fc2ブログ
topimage

2017-01

さらば楽々荘〜Farewell 其中庵茶会 - 2017.01.29 Sun

洛中の雪はほぼ消えたが、亀岡ではまだ日陰のあちこちに雪がわだかまっている。



P1220002.jpg



楽々荘へ、何回も通った道。




P1220004.jpg



そしてこの日は楽々荘最後の茶会、茶狂会月釜。




P1220005.jpg



ここは旧嵯峨野線を敷設した田中源太郎翁の旧邸(明治の建築)であり、洋館部分といい、広間の座敷といい、700坪の七代小川治兵衛の庭園といい、実にすばらしい場所なのだ。




P1220007.jpg



こちらは洋館部分。



IMG_5428.jpg



植治の庭園、まだ雪化粧。

ここのあるじはこの屋敷の一画に茶道具としては一番高価な持ち物=小間の茶室・其中庵を建てはった。

論語に曰わく、「子曰く、疏飯を食らい、水を飲み、肱を曲げてこれを枕とす。楽しみ亦其の中に在り」




P1220006.jpg




ここへ茶事に初めて伺ったのは約3年前のこと、ちょうど初風炉の候、躑躅の茶事であった。



P1220014.jpg

(待合の洋館のマントルピース。いつもは遠慮して撮影はしなかったが、今回はお名残おしく、撮らせていただく。)


それからというもの、何回ここの茶事に伺っただろう。朝茶合宿なんてのもあったな。



IMG_5474.jpg
(これも洋館。ただし最後の点心席)




毎回広い屋敷を縦横無尽に使ってくりだされる楽しい趣向、普通ならガラスの向こうの展示物級のお道具、なによりお茶が好きで好きで、茶狂を地でいき、そして人とのご縁を大切にしてくださるあるじとの出会いは、また、それに惹かれて集まる弩級のお茶数寄の方々との出会いは、私のお茶ライフに大きな影響を与えてくれた。





IMG_5452.jpg


広間の薄茶席。

茶狂会の旗印、元祖・茶狂い益田鈍翁の「茶狂」。

花はいつもあるじが採取してきて手づからいれられる。この日の花もまた。


そう言えばあるじに初めてお目にかかったのも茶花がらみであった。
弘道館の花寄茶会、約5年前。




IMG_5440.jpg




広間で茶狂会のメンバーのひとりでもある、サラリーマン陶芸家(!)こと、まさんど窯の平金さん。

石州流の武家点前で御自作の大大井戸で薄茶を。
柄杓が普通のサイズ、茶杓・薄器・茶碗のサイズを見よ!




IMG_5448.jpg



最後に武家らしく、茶杓を左腰に差して帰る。
その茶杓の銘も「うつけ」!

だれのことだろう、、、(^_^;??

この広間の脇床に、何回かこちらで披露された平金さんの五輪の塔が静かにここでの最後の点前を見守っているようだった。



IMG_5450.jpg



最後に老松さんの子持ち薯蕷〜一かけでお腹一杯になる〜をいただいていよいよ最後の其中庵、濃茶席へ。




IMG_5427.jpg





ここの腰掛け待合いもお名残惜しい。ここで讃岐円座という、お尻に敷くより頭に載せたいくらいの価値の円座、使わせてもらったなあ。




IMG_5430.jpg




其中庵の蹲居は屋根から落ちてきた雪にうもれている。




IMG_5455.jpg




躙り口。

こちらの席も、ずっと今まで写真は遠慮していたが、今日は皆様にとっても最後なので撮影をおゆるしいただこう。



IMG_5459.jpg




三畳台目下座床。

ここであんな茶事もあった、こんな茶会もあった、、と、この数年の想い出が蘇る。




IMG_5464.jpg



点前座も撮らせてもらった。(写っているのは拝見中の御連客様)

床に掛けられた軸は、やはりここを名残惜しく思われる某家元家の若さまがご持参くださったというもの。
松花堂昭乗の描いた隻履西帰の達磨の後姿。

(達磨が中国で没した後、魏の宋雲が西域からの帰途、片方の草履を手にして西天に行くと言う達磨に会った。宋雲は後に達磨の墓を掘らせると片方の草履が残っていたという。)

その後姿がなんとなくあるじの後姿に重なる。

箱に曰わく「田中源太郎所蔵」!!

