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2013-09

平安神宮煎茶献茶祭茶会2013 - 2013.09.30 Mon

9月の最終日曜日、毎年平安神宮では煎茶献茶祭とそれにともなう6流派による煎茶席がもたれます。


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よいお天気に恵まれた一日。こちらで煎茶席券を購入。2席で2000円。4席以上券を買えばはいれますが、煎茶とは言えお茶ですから胃のためを考慮すると2席までが限度かしら??


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神苑では数々の秋の花が咲き乱れていましたが、なかでも萩の花はまっさかり。


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左手の塀の向こうが交通量の多い丸太町通りとは思えないくらいの森でしょ?


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泰平閣。
さて入席券をもって広い神苑内を茶室をもとめて、どこに行こうかなと考えながら逍遙。池泉回遊式庭園のこちらは見事なので、歩いているだけでも楽しいのです。


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今年献茶を担当された小川流の茶席がある貴賓館。ただし今年は献茶担当だけあって一番人気ゆえ、待ち時間があまりに長いのでスルー。

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勅使館の泰山流のお席に入りましょう。
泰山流は大正時代につくられたまだ新しい流派のようです。


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煎茶席のしつらえ。
私も煎茶を習った、、、というにはおこがましいのですが、ごく短期間だけ某流派で習いました。煎茶道の概略を知りたかったので。(それ以上深入りするにはちと時間不足)
煎茶道は現在100以上もの流派が林立するのですが、基本、茶道より自由闊達で制約が少ない。清風を旨とし、文人好み。禅宗思想よりは老荘思想を重んじます。


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こちらの流派では煎茶道の炭点前なるものを初めて拝見。炭斗や、羽根を使う所は茶道と同じなんですね。ただしお道具がより小さくてかわいい。
茶葉の濃縮エキス、おいしく頂戴いたしました。


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掛けてある軸は漢文で菊の花の文人画。ようわからんが、菊の花を愛で、世間とはなれてくらす心はすがすがしく、唯一の友はお酒、、、云々だと解釈しました。なるほど煎茶的。
花がこんなんですよ。石榴の実のついた枝をがさっといれただけ。でもこれは良いヒントになるなあ。


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さてこちらを後にして、神苑を逆戻り、西苑にある澄心亭へ。


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ここは毎月いろんな茶道の流派が月釜をしているところなので何回かよせてもらっています。平安神宮内の唯一の独立した素敵な茶室です。


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こちらは売茶本流のお席。煎茶道の祖、売茶翁の名をとっていますが流派としては幕末ごろ成立のようです。


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こちらで特徴的なのは、お点前さん始めみなさんがこんな前掛けをされていること。めずらしいのでお聞きすると、これは「腰衣(こしごろも)」といって清浄を表す布で、(ご不浄へ行くときはもちろんはずす)扇子のかわりにつけるものだとか。う〜む、いろいろあるんだなあ。


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こちらが点前座。道具に関してはどの流派もおおよそ似通ったもので、茶道の道具ともかぶっています。


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お菓子は本家玉寿軒さんの「こぼれ萩」。流派によっては一煎目と二煎目の間にお菓子をいただくのですが、こちらの流派は茶道とおなじくお茶の前に。


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こちらも茶葉のエキスがぎゅっとつまったおいしいお茶を頂戴す。茶碗は祥瑞ね。


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この床飾りもユニークで煎茶らしい。石榴はともかく、百合根やなた豆まであるんです。びっくり!
このアイデア、茶室にも使えないかしら。


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茶道に比べて煎茶道を嗜む人は人数的には少ないとおもうのですが、この日は煎茶をされるご婦人方殿方がたくさん神苑に集われたようで、煎茶道もすてたものではありません。
実は私、涼炉をはじめ煎茶道具を大方手に入れてしまったのです。(^◇^;)
習いに行くのは時間的に無理としても、いつか茶会の後段などで利用できないか、考えちうですの。f(^ー^;



月見月雑記2013 - 2013.09.26 Thu

<その1> 梨木神社

御所東の寺町通り。

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沿道にももう萩が咲いています。新島襄と八重さんの家もこの通りにあるんですよ。(現在は要予約)


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最近、境内にマンション建設の計画がたっている話題の梨木神社。本殿などの修復費用捻出のため境内の一部をマンション建設に切り売り。(正確には売りではなくて60年の貸し出しらしいが)


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この駐車場がその該当地か。なんと参道のど真ん中!えらいこっちゃ。しかも御所に隣接、なんとかならんかったのかな。で、鳥居から神社までの参道がつぶれるので、脇から入る参道をあらたに工事中。鳥居はマンションの前に残るのでしょうか。なんともちょっと不格好、、、


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これは先週末おじゃました萩まつりの時の写真。盛りにはやや早めだったかもしれません。萩まつりの時にはこうして参拝の方々が短冊に歌を書いて萩にくくりつけるのです。お茶席もありますよ。


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境内には、京都三大名水のひとつ、染井の井戸。千年も前からでているこの水量豊富な名水をいただくため、たくさんのひとがおいでになる。かくいう私もたまにいただく。せいぜいペットボトル1本ぶんですが。(ちなみに萩まつりの間はclose)
ちなみに梨木神社ではいくつかのお社中がお茶の稽古をしてはる。毎回お稽古が名水なんて、贅沢なはなしですね〜。

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計画中のマンションは地下1Fもあるらしいので、この水脈が切れないか、それがとても心配。この日くんでかえった名水は抹茶に、珈琲に。なんだかおいしいような気がするのよ(^_^)b水道水より。



<その2> それから


先週は梨木さんに2回もいってしまいましたが、その帰りに2回ともたちよった隠れ家(?!)

ブロ友の高兄さんが書いていらした内緒のカフェをさがしあてましたの(^。^)b


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ろうじの奥に、、、
高兄さんもナイショにしておきたいようだから、以詳ないしょ。(ただし、遠方からこられたお客さんもそのたびにいたから、口コミおそるべし!)
あえていうなら、ここは以前「それと・な」という骨董のお店だった。

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昭和へタイムスリップできる、雰囲気を楽しむ町家カフェ。薄暗い照明も良い雰囲気。それでも改修にかなり手をいれられたそうだですが、その痕跡をまるで感じない。昭和の初期からそのままここへずっとあったような、、、、

カップやストローホルダー(!!)なんかはわれわれが小学生時代に家にあったような懐かしいブロカンテ。私には懐かしく、若いお客さんにはものめずらしいでしょう。


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町家好きにはたまらんタイルの流しが泣かせる。
さりげなくおかれた骨董の器も良い感じ。これも売り物だとか。お店の方はグラフィックデザイナーというお話しですが、とてもよい感じの方でした。寺町散策の楽しみがまた増えましたわ。


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まあ、見つけて下さい。
難易度高いけど見つけたらきっと楽しいよ。



<その3> 高瀬舟


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木屋町の高瀬川の一の舟入あたりに人だかりが。


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聞いてみると昨年秋、老朽化のため撤去された先代の高瀬舟にかわって、この日新しい高瀬舟がはいったんだそうな。(もちろん動かないよ。繋留されているだけ)いいとこ見られたな。
この週末は高瀬川舟祭があって、舞妓によるお茶席など様々なイベントが催されました。(賑わいをのぞいただけでしたが)すぐそばの島津創業記念館も無料開放されたそうですよ〜。



<その4> 着物まわり


この夏は暑くてあづぐて、、、、例年より着物を着る機会は少なかったですねえ。

着物を着るときに悩むのは髪型。思い切ってショートにしても着物にはあうのだが、できれば簪なんかさしたいしな〜。ちょっとしたお出かけやお稽古などでばりばりに髪を作るのはめんどうくさいし。
で、今年重宝している手抜きアップ。



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髪を三つ編みに編み込んで、毛先はクリップでとめるだけ。(あんまり芸なかったかしらね、、、)これだと小さい簪くらいはさせるのよ。ちなみに着物は汗だくで着ている単衣。

ついでなので着物まわりとしてお気に入りの和装バッグをのせておこう。(^艸^)


