湖国の炉辺茶事〜茶飯釜 - 2015.03.03 Tue
以前茶事にお招きしたときに、前礼のお手紙の代わりに秋の山の実りを届けて下さった方がおられます。カラスウリの実、桐の実、鬼ぐるみなど、ドライにしていまだ大切に持っております。その方からうれしい茶飯釜の茶事のおさそいです。
鳰の湖(琵琶湖)を眺めながら湖国の早春を楽しみつつ電車でゴトゴト。

たどりついたお宅は椿の花も盛り、ご丹精の水仙やこんなかわいいスノードロップも、早めの春を謳歌しているようです。
玄関でお雛様の笑みにむかえられつつ、中へ入ればなんとりっぱな日陰鬘(ひかげのかづら)!3m近くもあるのではないかしら。これもまた山でご自分で採取された、というのにびっくり!山の恵みをお裾分けいただいた気持ちです。(某先生の初釜へ伺った折り、やはりすごく立派な日陰鬘が飾ってありましたが、実はこれもご亭主が贈られた物だったそうですよ)
これを南天や水引、奉書で飾っておられる、これは平安時代に宮中で正月に飾られた魔除けの「卯杖」を写したものなのだそうです。
待合に入れば、なんだか懐かしい箱火鉢が。

蹲居もご亭主みずから工夫してつくられたもの。この塵穴はすばらしい!

さて、茶飯釜。1つの釜で米も炊けば茶もわかす、究極の侘び茶事かもしれません。
お米を炊くときはこの大きな蓋で、お茶を点てるときは小さめの蓋と入れ替えるところがおもしろいのです。
茶飯釜の一応のお約束として、釜肌には「飢来飯 渇来茶」と鋳出してあります。(腹が減ったら飯を食べに来て下さい、のどが渇いたら、茶を飲みに来て下さい)
羽の部分には「自在軒一釜斎宗徳」。(堺の銭屋宗徳という茶人が、宗旦にもらった茶飯釜を大事にして、一生涯この釜一つを自在にかけて茶を飲み、飯を炊いて暮らしたことから)
飯を炊くので、強い火力を確保するため初炭で入れる炭はいつもの倍くらい。お米の炊ける香りを楽しむため、お香はなし。テキストでは信玄袋にいれた米をざ〜っと釜に投入するのですが、この日は箕から投入、早くもご亭主劇場はじまりました。

折敷の代わりにそれぞれに飯台を、箸置きにそれぞれ山や庭でつんだ小枝の若芽を。私のこれはサンザシですって。おとなりの方のはキブシでした。まあ、なんて春なのかしら、、、。
お米投入後は竹の火吹きで御連客とかわりばんこにフーフー、火を熾します。中には火吹きの使い方がわからなくて、灰を吹いてシンデレラになりそうだった方も。私は昔取った杵柄(^_^; 子供の頃まだ家に竃があった)、肺活量も実年齢マイナス7歳(人間ドックでいわれた)の腕でがんばりました。
ぶくぶく音がしてくるとふんわりよい米の炊ける香りがしてきます。どこで釜をおろすか、こればかりは実際に予行演習して経験しておかないとわかりません。そろそろ焦げるのではないかと心配するのですが、ご亭主は余裕で。
そのうち香りが変わってきて、ついにはかすかな焦げる匂いが。(あのおこげ、こそげとってお湯かけて塩ひとつまみで食べるとおいしいんだよな〜)

炊きたてのご飯を釜から直接ついでいただくこのうれしさ、飯、超ウマイ!日本人でほんとヨカッタ!と思えます。
皆様笑顔になったところで、汁の、次は煮物の鍋をかける。向付には上にちいさな土筆がのっていて、鍋にはイノシシの汁、強肴は山形の紅花の干し菜、はこべのおひたし、手作りの香物、、、まるで囲炉裏に集う山里の暮らしのよう。そして御連客と家族みたいになごやかな会話を。
八寸はこれもご自分で採取された蕗の薹のてんぷら、ほろ苦さに口中さわやかになる。お酒もお雛様の白酒をおもわせる白いにごり酒、私飲める人でヨカッタ。
湯斗はおまちかねのおこげ入り〜!!\(^O^)/
さて、主菓子は、、、「待合に用意してあります。」といわれ、???と思っていましたら、、、

おお!
先ほどの箱火鉢、網の上には太宰府の梅が枝餅が。なんて演出なんでしょう。あつあつのあんこ入り餅はことのほかおいしゅうございました。

中立後、後座にはいったとたん、はっとするほどの存在感のミツマタの大枝。すごい迫力です。かつてこの地方で和紙造りで町おこしを企てた名残の野生化したミツマタだそうです。園芸用にはない野趣にあふれてこの炉辺にぴったりの風情です。
茶飯釜は蓋を替えてお茶のためのお湯をわかします。帛紗包みの茶器がまたつつましくゆかしく、薄茶ででた干菓子にウグイスボーロを見つけておもわず破顔いたしました!これ最高!

