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2016-09

重陽の節会〜2016 - 2016.09.10 Sat

9月9日は重陽の節句。
菊の節句、着せ綿、菊慈童、菊花酒、、、お茶の世界ではテッパンのテーマになるのですが、意外と普通にはご存じない方も多い。

おめでたい陽の数字(奇数)の一番大きい9が二つ重なる月日は、陽の気が強すぎるため不吉とされ、それを払う行事として行われる節句ですがいまは廃れてしまいました。(お茶の世界とか伝統芸術の世界以外ではね)



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これは茱萸袋。

中国から宮中に伝わった習慣で、呉茱萸(茱萸の実とはちがう)をつめた赤い茱萸袋を柱にかけ、邪気を払い、寒を防ぐまじないとするのです。
端午の節句には薬玉を飾り、重陽の節句にこの茱萸袋にかえたそうです。


この茱萸袋は9月9日だけ、嵐山法輪寺で授与されるもの。

重陽の節句によせる茶事をしたときに、まだ法輪寺の重陽節会へいったことがない、と申しましたらお招きしたお客さまが後日行かれてわざわざ入手してきてくださったものなのです。


今年、9日がくるので出してみたら、そうだ、今年の重陽は私の休みの日だ、と思い当たり自分もいってみることにしました。



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嵐山渡月橋。

今年は9月になっても観光客の数がはんぱではありません。なかなかごった返しています。




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渡月橋を渡りきったところ、嵐電から行かれるときにはこちらの裏参道が近くて便利。



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虚空蔵法輪寺。

十三参りが有名ですね。
本堂の前ではもう大勢の人が並んでみえました。




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13時から始まる法会。
お坊様は4〜5人くらいでしたでしょうか。

いや、わたくし声明はどの宗派であれ音楽的にすてきだと思っておりましたよ。でも今日ほど真言声明が美しいと思ったことはありません。目を閉じて聞いていると心がきもちよくたゆたうような心地がしました。

そしてご本尊、虚空蔵菩薩の前で形つくられる不思議な印相。

ちなみにこれは着せ綿(前夜菊に五色の綿をおいて、露を染ませ、身体をぬぐい老いをぬぐう)、右にちらっと見えているのは菊慈童のお人形。

他の寺社でも重陽の節会はされていますがなぜ法輪寺が有名かというと、ご本尊虚空蔵菩薩が愛でられた花が菊であった、、ということらしいです。

法要のおしまいに参列者に一本一本菊の生花が渡され、それをそれぞれがご本尊に手向けてゆきます。旧暦の重陽は菊の季節ですが、新暦の重陽は菊にはちょっと早い。こんなところからもこういう節句は忘れられていったのかもしれません。(京都は旧暦で行事をしてほしいですわ)




IMG_3563_20160909231000572.jpg




法要の後は、重陽=菊、菊と言えば、この方、菊慈童。
菊の下葉の露をのみ不老不死にて700歳以上を生きたという中国の伝説の美少年のお話です。

金剛流シテ方宇高通成師による舞囃子「枕慈童」(観世流では菊慈童)が本堂で披露されました。これもまた舞と言い、舞台と言いすばらしかった!


   雫も芳しく滴も匂い 渕ともなるや谷陰の水の 所は酈縣の山のしただり 
             
           菊水の流れ 泉はもとより酒なれば、、、




ここから菊水鉾の銘菓「したたり」(亀廣永)はきているのですね。初めて知った。




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舞囃子に酔ったあとは本物のお酒(菊花酒)に酔う、というおふるまい、なんてありがたい。




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祗園祭の菊水鉾にも菊慈童のお人形が乗りますが、あれはかわいい感じ、こちらは妖しく美しいですね。なんだかよわい700越えてるのがうなづけるようです。




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法会のあとは嵐山〜渡月橋〜京都市内(京都タワーも見えます)を一望できる舞台で一息ついて下山します。



P9090149.jpg



ちなみにこちらが本当の山門ですよ。


念願の重陽の節会に行くことができたし、これで少しは老いがはらわれたでしょうか?(^_^;


最後に重陽の節句というと必ず思い出す、大好きな漢詩を。


九月九日 山東の兄弟を 憶ふ   王維

獨り 異鄕に在りて  異客と 爲り,
佳節に 逢ふ毎に  ますます親(しん)を思ふ
遙かに知る  兄弟 高きに登る處,
あまねく 茱萸(しゅゆ)を插して  一人(いちにん)を少(か)くを



(昔中国では重陽の日に親族とともに頭に茱萸の枝を挿し、高い山へピクニックへいく習慣があった=登高)





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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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