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2014-12

師走の錦市場2014 - 2014.12.30 Tue

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今年の年の瀬も錦(市場)に行こう! 、、、、別に用事はないんだけど(^_^;


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でも年末の市場の喧噪はやはり独特で、この時期にはそこに身をおきたくてムズムズする。昨年は大晦日に行ったので、人・人・人の大混雑、前にも後にも進めない、下手したら圧死するかも〜、、、デシタ。だから今年は少し早めに行こう。

高倉通りから東へ向かって歩いて行くね。


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まだいつもの場所に注連縄屋さんはでていないけれど、各お店は正月用品、お節用品であふれかえってにぎやかだ。

そうそう、ここには寄っておこう、麩嘉さん。麩ではなくて、、、、


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手作りなので生産量が少ないから、どこでも売っているというわけではない山利さんの白味噌ゲット。2週間しか日持ちしない、逆に新鮮ということかな。冷凍庫ならもう少しいける。

京都のお雑煮は白味噌、でもうちはお澄ましやけどね^_^;。懐石の汁に使うの。


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お雑煮といえばお餅、餅屋さんもたくさんある。これは水回りに飾る「星付さん」というミニミニお鏡。京都にきてから初めて知った。


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京都のおせちに欠かせぬ(らしい)のが棒鱈。まあ、干した真鱈なんですが、けっこうよいお値段。さすがに一度も料理したことないわ。なにせ新鮮な魚貝豊富な瀬戸内育ちだもんでσ(^◇^;)(あ、京都の方、別にけんか売ってるわけぢゃアリマセン)


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すぐきの漬け物も今が旬。刻んだのしか見たことないお人もおられるかもしらんが、すぐきはもともと蕪の変種なの。これを刻むには,よく切れる庖丁が必須。


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鱈の白子〜!ぷりっぷりの鯛の子〜!
もともと錦市場周辺には豊富な地下水があって、これが商品を夏場冷やすのによかったからここで発達したと、市場の組合の理事さんに聞いたことがある。鮮魚店にもたくさんのきれいな水が必要だしね。錦は水のたまもの。


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最近のお正月飾りといえば、やはり仏手柑もはずせない。仏様の手の形から縁起が良いとされるので正月の床飾りに。玄関においておくと、戸をあけるたびに芳香がするのだ。(でもけっこうお高い)


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和菓子を手作りする方にはうれしいお店がこちら。ありとあらゆる粉が手に入ります。めったに売っていない寒梅粉(加熱してα化した餅米を粉にしたもの。ようするに餅みたいにねばる)もここで手に入る。昨年はこれで雲平つくったっけ。(固すぎて歯が折れそうだった(>_<) )



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ここはいつも行列の鶏卵屋さん。だし巻きが人気なのだけれど、関西出身でない私にはどうもあれが理解できない。まあ、新鮮な卵で作っているので、おいしいのはおいしいのだが、卵焼きはやはり甘くないと!


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ちっとも減らない行列に、裏で必死のパッチで(これも関西限定フレーズ)卵焼きを作り続ける裏方さん。


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先ほども言ったけれど京都は雑煮白味噌が圧倒的マジョリティなので、白味噌も各種。西京漬用の荒味噌まであるのがミソ(^_^;


それにしても、今年は円安のせいもあってか外国人観光客が(中国人がマジョリティ)はんぱなく多い。ここ錦でも。われわれが外国へ行ってバザールとか普段使いの市場とか惹かれて行くのと同じことか。でも純粋にほんまに買い物に来ている人は何割くらいなのだろう。

市場もこれも時代か、日常生活とは全然関係ない純然たる土産物屋が増えたのは残念だなあ。


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市場の中ほどにある練り物の丸亀さん。ここはすり身を量り売りしてくれるので、しんじょうを作るのに何度お世話になったかわからない。今年もありがとう。来年もよろしく。


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正月飾り用の串柿もずらっとつり下げられると壮観だな。


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おお!ここは棒鱈が団体さんで!しかし高いなあ、、、。これ普通の主婦がおうちでちゃんと料理しはるんやろか。


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包丁・調理器具の有次さん。そうだ、娘にプレゼントしたここの包丁、そろそろ研ぎ時、持って帰るように言わなくちゃ。(無料で研いでくれます)なにせ刃の所は鋼なのでやっぱりステンレスと違って錆びるのよ。(手入れ悪いせいかしら?)



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いよいよ終点、新京極の錦天満宮さんが見えてきた。ビルの壁につきささる鳥居が目印。


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ここにも水の錦、市場の地下を流れる錦の湧き水、飲むこともできるよ。


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さて、錦歩きの最後、ここらでちょっと甘いもんなど、いただきたい。新京極からちょいと東にはいった花遊小路。四条通りは人でごった返しているけれど、ちょっと入り込めばこの通り。ちょっとした穴場かも。


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地下に降りていく。お目当ては広くなって、行っても席がない〜ということがなくなった、、、


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SOU・SOU在釜さん。ここの月替わりのテキスタイルコラボ・オリジナル和菓子(亀屋良長)が楽しみでね。目の前で、お点前王子(!)が釜のお湯で抹茶点ててくれるしね。



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で、今月のお菓子がこちら。
柚子の砂糖漬けがキラキラの星となり、その下には白餡そぼろ、さらに下にはキャラメルコーティングナッツ入りかるかん。

年の瀬の錦にも行けたし、このお菓子もいただけたし、今年はまずまずの良き年であったなあ。

来年もどうかよい年でありますように!皆様もどうかよいお年を!


数寄者の忘年茶事〜平野の家・わざ永々棟 - 2014.12.28 Sun

ついこのあいだエラールピアノのサロンコンサートにいったばかりの平野の家・わざ永々棟、年も押し詰まってまた出かけました。


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なんでかな〜?(^_^;


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昼見るとまた違うたたずまいのエントランス。


今日は茶事でおでかけなのよ♪ 呈茶はいただいたことはあれど、ここで正式の茶事ははじめてなのだ。(S庵様、ありがと〜*\(^O^)/*)

今回の茶事のご亭主は関東の数寄者の方。本業は別にあれど隔月くらいで京都にお出ましになり、趣味の茶事をしてはるみたいですよ。


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この前のサロンコンサートの名残はあれど、いつもと違う室礼。コンサートの時には客席になる座敷は障子をしめて待合に。このフレキシビリティが日本建築のよさよね。


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もうね、趣向がとても楽しくて楽しくて、目にきれいで、S庵様のおっしゃる「女性に人気の茶事」というのがうなづける茶事でした。
なにしろ見立ての○○という師匠と見立て競争をされたような方ですから、すばらしい見立て道具がいっぱい!そのセンスがまたすばらしく楽しい。

名物をずらっと並べられるのも、それはそれでうれしいけれど、どうも道具のみが印象に残って茶事の印象がおぼろげになることがある。どちらかというと私は見立て道具の方が好きだわ。(名物持つほど、使いこなすほどの力もなし)


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でもこのご亭主の見立ては気合いが全然違うの。ご自分の感性にしたがって作者など気にせず、気に入ったものを手にいれはる。結果的に値段のはるものもあれば、手頃な若手作家のものもある。それを茶道具に変身させるために、本体以上のお金をかけるというところがすごい!

例えば、若手作家の益子焼の変形花入を、これまた変形塗蓋を10倍の値段で誂えて水指にする。そのデザインもご自分で指示なさる。ひっくり返したら羊(来年の干支)になる焼物のワインカップ、替茶器にするために特注の黒柿の蓋をたぶん数倍以上のお値段でお誂え。

かとおもえば古瀬戸の茶入などもでてきて油断ならない。

後座の床にはクリスマスタペストリー、その前にキャンドルを表したであろう赤い花がガラスの花器にいれられているのだけれど、一体この花は何?? カンナのようでもあるけれどその季節でもなし、、、、と思ったら、なんと赤のシクラメンの花を数茎まとめて入れてあったのだ!こんな斬新な茶花、見たことない(@_@;)


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そしてなんといってもハイライトは薄茶席。

広間の炉を2つ使ってお二人の方による同時大盆点前。(これは正式には禁じ手らしいが)

大きな丸盆に茶碗、替茶碗、薄器、替茶器、なんと花が咲いたような紅茶巾を5枚入れた茶巾立て(これも見立て)をのせてのお点前。道具の位置は陰陽五行に従って、、、云々お話しは聞くも、一度では到底覚えられない。

目に鮮やかな紅茶巾をそれぞれたたむ所作はなんとも華やか。(まさに女性好み!)

以前見た方円流煎茶で大丸盆を使ったお点前をみたことがあるけれど、雰囲気が似ている。中国茶でも好日居さんはこんな大きな丸盆を使ってることもある。そして実は私もお茶に使いたいなとかねがね思っている大きな丸盆を持っている。、、、、ふふふふ、、、よいヒントをいただきました!ちょっと気楽な茶席にこれは使える。

お干菓子はチョコレート、ハート型のチョコを選んだ人に記念品を、と準備されているあたりも心憎い。(なのにハートはナゼか皆さん除けて、だれも記念品をゲットできなかったの^_^;)

折りたたみ式の風炉先や、ばらして収納できる寄せ木細工の炉縁や、それも考案、指示をだしてつくらせたオリジナル。しかもしかも、息子さんは金工のプロなので細工物の蓋置などお手の物(薮椿の南鐐の蓋置、すごくすてきだった!)。おまけに娘さんは漆蒔絵のプロだなんて、できすぎっ!!

こういう数寄もあるんだ。いいなあ。

今年最後の茶事、こんな楽しい思いをさせてしめくくらせてもらったことに大感謝です。(くりかえしS庵様、ありがと〜〜〜)
来年もよき茶の年でありますように。健康に気をつけてがんばらなくちゃ。


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このガラスの銘々皿はお土産にいただいたもの。実はこれ、他にも赤、緑、黄色のクリスマスカラーがあって、主菓子はこれでだしていただいた。なんて太っ腹!ご亭主様にも感謝です。



ふたり忘年会〜円山公園・菊乃井 - 2014.12.26 Fri

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冬至ですもん、夜は長い。祗園から東大路をさらに東へ、知恩院さんの坂を登る。まるで異世界への滑走路。


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冬の夜の円山公園はほとんど人通りもなく、東山の稜線がかすかに夜空にうかんで見える。


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煙草王の邸宅だった長楽館のクリスマスのイルミネーション。

さらにずんすん公園内を音楽堂の方に行くとますます街灯は少なく、人気はなくさびし〜、、、というかこわい〜、、、こんなとこに料亭あるんやろか???


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、、、と思ったら突然まわりが開けて、水うちした石畳に露地の照明がほのかに映える、、、菊乃井、到着です。創業が大正元年、今年もミシュランで三つ星をとった料亭。


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こんなお部屋をご用意いただきました。今夜は月イチグルメ倶楽部(会員2名)の忘年会(?!)ですのよ〜。


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玄関にも栖鳳さんの鶴の絵が掛かっていたなと思ったら、こちらも栖鳳さんの笹に雪の掛け物。花は名前は不明なれど、小さな紅色椿(侘助?)とアオモジの実。


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窓からはいまだに落葉しつくさぬ紅葉が見えて、よろしおすな〜。


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酒のあての八寸。サーモンの椿寿司がかわいい。豆腐の味噌漬けおいしかったし、カラスミがまた絶品!


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私は大吟醸より純米酒の方が好きなので、玉乃光をいただく。伏見のお酒よ。ギヤマン盃の底には菊乃井のマークが涼しげ。(気温は涼しいじゃなくて寒い、だけど)


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この器、小さいです。猪口サイズ。中味はくみ上げ湯葉にコノワタ蒸し。この木目のきれいなお皿がまたいい。


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でた〜!てっさ、てっぴ!この季節はフグよね〜。もみじおろしの出汁がいいのか、たれも全部食す。


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床の掛け物と呼応するような笹と雪のような辛み大根おろし。これは目で見て楽しい。お魚は寒鰤、ぷりっぷり。


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楽の蒸し碗はぐじの蕪蒸し。わさびがようきいてる。蕪蒸し、上手に作りたいなあ。寒い時期の懐石の椀物にぴったりだし。


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お口直しのソルベが洋梨になんと山葵!後口がぴりっときて、確かにまた食欲をそそる。


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冬至だしね、やっぱり柚子よね。釜焼き。中味は海老や帆立。柚子味噌おいしいし香り高い。すでに柚子風呂に入った気分。


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ここでちょっとブレイク。
山側の庭。こちらにもまだ紅葉が残っている。菊乃井さんは菊水の井戸を守ってきた、、とHPに書かれているけれど、祗園祭の菊水鉾がある町内とはまた別にこのあたりにも井戸があるのだろうか。



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お手洗いの近く、腰掛け待合い?に煙草盆。



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さて、後半戦!蟹の甲羅にかにみそ、柿なます。この銀のお皿がたっぷり冷やされていて、すごくステキだった。


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鴨葱。織部みたいな緑釉の小さな炉。これは大将の村田さんがじきじきにさがしてきはったものだそうだ。上に銅鍋の手付きをのせて、じぶじぶ火をとおしていただく。お出汁がうまいのなんの。でもここで飲んでしまうとお腹の余白が少なくなるので断念。


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白子雑炊のなかには小さなのし餅も入っていて暖まる。もう降参!、、、と言いながら、、、、


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甘い物は別腹ですからと女将にいわれたとおり完食す、キャラメルソースのかかったアイス。んまい!とにかくお腹一杯といいながら帰っていただくのが一番、ともおっしゃる。はい、もう十分おなかはちきれそうです。


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それでも柿寒天までお腹に詰め込んで、お薄も一服いただいて、やっと終了。く、、、くるしい、、、でも満足。


人間おいしい物が食べられるのが一番しあわせかもしれない。健啖な胃袋に感謝。帰りはすこしでも消化とカロリー消費を促すべく、歩いて帰る。また真っ暗な円山公園ぬけて、、、(^_^;
冬至がすぎれば一陽来復、公園の中も、もう春の準備はとどこおりなく始まっている気配がした。


京焼歴代展ー継承と展開〜京都市美術館 - 2014.12.24 Wed

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京都市美術館である。今期の(〜2月15日)展示は「京焼歴代展ー継承と展開」。まあ、あまり人が大挙していくような展示ではないが焼物好きには必見の展示。私は主に茶陶を見に。



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ちょっと余談だが、美術館からよく見える東山の稜線にぽこっと飛び出た建物をご存じだろうか。今年鳴り物入りでオープンした青蓮院の将軍塚飛び地の青龍殿。ここからの市内の眺めは絶景だそうが、下から見ると東山のなだらかな稜線を著しく破壊していると、建設中から思っていた。ちょっと気に入らん。



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以前カフェや絵画教室などのあった敷地内北西は、それらの建物を壊したあと何か新しい施設ができるらしいが(おしゃれなミュージアムカフェレストランなんかだとうれしい)、ご多分に漏れず遺跡がでてきて発掘調査中とあいなっている。京都はほりかえすと必ず何かが出てくるよし。三条中之町のせともの屋の遺構みたいに桃山陶器の破片ごろごろなんかだとうれしいが。



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さて、京焼歴代展、なんといってもうれしいのは楽歴代、長次郎から当代吉左衛門、次代の惣吉(篤人)までのずらっと並んだ代表的楽茶碗。長次郎のは「面影」がでてた。楽美術館へいけばたいていは見られるのだが、京焼のおおきな歴史の中で改めて見てみる、というコンセプト。やはり京焼の中ではかなり異質だと思う。

お向かいには楽と対照的な永楽家歴代(永楽姓を賜って以降)がずらっと。こちらは茶碗以外の茶陶が多く、京焼という華やかなイメージにマッチする。


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テーマが「歴代」なので、楽家ほど長い歴史ではないものの、江戸〜今日まで続いている焼物の家の作品が並ぶ。清水六兵衛(江戸中期〜)、真清水蔵六(幕末〜)、人間国宝の清水卯一(昭和)ー保孝ー志郎、青磁の諏訪蘇山(明治〜)、叶 松谷(明治〜)などなど。

同じ家でも時代とともに作風を変えていく柔軟な姿勢が、京焼を今に生きながらえさせた大きな力だという。家、血筋でそれを継承していくのはほんとに大変なことだとお察しする。血筋とは言え、出来の良い子とそうでない子もいただろうし、才能のないまま代をついで苦労した方もおられただろうし。


茶陶以外には申し訳ないがあまり興味がわかないので、後半のオブジェ的な大作はスルー。

例外が染付の人間国宝・近藤悠三。あの大壺は茶席には使いようがないが、作品として惹かれる。2年前に亡くなった息子の濶さんの工房には作陶体験にも行かせてもらった。孫の高弘さんは銀滴釉というユニークな釉薬で活躍しておられる。霧吹きでふいた水滴が垂れるような釉薬でとてもきれいなのだ。(オブジェの展示あり)花器なんか、できれば手に入れたい。


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最後の出口付近にあった、当代の清水六兵衛の手による陶器の色の違いの比較が興味深かった。同じ土を使ったにもかかわらず、還元炎(空気の流れを制限した不完全燃焼)では青味を帯びた灰色に、酸化炎(過剰の空気をふくむ完全燃焼)ではあたたかい卵色になるのだ。

前者が粟田焼系、後者が清水焼系なんだそうだ。どちらの茶碗も茶碗として魅力があるが、そんな違いがあるとは初めて知ったわ!


