上堂をつげるのだが、
1回目 「時香の案内」 処世界「三寸」 (この日は小観音出御なのですでにすんでいる)
2回目 「用事の案内」 「おう」
3回目 「出仕の案内」 「承って候」
動画は二回目の用事の案内(耳をすまして聞いてね)
いよいよ初夜上堂、お松明に先導されて練行衆上堂
細殿では加供奉行さんが、それぞれの童子の名前を呼びながら、時間をはかり、竹に火をつけていく。
これは衆之一さん(北座衆之一・平衆のトップ)のお松明が点火され登っていく動画。
「はい、衆之一さん行きま〜す!」
この役職の名前を呼ぶ感じがええわ〜。
(12日の籠松明のときは「かんまえた〜かんまえた〜○○さんの童子 △丸!」という独特の呼び出しあり。今年はだれも見られない。ニコ動見よう)
お松明の後、燃えさしを蒐集するのがお約束だったが、コロナ以降それもできず、四月堂前の箱の中に入っているのを少しだけお持ち帰り。この焦げた匂いがたまらん。いくら画像でみてもこの香りだけは再現できないのだ。
修二会2023〜3月7日・食堂作法〜謎の言葉「あらいくも」〜数取り懺悔 - 2023.03.08 Wed
来るたびに新しい発見のある修二会である。
この日は折り返し、上七日の最終日、夕刻ご本尊が大観音さまから小観音様に変わる日。

食堂(じきどう)周辺をあれこれ。
12時に練行衆は食堂に入られるが、これが作法なのか、うれしそうにぴょんぴょん跳ぶような足取りでこられる。そりゃ一日一回の食事だからうれしいよね、って気持ちになる(*^_^*)
湯屋に見える竈の炎
湯屋から運び込まれる汁。祈りが長いので食べるときはすっかり冷めているとか(^_^;
階段も重そうだ。
合図があって食堂の中へ。
おお、もう飯器が下がってきた。練行衆食べるの速い。
これは飯をいれていたものかしら。
すでに練行衆付きの童子が片付けの準備、食器をさげる桶を抱えて食堂口へ。
練行衆が残したご飯が童子や院士さんたちのご飯になると聞いた。(だから完食してはいけない)
そして2年越しで待ち構えた「あらいくも」
瞬間なのであせったが、なんとか録った!!
食事の終わりに堂童子が顔をだして(だいたい12:25頃)よばわる「あらいくも」
洗い湯汲もう、、、の意ともいわれるが、オリジナルを失った言葉、これを合図に白湯が運び込まれるのである。昨年意図せず目の前で見て、え?あれなに?とうろたえたので、今年はしっかり準備して拝見。(すごくオタッキーやけど(^_^;)
しばらくして食堂口が開いて、名物生飯投げ!
残した飯を柔らかい薄紙でつつんで生飯とする。練行衆各位の投球フォームはそれぞれ個性があって楽しい。
ちゃっかりと鹿が待ち構えていたりする時もある。
あ、新入の処世界さん、やはりお父上(和上・上司師)によく似ておられる。投げているのは昨年修二会満願後お話を聞く機会があった望月大仙師、Twitterもよくされている(おこもり中はもちろんできないので予定投稿)
13時から日中の法要、食事が済んだばかりなのにもう上堂される。
この練行衆の法衣ってほんと、しびれるなあ。
お松明でこすれてへこんだ手すりから眼下に奈良の市街。
今年もまだ中へは入れないので、しめた扉から壁耳聴聞(?!)散華や南無観コーラスなど聴聞。
聞きたかったのは、、、、数取り懺悔という日中最後の礼拝。5,7,12.14日の日中法要の時だけおこなわれる3000回の礼拝、これは初めて。ほんまに3000回もやったら死ぬので(^_^;そこは仕掛けが、、、(本来ならば礼拝する姿が局で見られるのだが、今年は気配を聞くのみ。)
しばらくしてお堂からおりてみると、どうやらご入浴中らしかった。
さて、私もお松明に向けて腹ごしらえをしておこう。(つづく)
修二会2023〜3月1日深夜・開白上堂から下堂まで - 2023.03.04 Sat
大中臣の祓が終わって宿に直行、そのまま仮眠して深夜12時前にふたたびごそごそ二月堂を目指す