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伊と幸さんで誂えてもらった小紋着尺のあまり布でこしらえたバッグ。容量が大きくとても満足。模様は雪輪とウサギ。


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南座の前の井澤屋さんで衝動買いした葡萄のバッグ。これからのシーズン、活躍してもらわねば。


<その5> NODA HORO


ホワイトシリーズが人気の野田琺瑯さんのほうろう製ストッカー。


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前からこの清潔感と、入れ子状になっていて、使わないときはコンパクトにしまえることと、スクエアタイプは狭い冷蔵庫での整理が楽そうなことで、欲しい欲しいと思っていましたが、ついにゲットしました。
プラスチック製のものはちょっとチープな感じがするのと、なかなか汚れが落ちにくい難点があったので、この際琺瑯製に変えてみました。さっそく大きいのは合わせ味噌、小さいのは白味噌、もっと小さいのは干し梅、、、などいれてご満悦です。このまま火にかけられるし、琺瑯は鉄なので冷蔵庫ではよく冷えます。人気があるのもわかる気がする。

ちなみに左手前の小鹿田焼(おんたやき)のお皿は同じお店で見つけて、その飛び鉋のあまりの美しさに衝動買いしてしまったお皿。これも重宝してますの。


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これらをゲットしたお店はご近所の熊野神社近くにある生活用品と器の店ロクさん。

ここはね〜、昔住んでたときケーキ屋さんのセカンドハウスだったとこなのよ。

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しかもこのビルの地下は学生時代ご愛用だったジャズのライブもやってる居酒屋ZAC BARANが。まだやってたのね〜!看板も昔のまま。さすがに看経年変化があるけれど。このほぼ真向かいの丸太町の向こうには、最近リニューアルオープンしたジャズ喫茶YAMATOYAもあるし、なつかしいエリアなのだ。


<その6> 如心納豆


これも熊野神社エリアにある和菓子の千歳屋さん。昔からあるのは気づいてたけれど、地味〜なお店だし気にも止めていませんでした。ところがここには知る人ぞ知る銘菓があったのです〜!


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如心納豆。
大徳寺納豆を豆粉でくるんで粉砂糖をまぶしたもので、これはも〜後をひいてやめられないとまらない状態になるほど。表千家七代目如心斎が大徳寺納豆が好きだったようで、この名前が。なので表さんではよくでてくるお干菓子なんだとか。ひとつひとつ手作りで大量生産ができないので、ちょくちょくのぞくようにしないと手に入らないかもよ〜。



、、、とぐだぐだ雑文を書いている長月の夜長なのでした。

月見の夕ざりの茶事〜じない町・峯風庵 - 2013.09.24 Tue

富田林・じない(寺内)町は江戸時代の街並みがそのまま残っている町。


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奈良の今井町に比べると規模は小さくコンパクトですが、普通のくらしにより根ざした街並みを楽しむことができます。なのであまり宣伝もされない。


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歩くたびに芝居の書き割りのように現れる江戸の街並みを楽しむのは大好き。


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ここへ来るのは3回目。前回は今年2月で茶飯釜の茶事を楽しみました。


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今回は夕ざりの茶事へ。右手にある築100年以上の古い古民家が、会場の峯風庵さん。
主幹のMさんは、とっても素敵な尊敬するお茶人さんのひとりです。


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露地の準備はできあがっているかな?ちらっとのぞいてお家にあがります。

待合には「鴎外の心にとめし 聲 道をいく」の野菊の色紙が。鴎外の時代にこの峯風庵が建てられたからだそうです。

御連客は総勢5名、初対面の方ばかりながら、お茶の話をはじめるとみなさん話題に事欠きません。これも大きな茶の功徳。早くもよいお席になりそうな予感です。

夕ざりは正午の茶事と夜咄のいいとこどりで、客にとっては両方の雰囲気が味わえるほか、亭主にとっては夜咄ほど道具(燭台などいろいろ)がいらないなど、人気の茶事です。
暮れ始めの涼しくなる頃から開始で、帰る頃に名月に送られて、、、というので9月頃は夕ざりに似つかわしい。(もちろん、四季をとわずできます)

汲み出しにお湯をいただいて露地の腰掛け待合いへ。空はまだまだ薄暮。火入れにはウサギ。今月は月見月ですものね。

席入り。

本来初座の床は掛け物ですが、夕ざりは花になります。(暗くなる後座では見えなくなるし。)
花入は江戸時代の虫籠を見立てた物。じない町にたくさん見ることができる虫籠窓(むしこまど:町家の二階の窓の意匠としてよく見られる)になぞらえて。花は縞葦、吾亦紅、ホトトギス、白藤袴、紫紺。

こちらの茶室はMさんの工夫で、畳の上に正座ではなくて37cmのちょうど膝の位置に来るテーブル(古いお蔵の内戸)に椅子なのでとても足が楽。しびれを気にせずに楽しめるのは大きい。亭主も足をもぞもぞ苦しそうにさせている客人をみるとツライものです。

初炭。

炭斗が笊の両側がウサギ〜!になってました。バリ島の雑貨だそうですが、古民具といってもいいような古色があってすてきです。こちらの釜は長火鉢に懸かっています。炉の季節は炉のように四隅に灰をかきあげ、風炉の季節はなんとも複雑、丸灰と向山などを合わせたような、、でも美しい灰型になっていました。Mさん考案だそうです。ちゃんと月形も切れます。香合はこちらにちらっと顔をむけた鈴虫蒔絵。

さてさてお待ちかねの懐石。すべてMさん手作り。しかもいつも料理のアイデアがすごいので勉強させてもらっています。(懐石料理の教室もされています)


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お汁がほら、満月なんですよ〜。思わず頬が緩みました。向付は鯛のお造りに煎り酒(酒に梅干しをいれて煮きる)をかけたもの。こんなのをいただいていたら、思わず話もはずみますよね。

煮物椀は日月椀ですから、ここにも大きなお月様。ハモしんじょうに松茸付き。

焼きものとして大きな丸いお月様のような天ぷらが出てきて、なにかしら?と思えばなんと!イチジクのまるごと天ぷら+田楽味噌添え。これは揚げたてがお菓子のようでとてもとってもおいしかった!(あまりにおいしかったので、翌日自宅の夕食に再現)

強肴は、高野豆腐を切った切りくずを始末して具をいれて甘辛く炊いたもの。江戸時代のじない町の人はこうしたものを日常に食べていたとか。旧家、大家といえども、ハレの日は思い切り贅沢をするけれど、ケの日はこうして質素な暮らしをしていたそうです。


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そして八寸がまたまた感激。小芋の炊いたのにきな粉をまぶしたまんまるお月様。そして海老をくるっと巻いてしっぽを身に突き刺して作ったウサギ!
千鳥のお酒もどんどんすすもうというもの。御連客とのおしゃべりも楽しく、そうこうするうちに日は落ちていきます。
お菓子はじない町の和菓子屋さんの練り切り「青柿」。中の餡がうすい柿色で、表面から透けて見えて、青柿ながら実りの秋はすぐそこ、、、といった風情。


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中立をすれば露地にはもう手燭と、、、


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おキツネさんの灯りがあちこちに。

ここからが幽玄とも言うべき夜咄パートへ。

茶室は電灯は消され短檠の灯りがゆらゆら。床脇にはウサギがちょこんと乗ったアンティークな燭台。手燭をかかげてみる軸は円相。この座で見ると、まるで満月。
こうこうとした電灯に慣れたわれわれには、この和蝋燭の灯りとそれが作るゆらゆらした影が、なんともあたたかく、妖しく、そして美しい。

濃茶は白い萩茶碗でいただく。茶名が「壺中の昔」(祗園辻利)。このじない町を別天地=壺中とみたててとのこと。軸の円相はその壺の入り口を表しているととってもOKとのこと。
付いてきた古帛紗がじない町の旧家からでた着物の一部だったらしき木綿、それをご自身で縫われた物。一見マドラスチェックのようにモダンでありながら、○○間道といわれればそうとも見えるという不思議な生地でした。
仕覆はもちろん花ウサギ。

お点前されながら、この古民家に出会ったいきさつなどを話され、じない町の歴史や今の暮らしについてもお聞きする。とにかくじない町へのなみなみならぬ愛情をひしひしと感じます。

お約束の続き薄で、お菓子は満月のようなじない町煎餅、そして手作りの落雁は舟。このじない町は石川・大和川の水運で開けた町なのでそれにちなんだ舟。う〜〜ん、あふれる寺内町・love!