500円はお値打ちよ〜!


鴨川のユリカモメ - 2014.12.23 Tue

阪神間在住の時は冬、渡り鳥の観察・餌やりポイントは昆陽池公園だったが、京都のご近所ではなんといっても夷川ダムの貯水池。


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琵琶湖疏水の水力を利用していまでも関電管轄の現役ダム。普段でもカルガモなどの水鳥がたくさんいるのだが、やはり冬は種類も数もぐっと増える。

、、、なんだか一羽、毛色の違う鳥がいますね〜。


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パンくずをやると他の鴨たちは泳いで一目散にやってくるのに、ひとり空中戦にもちこんどる!餌が着水する前にすいっと横取りしていくので、それはアンタ、ちょっとずるいのでは?


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これぞ京の冬の風物詩ことユリカモメ。鴨川がすぐそばなので出張してきているもよう。

でもユリカモメが鴨川にくるようになったのはそう古い話ではない。私が学生だったとき、「最近琵琶湖に飛来するユリカモメが比叡山を越えて鴨川にたくさんくるようになった」というのがニュースだったもの。ちなみに初飛来が昭和49年とか(きゃ〜!歳がまるわかり〜)


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飛び姿と白い翼で確かに美しいが、実は烏と同じくかなりえげつない雑食性なんだそうな。

最近は飛来数がピークのころに比べて半分くらいに減っているとかで、たしかに学生時代には鴨川にもっとびっちり白い羽根をやすめるユリカモメがいたっけ。

友人と飲み明かして早朝ふらふらと下宿に帰る道すがら、鴨川べりを歩くと、頭の上にもたくさんユリカモメが飛んで、その白い翼と朝の冷たい空気の中、目が覚める思いがしたのを覚えている。


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夷川ダムから少し西に行くだけで鴨川につきあたる。ここにはたくさん群れがいるようだ。


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こうして日中は鴨川ですごして、夜になると琵琶湖に帰っていくが、なかには鴨川で夜営するのもいるらしい。春になると遙か海の彼方、カムチャッカまで渡りをするという。


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都鳥と同一視されることもあるけれど、これも確証はないのだそうだ。隅田川で「いざこととはむみやこどり」と伊勢物語にある鳥の姿から一番近いのがユリカモメだったそうだが、まあ、たしかに当時は「京では見かけぬ鳥」だったわけだし。


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なぜ飛来数が減ったのか、はっきりはわかっていないらしいが、温暖化などの影響でカムチャッカですら個体数が減っているという報告もあるらしい。最近鴨川で増えたトンビが一因と言う人も。

欄干にもたくさんとまって、橋を渡るそばをかすめて飛ぶ姿が見られた頃のように、またたくさん飛来してくれればうれしいが。さびしい冬の景色の中で躍動する姿はなんといっても感動的だから。


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それにしても町中を流れる川でありながら、こんな渡り鳥に出会える鴨川、それを擁する京都って、やっぱり良い所だ。今日も鴨川は美しい。









師走の西陣散歩2014 - 2014.12.21 Sun

千本丸太町スタートでこのクソ忙しいあわただしい師走にも関わらず、京都のまち歩きをするのだ。


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千本丸太町北東にはかつて平安京の大内裏があった場所。なので歩いていると○○殿址という道しるべによく出会う。ここは土屋町通り(千本と浄福寺の間)出水下ルの弘徽殿址。弘徽殿と言えば源氏物語でも有名、後宮にあたりますね。



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このあたりの出水通りはまだこんな風情のある町並みが残っている。でも住人はご高齢の方が多いようなので、この町並みもあと何年の命かな。残念だけれどこれが今の京都の現実。


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土屋町通りを少し北に行くと蘭林坊址+聚楽城豊臣秀勝邸址。蘭林坊は桂林坊と並んで後宮のさらに後方、内裏の外にあった倉庫みたいな建物だったらしい。
聚楽城というのは古文書にたまに見られる言葉で聚楽第の方が通りがいい。ちなみに豊臣秀勝ってあのお江さんの最初の夫になった秀吉の姉のセガレ。


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さらに北上するとなんだか迫力のある建物に遭遇したが、工場なのか住宅なのか不明。すごいな。


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さてさてこちらは平安京では大内裏の北にあたるあたり、ちょっと西に行く細い道へ。


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あたりは森みたいになるけど臆さずにどんどん進んでね。


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通称「トトロの森」の向こうにたたずむ一軒家。


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本日のお目当てのカフェはちはちインフィニティ。ドイツパンの職人さんのカフェなのだ。実はここへ来たのは今を去ること7年前、まだ京都に移住する前のこと。


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これがその時の看板。う〜ん、経年変化がええ味だしてる。


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あいかわらず「こんにちわ〜」と言っても返事がない。でもかまわず戸を開けて、ずんずんすすむのよ。


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町家のたたずまいも、トトロの森も、愛想のないオヤジさんも健在でほっとした。


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7年前と同じくドイツパンのオープンサンドとスープを食す。やや酸味のあるドイツパン、ほんまにしっかりしてるな。これだけで夕方までお腹一杯感が持続。


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このパンの販売コーナーもかわらない。7年と一口に言うけど、けっこう長いよ。いろんなことがあったなあ。とにもかくにも京都移住もその間に果たしたし、京都移住後もう5年目にはいったし。



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腹ごしらえの後は西大路通りをめざして北西方向へ。とりあえず細い面白そうな道があったらそこを通って。これが京都の町歩きの醍醐味。


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こんな細い生活道路も必ずどこか大きい道につながる。千本日活というなんだか昭和の臭いプンプンのあっちの方の(^_^;映画館もみつけたし。(出入りする人もいてたので、写真はよう撮らんかった、、、)いまでもあるんや、この手の映画館。(昔は新京極あたりにもあったけどな)


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空き地にペットボトルの行列。これはなにを防いでいるのだろうか?情熱はみとめるが、野良猫にはきかないと思うよ。



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次なる目的地は西大路通りの妙心寺道角。FBで見つけて、そういえばはちはちさんとそう遠くない。「おかず焼」という名前もユニークなら店名の壹越(いちこつ)もユニーク。なにせ壹越は雅楽の音階・十二律の最初の音なのだ。


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チーズやらあんこやらポテトサラダやらをどら焼きの皮につめるという、、、、(◎-◎;)
とりあえずカレーとハンバーグを頼んでみたらその場でイケメンの兄ちゃんが焼いてくれる。どら焼きの皮の焼ける良い匂いがたまらん。(あ、もちろん夕食にしたのよ、その場で食べてないわよ)

聞けばオーナーさんが趣味で尺八をされているとかで、それで壹越(十二律の一番目の音ということで)なのか!


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日本人はパンにあんこをつめたり焼きそばをつめたりいろんな発明をしているが、それのどら焼き版といったところか。たこ焼きに蛸だけでなく他のおかずを入れて焼いているのを見て考案したそうだが。カレーがおいしかった!


