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2015-10

琳派総集編!〜国立博物館〜駅美術館 - 2015.10.31 Sat

お江戸の方ではどうかしらんが、京都では今年は琳派400年ということであちらでもこちらでも琳派、琳派、琳派、、、のイベントや展示が目白押し。それもあと二ヶ月、ということでいよいよ真打ち登場!


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京都国立博物館「琳派〜京を彩る」


国宝、重文があれもこれも惜しげなくてんこ盛り。平日にも関わらず入館できるまで40分待ち、という表示だったが実際はそんなに待たされた感じがしない。(待つだけの価値があったので脳内で割り引かれたのかも?^_^; )



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こちら博物館のゆるキャラ?になったらしい「トラりん」。尾形光琳の竹虎図がオリジナル。しかしなあ、、、(^_^;)


入館すると入場制限しているにも関わらず十重二十重に人垣ができていたが、それにもめげずに並ぶ。
のっけから圧巻の13mの長さの俵屋宗達鶴下絵・光悦三十六歌仙和歌巻。金、銀の箔の鶴の群れが空に舞い上がり舞い下り水辺に憩い、端から端までなめるように見てしまった。光悦の字はまだ判読しやすいのがうれしい。

そして光悦と言えば茶碗!学生時代に鳥肌が立った「雨雲」、当代の楽さんが一番好きだという「乙御前」がでてた。「加賀光悦」は11月10日からの展示らしい。


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(展示は平成知新館にて)


光悦・宗達を琳派第1世代とすると約100年後、彼らに私淑した尾形光琳・乾山は第2世代、そのさらに100年後の酒井抱一・中村芳中・鈴木其一は第3世代になる。
まあ、この三世代の作品がこれでもかこれでもか、と息をもつかせず並ぶ様は圧巻としかいいようがない。

第2第3世代はそれぞれが私淑しているだけあって、第一世代第二世代の画題をまんま模写したものや意訳して発展させた作品も多く、これらを一堂に会して比べて見ることができる、というのはめったにない貴重なチャンス。琳派というバックボーンは貫かれつつ時代の空気とともに変化してくのを見るのはおもしろい。

江戸琳派の酒井抱一は、現在京都新聞で連載中の松井今朝子さんの「料理通異聞」(江戸の名料理屋・八百善のおはなし)に現在登場しているのでなんとなくその姿とかさねてしまう。藩主の子息という高貴な身分と浮世にまだ未練をかすかに残す出家した美男子、というイメージか。



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しかしなんといっても超目玉は一室に飾り巡らされた「風神雷神図屏風」につきる。
オリジナルの宗達(国宝)、それを模写した光琳、さらにそれを模写した抱一。

ぱっと見どれがいままで「風神雷神」と認識していた絵なのかわからなくなるほどだが、こうして並んでみるとほんまに違うんやな。空間構成もさることながら風神雷神の威厳・迫力という点でやっぱり宗達のが一番畏怖の念を感じさせる。

オリジナルは風神の視線は雷神へ、雷神の視線は画面の外、真ん中にたってこの屏風を見る人へ、、となっているのに対して光琳のはお互いに見つめ合っているのだそうだ。なるほど、言われてみて初めてわかった。

宗達はほんまに天才だ。本やTVで見飽きたつもりでいたが、ホンモノをこうしてみると全然迫力が違う。両神の浮遊感が違う。すごいわ、やっぱり。



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ということで入館の時間待ちも十分報われたのだ(^_^)v


さて続きは美術館「えき」で。



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琳派第4世代といえば京都ではおなじみの雪佳さん。第5世代と言っていいのかどうかだけれどニッポン画と称する山本太郎さんの作品。

山本太郎さんといえば以前細見美術館の特別鑑賞会で存じ上げて以来すっかりファンになんてしまった方。ポスターのマリオ・ルイジの風神雷神パロディ(?)もさることながら、以前見た「風神・ライディーン」は思わず吹いてしまった。お能がお好きみたいで画題に能の知識があればくすっと笑える絵も多いのだ。


琳派といえばかつて着物の柄ね、という認識だったのだが今年一年、あちこちでよう勉強させてもらったわ。狩野派の絵などは現代のわれわれの生活にはほとんど関係ないといっていいが、琳派は着物だけでなく日常のあらゆるもののデザインとして今も生き続けている。たしかにこれはすごい。琳派400年、おそるべし!



月見茶〜十三夜、十五夜 - 2015.10.30 Fri

端整な茶事茶会をやりたい。でも、うまいこといかずいつも悩んでいるわけだが、たまにはふっと肩の力を抜いてお気楽なお茶をしたい。日々の生活のなかであたりまえのように湯を沸かして茶をのむ。文字通りの日常「茶」飯。


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日常ではあれど、楽しみのスパイスを少々きかせて遊ぶのも。縁側にミニ風炉(アルコールランプ)と土瓶(いずれも市川孝さんの)をもちだして。腰掛け待合いの方に家人をすわらせると、こっち向き、逆勝手になるのよね。遊びながら勉強になる〜(?!)


この夜は十三夜なので夜はまた月見茶しよう。


、、、、で、日も暮れて、、、



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きれいな十三夜、のぼりました〜!(オートモードで撮るとどうしてもハレーションおこす、、、)



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小さな手燭を用意し、電球の灯りを消せば、雰囲気は上々。



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蝋燭の火は赤く、アルコールランプの火は青い。お湯の沸く音を楽しみに待つ。



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ちなみにちらちら見えている器は田中茂雄さんの鉢に大量にあまった食用菊を茶席の花として。(これはおひたしにして食ったほうがうまい、と友人に言われたが^_^;)



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マニュアルモードで撮った十三夜。中秋の名月を見て、これをみないと片見月といって縁起がわるいんだそうな。空気がより冷えて透明度が増すこの季節の十三夜の方が美しいな。

月を愛でながらいただく一服はことのほかうまい。(ような気がする、、、)


二日過ぎて今月の満月の夜。



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満月の宵には謎(?)の美女F子さんが鴨川べりでお茶をいれてくれる不思議なティーパーティーがある。草むらの中で蝋燭の灯りだけが照らす不思議な集会。



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この夜はあいにくの曇り空。月はみえない。しかも雨までふってきた(傘がみえるかな?)というのに、集まってくる好き者数寄者たち。雨にぬれても煎茶を何服も喫しながら河原に流れる静かな時間がここちよい。



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そのとき、小雨の中一瞬、月が見えた!なんだか奇跡的な物を見たような気がする。

歓声をあげ感嘆する人々。見えるだろうか、あるは傘をあるいは笠をそしてほっかむりの数寄者たちが(^o^)



西行庵秋の茶会2015〜小堀遠州流家元席 - 2015.10.27 Tue

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知恩院さんの前を通りすぎたらそろそろ紅葉がはじまっていた。京都はまた美しい季節になる。(ついでに観光客も超増えて市バスに通過される季節になる(-_-#) )



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春に夜桜を見て感動した円山公園のしだれもすこ〜し紅葉をはじめた。このそばを通り抜けて南下すると、、、



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円山公園・真葛が原西行庵がある。
はじめて西行庵とご縁を結んだのは2年前の早朝の朝茶だった。

しらじら障子の外が白んでくる時間の茶がここちよかったのと、(茶道検定の参考書に「円窓床」の代表茶室として載っているところの)桃山時代の茶室・皆如庵で一度お茶をよばれたい、、、という思いから今年の春は西行忌茶会に参席させてもらった。



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そして今回、秋の茶会。毎年そうそうたる方が席主をつとめられるそうな。今年は小堀遠州流(遠州流から昭和に独立。小堀遠州の弟・小堀正行の系統〜後に養子で本家の直系になる)のお家元(16代)がお席主。
明治に、この西行庵再興につとめた宮田小文法師のお茶の師匠が12代宗舟宗匠だったご縁だそうだ。(かの松殿山荘の高谷宗範とも親交があったらしい。)



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ほんとうにこの建物は茅葺きの屋根といい、いい古び方、そして風情がある。まずは躙り口から入って二畳台目向切向板の小間の待合へ。今は蓋がされているが丸炉を埋め込んだ四角い炉があるいい雰囲気の小間。その小文法師の師であった宗舟宗匠の扇面和歌がかかる。

続いてあけはなてば広間になる浄妙庵(大徳寺真珠庵の鷹ヶ峰下舎だったそうだ)にて三友居さんの点心をいただき西行庵主のお母上から一献ちょうだいする。おいしい お家元夫人もお水屋から同席され、いっしょに食事、小堀遠州流についてもいろいろお聞きする。ちなみにここには狩野探幽の墨絵がかかっていた!