薄器が桶型。昔は桶に水をはって名月を映したそうだから。茶杓はみなさまの幸いを祈って「幸」。
もうすっかり幸いな心持ちになって露地にでてみると、、、まあ!おキツネさんの灯りがさらに増殖!とてもすてきな夜になっていました。


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お見送りを受けて退出した後、すぐそばの展望広場で御連客の皆様と月を愛でる。ここはほんとうに高台なのだな、とわかる見晴らしの良さ。月も雲間から瞬間その姿をみせてくれました。


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すこ〜し欠けた18日の居待ち月。薄雲の衣をまとって。
「月も雲間のなきはいやにてそうろう」という珠光の言葉を思い出したり。



駅までの道も、道灯り。提灯をもった人とふとすれ違いそうな錯覚を覚えます。


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こんな灯りに送られるなんて、さらにしあわせ。Mさん、ありがとうございます。
また寄せてもらいます。
そして、あわよくば自分も夕ざりしてみようかな、、、なんて野望もいだき、、、(^_^;

(◎-◎;)!あ、大切なこと忘れてた!Mさんとこの猫、一期(いちご)ちゃんに会えなかった、、、(涙)




ISO乙女会〜祗園・Le Sarment D'or - 2013.09.23 Mon

それぞれに忙しい春、夏をすぎて、ようやくおちつきをとりもどす季節、久々のisoji乙女集う、ISO乙女会開催です。(要するに幹事=私の怠慢によるいいわけ、、、、)


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場所は芸妓はん、舞妓ちゃんも行き来する、宵の祗園は新橋通り。


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祗園のシンボル辰巳神社の真ん前の、、、


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こちら。
Le Sarment D'or

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白川のほとりのなんといったって、場所が最高やね。


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コチラの建物はもとお茶屋さん。(芸妓舞妓さんをあげて遊ぶとこでっせ)こんなロケーションなら、京都のなだたる店の旦さんも通いがいあがあったでしょうねえ。


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おひさしぶりね、の皆様。久々とあって、現在NYのキレミミ様以外のフルメンバー。みゅう様、花咲おばさん様、夢風庵様、凡蔵母さん様。遅めのご来店のぽん様が写ってません。(ごめん〜〜m(_ _)mなさい!)

後にワインの棚が見えますように、こちらはワインストックが豊富。

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ポルチーニ(きのこ)のスープにフォアグラのせ。

実はここのオーナーは天橋立のワインで有名なお宿、千歳さんのオーナーなのです。


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手長海老。ナントカ(フランスの食材?ぽん様あとはよろしく〜)で巻いて揚げてある。さくさくの食感がおいしい。

今年の2月そらいろつばめ様に千歳のカフェにご案内いただいた時に、お話しをきいたのですが、天橋立にワイナリーまで作って、ワインストックはなんと2万本以上、、、というからはんぱではありません。


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スズキ。(より高級なヒラスズキ、、、だったと思う(^_^; )付け合わせがトマトとプチ茄子でこれがおいしかった!

で、ワインリストは高級品ばかりで、一番お安いボトルでも1万円前後。なので大酒飲みもいる会にしては皆様、1〜2杯でうちどめ。(^_^; おいしいのですけれどね〜。


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お皿や、カトラリーも高級感あふれるよい感じで、お肉のカトラリーだけ、ラギオール(オリジナルはフランスのラギオール村製)。シンボルはミツバチ。(くれぐれもハエだとかセミだとか言わないように)


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メインディッシュの仔牛肉はこの塊でロースト。切り分ける前を見せていただきました。


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切り分けた後。ソースはマデラソース。とっても柔らかくてジューシー、おいしくいただきました。

ところで店名のLe Sarment D'orはどういう意味でしょう。(英語、スペイン語は対応可ですがフランス語はちょっと、、、、)おそらく「黄金の蔓」つまりワインをつくる葡萄の蔓にかけてあるのでしょうか、、、と推測。


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フレンチらしくメインの後はチーズを多種。私はチーズはちょっと苦手。なのでカビ系や鮒寿司系(ウォッシュタイプ)なんて、とんでも(>_<)
からすみに似たミモレット(左から二番目)を少しだけいただく。多分チーズ好きなら全種きりわけてもらって、ワインでいただく、、、という感じなのでしょうねえ。


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デザート。ベネズエラ産のチョコレートムースとアイスクリーム。

しかし半年以上あいたというのに、皆様のご活躍はブログやFBで拝見しているので、全然久しぶりの気がしない!それぞれお元気で、自分の持ち場でしっかりがんばってはる。たまにこうして直にあって会食って関係、いいなあ〜とつくづく思います。


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最後のアミューズ。
抹茶のマカロン、アドベリー(安曇川産のボイズンベリー)のゼリー、ココナッツの焼き菓子、生姜のキャラメル、チョコ。(記憶違いならごめん!)

これからも皆様のご活躍をお互いに祈りながら、次回は忘年会で!とお約束して散会となりました。
これをはげみにまたがんばるわ!



名月管絃祭〜下鴨神社 - 2013.09.20 Fri

中秋の名月とて、今年はどこへ行かふ、、、、

一昨年は植物園・観月の夕べでめったにはいれない夜の植物園で望遠鏡で満月を見たし、昨年は退蔵院・観月茶会で台風が近づく中、月は見えなかったけれど茶会は楽しんだし。


今年はチャリを走らせて下鴨神社の名月管絃祭に行ってみよう。


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チャリをはしらす鴨川沿いの道、もう東山から出た名月がこの高さまであがってきている。
、、、秋月揚光輝、、、、


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出町柳あたり。さいわいなことに京都には神社仏閣無数にあるので、どこかしら名月の宴をやっている。毎年どこにいこうか悩むのだが、中秋の名月とよばれるのは1日だけ、まあ一箇所しか行けないわな。とはいえどこでどのように楽しんでも、名月は名月。

出町の鴨川デルタにもたくさんの月見の人がでていた。あれもいいなあ。


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といっているうちに下鴨神社、糺の森に到着。7月のみたらし祭以来、夜に来ることがなんだか多い。さすがに屋台の夜店はありませんが。


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糺の森の木の間から、もれいずる月の影のさやけさ、、、、あれ?(^_^;


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秋の夜長、名月を楽しもうとそぞろ歩きに出ている方はけっこう多い。

私はずっと「仲秋の名月」と思っていたけれど、正しくは「中秋の名月」。仲秋は旧暦8月全体のことをさすので(月名は孟・仲・季をつけて、例えば孟秋は旧暦7月、季秋は9月。春夏冬も同じ)その季節のどまんなか、旧暦8月15日その日一日を中秋というらしい。でも、もう混同されてどっちでもいいようになっているらしいが。



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舞殿では管絃祭だから、雅楽の演奏と舞いが披露されている。
いにしえより日本人は月見が好き。お隣の中国でも月見のお祝いで月餅を食べる。なのに西洋文化では満月は「狂気」のシンボルになっているのはなぜかしら。(luna=月 lunatic=狂気の)


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観月茶席が設けられているのだが、券は早々とお昼には完売していた、、というから指をくわえて見てるだけ。でも観月茶会というのに最高の室礼ではないか。


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花は萩、すすき。
お供えはもちろんお団子。


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といっているまに月は木の間を通り抜けて中天高く上り初める。


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月の高く上るを待つ風情。
月を愛で、虫の声を愛で(虫の声に関しては多くの西洋人にはただの雑音にしか聞こえないとか)日本人でヨカッタ、、、と思う。


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お月様へお供え物。


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管絃をもよおすその上さらに高く、のぼる名月や。


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私のカメラの解析力ではここまでしかみえない。コンタクトをはずすと、さらに天にぽっかりあいた穴にしか見えないのだが、それもまた一興。