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さて、実は本当の目的地はここ!北野天満宮に大福梅をいただきに来たのだ。


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これは今年の8月、境内中に梅の土用干しをしてるところの写真。あたりに梅の仄かな酸っぱい香りがただよってたっけ。だから是非ともできあがった大福梅をゲットしたかった。


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天神さんの前の道路は自然の敷松葉。


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ちょっとアルカイックな笑みを浮かべた牛さん。



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そして山門には来年の干支の羊の絵馬があがってる。


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前日降った雪がまだ溶け残るあたり、さすが北の方。今日の散歩は食欲に迎合しすぎたので、ここらで敬虔な気持ちになって手をあわせ、、、


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無事大福梅ゲットした。(年によってははやくになくなってしまうこともあるらしい)


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梅花祭の頃は大きな梅の花の下にたたずむ赤い眼のフォトジェニック牛さん、私はひそかにジュノーとよんでいる。(ジュノーはジュピターの妻にして「牛王の目を持つ天妃」といわれる)来年の梅の頃もまた来るね。



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で、、、、、やっぱり食欲の話に最後はもどってしまった。やはり素通りできない粟餅の澤屋さん。1600年代の創業というからすごい。もっと古い文献に北野詣でのあとの粟餅云々の記載もあるようで。



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注文をきいてからお櫃の粟餅を放り投げ、じいちゃんがその場であんこで丸めこんでくれる。


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腹一杯といいながら、完食す。

ここのテーブルは楓の大材なのでこれも必見よ!








初・夜咄の茶事〜本番 - 2014.12.18 Thu

かねて数ヶ月前から周到に(?)準備してきた初・夜咄茶事、いよいよ出陣。

といっても、始まってからおわるまで、あまり写真を撮る余裕もなくいっぱいいっぱいだったのはいうまでもない。懐石の写真などは壊滅に近い状態。露地の風情は撮ったはいいが、真っ暗でなにがなんだかよくわからない写真とあいなりました(^◇^;)ごめんちゃい。


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(気をとりなおして)
まずは寄付はグレゴリオ・シャントでお出迎え。日本建築の家ゆえクリスマスが似合わないこと甚だしいのだが、これくらいならよいか。室礼は先日の好日居さんのまねっこ、、、、というかモミの枝、そこでもらってきたものだし。


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待合には李朝の燈火器と燭台をともす。う〜ん、なんだか気分が盛り上がってきた。初めて夜咄茶事に招かれたのはもう10年くらい前になる。小間で燈火のもと灯りも影もゆらゆら幻想的でとても感動した覚えがある。あれを再現、、、とまではいかなくても、何分の一かをお客さんに味わってもらえればいいな。

汲み出しは大阪屋さんの糀甘酒。


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仕入れたての湯桶も準備。なにせこの日は寒波襲来の初日くらいだったから、寒いのなんの。腰掛け待合いの火鉢は十分火がおこせずお客さまには寒い思いをさせてしまった。これは次回の課題。


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今回も外回り、露地の燈火の管理などすべて、茶室はじめうちを設計してくれたI君にお願いした。感謝感謝。

なんといっても露地行灯の風情はたまらんね。亭主もこれは堪能した。残念ながら写真ではうまく再現できない。だからしつこいほど枚数をアップ、あとはご想像で補ってくださりませ。


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まずは普通の露地行灯。中の光源はアルミカップ入りのキャンドル。和蝋燭は灯芯の管理がむつかしく、紙を焦がしてしまう可能性があるので却下。


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李朝の提灯。光源は洋蝋燭。次回はこれをどこかへぶら下げてみようかな。



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これは灯籠。自作の障子がばっちり。光源はリキッドキャンドル。これも管理が楽。


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これは日本の吊り行灯の枠だけ利用した物。和紙の覆いがないだけに、風に強い和蝋燭を。井戸の上においたのだが、これがまたいい風情だった(またまた自画自賛)。


迎え付け、柴折戸のところでこれぞ夜咄の醍醐味、手燭の交換を無言でおこなう。客は手燭の灯りをたよりに遅れないよう雁行。お正客が御連客の足元を手燭で照らすように歩む姿がゆかしい。



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席中は竹檠のかわりに李朝の燈火器。

掛け物は「関 東西南北活路通」。

大燈国師の有名な投機偈「一回透得雲関了 南北東西活路通」より、これも大好きな禅語だ。解釈は色々あると思うが、私にとって初・夜咄の茶事は一つの関門のようなもの。一度やりとげればまた新たな景色が見えるのではないかとの思いで。


まず前茶をさしあげる。水屋道具で薄茶一服、あたたまっていただくが、前茶のこまかい作法を書いた本がなかったので、ちょっととまどう。ええ〜っと、棗は帛紗できよめるのだっけ?


初炭は例の自作・湿し灰デビュー。その後空気にさらしておいたら異臭は消えてほっと。さらさらときれいに灰匙からおち、、、なかったので、これもまた来年の土用の課題。夜咄は続き薄がお約束なので、後炭がない。かわりに初炭でも後炭に準じ水次、茶巾で釜肌清めがある。寒いので、釜からあがる白い湯気がいつも以上にきれい。


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懐石は手作りで。作るのと運ぶのと酒三献と怒濤の小一時間、これがなければ茶事も楽なのに、、、と料理の苦手な亭主は毎回思うのデシタ。


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クリスタルの膳燭はこんな感じ。

お客様の楽しげな談笑を襖越しに聴く。釜の煮えは部屋をあたため、蝋燭の光は暖かく、料理を運びながら良い景色だな、と思う。まわりの陰は炎のまわりに集う人の心をより親密にさせる。これが夜咄の醍醐味。


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どうにかこうにか八寸まできた。千鳥の盃も無事終了。


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主菓子はそれぞれ菓子椀にいれておだしした。西陣愛信堂さんの「雪餅」。ちなみにちょっとだけクリスマス気分をだしたくて、上に金箔をのせたのは私です。(愛信堂さん、ゴメンナサイ)


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中立のあと、席入りの鳴り物は陽の喚鐘になる。私は銅鑼はいいのをもっているが喚鐘は持っていないので、とある金属製品(ナイショ)を喚鐘代わりにトンカチでたたいて喚鐘もどきの鳴り物とした。

後座は油煙を吸収するといわれる石菖をおくのが本来だが、白い花も可、ということで白水仙を花入に。入れようと思っていた花入の口がせまくて入らないことが直前に判明し、急遽竹の花入れに投げいれ。水仙って意外に茎が太いのね。

濃茶は李朝の堅手で。やはり夜咄は白っぽい茶碗が映える。


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続き薄になり、これは干菓子。敷松葉の上に雪が積もっているイメージで。雪輪は亀廣保さん。クリスマスオーナメントみたいな玉のお菓子は松屋藤兵衛さんの珠玉織姫。

薄器は豊兆棗(雪華紋)なので、雪餅、雪輪、懐石の煮物椀はみぞれ煮、、、とはからずも雪がテーマになった。(ほんとうに雪が降りそうな寒い夜だったのよ)

薄茶では一つ冒険。黒い茶碗で点てたらどうなるか?瀬戸黒の茶碗で茶を点てる。見えない,,,なんも見えない、お湯がどれだけはいったのか、泡立っているのかいないのか。見なくても感覚で点てられるような名人向きだな、これは。

茶杓の銘が「昏鐘」。喚鐘にも通じる。(代用品を思い出してちょっとふいてしまう^_^;)

最後に留炭(おひきとめする)を。客には立炭(辞去する)となる。
火がよくおこったので胴炭もまっぷたつに割れる。風趣を解して楽しんでくださる方々とひとときを共有できるこのうれしさ。



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時も移り、すっかり遅くなってしまったので、お見送りをしたあと、独座観念、残心ならぬ反省会(?)
水屋のI君が自服のお茶を点てているところを写真に撮ってくれたので、席中の雰囲気がつたわれば、とアップする。

いや、疲れた、、、、でも、夜咄はやはり格別だ。またしたい。でも呼ばれる方がもっとうれしいかも、、、(^◇^;)



<付記>
短檠では、初座の陰のあと、後座の陽で雀瓦を開けるのだが、燈火器ではそれができない。なので自己満足ながら燈火器に付いた小さな取っ手の向きを変えることで陰陽をあらわしてみた。ちなみにガスレンジのonとoffの位置のイメージで^_^;



夜咄の準備〜直前編 - 2014.12.16 Tue

初・夜咄茶事を直前にひかえて、最後の調整。(泥縄もいいとこなことも)


