fc2ブログ
topimage

2013-06

楽美術館鑑賞茶会〜水無月2013 - 2013.06.13 Thu

長次郎の黒楽茶碗「万代屋(もずや)黒」。写真で見ると、かせた小ぶりの茶碗で、長次郎が利休とであってまなしのころ作られたのではないかといわれる。利休の究極の小間の茶室に見合う、これこそ侘びを体現しているのではないかと思われるすごい茶碗です。(利休から娘婿である万代屋宗安に与えられたために万代屋黒と)

IMG_1509.jpg

楽家にとってもこれは宝物。いままでわかっているかぎりでこの茶碗でお茶を点てたのは、当代楽さんと、、、、
なんと!!海老蔵さんと藤谷美紀さんだけなんですって!
そう、年末公開予定の映画「利休にたずねよ」で利休を演じる中、この本物の万代屋黒を使ったのだそう。(藤谷美紀さんは妻の宗恩を演じられた)これはどうしても公開されたら見ないわけにはいかないですね!

IMG_1510.jpg

というような楽しいお話しも聞けるので、ちょくちょく参加させてもらっている楽美術館・鑑賞茶会です。

IMG_1511.jpg

今回の席は現在美術館で展示中の「歴代名品展」にちなんで、歴代のタイプのちがったお茶碗でお茶をいただくというテーマ。
床の軸は表千家・碌々斎(11代明治の頃の家元)の醒ヶ井の歌、「雨ふりて、、、」という梅雨のころにふさわしいもの。
花は竹の釣船をぐっと床にちかいところまでたらして(これ、斬新というかすてきだった!)、庭の十薬(ドクダミ)、ムカゴのツルをいけてありました。庭のあちこちで咲いて往生している十薬なのに、茶席に一輪あるとどうしてこんなにぴりっとかっこいいのでしょう。なにも珍しい花を買う必要はないのですね。
鎖も南鐐だったし、やっぱりすごいわ。

IMG_1514.jpg

これはエントランスのところの花ですが、館内の花もこの花も楽さんご自身がいれておられるとか。すてきやわ〜:*(〃∇〃人)*:

IMG_1517.jpg

お菓子はいつもたいてい聚洸さん。この日のお菓子は葛製「風の音」でした。(聚洸さん、予約なしではなかなかお菓子買えない人気店舗なんです)

楽さんのお話を聞きながら、それぞれ一服いただいたあとは、登場したすべての茶碗の恒例のおさわりタイム(?!)
直接手にとって、なでなでして手取りを確認することができます。いつもはガラスケースのむこうなのに。

1)5代宗入 黒平茶碗 「古池」 かせたイメージはなく、黒釉はつやつやして、300年前のものとはとても思えない。

2)10代旦入 赤楽 長次郎「白鷺」写し 私はこれでお茶をいただきました。ちょっと筒のようで、本歌と同じく手びねりの指のあとがはっきりしていて、楽さんは、長次郎の本歌の、この指あとにご自分の指をあてて、その時にいいしれぬ感動を覚えられたそうです。

3)11代慶入 萩 明治初頭、茶道などの伝統文化が一時廃れて大変なとき、碌々斎の地方まわりに同行した慶入が萩で、萩の土、窯をつかって焼いたもので白っぽい釉薬。苦労された時代のものなのですね。

4)13代惺入 織部写し 「緑水」  楽にはめずらしい織部。緑の釉薬がけっこうヴィヴィッド!