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この日は月見団子にあたらなかったので、加茂のみたらし屋のみたらし団子を食す。おお、たくさんのお月様のような団子。


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帰宅して真夜中、南中する満月を家の窓から見る。満月が作る影は太陽の影とちがって今にも本体と違う動きをしそうで不思議。






千少庵展〜茶道資料館 - 2013.09.19 Thu

利休の賜死後、一時の配流(蒲生氏郷にあずけられた)ののち千家復興につとめ、三代の宗旦につないだ少庵。どうしてもそういうとらえ方(利休と宗旦の中継ぎ的な、、)になってしまう少庵がクローズアップされる時が来たようです。四百年忌だそうです。


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少庵はもともと利休の後妻・宗恩の連れ子(父親は能楽師の宮王三郎といわれる)、その子宗旦は利休の娘との間にできた子とされていますが、最近の研究では利休の娘と婚姻した、という証拠はどこにもないそうです。
なので現在の三千家は宗旦の血は確実に引いているものの、もしかして、利休からのDNAははいっていないのかもしれないそうです。(あ、これあんまり書くとやばいかもなので、このへんにしとこ)


利休には道安というれっきとした息子がいたのですが、同じく父親賜死ののちに飛騨の金森氏お預かりになり、許されて後、堺千家の祖となりますが、とだえてしまいます。
どちらの息子がすぐれていたか、というのはわかりません。地の利、時の利というものもあったでしょうし。利休としては、なんとかどちらか一方でもいいから、自分の茶の系譜を継いでくれればいい、という思いだったのでしょうか。



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いままでの解釈では少庵は早くに隠居して宗旦に譲った、ということでしたが、消息類や道具の来歴の研究によって、少庵は決してただただ中継ぎをしたのではなく、広い人脈をもって利休なきあとの千家の茶を、目立たぬよう、だがじわじわと、というストラテジーをもって拡大していった策士のようにも思えます。

さて、展示は少庵所持の道具や、作の茶杓、人脈の広さを思わせる消息類など。

消息類はともかく、道具に関しては利休所持で宗旦にわたった、だから少庵も所持していたはず、、、というのが多くて、はっきり少庵が所持していた、という道具は少ないように感じました。これも目立たぬように、、、という策略のうちかも。(なにせまだ秀吉はしばらく意気軒昂だったし)


明らかに少庵所持でその名も「少庵井戸(茶碗)」(MIHO MUSEUM)、入館券の写真にもなっているのですが、これはやはりすごかった。国宝・喜左右衛門井戸もかくや、というのは言い過ぎか。(実物見たことないし^_^;)
枇杷色の肌、貫入、梅花皮、雨漏り、竹節高台、正しく井戸というだけでなく、なんとなく揺らいだ姿がそれを手に取った数々の人々の手を連想させて感動。(茶を知らない外国人にはただのきちゃない茶碗にしか見えないかもです)

利休遺愛の鷲棗(わしづかみにできるくらい小ぶりの棗)はうっすら赤味をおびてきた漆が美しい。宗旦はこの棗を盆点てにして織田有楽をもてなしたとか。
その有楽を、茶匠上林(宇治の上林春松堂ですよ〜)へ少庵がとりついだことをしめす消息。
利休の塗師であった盛阿弥作、少庵所持の黒塗手桶水指は、何百年も前の物とは思えないほど艶やかで色気すら感じる。


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(呈茶席のお菓子は鼓月「秋のなごみ」)


長次郎の赤楽「太郎坊」の赤はかせてかせて、すごく渋い。そうそう、永青文庫の唐物茶入、利休尻膨もあった。
少庵の好み物(デザインとでもいうか)として、与次郎の雲龍釜(鐶付はよくみると確かにウサギ)、モダンなカーブした稜線の四方釜、さらにモダンを極めて最近のアーティストの作?ともみまごう三島写し四方水指、それからあの夜桜棗って少庵の好み物だったのね!透かして見れば、なんとか一瞬黒い真塗りの面にちらっと桜がみえるというあれですよ。ガラス越しではまったく桜は見えませんでしたが。


配流さきからもどってのち、利休の考えを基盤に千家を立て直すに当たって、「利休」の号の意味を大徳寺・仙岳宗洞和尚に問い、それに対して宗洞和尚が答えて書いた偈もある。漢文で意味が正確には読み取れなかったけれど。
宗旦が描いた道安(伯父さんにあたる)の絵。後ろ向きの僧形なのだが、なんとなく愛情が感じられて、その背景には道安と父・少庵のお互いへの敬愛の念も感じられる。下世話なことを言えば、先妻と後妻の子で、確執がなかったはずはないと思うけれど、ただ利休の茶を絶やさぬ、という共通の思いがそれを乗り越えさせた、、、とか?



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そして独楽香合。
渋い色で、一部松の彫りが入っている。会津の氏郷の元から許されて京へ帰ってきたとき、秀吉より拝領したもの。これを忘れず以後千家の紋は独楽になったそう。
利休の死後三年、秀吉の赦免の意を伝え、疾く京へ戻り千家を復興させるようと記した徳川家康、蒲生氏郷の連署状は「少庵召出状」として有名。今でも表千家・不審庵が秘蔵し、初釜の時だけかけられるそうですよ。
実はそれが拝見できるのです!→表千家北山会館にて開催中の「少庵ゆかりの茶道具展」で!
生きねば、、、ちがった、行かねば!(^_^;



<おまけ>

茶道資料館へ行くときはいつも通る水火さん。(水火天満宮)

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梅や桜が季節にはきれいです。

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いつもちょっと手をあわせていきます。

この日はこんな方も、、、


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「ゆんべの大雨で寝られへんかったさかい、今昼寝してんのや。じゃませんといて。」


夜坐体験〜東福寺塔頭・毘沙門堂勝林寺 - 2013.09.17 Tue

京都に移住前から願っていた移住してからしたいこと数々ある中で、いまだ果たせていないのが定期的に参禅すること、であります。茶道は基本精神を禅宗に依っているし、茶の湯をするその精神的バックボーンを禅宗にもとめるなら、参禅は避けて通れないと思うので。


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(東福寺塔頭退耕庵の上に十一夜の月)


その点京都はたくさんの坐禅会があるのはありがたいことです。、、、、が、、、、たいていは日曜日の早朝ですので、日曜日の朝寝がなにより貴重な(要するに早起きできない)勤め人としてはなかなかきびしくて、、、(いいわけいいわけいいわけいいわけ、、、、)


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(もうすぐ仲秋の名月ですね)


別に悟りをひらこうとか、己をみつめようとか、雑念を消そうとか、そういうのではないのです。曹洞宗でいうところの「只管打坐(しかんたざ)」ただただ座る。その果てに結果として見えてくるものがあるかもしれない。一生ないかもしれない。でも、ただただ座る。


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東福寺(臨済宗)塔頭の勝林寺で夜坐体験があったので、行ってみよう。


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勝林寺は東福寺の北側に位置するところから、北の守護たる毘沙門天になぞらえ「毘沙門堂」とも。ムカデの印は百足が毘沙門天の使い番だという説から。本堂は五摂家筆頭近衛家の大玄関を移築したものとか。


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まずはご住職から坐禅の組み方について御指導を受けます。

学生時代、心茶会(別名坐禅とお掃除倶楽部←ウソです)で坐禅はさんざんやったので結跏趺坐なんてかるいもんよ、と思ったら、、、、なんと!膝関節の経年変化で(>_<)ゞ、、、、痛くてできません。半跏趺坐で許してもらおう。それに若い頃なんともなかった背筋をのばす姿勢がちょっとツライ。背筋力も衰えているようです。


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手は法界定印(大日如来の手、瞑想の形)にして円相を作る。初心者向きには数息観(心の中でひと〜つ、ふた〜つと数を数えながら呼吸して精神を集中させる)。目は半眼で1mほど先を見る。(目を閉じちゃうと寝てしまったり、かえって雑念がわいてくるので)