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この節、夜はとても冷えるので、腰掛け待合いに設置する予定の火鉢。本来これは座敷用の火鉢なのだが、座敷はストーブの方があったかいからね(^_^; 手あぶりは今回満足するようなものが入手できなかったので、せめて屋外の暖は大型火鉢でとっていただこう。


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露地は、、、、落ち葉もそれなりに風情がある、、、、


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というか、落ち葉ももうこうなったら一人の手では掃除しようがないの。だから逆手にとって敷落ち葉の風情で。ありがたいことに夜咄は暗いからあまり見えないし、、、f(^ー^;



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でも蹲居のまわりはなんとかしなくては。
これがbefore



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これがafter。


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まあ、それなりによき風情。



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自作した灯籠の障子。どうとめるかが懸案だったけれど、玄関にはえてる笹のシュートを切っておさえにした。大成功。(自画自賛)


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こちらは坪庭のほう。ちょうど白侘助と黄千両が見頃。夜はちょっと見えない場所だけれど。


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こちらは土用に汗をかきながら丹精した(?)自作の湿し灰。高級ほうじ茶を涙をのんでおしげもなく投入したのでよい色ながら、ちょっと異臭がかすかにするんですけど。夏を越えたからなあ、、、。炉中でにおわなければいいけど(-。-;)



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直前にやっと出来上がった茶入の仕覆。菊光堂さんにお願いしていたもの。私の紬の着物のはぎれを使用。界切り線を間道風にしたのがミソで、なかなかすてきにできあがった。茶入がガラスなので名物裂などよりも少し軽めのものがよいかと。


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さて、その茶入、燈火のもとでどんなふうに輝くかチェック。なかなか良い感じ。


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懐石のお皿なども燈火でどのように見えるかチェック。



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膳燭もきらきらきらめくはず。


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ま、こんな感じかな。



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これは李朝の頃の提灯。露地行灯にします。どのようになるか、乞うご期待。



ピアノサロンコンサート2014〜ガラ・コンサート平野の家わざ永々棟 - 2014.12.14 Sun

一昨年は「ピアニストだって第九!」、昨年は「故知新」がテーマだった恒例、ピアニストの梅原尚子さんサロンコンサートに今年も行ってきました。


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場所は雛祭り茶会やらお能の会やらなにかとよく行っている白梅町近くの平野の家・わざ永々棟

もう何度も書いているのでなんなんですが、今一度コピー。

永々棟は大正時代の数寄屋建築。荒れてしまっていたのを、数寄屋大工の山本隆章棟梁が、その数寄屋建築の伝統を伝えるために、あらゆる大工の技術を駆使して工繊大とのコラボで改修した家。(ちなみに永々棟とは家を建てるときの上棟式で「千歳棟、万歳棟、永々棟!」と工事関係者が発声する習わしから)


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そしてこの幻のピアノ・エラールピアノはフランス・エラール(Erard)社のピアノ。この永々棟ができたのと同じ大正の頃生まれたピアノで、修復ののち、この家のシンボルとして迎えられたもの。

ピアニストの梅原さんは京都出身のかわいらしい(2児の母ですが)方で、ピアノのために9年間ベルギーに留学されてました。曲の解説からプライベートなことまで,とてもトークがお上手。ヨーロッパ留学中のお話も興味深く、自分は経験のない世界のことなので聞くのが楽しみなのです。


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おりしも今年は永々棟5周年記念だそうで、いままでの活動の写真も全館のあちこちに飾られています。そしてサロンコンサートも今年特別に前夜祭としてガラ・コンサートがおこなわれ、今回はそれにいってきました。

5年間ですから今年5回目、1回目の2010年のコンサートから、それそれの年に演奏された曲のいいとこどりの演奏。私たちは3回目からの参加、ということなんですね。ちなみに1回目はエラールピアノの時代の作曲家、ドビュッシー、ショパン、リストなど。2回目は「和美西美」、湯山昭の「お菓子の世界」。

ときどきクイズ(たとえばショパンの「黒鍵」にはいくつ黒鍵の音があるか?とか)を出しながら、観客との距離がとても近い、楽しくアットホームなコンサートです。



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今回もこのエラールピアノ修復にたずさわって納品された寺町の旭堂楽器の社長さんが5周年記念を祝い、ピアノの歴史について、エラール社初代のセバスチャン・エラールの生涯についてお話しを。なんと初代エラールはあのマリーアントワネットに(声域が極端に狭かったそうで、それにあわせて移調が簡単な)ピアノを献上していたんですって。


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休憩は二階の大座敷でお祝いのシャンパンをいただく。この時、改修にたずさわった山本棟梁その人が特別出演(?)。改修時のいろいろはお話しを聞けたのも貴重。そういえば改修前の写真も展示されていました。

建物というハードは棟梁が作った、だけどそれだけでは建物は生きていかない。5年間こうしてみんなに使われて息を吹き込まれた建物のうらにはいろんなソフト面でのご尽力があったことだと思う。なかなか古い建物をそれだけで維持していくのは困難な時代ですから。(おりしも長年京町家を体験できる「四条京町家」が取り壊されるというショックなニュースを聞いたばかりです)


休憩のあとは、我々が参加した3回目のピアノで第九(リストがピアノ用に編曲した)最終楽章、昨年の山田耕筰の「からたちの花」を、その曲が出来たときのエピソードもまじえて。

アンコールは、これも毎年拝聴しているリストの難曲「ラ・カンパネラ」。梅原さんはいままで28回永々棟でコンサートをされているが、最多出場曲は?とクイズ。正解がこの曲。28回中25回、カンパネラ弾いておられるそうですよ。私も覚えましたわ。


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あれからまた1年たったのね、1年って早いなあ、、、と感じるこれもひとつの道しるべ的イベント、来年もまた無事に元気で楽しめますように。この歳になってこそ心から言えるおまじないです。(日本は言霊の国ですから)



好日居・茶ノ教室夜会〜クリスマス2014 - 2014.12.12 Fri

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今月の好日居さんの茶ノ教室。



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おお、なんだかいつもの和の空間が、なんとなくクリスマス。ところでこのモミの枝の上に乗っている木の棒はなんでしょう?(解答は後に)
まずはクリスマスツリーの起源のお話、意外と新しい歴史にびっくり。


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この季節、京都では大根の煮たのを参拝客にふるまう大根焚(「だいこだき」と発音)がいくつかのお寺でおこなわれるので(有名なところで西陣の千本釈迦堂、鳴滝の了徳寺)それにならってまずは大根炊焚であたたまる。体がぽかぽか。


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今回は1年の終わりなので、この1年を春夏秋冬それぞれのイメージのお茶をいただきながらふりかえろう、という趣向。

まずは春のお茶、清明節(4月)のころ摘まれた龍井茶(ろんじんちゃ)。うん!これは味も香りも煎茶だ!

で、春の頃はなにをしていたか???すでにはるかな記憶の彼方、、、、(^_^;


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さきほどから気になっていた茶碗をのせている台、これなんだろう?


実は小さいナイフを打ち出した後の鉄のかたまりなのであった。こんなものまで使えるなんて、なんてすてきなセンスなんだ!



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二煎目は金柑の砂糖漬けのスライスをいれて。中国茶はいろんな楽しみ方ができるね。(煎茶に金柑はちょっと、、、でも梅干しならあうぞ)



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夏のお茶は、夏に作られた岩茶。今度は蓋碗でいれていただく。

さて、夏はなにをしたか?う〜ん、7月は祗園祭に血道をあけた。8月はパリ郊外のモネのジヴェルニーの庭を訪れたことが印象深い。


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真夏の強い太陽光を思わせるようなパンチの効いた岩茶は、上等な烏龍茶ほどではないけれど,野性味があって香り高い。



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お茶をのみながらちびちびいただくお菓子も、全国各地の銘菓がでてきてうれしい。手前から日向夏のピール、太宰府の清香殿(藤丸)、仙台のみち乃くせんべい(売茶翁)。


清香殿は大徳寺納豆がはいった和風マシュマロと言った感じでとてもおいしい。大徳寺納豆から話がとんで、さらにかぐわしい(というか発酵臭がすごい)一休寺納豆までだしていただいた。(これ好き〜)



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秋のお茶は2007年9月につくられた普洱茶に金木犀(桂花茶)をそえて。

秋といえばやはり孫と2ヶ月もいっしょにすごしたことだよな〜。ほんま2歳児はおもろかったわ。


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食物の油を洗い流すといわれる普洱茶はほんとに後口さわやかだ。(生まれて初めて飲んだときはかび臭くてげ〜っとなったが)それに金木犀をいれるとまたかわった後味になる。これは不思議。ちなみに日本の金木犀とはかなり香りがちがう。


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最後は冬のお茶、華やかなクリスマスティー。紅茶にリンゴ、レモン、生姜、丁子、などを投入。



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それにさきほどのモミの枝に乗っていたこれ!を細片に割って投入。

正解はシナモン!シナモンスティックはみたことあるけれど、こんなに大きいシナモンは初めて見たわ。



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最後なので電灯を消して蝋燭の火のもとで。


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口の中でいろんなスパイスがきらきらきらめく華やかなお茶になりました。最後に投入した氷砂糖、いれるとパチパチ貫入がはいるような音がして、光に透かせてみると、まるで宝石。


これからすごす本格的な冬が良い思い出になりますように。みなさまも。




但馬初雪〜還暦の茶事 - 2014.12.09 Tue

京都は良いお天気でした。なので寒いけれど全然OK〜、、、、と言いながら出かけたのですが、山陰線が北に進むにつれて、あれ???