野山の恵みをてづから採取し水を汲み、客をもてなす、これいにしえの茶人の茶の湯。侘びた茶飯釜はそれにぴったりの御趣向でしたね。楽しく炉辺につどい貴重なひとときをすごさせていただきました。感謝です。
鳰の湖(琵琶湖)を眺めながら湖国の早春を楽しみつつ電車でゴトゴト。

たどりついたお宅は椿の花も盛り、ご丹精の水仙やこんなかわいいスノードロップも、早めの春を謳歌しているようです。
玄関でお雛様の笑みにむかえられつつ、中へ入ればなんとりっぱな日陰鬘(ひかげのかづら)!3m近くもあるのではないかしら。これもまた山でご自分で採取された、というのにびっくり!山の恵みをお裾分けいただいた気持ちです。(某先生の初釜へ伺った折り、やはりすごく立派な日陰鬘が飾ってありましたが、実はこれもご亭主が贈られた物だったそうですよ)
これを南天や水引、奉書で飾っておられる、これは平安時代に宮中で正月に飾られた魔除けの「卯杖」を写したものなのだそうです。
待合に入れば、なんだか懐かしい箱火鉢が。

蹲居もご亭主みずから工夫してつくられたもの。この塵穴はすばらしい!

さて、茶飯釜。1つの釜で米も炊けば茶もわかす、究極の侘び茶事かもしれません。
お米を炊くときはこの大きな蓋で、お茶を点てるときは小さめの蓋と入れ替えるところがおもしろいのです。
茶飯釜の一応のお約束として、釜肌には「飢来飯 渇来茶」と鋳出してあります。(腹が減ったら飯を食べに来て下さい、のどが渇いたら、茶を飲みに来て下さい)
羽の部分には「自在軒一釜斎宗徳」。(堺の銭屋宗徳という茶人が、宗旦にもらった茶飯釜を大事にして、一生涯この釜一つを自在にかけて茶を飲み、飯を炊いて暮らしたことから)
飯を炊くので、強い火力を確保するため初炭で入れる炭はいつもの倍くらい。お米の炊ける香りを楽しむため、お香はなし。テキストでは信玄袋にいれた米をざ〜っと釜に投入するのですが、この日は箕から投入、早くもご亭主劇場はじまりました。

折敷の代わりにそれぞれに飯台を、箸置きにそれぞれ山や庭でつんだ小枝の若芽を。私のこれはサンザシですって。おとなりの方のはキブシでした。まあ、なんて春なのかしら、、、。
お米投入後は竹の火吹きで御連客とかわりばんこにフーフー、火を熾します。中には火吹きの使い方がわからなくて、灰を吹いてシンデレラになりそうだった方も。私は昔取った杵柄(^_^; 子供の頃まだ家に竃があった)、肺活量も実年齢マイナス7歳(人間ドックでいわれた)の腕でがんばりました。
ぶくぶく音がしてくるとふんわりよい米の炊ける香りがしてきます。どこで釜をおろすか、こればかりは実際に予行演習して経験しておかないとわかりません。そろそろ焦げるのではないかと心配するのですが、ご亭主は余裕で。
そのうち香りが変わってきて、ついにはかすかな焦げる匂いが。(あのおこげ、こそげとってお湯かけて塩ひとつまみで食べるとおいしいんだよな〜)

炊きたてのご飯を釜から直接ついでいただくこのうれしさ、飯、超ウマイ!日本人でほんとヨカッタ!と思えます。
皆様笑顔になったところで、汁の、次は煮物の鍋をかける。向付には上にちいさな土筆がのっていて、鍋にはイノシシの汁、強肴は山形の紅花の干し菜、はこべのおひたし、手作りの香物、、、まるで囲炉裏に集う山里の暮らしのよう。そして御連客と家族みたいになごやかな会話を。
八寸はこれもご自分で採取された蕗の薹のてんぷら、ほろ苦さに口中さわやかになる。お酒もお雛様の白酒をおもわせる白いにごり酒、私飲める人でヨカッタ。
湯斗はおまちかねのおこげ入り〜!!\(^O^)/
さて、主菓子は、、、「待合に用意してあります。」といわれ、???と思っていましたら、、、

おお!
先ほどの箱火鉢、網の上には太宰府の梅が枝餅が。なんて演出なんでしょう。あつあつのあんこ入り餅はことのほかおいしゅうございました。

中立後、後座にはいったとたん、はっとするほどの存在感のミツマタの大枝。すごい迫力です。かつてこの地方で和紙造りで町おこしを企てた名残の野生化したミツマタだそうです。園芸用にはない野趣にあふれてこの炉辺にぴったりの風情です。
茶飯釜は蓋を替えてお茶のためのお湯をわかします。帛紗包みの茶器がまたつつましくゆかしく、薄茶ででた干菓子にウグイスボーロを見つけておもわず破顔いたしました!これ最高!

野山の恵みをてづから採取し水を汲み、客をもてなす、これいにしえの茶人の茶の湯。侘びた茶飯釜はそれにぴったりの御趣向でしたね。楽しく炉辺につどい貴重なひとときをすごさせていただきました。感謝です。