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2015-08

地獄の釜の蓋もあいちゃう縁日 - 2015.08.31 Mon

先日は旧暦7月16日、地獄の釜の蓋が開く日でございました。こんなに日に日ごろ人間世界でまじめに生きてる妖しい「亡者」どもが紫野某所(TT舎)にまかりいでまして、縁日の宴でございます。


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折からのたたきつける豪雨にびしょぬれになりながらも集まった妖しい人たちはだんだん数を増し、、、、そのうち雨もあがり麗しき宵とはなりました。

こちらは縁日で波照間泥染めを売るおねえさん。商品タグも手刷りのあじわい、麗しい景色だなあ。



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こちら縁日にかかせぬお面屋さん。商品は床の間の筵に。なんとプロの襖絵師仕様でございますゆえ、あっというまに完売とかや。



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ここはひとつわたくしも、「亡者」にまじって商売を。ビールいかがっすかぁ〜\(^O^)/



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子供用ビニールプールを用意しまして、いれもいれたりビール各種とジュース、お茶。なにせこういう縁日はお客よりもお店やる方が断然おもしろいからねえ。
最初出渋った売り上げも、後半みなさん酩酊状態になってからはとうとう売り切れ。ただし、物々交換や気前よくもってけどろぼう〜♪したので売れたというよりは、なくなった、、、と言った方が(^_^;



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二階はこれまた妖しいキャバレーライト(?)にてらされた亡者(亡者のお面かぶって)が駄菓子屋やってたり、日本酒バーがあったり、ここでビール屋さぼって一杯ひっかけまする。お初にお目にかかった方も、知り合いも、話せば楽しき宴かな。
ここに出入りする「亡者」どもは世間では別の本職をもっていて、いろんな方面でおもしろい活動をしている人が多いゆえ、お話し聞くと心の世界がひろがります。

二階にはさらにあやしすぎる売る気ゼロの「石屋」さん(石屋さんってなんなの?文字どおり(鉱)石!売ってた)、これ子供が見たら泣くで型(とけるとスプラッタになる顔のろうそくとか)のろうそく屋さんとか。


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頭に鉢巻き口に楊枝をくわえた、道端でひろったもの?とか廃品回収?したのか、というような物を売るガラクタ屋さんとか。


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ええかげんな度付き眼鏡や玉なし眼鏡、蔓が一本ない眼鏡などわけわからん眼鏡を売りながら哲学を語る眼鏡屋さんとか。(世間での本業を聞いてまたびっくりなのだ)


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カシスをベースにいれたこだわりの杏仁豆腐屋さんでは上に葡萄がのっかっておいしく、おとなりの自家製ジンジャエール屋さんは浴衣のかわいいおねえさん。そのうちさらに煮豆だけを売る台湾スイーツ豆屋のおねえさんも登場。スイーツ充実のラインナップだぜ。



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食べ物も充実してるぜ、、、いやいやしておりまする。この家の台所ではお蕎麦におにぎり、おつまみ屋さん。こちらもねじりはちまき、いなせな(?)おねいさん。



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おくれて登場、大阪人のソウルフードやあ!!たこせんがまた、、、泣かせる。
となりでは文字通り「あやしい壺屋」が壺をうるのかと思えば、壺で漬けた自家製漬け物を包丁で切りながら売ってるし。これ肴にして再び二階へ日本酒いっぱいやりに。(←職場放棄)



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店出す方の亡者もいいかげんあやしいが、くるお客さんも相当アヤシイ。こんな股旅のいでたちの方が「ジゴクのパスポート」ご持参で。うひょ〜〜。(帯の柄にも注目)



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お隣さんのお家、某庵では「TIO PEPE(シェリー酒)あります」の看板が出ていたので、自分の店舗放棄の人続出。こちらではおいしいシェリーのみならず、ろうそくの灯のもと見事なお点前でお茶を一服いただく。ああ、楽しいわ。(私と二人で平均年齢をぐっと押し上げているところの)同席した同年代のおじさまとこの歳になってこんな楽しい目にあえるとは〜〜などと、感涙にむせぶ。(心の中で)

縁日ではとうとう盆踊りまでくりだしているようでにぎやかだ。そろそろおいとましてジゴク(?)に帰らねば。


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どんな場所でもどんな相手といても自分で楽しみをみつけ楽しめること、これは大事なことだとつくづく思う。若い頃から、自分をとりまく人や環境のせいにして楽しくない、不満だ、と思ってきたことが多かったので、この歳になってやっとなにか一本ぬけたような、、、、そんな気がしておりまする。あ、これ「随所作主」の心?(^_^;
私より一回り上のさる方が「この歳になったらこわいものはなんにもないわ。」と言っておられたのが、励みになる今日この頃でございます。


上の写真は縁日でもとめたもの。(ビールとむりやり物々交換したもの含む)

波照間染めのてぬぐい、プロの絵師のおかめさん、あまりにシュールなろうそく、何に使うのか考え中の碍子、壺屋の漬け物を買うともれなくついてくる古い漬け物皿、全然あってない度付きのサングラス   以上!



大徳寺まわり〜北野天満宮まわり雑記 - 2015.08.28 Fri

大徳寺、北野天満宮、、どちらも京都の北の方、西の方。烏丸より西へはめったに行くことはないのだが、この2つの場所だけは別。なんやかんやでよく足を運んでいる。

夏のおわりにそのあたりを徘徊したので地域情報がわりに。まずは大徳寺かいわい。


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これは半年ほど前につくろいをお願いした重箱の蓋。骨董市で買った古い時代物だがお気に入りなのだ。使い倒しているうちに剥げた(T_T)
お願いしたのは大徳寺の東にある漆芸舎平安堂さん。もともと仏具屋さんやったのかな。漆器の繕いから陶磁器の金繕いまでしてくださる。

ビフォアの画像が見当たらないので(iPhotoから写真に変えたら時系列ででてこないのよ、過去写真が、、、)みなさまには比べようがないと思うが、ここのかどっこの漆がはげて木地が見えてたのよ。色が少し変わっているのが繕いあと。なんだ色が違うじゃないか、と思うなかれ。

もとの重箱の朱色は古い物なので本朱(硫化水銀)が使われているそうだ。本朱は、漆のように時間経過とともに透明度を増し変化するので、最初は少し暗いくらいの色なのだそうだ。
現在は水銀の扱いにいろいろ問題があって、人工染料の朱が主に使われているので、職人さんは本朱を大事に大事に使っているそうだ。

しかし、、、経年変化でなじむまでこっちの寿命がもつかいな??(・_・)



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店を出るとすぐ大徳寺の東門。ああ、今日は地蔵盆!(京都独特の風習)この提灯を見ると夏もおわりやな、と思う。



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金毛閣のよこのいつもは茶所の場所で、地蔵盆の行事があるようだが、ここもやはり子供より大人の数の方が多いようで(^_^;

実は京都に移住してすでにまる5年がたとうとしているが、自分の町内にお地蔵さんがあるとは今年までしらなかったのだ。かなり見つけにくい場所にひっそりいてはって、しかも子供がいないので、毎年お経だけあげてもらうらしい。今年は回覧板が回ってきたのでそれと知ったのだが、集合場所が「お地蔵さん前」としか書いてない!!どこのお地蔵さんやねん!、、、とまあ、ご近所の人に聞いてやっと巡り会えました、我が町内のお地蔵さん。




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どこかで珈琲でも一杯、、と思い大徳寺を北へ。
こんな町家のコーヒーショップ発見。



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粉屋珈琲さん。



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引き戸をあけたら、、、、いや〜〜ん♪♪猫がいた!

しかもうちのシェルとそっくりの白っぽい茶トラ!