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♪あたり一面銀世界、、、、(◎-◎;)!!
お招きいただき、言祝ぎにでかけた但馬地方は今年初めての雪の日でありました。


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いつもお世話になっている(永楽館歌舞伎でもお世話になりました)そらいろつばめ様のご主人様が亭主を務められるご自身の還暦祝いのお茶事です。


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100人は入るいつもの大ホールと広間の茶室、小間の茶室を縦横無尽に使ってのダイナミックなお茶事はなかなかドラマチックであります。腰掛け待合いはバーベキューもできる大きな囲炉裏のそばで、お庭の雪景色を眺めながら。

汲み出しは雲南省の香り高い烏龍茶、待合掛けはトンパ文字。トンパはチベットや雲南省北部の少数民族・ナシ族の司祭にのみ伝えられる絵のような文字(世界遺産・トンパのPC用フォントもあるんだって!びっくり!)。
以前雲南省からチベットにぬける茶葉古道を旅されたときのもので、とても印象深い旅だったそうです。


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広間でお炭、私の住んでいる岡崎ゆかりの蓮月さんの短冊、羽根は但馬ゆかりのコウノトリ。

そのあとはホールに移動して、お料理の得意なそらいろつばめ様お手製の懐石をいただく。(お水屋のお二人にもありがとう〜\(^O^)/)懐石はこの松花堂にプラスしてイタリアンの強肴数々に一献はワインにて。お腹いっぱいいただきました。おいしゅうございました〜。


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こちらは八寸。ううっ!ますますワインがすすむ、、、。ご亭主ご夫妻も加わってなごやかに。それにしても広いホール、床暖房がほんのり暖かくてとても心地良い。


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こちらもお手製の主菓子。実は「初霜」というお菓子を考えておられたそうですが、思いがけない初雪に急遽霜を雪にかえて、お作り下さったとか。手作りならではの臨機応変さ(^-^)

濃茶は小間にて。薄暗い小間には手燭が用意され、ちょっとした夜咄か夕ざりの雰囲気で。
おお!これは敬愛する久松真一先生の短冊ではないか!見ただけでわかる字と料紙。

「老倒(疎慵)無事」

『老倒疎慵無事日 閑眠高臥対青山』(五灯会元・南宋禅宗通史)

もう老いぼれてしまって憂き世のことも悟りのこともどうでもよくなった、ねっころがって山でもみていよう、、、、。これぞほんとうの自然体の悟りの境地、老境かくありたし。

先日の全日根遺作茶陶茶会に、ご亭主もおいでくださったのですが、そのときの全さんの額、「なにもいらん なにもしらん ただ風にまかせ」の境地と通じるものがあるとおっしゃる。

ほんとうだ。

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熱々のおいしい濃茶を中村康平さんの井戸写しでいただく。この方も李朝の茶碗を手本に作陶されている方だとお聞きするが、なんとダイナミックにかしいでゆがんだ井戸だこと。好みだわ。

中立のあとは広間にもどって後炭。初炭のときとまた違う炭斗で。なんと鴨箱炭斗という玄々斎好みのものなのだそうです。初めてみました。じょうごみたいな塗の箱で、かつて鴨を贈答するのにこのような箱にいれていたのだとか。

実はご亭主、直前に腰を痛められていままでのお点前はすべて奥様の代点(^_^; お薄のみ、がんばってご自身で点ててくださいました。干菓子はお取り寄せくださった富山の「薄氷・銀杏バージョン」とほろっと口の中でとける繊細な飴の「霜ばしら」・仙台九重本舗。

こちらのお宅にはお蔵もあって、お母上がお茶をされていたそうで、そこからいくらでもお茶道具がでてくるそうです。まあ、なんてうらやましい!!ドラえもんの四次元ポケットみたいだね〜と笑い合いながら、なごやかに一会を終えました。


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せっかくのお祝いですから、懐紙に腰折れを一首したため進呈いたしました。お恥ずかしいのでご披露はしませんが、最近覚えたばかりの言葉、「華甲」を使わせていただきました。

「華」は分解すると「十」が六つと「一」=61、「甲」は十干の最初なのであわせて還暦を意味する言葉、茶の世界では華=菊、甲=蟹、ととらえて菊蟹香合(交趾・型物香合東前頭三枚目)なんてのも還暦茶会には使われるそうです。


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お祝いなので色留めの訪問着仕立ての着物で。雪なので雪持ち笹の柄にしたつもりが、雪つもってませんね〜この笹(^_^; あれ?


とにもかくにも還暦、おめでとうございます。このようなおめでたい茶事にお招きいただき感謝です。お水屋の方々、御連客の方々もありがとうございました。

次の12年後の甲午(きのえうま)めざして、お互いに元気でがんばりましょう!

   

    

當る未年吉例南座顔見世興業 - 2014.12.07 Sun

今年も南座に顔見世の招きが上がり,師走の雰囲気をいやがうえにも盛り上げる。


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昔、顔見世といったらええしの奥様方が、出し物にあわせた紋様のお召し物を着てきらびやかにお越しになる、、、というイメージだったが、今ではほとんど普段着で気軽にきてはる人の方が圧倒的に多い。


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それでもなんとなく気分が華やぐのだ。ひいきの役者さんを見に来る洋髪の芸妓さんや舞妓ちゃんをみるのも楽しみ。

それに今年は23年ぶりに檜舞台を総張り替えしたので、仄かな檜の香がしているのもすてきだ。


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今年は大きな襲名披露がなかったので、口上はなし。昨今大物役者の訃報が続き少し元気のない歌舞伎界ではあるけれど、若い世代の台頭を期待したい。それにまだまだ藤十郎さんや仁左衛門さん、幸四郎さんもがんばってはるし。


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夜の部最初の長丁場は「仮名手本忠臣蔵〜山科閑居の場」。前半の見せ場は藤十郎の母親と娘の壱太郎(実際の祖父・孫関係)。壱太郎がまたきれいな娘になるんだわ。先月の出石・永楽館歌舞伎ではコミカルな丁稚役(これはまり役だった!)をやっていたのがウソみたいに化けるな〜。これからの注目株だわ。後半は幸四郎の偽悪振りが見物。あとほぼ目の前に浄瑠璃と三味線のお二方がいたので、これを眺めて感心してしまった。ほんま、浄瑠璃って全身全霊で声ふりしぼって謡うんだ。



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お次は仁左衛門様の舞踊、「お祭り」。
山王神社の祭礼でほろ酔いかげんの鳶頭が片肌ぬいで、刺青ちらつかせてべらんめえの江戸っ子振りを見せてくれる。これにからむ若衆たちや獅子舞のアクロバット、いなせ〜!仁左衛門様はほんまにかっこええなあ。(そしてますます愛之助が似てきたσ(^^) )


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幕間のお弁当は今年は高島屋で「芝居弁当」なるものを買って持ち込んだ。昨年までは料亭に注文して幕間に南座入り口まで届けてもらうというお約束(?)をなぞっていたのだが、30分の幕間ではちょっと忙しすぎ。今年は観劇重視の体制で時間を節約をした。