奈良の夜は暗い、ほんま。
裏参道を登り二月堂の灯りが見えてきたときにはほっとした。(途中イノシシがでる場所もあるらしいよ(^_^;〜)
静まりかえった湯屋。参籠宿所の前にはもう数人の方がお参りに来られていた。(修二会オタク仲間〜)昨年は私をいれて3人だけだったな、と思い出しつつ。
0:45ごろ、参籠宿舎に「おめざ〜おめざ〜」の加供奉行の声が響く。
「小綱の房、小綱の房、大膳殿の出仕なら鐘をつきやれ、、(と言っているらしい。早すぎてききとれん)」練行衆が細殿に出仕し、食堂に入られる。その後、食堂の扉を堂童子が開けて「駈士、駈士、宝物を荷(か)こう!」というのは聞き取れた。
小走りに数珠をすりながら食堂に入られる練行衆。
中ではうかがい知ることはできないが和上による受戒がおこなわれているはずである。ここからは聞き取れないが、食堂裏手に回ると比較的よく聞こえることに気づいた。(←来年用に)
連子窓に映る影。
「、、、、練行の諸衆今日より七箇日夜の間よくたもちたまふや否や」
「よくたもつ よくたもつ、よくたもつ」
、、、と言ってるんだろうなあ、たぶん(^_^;
さて開白上堂にそなえて先回りして二月堂下、芝生の竹矢来のそばでカメラとスマホを持って待機。
(ちらっとニコ動にうつってたりして(^_^;)
見下ろすと深夜なのにまだきらめく市街地の灯りと朧月、美しい眺め。
1:40AMごろ
登廊の下に童子さんたちが並んで、加供奉行の
「只今堂上〜!只今堂上〜!」の大音声。
いよいよ練行衆が初めて二月堂に入堂される。
他日は初夜上堂時、練行衆はそれぞれの大松明に先導されてお一人ずつ上堂されるが、開白だけは童子が持つ手持ち松明とともに一気に上堂される。
この幻のような景色が大好きで、胸が一杯になる。今年も来ることができたことに感謝。
ちなみに堂司だけは遅れてお一人で上堂され、それを待つ間、他の練行衆は差懸(さしかけ・木沓)を履いて床をリズミカルに踏みならす。そろったところで一気に内陣になだれ込む気配を聞き取る。
堂内に入られて後お堂にあがる。扉はとざされ(コロナ対応)中をのぞくことはできないが、ごとごと内陣の荘厳など準備をされているような気配。
二月堂は夜でもこのように電灯はついているのだが、、、
2:15AM 瞬間、すべての電灯が消される。蝋燭のあかりのみ、の闇。この景色もまた感動的なのである。このとき堂内では一徳火といって、行の間中使われる灯火の元となる火を切りだしているのである。
電灯復活で無事切り出されたことがわかる。扉のすきまに耳を近づけて声明を聞く。
声明の中で一番好きな「散華」を待つ。
、、、普現一切大神力 光明熾盛 十万摧滅 三界魔破旬抜 除苦悩観世音、、、
来年は局で聴聞できるだろうか。
3:00AM過ぎ そろそろ下堂にそなえて童子さんたちが手持ち松明に火をつけていく。
この景色も好きだなあ。

先に四職が下堂、早すぎて追いつかん、、
影のように飛び去る。
しばらくして残りの方々の下堂。これも早い。
これをお見送りしてお堂をあとにする。
参籠宿所の前の松明の竹置き場では意外と多くの鹿がたむろしていた。あ、名物「さだまさし」の墨書の竹もあったよ。
宿にかえると午前4時、翌日もゆっくり楽しみたいところだがそのまま大阪に仕事にでかけにゃならん。結構つらいスケジュールだが、修二会アドレナリンがでているから大丈夫〜。
これからの14日間の無事を祈って。
<おまけ>
今回初めてお世話になったのは小さなホテル奈良クラブさん。昨年処世界の役目を終えられた望月師のお話会を聞きにきてからの御縁。この間2回お泊まりの機会をあれやこれやで失して、今回3度目の正直でお泊まり。
なによりオーナーの谷さんがすばらしい奈良通でいろんなお話が聞けるのがうれしい。今期もいろんなところでお会いして、やっとホテルへ宿泊。残念ながら評判の朝食は、仕事のために断念。次回はもっとゆっくり泊まりたい。