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2015-03

「高麗茶碗」前期〜野村美術館2015 - 2015.03.19 Thu

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まいどおなじみ、野村美術館へ行く碧雲荘わきの疏水分線べりの早春の景色です。



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このあたり土筆がよくはえているのですが、今年のはまだみたいですね。水の流れる音が実にここちよい散歩道です。



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今期のテーマはズバリ、「高麗茶碗」。

そういえば館長の谷晃先生の「わかりやすい高麗茶碗のはなし」の本は楽しく読めたな。

茶人には人気のある高麗茶碗だが、これの分類ほどわけのわからない茶碗は他にはない。何回聞いても、見ても、その時は納得したつもりでも、すぐにわけがわからんようになる。いまだに柿の蔕と斗々屋の区別がつかないのは私だけ?


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茶道検定の勉強で、これだけは覚えたが。

1)従来窯:〜16世紀
韓国の窯で焼かれたものを見立てて茶の湯の茶碗にしたもの。井戸、粉青沙器(三島・粉引・刷毛目)、堅手、熊川など

2)借用窯:1600年〜
釜山周辺の窯(法基里など)に日本人好みの茶碗を注文して焼かせた物。斗々屋、伊羅保、御所丸、蕎麦、割高台、彫三島など。

3)倭館窯:1620年〜1717年
釜山におかれた対馬藩支配の倭館で直接日本からの注文で日本人の監督のもとに作られたもの。半使、金海、呉器、御本など。日本から派遣された監督者の名前で(船橋)玄悦、(中庭)茂山、(松村)弥平太。



展示はこの時期による分類に従って時代順に展示されていて、とてもわかりやすい。ただ、理解する方がだめなのか、これ堅手やろ、と思ったら粉引だったり、、、。でも説明文を読んでいると、学者の間でも一致しない分類も多い、ということで納得する。

井戸茶碗だけは、一昨年の根津美術館井戸茶碗展で一挙70を越える井戸をみて(ゲップでそう)多少分類がわかるようになったけれど。


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いろいろ見応えのある茶碗ばかりだったが、印象に残ったのは斗々屋で銘「笹舟」。

究極の平茶碗というか、小さいのでむしろ盃のように見える。だれがこれを茶碗にしたのか?この上で茶を点てるのはどきどきする、というか至難の業だが、一度挑戦してみたい、と思わせるような茶碗。

倭館窯で注文書(デザイン)どおりに何個も同じ物が作られた、という見本の複数の似たような伊羅保片身替茶碗。これはまた反対に丼か?と思うくらいでかく、当代の楽さんの焼抜き茶碗もかくや、の唇を切りそうなエッジ、当時の茶人もけっこうアヴァンギャルドだったようだ。


あと三作三島(中が三島、外が刷毛目と粉引)の「土井」が渋くてよかったが、茶碗だと思わなければ、ちょっと衛生的にどうかな〜と、、、(^_^; 


茶席飾りの展示コーナーでは謎の多い存星の盆が出ていたが、私の持っている存星のイメージとちょっとちがったな。銀継ぎのすごい粉引茶碗は、、、これも渋いけど、お茶を知らない人がみたらきっと「汚な〜、、、」と思うかも。(^◇^;)

ざっとふりかえって展示室を見ると、高麗ってほんま渋いというか地味〜というか、展示室に色がない。こういうものに美意識を感じて愛でてきたのはやはり日本人だけの感性なんだろうか。
安土桃山時代に日本をおとずれた宣教師が「あんな土くれに城一つ分の代価を払うなんて信じられない!」と茶入のことを言ったらしいが、これも日本人の価値観。
本家李氏朝鮮でも青磁が一番貴く、粉青や白磁の出来損ないの堅手や井戸は低く見られたというから、日本でこんなに長く愛され続けるなんて、茶碗も思わなかっただろうな。


井戸茶碗はなぜ「井戸」なのか、これも諸説紛々、斗々屋もなぜととや?蕎麦はなぜ蕎麦?思えば分類名も実はどこからきたのかよく分かっていないのが高麗茶碗。これもまたロマン哉。



4月21日からの後期展示もお見逃しなく。


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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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