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(主菓子:柏屋光之「錦秋」)


いよいよ本席、とても好きな皆如庵へ。障子を途中まで閉めると円相窓にクルスが浮かび上がる円窓床(伝・高山右近作)、火灯口つきの道安囲とみどころ満載の小間(三畳+一畳)なのだ。普通なら床の真ん中に掛ける軸が横壁にかかる変則、この日は遠州の賛(このたびはぬさもとりあえず手向け山、、、の道真公の歌)、松花堂昭乗の天神さんの絵。寛永のきらびやかな文芸メンバーだわね。

濃茶はご子息(?)が練られ、お家元は後見に。正客はわざわざこの日のために山陰地方からでてこられたという当流派のお弟子さん。

お点前はやはり武家茶道のそれで、歯切れのいい所作は藪内とかにも似ている。茶碗を出すのに古帛紗や、出し帛紗でなく普通の帛紗をおりたたんで(この折り方も複雑でよくわからんかった)使うのは初めて拝見した。お弟子さんにお聞きすると遠州流と小堀遠州流は実はけっこう違うのだそうだ。

道安囲の火灯窓から通してみるお点前はほんまに絵になる舞台装置だわ。



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釜が炉壇いっぱいいっぱいなくらいごつくてすてきだった。遠州の釜師だった飯田助左衛門のものだから江戸初期のもの。なりはごついが鐶付きや蓋のつまみが繊細な切り子(サイコロキューブみたいな)になっているあたり、やはりきれいさび、、かな。でもこの釜に負けない蓋置が古竹でごついのなんの。その名もずばり「岩石」。江戸中期の茶人・鷹司輔信・作。


古瀬戸茶入の銘が「秌之埜」。なんと読むのか???

「秋」の字のへんとつくりをいれかえた字で「あき」と読む。松を「枩」と書くようなあれ、ね。遠州流の軸によくみるテクニックだったわね。


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(干菓子:月兎+豆名月 塩芳軒  そう!この夜は十三夜、豆名月の日であった)


宗家は東京なので、はるばる京都に遠征くださり、茶杓の銘も「都」と。
おはなし上手な気取らないお家元のお人柄が席を楽しいものにして、一座建立、ひとときを楽しむ。客の座る三畳はほんに人との距離が絶妙でよろしいわ。


帰りは鴨川ぞいの早くもはじまった桜の紅葉を見て楽しみ、夜は十三夜の月を愛で、花鳥風月、じつに楽しくうるわしい一日であった。



風炉のつくろい?と開炉 - 2015.10.26 Mon

まだ10月ながら一足お先に炉開き。


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お久しぶり、の炉。う〜ん、、、ちとほこりくさい。



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灰を入れる準備万端。



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例によって灰が舞い上がらないよう吸い込む掃除機をセットしつつ。



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五徳、釜を据えて高さ調整。
開炉茶事、準備できた。


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ところで使い始めて5年くらいの風炉、ついに底の漆がぱりぱりとはげてきた。このままではどんどん剥落が進行しそうだ。かといって漆つくろいにだすほど良いモノでもないしなあ、、、、



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茶友さんに教えてもらった方法でつくろいを試す。ひび割れにパテを埋め込む。う〜〜ん、、、これどんなになるんやろか?

乾かして黒いスプレーをかけると、、、


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\(◎o◎)/!おお!
意外といける!(T様、ありがと〜〜)来初風炉までおやすみさせます。




<おまけ〜京都のプチグルメ>

先日の好日居でとてもすてきだったマグリット茶会の中で供されたマグリットのタルトがとても美味だったので、それを作った岡崎のLa Petit Scèneへ。(チャリで行ける)


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好日居さんは食事もおすすめよ、とおっしゃってたのでランチいただきました。


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お!ナイフがミツバチマークのラギオール。



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三種えらべるメインディッシュから牛肉の煮込みをチョイス。


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そしてデセールはタルト、アイス、梨の甘煮などなど。さすが、おいしゅうございました。
ランチにしてはちょっと贅沢なフレンチなのに1500円(デセール抜きで1200円)、他にもハンバーグとかおいしそうなので、次回ためしてみよう。



鞍馬の火祭2015 - 2015.10.24 Sat

前に鞍馬の火祭りに行ったのは調べてみたら4年も前のことだった。(記事はこちら)あれは小雨の中だったがみごたえあった。


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今年女子ばかりで久々に見に行く。由岐神社の前には、、、まあなんと警察官いっぱい。前来たときは無粋なKEEP OUTの黄色テープなかったのに(T_T)


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祭礼開始の6時前に着いたので、各家の飾りをみてあるく。松明は氏子の各家がそれぞれ作る。



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鞍馬の山でとれたツツジの枝を板で囲み藤蔓でしばる。



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このちっこいのは子供用の松明だな。由岐神社の氏子は2〜3才くらいのときから祭礼に参加するのだ。



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この幔幕には「脇仲間」と書かれている。「仲間」とは、7つの火祭りを実行する住民組織で七仲間とよばれ脇仲間もそのひとつ。なんと代々世襲制なんだそうな。今の日本にそんなところがまだあるなんて、、、、



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氏子の家では祭礼を祝うごちそうなどが供されているのかな。各家の門口に松明(徳利に似ているのでトックリ松明というらしい)



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お、締め込みの兄さんたちの姿があちこちにちらほら見えてきた。祭の始まりも近い。



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今年の初夏新緑のこの里に来たが、まったくおもむきの違いに感動する。



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この家には小さい担ぎ手もいるようだ。大松明の前にちょこんとちっちゃい松明が。



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おにぎりなど食べつつ祭礼の開始を待つ。鞍馬の山の端に月ものぼる。



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午後6時、祭礼ぶれが街道をまわる。

「神事にまいらっしゃ〜れ〜」


さあ、いよいよ神事の幕開け。


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各家の前の篝にいっせいに火が入る。この火を管理するのは各家の主婦たちだ。



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その昔、西暦940年、御所に祀られていた由岐明神を、時の朱雀天皇は鞍馬にお遷しし、都の北の守りとされた。
その御遷宮の行列は松明、篝火、剣鉾でいろどられ1kmも続いたという。

その記憶をずっとこの深山で、火祭りとして守り続けた鞍馬のひとびと。


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まずは年少組の小さい松明。2歳くらい子がいっちょまえに鉢巻き、肩当て姿なのはとてもかわいい。



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少し大きな小学生ぐらいの松明。藤の蔓をしっかりつかんで。



