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2013-06

平安神宮・薪能 2013 - 2013.06.08 Sat

本文とは関係アリマセンが、野村碧雲荘の門前の花菖蒲、見事に咲きました。今なら柵内立ち入りOKです。平安神宮だけでなく、こちらもどうぞ。
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さて、毎年恒例、平安神宮薪能、すでに入梅宣言したにもかかわらず好天に恵まれました。

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いつものご近所、平安神宮ですが、観世座、金剛座の字の入った提灯が並ぶとまた違ったおもむきになりますね。

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開演前、火入れ(薪に火を入れる)前の紙幣で結界された舞台。
古来、舞は神に捧げられたもの。今でも能舞台の背景にある松の絵は影向(ようごう)の松=神の依り代がルーツなので、本来はその松に向かって舞わないといけないらしいですけどね(^_^;

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開演30分前にいったのですが、もうけっこうたくさんのファンの方でいっぱいでした。外国の方もたくさん。
(でも十分すわれます)

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この日最初の演目は先日観世会5月例会で見たところの「賀茂」。

観世会館で買った「賀茂」の謡本(そうそう、能専門書をあつかう二条通りの檜書店、5月いっぱいで閉店になりました!泣!)をもちこんで、目と耳で追いかけると、ほんとうに楽しさ倍増です。
1回目はわからなくても、2回見るとわかるところもあり、どこが見せ場かもあるていどわかっているので、さあ、そろそろ雷神がでるぞ〜!とドキドキワクワクしました。

能を見るとき、初心者は謡の内容を追いかけようとせず、ただ耳で聞いて感じて下さい、と言われたことがあるのですが、どうしてどうして。
謡のあまりに麗しい文体を追いかけて行く方が、私にはより感動的でした。古体の大和言葉ってどうしてこんなにも美しいのでしょう。

   瀧つ流れは白玉の 音ある水や 貴船川 水も無く見えし大堰川 
     それは紅葉の雨とふる 嵐の底の戸無瀬なる 波の名にや流るらん
       


こういうのを意味はわからなくとも口に出して小学生当たりに読ませたらいいのに!と真剣に思います。(少なくともへたくそな発音の英語を習わせるよりは、はるかにマシ)

麗しの鴨御祖の天女の舞、荒ぶる超カッコイイ雷神=別雷、、、
次「賀茂」を見ることができるのは何年先かしらん、、、、

次の演目は「三山」。
香具山に住むなにがしの男が、耳成の桂子と畝傍の若い桜子を二股掛ける、大和三山の三角関係の神話を題材にしたもの。
愛は若い桜子にうつり、桂子は嫉妬に狂います。それぞれ手に携えた桂の枝、桜の枝で打ち合う後妻打ちの場面が印象的。

ここで「後妻(うわなり)打ち」という言葉を再確認。中世頃の風習だそうで、離婚した夫が新たな妻を娶ったとき、先妻が後妻のもとに押しかけて乱暴狼藉をはたらくという慣習のこと。
夫をうばわれた前妻にフィジカルな鬱憤晴らしをさせ、メンタルなマイナス感情を昇華させようとした昔の人の知恵かもしれません。

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これはパンフレットを買ったらもれなくついてくるクリアファイルなんですが、なかなかのスグレモノ。裏と表にそれぞれ桂子、桜子がプリントされていて、透かすとふたりが打ち合っている場面になるのです♪

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さて、演目が進むにつれあたりは暮れていきます。薪の燃える煙もただよい、夜風は少し寒いくらいです。

狂言は大蔵流「首引き」。
先だって、茂山千作という巨星をうしなった茂山一派の出演。普段は直面(面をつけない)なのが狂言ですが、この演目はめずらしく主人公が人ではない鬼なので、鬼の面をつけています。

最後の演目は「大江山」。
かの有名な源頼光の酒呑童子退治の話。
前場で、慈童の面に長い髪ででてきたどちらかといえば神仙の風貌をした酒呑童子が、後場で鬼の本性をあらわすわけですが、一体どこから入ってきたのか全然わからなかった!
舞台には組み立て式の寝床をあらわす簡単な舞台装置があるだけなのに、突如、ここから鬼形の後シテがあらわれたのはまるで手品みたいでした。けっこう現代劇もビックリ!な演出があったのですね。

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かくて夜も更け、今年の薪能は終わったのでありました。

<参考>もっていくと便利な物

1)防寒具(6月は夜はけっこう冷えます)
2)双眼鏡(後の席しか空いていないときは必須)
3)軽食(ばりばり見ながら食べるのはNGですが、時間的に晩飯くいっぱぐれます。幕の合間にちょっとおなかのふくれるものを口にしてお家に帰るまでの血糖値を維持しましょう)



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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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