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夜坐はいいですね。灯明のあかりだけなので、自然と意識が自分へむいてくる。雑念がまたひとつうかんでは消えうかんでは消え、、、、でもそれが自分だし。雑念がうかんでもそれにとらわれず、流れゆく車窓の景色のようにやりすごしなさい、という御指導。
数息観は苦手なので、邪道だと思うけれど庭で鳴く虫の音に意識を集中させてみる。う〜ん、やっぱり雑念ばかり浮かんでは消える。

三方を広い庭にとりかこまれた開放的なあるお寺の本堂で座っていて、ふと自分が庭と一体化したような気がした経験が一度だけありますが、あれは気持ちよかった。でも一度きり。

只管打坐、只管打坐。(ここは臨済のお寺だけれど^_^; )

警策(臨済ではけいさく、曹洞ではきょうさく)をかかげて音もなく道場を廻るご住職。希望者は合掌して打たれることを所望。
学生の時、導師は上回生でしたので、たまにへたくそが打つとただ痛いだけでした。入浴時背中を見たらバッテンのアザができていたりして。


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休憩をはさんで合計30分座ったあとは、お抹茶をいただき、通常は秘仏として公開されていないご本尊、平安時代の伝・定朝作、毘沙門天立像をおがませていただいた。夜のとばりが下りてのちの灯明だけでてらされた毘沙門天様は上品ながらすごく迫力があります。踏んづけられた邪鬼の無念そうな顔もまた印象的。
脇侍は毘沙門天の妻とされる吉祥天と、ふたりの御子とされる善膩師童子。


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定期的にはいまだ無理としても、また機会があったら座りたい、、と思いつつ帰路につきました。ああ、お外真っ暗。広大な東福寺境内を夜歩くのは貴重な体験ながら、、、ちょっとこわかった…>_<…



白露の候、知恩院から白川沿いに歩く - 2013.09.16 Mon

まだまだ暑い日が続く京都ですが、日陰にいるとたしかに秋の気配を感じます。気持ちがいいので知恩院さんから白川に沿って北へ歩いて帰りましょう。

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京都らしい人気のスポット、行者橋。
比叡山延暦寺の千日回峰を行う行者が渡る橋だからそういう名前がついたとか。ここを過ぎると古川町商店街がはじまります。


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あ、あったあった!TVドラマ「京都地検の女」のポスター。


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さすがにここにもありますね。だって名取裕子さんが演じる京都地検鶴丸検事さんはこの古川町に住んでるって設定なんですもの〜。


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ほら、右手の白い小さな看板の向こう、オレンジ色の日覆いの下に、鶴丸検事とご近所の主婦友たちがたむろするジュースバーがある、、、、ことになってます(^_^;)


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このあたり入り組んだろうじもあって、のぞいて歩くとけっこう楽しい。自家用車、車庫、なんて関係ないろうじの生活。楽しいかも。でも不便かも、、、、と文明に毒された私は、、、^_^;

この看板が京都らしくていいでしょ。多分グーグルマップなんかで検索してでる○○町というのは、聞いてもかえってわからなくなる京都の住所表示。


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こういうふうに突き当たりにお地蔵さんの社があるろうじもたくさんあります。


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遠景。入り口の上の方にこのろうじに住む人たちの表札がならんでいます。


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白川沿いにはこんな町家がまだ連棟で残っているのです。


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そうそう、もう来月には粟田神社大祭なんだ。このあたり粟田神社の氏子町内。
剣鉾(御霊会の原始的なかたち)がたくさんでるので、剣鉾がかたどってあるのね。昨年は夜渡り神事をみましたっけ。知恩院前の(宇宙から来たといううわさの)瓜生石のまえでくりひろげられる神仏混淆の神事は興味深いものがありました。

*今年は10月13日。


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三条通南から見た白川。左手のマンションが景観ぶちこわし〜〜-_-#


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三条通南、白川の西には昼も利用できるBarうえとさんがあります。雰囲気は抜群、ただしマスターとの距離の取り方を測りかねているとこ。


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三条通を越えて、ホタルの名所。映画「マザーウォーター」にもでてきた名所で、この小橋の上で少したたずむのが習慣。ちょっと癒される。


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あら〜!!(例の夏向きの家の北側)

あの雰囲気のよかった川沿いのお家が〜〜\(◎o◎)/!え?壊されるの?


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外構はなんとかそのまま残っているけれど、中味はがらんどうに。


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でも外構補強をしているところを見ると、外見はそのまま残るのかな。白川べりでけっこう良い味出してた建物だけに通りかかった人が5〜6人集まって井戸端会議。どうか残して〜、、、外見だけでも。


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さらに北へ。


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水草なびく白川沿いの道はとても気持ちがいい。人間は、水がなければ生きていけないから、水辺近くがおちつくのだそうです。確かに。このあたり、白川、疏水、鴨川とたくさんの水辺にめぐまれているなあ。


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李朝骨董専門の祇園精舎さんの最近できたばかりの白川支店。こっそり密かにやっている感じはよいのですが、いかんせん、開いているときに行きあったことがない。しかも左隣の良い感じの町家(実は近々開店予定のウエディング&レストラン準備室)に間違って入ってしまうし、、、、(そういうひと多いらしい)


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あ、もう右手の木立のむこうに、ちらっと平安神宮の大鳥居の朱色が見えてきました。


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鳥居のよこの市立美術館。この前にはりっぱな山法師の大木があって、6月頃、清楚な4弁の白い花を一杯つけるのですが、実になる確率は低い。でも、見つけました。ちょっと苺のような赤い山法師の実。
さあ、おうちまでもう少し。





「ようこそ、観阿弥さん〜自然居士」〜京都芸術センター - 2013.09.13 Fri

夜の学校って独特の雰囲気ですよね。

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こちら、いまはもう学校ではありませんが、平成5年まで明倫小学校であった建物です。現在は建物はそのまま残され京都芸術センターとして活躍中。


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独特の雰囲気の夜の校庭。(正しくはもう校庭じゃないけど、、)



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教室をそのまま利用したカフェ(前田珈琲)もあるんです。


観阿弥


こちらで行われている素謡(すうたい)の会、「ようこそ、観阿弥さん」、観阿弥・世阿弥のおとうさんの方ですね。観阿弥の作品とわかっているものの中から、今回(第2回)は「自然居士(じねんこじ)」。

素謡とは能楽の詞章を朗読の形態で謡い情景を表現するもので、能楽師たちは床に坐して謡うので、衣裳もなければ舞いもない、言葉だけでその世界を頭の中で想像するというかなり高度なものを要求される芸能。
実はわたし、「自然居士」を前から見たいと思っていて、タイトルにとびついたのですが、素謡とはシラナカッタ(^_^;   なので素謡初体験。でも京都では古くから旦那衆のたしなみのひとつだったんですってね。


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会場は芸術センターの大広間。もとは自彊室(じきょうしつ)だったらしい、格天井の格調高い78畳の座敷。京都の古い小学校にはたいていこんな大広間があったのかな。元・立誠小学校にも同じような大広間があったし。

はたしてこんな催しにどれだけの人が来るのか???と思っていましたが、老いも若きも(どちらかというと平均年齢高いけど)男も女もけっこうおいでではないか。会場はほぼ満席。これが京都の文化の底力か!と舌をまきました。他の都市ではこんなに集まらないと思うよ。


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まずはナビゲーターの田茂井廣道さん(観世流シテ方)の解説を聞きます。「自然居士」の聞き所、言葉に掛けられた意味、などわかりやすく解説してくださいます。

一般的に能は前半にわけありげな人物がでてきて旅の僧などに話をして、後半に実はその人は(多くは)悲劇的最後をとげた故人の亡霊で、自分の生前を語り、供養を頼む、、、というケースが多いと解釈しているのですが、「自然居士」はまったくちがい、ハッピーエンド。


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しかも物語の終盤に息もつかせぬ芸づくしがあるという動的な演目なのです。