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子どもたちは派手な襦袢に黒襟をかけたものを羽織る。(これは女性陣も)華やかな色や柄が炎にひるがえるのがとても美しい。



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小さい子でも一人前に


「さいれや さいりょ〜(祭礼や祭礼)」のかけ声。



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さあ、そろそろ締め込みに下がりをつけた青年組の出番だ。



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ここで松明に次々火をつけていく。


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さいれや〜さいりょう〜



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さいれや〜さいりょう〜



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松明はどんどん大きくなる。


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日ごろは普通のお仕事してる人たちだよね。でもこの日一日に鞍馬の男としてのプライドをかける。



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現代において、土地にはつねに人の流出入があると思っていたが、ここの氏子のおかみさんの話では、どの家も誰か一人は外に出ていかずこの集落に残るので、どこの家も代々ずっとここに住んでいる、と。そして新しい人もほとんど入ってこないのだとか。



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奇跡のような現代の隠れ里か。



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祭を仕切るひとたちは裃姿で。



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さいれや、さいりょう〜の声とともに松明が御旅所近くに集まってきた。








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松明が一箇所に集められ、、、



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大人も子供も大小松明を持って由岐神社の方へ。太鼓の音、剣鉾の幟につけられた鈴の音、祭はいよいよクライマックスにむかうようだ。



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行列がでてきた御旅所へ向かう。ここへ23時ごろ、神輿が二基おさまるはずだ。



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見損ねたがここで注連縄切りがおこなわれたらしい。



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由岐神社へ向う。すでに松明が殺到して参道の階段をうめつくす。


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ついでに観客も場所を埋め尽くしているので、背の低い私にはなんにも見えない、、、。かろうじて手を伸ばして写真だけ撮った。



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これぞまさに「火祭り」!
二月堂のお水取りより炎がすごいぞ!火を見て萌えるのは私だけではあるまい。



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そうこうしているうちに人垣のあいまにチラっとみえた階段を駆け下りてきた神輿。まずは鳳凰の載った八所大明神の神輿。後にちらっと鎧武者姿。これがあまり早いスピードで降りないように、うしろで女性陣が綱でひっぱっているそうだ。それが安産祈願になるらしい。(なんにも見えなかったが、、、)



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続いて由岐大明神の宝珠をのせた神輿。篝火もゆれるゆれる、、、



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かくして神輿は氏子中をめぐり御旅所へおもむく。

もっと見たいところだが、叡電にのりそこなうと、さすがに鞍馬からは歩いて帰れないのでそろそろ鞍馬の里からお別れをしよう。
久々に見て、やっぱりぎゅうぎゅうのひとごみにまぎれても行く価値があると、思った次第。



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道でひろった松明のもえさし。もえさし集めるの好きだよな、自分。(お水取りのお松明とか、大文字のもえさしとか、薬師寺修二会のもえさしとか、、、、)(^_^;





秋晴れのみのりの茶事 - 2015.10.21 Wed

美術館で、すごい茶道具がガラスの向こうに鎮座していて、ついているタグに「個人蔵」と書かれているのをよく見かける。個人蔵ってこんなの持っておられる「個人」ってどんな人なのかなあ、、、と漠然と思っていたが、、、西の方、お招きいただいた茶事のご亭主がまさにその「個人」のおひとりであった!

夏の楽々荘朝茶事合宿でごいっしょし、楽々荘のご主人と(私は現代の「近代数寄者」とおよびしている)おそろしくレベルの違う茶道具の話に(私はただ口をあけてあきれてただけ、、、(°_°) )うち興じられておられたお方。

ひょんなことで別方面からのお茶縁が二重三重とつながり(ほんっと、毎回いうけれどお茶の世界は狭い!)うれしくも秋晴れの美しい日に茶事にお招きいただいた。

待合でいきなりかの有名な○○の指月布袋がでてきて(最近細見美術館でみたアレですよ)、これなら本席はそれ以上のなんやろ??と思っていたら、、、、

どひゃ〜〜!!((((;゚Д゚)))))))


今年400年のかの琳派の親玉の消息〜〜?!これって美術館モノでしょ?光悦会の目玉クラスでしょ?茶道具の本にのってるくらいのモノでしょ?

ガラス無しで拝見はともかく、それが実際茶事に使われているところに居るこのシアワセ。でもそれだけじゃなかった、、、あまりにつぎつぎ本にでてるような茶道具がおしげもなくくりだされて、今でもぽ〜っと夢見心地。



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某Y流の方なので懐石も作法が少々ちがうのかな、と緊張していたら、なんと意表をつくお菓子までオールイタリアンの懐石。盃もでてきたのでとっくりでつがれるのは日本酒かな、と思ったら、これまた意表をつく白ワイン。
今回テーマは今年没後400年の織部にちなんだものとか。向付が織部が指導したといわれるいくつかの古窯のものをそれぞれに。折敷がまたええわ〜。飯器のかわりに古伊万里の輸出用とおぼしきポットにガーリックトーストを。これまたおしゃれであった。



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待合では掛け軸の下に、淡路でとってこられたサツマイモ、石榴、栗の秋のみのりに、、、ま、、まつたけ〜♪が笊にのっていたので、これいつでてくるのかしらん、、、と思っていたらでてまいりました。ヤッタ!今年初松茸となった。



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最初これを席中に火鉢をもちだして焼こうとされていたサービス精神がありがたい。これだけのお道具をお持ちなだけでなく、古窯の焼きものなどへの造詣も深いかたなので、(私のしらない単語がいくつもあった)勉強もさせていただく。しかも、お人柄により楽しく、、ね。

正客が陶芸家さんだったので、この方からも焼きものの蘊蓄を拝聴することができうれしかった。井戸は雑器か祭器か、作意があるのかないのか、韓国の器だから韓国人が研究すべきであると思うが、歴史の軋轢によるフェアな研究阻害要因がなくなれば、、、というお話しは特におもしろかった。(11月にこの方の作品が野村美術館で展示されます)

さらなる御連客が以前もっと西の方の茶事でご一緒した茶道男子!この方がいつのまにかご亭主のところで某Y流を学ぶようになられた!というのはびっくりぽんや(^_^;)(以前は裏だった!)まあ、彼のご縁でよんでいただいたようなものですから感謝感謝。




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絵唐津の陶片が菓子器になる豪快さ。菓子は地元の菓子屋さん、銘をご亭主が「三秋」とつけられた。

そしてね、、、普通の風炉釜の約1.8倍?くらいの迫力ある大やつれ風炉、阿古陀釜(ハロウィンのカボチャ)は、かの利休さんの釜師△次郎〜〜〜いや、もう全部は書きますまい。書ききれません。お道具好きの方なら泣いてよろこぶようなものを次々とおしげもなく使ってくださる潔さ、お気持ちがありがたい。



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後座に席入りしたとたん目に入る、印象深いこの花入。花入として生き残ったへちゃげたルソンの壺には、穴を開ける、開けないでもめた野村得庵のおもしろいエピソードが付随していて、(是非よばれたときにお聞き下さい)これもすごい。


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みのりの茶事、実りの茶事、そして御法の茶事。

ご亭主は20年前、大震災で大きな被害をこうむられた。つらいことも多々おありだったと思う。そして、今仏教者としてなにができるかといろいろ考えておられる。お寺を、地域のつながり、文化の場として機能させる、その中心に茶事をすえてやっていこう、と決心されたよし。おお、なんて楽しそうな。その企てがうまくはこぶようお祈り申し上げる。そして貴重なひとときをありがとうございました。


