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2016-09

秋雨のみのり茶事2016 - 2016.09.16 Fri

茶事にお招きいただいて、当日朝起きて、雨だ、やった!!と思ったのは初めてかも。



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昨年は、秋晴れの日にみのり茶事にお招きいただいた。あれから約1年、ふたたび、今年はしっとりした秋雨みのり茶事になった。ご亭主はスーパー数寄者(#^.^#)であられる和尚さま。




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なぜ雨で喜んだのかというと、、、、先だって和尚様が茶事をされた折に急な雨。笠の用意がないままそれなら!っとご準備されたのがこのプラタライであったのだ。
これが意外にうけてうけて、タライ庵のタライ・ラマ師という二つ名をお持ちになることに。それ以降みんなが期待するもんだから、和尚様、とうとう笠を代えられぬまま。




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こんな感じに((^∀^*))!!
雨ではないのにこれをしたがる数寄者の方もおられるとか。私たちはしっかり実用でプラタライを使用。
和尚様だから許される離れ技ですが。


そんなお茶目はさておいて、茶事は重厚で説諭に富んだお話で始まる。

待合にかけられた大観の「遠寺晩鐘」、小さな墨絵のスケッチ。
山寺の晩鐘に驚き、山のねぐらに帰っていた鳥の群れが一瞬羽ばたいた瞬間を小さくすみに描いている。この絵を見せると幼稚園児は(和尚は幼稚園の園長さんでもあらせられる)「ゴ〜ンって鐘の音が聞こえた!」というのだそうだ。
なんたる感性。音を聴かずして音を聞く。

ついでは月を見ずして月を見る、、、本席の指月布袋。(かの室町時代のビッグネーム禅僧の画(゚△゚;ノ)ノ )
凡人は月(仏法の真理)を見ずして教え示す指(悟りにいてる方法論)ばかりを見る。示唆に富む画題。
そういえば昨年のお茶事では仙厓さんの指月布袋をみせていただいたなあ、、と思い出す。

なぜ月にウサギがいるのか、なぜ月は満ち欠けするのか、幼い頃聞いた仏法説話もなつかしく聞かせていただく。
(猿、狐、兎の「ジャータカ」の有名な話は絵本で読んだが、成敗されて半分に切られた蛇が腹いせに月を飲み込んだが、切られたところからまた月がでてきて、また飲み込んで、、、、のお話しは初めて、童心に返りおもしろかった(^^) )



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こちらの懐石はイタリアン。ご近所のリストランテのシェフが来て作ってくださるのだ。杯にいただくお酒はもちろんワインで。

あ!
古染付!

先日の古染付・祥瑞古陶磁勉強会でご同席したので、その復習に、とたくさんたくさん古染をだしていただいた。ありがたし。

しかも今回のご連客はプロ、アマ両者の古陶磁専門家もしくは愛好家、器を見ながら(控えめにされていましたが)解説いただけたのがうれしい。私はまだまだ勉強が足らんなと思ったことです。


しかしながら心配は、この古染にオリーブオイル、ガーリックたっぷりのイタリアンをのせていいのか?!ということ。




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こんな、、、こんなよだれが出そうな古唐津の塩笥に入っているのはブイヤベース!
だ、、だいじょうぶか??と思いつつも、おしげもなく使ってくださる和尚様の太っ腹ぶりには頭が下がる。



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八寸が二種でたあとで、「藪内は八寸三種じゃないんですか?」「おっと、これは失礼、忘れておりました。ただいま用意します。」、、、で席中で松茸を焼く、、、という段取りだったらしいですが、どなたも失礼かと思い何もいわなかったので、 (^ ^;)和尚様自作自演で松茸の網焼き。

昨年もいただいたのだが、今年はプロに教えを請われたという松茸が縮まずにしっとり焼きあがる裏技を駆使してのグレードアップ。初物の松茸がより美味しくちょうだいできた。(日本酒を含ませたキッチンペーパーをかぶせて焼く。マネしたいが松茸高すぎて多分買えない!)


興が乗ったのか、和尚様、席中でやおらお盆回しをはじめ(きゃ〜!あれがぶっ飛んだら絵唐津が、古染付が、朝鮮青磁があ〜〜〜Σ(゚д゚|||))

そのほか幼稚園の園児に大好評だったと思しき芸を次々ご披露。なんてサービス精神!いや、園児にもどれて楽しいのですがね、和尚様、ちょっと太っ腹すぎます。(茶席での奇行が多かったという朝吹柴庵が乗り移ったとおっしゃってましたが(^ ^;))




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かくの如き楽しい懐石の締めは満月錦玉、お皿もこの前の研究会でみせていただいた古染付。

中立ちの待合にかけられていたのもまた月。
英一蝶の十六夜月。齢70を越えるとぶん回し(コンパス)を使っても満月がよろけて十六夜の月になるわい、、、といった画賛。




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(この写真は和尚様に提供いただく)




たっぷりと露をうった後座の花。
お庭で山芍薬のはじけた実がとれるなんてうらやましい。(うちの庭のは葉っぱばかり)

先ほどの賑やかな初座とうってかわって静けさの中で粛々とすすむ濃茶点前。
主人公は、、、重厚な奥高麗。

どっしりと手にとると重く、その肌は青味をおびてお尻はほんと美しく丸い。高台の露胎に釉薬が二筋流れ込んで、そのうち一つがくるっと猫のしっぽのよう。反対側に陶工の指のあと。釉薬につけるときにできたとおぼしき約400年も前の指跡。その時代に思いを馳せる。

奥高麗は高麗と名はつくけれど唐津で焼かれた焼き物。文禄慶長の役で朝鮮から連れてこられた陶工たちが、唐津で焼始めた初期の茶碗といわれているので、なんとなく大陸的なおおらかさ。今この時、この場所で現代のわれわれに愛玩されるとは作った陶工も想像しなかっただろうな。

これまた江戸初期のビッグネーム茶人の箱書き付き。いまは行方知れずの有名な奥高麗茶碗と寸分たがわぬ、と添え書き。長次郎の今はなき「鉢開き」に面影が似ているので「面影」と銘をつけられた黒楽の話を思い出してしまった。


最後にお正客の古美術のプロの方が、ずっと控えめにしてはったのに「これはまちがいのない奥高麗です。」と断言しはったとき、なんだか今日の茶事が決まった!と思った。




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垂涎の古備前大皿!


お薄席でもたくさんの名碗をだしていただいた。二服いただくのに、あれでも飲みたいこれでも飲みたいと茶碗の選択に困ってしまうほど。
中でもお気に入りは典型的安南、この形は好き。振り出しも安南、これもいい。備前池田家伝来の古備前沓形茶碗も景色があってよかったなあ、、、

初座の大笑いお座興があって、座がなごんで後座で怒濤の息つく間もない感嘆、心にくい演出。

名残惜しけれどこれにて、みのり、稔り、御法茶事、おひらきとなりました。





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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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