物語は、、、

雲居寺(うんごじ)造営のため七日の説法結願の日、自然居士(喝食:青年の有髪説教僧)に小袖を捧げ父母の追善を請う少女があった。それを人買いが引っ立てていく。自らの身を売って親の供養を願う少女を救い出そうと、自然居士は後を追い、琵琶湖のほとりでこぎだす舟を止めて、小袖と少女の交換を迫る。脅迫にも屈しない自然居士に閉口した人買いは、さんざんに恥を与えてから返そうと、次々に余興の舞を所望する。自然居士はクセ舞、中の舞、ささらの舞、羯鼓の舞を繰り広げ、少女を救い出して都へ帰っていく。



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この正義感あふれる自然居士:シテを味方 玄さん。若手能楽師のホープです。
以前、平野のわざ永々棟で「井筒」の解説と仕舞を披露されたり、昨年の平安神宮薪能で碇潜〜平知盛を拝見したり、なにかとご縁があり、幽玄能も、碇潜のようにケレン味のある動的な能もどちらもこなされる。


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(「能百十番」より)


ワキの人買いをこれも若手の御曹司・林宗一郎さんが。役は悪人でもご本人は男前どす

本来ならば自然居士がくりひろげる芸の数々を目で見るのですが、今回は謡を聞きながら想像する。するとその芸舞よりも、自然居士と人買いの言葉のかけあいのおもしろさ、リズムのよさ、がみえてきたのです。初心者の私にして、なるほど、素謡とはこういうものか!と。


(舟からおりねば)命をとらう

命をとるともふつつと下りまじい

なんと命をとるともふつつと下りまじいとさふらはばや



日本の古語のなんと美しいことよ。能にひかれるファクターとしてはこの言葉の美しさも大きい。


もとより鼓は波の音 寄せては岸をどうとは打ち 
雨雲まよふ鳴神の とどろとどろと鳴るときは
ふり来る雨ははらはらはらと 小笹の竹のささらをすり
池の氷のとうとうと、、、、、





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そしてうれしいことに、素謡のあとに、お仕舞もついてきた!狂言方の島田洋海さんの小舞「うさぎ」、田茂井さんの「淡路」、林さんの「歌占」そして味方さんが、「自然居士」の最後の場面、躍動的な羯鼓の舞をみせてくれました〜!\(^O^)/サイコ〜!


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息子の世阿弥の能が幽玄なら、世阿弥のこの能は実にダイナミック。
世阿弥曰く、「(父の芸風は)大男にてゐられしが、女能などには細々となり、自然居士などに、黒髪着、高座に直られし、十二、三(才)ばかりに見ゆ」。

次もまた行こう!


*次回(11月21日)は「通小町」だそうですよ。







弘道館月釜〜重陽2013 - 2013.09.10 Tue

今年の初釜以来なので9ヶ月ぶりの弘道館、月釜です。(会員になるとかなりお得な値段で楽しめます(^_^)b )


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本来ならば、旧暦でしたほうが重陽の節句(9月9日:9と9で陽の数字の最大のものが重なるので重陽:菊の節句とも)はいいのですがね。だってまだ菊も早いし。着せ綿をしても露もおりないし。つくづく新暦って季節感とずれててあかんなあ。


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弘道館の入り口でいつもお出迎えしてくれるとぼけた妖魚?は、先日わたしが水指をもとめたところの作者、脇山さとみさんのもの。なんでも格の高い茶会などの時にはひっこめられるそうで、、(^_^;


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ちなみに先月までブログトップを飾っていたこの「おっさん」(正しくは「その後のダーシ」)も脇山さんの作品。一家にひとつ、とぼけたかわいいとはいえない人形はいかがでしょう?(^o^)b


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さて、今回の月釜の趣向はもりだくさん!
「菊」の節句にかけて、、、


香を聞く・・・

音色を聴く

酒を利く

松風を聴く


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香を聞く、、は文字通り持ち合いにて、源氏香蒔絵阿古陀型香炉で聞香。香道の志野流若宗匠の蜂家さんが調香して山田松香木堂調整のお香を聞く。伽羅の佳い香り*:・。,☆゚:’・:*:・。(=_=)*:・。,☆゚:’・:*:・。

そして待合の軸が弘道館で何回かおめにかかった細川三斎の消息。文中一木四銘の名香「白菊」の文字が。(細川家と伊達家が入手をあらそった伽羅の名前。森鴎外『興津弥五右衛門の遺書』参照)床飾りに蜂家さん所持の香木。(きっとこの一塊でウン百万するにちがいない)

いつもは3〜4の座敷を全部襖をとっぱらってひとつの広間にしているところを、この日は細かく仕切って襖をたてていたので、なんだかしらない茶席に来たような錯覚をおぼえました。日本の座敷って襖一つで融通無碍に空間をアレンジできる優れた建築だとあらためて認識。


普段、四君子(菊、竹、梅、蘭)を描いた屏風がたててあるのですが、この日は菊だけをぬいておくこだわり様。


茶席では松風(釜の音)を聴く。お点前の前に玲月流篠笛の家元・森田 玲さんの篠笛を聴く。ああ、みやび。またまたいにしえの殿上人になった妄想が、、、、
お若い家元だなあと思ったらご自分で流派をたちあげられた初代なんですって。しかも京大卒とは!(HP
この日はご出身の岸和田だんじり祭りの会合を蹴ってまで(!)ご参加くださったそうです。


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菓子器もいろいろ出てきましたが、私があたったのはまたまた脇山さとみさんの!お菓子がとられていくのを悲しそうにうらやましそうに見ている、、、あるいはとられないように見張っているおっさんの一閑人っぽい菓子器。お菓子はもちろん光琳菊ですよね。(着せ綿もありだけど)



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中の餡が薄紅色。(もちろん老松製)



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この時期にふさわしく釜が仙叟好み、寒雉の焼飯釜写し。三角形のおにぎりを模してキノコの鐶付の有名なエピソードのある釜。
風炉先が北野天満宮古木、天正15年10月1日の文字入り。この日は、、、そう、秀吉さんの北野大茶会の日。

茶席ではなにより太田さんの蘊蓄を聴くのが楽しみで。


お茶をいただいたあとは二階にあがって利き酒会。茶事にはお酒はつきものです。各自盃をもって三種のお酒をいただき、大吟醸を当てるというもの。大吟醸のほかは吟醸、純米酒。大吟醸はやはり香りが痛烈。人によってはフルーティーといいますが、私はウイスキーを思い出す。お米を磨いて磨いて作る物だから貴重ではあるのでしょうが、私はやはりお米のコクの残る純米酒が一番好きだわ。

たくさんの菊、聞く、聴く、利く、、、をいただいてかるく酩酊しつつ家路に。
この日もたくさん楽しませていただきました!


次回は弘道館主催の「茶の湯一会集」の勉強会、観世流シテ方林宗一郎さんの「謡いをうたってみよう」に是非行きたい。時間がゆるせば、、、、、しょぼん。






初秋の鴨〜賀茂散歩 - 2013.09.08 Sun

秋雨のあいまの晴れ、まだまだ暑いけれど風はもう十分秋。

秋の気配をうれしく感じながら京さんぽ。


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まずは鴨川沿いの道を行き、下鴨神社へ。
糺の森、瀬見の小川、、、ここだけ空気が清浄に感じるし、気温は確かに1〜2℃低い。


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お参りした後は参道近くの李朝古美術・工芸の川口美術さんへ。

この日は新羅土器展開催中。新羅土器は新羅時代だから1000年以上も前の陶器になります。とてもそんな昔の物とは思えないくらい完全な形の器たち。朝鮮半島は日本より気候が寒冷なため、保存状態がよいのかもしれません。


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とはいえ、そのままでは枯れすぎて、きちゃない、、、という印象かも(^_^;
その土器へ、来店された方に好きに花をいれてもらうという「花遊び」。水を入れ、花を入れた瞬間、その土器が生き返る!くぅ〜〜いいなあ、この感じ!


でもお持ち帰りしたのは、土器ならぬ高麗茶碗。ぐふふふふ、、、、(v´∀`*)


その足で賀茂川を遡る。


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たどり着くのは下鴨神社(賀茂御祖神社)のご祭神、玉依姫を母に持つ、賀茂別雷神おわす上賀茂神社。


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画像では残念ながら確認できませんが、この広い境内の芝生の原にはアキアカネがたくさん飛んでいたのです。ああ、秋だ。


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境内を流れる御物忌川の岸辺には、萩のつぼみ。


こちらのお参りを済ませた後は、少し南へさがってお気に入りの、、、、


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高麗美術館へ。


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現在の展示は「朝鮮文化と京都」。
渡来人の時代のコーナーに、ついいましがた見たばかりの新羅土器が!

祇園祭の山鉾連合会会長の吉田孝次郎さんのコレクション、山鉾の装飾にも使われてきた朝鮮毛綴が数点。これらは朝鮮では両班たちの敷物として使われていたらしいが、なかなか圧巻でありました。


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美術館を少し南西に行くと、すてきなショップ、ギャラリーが並ぶ連棟の織屋建の町家があります。ここはギャラリーりこさんがあったりするので以前から時々遊びに行っている所なのですが、こちらに最近入られたのが花屋・みたてさん。



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みたてさんは好日居さんのイベントなどでなんどかお馴染み。とうとう店舗をもたれたのです。前回お目にかかったときはまだお腹の中にいたマンサク(お花の名前ですよ)君、もう2ヶ月ですって。かわいいの〜〜。お母さんにだっこされてすやすや。



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こちらのお花は独特で、山野草がメインです。もう、茶席の花になるものがいっぱい!市中の花屋では、茶花を見つけるのはなかなか困難なのですが、ここにくれば全然OK!ということが判明。\(^O^)/

それから、みたてさんでは4寸、6寸という花束ならぬ木箱に花を寄せたものを贈答用につくってくれます。とてもセンスがいいのですよ。この日は重陽の節句にちなんで、着せ綿(みたてさんのHPの写真是非見てね)の木箱が。こんなのもらったらうれしいだろうなあ。



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こちらで前から欲しかった鷺草の鉢をいただいて帰りました。


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宵には久々に積ん読になっていた本を読む。灯火親しむの秋。
で、お供は千本玉寿軒さんのアキアカネの上生菓子にて。







獨楽茶会・岡本浩一先生の茶席〜八王子・美ささ苑 - 2013.09.06 Fri

関西が涼しかった先日、夏日がもどったかのような八王子へ、今期初の単衣で大汗をかきながら行って参りました。

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利休と不昧公ゆかりの茶室(復元)・獨楽庵を有する料亭、美ささ苑。ここでは楽の会という会員制の茶会があって、毎回各界の高名な方が流派にこだわらずに釜をかけておられるのだが、今回、雑誌「淡交」に「茶道心講」を連載されている岡本浩一先生(東洋英和大学教授:社会心理学)が席主をつとめられる。


岡本先生の著書「茶道を深める」にであったのは4年前。読んだ時、この本は私の茶の湯の道の座右の書になる、と思った。(もちろん今でも久松真一先生の本は別格だが、いかんせん、難解すぎる、、、、)

そうだそうだ、こういう感じを私も言葉にしたかったのだ、と思う箇所がいくつもあり、茶の湯の奥深さは日常生活と離れて独立した物ではないと納得させられつつ何度も読み返した。だから、仕事と茶道とのおりあいについて悩んでいた自分を勇気づけて、背中をおしてくれる本でもあったのだ。

先生のお点前を拝見できる機会となれば、これは逃すわけにはいかないではないか。


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美ささ苑内の茶席・獨楽庵は三畳台目桝床逆勝手席、利休ゆかりの二畳席、三畳台目席(船越伊予好み)を有し、終戦後はやくから東西の数寄者たちが次々と釜をかけたそうで、小林逸翁、松永耳庵、五藤慶太、団伊能、田山方南、、などビッグネームがずらりと。それにちなんで今回は数寄者を偲ぶ道具組にされたとか。


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苑内の庭はとてもすばらしくて、八王子の町中にいるとはとても思えない。

まずは逆勝手三畳台目の茶室で岡本先生考案、築地で材料調達、のダイナミックなお菓子をいただく。大きな葛の中にひや〜っと冷たいマスカット!空調のない小間での暑さがす〜っと引いていく。
ちなみに鵬雲斎大宗匠をお招きした茶事でだされた菓子の再現だそうで、ありがたく時空をこえてご相伴させていただく。(それにしてもあのマスカットのつめたさは、ただものではなく、冷凍庫にいれても凍らない葛の分量配分の研究成果によるものらしい。)

船越の三畳台目にて、岡本先生の濃茶点前。
狭い小間ゆえ、ほんとうに顔つき合わせる感じで、お手元もしっかり拝見できた。どこか鵬雲斎大宗匠を思わせるようなお点前と感じた。最初に「お服加減は?」と聞かれるまでの静けさ〜茶室に聞こえるのは釜の音、亭主の立てる音のみ〜それがとても好きなのだが、その静けさの中で岡本先生の存在感が大きい。

会話がはじまると、そこは岡本節炸裂。坐忘斎家元から拝領した茶杓の銘が「無相」。本来形のないこと、悟りの境地を示す言葉だが「あいつ、何者か正体がよくわからない、というのでこんな銘の茶杓をくれたのかなあ。」なんて、、、時々ほんとうにあの本を書いた方かしら?(^_^;と思うこともあるが、そういうところも含めて好きですね〜。

品川東海寺(澤庵さんゆかりの寺。ここの座禅会のコーディネイトを先生はされている)の代々の小僧さん達が磨いてきた、東海寺蓮台古木の木地の香合が、長年の磨きに拭き漆みたいな光沢をはなっているのも見事であれば、先生がキヨブタ(清水の舞台から、、、云々)で手に入れられた古瀬戸の水指(「茶道に憧れる」の表紙を飾ったアレ)も迫力があった。添うてきた塗蓋の色がほんのり小豆色でまた美しく、市井の数寄者、田山方南が最晩年の闘病のさなか手づくねた楽茶碗の釉薬の色が重なる。
そして、本日の軸「人々悉道器(ひとびとみな道の器)」。それぞれの胸にそれぞれの解釈があったことと思う。


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続く広間での薄茶席の亭主は、岡本先生と長い師弟関係にあるお若い男性。国際的なお仕事をされているので世界各国に出向くことも多く、そのたびに集めてこられた世界各地の、もともと茶道具ではなかった道具を、見事につかいこなしておられる。美しくきりっと若々しいお点前をご披露くださった。日ごろの先生の御薫陶のたまものか。


この席では、もう一人のこの場にいない主人公の存在を感じる。先生の著書「茶道に憧れる」のコラムにも書かれている宗入「亀毛」写しのこの席の主茶碗と、この席の軸をめぐるストーリー。詳しく書くことは避けるが(ご本読んでね^_^;)あとから思い返すほど、しみじみといいなあ、と思わせる茶道具の作り手と使い手の心の深いところでの交流。

古来茶道具は、その物理的な美しさの他にそれが背負った歴史や物語がその価値をさらに高めてきた。ここでも、ひとつの茶碗にこめられた物語に思いを馳せつつ、その茶碗でお茶をいただく。何倍も何倍もふくらむ感動。なんと贅沢な楽しみ方なんだろう。茶の湯ってほんとうに深い。


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頭と目と手を使って緊張感を伴う楽しみのあとは、完全にリラックスして美ささ苑のおいしい懐石で口を楽しませる。おそらく文字通り一期一会の相席の方々と歓談しつつ。みなさま偉い先生方ばかりでこの身は小さくしておく。(^◇^;)



電熱聞香炉で手軽に聞香 - 2013.09.03 Tue

茶室の炉や風炉に火をいれるとき、香木や練り香をたきます。客を迎える茶室空間を香によって浄化するために。逆にお香のかおりをかげば、条件反射的に私はお茶のかおりを思い出します。大好きなかおりです。

一方、聞香は聞香炉で香木を焚き、そのそこはかとない香りをたのしんだり、香りを聞き分ける組香にしたりする、平安時代からのみやびなお遊び。ちなみに聞香炉では顔を近づけないと聞けません。部屋全体に仄かに香ることはあっても強くかおることはありません。

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茶道でも七事式などにとりいれられているので、お道具はひととおり持っています。(重香合以外)まんなかのが聞香炉。香灰のなかに香炭団をおこしていれ、その上に銀葉という雲母のうすい板が乗っています。ここに香木の小片をのせてかおってくる香を聞くのです。

心を鎮めて「六国」(香木の分類:伽羅・羅国・真那加・真南蛮・寸聞多羅・佐曽羅)、「五味」(辛・甘・酸・苦・鹹)を聞き分け、組香ではそれをあてっこするのですが、、、、これが全然私にはわからない。(まあ、茶歌舞伎でも全部はずす人だし)

沈香の香りはとても好きなので、松栄堂なんかで買って(高い物は1gウン万円!もちろん私はそんなの使えません)ひとり楽しむもまたよし、なのですが、、、

いかんせん、香炭団に火をつけて灰に埋めて、、、、って準備と後始末がけっこうめんどうなのよね。
ところが聞香がお手軽にできるグッズがあるではありませんか!