さまざまな名物をたくさん目にし手にし贅沢な時間を過ごした後に、一番心に残るのは実はご亭主のあたたかいお人柄と笑顔であった。

(あ、あと紹鷗と利休の塗師であった記○の漆が透けてきた中棗もね!^_^;)







また会いましょう〜の茶事 - 2015.10.19 Mon

若い乙女たちをおよびして秋の茶事。


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露地には石蕗も花をつけ、ムラサキシキブが紫の実をこぼす。お一人が京都を離れ、ご実家へ帰られることになった。
外で茶会をしたときや、うちの茶事での水屋などいろいろお世話になったしっかりしたお嬢さん。なのでさよなら、ではなくてまた会いましょうの送り出しの茶事。



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うちのホトトギスはなんとも大きくなる種類のようで大豊作。



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いくつか切って玄関にいけてお迎え。



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ほんとうに場外茶事・茶会(稽古場以外)で楽しい時をわかちあえたのがうれしかった若い茶友です。お稽古は京都へしばらく通われるので、またきっとお目にかかりましょう。



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ちなみにこれは竹を削って作った自作の灰おさえ。火入れの灰を筋つけの前に整えるのに便利。金属製の灰押さえもあるけれど、あれは灰がくっついてイマイチなのです。自画自賛ながら、これ便利。



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本席では「随所作主」をかけさせてもらった。私の大好きな臨済の言葉。

「随処に主となれば立つ処皆真なり」

むつかしい解釈はいろいろあれど、どんな場所、どんな境遇、環境にあってもゆるがない自己をしっかりもっていれば、どんなことにもあわてず冷静に対処できる、、と理解し、つねに戒めとして心に念じたい言葉。



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たとえ京都を離れても、環境がかわっても、随所作主の心で、人生が生活が楽しいものでありますように。



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流儀では小間の中置きはNGだが、趣向で中置きとしたので向山の灰型に挑戦。明るいところで見るとすごいヘタレな灰型なのだが、薄暗い茶室ではそれなりにみえるの、、、(^_^;



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手作り懐石は今回まあまあスムーズにいったかな。乙女とはいえ、みなさんお若いのでたくさん召し上がってくださったのがうれしかった。人参は乙女のハート(^^)。



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せっかくだから、炭手前は炭所望にて。風炉の茶事の炭の具合はほんとうにむつかしい。炭所望して懐石中に種火が消えては趣向がだいなしになりますからね。きれいに入れていただいてその後、炭はしっかり燃えてくれました。

お菓子は例によって西陣・愛信堂さんの栗きんとん。おいしかった〜。



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後座の花は先日横浜三渓園で見た籠いっぱいの花をまねて、残花てんこもり。いつもは玄関に飾っている背負子が花入として活躍しました。

濃茶の茶杓の銘は「道しるべ」。お若い方のこれからの人生、なにか道しるべとなる夢や希望を持って生きてほしいとの願いをこめて。



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干菓子は鶴屋吉信さんの京都駅八条口店限定の「IRODORI」、いくつか買った中で、、、、



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紅葉のグラデーションのこれにしました。ちなみにウサギは薄氷の季節バージョン。これは彼女が帰られるご実家の地方のお菓子です。



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中置きの風炉・釜はそのまま、鉄瓶を使わない(なんちゃって)茶箱点前で薄茶を。お茶のご縁が絆が、住むところははなれてもまたまあるくつながりますように、の願いをこめて円相のお茶碗も使った。

茶杓は先日の三渓園で古稀茶会をされた茶友が、やはり京都をはなれるにあたりくださったものを。銘が「庵の友」なのです。これは泣ける。

お元気でおすごしください。またお会いしましょう。お茶のご縁がどこまでも続きますように。



鴨川お茶時間 - 2015.10.16 Fri

秋の爽やかな日々、3日連続で鴨茶(鴨川べりでいろんなタイプの野点をする)がおこなわれた。仕掛け人は洛北紫野あたりに住する人たち。どなたも自由なお茶を愛し、じわじわうなりたくなるような趣向を提供できる人たち。



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朝から宵まで、時間自由、鴨川べりなら場所自由、趣向自由、出入り自由、ただしすべて自己責任で、というコンセプトだけであつまった人タチは遠くは東京から出雲から、、、、
行きたかったのだけれどね、いろいろ浮世のことがせわしなくてね。初日、仕事帰りにやっと一席だけ参席できた。



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お〜在釜、在釜。
出雲のお人が出雲のお茶を点てている場所がなんと出雲路橋!



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短冊もかかっていればお花も、、、あ、これは賀茂川籠!おもわずにやりと、、、、
この席では濃茶をいただくことができた。お菓子は雲州松平家不昧公ゆかりの「山川」「菜種の里」など出雲感いっぱい!


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なんといってもこのポット?釜?がすばらしい。下に高出力のアルコールランプを装備、風にもきえることなく火力もつよい。まさに携帯用釜といってもいいかも(アウトドア用品のアルポットというものらしいです)
他にも段ボールに黒のビニールテープでトリミングしたナイスな風炉先屏風や旅箪笥、ご亭主のユーモアもちりばめられていて楽しい席だった。しかし、これだけの大荷物、しかも日帰り、すごいなあ。


何回かお目にかかったことのある席主さんはお仕舞もされる茶道男子。たまたま同席になったこれまた紫野で知り合った女性も謡い・仕舞をされている方。私は超初心者ながら三人で仕舞しようかという話もでたり(消えましたが、、、)能の方面でも話ができたのがうれしかった。
最後に段ボール屏風にはりつける歌を1首がデューティーなので必死にしぼりだす。



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中一日は京都にいなかったので参加できなかったが、みなさんの話をきくとユニークで楽しい席ばかりだったらしい。
最終日はちまっと参加。これだけの荷物を自転車につめこんで鴨川べりにGo!



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気持ちのよい桜の木の木陰で店をひろげる。抹茶とか煎茶とか珈琲とかあったので、私はミニミニティーセットで紅茶にした。気持ちばかりめざしたのはヴィクトリアンなお茶会。



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う〜〜ん、、、しかし、だれもこんなあ、、、

通りすがる人にアヤシイ人と思われつつぼ〜っとしたり持ち込んだ本を読んだり。季節が暑くもなく寒くもない最高の日和で川風も気持ちよい。



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いつか「鴨川’sDay」と称する鴨川べりで一日ぼ〜っとする日を作りたいなと、忙しい毎日の中で思っていたが、こんなかたちで成就するとは。これも楽しきかな。



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あまりにヒマなので自分でお茶をいれてみたり。おいしい.゚+.(・∀・)゚+.