この館のもともとのあるじであった源太郎翁の軸が時を越えここにもどったのだ。
だから貸してくださったのだろうが、そういう茶人の精神的ハイレベルな交流ってすざまじい、と思う。




IMG_5469.jpg



小間にすわっていると、ときどき屋根から落ちる雪の音を聞く。
ここを去るあるじによって練られた濃茶はあつあつで美味しい。茶碗の銘が「巌(いわお)」
「神さびて 巌に生ふる 松の根の 君が心そ 忘れかねつも(たぶん、、、汗)」

忘れかねつも、忘れられない、、、、

数年しかおじゃましていない私でさえ、いろんな思いが去来するのだから、ましてやここで生まれ育ったあるじには万感の思いがおありであろう。

しかし、すでに前を向いておられる。


楽々荘とはお別れだが、熱い茶への思い冷めかねて(あるいは業が深いゆえとご本人)、2月からは場所を祗園に移して、茶狂会はじめ茶事もきっとまだまだ続くのである。今後もよろしくおつきあい願いたい。




_photos_uncategorized_2012_05_23_p1160319 (1)




NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

最新コメント

プロフィール

しぇる

Author:しぇる
京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

最新記事

カテゴリ

未分類 (16)
茶の湯 (413)
茶事(亭主) (86)
茶事(客) (181)
茶会(亭主) (18)
煎茶 (10)
京のグルメ&カフェ (97)
町家ウォッチング (10)
弘道館 (7)
岡崎暮らし (111)
MUSIC (4)
能・歌舞伎 (66)
京都めぐり2024 (4)
京都めぐり2023 (33)
京都めぐり2022 (29)
京都めぐり2021 (30)
京都めぐり2020 (19)
コロナ緊急事態宣言下の京都2020 (12)
京都めぐり2019 (28)
京都めぐり2018 (20)
京都めぐり2017 (30)
京都めぐり2016 (34)
京都めぐり2015 (34)
京都めぐり2014 (39)
京都めぐり2013 (36)
京都めぐり2012 (6)
本・映画 (15)
美術館・博物館 (148)
奈良散歩 (131)
大阪散歩 (1)
着物 (8)
京の祭礼・伝統行事 (61)
祇園祭2023 (9)
祇園祭2022 (11)
祗園祭2021コロナ下 (5)
コロナ下の祇園会2020 (1)
祗園祭2019 (18)
祗園祭2018 (11)
祗園祭2017 (17)
祗園祭2016 (18)
祗園祭2015 (16)
祇園祭2014 (13)
祇園祭2013 (14)
修二会2024 (10)
修二会2023 (10)
修二会2022 (8)
コロナ下の修二会2021 (6)
修二会2020 (5)
修二会2019 (3)
修二会2018 (4)
修二会2017 (4)
修二会2016 (3)
修二会2015 (3)
修二会2014 (3)
修二会2013 (3)
その他の町散歩 (12)
京都和菓子の会 (4)
ソウル紀行2023 (3)
イスタンブール・カッパドキア紀行2013 (8)
英国田舎紀行2015・湖水地方とコーンウォール (7)
パリ紀行2014 (7)
ノルウェー紀行2016 (4)
古筆 (1)
ポルトガル中部〜北部紀行2017 (7)
京都でお遊び (13)
ギャラリー (4)
暮らし (14)
中国茶 (49)
京都の歴史・文化について勉強 (3)
過去ブログ終了について (0)
猫 (1)
滋賀さんぽ (21)
オランダ・ベルギー紀行2018 (9)
ニュージーランド紀行2019 (9)
台北旅行2018 (3)
高野山 (2)
骨董・工芸品 (1)
東京散歩 (2)
諏訪紀行2021 (4)
金沢さんぽ (2)
御所朝茶 (4)
熊野三山巡り (2)
有田2022 (1)
兵庫さんぽ (1)
太宰府 (2)
丹後旅行 (3)
仕覆制作 (6)
信州旅行2023 (2)
京都モダン建築 (3)
春日若宮おん祭2023 (3)
春日若宮おん祭2022 (3)

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR