香雪美術館・玄庵茶会2016 - 2016.11.28 Mon
阪急御影駅を降りるとそこは重厚な高級住宅地であります。

駅からほど近く、近づくにつれ鳥の鳴き声がかしましい森に行き当たります。ここが香雪美術館および朝日新聞創立者で長らく社長でもあった村山龍平翁(号・香雪)の旧邸宅、敷地5000坪の豪邸。

毎年11月24日の香雪翁命日に、顕彰茶会(茶室の名をとって玄庵茶会)が行われます。昨年は曜日が合わず行けなかったので2年ぶりの参席。(一年おきに行ってるみたい、、、(^_^; )
その折りは小雨だったが本日はまことによいお天気で、市中の森であるところの庭園は紅葉も見頃、最高のシチェーションであります。
村山邸は玄関棟、洋館、書院棟、茶室棟にわかれる広大な物ですが、茶会は書院棟〜茶室棟をふんだんに使っておこなわれます。
寄付には大火鉢、きれいな菊炭もふんだんに使われ、天井は一面煤竹の船底天井。
待合は大きな円相窓があり、森狙仙(猿の絵で有名)の「猿抱宝珠図」。一見猿が蕪をだいているように見えた(^◇^;)こちらでお白湯と末富さんのきんとん「霜冷」をいただいて腰掛け待合いへ。

(書院の二階からみた庭の点心席)
藪内の家元にあるのと同じ網笠門もくぐります。腰掛け待合いは玄庵(ほぼ完璧な藪内・燕庵写し)に付随した物で、織部が考案したという割腰掛(貴人席と相伴席を分けてる)。
これも家元にあるという猿戸をとおって席入り、織部デザインの延段をつたって、写真やTVでみる燕庵と全く同じ外観の玄庵へ。
玄庵は(というか燕庵)は三畳台目+一畳相伴席(ふすまで区切れる)、相伴席の市松模様の畳までそっくり同じ。藪内では万一家元の燕庵が焼失などしたら、一番古い燕庵写し(お弟子さんがもっている)を寄付しないといけないとききました(@_@;) 玄庵は何番目くらいなんでしょうねえ。

玄庵ではお家元が(2年前はまだ若様だったなあ)濃茶を練って下さる。
え?
あれ、会記にでてた長次郎の黒??え?ほんとうにお茶点ててる〜〜!!
茶杓は利休さんの、あれでけっこう豪快にお茶すくってはる〜〜!!
とうれしくもビックリな席。
長次郎が触れるなんてねえ(飲むのは正客さんから4名しかあたらんかったが)。独特のカセカセで手取りが想像した以上に軽い。こればかりは手にとって見ないとわからないものね。銘を「古狐」。なかなか手放せなかったですよ、拝見の時。
軸が家隆の熊野懐紙(鎌倉初期)、竹に漆を塗ったのかと見まごう一重切りの花入れは実は古銅(紹鷗切り型)。
釜が古淨味とくれば水指は余三(紹鴎時代の「余三」「記三」「秀次」ですよ!)の真塗り手桶。
茶入がせいたかのっぽで耳のあるユニークな瀬戸後窯宗伯手、名物です。銘を「不聞猿」。
猿と狐、靫猿に釣狐(狂言で猿にはじまり狐に終わる、、、といわれる)にひっかけたのかな。
美術館などの茶会となると、本物は飾ってあるだけ、、、のことが多い中、ここは実際にそれを使ってみせてくれるのが貴重でありがたい。

(吉兆の点心は広大な庭園の中、焚き火をかこみながら、鳥の声を聞きながらいただく。どてらも完備)
濃茶のあとは長い長い途中でゆるやかにカーブする渡り廊下(このカーブの床板の造作が秀逸)を渡って、大広間へ。ここで展示されている炭道具を拝見。天下一の称号を得て、底に「天下一」の印刻のある灰器は八田松斎のもの。利休の消息が添う火箸はウン百万とおっしゃってたな。
広間の二階で薄茶席。
ここは2年前は大阪の藪内の重鎮・随竹庵福田宗匠の席だったが、今年はそのお孫さんの若い男性がお点前をされた。なんだか格段に美しい。きれっきれの迫力ある武家流のお点前だったな。ちょっと感動。

(吉兆さんの点心)
室町時代の「帰来迎図」、美術館所蔵。阿弥陀様が勢至菩薩、観音菩薩をひきつれて亡くなった人の魂をつれてお帰りになる場面で鬼二匹がなぜかお見送り。
その掛け物の前に青貝の唐物風卓、そこに乗っていた緑交趾の蓮型香炉がまたすてきで。銀の蓋がそのまま蓮の実のデザインというのがなかせる。
お正客のお茶碗が寸松庵井戸。平茶碗型の井戸で佐久間将監の箱。有名な寸松庵色紙を持っていたのが将監だから寸松庵井戸か。つくろいあり。
次客さんのが瀬戸の黒い塩笥、ほぼ巾着型でよくこれ茶碗にしたな、という形。
何客目さんかに出ていた染付の雲堂手が良かった。これは15世紀の染付で古染付よりも古いもの。
茶器が甲に菊を彫りだした根來でこれもステキだった。箱書きが我が(?)岡崎に草庵をむすび隠居していた土岐二三(1639-1732)。
茶杓は遠州「思い河」。共筒に由来となった歌が書かれていたが、、、、読めん。

(デザートの柿+ソーダ味のゼリー・美味しかったです〜)
屋敷の建築を楽しみ、森の庭園を楽しみ、もちろんこれだけのお道具を見てさわって感じて楽しみ、点心もおいしく、さらに美術館の展示も拝見でき、お土産に香雪美術館所蔵のお宝写真の来年のカレンダーもいただき帰路につく、やっぱり玄庵茶会、やめられんなあ>^_^<