お湯はポットにつめてきて、ここではアルコールランプのミニ炉でお湯をさらに熱くする。この火で(ガスレンジじゃなく、電気じゃなく)お湯をわかす、という行為がなんだかとっても楽しい。炭で炉や風炉に釜をかけるのとおなじか。さすがに釜はようもってこんが。



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木の枝にくくりつけた緑の布は「糺の森を破壊しないで(下鴨神社の糺の森を壊してマンションが建とうとしている)」の意思表示。今回の鴨茶席あちこちで協賛あり、私も。



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そうこうしているうちに(ほとんど知り合いながら^_^;)ぱらぱらとお茶のみにきてくださる方も。お子様連れのご一家でおいで下さった方もあり感謝です。



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こちらもご家族でおいでくださった方は小型旅箪笥(これがまたすぐれもので、よ〜できてるわ、ほんま!)に抹茶道具一式をつめこんで反対にお茶を点ててくださった。こちらも紅茶をいれてこれぞ比翼点て(?)。



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野点道具餅や肴を炙るミニ炉など一式をキャリーに詰め込んで、上流でこれから鴨茶するお嬢さん。座敷童的いでたちがすてき(o‘∀‘o)*:◦♪

カソリックと茶道の話を延々とされたお兄さん、久々にリアルに(FBではしょっちゅうチャット)会えた友人、すてきな月釜を主催されているお茶友さん、数少ないお客さまになってくださってありがとうございました〜。楽しかったです。みなさん、もっとゆっくりとお話ししたかった!(その意味ではお客さんは少ない方が楽しいかも)




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夕方終了して荷物をまた自転車につめこんで、主だった仕掛け人たちが集う、お茶だけでなく舞やら雅楽演奏やらあると聞いた上流へ走る。デルタの突端でやっているのもどなたかの鴨茶席のようだ。



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デルタ(出町柳・高野川と賀茂川が合流するところ)より北の賀茂川(鴨川はデルタ以南)べりは自転車で走りやすくとても気持ちがよい。



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鷺やら鴨やら野鳥がたくさんいるのもこのあたり。
途中これまた偶然であった茶友もさそってさらに北へ。



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おお、あったあった。
ここではお茶あり、お酒あり、酒の肴あり、笙とか篳篥、龍笛の雅楽の演奏もあり、なんだか日暮れとともにシュールな空間ができていた。なんと楽しいことを考える若いお茶好きな人たち!
まだまだ夜まで興はつきないようだが、私はお茶とお酒を少しいただいておいとましよう。



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日本に京都があってヨカッタというが、京都に鴨川があってよかったと私は思う。そして鴨川べりに野点のお茶はとてもよく似合うのだ。鴨川べりは広いので、どこでも茶席作れます。あなたもいかがでしょう?



古稀の茶会〜横浜・三渓園 - 2015.10.14 Wed

約3年の京都暮らしを終えて、A庵さまが横浜に帰られてもう半年たつのですね。横浜に帰ったら秋に古稀の茶会を三渓園(に隣接する隣花苑)でするから、と約束して下さったのが春先のこと、とうとうその日がやってきました。


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はるばる来た横浜は本牧にある三渓園。鈍翁や耳庵と並び称された財閥数寄者・原三渓が作り上げた庭園で、なんと53000坪の広大さ。なんといっても園内に全国から移築された17棟の重要文化財建築が点在するのが見所。

三渓はここの内苑とよばれるプライベート空間以外の外苑を当時から一般に無料公開して散策できるようにしていた、というから太っ腹な方だったのですね。



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茶会は隣接する隣花苑を貸し切っておこなわれました。
この隣花苑は三渓が長女のために静岡の広瀬神社神官西島家を移築したもので、なんと足利時代(600年前)の建築物だそうです。


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現在はそのお孫さん(三渓の曾孫)が原家の家庭料理的な日本料理をだすお店をなさっています。この古いすばらしい伝統家屋を維持するために、とお母上の代からはじめられました。



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こんな囲炉裏のある田舎家、木材部分は長年の時を経てつやつやの黒光りで、いっぺんにここが気に入ってしまいました。ちなみにここは待合。A庵様のお茶友さま、ゆかりのある方々が大勢おいででした。



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囲炉裏のそばにはこんな猫もいました。そういえば三渓園も猫がたくさん闊歩していてこの隣花苑でも見かけましたよ。

さて、A庵様が京都ですごされた3年間、お宅で私はもう一人の方とずっと月イチで奥伝の自主稽古をさせていただいていました。それぞれ違う社中なので、ときには頭をよせあって不明な点などあれこれディスカッションをしたり、なかなか息の合った三人でした。おそらく社中では一年に一回しかお稽古しないであろう奥伝を短期間に何回させてもらったことか。自分でもこの時期すごく成長したと思います。



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それから、関西在住のA庵さまのお茶友さんのところへあちこち、かなり遠方へもつれていっていただき、縁を結んでいただきました。
横浜へ帰られるのはわかっていて、いよいよそれが近づいたころの自主稽古で、ああ、この時間はきっと将来忘れがたい懐かしい時間になるな、とすでにわかっていたことを思いだします。



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まずはこちらの懐石をいただきますが、これが有名な「蓮華飯」です。三渓園でとれた蓮の実を四度皮むきして作られるものでとても貴重なご飯です。今年は蓮の実がやや不作でご心配いただいたとか。

昭和12年に原三渓が予定していた茶会の数日前に、将来を託していた彼の長男が親に先立ち亡くなられた。だれしも茶会は中止になると思っていたところ、どうぞおいで下さいの案内。そして出された懐石が、蓮の葉の上に白いご飯、その白いご飯の上に赤い蓮の花弁が散らしてあり、それぞれその花、ご飯を取って蓮の実をそこに乗せ、その上からお出汁をかけていただく。
どの客も三渓の哀惜の念を深く感じ、黙してそれを食したにちがいありません。それにちなむ蓮華飯。

蓮の実は豆のような芋のような、ほのかに苦くまさに天上のたべものというにふさわしい。


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これは三渓園でとれた蓮の実の枯れた状態。

他にも写真がピンぼけで載せられないのですが、三渓が自らアイデアをだしたというこちらの名物「三渓麺(そば)」も頂戴しました。そばといってもそばの細さのうどんで、上に豚肉・椎茸・タケノコ・ネギなどがのった汁気のない麺で、点心にはぴったりのものでした。三渓はこれをよく来客にふるまっておられたそうです。


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懐石をいただいたあとは足利時代の建物、というのも納得の黒い木の壁のある四畳半ほどの部屋でA庵さまのお友達による香手前を拝見。
お香の炭手前というのは初めて見たので、これは感激です。なるほど、香炭をいれたあとの灰はあのくらいかき上げないといけないのだな、とか。茶の湯であつかう聞香とはかなり違います。より武家手前的なキレのよい所作と公家的な雅さが同居するというか、、、ああ、香道にはまるのはよしておこう、これも奥が深くて時間がいくらあっても足りなくなりそうですから。



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香名が「紫雲」。古稀の色、紫にちなむ名前、とご亭主が命名されました。
そしてこちらでいただく主菓子も紫と白のきんとん。



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茶席に席入りすると大きな床の間には三渓の手になる双鶴図。そして秋の花がいっぱい。

あ、蓮弁の香合が。これは京都にいらしたときにも拝見し、手にもとった懐かしい香合。蓮華飯に三渓園の蓮池、そうくればこれしかない、という蓮弁香合ですね。

こちらで初めてA庵様と久々のご対面。やはり紫のお召し物、よくお似合いです。お客様おひとりおひとりにご挨拶をされる。中にはめったに会えない方や私たちのように久しぶりの方もおられるでしょう。いっしょにすごした時間が懐かしくて、、という客の数だけ、想い出がおありだと思うと、こちらのほうが万感の思いで胸がつまるように感じました。



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(三渓園の蓮池)


京都時代の最後に入手されたと伺っていた楽家の黒楽で濃茶を練られる。懐かしいお点前。あの三年間のいろんな想い出が次々とあざやかに思い出されてきてついうるうるしてしまいました。

この茶碗は「不老門」と銘を。心に好奇心と夢を持っている人は永遠に老いることはない、そしてみんなで手を繋いで不老門をくぐりたいですね、と。まさに古稀にふさわしい銘のお茶碗です。



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(この蓮池から蓮の実がとれる)



同じ人間がふたたび集ったとしても、過去の懐かしい時代は再現できない、その時の輝かしさはその時間だけのもの。A庵様はすでに未来をみすえて前を向いて進んでおられる。私も過去ばかり懐かしがっていてはいけないな、と思うのでした。



