古染付〜このくにのひとのあこがれ かのくにのひとのねがい〜石洞美術館 - 2016.11.07 Mon
めったに行かない関東へ行くからには是非この機会にと、いっておきたい美術館がある。

日暮里、、、えらいとこ来ちゃったな〜感。そこからさらに京成に乗って千住大橋。一応足立区なんだけれど、駅前はなんか、、、えらい、、、田舎??

駅から見える中国風の建物、あれがめざす美術館、、、、ではなくて、その美術館が一画にあるところの千住金属工業(株)のビル。
なぜなれば、ここの会社の代表取締役であった佐藤千壽のコレクション〜主に古染付が中核〜がおさめられているのが石洞美術館なのだ。

石洞美術館の名前をしったのは、この雑誌「目の眼」(古美術愛好家の愛読書?)と、9月に祗園でおこなわれた古陶磁研究会〜古染付編にて、であった。この雑誌のなかの古染付座談会で、古染付にかけてこの人の右に出る人がいない、というN先生がでてらしたが、その先生をお招きしての会だったので、よけいに東京周辺に行くときには足をのばしたいと、思っていたのだ。

大きな会社のビルの一画、一階と二階、それををつなぐ螺旋状のスロープに沿っても古染付がこれでもかと並べられ、しばし極楽気分。
古染付の概念をしらないまま好きになったのがあの有名な葡萄棚水指。柔らかいマットな白の地ににじんだような呉須の青、それからそれから、いとおしいホツとよばれる虫食い。そしてそのユニークで多彩な絵付けと造型。
そんな古染付が、、、、あとからあとから、、、、、
なにより向付ヤッホ〜〜!で、その多種多彩さにふたたびヤッホ〜!と心の中でさけんでしまう。
造型のおもしろさでいったらやはり向付だろう。有名なところで半開扇、魚の開き、栄螺、桃、琵琶、蓮葉、兎、タケノコ、、、、なんでもあるよ。これらを茶事に寄せ向こうとして使うなら、、、、とふくらむ妄想。シンプルな青と白なので、どんな料理でも映えそうだし、完成度の高い磁器みたいに冷たい感じはなくて、むしろ暖かい白なので、冬でもつかえそうだ。

向付以外では、ペアの桃の水滴は水をたらす口、注ぐ口の形がユニークで、こういうのは本でも見たことがない。
古染付ではめずらしい大きな皿の底には魚と水藻が描かれ、これに水を張ったらゆらゆら揺れてとてもすてきだろうな、と想像する。
小さい毬挟香合もかわいくてすてきだ。ただしコレクターの佐藤氏はお茶にはあまり興味がなかったらしく、茶道具はあまりコレクションにないのだそうな。まあ、あれだけ向付があればいいけど。
栗鼠と葡萄、というのもたくさんあるモチーフで、ある皿には表に栗鼠の正面、外側の裏に当たるところが栗鼠の後姿を浮き彫りにしていたりして、ユーモアを感じさせる。
古染付の紋様は山水画、吉祥紋、道釈人物画(道教や仏教に関係する人物の絵)などが主だが、中国景徳鎮で作られたとはいえ、日本からの注文だったわけで、その絵にはなんとか日本の物を描こうという努力がみられる。
日本の御所車だったり、市女笠だったり、織部の不可解な紋様をまねた物もあったり、、、でも基本は自分たちがよく知っている景色や吉祥紋になるのは当然のことであっただろう。
日本人にはあまりよくわからないが、鶏頭の花は鶏冠花、冠が官に通じることから出世を意味するとか、豚=猪は秀才天才をあらわし名誉なこと(豚の蹄 と、「雁塔題名、金榜題名=科挙の優秀者の名を雁塔に刻んだ」の「題」とは、中国音で同音同声)など。
また染付蟹同時図袋型花入では竹藪から巨大蟹がでてきて童子びっくり!、、、の絵ではなくて、科挙の最終試験「殿試」の合格者を「一甲」「二甲」「三甲」とランク分けしたことから、甲→甲羅→蟹という連想が生まれ、蟹は成績優秀、試験合格のシンボルなんだそうな。童子=我が子が成績優秀、科挙に若くしてとおりますように、という親の願いがこめられているのだろう。
ここで今回の展示のサブタイトルの意味がわかった。
このくにのひとのあこがれ〜 日本人は自分たちの技術では作れない焼物に憧れ、景徳鎮に制作を依頼した。
かのくにのひとのねがい〜 日本の美意識による注文をうけたが、その中に中国の伝統的な吉祥文を織り込んで自分たちの願いをもこめた。
うむ、時間と戦いながら行った価値がほんとうにあった美術館である。

日暮里、、、えらいとこ来ちゃったな〜感。そこからさらに京成に乗って千住大橋。一応足立区なんだけれど、駅前はなんか、、、えらい、、、田舎??

駅から見える中国風の建物、あれがめざす美術館、、、、ではなくて、その美術館が一画にあるところの千住金属工業(株)のビル。
なぜなれば、ここの会社の代表取締役であった佐藤千壽のコレクション〜主に古染付が中核〜がおさめられているのが石洞美術館なのだ。

石洞美術館の名前をしったのは、この雑誌「目の眼」(古美術愛好家の愛読書?)と、9月に祗園でおこなわれた古陶磁研究会〜古染付編にて、であった。この雑誌のなかの古染付座談会で、古染付にかけてこの人の右に出る人がいない、というN先生がでてらしたが、その先生をお招きしての会だったので、よけいに東京周辺に行くときには足をのばしたいと、思っていたのだ。

大きな会社のビルの一画、一階と二階、それををつなぐ螺旋状のスロープに沿っても古染付がこれでもかと並べられ、しばし極楽気分。
古染付の概念をしらないまま好きになったのがあの有名な葡萄棚水指。柔らかいマットな白の地ににじんだような呉須の青、それからそれから、いとおしいホツとよばれる虫食い。そしてそのユニークで多彩な絵付けと造型。
そんな古染付が、、、、あとからあとから、、、、、
なにより向付ヤッホ〜〜!で、その多種多彩さにふたたびヤッホ〜!と心の中でさけんでしまう。
造型のおもしろさでいったらやはり向付だろう。有名なところで半開扇、魚の開き、栄螺、桃、琵琶、蓮葉、兎、タケノコ、、、、なんでもあるよ。これらを茶事に寄せ向こうとして使うなら、、、、とふくらむ妄想。シンプルな青と白なので、どんな料理でも映えそうだし、完成度の高い磁器みたいに冷たい感じはなくて、むしろ暖かい白なので、冬でもつかえそうだ。

向付以外では、ペアの桃の水滴は水をたらす口、注ぐ口の形がユニークで、こういうのは本でも見たことがない。
古染付ではめずらしい大きな皿の底には魚と水藻が描かれ、これに水を張ったらゆらゆら揺れてとてもすてきだろうな、と想像する。
小さい毬挟香合もかわいくてすてきだ。ただしコレクターの佐藤氏はお茶にはあまり興味がなかったらしく、茶道具はあまりコレクションにないのだそうな。まあ、あれだけ向付があればいいけど。
栗鼠と葡萄、というのもたくさんあるモチーフで、ある皿には表に栗鼠の正面、外側の裏に当たるところが栗鼠の後姿を浮き彫りにしていたりして、ユーモアを感じさせる。
古染付の紋様は山水画、吉祥紋、道釈人物画(道教や仏教に関係する人物の絵)などが主だが、中国景徳鎮で作られたとはいえ、日本からの注文だったわけで、その絵にはなんとか日本の物を描こうという努力がみられる。
日本の御所車だったり、市女笠だったり、織部の不可解な紋様をまねた物もあったり、、、でも基本は自分たちがよく知っている景色や吉祥紋になるのは当然のことであっただろう。
日本人にはあまりよくわからないが、鶏頭の花は鶏冠花、冠が官に通じることから出世を意味するとか、豚=猪は秀才天才をあらわし名誉なこと(豚の蹄 と、「雁塔題名、金榜題名=科挙の優秀者の名を雁塔に刻んだ」の「題」とは、中国音で同音同声)など。
また染付蟹同時図袋型花入では竹藪から巨大蟹がでてきて童子びっくり!、、、の絵ではなくて、科挙の最終試験「殿試」の合格者を「一甲」「二甲」「三甲」とランク分けしたことから、甲→甲羅→蟹という連想が生まれ、蟹は成績優秀、試験合格のシンボルなんだそうな。童子=我が子が成績優秀、科挙に若くしてとおりますように、という親の願いがこめられているのだろう。
ここで今回の展示のサブタイトルの意味がわかった。
このくにのひとのあこがれ〜 日本人は自分たちの技術では作れない焼物に憧れ、景徳鎮に制作を依頼した。
かのくにのひとのねがい〜 日本の美意識による注文をうけたが、その中に中国の伝統的な吉祥文を織り込んで自分たちの願いをもこめた。
うむ、時間と戦いながら行った価値がほんとうにあった美術館である。