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ご祝儀の馬もみないと行けないし、小用もたさないといけないし、30分はほんと、きついわ。


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二番目の長丁場はご存じ「鳥辺山心中」。
橋之助と孝太郎の道行きが見所。舞台もよ〜くしってる?四条河原町、ここから埋葬の地であった鳥辺野は清水さんの近くだから、歩いて道行きする道順も推し量られておもしろい。
娘が死出の旅に出るのに、父親が春の晴れ着にと誂えた小袖をまとっているのがあわれ。


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さて、最後の勘九郎・七之助の舞踊劇「爪王」はほんますごかった!!ケレン味たっぷりのダイナミックな演出の中に歌舞伎のおもしろさ、醍醐味がぎゅっとつまっているようで。
なにしろ鷹(を若い娘に擬人化している)の七之助がもう神々しいまでに美しくて、、、前の鳥辺山心中でも遊女役で出ていたときにはそれほどと思わなかったのに、演じる役でこの変化!鷹の誇り高さ孤高さをあますところなく演じていた。
悪役の狐=勘九郎もすごい身体能力、老獪な狐がほんにそこにいるよう。狐の獣の後ろ足まではっきり見えたような錯覚を覚えたよ。

おりしも勘九郎・七之助兄弟の父、勘三郎さんの命日は次の日だった。歌舞伎ではだれそれの息子、孫、という血筋はとても大事だが、それも本人の精進あってのもの。勘三郎さんも安心して笑っているだろうか、まだまだとダメだしをしているだろうか。

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すっかり歌舞伎のおもしろさに興奮さめやらぬまま、夜の祗園にくりだし、、、、と言いたいところだが、残念ながらそのまま帰宅(^_^; 冷たい夜気がここちよい。


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歌舞伎番付(パンフレットね)を買うともれなくもらえるこの栞は、張り替え前の檜舞台の板を削ったもの。もうほとんど檜の香りはしないものの、20数年、役者たちの汗や涙がしみついているかと思うとついほおずり、、、(^◇^;)

今年も無事、顔見世拝見できました。これで年越しできるわ。


衣笠〜北野・晩秋散歩  - 2014.12.05 Fri

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金閣寺の近く、京都の安産の神様いうたらやはりわら天神さん。


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お礼参りにきたんやけど、お産した本人はもう遠方の家にかえってしまったので、ひとりで御礼参り。なんだかなあ。


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まだお腹の中にいるときにみんなで来たのは残暑のころだったなあ、、、とすでに懐かしく思い出しながら、神さんに感謝する。


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お腹もすいた。娘っ子に人気のパティスリーTentasion d'Angeが近くにあったのでここでランチしよ。


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テーブルがアンティークミシン(私は現役時代をしっているが、、、)の台になっている乙女仕様。(おばはんでも入るが)


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建物自体は町家というか昭和のころの民家なので、坪庭なんかもあって建具も昭和でなんだか懐かしい。


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900円のランチはこれにパン食べ放題、値段高騰のバターブロックもついて、飲み物もジュースやミルクやコーヒー飲み放題。かなりお得やん。

食後はお茶やな、やっぱり。TLで知った中国茶カフェが近くにあるはずなので行ってみよう。


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ここ!ええ感じの町家連棟ではないか。ここは住所でいうたら衣笠よ。


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ISO茶房さん。(なんやISO乙女会主幹としてははなはだ親近感を覚えるが、ご主人の名字がイソさんなんだそうで)


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まずビックリするのはご主人のチャフーコレクション!!
実はこれありきで、中国茶の勉強を始めたのはその後だったんだとか。今では中国の中国茶国家資格までおもちなんだと。


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中国茶のメニューも種類が豊富でひとつひとつ説明してもろた(^_^)b ご近所の好日居では烏龍茶系の青茶を飲むことが多いので、ここはひとつウンカにわざと茶葉を喰わせて、茶葉に出来た抵抗物質を味と風味にしたという東方美人茶を。

お茶を右の細長い聞香杯にいれて、左の茶碗を重ねてえいっとひっくり返すのだが、これはへたくそなんで、びちゃびちゃにしてしまう。とほほ。で、空になった聞香杯に残った香りを楽しむのよ。ああ、ええ香り。日本茶とはまたちがった魅力。


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写真撮るのをすっかり忘れたけど、ご主人お手製のパウンドケーキ、砂糖を一切使わず、蜂蜜とあとなんやったかいな、果実系のもので甘みをつけたもので、おいしかった〜\(^O^)/


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建物も、りっぱな織屋建、高い天井に明かり取りの窓。この連棟はかつてはほとんど織屋さんだったんだそう。
(私がヘビーユーザーであるところの)好日居さんを参考に改修しはったとか。ちょっと私のテリトリーとははずれているけど、北野天満宮にも近いので、またこちらにも足をのばしたいいごこちのええ空間ですよ。おすすめ。


で、その天神さんにも足をのばそ。


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御土居の紅葉ももう遅いかな〜と思ってたけど、散り紅葉もそれなりにきれい。


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こんな絨毯はこの季節ならではの美しさ。


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それでも鶯橋の近くは紅葉がまだなんとかがんばっとる。


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赤〜黄の微妙なグラデーション。またこの落ち葉がええ匂いがするのん。


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すっかり紙屋川は秋の黄金色に染まってるなあ。名前の通り、この川では昔紙漉してはってんて。そういや、美濃和紙ユネスコ無形文化財登録おめでと〜!(関係ないか、、、、)


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梅林の方も、すでに蕾のツボミがほれ、もうこんなに。
来年の早春にもまた来なくちゃね。それから神社の方へ来年の大福梅もらおうと思っていったけど、残念ながらことはじめの13日からですと。

なにしろ今年はその梅の土用干しまで見に行ったんで、是非ほしいのよ。


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境内の摂社の屋根も、これまたこの季節の名物、黄金色に染まっております。


中途半白夕ざり茶事〜亀岡・楽々荘 - 2014.12.03 Wed

茶の世界では、知り合いの知り合いは多分みんな知り合い、、、。そんな不思議なご縁をもってして、またまた知り合いだらけの御連客と亀岡・田中源太郎翁旧邸楽々荘ご亭主の55歳の賀の茶事、言祝いで参りました。


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55歳ということで銘打ったのが「Go!Go!中途半白茶事」、、、ですから、ご亭主のお人柄がしのばれますね。^_^; で、茶事もダジャレまみれだったのですが、、、御道具はもうちょっとあまりのすごさにここでは言えない、、、
(半白=百の半分と言うことで50歳のことよ)

なにしろ20日間で100人以上のお客さまを招かれておられるので、これから先もおよばれする方のために、趣向は言いたいけど言えない!!.....(>_<).....


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さてもさても夕ざりの趣向にて、洋館の待合から、少し日が翳ってきた腰掛け待合いへ。また出会えました、もう生産されていないお尻に敷くよりは頭にのせたくなるような値段の讃岐円座!このしなやかで座り心地のよさときたら、、、、
植治の手になる広い庭園を眺めながら、色鮮やかなイロハ紅葉、真っ赤な南天の実、ひそやかに赤い実をつける薮柑子などでいろどられた露地を楽しむ。


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感動したのは敷落葉。紅葉の赤い落葉を道の両脇によせて、あたかも赤い絨毯の真ん中の道を歩むような風情に。庭師の方のお手柄でしょうか。(いいな〜専属の常住の庭師さん!憧れ!)