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しかしながら自分にできる前向きのことはなんなんだろう?前に歩もうとすれどその方向がいまだわかりません。ただ今は、自分でできることをひとつひとつ丁寧にやっていくしかないのだと思います。無理をしてあらぬ方向に足を踏み出しても長続きしませんものね。



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続き薄は薄紫の帛紗をおつけになって、横浜に帰られてからのお弟子さんにお点前をまかされたので、それぞれのお客さまとも話がはずみました。でてきたお茶碗はいくつか京都時代に見た懐かしいものもあり、これもうれしいものです。

こうしていると初めてお目にかかった時のことがいまでも思い出され、お茶がつないでくれるご縁というものはありがたいと同時にほんとうに不思議なものだと思わずにはいられません。



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こうしてお茶会はお開きになりました。さあ、私も未来をみすえて憧れと夢を持ち、不老門をくぐりたいと思います(気持ちだけでも)。

このたびはほんとうにおめでとうございました。そしてありがとうございました。



「善知鳥〜替之翔」〜テアトル・ノウ京都公演 - 2015.10.12 Mon

うとう


観世会館にて味方玄師のテアトル・ノウ公演「善知鳥(うとう)〜替之翔」を見てきました。

*替之翔(かえのかけり)とは替→能の特殊演出、内容の小さな変更
翔→修羅道の苦患を受け人物が異常な状態で動き回る様子を表す所作


(能については全くの初心者なので少しずつ勉強しています。マチガイがあったらご指摘下さい)


善知鳥自体は北海道や東北にみられる鳩くらいのサイズの海鳥。

善知鳥という演目を知ったのは実は干菓子の「落雁」の名前の由来がこの演目だと、茶道検定にでてたからなんですよね。


さて、そのストーリーは、、、

旅の僧侶が立山にさしかかったとき、猟師の亡霊(翁の姿)が現れ、現世に残した妻と子のところに蓑笠を届けて、仏壇にあげるように頼む。猟師は生前着ていた着物の片袖を証拠として託して消える。
僧侶が陸奥国の猟師の家を訪ね、妻子に片袖を見せると二人はただ泣くばかり。僧侶が蓑笠を仏壇にあげて経を唱えると、猟師の亡霊が現れる。(フライヤーの写真のいでたち:蓬髪、腰に殺生した鳥の羽の蓑、面は痩男、鳥をうちすえる杖)
地獄では自分が殺した鳥が化鳥となり鐵(くろがね)の嘴で苛まれ、銅の爪でひきさかれるという苦しみ、辛さを話す。
善知鳥は、親が「うとう」と鳴くと、子が「やすかた(保方)」と応えるので、猟師はそれを利用して声真似をして雛鳥を捕獲していた。その罪ゆえ子に再会してもへだての雲にさえぎられ抱きしめることさえできない。
さりながら、一家の者を食べさせていく生きる手立てとしての殺生、そうしなくては食べていけなかった。そんな自分の哀しい人生を嘆き僧侶に「助けて賜へ」といいながら消えてゆく。


最初にお父上の味方健師の演目についての説明があった。健師は観世能きっての学識派でおられる。初心者にもわかりやすく見所などの解説があって、これはありがたかった。配役も漁師の子供に玄師の小学生の娘さんがされるところもみどころ。

さて一番のみどころはやはり「翔(かけり)」。「ウトウ」という親鳥の声をまねして「ヤスカタ」と答える雛の声でそのありかをしり、これをうちすえ捕る猟を再現するところ。死後もなお体の記憶は猟の興奮を忘れていない。ある意味人間の狩猟本能が快楽とさえもなる。しかしそれが彼を成仏からへだて地獄で無限の苦しみとなる。

前半のスローテンポから翔の一転荒々しい所作に転換、雛を打ち据える場面は胸がいたむくらいだった。その前に我が子をいだこうとして雲にへだてられさえぎられる場面があっただけによけいにそれは哀しいのだ。


 平沙に子を生みて落雁の(これが干菓子の落雁!)はかなや親は隠すとすれど
  「うとう」と呼ばれて子は「やすかた」と答へけり 
    さてぞ捕られやすかたうとう 親は空にて血の涙を降らせば濡れじと、、、、



僧侶に成仏をお願いして消えていく、、、というのは能の演目のよくあるパターンなのだが、この猟師は未来永劫救われることはない。哀しいかな。人間を含むすべて生き物は他の生き物の命の犠牲の上にその命をつないでいることを思えば、いただいたその命、せめて無駄にすることなきよう、戒めとすべし、、、、かな?

京都移住前に味方玄師の能の話+井筒を拝見して以来のご縁にて、今回も「善知鳥」堪能させていただいた。
その時のお話が印象深い。能の鑑賞は舞台には実際にない月や花、目に見えぬ恋心や嫉妬、執心などを自分の想像力で彩っていくもの。受け手の感性や教養によってはじめて完成するもの。自分の感性や教養をみがかねばならぬということ、、、ですね。がんばろう。





高台寺北政所茶会2015 - 2015.10.10 Sat

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ねねの道から階段登って高台寺。



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命日が9月6日のねねさんこと北政所様。新暦で10月6日に毎年おこなわれる北政所茶会、2年ぶりの参加です。



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あの階段をのぼっただけあって、ここは眺めがようおすなあ〜。大雲院の祗園閣もいいポジションで見られます。



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さて、献茶席に参席され、太夫席でお点前もされる太夫さんの道中、始まり始まり!
帯を前に「心」の字に締めて。

2年前は見習いの振袖太夫(太夫見習い)だった彼女が今年新しく島原に誕生した葵太夫さんどす。後方にみえるのがお母上でもあるベテラン、司太夫。花街島原をもりあげようと、いろいろがんばってはります。



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まだ20代の葵太夫さん、おきれいやわ〜。この髪も地毛で結わはります。

今年、傘が高橋の「高」(輪違屋の紋)が入った傘じゃないのね、、、、と思ったら、司太夫さんは輪違屋から独立されて末廣屋の女将にならはってんて。



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最初、鈴の音がして太夫さんがきはった、、、と思ったらこの方たちが先に道中しはりました(^◇^;)

秀吉くんと、ねねちゃん、、、らしいいっす。



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まずは湖月庵にて(ねねさん、高台院湖月尼ですから)表千家の堀内宗完宗匠の席。2年前は先代の宗心宗匠もお顔をだされていたそうで。惜しいことに今年5月に96才の大往生をされました。

本席の軸は大徳寺宙寶和尚(江戸後期)の「秋月揚明輝」(陶淵明の四時の詩より)。

中置なのに五行棚ではなく竹台子にで〜んと土風炉ではなく唐金風炉(しぶいが華やかな感じもある鳳凰風炉)が鎮座、これは裏千家ではみないコンビネーションだが、表ではこういうのもあるのだろうか、ちょっとびっくり。


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次は円徳院本堂にて売茶真流の煎茶席。



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本堂の真ん中に煎茶風室礼。蓮の葉、実、根(蓮根)の蓮の三態。この自由さがおもしろい。

本堂中を使ってあとこちにいろんな室礼の席がもうけられている。立礼席あり、大きな盆を使った席あり、炭手前の道具を飾った席あり。



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立礼席に入らせてもらう。ここの席主は御年92才、背筋もしゃんと、尚勉強勉強の日々とか。すばらしいな〜。かくありたいわ。何年やっても奥底の知れない世界ってすごいわ。茶道もまたしかり。

とてもおいしい煎茶を二煎いただく。
ちなみにこの飾りの真ん中の緑色のは黄色くなる前の仏手柑。ご席主が育てられたものとか!