駅からほど近く、近づくにつれ鳥の鳴き声がかしましい森に行き当たります。ここが香雪美術館および朝日新聞創立者で長らく社長でもあった村山龍平翁(号・香雪)の旧邸宅、敷地5000坪の豪邸。

毎年11月24日の香雪翁命日に、顕彰茶会(茶室の名をとって玄庵茶会)が行われます。昨年は曜日が合わず行けなかったので2年ぶりの参席。(一年おきに行ってるみたい、、、(^_^; )
その折りは小雨だったが本日はまことによいお天気で、市中の森であるところの庭園は紅葉も見頃、最高のシチェーションであります。
村山邸は玄関棟、洋館、書院棟、茶室棟にわかれる広大な物ですが、茶会は書院棟〜茶室棟をふんだんに使っておこなわれます。
寄付には大火鉢、きれいな菊炭もふんだんに使われ、天井は一面煤竹の船底天井。
待合は大きな円相窓があり、森狙仙(猿の絵で有名)の「猿抱宝珠図」。一見猿が蕪をだいているように見えた(^◇^;)こちらでお白湯と末富さんのきんとん「霜冷」をいただいて腰掛け待合いへ。

(書院の二階からみた庭の点心席)
藪内の家元にあるのと同じ網笠門もくぐります。腰掛け待合いは玄庵(ほぼ完璧な藪内・燕庵写し)に付随した物で、織部が考案したという割腰掛(貴人席と相伴席を分けてる)。
これも家元にあるという猿戸をとおって席入り、織部デザインの延段をつたって、写真やTVでみる燕庵と全く同じ外観の玄庵へ。
玄庵は(というか燕庵)は三畳台目+一畳相伴席(ふすまで区切れる)、相伴席の市松模様の畳までそっくり同じ。藪内では万一家元の燕庵が焼失などしたら、一番古い燕庵写し(お弟子さんがもっている)を寄付しないといけないとききました(@_@;) 玄庵は何番目くらいなんでしょうねえ。

玄庵ではお家元が(2年前はまだ若様だったなあ)濃茶を練って下さる。
え?
あれ、会記にでてた長次郎の黒??え?ほんとうにお茶点ててる〜〜!!
茶杓は利休さんの、あれでけっこう豪快にお茶すくってはる〜〜!!
とうれしくもビックリな席。
長次郎が触れるなんてねえ(飲むのは正客さんから4名しかあたらんかったが)。独特のカセカセで手取りが想像した以上に軽い。こればかりは手にとって見ないとわからないものね。銘を「古狐」。なかなか手放せなかったですよ、拝見の時。
軸が家隆の熊野懐紙(鎌倉初期)、竹に漆を塗ったのかと見まごう一重切りの花入れは実は古銅(紹鷗切り型)。
釜が古淨味とくれば水指は余三(紹鴎時代の「余三」「記三」「秀次」ですよ!)の真塗り手桶。
茶入がせいたかのっぽで耳のあるユニークな瀬戸後窯宗伯手、名物です。銘を「不聞猿」。
猿と狐、靫猿に釣狐(狂言で猿にはじまり狐に終わる、、、といわれる)にひっかけたのかな。
美術館などの茶会となると、本物は飾ってあるだけ、、、のことが多い中、ここは実際にそれを使ってみせてくれるのが貴重でありがたい。

(吉兆の点心は広大な庭園の中、焚き火をかこみながら、鳥の声を聞きながらいただく。どてらも完備)
濃茶のあとは長い長い途中でゆるやかにカーブする渡り廊下(このカーブの床板の造作が秀逸)を渡って、大広間へ。ここで展示されている炭道具を拝見。天下一の称号を得て、底に「天下一」の印刻のある灰器は八田松斎のもの。利休の消息が添う火箸はウン百万とおっしゃってたな。
広間の二階で薄茶席。
ここは2年前は大阪の藪内の重鎮・随竹庵福田宗匠の席だったが、今年はそのお孫さんの若い男性がお点前をされた。なんだか格段に美しい。きれっきれの迫力ある武家流のお点前だったな。ちょっと感動。

(吉兆さんの点心)
室町時代の「帰来迎図」、美術館所蔵。阿弥陀様が勢至菩薩、観音菩薩をひきつれて亡くなった人の魂をつれてお帰りになる場面で鬼二匹がなぜかお見送り。
その掛け物の前に青貝の唐物風卓、そこに乗っていた緑交趾の蓮型香炉がまたすてきで。銀の蓋がそのまま蓮の実のデザインというのがなかせる。
お正客のお茶碗が寸松庵井戸。平茶碗型の井戸で佐久間将監の箱。有名な寸松庵色紙を持っていたのが将監だから寸松庵井戸か。つくろいあり。
次客さんのが瀬戸の黒い塩笥、ほぼ巾着型でよくこれ茶碗にしたな、という形。
何客目さんかに出ていた染付の雲堂手が良かった。これは15世紀の染付で古染付よりも古いもの。
茶器が甲に菊を彫りだした根來でこれもステキだった。箱書きが我が(?)岡崎に草庵をむすび隠居していた土岐二三(1639-1732)。
茶杓は遠州「思い河」。共筒に由来となった歌が書かれていたが、、、、読めん。

(デザートの柿+ソーダ味のゼリー・美味しかったです〜)
屋敷の建築を楽しみ、森の庭園を楽しみ、もちろんこれだけのお道具を見てさわって感じて楽しみ、点心もおいしく、さらに美術館の展示も拝見でき、お土産に香雪美術館所蔵のお宝写真の来年のカレンダーもいただき帰路につく、やっぱり玄庵茶会、やめられんなあ>^_^<