ご亭主の迎付をうけて初めて小間(三畳台目)の其中庵に入る。いままで楽々荘では広間の浮舟のほうばかりだったので、やっと念願の其中庵、わくわく。(真夏の其中庵は空調がなく死ぬほど暑いのだそうで。うちの茶室とそこはいっしょやな)

夕ざりなので初座が花になります。ご亭主は花を投げいれる腕がとてもすばらしいので、それに感動はもちろんのことながら、花入が、花入が、、、、\(◎o◎)/!(言わんとこ言わんとこ)本来なら美術館所蔵品、でもおもわず手でなでなでしたくなるような、、、、、(←陶酔)

すでに日が落ちてきて薄暗い茶室になんとまあ、すざましい迫力。

ご亭主のご挨拶ののち、初炭。炭道具も、、、くどいのでもう言いませんが(^_^;
私などでは生涯持ち得ない物ばかりなので、その方面の知識がなく、道具についてたくさん勉強させていただきました。


懐石は楽々荘の懐石(おいしかった!)、器も、、、あ、またくどいからやめよ。
懐石のみ広間の椅子席だったのがありがたい。膳燭のもと、ご亭主の各客への心配りもさすがです。石杯に預け徳利もでてきて、また欧州ご出身の正客さんの飲むこと飲むこと。酔えば酔うほど蘊蓄がさえわたり、まあなんとおもしろい。またまた外国人に日本文化の真髄を教わる、、の図。

途中アクシデント(^◇^;)もありましたが(本人は不本意だと思うけれど)それもまた席の肴に、忘れられない席になりましたね。

主菓子は、、、これも技あり!のお菓子(by老松さん)、この御趣向もこれから行かれる方の為にだまっておきます。しっかり見てね。


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中立の頃にはあたりはもう夜、しかも雨まで降ってきましたが、後入りがまちどおしい。

燭台の灯りの下、しゅくしゅくとすすむ濃茶点前、いろいろな(しゅご〜い)お茶碗がたくさん出てきてほっと気持ちもほぐれ、会話の弾む薄茶。これくらいはゆうてもええかな、私は五島美術館にある黒織部「わらや」によく似た桃山時代(!)の沓形黒織部でいただいたんだよ〜ん( ̄^ ̄)ゞ(←自慢)

手際よく、なんども灯芯を切るタイミングも手付きも巧で、これから夜咄を初めてする身としてはこれも勉強になりました。

最後にひとつひとつの御道具をそっと手に取らせていただくシアワセ。
茶杓はペアで。銘がまたよかったなあ。ご亭主の茶道具にかけるなみなみならぬ眼力と熱意に脱帽するしかない。主催されている「茶狂会」の茶狂いの意味がようわかったわ。こればかりはどんなにしてもマネできない。だからこそ、こうして末席を汚させていただけるのはうれしくてありがたくてしようがない。



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帰りに草履を履こうとしたら、それぞれの履物に紅葉がひとひら、なんて心憎い。


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その紅葉を持ち帰り、やはり持ち帰った干菓子(生八つ橋と焼いた八つ橋でできている)の紅葉とならべてみる。

この写真をみるだけで、あのきらきらした珠玉のひとときをいつでも思い出せそうです。

感謝!


(昨日の茶事とまた対極のような茶事ですが、極左=極右であるように^_^; 見た目は違えど、根本はにたようなものだと、ワタクシは思ふ、、、)


Indwelling〜夕ざりの茶事 - 2014.12.02 Tue

K様のMoon-light Jazz茶会にお招きいただいたのはもうかれこれ1年前になるのだと、ほぼ同じ季節にお招きいただき、時の早さに驚く。


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京を離れ西の方、ここの紅葉の山はさえぎる物がないので全山燃えているようだ。



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なにしろ茶道=ひたすら掃除とこころえ、周利槃特(しゅりはんどく・掃除で悟りをひらいたお釈迦様の弟子)の故事のように掃除をもって悟りをひらかんと欲する、同じ志をもつ者同士(いえ、K様のほうがはるかに先輩ですが、、)、まずは掃き清められ、美しく水うちされた露地に目が行き、ああ、お仲間〜と感激する。



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これが待合の煙草盆。さりげないのにセンスが良い。夕ざりの合図の午後5時のサイレンが鳴るまで、まずは珈琲をいただきながら(珈琲点前もされる方なので)近況報告。本日は一客一亭、これがお好きなんだといわれる。

一月に多いときで4回も茶事をこなされるくらい茶が好きで、そのための精進ならなにもいとわない、、、そんなすごい方なのに気さくで飾らない、偉ぶらないお人柄に、ついつい甘えてしまうけれどイヤな顔一つされない。本物の茶人のひとつのありかたではなかろうか。


薄暗くなったお庭で席入りを待つひととき、清められた庭の湿った夜気を楽しみながら,さあ、今日はどんなお席かな。


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四畳半の茶室にはやわらかな蝋燭の光。掛け物が「INDWELLING」、一瞬象形文字にも漢字にも見え、よく見ると横文字。待合の小さな額に同じ筆で「blessing our mutual indwelling in tea with thanks」とあったのと呼応する。待合では傍らに客としてこられた外つ国の方がいろいろ解釈を試みたカードがおいてあったが、直訳するとindwelling=内在するもの、私としては「一無位真人」もしくは「主人公」と解したい。


懐石はワインにお手製のイタリアン。きのこのマリネがおいしくて作り方をきいておく。ついつい箸がとまらずもうお腹いっぱいいただいた。(料理の腕は茶事においてはほんとに重要よね〜)


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中立は、さきほどの待合にもどると、まあ!!これはサプライズ!
(今後行かれる方の為に内緒にしておきますが)燈火のもと、じかに夜の庭と対峙する。灯りはゆらゆら、、、、なんて心地の良い、、、もうずっとここにこうして座っていたいような。


そばを通る鉄道の踏切の音を喚鐘と聴き、後入り。

さらに夜は深くなり、蝋燭の作り出す影は妖しく、、、そしてそっと耳にはいってくるコルトレーン。これがJAZZ茶会。今回初めてなぜコルトレーンなのか、なぜこの曲なのか、由来を聞くことができた。(これも内緒。ご亭主御本人からお聞きになってください)

さきほどのワインの余韻と、コルトレーン、蝋燭の火、、、とその中でご亭主の点てられるお茶。(このお茶を点てるときにも技あり!の道具が)トランス状態はこうして作られる。夢見心地とも。薄茶二服、お白湯一服いただき茶杓の銘をたずねる。

、、、、う〜〜ん、これも以前の客が当意即妙につけた銘なのだが、あまりにはまりすぎて最後にまた一発くらった。(ごめん、これも内緒にしとくね)


お見送りをうけ電車にのりこむ。あたりはもう真っ暗だ。

INDWELLING、、、自分の内在するものの立ち位置をしっかり確認できれば、お茶もまた融通無碍に変化させるも可なり。あ、これって「随所作主 立処皆真」じゃないか!




茶道文化検定1級 - 2014.12.01 Mon

世の中にはほんま多種多様な検定がはやりで、茶道文化検定なんてのもあるのだよ。一昨年3級受けて昨年2級受けて今年1級挑戦。

まあ、それなりに勉強したけど、、、、、なに!?この合格率の高さ!!

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確かに今年はえらい簡単だなあ、、と思っていたが、一昨年の1級合格率は一ケタ、昨年は18%くらいだったのに、5割越え?!合格してもありがたさ、半減やな〜。

「饅頭を初めて日本で作ったのはだれで、何天皇に献上したか?」みたいなテキストにも載っていないびびらし問題はなかったし。それでも四畳半の茶室を使用できるのは唐物所持者だけだと言った人は?というのはひっかけられた。武野紹鷗にきまってるやん、と思っていたが、はっきり書物で言ったのは山上宗二やったんや。

それより自己採点では98点だったのに、ナゼか漢字で引かれとる。「照顧(脚下)」と「雲雀棚」はちゃんと書いたつもりなのに引かれているって納得できんわ。

実益といえば、茶道資料館が1年間無料になるのと、あといくつかの茶道系美術館の割引くらいですけれどね。


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それにしてもこのテキストは茶道に関係するひととおりの知識をスキミングするのには、とてもよくできているテキストだと思う。分野も歴史・茶事茶会・茶道具・茶と禅・茶席の花・懐石・菓子・茶室露地・茶業とまんべんなく。やはり歴史と茶業がおもしろかったな。興味のある分野はさらにほりさげて勉強すればいい。

この検定については主催が主に裏千家なので、裏千家寄りすぎだとか、集金目的だろうとか、いろいろおっしゃる人もいるが、それをどう生かすかは本人次第、少なくとも私はとても楽しく勉強した。

今更聞けないあんなことこんなことをこっそり知ったし、知っておいて損はない、というか知っておくべき、あるいは知っていると茶席での話がふくらむよ、、みたいなことも勉強できたし。いままでの蓄積した知識(たいしたことないし、最近物忘れはひどいが)を体系づけて覚えなおすこともできたし。

とはいえ、もうあれなんやったかいな、、、とせっかく覚えたことも既に忘れかけてることの方が問題やな〜。


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