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この円徳院で高台院は主に暮らしていたという。おちついてよき住居。ここで関ヶ原、冬の陣、夏の陣の知らせを聞きながら気をもんでおられたのだろうか。



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円徳院の北書院では裏千家の金澤先生の席。

偶然にもこちらの軸も宙寶和尚の軸で「閑事」。これは禅語にはなくどう解釈するのかむつかしいところだが、お正客で同席になった建仁寺さんが、やるべきことをすべてやりおえて(悟りをひらいて?)する事がなにもない、、という状況ともとれる、と。なるほど。



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この席のごちそうはなんといってもこの景色。襖もすべてとっぱらった開放的な眺め。床の前にラッキーにも座れたので、目の前にひろがるこの景色を堪能できた。

ここでは裏に宗旦の花押のあるのんこうの赤楽とか、織部の茶杓とか、けっこうとんでもないものがでてましたよ(^_^;



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高台寺塔頭の春光院では陣中席。



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太閤さんが陣中においても茶席をもうけていたことにちなみ、それを再現するもくろみの席。千成瓢箪、陣旗、幔幕、華やかな鎧甲冑を身につけた太閤さんの絵の軸。「夢」はこの高台寺の管長を兼任する建仁寺管長の手になる。



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お菓子も千成瓢箪型の落雁。



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なんかスケールが変??
そう、でかいのよ、御道具がみんな、、、。



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お茶碗もほれ、このとおり。ただし西大寺の大茶盛みたいにひとりで持てない、、ということはアリマセン。



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この春光院の門はよく見ると茅葺きなんだ。



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さて高台寺にもどる。東山がすでに少し紅葉はじめたようだ。



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高台寺北書院にて、司太夫、葵太夫さんが交代でお点前をしてくれる太夫席。



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葵太夫さんは2年前はお運びをしていたけれど、今年は堂々のお点前。そりかえった独特の指先が美しい。



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お運びは禿ちゃん。小学生の女の子。これが縁で花街に入る子もいるとか。しかし金の天目茶碗に目が釘付け。



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こちらは普通の天目茶碗でいただいた。



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これからの島原を背負って立つであろう葵太夫さん、がんばってくださいね。陰ながら応援いたします。



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こんな点心もいただいて、、、



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石塀小路周辺の喫茶も無料券もついて、小茶巾入れも記念品にもらってしめて11000円!いつも思うけれど、これはお得だわ。この日も爽やかな秋の1日、ゆっくり楽しませてもらった。感謝。



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かえりに、祗園下、宵山の日にしか手に入らない行者餅で有名な柏屋光貞さん、いっつも店しまっているのだが、この日は、お!あいてる!!



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で、大好きなこちらの摺り琥珀「おおきに」を買って帰って、さらに満足したのであった。



ちっちゃいパレード〜元・立誠小学校 - 2015.10.07 Wed

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立誠小学校は夜になれば飲み屋やバーがひしめく木屋町のど真ん中、高瀬川のほとりにあった。平成4年に閉校、そのあとシネマとかいろんな地域の活動に使われなんとか校舎は壊されずに生き延びている。



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何回かここで他のイベントで参加させてもらったことがある。昭和3年にたてられたノスタルジックな校舎はちょっと小学校のころにタイムスリップさせてくれる。

きょうはここでちっちゃいパレードというイベントがある。

開始早々いったつもりがすでに長蛇の列。



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この企画は京都在住の三人のママたちの発案によると聞いたが、でているお店が普段から愛用している好きなところばかりなので、天気も良いし、ついつい惹かれて出かけたのだ。

メインターゲットが子どもづれの若夫婦なので、ちょっとういちゃうわたくし、、、、
ダシにつかえる孫が近くに住んでいればね〜(。-_-。)



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会場となった元・教室はすでにおしあいへしあいの大盛況。雑誌で言えば「リンネル」とか「ナチュリラ」とか「クウネル」とか系の若いママたち。
わたしは渋く「チルチンびと」系、、、、いや、「暮らしの手帖」系か?「家庭画報」系でないのは確か。



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和菓子の日菓さんは子どもたち対象に「和菓子を作ってみよう」的なワークショップをされていた。日菓のユニットが今年いっぱいで解散、というのはなんともさびしい。(杉山さんは御菓子丸として活動継続)




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校庭の、かつて小学生たちが手を洗ったタイルの手洗い場を利用して、ここでは染色のワークショップも(大阪・色とリズムさん)。虹色に染められていく布が美しい。



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木と根さん、直火焼きマフィンねらっていったのにすでに売り切れ。あ、パンケーキあるんだ、と一袋買ったらパンケーキミックス(粉)で食べられんかった(T_T)



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東京・tottoranteさんの食べるジュースは長蛇の列。おいしそうだな。



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おいおい!早くに行ったのに奈良のデルベア、お目当てのバームクーヘンもう売り切れかい!!

他にも下鴨のユーゲさんのクッキーも、うめぞのさんの和スイーツも、蒸しパンも、ランチボックスもおはぎも、食べ物系全滅〜〜!開始1時間でみんなうりきれたんじゃなかろか。



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食べ物系はあきらめて飲み物系で。浄土寺で週末+月だけやってるmiepumpさんコーヒーミルクを。これも並んだ。



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校舎の窓のところにおいてみる。ミルクとの混ざり具合がきれい。



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広い講堂ではミロコマチコさんのお絵かきワークショップ。



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二階の踊り場から見る校庭。この手のガラス窓、懐かしい。



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鉄のサビをいかしたオブジェやフックのチプラスタヂオさんの展示。ちょっと気に入った物があって購入。



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もと教室だからもちろん黒板もある。なつかしい。チョークを作る会社、そういえば廃業したって最近聞いたな。そういう時代なんだ。



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紫竹の花屋さん、みたてさんでは寄せ植えのワークショップ。一人息子のM君はパパにだかれて爆睡中。大きくなったな。


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子どもたちの声が今も響く学校の廊下。京都はこんな風に廃校になっても別の用途で生きている校舎はたくさんある。壊されてしまったものもあるけれどね。



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他にもお裁縫のワークショップや、



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革のコードを使って作るワークショップ、



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手芸系ワークショップ、


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木工のワークショップまであった。



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こちらその木工家具などを作っているKIJIRUSHIさんのショップ。小窓のある衝立ももちろんお手の物でお手製。



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中庭の食べ物系のお店を見下ろすともうほとんど売り切れ片付け中のお店も。もう少し早くくるべきであったか。個人でやっているようなお店ばかりなので大量生産はむつかしいのだ。でもそこがよかったりする。



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で、この日の戦利品は、木と根さんで買ったアトリエリムのパンケーキミックス、デルベアさんの(バームクーヘンは買えなかったので)ジャム、鉄の結界(?)+フック。



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フックは自分で折り曲げてこんな風に使ってみようと思って。安定が悪いのが難点。ちいさなショットグラスを買ってきて輪っかにつっこんだ方がよさそうだ。要・検討。







月見の煎茶会〜黄檗山萬福寺2015 - 2015.10.05 Mon

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台湾のスカイランタン(天灯)です、、、、、

ウソです。

今年もやってまいりました、宇治の黄檗産萬福寺、月見の煎茶会。


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しかしなにゆえに真っ暗になってから行ったのか??