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(若干ピンぼけでスマン!)

売り物とおぼしきものの上にで〜んと鎮座するお姿は貫禄たっぷり。まだ若い男子で「タボくん」というそうな。珈琲飲みながらついついタボ君とたわむれる。いやがるそぶりもみせず(我慢しているだけか?)相手してくれてありがとう。店主さんが出てきたら膝にのって甘えるしぐさがとてもかわいい〜ん∈^0^∋


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若干ひどくピンぼけでスミマセン。iPhoneのカメラとどうも相性が悪い、、、)


サイフォンでいれた珈琲はおいしく、お店はカウンターもあって良い雰囲気デシタ。


続きまして天神市の日の北野天満宮かいわい。この日は台風がせまっていて市も出店が少なかった。



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境内に土用干し(土用はとうに過ぎたが)してあるはずの梅干しも、、、、



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こんなところに避難。この梅はもちろん境内のあまたある梅の木から収穫した物。年末に大福梅として授与されるのよ。



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その少ない店で数々の茶花を物色。いろいろあってどれもほしいが、今年の夏はヤマアジサイを早速枯らしてしまったので赤の水引ひとつでがまん。これがちゃんと育てられたらまた次。



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天神さんの東側にカステラのお店ができたのは知っていたが、、、


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ああっ!!
このお店は3年前リスボンへいったときに入った店ではないか!

カステラ ド パウロ
奥様が日本人なのでわざわざ行ってみたのよね。

その時のお店の写真がこちら↓


パウロリスボン


(ご興味あればリスボン紀行もよろしく→

ご主人は逆輸入(?)で長崎でカステラの修行をされたので、日本へ、というのはわかるが、なんで北野天満宮?と思ったら奥様が京都出身の方だったのね。ちなみにリスボンのお店は昨年閉店されたそう。


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店内は(またまたピンぼけ、、、、)カフェスペースもある。本来はカステラのお店ながら、ポルトガルのお菓子と言えばやはりこれでしょう!ということでパステル・デ・ナタ(エッグタルト)をお持ち帰り。



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これはリスボンのどこの店で買ってもハズレのなかったお菓子で、行っている間、ほぼ毎日食べていたっけ。これからは天神さんでいつも買って帰れるのね。やった♪
少し温めて食べると、、、うひょ〜!この味この味。(ダイエットは、、、明日から、、、)中がとろり。



デナタ



ちなみにこちらはリスボンいちのパステルを出す、という評判のパスティス・デ・ベレンというお店で食べたパステル・デ・ナタ。当地ではシナモンと砂糖を振りかけて食べる。(^_^)b



上七軒ナイト! - 2015.08.26 Wed

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灯ともし頃の上七軒。秀吉の頃までさかのぼれる由緒正しい京都の花街の嚆矢どす〜。(北野の天神さんのそば)



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石畳の道をちょっと小路にはいるとここに中華の名店があるんどす〜、、、、って知らなかったんだけれど(^_^;



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知る人ぞ知る、予約の取りにくい広東料理のお店、糸仙さん。(Tさん、予約ありがと〜〜∈^0^∋)
いつもは暖簾がかかっているそうですが、この日は(この日も、、らしい)予約で満席とのことで、暖簾無し、あやうくとおりすぎてしまうとこやった。



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二階の座敷はかつてお茶屋さんだったころの名残も。
年齢性別ごちゃまぜ混成グループ(共通項はずばり”お茶!”)にてワイワイいただく。で、あまりにおいしくて食べるのにいそがしいのと、おしゃべりにいとまがないのとで、気づいたら写真とるまがありませんでした〜。かろうじて、たべかけのエビチリ。



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広東料理は中華の中で一番好きなのでうれしい。あっさりでもなく、こってりでもなく、上品でありながらパンチの効いた中華!それぞれほしいものをランダムにとっていったので、記憶とメニューの画像をにらめっこして食べた物を思い出すと、、、、

くらげ酢の物、かしわ天ぷら、豚天ぷら、春巻き(絶品)、エビチリ、ピーマンと豚肉炒め、鶏肉とカシューナッツ、やきめし、(某ご坊おすすめの)あんかけ焼きそば(これも絶品)、デザートがこれまたしっかりした杏仁豆腐。

紹興酒も暖かいのと、冷たいのと、どんどんすすみます。ここのメニューにはおやっさんメニューと息子メニューがあるそうだが、区別つかない、どちらもおいしい。ごちそうさまでしたっ!!


そのあとは、、、、


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こちら〜〜!!



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夏の間だけ、上七軒の歌舞練場が舞妓ちゃん、芸妓はんのはべってくれるビアガーデンになるのです。前々からうわさはきいていたのだが、今年デビューできるとは\(^O^)/

いや、今年の春、北野おどりに来た歌舞練場がこんな風に変身するとは。



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お当番は1日6名さんだそうで、次々とわれわれのテーブルにきてくれる。たわいもない話も少々アブナイ話もさらりとかわす、接客のプロたちだ。
こちらは店出ししてまもないと思われる舞妓ちゃんのわれしのぶ(髪型。ねえさん舞妓になるとおふくという髪型になる)。



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こちらは八月の花かんざし・ススキ。私はこれの大きいの、持ってる(もちろん頭にさすわけぢゃないわよ)。ビアガーデンは浴衣の軽装なので小ぶりのススキにしたんだろうな。このススキ、舞妓さんの季節の花かんざしの中で一番好き。



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こちら今年店出ししたばかりの尚絹さん、、、だったけ??(梅ちえさんと区別がつかん)笑うと八重歯がかわいい。舞妓ちゃんは一応未成年なんで、席に着くことはしたらあかんのやそうな。(芸妓さんはOK)



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私の趣味では一番のべっぴんさんやった里の助さん。舞妓にならずに地方(じかた)で芸妓さんにならはった変わり種とか。地方らしくいつも洋髪みたいやけど、島田姿もみてみたいわ。



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もらった花名刺。ただしビアガーデン版なのでややチープかしら。


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今度来たときはあの桟敷席をねらおう。
このあとさらに某氏おなじみのお茶屋バーにてさらに飲む。まもなく店出しという仕込みの子なんかもいて、若いメンバーたちとの話もはずんでいるようだ。上七軒の夜は更けゆく、、、、



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ちなみにこれが我が家のススキの大簪だよ。私が頭にさすと少々ヤバイかんじがするので、いつもはこの季節、玄関に飾っております。


朝茶事合宿(*^^)v - 2015.08.24 Mon

仕事を終えて夜かけつけたのが亀岡楽々荘


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植治の700坪の庭園は夜はビアガーデンのようで、ええ雰囲気です。
今宵ここでご遠方からもおいでの翌朝の朝茶事の御連客と合宿(!)でございます。


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御連客はみなさま、お寺さんのご住職(宗派いろいろ)、ありがたやありがたや、おもわず手をあわせたくなるようなお坊様s、、、並の人は私だけ、というすごいメンバーでございました。(きゃ〜〜)

こちらのレストラン・チンギア−レで現代の「近代数寄者」というべきご亭主もまじえて、イタリアンをいただきながら(おいしくってお腹減って食べるのに忙しかったので、写真はデザートだけですのよ^_^;)お茶談義。(おもに茶道具談義)



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(こちらお泊まりした楽々荘のお部屋。細部にわたりこだわりの室礼。ソープディッシュが古伊万里?だったりする)


もう、、、、皆様ね、どうかしてるぜ、この人たちおかしい、、、、の数寄者ぞろいで、ほんまに<現代の「近代数寄者」>の世界ってあるのね。

こんな方たちが道具の写真見ながら「これええなあ、、、」とヨダレをたらさんばかりにされているのを見ているのがとてもおもしろ、、、いや、楽しゅうございました。実際手に入れはったとか、目をつけてる、とかの談義にとびかう御道具の(茶道具の本などに載っている有名な大名物、名物、重文など)のお値段は、、、、いやもう、家が洛中に一軒買えます!