5)14代覚入 流水紋赤楽 「翠湖」 横縞の筋に白い刷毛がさっとはいっていて、まるで水のしぶきのようにみえる。

6)当代 赤楽平茶碗 「鳴澤」 わりと最近のお作のようです。あの特徴的なごつごつとした篦目がすごい。でも焼貫タイプよりは形は乙御前に似ておとなしめ。どこからのもうかと悩まなくていい。でも赤とも見え黒とも見える釉薬はしぶくていいなあ。

お客さんには若手の陶芸家もおられて、作陶するときに一番大切な物はなにか?なんてけっこう重い質問をされていましたが、ていねいに答えられる楽さんはやはりすてきです。

IMG_1512.jpg

茶会のあとは展示も拝見。
今回入って直ぐの所にご長男、篤人さんの赤楽茶碗が飾ってありました。これも乙御前に似た若々しいお茶碗。先日出版された「楽歴代」の本も解説を篤人さんが書かれるなど、いよいよ楽16代目を継ぐ方として活動開始されているのですね。でも当代の楽さんにもっと長く活躍してほしいけれど。

IMG_1521.jpg

で、ほしい、ほしいと思っていた、その「楽歴代」、ここで購入しました。ついでにこれも好きな光悦の本まで買っちゃった。

IMG_1519.jpg

美術館を出て、まっすぐ烏丸の方へ歩くととらや菓寮一条店があります。
いつもこのあたりにくると、ここでむしやしないをしたくなるのよね。店内は観光シーズンも一段落して静かでゆっくりできました。

IMG_1518.jpg

お菓子を食べずに私がいつもいただくのは青豆ご飯(冬は小豆ご飯)セット。
ごちそうさま〜!


NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

最新コメント

プロフィール

しぇる

Author:しぇる
京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

最新記事

カテゴリ

未分類 (14)
茶の湯 (385)
茶事(亭主) (82)
茶事(客) (171)
茶会(亭主) (17)
煎茶 (9)
京のグルメ&カフェ (94)
町家ウォッチング (10)
弘道館 (7)
岡崎暮らし (108)
MUSIC (4)
能・歌舞伎 (65)
京都めぐり2023 (29)
京都めぐり2022 (29)
京都めぐり2021 (30)
京都めぐり2020 (19)
コロナ緊急事態宣言下の京都2020 (12)
京都めぐり2019 (28)
京都めぐり2018 (20)
京都めぐり2017 (30)
京都めぐり2016 (34)
京都めぐり2015 (34)
京都めぐり2014 (39)
京都めぐり2013 (36)
京都めぐり2012 (6)
本・映画 (14)
美術館・博物館 (138)
奈良散歩 (128)
大阪散歩 (1)
着物 (8)
京の祭礼・伝統行事 (60)
祇園祭2023 (9)
祇園祭2022 (11)
祗園祭2021コロナ下 (5)
コロナ下の祇園会2020 (1)
祗園祭2019 (18)
祗園祭2018 (11)
祗園祭2017 (17)
祗園祭2016 (18)
祗園祭2015 (16)
祇園祭2014 (13)
祇園祭2013 (14)
修二会2023 (10)
修二会2022 (8)
コロナ下の修二会2021 (6)
修二会2020 (5)
修二会2019 (3)
修二会2018 (4)
修二会2017 (4)
修二会2016 (3)
修二会2015 (3)
修二会2014 (3)
修二会2013 (3)
その他の町散歩 (10)
京都和菓子の会 (4)
ソウル紀行2023 (3)
イスタンブール・カッパドキア紀行2013 (8)
英国田舎紀行2015・湖水地方とコーンウォール (7)
パリ紀行2014 (7)
ノルウェー紀行2016 (4)
古筆 (1)
ポルトガル中部〜北部紀行2017 (7)
京都でお遊び (13)
ギャラリー (4)
暮らし (13)
中国茶 (48)
京都の歴史・文化について勉強 (3)
過去ブログ終了について (0)
猫 (1)
滋賀さんぽ (21)
オランダ・ベルギー紀行2018 (9)
ニュージーランド紀行2019 (9)
台北旅行2018 (3)
高野山 (2)
骨董・工芸品 (1)
東京散歩 (2)
諏訪紀行2021 (4)
金沢さんぽ (1)
御所朝茶 (4)
有田2022 (1)
熊野三山巡り (2)
兵庫さんぽ (1)
太宰府 (2)
丹後旅行 (3)
仕覆制作 (3)
信州旅行2023 (2)

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR