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2014-04

高瀬川一之舟入 茶の集い - 2014.04.08 Tue

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高瀬川は木屋町に沿って流れています。木屋町は飲み屋さんが多くて、学生時代には夜な夜なお世話になったんですけど、昼間はそんな喧噪が想像できないくらい、みやびな雰囲気が漂う桜の季節です。


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江戸時代、伏見までの運河として掘削された高瀬川、その起点となる一之舟入。当時の高瀬舟を復刻した舟が繋留されています。この舟入のあたり、前はなんども通っているのにその存在に全然気づかなかった非公開寺院があります。(作ったのは南禅寺畔・對流山荘もつくった方よ)


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建造物は京都市の有形文化財、庭園も市指定名勝という院でひらかれる茶事に、はからずもお招きいただき、あまりに光栄で感涙にむせぶ、、、というのはちと大げさかも知れませんが、そのくらい得難い経験でありました。


ご亭主は、以前ご自宅のお茶事にお招き下さったまだお若いS庵様。その力量はよく分かっていたつもりでしたが、今回この寺院の各座敷を縦横無尽に使ってのおもてなしに、またまたこっそり舌をまきました。


庭園は高瀬川沿いで川を隔てればすぐ木屋町、垣根一つで外界とは別天地。おまけに庭には一本も桜がないにもかかわらず外の桜並木からはらはらと花吹雪がふきこんで、一瞬の浄土であります。

三畳中板の小間茶室を待合に。この茶室は高瀬川の水を引き込んだ流れの上にたっているので、ちょうど舟のうえから景色を眺めているような感じが楽しめます。この意匠は北村美術館・四君子苑の茶室・珍散蓮や並河靖之記念館の座敷を思い出させます。
釘箱棚が印象的。

お道具はね、釜が与次郎で、今はもうとれない朱鷺の羽根とか、宗旦と交流のあった大徳寺天室和尚の軸とかね、そういうレベルなの。もーーー.+:。(ノ^∇^)ノ゚.+:。ウキャー
主にお祖母様、お母上から伝わってこられたお道具だそうですが、どう計算しても新しくて100年はたったものばかりですよね。めずらしい本桑の及台子などは初めて目にいたしました。

与次郎の釜はもうかれこれ500年ちかくたっているので、かすかに水漏れがあるとのこと。それにも関わらずお使い下さった。そしてその釜から点てられたお茶はほんとうにおいしかった!与次郎の味がする〜とみんなで盛り上がってしまいました。

懐石は富山の万惣さん。ご自分で摘まれたという山草なども食材として、見た目も、お味も上品で口福でございました。ワサビの花びらというのをこれまた初めていただく。なんというか鮮烈な印象の味と香り。

主菓子は利休の頃の麩の焼き。普通麩の焼きといえば御池煎餅みたいなものを思い浮かべますが、当時の麩の焼きはクレープみたいな生地をくるくる巻いて巻物状にしたものだったそうです。初めての食感で、洋菓子?とおもえるほど。いや、これおいしかった!

濃茶の茶碗はすべて種類の違う高麗茶碗というのも見事。(多分ご亭主は絵付けの華やかな茶碗はお好きでないのね。私も〜。レベルは違うけれど)

印象的だったのは、茶をすくってふつう茶碗の縁で茶杓を打つところを、天目茶碗のように指で打っておられたので、これはいいものだな、と確信。ちょっと変わった景色のこの茶杓は織田有楽の次男、道八の作。これで私は「へうげもの」にでてきた婆娑羅の道八(織田頼長)の顔が思い浮かんできてしまった!(^_^;


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一番楽しかったのはほとんど初対面だった御連客の方々(有名茶の湯ブログのあの方とか、ツイ友のあの方とか、関東の偉い先生とか、、、)との茶味のある語らいでした。初座から始まって後座、薄茶になるころにはすっかり世代を超えてうちとけて、楽しく楽しくお話しできたので、このままずっとこの席にいたい、お開きになるのが残念!という気持ちでした。皆様、ほんとうにすてきな方たちばかりだったんですよ。こういうお茶の人脈というのはすばらしく、これもまたひとえにご亭主のご人徳あらばこそ、といえましょう。



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(二条大橋からの鴨川)


まさに一期一会の集まり、このような席にお招きいただいたご縁に深く深く感謝いたします。
それにしてもまだお若いS庵様、この先どんな大茶人になってゆかれるのか行く先おそろしいですわ楽しみですわ。


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これだけは写真におさめたい、と持ち帰った干菓子は日菓さん製。扇と桜。
これまた美しい記念写真となりました。



<追記>
おしまいにサプライズとして、「今様の会」の舞いを見せていただきました。(昨年松殿山荘でひらかれた歌合わせの会にでておられたメンバーさんたちでした)文化財の座敷で、障子を開け放ち、庭を背景に舞う水干姿の白拍子の姿は、人をして一気に平安の昔にワープさせてくれるものでしたよ。

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