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その松栄堂さんからでている電熱聞香炉「こづつ」。さっそくゲットしました。単三電池で起動します。


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これが銀葉。正式のとちがって銀の縁はないし丸いけどね、3枚ついてます。


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セットについていた竹の香箸で香木のかけらをのせて、電熱器ON!


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真ん中のヒーター部分が赤くなってきて、そのうちほのかに佳い香りが、、、、゚+.゚(´▽`人)゚+.゚
3分で自動的に消えるし、温度調整も少し可能。
ああ、これで手軽に聞香ができるわ。
仕事は殺伐としてるし、日常はど庶民の生活だけど、沈香の香りを楽しむあいだだけ、私はみやびなみやこびと、、、(おほほほ、、、妄想の域にはいってます)





精進の懐石 - 2013.09.01 Sun

真の茶事、、、なんて名前は聞いたことあるけど〜、、、というくらいで全くout of consciousでした。まあ、菓子が七種出るってことくらいしか知らないし。調べてみると、茶名拝領や引次の際にされるお社中もあるとか。縁がなかったなあ、、、。

真の茶事の流れを調べてみる。それではじめてわかる真台子(真の行台子)の所作の意味もあったりして、これは一度是非経験したいものだ!と思いました。あ、もちろん客として(^_^;

真の炭、真台子(濃茶)の点前は習っているので知っているわけですが、懐石ってどんなんやろ。

なぜ突然に真の茶事のことが意識にのぼってきたのかというと、懐石秘密箱の「精進編」のご縁であります。

富山の若くて熱い茶料理の出張・仕出し専門 懐石・万惣さんが主催する懐石秘密箱。全国あちこちでご出張の時にあわせて開催中。懐石のお話し、というよりは講義というくらい中味の深いもの+実際に懐石をいただく、という会。今回京都でされる、ということで初めての参加です。

最初、精進の懐石の道具、真の茶事、歴史などについて講義を拝聴。ほんとに半端じゃない知識をお持ちです。小習いの、今まで何年も何回も繰り返してやってきている所作の意味をはじめてここで知ることになろうとは!


まずは懐石道具から。
一口に精進と言っても、真の茶事、追善の茶事などで道具は若干変わってくるらしいですが基本はこれ。(一部記憶が不確かなところもありますので間違っていましたらご指摘下さい。^_^;)


P1040613.jpg


すべて朱塗り。

利休が所持していた道具として伝わった形が(表千家に伝わるので、表さんの真の茶事が一番きちんと整えられているとか)右の隅切折敷、四つ椀、楪子(ちゃつ:真ん中の向付の位置にある皿)、豆子(るつ:表さんでは「づつ」)+飯器+煮物椀。
ちなみに豆子にはへぎ梅、もしくは香物をいれ、ここに酒を入れてもらう。

普通の懐石でも、盃がついてきたらなんとなく向付を左に動かして、四つ椀ときれいな四角形をつくりたくなるけれど、四つ椀+向付(楪子)は三角形を作っていなければいけないんですって。(意味はわすれたけれど多分陰陽五行とかそのあたり?)

さらにこれに塗りの酒器、湯斗、湯の子すくい、給仕盆、で一式そろいます。ちなみに真の茶事では客の箸は柳箸(普通の茶事では杉)。

講義の後はいよいよお楽しみの精進懐石を実際にいただきながらお話しを聞く。ここでもいままで知らなかった懐石の作法(普通の茶事でも)とその意味を聞いて、目からウロコぼろぼろ。

料理の内容についてはあまり詳しくは書けませんが、植物性の食材だけでこんなに豊かな料理ができるのか、、、と驚きました。うれしいなあ。
お出汁も当然鰹はダメ。盛りつけも真の懐石はひたすらまっすぐ並べる。きれいに見せようという作為は一切NGなんだそう。


P1040621.jpg
(ちなみに箸は本来竹箸ですが、万惣さん持ってくるのを忘れた〜って、、、^_^; )


これは引重(ひきじゅう)。下の段に焼物(この場合は精進なので焼き魚などのなまぐさではなく野菜料理)、上の段に香物をいれます。現在のように普通の茶事の焼物の器に陶磁器を使うようになったのは明治期以降と新しく、それ以前は焼物とはいわず、「引物」「引菜」と呼ばれたので、用いる容器は「引重」。

そういえば「引重の上の段にはなにをいれますか?」という問題が茶道文化検定の問題集にのっていて、なんのことだかさっぱりわからなかったのよね。やっと納得。

真の茶事では湯斗はでますが、小吸物、八寸はでません。
精進懐石をいただいて、七種の菓子を食べ、中立。真の行台子で濃茶をいただき終了。これで仏様になったのと同じ、、、ってことになるんだそうです。

その後は!!


座敷を移動して、悟りをひらいたんだからもう無礼講!なまぐさでもなんでも来い!、、、という「後段」とよばれる席が付きます。利休時代以前、書院の茶時代にはそれがあたりまえだったけれど、利休の時代に侘びにそぐわない、として廃れましたが、利休亡き後すぐに復活したのだそう。(茶人といえども飲んで騒いでが実は好きだったのね)ちなみに茶席に燗鍋の持ち込みをはじめてしたのは古田織部だったようで。


P1040627.jpg


後段は黒塗りや華やかな蒔絵の折敷などが好まれ、ぱあっと雰囲気を変えて明るくなります。ここで小吸物のかわりとなる汁は必ず味噌仕立て。魚の身もはいったこってりした汁物。それから刺身の向付。八寸が出て盃になります。ちなみに千鳥の盃は江戸後期に確立した新しいものだったようです。
強肴が数種、そのまま、あるいは席を改めて薄茶席になだれこむ。

私が理解した真の茶事の流れはこんなものですが、亭主の裁量によってヴァリエーションはありだそうです。
う〜ん。ますます真の茶事、参席してみたい!亭主やりたいって言わないから。(できないし)


それにしても諸流派の約束事に通じ、懐石の蘊蓄を語り出したらとまらない、万惣さんは熱い方だったなあ。


最後に会場になった東本願寺さんのすぐそばの、となみ(砺波)詰所()について少し。


P1040630.jpg



詰所とは江戸時代東本願寺の火災などのあとに、その再建のため食料を持参し家業をほってお手伝いに馳せ参じた門徒さんの合宿所。それぞれの出身地別に詰所があり、砺波は富山県砺波地方からの門徒さんを受け入れてきた200年以上の歴史のある宿泊施設です。(万惣さんも富山です)

近年詰所はどんどん減ってきており、ここも数年前閉鎖、ビジネスホテルへの建て替えという計画がもちあがりましたが、砺波地方の僧侶や門徒たちの反対運動が実を結び、今の時代に合った方式に経営を転換して維持して行っているそうです。

今ではだれでも宿泊できるそうで、素泊まり1泊二人以上なら3800円、朝食600円!お安いです。立地も超便利ですので、宿泊にお金をかけずに京都旅行を、と思われる方、是非!



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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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