とても私どもとは世界が違うのですが、それだけ茶の湯に命かけてる迫力がすごいです。そんな迫力に圧倒されっぱなしで結局日付がかわるまで、おとろしい世界の話は盛り上がったのでありました。



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お部屋のバスタブは大きな信楽焼でしたのよ〜〜〜♪
いそいで入浴し、あわただしく眠ったのですが、朝茶事は早朝6時半から。若干の寝不足はいなめません。



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早朝の楽々荘の小間茶室、其中庵。朝からの小雨にぬれてしっとりと緑が美しく、赤い百日紅がきれいでした。ここから某庵の庵主さま(負けず劣らず現代の「近代数寄者」)も加わって朝茶事開始です。

腰掛け待合いからご案内を受けて蹲居へ。蹲居に寄りかかるように咲く擬宝珠がとても良い感じでした。(うちの蹲居は羊歯やけど、ギボシもええなあ)


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席入り、小間の中は目が慣れないとなにも見えないほどの暗ざ、床に掛かった軸の「喝」がぱっと浮かび上がったようで一瞬にして眠い目がさめました。
大徳寺・江月宗玩の法嗣、江雪宗立和尚の字。それに臨済の四喝を添え書きしたもの。
(*臨済四喝・・ 有る時は金剛王宝剣の如く、有る時は踞地金毛の獅子の如く、有る時は探竿影草の如く、有る時は一喝の用を作さず。)

ここから、こちらのお茶事の常で、もうすごすぎる道具がごろごろでてくるわけです。すごすぎてよう書きませんわ。鐶、火箸、羽根、、、そういう小物に凝るのも通だとか。

懐石は広間にて。懐石道具がまたすごいんだわ、これが。ほんにたくさん集められたそうな、ええもんばかし。向付は唯一の女性(一応)ということで琵琶(弁天さんの持ち物)の古染付を使っていただきました。感謝。
八寸でいただいた、イナダ(鰤のちいさいの)の干物がすごくて、、、。からすみもビックリの珍味でお酒がすすむわ〜〜きっと。(車できたのでお酒はおあずけでした、、、涙)
主菓子はしゃきしゃきと不思議な口当たりの錦玉。(あとでお聞きすると蓮根でありました)

後座はふたたび小間にもどります。時間の経過とともに茶室はいくぶん明るくなっていました。この光の変化も朝茶事の楽しみのひとつです。
花を入れるのがなによりお好きなご亭主の、後座の花は小さな可憐な薄紫のムクゲ。濃茶のいただき方は皆様それぞれ流派も異なるので大帛紗にのせたり古帛紗にのせたり。

茶入の銘が「なつころも」<重ねても涼しかりけり 夏衣 うすき袂に宿る月影(良経・新古今)>なのはとても似つかわしく、薄い夏衣をまとったような白い釉薬の大海、印象に残ります。御連客のお坊様がたの墨染めの衣も夏バージョンだったのを思い出します。

通の方はご存じながら、浅学の私には初めて聞く茶道具や茶人の名前もあれこれ勉強させていただきました。忘れんうちに「僖首座(きしゅそ)」の名前を書いておこう。龍安寺塔頭の住職にして宗旦の弟子、茶杓の名人だったとか。

一番ええなあ、、、と思ったのが薄茶をいただいた猿投(奈良〜平安時代に作られていた古陶)の平茶碗。須恵器のような、灰秞が高台脇に固まっていて、まだ焼物が技術的に未熟だった時代のもの。渋い、渋いわ、これ。

こうしてしばし浮き世をはなれた朝茶事はお開きとなりました。ご亭主は言うにおよばず、楽しい御連客様方のご縁も得て、こんな茶事に連なれましたこと、深く深く感謝申し上げます。

帰りは、居眠り運転せぬようがんばって高速ぶっ飛ばしてかえりました〜。




湿し灰作り2015 - 2015.08.22 Sat

昨年初めて湿し灰作りに挑戦したところ、まずまずのできだったのに気をよくして、今年もきたる炉の季節に備え湿し灰作り。(いろいろな作り方があるので、ここに書いたのはあくまで私の教科書+我流アレンジです)


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昨年はパイロットスタディだったので量は少なめ、今年は少し量を増やしてみた。まずは灰のあくぬき。3回くらい洗い、上澄み捨て、をくりかえすと、



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上澄みが澄んできた。


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ここで漉す。昨年目の詰まった高級(!)タオル使用のためなかなか漉せなかったが、今年100均の目の粗いタオル使用。それでもけっこう時間かかる。それにタオルに吸着して増える棄損率、なんとかならんかなあ。
で、しばし水分をとばす。


しかし!
昨年は太陽ガンガンの土用に作業したのに、今年は時間がとれなくて立秋を過ぎてからの作業。まだ気温も高いし、、、と思ったのがおおきなマチガイ。全然灰が乾かない。やはり自然の力は時期というものをわきまえないといけないのだ、と実感した。



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一方、昨年は色をつけるための京番茶が手元になかったために、涙をのんで高級ほうじ茶を投入したが、今年はかねてより準備の京番茶を煮出す。京都外の人は初めて飲んだとき、「このお茶、焦げてる」とか「くさってる」とまで思うかも知れない独特のフレーバー。けっこう慣れるとさわやかでおいしのよ。灰に佳い香りをつけてくれるかも。


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京番茶投入。
これを何回も繰り返して良い色をつける、、、という方法もあるが、私は1回だけ。



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茣蓙に広げて乾かす、、、、が、結局当日乾燥までとうとういかなかった。夕方には小雨までふってくるんだもの。べちゃべちゃのまま天気を待って数日後に再開。



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ある程度ぽろぽろになるまで乾いたところ。



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2種の篩で篩う。乾燥がたりないと、篩の目が詰まって作業がすすまない。さりとて乾かしすぎると湿し灰とも言えず、、、むつかしいわ。それから、このあたりまでで3分の1くらいの灰を失ってるんじゃないだろうか。
このコテ?
これはご愛用の湿し灰用コテ。灰をこそげ取ったり篩でこしたりするのにお役立ち。




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昨年よりは少し多目にできた今年の湿し灰。
さて、灰匙からさらっと落ちるだろうか。炉の季節が今から楽しみだわ。



英国田舎紀行・湖水地方/コーンウォール〜コーンウォールその3 - 2015.08.19 Wed

いよいよ英国田舎紀行も本日でおしまい。おつきあいありがとう。もう少しだ!


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さて、これはどこでしょう?

モンサンミッシェル?いえ、それはフランス。


ここはターナーが絵にも描いたところ、、、

コーンウォールのマラザイオン(ペンザンスの近く)のSt. Michael's Mount。フランス語読みするとまさにモンサンミッシェル(大天使ミカエルの山)だけれどで。
でもここにはあまりにも観光化されすぎてモンサンミッシェルが失ってしまったものがたくさんある。


昨年モンサンミッシェルに行ったが、道路をつくったためすっかり陸地化して、いまでは満潮の時にも海の上にうかぶ、、、ことにはならない。おまけにお土産物屋やらレストランやらが林立していて観光客もすし詰め。ずいぶんがっかりしたものだ。


だからもし、海に消えてはあらわれ、満潮の時には命を落とす人もいた巡礼の道を歩きたいなら、モンサンミッシェルよりこのセントマイケルズマウントを強くおすすめする。



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夕刻7時、といってもまだまだ明るい浜辺にたどりつくと潮がどんどん引き始めていて巡礼の道Causewayが現れ始めていた。



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すすんでいくと、途中はまだ水に覆われているが他の人たちがずんずん進んでいくのでパンツの裾をまくりあげ裸足になって突進する。


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おお!これは楽しい!!



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(お見苦しい足はスルーで)

今年は下鴨神社の足つけ神事にいかれんかったからなあ、、、ここで足つけ(??)



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わんこ好きのイギリス人はわんこもつれて巡礼の道を行く。わんこもはしゃぐはしゃぐ!

実はこの道歩きが今回の旅行で一番楽しい思い出であった。



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島にちかづくと道はまた海から顔を出す。



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島を管理するナショナルトラストの小さなショップもすでにしまっていて静かでよい感じだ。
てっぺんのお城はサン・レヴァン卿のプライベートな住居、という点もモンサンミッシェルとずいぶん違う。



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この島の由来は西暦495年に漁師が島の崖の上に大天使聖ミカエルの姿をみたという伝説による。以後ケルトの僧侶たちが修道院を作り、ケルトの聖地、巡礼の場所となったそうだ。



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道を渡れる時間をしめす看板。意外と長い間道は歩けるようだ。



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島をぐるっとひとまわり。ここにも季節の花が美しく咲く。右手に見える赤い花はフクシア。



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フクシアは今が盛りでマルハナバチが蜜集めに忙しそうだ。



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この花の名前はしらないが、ここにも作業中の蜂。



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島からもどるころには道はすっかかりその姿をあらわしていた。昨年の大嵐でこの花崗岩の道は一部が流され壊れてしまったのを、現在もまだ干潮の時をねらって修復する作業がおこなわれている。



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沈む西日。ずいぶん干潟がひろがってきた。潮だまりには魚は見つけることはできなかったが、巻き貝やフジツボのたぐいがたくさんいた。



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波が描いた砂の紋様も美しく絵になる。



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対岸へ到着。



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泊まったB&Bの窓からも正面に山がみえる。これで夜の9時くらいかな。こうして遠景でみると巡礼の道は大きくカーヴしているのね。


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今夜のお泊まりはこのB&Bで。ここもよかったよ。窓からCausewayがわたれるかどうかすぐ見えるし。



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これはコーンウォールで「Cream tea」と注文するとでてくるもの。スコーン(たいてい)2個、ジャムとクロッティッドクリーム(クリームとバターの間みたいな)、それに紅茶がつく。これだけ食べるともう夕食いらんくらいボリュームある。


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翌早朝。マラザイオンの町はまだ眠っている。



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朝焼けの海におりてみる。



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できはじめた干潟ではたくさんの海鳥が餌探しに余念がない。


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けれど巡礼の道はまだ海にしずんだまま聖なる山は静かに浮かんでいた。








これでこの夏の旅行記はおしまい。ながらくおつきあい、ありがとうございましたm(_ _)m

英国田舎紀行・湖水地方/コーンウォール〜コーンウォールその2 - 2015.08.18 Tue

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北部をぐるっと回ってセントアイブスへ到着。ここで行きたかったのはバーナード・リーチのリーチポッタリー。



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閉館ぎりぎりにミュージアムへすべりこむ。

バーナードリーチは民藝をご存じの方なら忘れてならない名前。柳宗悦の親友にして、富本憲吉や、この地でいっしょに作陶もした濱田庄司とも親しく交友した陶芸家。幼い頃は日本ですごした、というのも我が国とのゆかり。
作品はイギリス伝統的な用の器、スリップウェアに似た感じが多い。



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リーチはここに日本と同じ登り窯を築いた。リーチポッタリー、すなわちリーチ窯。


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日本や中国、韓国の焼きものに惹かれ、ヨーロッパの伝統的日常使いの焼きものを研究した彼の作品の多くはここで生まれた。



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ここでは彼の作陶の道具も見ることができる。ほう、、、こんな轆轤を使っていたのか。



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ここは今でもその後継者たちが作陶にはげんでいる現役の窯なのだ。なんでも日本人の女流陶芸家もおられると聞いた。



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現在はこの屋外にある窯で焼いているらしい。現在の工房の作品も求めることができるが、すでにスーツケースは満杯、、、諦めたのであった。




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翌日はすこし遠出してトゥルロという町まで。

Tregothnan Estate、40haの広大な庭園に、英国はじめての国産茶葉生産に成功した茶園がある。(英国の紅茶と言えば茶葉はスリランカ、印度、中国産であった)
ここはほんの入り口、現在ボスコーウェン卿のプライベートな屋敷でもあるので、ここから車でかなり走ってやっと、紅茶ファクトリーへたどりつく。


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残念ながら、そのプライベート庭園なので、茶園は見ることができなかったが、茶の木を発見!

ここのガーデナーが日本や印度へ出向き研究をかさねてやっと2002年に茶の栽培に成功、2005年からトレゴスナンティーとして商品化されたそうだ。



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ここにあるショップでテイスティングができる。実際の処収穫量は多くないのでSingle Estateという混じりっけなしのトレゴスナンでとれた茶葉の紅茶は限定販売で入手困難とか。



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テイスティングのリーフティーのなかにグリーンティーを発見。しかしどう見ても日本の煎茶とはまったく見かけもちがえば味も全然ちがう。(どちらが好きかは好みだと思うが)

そこでちょっと燃えまして、お店のスタッフさんに「日本の抹茶をためさないか?」ともちかけた。




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さすがにお茶にたずさわる人、興味津々。目の前で野点セットで抹茶をたててあげた。なにぶんパウダーティー=抹茶というもの自体を知らなかったようだ。苦かったら一口でいいよ、といったらほんまに一口だけ(^_^;
「全然違う!」と。でもよくおつきあいくださったものだ。感謝。

煎茶と抹茶の作り方の違いもレクチャーして(いや、通じてるかどうかは不明だが、、、)紅茶を買ってお別れした。



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道場破りというか、紅茶の本場でけんか売るとは若干あつかましかったかな。でも感謝。


次にペンザンスからは2時間ほどのドライブ、北岸のティンタジェル城へ。


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道々、ここにもあちこち紫陽花が盛り。



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こんなのどかな田舎道、、、、と思っていたらカーナビはとんでもない道を示し、、、



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これどうなん??
ひたすら対向車こないで〜〜〜と心の中で叫びながらすすんだ。車体と生垣がちかすぎて警報なりっぱなし、、、




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ふう、、やっと到着、イギリスヘリテイジ、ティンタジェル城。しかし、これだけたくさんの人が来ているってことは、もっと大きな道があるんとちがうんか?



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マーリンの洞窟。そう、ここはアーサー王伝説に彩られた場所なのだ。



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もともと古代ローマ人が作った遺跡だそうだが、廃墟になっていたものを13世紀にコーンウォール伯レジナルドが古城に見せかけてわざと古い城を再建したものとか。



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それがヴィクトリア時代に「アーサー王伝説」に結びつけられ、町を挙げての大ブーム。いわゆる町おこしみたいなものか。



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アーサー王自体が実在したわけではないといわれているので、ここはひとつ心の中でキャメロットの幻想を見ようではないか。


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これはローマ人の遺構だろうか。ワイン壺をたてかけるものか、かまどのあとか。


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しかし山肌の崖に沿って一人しか通れないような道をぞろぞろ上っていくのは恐かった。





マーリンの服


あ!
マーリンの衣裳!ほんまにいたんだ、、、、(もちろんマーリンやアーサー王に扮した役者さんのもの)



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町のお土産物屋にはアーサー王の剣、エクスカリバーも売ってるよ。さすが。



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同じくアーサー王の腕(King Arthor's Arm)、という名前のパブでパブ飯をたのむと、、、、



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フィッシュアンドチップスがこんなにデカイ、、、、



(あと1回で終わりだよ。がんばれ!)



英国田舎紀行・湖水地方/コーンウォール〜コーンウォールその1 - 2015.08.17 Mon

コーンウォールはイングランドの南西の端、一瞬ウェールズかな?と思ったけれどウェールズをまわりこんで南西につきだしている。



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イギリス人に聞くと海のリゾート地というイメージなんだそうな。英国が舞台の小説では(アガサクリスティなんか)お馴染みの名前だが、実はイギリスのどこらへんにあるのかシラナカッタ、、、。イメージでは荒涼たる岩と海の地方、、、だったが。


今回車でまわった場所を地図に書いてみたのでご参考に。



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とはいえロンドンからは列車で5時間以上かかるので、時間節約のため行き帰りをパディントン発の寝台車で9時間かけて移動することにした。

これはパディントン駅にある「熊のパディントン」(マイケル・ボンドの児童文学)。パディントン駅でスーツケースの上に座っているところをブラウン夫妻に発見された場面らしい。「このくまをよろしくお願いします」と書かれた札もついてるよ。



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ほぼ深夜0時発の寝台車。駅で時間つぶすのが若干つらかったが。(待合室も閉鎖される)



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二段ベッドで、、、狭い。けれど洗面ボウルもコンパクトに内蔵されている。疲れていて爆睡したのでまあ寝心地はよかったのだろう。



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早朝、コーンウォールのペンザンス到着。「ペンザンスはあなたを歓迎します」が、英語とコーニッシュ語で書かれている。

ここでレンタカーを借りてペンザンスから反時計回りにコーンウォールの西のでっぱりを一周。


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まずはポースカーノのミナックシアターへ。おお、イメージ通りの海だ。


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ミナックシアターはロウィーナ・ケイド(〜1983)という女性がほぼひとりで手作りしたという野外劇場。崖を利用して階段が座席になっている。ここではオペラやコンサートもひんぱんにおこなわれているらしい。


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この海になだれこむ急勾配はこわいぞ。しかし、さぞ気持ちよいだろうな、演じる方も海風に向かって。


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ロウィーナは花崗岩を手で切り出してひとつひとつ手押し車ではこび、セメントをこね、約半世紀、人生のほとんどを費やしてこつこつつくりあげたというからすごい。彼女はもとは劇場の衣装係だったそうだから、すべて独学でやりとおしたのだろう。



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ここにも日本では6月の花、アガパンサスが満開であった。他の植栽は海風にも強い多肉植物を多用している。よくみると岩陰にこんなものも潜んでいた。



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この日は無料で子どもたちへの読み聞かせのだしものをやっていた。機会があればここでクラシックコスチュームのオペラなぞ観てみたい。



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なにはともあれ、この絶景野外劇場を作り上げたロウィーナ・ケイドに敬意を。



ついでさらに西へ。
イングランドの西の果て、ランズエンドへ。


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ヨーロッパいや、ユーラシア大陸の最西端、ポルトガルのロカ岬へ行った時のイメージをいだいていたが、なんとミニ遊園地まであってちょっとあれあれ??な感じ。



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気を取り直してさらに海側へすすむ。ここまできたらうるさいお子たちの声はもう聞こえない。



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Land's End、、、地の果て。ちょっと雰囲気がでてきた。嵐みたいな天候だったらもっと果て、、の雰囲気でたかも。



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ここもおとなりのセネンコーヴビーチまでフットパスがあるので歩いてみる。



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イングランドの涼しい夏にせいいっぱい盛りを迎えて咲く野の花。薄紫は荒れ地に咲くヒース。ほんに海辺のお花畑だ。ゆるやかな起伏を、海を見ながら花を楽しみながらどんどん歩く。ああ、これは楽しい♪



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そしてここでやりたかったことを。
そう、このためにわざわざ野点セットもってきたんだ。(ちいさい缶は金平糖入れ)


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大西洋に、地の果てに一服献茶つかまつる。



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ヒース。
文字通りヒースクリフ(ヒースの崖、「嵐が丘」の主人公の名前ね)



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この景色がイングランドっぽくって見たかったんだ。



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これは戦後だったと思うがここで難破した船の残骸。さいわい乗組員は全員救助されたそうだが、船はそのままここに残っている。今では風化が進んですっかりここの景色の一部になってしまったようだ。



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いよいよ丘一つ越えたビーチが見えてきた。温度は20℃越えるかどうか、というくらいだがけっこうたくさんの人が泳いでいる。短い夏を楽しんでいるんだな。


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いまいちど来た道をふりかえればヒースと、


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うちの庭ではさっぱり育たなかったモントブレチア(ヒメヒオウギ)が野生の大群であたりをオレンジ色に埋め尽くしていた。



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これはパスティというコーンウォールの郷土食である。パイ生地でビーフシチューを包んだ、とでも言おうか。これはコーンウォールにたくさんあった鉱山の労働者たちが愛用した食事だという。
よごれた手でももちやすく、携帯カイロのようにあたたかく、おいしく栄養価も高い。とくに鉱山は有毒物質をあつかうこともあったため、持ち手の部分はちぎって捨てたそうな。これを鉱山に住む妖精ノッカーへ与える、というふうに言い伝えられてきた。



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コーンウォールにはこうした鉱山の採掘場がたくさんあったが、1860年の銅の暴落とともに衰退し、ついに1998年最後の山が閉じられた。そのあとは今でもたくさん残っており、ここ、レヴァントマインもその一つで、現在ナショナルトラストが管理している。



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閉鎖は1930年だそうだ。海の下の鉱山とよばれ、海底よりはるかにはるかに深い場所まで坑道がある。



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廃墟にいまこだまするのはカモメの声ばかりだが、最盛期にはたくさんの男たちが、採掘にたずさわったという。表層部では10才以下の少年や女性までが働いていたそうだ。


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これはレヴァントエンジンというコーンウォール独自の蒸気機関で最近になってボランティアグループが再生したそうで、実際に動くところを見せてもらった。動力の原理を説明してくれているところだが、メカ音痴なのと英語が聞き取りにくいのとで半分も理解できんかったが。



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坑道の図。左の上の方に海底のラインが描かれているので比べるといかに深く掘ったかがわかる。



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坑道の入り口のひとつ。ここから奈落の底にリフトでおりていったのだろうが、こんなこわいとこ私はよう行かん。のぞくだけでも足がすくむ。



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当時の採掘の様子を語っているところ。おそらく地熱、有毒ガスや出水などで事故もあっただろうし、きつい労働であっただろう。しかしそれが鉱夫たちに生活の糧を与えたのも事実。


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当時の写真。みな一様に顔をまっくろにしている。少年とおぼしき鉱夫もいるがいっちょまえの男の顔をしている。しかし若い体にこの労働環境が良い影響をあたえたはずはなく、その後健康で長生きできたのか気になる。




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そう思ってみるとこの景色はもの悲しくも見える。



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鉱物の色で赤い土、赤い岩、一角にだれがはじめたのか賽の河原みたいな石積みがたくさん。賽の河原なんて発想はここにはないと思うが、この哀愁感はなんだろう。



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いまはカモメの生息地としてのどかで平和な場所なんだが。



大文字送り火2015 - 2015.08.16 Sun

旅行記の合間にお盆も終わりなので一筆。


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五山送り火の日、大文字さんに護摩木、松割木をおさめに。



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前日夜8時まで、当日午後3時まで、銀閣寺山門脇で。



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こぶりな護摩木はすでになくなっており、文字を書きにくいが松割木を奉納しよう。



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みなさんが書いてわたすすぐそばから保存会の人が束にして、お山にあげていく。(リフトも一部ある)



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振り返って大の字をみると準備している様子が少し見える。弘法大師が書いた字という説もあれば、近衛三藐院(寛政の三筆の一人)の字だという節も。
この「大」の字は見る緯度で形が違って見えるのだ。うちの天窓からかすかに見ることができるのだが、残念ながらななめ横からすぎて「大」の字に見えない。



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ご近所では、お経を上げて、かつては川に流していたお供え、今ではそういうわけにもいかず京都市が用意した箱におさめる。時代やなあ、、、、


そして夜、20時。



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今年は諸般の事情でいつもの場所で拝めなかった。ここはご近所さんだけが拝みに来る場所。若干「大」の字のアングルがいつもと違うが、きれいだった。外に出ていたお年寄りが「今年はきれいやわ。」とおっしゃっていた。

送り火に乗っておしょらい(精霊)さんが今年も帰っていかれたなあ。








英国田舎紀行・湖水地方とコーンウォール〜湖水地方その4 - 2015.08.14 Fri

湖水地方最終日の早朝。


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起きたら霧がかかっていた。気温はおそらく10℃前後、キルトのはいったジャケットがいる。



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ウィンダミア湖の東岸を車で北上してアンブルサイド近くまで。
湖はまだ夜明けとも朝ともつかないあいあまいな色で。



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背後の丘から朝日は昇るようだ。



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霧に朝の陽光が乱反射して、、、


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この景色はもうほとんど神だ。



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キリスト教文化圏の天使の存在を信じてしまいそうだ。



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足元にはまたまた美しい野の花。



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停泊中のヨットのそばの浮きに鴨の親子。



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あ、泳ぎだした。
これだけたくさんの仔がいるということをきかないのが一匹はいるよね。



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このまま明けていくのかと思えばまた霧が濃くなる。



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こういう景色を見ると不信心者でさえ敬虔にひれふしたくなるのだ。




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もうちょい北の方、スコットランドの国花・アザミ。これもまた神の創造物か。



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かえりがけ、今更遅いがようやくフェリー乗り場を発見した。



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これに乗ればあっというまにニアソーリーにいけたのだが。惜しい経験をのがした。



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さて、朝食をいただき、この気持ちの良いB&Bともお別れ、湖水地方をあとにしていったんロンドンへもどろう。



(湖水地方編、やっとおわりです。おつきあいありがとう。まだコーンウォール編もおみのがしなく(^_^)b  )





英国田舎紀行・湖水地方とコーンウォール〜湖水地方その3 - 2015.08.14 Fri

湖水地方のもう一人の有名人と言えば桂冠詩人・ワーズワーズ。、、、、と名前は知っていてもその詩は実はあんまり、、、(^_^;)


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ここはウィンダミア湖北部の町、グラスミア。彼が10年足らずをすごしたダヴ・コテイジが残って公開されている。



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(ダヴ・コテイジ)


一番有名な詩は「Daffodils(水仙)」だというので読んでみた

I wandered lonly as a cloud
That floats on high o'er vales and hills,
When all at once I saw a crowd,
A host, of golden daffodils ;
Beside the lake, beneath the trees,
Fluttering and dancing in the breeze.



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これに対し、和訳はたくさんあって、文語調のものから中学生の訳みたいなのまで。まるでまったく違う詩のようだ。



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たとえば

谷また丘の空高く
ひとり漂う雲のごと
さまようわれのふと見しは
群れ集いたる黄水仙
湖水のほとり木々の下
風にひらめき踊るなり
  (研究社版)


実際彼がこの水仙の一群れを見たのはグラスミアの北、アルスウォーター湖の畔だそうだ。ただし水仙は早春だからね。

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私は雲のようにひとりさまよった
谷間や丘に空高く浮かぶ雲のように。
そのとき突然私は一群に出会った、
黄金色の水仙の群れに。
湖のほとりや、木々の下で、
微風に揺らめき踊っていた。
  (オセアニア出版版)


文語体、口語体どちらがいいかはなんとも言い難いが、みなさまはどちらだろうか。


せっかくだから最後の節ものせておくね。


For oft when on my couch I lie
In vacant or in pensive mood,
They flash upon that inward eye
Which is the bliss of solitude,
And then my heart with pleasure fills,
And dances with the Daffodils.



というのも、私が寝椅子に横たわって
虚ろな物思いにふけっている時にも、
それは孤独の喜びにひたっている
あの心眼にきらめくからだ。
そんな時私の心は喜びに満ち
水仙と一緒に踊るのだ。
   (オセアニア出版版)


 
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川のほとりにカフェをみつけた。



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せっかくだからここでお茶を。背景にみえるのはワーズワースの墓のあるオズワルド教会。



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これがその墓石(左)。後のケルティッククロス(ケルト十字架)は、ここがスコットランドに近いことを思い出させる。


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ここ、グラスミアは自然環境が抜群なため、地価がイギリス屈指の高さだそうだ。なるほどね。ロンドンのお金持ちが別荘を持っていて週末に遊びに来る、、、という感じか。うらやましいのう。



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教会の裏にあったジンジャーブレッドのお店。


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1854年創業、セイラ・ネルソンおばさんのレシピをいまでも守っているそうで、ワーズワースもお気に入りだったそうですよ。


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あ、セイラおばさん、、、じゃなくて、ヴィクトリアスタイルの店員さんだった。


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なんというか、ハーブの香りただようジンジャーブレッド。一つ食べたらもうお腹一杯で夕食抜き、、、というシロモノであった。



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グラスミアに別れを告げボウマスへ帰る道々、見え隠れする湖。


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これはライダル湖。スコットランドの湖はネス湖をはじめ底が土ではなくて岩なので有機質に乏しく、生物は(ネッシーも含め)繁殖しがたいと聞いた。なので水は澄んでいる。



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ボウマスにもどったら、観光客お約束のウィンダミア湖クルーズ!



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湖畔でキャンプする人あり、ボートやヨットでこぎ出す人あり、別荘あり、、、



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中産階級のリゾート、、なんだな。



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たくさんの野鳥がすっかり人に餌をもらうのに慣れているようだ。いいのかそれで?

あとリゾート地にたくさんのわんこ連れが目に付いた。中には大型犬二匹以上という人もいる。乗り物にはわんこ料金も明示され、わんこもよくしつけられている。狩に犬を使った歴史があり、動物愛護の総本山だけのことはあるわ。イギリス人ってほんとわんこ好き。(猫をほとんど見かけなかったのが残念)





(まだまだつづく、がんばれ、もうちょっと、、、でもないか)

英国田舎紀行・湖水地方とコーンウォール〜湖水地方その2 - 2015.08.14 Fri

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翌朝やっとレンタカー借りることができた。英国は日本といっしょで右ハンドルなんだが、ボルボのハイテクカー(?)なんで操作方法がよくわからず最初はとまどう。(エンジンのかけ方から最初???だった)慣れるとカーナビがとても便利や〜。



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ウィンダミアからボウマス、そこからフェリーがでているはずが乗り場がわからず仕方なしにウィンダミア湖を半周して今回のハイライトのひとつ、ビアトリクス・ポターが住んで「ピーターラビット」シリーズを書いたニアソーリーのヒルトップをめざす。



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半周しても1時間もかからず到着。このあたりは農家も多く、のどかな田園風景がひろがる。ここがピーターラビットの絵本の世界なのだ。



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思えば中学になって最初に手に入れた英語の原書が「The Tale of Peter Rabbit」であったなあ。イギリスの田舎の風景との出会いもそれが最初だったかもしれない。それからシリーズを15冊までそろえたっけ。
子供の服は(かつて提携していた、今はしていない)ファミリアのピーターラビットシリーズ着せてたし。とうとうここまで来ることができたわ。



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ロンドンで家族とくらしていた作者のビアトリクスは子供の頃、避暑ですごした湖水地方をとても気に入っていて、いつかこの田舎の一部を自分の物にしたいと思っていた。元家庭教師の子供に書いた手紙がもとの「ピーターラビット」絵本が思いもかけず記録的な売り上げを達成、それで手にした財産で、ここヒルトップ農場を手に入れたのだ。その後羊の品種の保護をはじめとする農場経営や、自然保護のナショナルトラストの支援など、終生この土地を愛した。
ゆえにヒルトップはビアトリクス亡き後、ナショナルトラストに寄付され現在その管理下にある。



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この周辺には絵本にでてきた景色がいくらでもあるので、覚えていたらさがすときっとおもしろい。
ここはヒルトップに通じる小径、奥に玄関がみえているこの景色が「 The Tale of Tom Kitten(こねこのトム)」の表紙裏の景色。



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ヒルトップの玄関。中へ入れるが撮影は不可。家の中にも暖炉べりや階段の踊り場など、絵本に出てくる景色がいっぱいなので、ピーターラビットファンにはたまらない。



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周辺の庭にも季節の花が咲き乱れ、ああ、やっぱりガーデニングはこういう気候のもとでせにゃならんのやな、、、と。(ちなみに京都が38〜39℃をたたきだしたときに最高でも20℃くらいでした〜(^_^;)



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これもこねこのトムが他の兄弟とともにお母さんがせっかく着せたよそ行きの服をアヒルにとられてとほうにくれていたところの小さな扉ですよ。



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「The Tale of Jemima Puddle-Duck(あひるのジマイマ)」にでてくるTower Bank Arms。現役のイン。この前に馬車が止まり犬のケップがフォックスハウンドの仔犬をさがしている場面。あひるのジマイマは狐にだまされて自分の卵を食べられちゃうちょっとオバカさんでしたね。



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ここにもやはり石垣+花。どこをとっても絵になりすぎ。ここはBuckle Yeat、現在はB&Bだが、「The Tale of Tom Kitten」でトムたちがアヒルに出会う場面で。



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この郵便ポストは私は知らないのだが、ピーターラビットのカレンダーにでてくるポストなんだそうな。



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Anvil Cottage。普通の民家。絵本にはない。そうそう、英国では今、日本では6月の花、紫陽花がどこのおたくでも盛りをむかえていてきれいだった。



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昔日の郵便局。今は郵便局なのかどうかは不明。「The Tale of the Pie and the Patty Pan(パイがふたつあったおはなし)」にでてくるそうだが、この本は残念ながら持っていない。



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村の小径を行けば洗濯物など翻る場所もあり、ここの暮らしはほぼ100年くらいのあいだもたぶんそんなにかわっていないのだなと思う。

せっかくなので、ここニアソーリーにもあるフットパスを歩こう。



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のどかな民家牧草地を越えて、



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フットパスの入り口へ。



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30分ほど、こんな石垣(Stoney Lane)と羊たちの牧場を見ながら歩く歩く。(ちゃんとウォーキングシューズ持参)



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たどりついたのはビアトリクスが「私の湖」と称したMoss Eccles湖。ここもナショナルトラストの土地。



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山の中の小さな湖は静かでしばしぼ〜っとたたずむ。



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瞬間で、写真には撮り損なったが三羽の雁が飛んできて、見事な着水も見せてくれた。



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ここの石垣にも野生の花。日本でいえば雑草のたぐいだが、どうしてここではそんな花も庭の花のように美しくりっぱなのだろうか。


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(つづく)

英国田舎紀行・湖水地方とコーンウォール〜湖水地方その1 - 2015.08.14 Fri

10数年前にレンタカーで英国の田舎コッツウォルズめぐりをした。当時はガーデニングが趣味の人くらいにしか知られていなかった場所なので、ガイドブックもなく、一冊のコッツウォルズの本だけがたよりの旅であった。また別の機会にはスコットランドの田舎もドライブ、とても楽しかったし、英国のよさは田舎にあるのだと確信したので久々にレンタカーで田舎めぐりの旅にでることにした。(あ、もちろん運転はダンナの役目)

日本みたいに道路標識がないので以前はあちこち迷ったし、道を聞いても英語が半分以上ききとれなくて往生したが、今では郵便番号を入力するだけで道を表示してくれるカーナビがある。便利な世の中になったものだ。


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ロンドン・ユーストン駅から湖水地方行きの列車を予約していたのに、なんとなんと地下鉄の24時間ストライキにぶつかり、ヒースローから3倍近い時間がかかり、いきなりのりすごす。



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1時間後の列車には乗ることは乗れたが。ちなみにこれは1stクラスの列車。簡単なランチがでる。



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途中乗り換えの駅もきれいにしている。英国の田舎はどこでも石壁に花というコンビネーションでとてもすてきだ。さすがガーデニングの国!これにあこがれて宝塚時代イングリッシュガーデンにトライしたのよね。惨敗やったけど。(どだい冷涼乾燥と高温多湿の気候ではいっしょにできるわけない)



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途中の景色はおおむねこんな感じ。山がない、、、地平線が見えてしかも羊やら牛やらがひたすら牧草をはんでいる。




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やっと湖水地方の玄関口、ウィンダミアに到着。1時間おくれのため、現地で予約していたレンタカー、当日は借りることができなかった。いきなりいろいろアクシデントだが、こんなことでめげてはいけない。なにしろ今回は寝台列車とか宿はすべてB&Bとかシビアなスケジュールなのだ。



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ウィンダミアで泊まったB&B。この季節観光客が特に多いので、ほとんどのB&Bは"No Vacancy"の看板を出している。


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ここはこぢんまりとして清潔でとても感じよかった。



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さて、レンタカーも本日は借りそびれたし、20時過ぎても外は明るいのでウィンダミアの町を散策しよう。



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ここでもまた、どこのカフェもB&Bもレストランもきれいな花で飾りたてられている。



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ひとつひとつは育てたこともある花ばかりなのだが、ここまできれいにはいかなかったなあ。



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ウィンダミア駅近くの初心者向けフットパス(日本でいえばトレイルみたいなもの。英国の田舎にはたくさんフットパスがある。イギリス人は歩くのが好きみたいやなあ。)オレストパスを歩いてみよう。



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まだ明るいとはいえ21時近く、だ〜れもいないし木陰は薄暗いし、何度かひきかえそかな、と思いつつゆるい上り坂を。


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ウィンダミアでは、住民が石を積んでつくったという石垣がずっとパスの両脇にあるので道に迷うことはない。この石が苔むしてほんと良い感じ。



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お、視界が開けてきた!ここでもやっぱり点在するのは羊ですよ。(ゴミではありません)



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ゴールに着いたとき、一瞬言葉を失う。

空が近い。神様がおりてきそうだ。ターナーの絵だ。眼下に静かによこたわる湖水地方最大の湖、ウィンダミア湖。



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こうしてみるとほんまに山がない。
おどろいたのは、途中でだれにも会わなかったのに、ゴールにきてみると他にも10数人くらいの人がすでにいたこと。みんな静かにこの景色の美しさに祈るようにひたっていた。



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かたい地盤であちこちに岩がむきだしになっているけれど、荒れ地にも可憐な花が咲く。



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名作「嵐が丘」でその名を知った荒れ地の花、ヒース。


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もう少しここにいたかったが、そうはいっても21時すぎ、そろそろ帰ろう。また石垣のフットパスを通って。



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Stones(or Bricks) & Flower


これよ、これ!これでなくちゃ。


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これはB&BのEnglish breakfast。フルだとあとソーセージとベーコンと豆がつくが、私には多いので。これだけ。美味しかった。


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ここのB&Bを経営するおふたりの似顔絵(フロリダのディズニーランドに行った時に描いてもらったそうだ)。アトホームなおもてなしがうれしい。




(つづく)

祗園祭月の雑記2015 - 2015.08.04 Tue

またしばらく旅にでます。さがさないでください、、、、じゃなくって!!しばらく更新おやすみ、コメント返しもおそくなります。スミマセン。体中の血液が沸騰しそうなのでちょいと涼しいところへ行ってきます。いや、、寒いかも。

つなぎに(?)7月のあれこれ、雑記のせときます。



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7月は祗園祭にあけ祗園祭に暮れ、われながらすごいペースでアップしたのでしばし休憩。ムクゲの「祇園守」も7月中はあんなに咲いていたのに、開花が一段落したもよう。さすが名前だけのことある。



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以前アップした二條若狭屋の五色シロップのかき氷、使用前の画像をのせたので、使用後?の画像も。5色全部ぶっかけたところ。美しい、、、とはいいがたいが、味はけんかしてなかった。


好日居さんの茶ノ旅路(トルコ・チェコ)茶会>

6月に御菓子丸さんや市川孝さんとトルコ・チェコ(チェコの陶芸家マルティン・ハヌシュさんをたずねて)を旅された好日居さんの旅報告?茶会。



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トランジットのトルコにちなんで点心はキョフテ(トルコの代表的料理、マトンのスパイシーミートボール)とトルコライス。数年前トルコにいったが、たしかに料理は日本人向きでおいしかった。



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トルコ人の大好きなチャイ。そうそう、こういうガラスの器で飲むんです。これまた人気のターキッシュデライツ(多種多様の甘いお菓子)そえて。



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小さな茶会を見守るのは蓮の華。



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今度はチェコ編。野生の蜂蜜でつくられたメドウィックというチェコのお菓子と中国茶のコラボ。いまチェコではチャイオブナといって日本茶を飲むカフェが人気なんだそうな。玉露なんかものまれているらしい。



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チェコの山の中で自給自足的な生活をしながら陶芸されているマルティンさんの家の近くでつんだエルダーフラワーのお茶。ヨーロッパでは古くから薬用ハーブとして使われていた花だそうだ。(インフルエンザに効くとか効かないとか)不思議な味であった。


<眺望茶会〜@尊勝院>


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眺望茶会〜〜「粟田口茶の湯まちづくり」(京都市大学地域連携創造・支援事業)による第一回目の茶会、、、らしい。で、尊勝寺ってどこよ?住所見たら家から歩いていけそうだが。



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こ、、これは、、、山の中に入っていくのか、、、



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登り切ったら絶景かな!
たしかにこりゃ「眺望」茶会だわ。こんなところにこんなお寺があるなんて、京都はほんまに奥が深い。茶友さんや最近知り合ったばかりの大学生の子もいてお点前ちょうだいする。火気厳禁ゆえ冷水点てにて一服。おいしい!



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この風呂に映る(氷をいれた)水指の蓋がわかるだろうか。こんな茶会の仕掛け人はどうやら昨年の白川さらさら茶の湯めぐり白川あかり茶の湯めぐりを主催された一味らしい。



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いいねえ、こういうの。白川の茶会もすばらしかったので、これからも是非こんな茶会にお招きいただきたいもの。



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別の道を降りたら、、、あらら、なんと私の大好きな粟田神社の境内ではないか。しかも7月最終土曜日恒例の境内ビアガーデンの日だったんだわ〜。



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さてさて、しばらくにゃんこともお別れ。

「いってらっしゃいませ〜」と言っているのかいないのか。


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多分、よくもおいていったわね〜のふてくされ寝と思われます。
しばししんぼうしてね。


「一億人の茶道講座 心を耕す」岡本浩一 - 2015.08.02 Sun

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「茶道を深める」「茶道に憧れる」に続く雑誌淡交連載中の茶道心講単行本第3弾。今回新書版サイズになって、通勤カバンにも入れられるところがありがたい。前2冊に続き、いつも読むたびに自分と茶道の関わり方についてあれこれ考えさせられる、というか悩ませられる。自分は茶道を生き甲斐、とするほどのめりこんでいるわけではなく、しいていえば奥伝まではいったけれど、茶道との心理的距離についていまだ測りかねているというところか。

連載の体裁なので一節一節はほどよい長さでどこからでも読める。たいがい導入部は茶道ではなく古武術であったり将棋であったりロックギターであったりする。最終的に茶道に収束されるのだが、逆に言えば語っているのは茶道だけでなく人生のあれこれすべてに通ずる一つの真理をいろんな方向から語っておられるように思う。自分の人生や茶道を習ってきたことを振り返れば、思い当たる箇所がいくつもあるし、納得がいく。納得がいくが時に一般人には厳しすぎるところもある。だが、どれも(若干むつかしい単語が多いが)座右の銘として書き留めておきたいような文章でしめくくられており、これに励まされることは多い。

奥伝が身についてはじめて初心の草の点前の意味や解釈が理解できる。歴史的な意味や背景がわかりはじめる。真の点前が確かな人とそうでない人の草の点前はあきらかに違う。型に自分を追い込んでいって初めて得られる「自在」というものがある。経験を磨いて初めて心に映り目にも映る美とことわりがある。

茶道心講にくりかえし形をかえ奏でられるテーマだと解釈している。だからがんばってさらに茶道の奥をきわめよ、と叱咤されているような気持ちになる。しかし、そこまでいかない茶道との距離の取り方でもそれなりの癒しがあると逃げ道も用意してくれているのでご安心を。

深くうなずかされたのが、小学校で円周率を「3」として、未知の科学の世界に不思議さや好奇心を覚えるきっかけを失わせたという一節。実生活で円周率を使う場面はほとんどないと同じように、実生活で貴人点をしらなくて困ることはまずないだろうが、これを習うことによって二段階の丁寧さの自然な区別を身につけることができると。これは上の点前にはいってから、茶入が和物から唐物にかわり茶碗が天目になったときの所作の違いをロジカルに理解し、背後のさらなる茶道の世界の広がりを知る一歩になるのではなかろうか。
さらに経験された茶事、茶会の主として客としての真剣勝負のエピソードは自分でも茶事茶会をする人なら多少の羨望をもちつつむさぼるように読んでしまうだろう。

かくてこの本を読みつつ、もっと背筋を伸ばして茶道に向き合わねばならない、と思ったり、自分は茶道にそれほど切実でないことにがっかりしたり、これからどういう茶の湯をしたいのかしっかり目標をもたねばならん、がどうしたらいいのか方向性がよくわからん、と悩んだり、そうあれこれ考えること自体が実は心の贅沢なのではと思ったり。

ただ心しておかねばならないのは、そういうことを考えている自分に酔っていないかということ。増上慢について以前お叱りをうけたことがある。反省しつつもすぐに忘れて思い上がり、またたたかれて反省する、の繰り返し。凡人であればすぐに悟りはひらけぬのはしかたないが、それでもそれを叩いて下さる人がいるということはありがたいことだと思っている。

最後に「市井の茶人」として励まされ心にとめておきたい一節を。


仕事をし、仕事のストレスに苛まれ、家庭人の務めも果たし、、(中略)、、茶道の稽古を日常のものとする。そういうありようは、やがて茶境にも、そして、本業やあるいは「人としてのありよう」にも透徹や豊かさをもたらしていく。茶道を真の余技として、一年一年時間を重ねていく贅沢をときには心に留めつつ生きたいものである。


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