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2017-02

卜深庵・木津宗匠点初〜建仁寺本坊 - 2017.02.02 Thu

先日記事にした「107年の謎〜プサン迫間別邸の調査記録」、それを上梓された武者小路千家の宗匠、木津宗詮宗匠の点初に行って参りました。



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場所は祗園のど真ん中にある臨済禅の寺、建仁寺。本坊の茶室清涼軒(東陽坊保存茶会の月釜やってるとこ)にて。




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本坊の玄関は閉まっているし、どこから入るのか???
と、たまたまご一緒の席になった方としばし悩む。あ!あれは!




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なるほど、本坊を通りぬけずに清涼軒までのショートカットがあったのね。でもこの大陸風の潜り、ええなあ。




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(本坊広間)



待合では天の岩戸の画賛が掛かる。

まずは濃い茶席、清涼軒へ。清涼軒はいつごろ建てられた茶室なのかさだかではないが、八畳+六畳の広間、小間の茶室でその名も高い、東陽坊とは隣り合わせ。(なので席中に外をいく観光客の声もきこえる(^_^; )

床には蹴鞠の家、飛鳥井家の雅章(江戸初期)の立春の歌の懐紙。
花入が竹の尺八、松平不昧公のお作とか。紅白の椿に、梅の三分咲きの枝がかわいらしい。結び柳ももちろんだが、この結び方はやはり流派による違いがあるのだろうか?(裏千家とは少し違うような気がしたが)




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(本坊の中庭)



台子のお点前で、なんと木津宗匠自ら五碗すべて練ってくださった。(うちの某流派ではありえんことやわ〜^_^;)
初釜というとけっこう派手派手なお道具になりがちだが、こちらでは台子のお道具も、濃茶の茶碗も高麗で渋系で好みやったわo(^▽^)o
先代の露真宗匠もご同席、正客から半分くらいは男性ばかりの武者小路重鎮という方ばかりで、他流試合の私はちょっと緊張。

道具の中で一番興味深く印象的だったのが売茶翁手づくねの鳥香合。飴釉でちょこんとかわいらしい、頭でっかちの鳥さんで、売茶翁のお人柄がにじみ出ているようなあたたかい感じ。(会ったことないけどな^_^;)
お手におとりください、の言葉に甘えて裏をひっくり返すと(だいたい器の裏をひっくり返している人をみたら茶人と思ってまちがいない)「遊外」の陶印。(売茶翁の本名は高遊外)


ちなみにお道具や席の様子は木津宗匠がおしげもなくFBで写真の大盤振る舞いされているので、そこも見てね。売茶翁の香合の写真もあるよ。




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(隣接する東陽坊。秀吉の北野大茶会の時に利休高弟であった真如堂の東陽坊が建てた茶室。東陽坊は最近見直した映画「本覚坊遺文」にも出てる。長次郎の黒楽「東陽坊」はもちろん彼にちなむ)



場所を最近新築された近代建築の富春閣に移しての薄茶席。
裏千家ではあまり使われない四層の棚で一番上に熨斗をのせた熨斗台が飾ってある。その最上層を除外すれば普通の三層棚と同じ扱いなのかな。

水指が宋胡録、渋いなあこれ。宋胡録と言えばだいたい香合サイズのしか見たことなかったから、水指サイズのを見ることができてうれしい。

花は鶴首古銅に蝋梅、宗旦椿。
お点前は同じ千家系なので大きな違いはないけれど、茶筅通しの仕方がちょっとちがう。表千家ともまたちがうのね。
主茶碗(あるいは次客茶碗)がこまか〜い貫入のはいった御本茶碗で、これまた渋!でも連客の茶碗の中には華やかなウェッジウッドの磁器もあって楽しかった。



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最後に点心席。

点心の間のお楽しみに、酒を注ぐと鳥の鳴き声がするとっくりとか、天狗盃(天狗の鼻が底になっているので飲み干さないと下に置けない)とかひょっとこ盃(底になるひょっとこの口を指でおさえて飲み、飲みきらないとこれも下へおけないやつ)などくりだされ、初見のお隣さんとも会話がはずむ。

(しかし、以前体験した遊興杯といい、酒飲みはほんまに楽しく酒を飲もうといろんな道具を考えるものやな〜と苦笑)




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自分の流派の初釜には行ける身分ではないのに、他流派の宗匠の点初に参席できるとは、なんとありがたい。これも懐の深い太っ腹、木津宗匠とのご縁のおかげです。(あと社中のO君とのご縁もね(^-^))楽しい一日をありがとうございました!



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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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