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2017-03

朝鮮毛綴・山鉾風流〜吉田塾 - 2017.03.17 Fri

洛中の吉田家住宅、ついこの前まで山鉾連合会の会長をつとめておられた吉田孝次郎さんが生まれ育った家であり、歴史的意匠建造物でもある大きな表家造りの町家(祗園祭のとき北観音山の屏風飾をするところといったらわかるかな)。

ここで年に数回吉田塾と銘打って京都の歴史や文化、暮らしについてさまざまな講義というかもっと気楽な勉強会がある。昨年からちょこちょこよせていただいている。
今回は吉田さんのライフワークでもある朝鮮毛綴のお話しだ。



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奥の座敷にはお雛様。
京都では旧暦に祝うのが一般的。(うちの郷里もそうだった。3月にまだ桃も咲かないのにやっちゃうのは東京流か)
これは吉田家のお雛様で江戸末期の古今雛といわれるもの。





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さて、まず座敷に広げられたり掛けられたりした朝鮮毛綴の実物を見たりさわったり。
実はこれらはつい先日ソウルのギャラリーで里帰り展示を終えて帰ってきたばかりの物。吉田さんのコレクションは72点に及ぶという。

朝鮮毛綴は15世紀末から19世紀初頭まで、朝鮮で織られた毛織物で縦糸が木綿、横糸に山羊などの硬い毛を使ってみっちり硬く織られた織物(硬すぎて虫もくわないので残ったとか)。
これも不思議なもので、本国の朝鮮には伝世品は2点しか残っていないのに、山鉾町周辺に特異的に数多く残っているのだ。ほとんどが江戸時代の山鉾風流(装飾)に使われてきたもの。

こういう敷物は両班などが屋敷で使っていそうだが、15世紀の朝鮮王・世宗(セジョン)(ハングルを発明した王様)の時代、海外贈答以外に使ってはいけないという禁令がでて、朝鮮半島では流通せず、日本にだけ多く残ったそうだ。





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障子を通した光がそそぐいにしえの毛氈。
現在は退色して茶色っぽい色になっている部分は、かつては猩々緋くらい鮮やかであっただろうと推測されるとか。

紋様は織りで色を分け、その上に筆で絵を描くという二重構造。模様のテーマはずばり吉祥。




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山鉾町に伝わる朝鮮毛綴をスライドでみせてもらう。

これは特に有名な放下鉾所蔵、江戸時代に「ばけもの氈」とよばれ親しまれたものらしい。鮮やか!
なぜばけもの、、と呼ばれるのかは紋様がよく見なければなにを描いたかわかりづらいところかららしい。しかし分析してみると朝鮮王朝の吉祥紋がすべからく描かれている。
五羽鶴・鳳凰・玉取獅子(ギョロ目の獅子がじゃれ合ううちに毛玉ができ、中から子獅子が生まれるといった奇妙な紋様)・虎・牡丹・蓮・鵲(かささぎ)、、、などなど。

これらの紋様は多くの毛氈にみられるパターンらしい。他には霊芝とかうずまきの瑞象とか、よくわからないものまで(^_^;




IMG_6061.jpg



これらの毛綴がどういう道をたどって山鉾町にたどりついたのか?
まだそれは解明されていないらしいが、吉田さんの研究では、おそらく朝鮮通信使が将軍に献上して渡来したのだろうと。江戸時代の江戸図屏風に通信使の絵が描かれており、その中の献上物のなかに赤い織物のようなものがあるのが、おそらくそれが朝鮮毛綴ではないかとのこと。また、さきぼどのばけもの氈の裏に「拝対馬」の墨書があり、対馬藩も交易にからんでいたらしい。

そしてその華やかさ、美しさ、丈夫さ、に目をつけた京の町衆が祇園祭の山鉾風流にぴったり!と思ったのだろうな。





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端の方は毛がすり切れて,縦糸の木綿だけが残っている部分もある。




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これは緋色の上に緋色の絵の具で紋様を描いた部分。同じ色とはとてもおしゃれではないか。




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おしげもなく座敷に広げられた朝鮮毛綴。そういえば、飲み会の時にも惜しげもなく鍋の下になんか敷いてたよね(^◇^;)それだけ時代を経て尚、丈夫な綴れということだろう。
なにより渋い美しさである。今年の祇園祭の山鉾を見る楽しみがまた増えた。




<おまけ>

吉田塾。朝鮮毛綴だけでなく、京都の町衆は跡取りの長男だけ篤く教育を施して、他家に出る予定の次男以下には教育投資をしない、という徹底した合理的(?)習慣があったとか、そんなお話しもきけます。
ちなみに孝次郎さんは次男なので、極楽のような?少年時代を送ったそうですが、長男の兄上の早世で跡をつぐことになってからは厳しく勉強させられたのだそうです。





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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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