宇治に行こうと京阪特急にとびのったら、先日から走りはじめたばかりの京橋(大阪)までノンストップの特急だったのよ〜。゚(゚´Д`゚)゚。京橋までいってもうた。これで1時間のタイムロス、たどりついたらオシマイの30分ほど前だったのだ。



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献茶式の後の法要ももう始まっている。



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なんとかちょっとだけ、独特の黄檗声明(梵唄とも)聞けた。ちょっと西洋の聖歌に似た異国的音楽的声明なのだ。
なにせ中国・明出身の僧隠元を開山に請じて建てられた禅宗寺院なので。

さてとりいそぎ入れる席に入ろう。



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まずは方円流の席へ。
煎茶は300以上も流派があると聞いたので、作法も多岐にわたる。なので自分流の流儀でいただく。(実はちょっとだけ煎茶道・某流かじったことあり)

室礼は茶道よりも自由で楽しい。もともと煎茶道は隠遁する賢人のような自由と精神の気高さを表す風流を重んじ、形式にとらわれない、、ことから出発したから。



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お菓子は月見にふさわしいかわいいお菓子。煎茶はお茶を飲んでからお菓子をいただくのが一般的。茶道はお菓子を先にいただくけれどね。



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煎茶と萬福寺の関係は、日本の煎茶道の祖・売茶翁こと高遊外がここの僧侶であったこと、日本煎茶道連盟の会長を萬福寺管長が兼ねることによる。




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月を見ながら一服、、、、といいたいけれどこの日の月は20日の月でまだでてこない。
毎年10月第一土曜にやるので、新月の日にあたったこともあるそうだ。さすがにその時は「月見茶会」でなく「秋の茶会」にしたそうな( ^ω^ )



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法堂前の雲井流の室礼はいつも惹かれるのだが、この日ももう終了しました!とのことで入れず。来年こそ。



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東方丈の黄檗売茶流になんとかまぎれこめた。今年はこの二席のみ。(京阪のアホ〜アホ〜、、、いえ、悪いのは私です、、、)

大きな朱塗りの盥にいれられたツルウメモドキのすごい迫力!これさすがに小間の茶室ではできんよね。



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ここのお菓子もすてき。確か昨年は青い地球みたいなお菓子だったが、今年はこれ、月なんだそうな。



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ここのお茶は水のような温度だったので玉露だったかもしれない。二煎いただく。おいしい。



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方丈を出た廻廊にもランタン。もうあちこちの席で片付けがはじまっていた。


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夜の寺院ってほんとうに独特の雰囲気があるね。(こういう会でもないと夜の寺院にははいれませんが、、、)



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はいれなかったけれど、これは小笠原流だったかな、水屋の人たちの慰労の席のようだ。




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で、今回のレポは不完全なものになったので、この煎茶会についてもっと知りたい方は

昨年一昨年の記事をどうぞ。

毎年少しずつ、席を持つ流派がいれかわっているのでおもしろいかも。


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天王殿の中国的布袋さんは弥勒菩薩の化身とも。

おやすみなさい、布袋様。



マグリット茶会「これは茶会ではない」〜好日居 - 2015.10.03 Sat

(この茶会行かれるご予定の方はまだ読まないでね!行ってから読んでね。ネタバレあり)



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京都市美術館で今も開催中のマグリット展、早い時期に見にいったが、このたび好日居さんで行われる夜のマグリット茶会のために今一度見に行った。

一応シュールレアリズムでいいのかな。若い頃から見慣れたデ・キリコやダリとは若干雰囲気が違う。タイトルを見て、不可解な絵を見て、さらに不可解な気持ちになる、、、そんな絵。でもパーツパーツはとても美しいのだ。とくに空の青とか。キリコの絵にはなぜか不安とか死とかそんな匂いがして心がざわつくのだが、マグリットの絵は安心して不思議がっていられる、、、というか。



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そんなマグリットの絵をテーマのマグリット茶会「これは茶会ではない」。
彼の絵のあきらかにリンゴの絵のタイトルが「これはリンゴではない」とか、、、にちなむ。
マグリット展を見た人にはふ〜む、なるほど、ニヤリ、、、なんですよね。

ちなみに茶会の間はシュールな雰囲気をなりきって楽しむため、写真はNG。今日の画像は茶会のあとに撮影用にふたたびセットしていただいたもの。


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待合にはマグリットの画集。彼の出身地ベルギーの新聞に今日のお茶のテーマになる絵をコラージュ。新聞自体も「新聞を読む男」から。




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いきなり客の席の前にぶらさがる額縁(これもマグリットの絵から)。お客さんものりのりでマグリット本人に扮装。(若干レトロなスーツにトップのまるい帽子)



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新聞紙のメニューによるとまずは「心の琴線」。(マグリットの絵はタイトルをみるとますます不可解になるので深く考えず感じてください)


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これにみたてたグラスにお湯をそそぐと、、、なんと!すてきなスカイブルーのお茶に!マロウブルーのお茶だった。

テーブルの上には小さな鳥の巣に鶉大の卵が三つ。「アルンハイムの地所」的光景。さらに卵を見ながら鳥の絵を描く自分、、という「透視」という作品のモチーフ。



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顔を隠す人の絵(「中心の物語」)。これをモチーフにお茶をいれる人は頭から布で顔を隠す。隠しながら無言でいれてくれたのはジャスミンティー。これがまた異様なマグリットワールドそのもの。



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これは茶会後に再現した写真。こんな感じで。



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顔を白布でかくす、というのがいたく気に入って、わたくしも悪のりで一枚(^_^; (隠しているからいいのよ)



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本日のお菓子は、、、、ガラスドームにはいったこのケーキはマグリットの絵の一部分を取り出した画像。「これはチーズケーキではない」
この絵一枚一枚をケーキ-サーバーで皿にとりわけてもらう。これものりのりで裏返し、いただいたことにする。

あ、あとでもちろんこれそっくりのホンモノの食べられるチーズケーキもでましたよ。(ラ・プチ・セヌ製)あまりにそっくりでびっくり!



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テーブルの上にコーヒー豆をいれたガラスの瓶。これを見ながらサイフォンでゆっくり入れてくれたお茶がコーヒーだとばかり思っていたのにプーアル茶だった!これにはすっかりだまされる。ケーキにプーアルってあうんだ。

おつぎはグラスに、マグリットの故郷、ベルギーのビールをそそぎ、長い茶筅で点てるとビールがブルーに変化。グラスになにか入っているのがしかけのようだが、何かはついにわからず。

これについてきたお菓子が、、、また思わずにやり。
「凌辱」という作品は女性の顔が体幹にすり替わっている絵だが、その絵のコピーのおっぱいのところにこれもおっぱいを連想させる和三盆のおちょぼ。男性陣はてれくさそうにめしあがる。



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ここで灯りを消して蝋燭の灯をともす。
「哲学者のランプ」(右上の絵)。この絵で哲学者がパイプに鼻をつっこんでいるように聞香杯でだされた香り高い中国茶(雲南古樹紅茶)をのんだあとは各自鼻を聞香杯につっこむがごとく聞香する。



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リンゴは茶葉がはいっていたもの。


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「深淵の花」
花のつぼみのような鈴のような、、、私にはつむっている目玉のように見え、いつこれがぱっちりと目をあけるのかしら、とこわいような。



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この葉のまんなかにこの鈴にそっくりなチョコレートトリュフがのっていたのだ。これをいただいたあと、蝋燭の灯は消されマグリット茶会は終了した。


マグリットどっぷりな茶会。
マグリットを知っていればおもしろさ倍増はまちがいないが、だされる茶器やしつらえはすばらしいセンスで(これはいつか茶会にも応用したい!と思うものばかり)マグリットと関係なくても美しい時を味わえることまちがいない。


いや、ほんま、今夜もうっとりさせてもらった。




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