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2017-05

称名寺〜奈良博・快慶展〜中書島でちょっと一杯 - 2017.05.30 Tue

今回の奈良さんぽはこんなところから。



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知る人ぞ知る、知らない人は知らない、、、称名寺。

近鉄奈良駅の西側、先日行った饅頭寺、、、じゃなくて林淨因ゆかりの漢國神社(かんごうじんじゃ)と登大路をはさんで反対側にある。





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特に観光寺院というわけではないが、なにが有名かって(有名じゃないかも、、)村田珠光が11歳の時にここへ坊主にだされたってこと。まあ、すぐに彼はそれを嫌って京都へ行っちゃったのだが。





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毎年2月におこなわれる珠光茶会に参席している身としてはいちどは行かねばなるまい。
5月15日には毎年珠光忌法要がおこなわれているというが、今年は月曜で行けなかったのだ。





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境内には珠光を偲ぶよすがはなにもないが、非公開茶室・獨盧庵は伝・珠光の茶室(否定されているらしいけど)。
とりあえず、来た!ってことだけで満足。





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境内の千体地蔵尊はかの松永弾正が多聞城を築くに当たって石垣にしたもの。落城後、ころがっていたものを称名寺の僧侶が不憫に思い、持ち帰ったものなのだそうだ。





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ということは少なくとも1500年代より古いお地蔵様なのだな。500年以上も前のものか。ちょっと感動。





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称名寺をあとにしてバスで高畑。
お馴染みあーとサロン宮崎で、ブツを入手。ふふふ、、、、奈良ゆかりの物でずっとほしいと思っていたものなのだよ。ヒミツ!こちらで珈琲一杯よばれて、、、





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今回一番の目的のこれ。
奈良国立博物館・快慶展。




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運慶・快慶とひとくくりに覚えているけれど、運慶のお父さん康慶の弟子だから、いわば運慶と快慶は兄弟弟子、ほぼ同じ時代を生きた人だったんだ。

しかも後白河院とか、大仏殿を再興した重源と同時代だったってことを初めて知った。歴史は縦割りで覚えると横のつながりがわからなくて、ときにビックリする。

快慶でなにが好きって、(展示はなかったが、大きな写真あり)国宝渡海文殊なんよ。

脇侍の善財君(善財童子)大好き!
ちらっと横を向いたユーモラスな獅子も好き。


今回の展示では二体の(制作年代がおそらく違う)深沙大将がツボ。これって西遊記の沙悟浄のもとだよね。象の頭の膝当てもかっこよい。

快慶作、というのがわかるのが像のほぞなどに書かれた「巧匠アン(梵字)阿弥陀仏」のサインなのね。

そのサインのとおり、深く阿弥陀仏に帰依した快慶は生涯に無数の三尺(約90cm)阿弥陀を各地で作っている。結縁合力といって庶民の信者がお金を出し合って依頼したもの。展示もやたらたくさんの三尺阿弥陀があったが、その衣の様式で年代がある程度わかるのだそうだ。仏の胎内に結縁した人々の名前がしるされた紙が残っているなど、まさにタイムカプセルのよう。800年前に生きた人たちの名前一人一人が生きた証しのようで、感動的だ。




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この日は夜間展示のある日で、遅くまで開館していたので、外に出るともう灯ともし頃。




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日も長くなった美しい宵なので、このまま帰るのももったいなく、中書島で途中下車しておこぶ北清へ。




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伏見だからお酒も充実、おばんざいもけっこういける。
残念ながら、北清のおこぶ定食はお昼じゃないと残っていない。人気だ。




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昆布のナムルをあてに山形のお酒(えへへ、伏見の酒じゃない、、、)を一杯。
カウンターで20代で五条楽園で銭湯を経営する若者がいてはって、話をきいて、いたくその銭湯にそそられる。(サウナの梅湯
彼のことはなにかで聞いたことがある。こんな人にもであえるおこぶ北清、開店からまだ数ヶ月、すでにユニークな人たちのサロン化!




イシス更紗会(さらさえ)〜鹿ヶ谷山荘 - 2017.05.27 Sat

御所南にあるジャワ更紗(バティック)のお店、バティックイシスの20周年記念展示会がまいどおなじみ鹿ヶ谷山荘(グランピエさん所有)にて。



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鹿ヶ谷通りから、大文字山登山道にも通じるけっこうきつい坂を登る。「俊寛山荘地」の碑がたつ。そう、平家物語で有名な鹿ヶ谷の密談の地ですよ。




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けっこう顎が出そうなくらいしんどい坂道だが、振り返ってみると良い眺めだ。




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この鹿ヶ谷山荘は一時レストランでもあったらしいが、その建物がまた素晴らしく、好きな場所のひとつ。




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バティックイシスは、主幹の石田加奈さんが本場ジャワでも失われつつある更紗を、ジャワに滞在しながら新たに作っておられる作品を展示するギャラリー。




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今では本場でもイシスの更紗はハイブランドなのだそうだ。




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更紗の布は大事な道具を包む布として昔から茶人にとってはなじみのある布。
かくいう私も更紗の持つ雰囲気が好きで、主に印度更紗をコレクションしているが(まあ、プリントもので高い物ではないのだが)こちらのジャワ更紗はまた別格だなあ。




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手描きで、きちんと染色してあるので、裏と表が区別が付かないくらい。
イシスのデザインは古典紋様もあるのだろうけれど、けっこう新しいのもある。スタイリッシュでセンスがステキ。




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これなんか、特にお気に入りのデザイン。紋様も細かく,色合いがまた美しい。いかんせん、お値段がかわいくないので(^_^; 

でも隅々まで手描きの、丁寧で緻密な仕事をみれば納得のプライスだ。




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イシスのスタッフさんが実際に身につけているのがバティックのサロン。輪っか状になった布に体を入れて結ぶだけでスカートになるという伝統衣裳。歩くと模様が変わって見えて、また巻き方によってさまざまに印象を変える。




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広い山荘のあちこちにさりげなく広げられるバティックの海をしばし楽しむ。




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中二階の隠れ部屋みたいなコーナーでは好日居さんの茶席が。良い雰囲気の室礼の中で、中国茶を数種、美味しくいただく。好日居さんもバティックのサロンを身につけておられた。




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一階のダイニングコーナーではVolverさんのお弁当も予約でいただけるのだが、この日はすでにランチは別件ですませていたので断念。




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そうこうするうちイシスの主幹、石田加奈さんのトークが始まる。
残念ながら時間切れで後ろ髪ひかれつつ、とりあえずお値段手頃で美しいバティックをさがして帰ろうと。




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ちなみに山荘の最上階にはこんな眺めの良いテラスがある。ここでお弁当食べてはる人もいたわ。




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で、ゲットして帰った二枚。野点風にお茶をするときの掛け物にしたり下に敷いたりするために。(尻の下に敷くにはちょっとモッタイナイが)




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ご覧のように、プリントではない証拠に染料がきちんと下まで通って、裏表の区別がほぼありません。
ああ、きれいだ。

次回の野望として、更紗で帯や着物(かなりお金がかかると思われる)を作りたい、、、




銀月サロン・新緑茶会〜銀月アパートメント - 2017.05.26 Fri



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北白川の疏水べり、映画のロケにもよく使われる築年数不明の銀月アパートメント、見えてきた。
つい先月は枝垂れ桜が美しかったが、今はもう緑がまさに生い茂るという感じ。




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緑の一番美しいこの時期に、おなじみ銀月サロン新緑茶会へ。





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これはちなみに一月ちょっと前のアパートメントの入り口。あっという間に季節はうつっていくものだねえ。




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アパートメントの古い木の階段を登って、玄関のすぐ上の二階の部屋が銀月サロン。桜の頃は窓から枝垂れが手の届くところにあって、それは美しかった。





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あの時薄紅色だった光と影は、今は緑に。





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ウェルカムスイーツは、水ようかんみたいなのと、中国でお茶うけによくだされるというサンザシのタブレット。これは意外と硬くて口の中でとかすようにしていただく。ちょっと甘酸っぱい。中国ではサンザシはよく細長い棒に挿して売られていたわね。




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今日のテーマは新緑にちなんで緑茶。

最初のお茶は、レアなものでなかなか日本では入手が困難という太平猴魁と言うお茶。茶葉から筋をとりのぞいてぺらぺらに薄くした茶。初めて見た、こんな茶葉。





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このお茶は中国茶トップ10にはいっているそうで、清朝の頃より最も高級な中国茶の一つだとか。産地は安徽省・黄山市 猴坑地方。





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これにお湯をそそいでふわ〜っとペラペラだった茶葉がほどけていくのも美しく楽しみ。
お茶はまさに緑茶。私には煎茶のように思われた。ただし、これも一煎目、二煎目と味、香りを変えていく。





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テーブルに飾られた花はどれも疏水縁で摘んだ雑草なのだが、それがまたきれいで茶席に似つかわしい。




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次にいただいたのは宇治田原の播磨園という茶園の無農薬煎茶の荒茶。新茶の釜炒り茶だ。これは慣れた味ながら、どこか玉露を思わせるグルタミン酸テイスト。ブレンド前の荒茶なのでややワイルドな味。





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三種目は烏龍茶の一種、阿里山茶。このように茶葉かくるくる丸めてあるのが特徴。良い物は一般的に粒が大きく,茎がついているのだそうだ。




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やはり香りの良さは絶品で私はこれが一番好きだ。中国茶らしい中国茶。茶碗に残る香りを聞香するのも楽しみ。





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ここに来る楽しみの一つである点心は今日は皮からつくった水餃子入り台湾火鍋。これにお手製豆板醤を投入、あつあつのほかほかで美味しい。汗がでてきて、そのあと体がす〜っと涼しくなる。
それから台南風烏賊粽。中華粽って好きだわ。





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デザートは豆花(ドウファ)。原理はほぼ豆腐なのだが杏仁の香りもしてさわやかなお菓子。




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小さい杯で何回もちまちま飲んで、食べておしゃべりして、、、なんと楽しい美しいひととき。(お仕事しているおとうちゃん、ゴメン(^_^;)





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最後に一番お気に入りだった阿里山茶をお持ち帰り。おうちでまたちびちび入れて一人楽しむんだ。




初夏の新旧乙女茶会2017〜旧三井家下鴨別邸 - 2017.05.24 Wed

緑麗しい季節(実は真夏日、、、)、ここ下鴨の旧三井家下鴨別邸は、下見に来たり、お茶事に何回かよばれて、もうすっかり勝手知ったる他人の家になってます(^_^;


昨年、安井金比羅宮で秋の新旧乙女茶会をはじめてひらきました。新乙女(20代〜30代)と旧乙女(還暦前後〜)のコラボでつけた名称でしたがなんだかすっかりなじんでしまって。

ふたたび新旧乙女、結集して初夏の茶会をこちらでひらきました。



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前回は薄茶席と煎茶席にしましたが、今回は茶室で濃茶、二階の座敷で薄茶と二席もうけました。
こちらは茶室、濃茶席です。
円相窓からの眺めは抜群です。ここを待合にする予定でしたが、なんと四畳半の茶室とのあいだの襖がとっぱらわれているのに当日気づく!急遽七畳半の広間になりましたが、結果としてひろびろ使えてお客さまにはよかったかも。





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一般公開中の母屋からの連結。ここを観光の方も通られるので、着物きているわれわれはちょっと好奇の的になってました。



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ここは炭も使えるし、借り賃も格安で、京都市さまさま。
スタッフの方も親切で、こんな案内ボードも作ってくれていました。(「新旧」がぬけてますけど、、、(^_^; )
水だけが飲用にならないので、10リットルタンクをふたつもちこみ。前日銅駝水をくんできましたよ。





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右手にちらっと水屋。
風炉以外の熱源は電気のみ。HIヒーターもちこみ。狭いながらもとなりの小間も水屋の延長として使えるので使い勝手は良好です。





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ここの床の間は、、、とにかく広い!
でかすぎて、うちの小間ではもてあます大きな根來写しの湯桶(?)を花器に。それでもまだ小さく見えるくらい広い床。これに負けない大きなテッセンを乙女はうまくいれてくれました。

軸は清水公照さんの「坐久烟雨収」。
6〜7年前、御所の拾翠亭ではじめて京都で茶会をやったときに掛けた軸を久々に。
しばらくすわっていれば雨もおさまるだろう。つらいこともそのうちとおりすぎるよ、、と解釈。、、で、雨がやんだのでたたんだ唐傘の香合を。この雨の話は薄茶席に続きます。





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お菓子はこれも乙女の和菓子職人さんに依頼して作ってもらいました。彼女はちかぢか独立にむかって邁進中。




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表面の襞模様と断面の白〜紫、ここは下鴨、葵祭の斎王代の襲にかけて「藤襲(かさね)」と命名しました。
すてきなお菓子をありがとう、です。

濃茶は、某コレクターの方のご厚意で、室町のころの天目茶碗をお借りできたので、敬意を表して台天目(四ヵ伝)のお点前としました。この点前をお稽古じゃなく、茶席でする日がくるとは!
貴重な茶碗だし、借り物だし、いやがうえにも丁重にあつかわなければ、、、という思いが自然に茶碗を低く持ったりという所作に現れ、こういうことだったのか、といまさらながら台天目点前の意味を知る!

天目茶碗での頂き方も流派それぞれ、というのもびっくり。表千家では台ごと飲まれるのですね。(裏千家では台から外して飲む)藪内ではそもそも天目茶碗で飲めるのは三位以上で、普通の茶碗にうつしてから飲むとか。これまたびっくり!おかげで席中、話題がつきませんでした。

第一席がはじまるまでの1時間、準備を他の人に任せてお尻に火がつきながら作った灰形は、、、とても、おみせできません( ̄^ ̄)ゞくくっ、、、(涙)





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濃茶席を終えたお客さまを二階の座敷、薄茶席にご案内。




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あら、途中に達磨さんがおられるわ(^◇^;)




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薄茶席は主に新乙女がプロデュース。
私は濃茶にかかりきりで、とうとう見にいけなかったので、これは茶会がおわったあとの風景。
この緑麗しい眺めを背負ってのお点前です。

煙草盆のかわりに薬玉を。乙女〜♪

こちらのお道具はほとんど乙女のもちよりで、やっぱり乙女らしい.゚+.(・∀・)゚+.

斎王代の牛車の車を鴨川で洗った風景をうつした片輪車の薄器に、パリの茶箱展に随伴してゲットしたというセーヌの流れ、もしくは鴨川の流れを美しく現したモダンな茶杓のとりあわせがすばらしかった。ちなみに茶杓の銘が左岸(リヴゴーシュ)、、、ではなくて「此岸」。彼岸に行くまで此岸で思い残すことなく楽しんで生きようよ、という意味らしいです。




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床の間にダーシさん。実はこれはうちの玄関にいつもすわっている子。
カレルチャペックの「仔犬のダーシェンカ」から、「その後のダーシ(ェンカ)」という名前がついていたもの。(脇山さとみさん作)

彼の置き場所、向き、をお点前する人がその時の気分で替えていく、という趣向で、後ろ向きもあったみたい。




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なにより出色は、新乙女手作りの干菓子でありました。

先ほどの席で雨がやんだので、虹がでたわけです。
虹は浮島で胡麻もはいっていて美味しかった!それにしても手間のかかっていること!




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そして虹もでたので、晴れた空に、衣(Tシャツ)干すてふ天香久山、、、なんだそうで。このTシャツ、一つ一つ形に切り取って作ったんですって。
やられました!乙女茶会の本懐ですね。




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41名のおいでくださったお客さま、ありがとうございます。
いろいろ不手際もありましたが、乙女茶会は楽しいのがいい、と思うので、楽しんでいただけたのだら首尾は上々です。

お菓子の準備から設営、席中、撤収まで、活躍した乙女たちもご苦労様でした!
楽しかったね。







飛鳥川の源流の村・奥明日香で茶会〜田中茂雄さんの窯をたずねて - 2017.05.21 Sun

いつもお世話になっている下鴨・川口美術さんに、かねてよりお願いしていた奥明日香の陶芸家・田中茂雄さんの工房へお連れいただいた。

1時間半以内に着く予定が、トンチキなドライバー(=私)とトンチキなカーナビのせいで2時間もかかってしまい、飛鳥川の水源をたどるピクニックはお流れになってしまったのは残念であったが、、、(^_^;




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飛鳥の石舞台古墳や高松塚古墳、キトラ古墳をこえてまだ奥にはいった飛鳥川のほとりに、田中さん(李渓窯)のご自宅工房がある。なんと築250年の古民家!江戸時代のものですよ。
屋根の草がええ感じな、、、いや、驚くのはまだまだ早い。




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右手は母屋へ。
左手の白い壁の建物が、なんと田中さんが一からたてちゃったという轆轤場。
なんでもストローベイル(藁俵)工法というアメリカでおこった環境にやさしいという技術。
藁のブロックを壁にして漆喰で固めて、屋根も大工さん顔負けのものをつけた建物。よって壁の厚さは50cmもあるという。中の紹介はまたあとでね。

ちなみにここの窓は川口美術さんで購入された韓屋の木製窓がはめこんであった。よく似合う!





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ギャラリーにもなっている奥の座敷にはいってその景色に感嘆する。
正面の窓の下は、、、、





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源流に近い飛鳥川。
間断なく川のせせらぎが聞こえる。底は岩なので水も澄んでいる。

  今日もかも 明日香の川の 夕さらず かはづ鳴く瀬の さやけくあるらむ (万葉集)




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窓からの眺め。
目の前にお隣のお宅の田植えを終わった水田が見えた。





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広い古民家のあちこちに野の花が投げ入れてある。
どこも絵になる。





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器はもちろん田中さんご本人の作品。

しばらく無人で荒れ果てていた家や庭を改修したのはご本人。大工さんもビックリの改修のあとがあちこちに。
建築材料もなぜか無料で、あるいはかなり安く彼の元にあつまってくるという。
人徳やなあ。




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座敷の床の間や壁もご本人が塗られた。良い感じにひび割れているが、あとしばらくすると錆が出てもっとよい感じになるという。
大きな和紙の鯉のぼりはもともとこの家の中に残されたいたという。(一節にここに逗留した記録のある富岡鉄斎のものかも???と)




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この可動式の展示棚ももちろん手作り。

御本職は陶芸家さんなんだが、それを忘れちゃって、むしろ古民家改修プロデューサー、大工、としての腕に感心してしまう(^_^;

田中さんは井戸茶碗をはじめ高麗系の焼物がお得意だ。李渓窯というのは李朝からきているのかな。
飾ってあった作品お中に、先日東博で見た利休遺愛の井戸香炉「此世」の写しではないかと思われるくらいいいのがあった。

そういえば田中さんの井戸茶碗、さる方のお祝いとしてさしあげたら、違う方面の方から、同じく田中さんの井戸茶碗がお祝いに来たそうで、やっぱりいいものはいいのだ、と思った。





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感嘆していると、すっと冷えたお手製ジンジャーエールをだしていただく。
美味しい。




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何年かかけてあちこち改修されたが、まだまだ遊べる余地(改修の余地)がのこっている広い広い古民家は、どこを撮っても絵になる。




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作品と古民具がならぶ景色。
この立派な石柱も庭にたくさんころがった状態だったのだそうだ。他にもたくさんの石柱があり、この利用法を現在検討中らしい。




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こちらは土を篩ったりする作業場か?
屋根の軒の菊の飾は、もともと屋根瓦であったがうち捨てられていたものを活用している例。





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庭の片隅の流しに使われる水盤には「天保」年間の文字が!





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さて、さきほどのストローベイルの工房の中。
この壁の厚みがわかるだろうか。スサ入りの壁は先ほどの座敷の床の間と同じで、いずれ床の間の方もこの色になるであろうとのこと。




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ちなみにトイレも改修されていて、見所満載なのだが、自然に曲がった木を利用したタオル掛けや、この桜の木のトイレットペーパーホルダーが秀逸。





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家の中を半分歩き回って見せていただいたあとは、車で5分ほど、田中さんの窯場へピクニック。
中央にみえる煙突がそれ。





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これは二つ目の穴窯。
もちろんお手製。




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窯のまわりは野焼きをした原っぱになっていて、ここでご一緒した煎茶を嗜まれるOさんに、野点をしていただく。
煎茶の道具(特に提籃!が垂涎)がちまちまとかわいい。





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このあたりは、山に抱かれた自然豊かな土地。ときに猪や鹿の獣害はあるらしいが、野の花がとても大きく、たくさんならぶととてもきれいだ。
これは野焼きのあとに顔を出してきたマムシ草?勢いのある緑がきれいだ。





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Oさんがご準備くださったお菓子も美しい。




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田中さんの急須も登場。これ少し蓋の位置に角度がついていて面白い。

こんな山に囲まれた緑豊かな場所で、野生の藤の花も遠くに咲いて、鶯の声がひっきりなしに聞こえる、、、こんなすてきなお茶会に参加できた喜びはこの上ない。

田中さんの白磁系の盤の小さな模様になっている杏の実、その杏の木もここからはよく見えた。実は鳥と競争で収穫するのだという。




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さて、ピクニックのあとは、奥様お手製の山菜料理のランチだ!
器はもちろん田中さんの。




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山菜入りのおにぎりは少しほろ苦くて美味しい。
陶箱に詰めたお料理も近くの山野でとれたもの。蓬の若芽の天ぷらの美味しいこと。
うちの近所では蓬にはなにがくっついているかわからないので食用にはできないが、こんな広々とした山野で採れたものは鮮度も違う。




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そら豆の飛竜頭。




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あまりに美味しくて、食べてしまったあとにちょっとだけ残ったのを撮ったイタドリのナムル。
イタドリといえば雑草といってもいいのだが、一晩水でさらして醤油と味醂と胡麻油だけ、、、ってなんてシンプルでなんて美味しい!
こんどイタドリ見つけたら絶対作ってみなければ!





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さて、昼食後はわたくしの出番。
弘法市でお安くもとめた古いバスケットにつめこんだのは、、、、





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アルコールランプのミニ炉に薄茶の道具一式。
これかなりはいるよ。




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飛鳥川のせせらぎを背景に、こんな茶席にしてみた。
お茶碗は、以前もとめた田中さんの椀なりのを持参、それにこちらでご用意いただいた作品を使い放題。お水はこちらの井戸の明日香の水。自画自賛ではないがとてもお茶がおいしかった。水と器の手柄ですね。





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最後にいよいよ母屋を拝見。
こちらもええ〜?!これご自分でしはったの!?とビックリするようなプロ級改修が。





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右手の大きな水屋箪笥は高野山のあるお寺から拝領したモノとか。この大物、分解して運べるんですって!
中には田中さんの作品がずらりと。時にご自分たちで使ったり、ギャラリーにだしたりとか。




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もともとあった現役のおくどさんに、ピザ屋さんからもらったピザ窯をくっつける離れ業も、すごい。

流しが丸い小さなタイルが貼り付けてあって、これは昭和のテイストだから以前からのもの?と思いきや、これも手作りだったとは!田中さん、ほんとうに本職は陶芸家ですか??





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地下に案内してもらうと、飛鳥川を眼前に見ながら入浴できる風呂があったり(これはモダン、でも御自作)、江戸時代の石組みが残る雑穀搗き部屋は、いずれなにかに利用したいと構想をねっておられるとか。
すごいなあ。

しかし、、、ここのお風呂は是非いちどつかりたいものだ!





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薪ストーブのある土間には、木を選んで腐りにくい材で裏打ちした朝鮮風の板張り床は、良い色に変化してもう何十年も使っているように見えるが、ここ数年のものと聞いてまた驚く。

この土間にて、(またまた!)田中さんお手製のケーキ(ナッツケーキ、いちごとココナツのローケーキ)を。
ほんまにしつこいけど、本職は一体、、、???





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ここのお蔵にしばし閉じ込められていた(脱走するので)猫ちゃんも最後にはでてきて、すりすりごろごろ、相手をしてくれた。田中さんのお膝でくつろぐこーちゃん。

明日香は野草も大きいが、猫も大きい(^◇^;)



このすばらしき1日、田中さん、こんなすてきな機会をくださった川口美術さんに深く感謝。
明日香、ええところです。

是非是非再訪したいものです。(今度は入浴グッズ持って行くし)
それから田中さんは大工さんではなく、本業は陶芸家であることをくりかえし喚起しておきますね〜。




町家でレセプション〜大西常商店 - 2017.05.18 Thu

町家でお能やお茶を楽しむ会として、松原通りの京町家商店大西常商店(扇子製造卸)さんが常の会をたちあげはったのが二年前の祗園祭のころやった。

素謡いの会の田茂井さんや味方圓さんなどの能楽師シテ方のパフォーマンスが見られる他、お茶室でお茶をいただけるうえ、大きな町家を楽しむことができるので、第一回常の会から参加させてもらっている。

年末にはファンであるところの山本太朗画伯のトークもおじゃましたわ。

大西常さんとこでは常の会発足前に二階の座敷(常の会の会場)をきれいにして耐震工事もされたのだが、町家は古いだけあって日々のメインテナンスが欠かせない。今回ふたたび改修を続けるのにかなりの資金がかかることから、資金調達の為、若いお嬢さん(次期当主)がクラウドファウンディングをたちあげはった。




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いろいろお悩みもあったようだが、同じく町家を愛してやまないおはりばこさんとか、いろいろな方に背中をおされての立ち上げ。
私も常の会を楽しませていただいているので、ささやかではあるが参加させていただいた。
成立するかどうかご心配だったと思うが、予想以上の多くの方の賛同を得て、見事に成立、しかも達成目標金額をはるかに越える寄付が集まった。町家を愛して、それが日々消えていくのをだまって見るしかないはがゆい思いをしている京町家ファンは大勢いるのです。




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改修は早速おこなわれ、そのお披露目と、賛同してくれた人たちを御礼に招くレセプションがおこなわれ、私も末席を汚す。

最初改修を担当しはった田中昭義左官KKの社長さんと大西常のお嬢さん(一児の母、若いよ〜)の今回の改修にまつわるお話を聞く。特に坪庭に面した渡り廊下の壁を大津磨きにした話がおもしろかった。狭い渡り廊下、どうしてもお客さまの帯がすれたりするので、ぴっかぴかつるつるの大津磨き(泥団子と同じ原理か)は家の人にもお客さんにもやさしいのだ。
しかし、技術的にかなりむつかしく、需要が少ないことから技術の継承が急がれる技法だと思う。(ちなみにうちのトイレの壁も大津磨き(^^))今回写真を撮ろうとしたが暗くて上手く写ってなかったのでご披露できない。残念。



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(二階から見ただいどこ)



そのあとは下の座敷で宴会。
最初仕出し弁当でもとるのかな、と思っていたら、全くちがって昔の宴会スタイル。昭和の初めまで家でおこなわれていた祝言の宴会はこうだったのではないかな、と思わせるような感じで、お家の方、ボランティアスタッフの方ががんばって作ってくれはったようだ。これがうれしかったなあ。





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なぜか知り合いやお茶友さんにもここでであって、お互いになんで〜???とビックリし合う。
京都は狭いよ、ほんと。でもおかげでおしゃべりもいろいろできて楽しかったことこの上ない。




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町家好き、あるいは古典芸能が好き、そんな人たちなので、初対面の方でもなにやら通じてお話しができるのも楽しい。




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〆は、ここのだいどこに残るおくどはんで炊いたご飯を浅漬けで美味しくいただいたあとのおこげ!!
これに漬け物+お白湯でかっこんだらどれだけ美味しいか!日本人でヨカッタ、とまた思う。




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さらにお酒を片手に二階の座敷で薩摩琵琶の演奏も楽しんだ。端午の節句にちなんで武者モノ、那須与一の一節。
薩摩琵琶はどちらかというと三味線に近い。芸妓さんがつま弾く三味線に浪花節を足したような感じか。
そのあと、常の会の常連、こちらで能楽教室もされている田茂井先生も、舞台のあった岡山から急遽かけつけ髙砂の「四海波」の祝言を披露され、会はおひらきとなった。





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年間800の町家が壊されていっている現実に、嘆きながら、住んでいる人のことを思えばつぶすなとも言いづらく、京町家の維持によいアイデアはないものかといつも思う。行政はあてにならない。
そんな中、苦労を承知でこうして町家をこのさき100年も200年も残していこうとされる大西常さんの試みはすばらしいと思う。そういう努力を若い世代の方がされているのには驚くと同時に敬意を払いたい。

私ができることは何一つないが、常の会に参加することでなにか少しでもお役にたてたら、と思った会であった。



東京茶の湯美術館めぐり〜その3・茶の湯のうつわ 和漢の世界〜出光美術館 - 2017.05.16 Tue

東博でお腹一杯、、、といいながら、ちっとも懲りないで、畠山にも行って最後に東京駅の近く出光へ。
ここもうわあああ〜〜の名品、好きなモノ、の洪水であった。できたらこれだけ、単独で見た方がよかったかも。




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第一章が一楽二萩三唐津

長次郎からずら〜っと楽家歴代。楽美術館所蔵ののんこうの「青山」によく似た意匠の「此花」、上のポスターにのっている茶碗よ。
古萩、古唐津の名品がならぶ。貫入だらけの古萩もええが、奥高麗(古唐津)がまたええな〜〜。
絵唐津の塩笥は重文の水指、先日西行庵の茶会でもこの手の水指でてた。(決してブイヤベース入れではアリマセン^_^; )

そういえば出光は古唐津のコレクションで有名であったわ。初代館長・出光佐三が最初に手に入れたのが絵唐津丸十文茶碗、これから彼の古唐津コレクションがはじまったのだそうだ。この茶碗も展示されていた。これに彼を古唐津の世界にひきずりこんだ力があったのだな。

美術館の残欠室には絵唐津の大皿の残欠もあって、せんだって西行庵でタライラマ師がつかわれた菓子器もよく似たものであったことを思い出した。






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(美術館はビルの上階なので皇居の森がよく見える)



第二章は京焼

ほとんど仁清とちょこっと乾山。
仁清は色絵のデザインがモダンで完成されていてすごいと思うが、絵のない信楽っぽいのやシンプルな釉薬だけのものも意外と多いのだ。釉薬はわりとよくある感じだが、そこはどっこい仁清、形がユニークでモダン、現代の作品といわれても納得しそう。




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(皇居の森にみえるはかの有名な桜田門〜!)



第三章 唐物・高麗・安南

これはもう食い入るように見ましたよ。さきほど東博でも食い入っていたけどね。

珠光青磁(南宋)のひっかききずみたいな紋様を確認。とても人形にはみえない紋様の人形手(中国明代)絵高麗梅文茶碗、これも有名なヤツ、高麗といいながら実は中国の磁州窯。
井戸、呉器、伊羅保、熊川、、、と大好きな高麗系がならぶ。熊川は端反り。本だけでなく実物をみるといろいろ勉強できる。(すぐ忘れるが)
古染もいっぱいあるじゃあないですか〜〜!



第四章 懐石、宴の器
第五章 煎茶の世界

出光佐三は煎茶もたしなんだのだな。ただこちらのコレクションはやや派手目か。





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(リュックにいれて持って帰った今回の図録二冊。、、、、、重かった、、、、)



特集展示として雲州蔵帳とその美

松平不昧公の雲州蔵帳そのものは初めて見た。
「秋夜」の銘の奥高麗、渋い!
呉須でくるくるとシンプルに描いたものが銘の如く「橘」にみえる呉須染付(明代漳州窯)、ゆるくてすてき。
遠州に憧れた不昧公、遠州茶箱は小さくてカワイイ。箱には金蒔絵で桜の花と「花こそやどのあるじなりけれ」(春きてぞ 人もとひける山里は 花こそ宿のあるじなりけれ(拾遺和歌集)
中は小さい高麗青磁写しの茶碗に染付茶入、唐物茶入、いずれも仕覆付き。豪華な茶箱や。



要所要所に仙厓さんの軸がたくさん掛かっていたが、出光佐三は仙厓さんも好きでコレクションしたらしい。

で、、、あとになってやっと気づいた!
出光佐三って「海賊とよばれた男」のモデルやんねえ!




東京茶の湯美術館めぐり〜その2・畠山即翁の茶の湯の名品〜畠山記念館 - 2017.05.15 Mon

東博をあとにして、以前から行きたかった畠山記念館へ初めて行く。



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地下鉄白金台駅を降りて歩くこと約10分。シロガネーゼとかで有名な高級住宅地なんだ。




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さっすが白金台!!と思った白亜の巨大建物。
最初億ションかなにか?と思ったが、警備員も常駐の某IT社長の別邸とかなんとか。

しかし、ここはかつて薩摩島津藩の隠居所であり、のちに畠山即翁のお屋敷の一部となり、奈良の般若寺の一部を移築したり加賀藩ゆかりの能舞台を移築したすばらしい場所だったらしい。なんとも残念なはなし。




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さて、畠山記念館。
畠山即翁はご存じのように荏原製作所創立者であり、鈍翁などとも交流のあった、茶の湯とお能を愛した近代数寄者のおひとり。(お茶とお能は野村得庵も入れ込んでたし、当時のはやりやったんかな。かくいう私もレベルこそ違えお茶とちょっぴりだけどお能を愛してる)




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なによりも美術館までのアプローチの庭園がすばらしい!
広い庭園に散在する茶室もいくつか。貸し出しもされているようなのだが、どちらかというと使われなくなって荒れてる印象が残念。





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美術館は広い二階部分が展示室。
人も少なく落ち着いてゆっくり見ることができる。展示室の一部に、四畳半の茶室「省庵」と小さな茶庭ももうけられている。

今回の展示の目玉は重文の志野水指「古岸」。卯花墻を水指にしたらこんな感じか。

それから有名な伊賀の耳付花入「からたち」。カラタチの木のようにとげとげ、さわると痛いだろうなと思うくらいはぜて、破袋にも通じる印象。即翁が、これを加賀から入手したときに駅まで羽織袴姿で迎えにいったというエピソードつき。



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長次郎赤楽「早船」は、ここの所蔵であったか。利休が待ちわびて早船にて届けさせたという。

与次郎の東陽坊釜。筒型で小ぶり。もともと本歌は天命釜で、利休が真如堂の東陽坊のところに持ち込んだことが銘の由来らしい。

それから先ほどの東博で見た粉引「三好」と同じ意匠の「松平」。コチラの方が無釉の部分がシャープ。




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実際、茶事をたくさんした即翁らしく、懐石道具もたくさん出ていたのが興味深い。
ペアの備前火襷徳利を「松風」「村雨」と命名しているのもお能好きだった即翁らしい。(謡曲「松風」の姉妹の名前)
あ!この小ぶりの刷毛目の盃は!
以前にタライラマ師の茶事にでてきていたやつといっしょや〜!これ好きやわ〜。


大きな竹林七賢図屏風は、現在東京芸大ミュージアム開催中で人気の雪村のものであった。この中のお酒をついで回っている一人とおなじポーズの人形(脇山さとみ・作)最近ゲットしたばかりだなあ、、、と思いながらついにやにやしてしまった。



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即翁は所蔵茶道具に「與衆愛玩」の蔵印をもちいていた。

「即翁衆と愛玩す」

名品を自分だけで愛玩するのではなく、みなに使ってこそ、という心意気。さすがです。



東京茶の湯美術館めぐり〜その1・茶の湯〜東博 - 2017.05.14 Sun

あちこちの茶の湯ブログをにぎわしている東京国立博物館の「茶の湯」展。行ってまいりました。




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すごい人出と聞いていたが、平日のせいか意外とスムーズに見ることができた。

しかし、、、、数年前の根津の井戸茶碗展、三井の桃山茶陶展、五島の光悦展と、京都近代の楽展と,プラスαが一堂に会したような、もう頭がお祭り状態で、ぐっちゃぐちゃ、、、満腹でございます。




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展示物は細かく八期に別れているので、全部見ようと思ったら最低3回はいかねばならないらしい。でもそれは無理なので、結局静嘉堂の曜変天目はまたお目にかかれなかった。

さて、出品目録片手に塗りつぶしながらすみからすみまで、しっかり見たのでかなり疲れたよ。




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いろいろメモもとったのだが、いちいち披露されてもお困りだと思うので、さらっと。

秀次所有の国宝油滴天目、これは東洋陶磁にあるし、牧谿の遠浦帰帆は京都国立だし、関西のかたきを東京で伐った、、、みたいな。
かの有名な青磁の鎹いり茶碗、馬蝗絆も久々に。

興味深かったのが国宝青磁下蕪花入と重文の青磁鳳凰耳花入(国宝・万声と同じタイプ)が並んで展示してあったところ。両者の青磁のブルーの違いが明白。前者はどこで作られたのかどういう伝世なのか全くわからないながら、その美しさで国宝になった。より汝窯のブルーに近くて惹かれた。




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唐物茶入では初花こそ会期に合わなかったが、遅桜、北野肩衝、松屋肩衝、茄子富士がずら〜っと。概して大ぶり。
そういえば何年か前、三井で初花と遅桜が並んでいるのを見たことがあるな。

珠光天目は灰被天目であるが外側がラスターになっていて美しい。概して灰被はそういうのが多いのだろうか。東山御物の灰被天目「夕陽」もみごとな虹色のラスター。




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井戸茶碗コーナーは360°どこからでも見られるとあって、へばりついてみなさん見てはる。
喜左右衛門さんにも根津以来、お目にかかりましたよ。
高麗系はやはりええな。粉引の雨漏茶碗、あれよかった。蕎麦の花曇、窯変がほんまに花曇りのようで。


利休遺愛の井戸香炉「此世」、あらざらむ此の世の他の想い出に、、、の歌をふまえた小さな香炉、きっと朝鮮半島では薬味入れかなんかだったのだろう。これは根津?だったか見たことある。

古織にあてた有名な武蔵鐙の文も久しぶりに見た。(このやりとり、いきさつは「へうげもの」で学んだ私、、、(^_^; )秀吉に蟄居を命ぜられ堺へ帰る舟を古織と三斎が見送ってくれたという有名な文も再会。利休自刃の二週間前。



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なぜか藪内の燕庵写しが展示されていて大人気を博していた。なぜ燕庵?(どこかの展示の使い回しという説も?)

楽茶碗コーナーではつい先日京都近代美術館でやっていた楽茶碗展の復習。アルミの粉入りの3Dプリンターで作ったニセモノが展示されていたところの懐かしい?万代屋黒も。

古織所縁の伊賀水指・破袋や花入・生爪など、茶の湯の本にはかならず王道ででてくるモノがもぜいたくにずらっとならぶ。




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桃山茶陶コーナーでは卯花墻にも久々に。これ三井でみて、志野ってあまり好きじゃないけど、これはやっぱり国宝だけあるな〜と感激したヤツ。
古田高麗は御所丸の本歌といわれるが、さすが、これもええわ。
あ!黒織部の菊文茶碗もでてる〜!これ今年梅田阪急で○田商店さんがだしてはったやつや〜。
光悦もでてましたぜ。


最後の方に重文の三好粉引(三日月型の無釉薬の部分が残る有名なヤツ)もでてて、これ大好きなんだけれど、このあと行った畠山の粉引「松平」と同じ手だった。この意匠は他にもいくつかあるのだろうか?
この手の意匠は、当時の朝鮮半島の生み出した美意識であったのだろうか。





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ああ、お腹いっぱい、、、、でもお腹は減る、、、、
新しい平成館ではなんと鶴屋吉信さんがはいっているではないか!京都のカタキを江戸で、、、じゃないか。





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お弁当もあったのだが、やはり鶴屋吉信と言えば甘いもんよね。





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ミュージアムショップも充実していてついつい財布の紐が緩むが、結局買ったのは重い重い図録と、、、、




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みそこねた静嘉堂の曜変天目、、、、




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実は飴缶(^0^;)




タライ・ラマ師(?)の初風炉茶会〜西行庵 - 2017.05.11 Thu



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昼間は観光客でごったがえす高台寺周辺、ねねの道も朝早いとこんなにしっとり風情がある。




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5月の西行庵定例茶会はなんとあのタライ・ラマ師の二つ名をお持ちの和尚様の席でありました。

古唐津のコレクターとして、遠く離れた唐津でも有名な方ですが、実はコレクションは古唐津だけではない。そりゃすごいよ。だから今日もわくわく。





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寄付の小間には達磨の絵と藪内流比老斎の画賛。「乾屎橛(かんしけつ)(乾いたウ○コ)」
雲門和尚に対してある僧が「如何なるか是れ仏」と問う。雲門答えて「乾屎橛」という無門関からの一節。
なにやら、、、味わい深い(^_^;

飾置の小さなカワイイ茶箱は上に金字で「面壁の祖師の姿は、、、、」で、今日のテーマは達磨さんのようだわ。




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(瓢亭の点心。いつも点心はお店がいろいろ変わるのでこれも楽しみ)



点心席での軸が「不識」だったので、これはますます達磨さん。

(梁の武帝が、自分は寺を建てたり、写経を勧めたり、坊さんを供養したりしてきたが、どういう功徳があるだろうかと尋ねると、達磨は「無功徳」(功徳なんかない)と。仏教の教えるもっとも聖なるものは何かと問われると、「廓然無聖」(カラッとして聖でもない)じゃあ、いったいお前さんは誰じゃ?と言われ、達磨は「不識」(知らん)と答えた逸話から。)




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でた!
古唐津の残欠の菓子器!
これ、いいよね〜。(今日行った出光美術館の残欠室にも同じようなのがあったわ♪)




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(蹲居のまわりにはえたフタバアオイ)




なんちゃって正客になったので(年齢的におしつけられること最近多い。実がともなってないのに、、、)一番に小間の濃茶席・皆如庵の躙り口をあける。
おお〜!

この席のシンボルでもある円相床(床の壁に円相窓がある。掛け物は側壁にかけることになる)からの光で、釣船花入れにいれられた大山蓮華のシルエットが実に美しい。これはよいものを見た。


側壁の軸は芦葉達磨。これも有名。先ほどの武帝に愛想を尽かして芦の葉の舟に乗って去っていった姿。
その後達磨は少林寺に入り面壁九年をされるのだ。

そして、、、あ!この水指は!
唐津の塩笥、いつもイタリアン懐石でブイヤベースをいれてるやつ〜!(↓)




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なんと水指として使ったのははじめてかも〜とのことでした(^_^;

その前にちょこんと鎮座する赤系の仕覆をまとった高台のないころんとした南蛮茶入はまさに面壁の達磨の風情で。
さらにたたみかけるように主茶碗がまたも再会できてうれしいことこの上ない井戸小貫入「八重桜」。
茶杓は大心義統の「鼻祖(初代、元祖という意味)」で、禅宗の鼻祖=達磨なのでありました。

徹底して達磨の生涯を追いかけるような筋書きで、しかもさすがさすがのお道具、参りました〜〜☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆


続き薄ではまた次々と垂涎のお茶碗がくりだされ、息つく暇もございません。

さきごろ和尚様は古唐津のご縁で、唐津やきもん祭りにて、約400年前に唐津焼をはじめた渡来陶工たちを讃え偲ぶ法要をお勤めになりました。その時の印象がたくさんもりこまれているようです。




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(西行庵の茶室によく似合う在中庵様=猫。別名くうちゃん)




主茶碗が蕎麦、銘を「田毎の月」。唐津の棚田の夕景がほんとうに印象深く美しかったそうで、それになぞらえたもの。

茶杓が須磨寺神功皇后釣竿竹を用いた銘「釣竿」。

古事記に曰わく、神功皇后が新羅遠征に行かれたときに、「戦に勝つならこの竿に魚よ、かかれ」と釣竿をたらし、かかった魚が鮎だった、祗園祭の占出山でも有名な逸話だが、この鮎を釣ったところがまさに現在の唐津だったのだ。のちに皇后はこの釣り竿を持ち帰り、須磨寺あたりの地面に挿すとこれが生育して竹林になったという伝説。
さらに私が思うに、占出山は妊娠中の神功皇后の逸話をうけ、安産の神様でもあるので、西行庵の若奥様の無事おめでたを祈ることにもなっているのではないかしら。

それからあの二作三島、、、よかったなあ。


和尚様のご説法のお上手さと、あたたかいお人柄と、そしてすばらしいお道具とストーリーと、唐津愛と、、でまことに楽しい茶会でありました。諸処へ感謝感謝。




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さて、在中庵様、そのお名前の由来は遠州好みの茶入・在中庵に模様が似ているからなのですって!



ステキ♪茶会二席 - 2017.05.10 Wed

<第一席・おこぶ茶会>


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伏見は、こんなレトロな建物もまだまだあるワンダーランドなのだ。




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中書島の駅をおりるとすぐ、昭和なストリートにある昆布屋の老舗おこぶ北清さんがある。

この春長年お店をされていた伏見納屋町から移転オープンされたときに、おばんざいを伏見のお酒でいただける開放感あるスペースをつくらはった。




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冬場はどうするのか考えるとして、この季節、扉をとっぱらったこのオープンな感じは、入りやすい、というかついつい吸い寄せられてしまう。

当代のご主人とはひょんなことで(さらわれてBlinded茶会)でいっしょにさらわれて以来のおつきあい。



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ここで、午前中というのに、日本酒をちびちびやりながら待っているのは鴨茶のTさんの実験茶事。
毎月実験的にどこまでシンプルに、いろんなものをそぎおとした茶事ができるのか?にいどんではる。私は今回二回目〜!



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北清さんの奥には四畳半の座敷があって、ここが茶席になる。

あ!この唐子と布袋さんは祗園大茶会の折りにI画伯がデモンストレーションで描いてたやつや!





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ここにお釜やら、小箪笥やらいつもの鴨茶の道具一式を持ち込んで。





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まずは所望した昆布出汁のテイスティングから。
実は日高とか利尻とかいわれても、違いが全然わかっていない私。
水出し昆布出汁で違いがわかるかどうか?(茶歌舞伎連戦連敗のダメな舌ですが、、、)





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羅臼、利尻、真昆布、、、、

うん!これはわかる!やはり利尻って高級昆布なんだ、美味しい!
たとえば、精進の懐石では鰹出汁はなまぐさなので使わない、味の決め手は昆布だけ、、、というとやはりはりこんで利尻を使うべきということだな。




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まずはTさん特製の懐石。
このシンプルさ!
大根と人参を出汁だけでたいた向付に梅干しを混ぜた玄米ご飯握りに昆布出汁をかけたもの。究極のシンプル懐石、利休もびっくり!(だろう、きっと、、、)
このおにぎりがまた美味しい。おかわりは同じおにぎりを焼いたもの。これも泣かせる。
盃でお酒もいただいて、ついでお菓子を。




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いつものサツマイモ茶巾絞りを作ろうとしたらサツマイモ行方不明だったんですって。
で、急遽もちあわせていたわらび餅粉でお菓子を作る。

しかし、、、このさわやかな酸味はいったい何???

なんとわらび餅粉をリンゴジュースで練ってみたんだって。即興でこんなことができるのは丿貫か粟田口善法か、はたまたTさんか?

足りなければ足りないことからなにかを創造してみる、、、う〜ん、この前、悟ってないけどだぶん佗茶ってそういうこと?と思ったことに近い。




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お茶は自然農の無農薬茶。
以前いただいたときにはその渋みで顔がゆがんだのだが、、、それを何年かねかせると味が丸くなる不思議。今回はたまたま近くの銭湯で?売っていたという無農薬茶だったが、それほど渋くない。でも濃茶でいただくにはちょっとクセがある。

「これ冷茶が合うと思うわ。」
とお客さんのお茶のブレンドのプロがおっしゃる。




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なんとTさんも同じことを考えてはって、ちゃんとロックアイスとシェーカー、を準備してはったのだ。
すごいなあ。

乾杯するとやたらいい音がするグラスにて冷茶を。
まあ、なんてまろやか!同じお茶とは思えない。こんなマジックもあるのね。




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Tさん流のそぎ落とし侘びわび茶事は最後まで、茶筅通しのお水までありがたく頂戴しておわった。
なんだ、ちゃんと茶事になっているじゃないか!と目からウロコ。

お昆布のお出汁もお酒も楽しめる北清茶事は毎月これからあるみたいよ。急げ!





<第二席・ろうそくの灯り茶会>



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洛中、岩戸山の鉾町にあるギャラリー+カフェのThe terminal KYOTOさん。
祗園祭の最中には休憩処として愛用している。




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今回ここの二階の茶室(けっこう面白い構成の茶室だった)にて「朝日と灯りの茶会」と称して、朝日焼の当主と、近江手作り和ろうそく大與の当主主催の茶会がひらかれた。

手作り和ろうそくはいつもお世話になっているし、1〜2年前やはりここでお茶会されたときに都合でいけなかったので、今度は是非!と思って実現。



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午前中は「朝日の茶会」で床の朝日焼の大きな舟も出船の形に、夕刻からは「灯りの茶会」として舟は入り船。少しずつ室礼を替えて。(朝日の部は行けてないけれど)
それにしてもまあ、、、この軸!?





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ロウソクを軸にしてしまったという、表装の職人さんと大與さんのコラボ作品。(これ、実はTVの京都職人紹介みたいな番組、「温故知新」で見たことある)





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しかけは、、、こうなっている。

こんな発想って、、、、すばらしい!
しかも全然アバンギャルド感なくて茶室になじんでいる。



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お菓子がくばられるが、これもちょっと仕掛けがあるぞ。




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朝日焼のご次男さんに嫁がれた御菓子丸さんのお菓子。
ふわふわの雲が黄昏の空にうかぶ。

これに梅シロップをかけると、、、、



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暗くてあまり再現性はないが、、、ほんのり茜空の色に変わる。
紫芋の色素は酸で赤くなるのだ。




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灯り茶会ではお点前が朝日焼ご当主、半東が大與さんであった。
お茶をいただきながら、和蝋燭の話をおききする。

完全燃焼でロウがたれることがない和蝋燭。夜咄や夕ざりでいつもお世話になっている。



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イ草の髄でできた芯は芯切りをしないといけなのだが、その所作もまた風情がある。
パラフィンろうそくよりだんぜん和蝋燭をオススメするが、単価がお高いのがなやみだなあ。

席中の薄器と茶杓が総螺鈿というめったにないシロモノ。
実は島原の太夫さんが夜、灯りのもとでお点前されるときに、きらきらろうそくの灯りに美しいように誂えはったものなのだそうだ。

実はその太夫さん(司太夫と葵太夫の母子さん)も同じ席にいはったの(普段の着物すがたに洋髪だよ)。大與さんとのお出会いでお貸しすることになったのだそうだ。




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この茶室のとなりは簾越しに煎茶席の室礼がしてあって、こちらにもいたく惹かれたのであった。
ちなみにこの簾を作っている簾屋さんも水屋でお手伝いしてはった。
若い職人さん,作家さんががんばっている京都ってすごい、、、そんな感想を胸にいだきつつ、灯り茶会はおわったのだ。



皐月黄金週間雑記2017 - 2017.05.09 Tue

GW、なにやらあわただしかった今年も。一度家でのんびりしてみたい、、、、



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先日の茶事を最後に今季も閉炉。
風炉もやっと灰をいれた。




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先日フライングしたところの文化博物館での猫展。
これ、いかんわけにはいかんやろ。




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さすがにこれで記念撮影はしなかったが、ご覧のように主に国芳。猫が大好き、いつも懐に1〜2匹いれていたという、猫の擬人化の絵も多数。



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岡崎の大化け猫の前で、手ぬぐい被って踊る二匹の猫がたまらん!
あと落書き風ニャロメっぽい猫も。
展示を見に来た子供向けのクイズもあって、なかなか楽しい♪




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博物館にはいっている前田珈琲では協賛メニューが。
まよわず化け猫、、、じゃなくて猫カプチーノ。




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肉きう(球)クッキーにもいたくひかれた。




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で、こんなお土産まで買って、、、(^◇^;)




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かえり道、近くの平楽寺書店を見に行く。
登録文化財の建物でも、壊されてしまうのだ。




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あまりに残念。
こんなことが京都のあちこちでおこっている。どうにもならんのかな。




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実家にも帰った。
これは幼少のみぎりから何回行ったかわからんくらいよく行った(ほぼ毎週日曜日にいっていた)後楽園。
正面に岡山城(烏城)も見える。




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いわずとしれた池田公の庭園だが、その家老の伊木三猿斎はすぐれた茶人であったので、今ごろ気づいたが、庭園内のあちこちにいい茶室がある。釜も時々懸けられているそうだ。




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しかし、昔は芝生内にも入り放題、遊び放題だったが、あれだめ、これだめ、と規制が多すぎるのはいたしかたないとはいえ残念。楽しみ半減、ぶ〜ぶ〜。




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まあ、開放的で山陽地方らしい景色。
晴れの国、岡山、、、が観光キャッチフレーズらしいが、岡山でのみ通用する交通機関のカードの名前が「ハレカ」というのには、ちょっと笑った。




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おやくそくの鯉へのえさやり。
これも昔は麩だったが、今じゃフィッシュフード。しかし、、、よう肥えてるなあ、ここの鯉は。




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5日にははじめて上賀茂神社へ賀茂の競べ馬を見に行った。毎年5日にはなんぞ予定がはいるので見に行けなかったのだ。




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しかし遅がけだったので、最後の二番しか見られなかったし、ルールがよく分からないのでいきなり競争が始まって写真どころではなかったのだ。




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せめて乗尻(騎乗する人)の装束を楽しもう。




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わりとまともに撮れた写真。
左方が赤系統の装束で右方が青系統、というのは雅楽の装束と同じ。




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起源は太古かららしいが、今の形になったのは鎌倉時代ごろらしい。今では葵祭に先立つ一大イベントとなった。伝統的な儀式も多々あるらしいが、今回はそこまでつきあえなかった。




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競べ馬が終わってのひととき、楢の小川で水遊びの親子連れも多い。暑かったからね、この日。




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加茂の子たち。
この前のさんやれ祭にも参加していた子たちだろうな。将来この伝統行事を受け継ぐはずの子たちだ。




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行事に参加している者は皆、腰の後に菖蒲の葉を結びつける。




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埒(らち)。乗馬コースの柵。
埒があく、あかないの語源。神聖な場所を示す榊で飾られる。




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神主以下、諸役、乗尻たちの直会(なおらい)。





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神主の腰にも菖蒲。
(祗園祭は榊なんだ)




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この結び方にも作法があるのだろう。




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ほとんど王朝絵巻(?)




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走り終えてくつろぐ馬たちは美しい。




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最後にライトアップ最終日の30分前にすべりこんだ無隣庵。
ご近所なので、サンダル履きで^_^;




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茶会に借りることもできる茶室もライトアップ。
なかなか雰囲気がよい。




無隣庵茶室




まわりの庭園の夜景もあわせて、茶会を楽しめたらステキだろうな。





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それほど人も多くなく、夜はややひんやりして静かで月も出て、なかなかよい夜であった。



かくしてあわただしい今年のGWも終わったわ。



東大寺華厳茶会2017 - 2017.05.07 Sun


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5月、秋に角きりをした鹿のやわらかい袋角が生えてくるうるわしい季節。




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今年も東大寺華厳茶会に参席。
数えたら8年前から1年だけをのぞいて、毎年参席させてもらっている楽しみな茶会なのだ。




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華厳茶会は今年で36回目という。東大寺と裏千家今日庵がタッグを組んだ、大宗匠肝いりの茶会で、全国からたくさんの方がおみえになる。




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まずは大仏殿の裏の西庭集会所の副席へ。

ここの待ち時間が一番長いが、さわやかな大仏殿前の芝生と、幡が翻る姿を見るのが好きなのでそれほど苦にならないのだが、、、、今年は回廊修理中でこんなありさま、、、残念。




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これは昨年の回廊の写真。
毎年回廊でおこなわれる青年部の呈茶席もなしであった。




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待っている間に大宗匠ご一行がこられ(伊住さんのご次男さんもご一緒であった)お待ちのみなさまに丁寧にご挨拶なさる。若干お背が低くなられたような印象だが、それでも背筋はまっすぐ、とても90をいくつも過ぎた方には見えない。
大宗匠のお姿をじかに初めて拝見したのは50代でおられたころかなあ、あれから一体何年、、、




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めったにはいれない大仏殿の裏側の景色。


今回の副席の席主は東京の重鎮の先生。
清巌宗渭の「花 迦葉破顔微笑」。拈華微笑から。花の字が大きく、この季節、この字に会えるとうれしい。
花は伊勢撫子。

水指が古常滑の「不識」、茶杓が宗旦の「ロヤウ大師(たぶん芦葉)」と達磨ぞろい。
菓子器に古染の兜鉢、あれよかった。
お菓子は、日ごろお席主が愛用してはるという東京駒場の岬屋・黒糖葛焼、のどごしがよくて、はでなお菓子よりよほどうれしかった。




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副席終了後、今年はなんとか献茶式に間に合った。




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大仏殿前には東大寺、大和茶業、裏千家同門のみなさまがみっちり。
この間一般観光客は締め出しなのだ。




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大仏様のまえに据えられた点茶盤。

昨年は副席の中にいて、拝見できなかったのだが、少なくとも一昨年までは点てたお茶を大宗匠みずからがささげ持って大仏様の前の階段をのぼらはった。今年はどうだろうか。なにせご高齢ゆえまわりからは毎年とめられているという。みているこちらもすごいなあ、と思いつつもどきどきはらはらなのだ。

茶壺を奉納した茶業界の方ですら降りるときはてすりにつかまってはるしなあ。




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結果として、今年は伊住さんとこの(たぶん)禮次郎さんが階段をのぼらはった。
残念ではあるけれど、ちょっとほっとした気分も。やはり大事があってはいかんよね。




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献茶式のあとは今日庵の拝服席、本坊にて。




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なんで今年は戸が閉まっているのかとおもいきや、、、、なるほどね。




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ここは眺めが抜群なのだ。
正面に見えるは若草山。山焼を1月にしたあと、すっかり文字通り若草におおわれている。




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今年の「唐衣(この銘の時が多い)」はめずらしく奈良のお菓子屋さん、鶴屋徳満さん。ここ、もちいどのセンターにあって、干菓子が充実しているところだわ。同じ唐衣でもお菓子屋さんによって微妙に意匠がちがうのが面白い。

軸は昨年と同じ、玉舟宗璠の「咄々々 力口希」(利休遺偈より)
春日大社に奉納された竹で作った一重切花入れが奈良らしい。花は延齢草。

茶碗がのんこうの「青山」というので、期待して、でもアレ(黒楽)は確か楽美術館のものでは?と思っていたら、赤楽の「青山」というのもあったのね〜!初めて知ったわ。四角い黒っぽい赤楽であった。





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茶杓が玄々斎の「都の錦」で「柳」と「桜」の二本組。胡麻竹で、玄々斎のあの兜巾みたいなヘッドであった。
使われたお茶が「柳桜園」というところに遊びゴコロ(?)
(みわたせば 柳桜をこきまぜて 都ぞ春の錦なりける 素性法師)




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同じく本坊で辻留さんのお弁当をいただいて、最後に東大寺席へ。




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真言院境内勧学院(真言院と同居している)。
東大寺は華厳宗であるが、ここのみ真言宗の空海が開設した。




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席主は東大寺学園の長でもあった上野道善老師、東大寺学園の秀才たちのお母さん方が持たれている。
待合の清水公照老師の青空を翔る鯉のぼり(龍?)の絵に今年もまた会えた。

結界がお水取りの松明の燃えたあとのある竹に、差懸(練行衆の沓)を模した足がついているのが印象的。今回は最前の席にすわることができたので、大日如来像、四天王像の前でおこなわれるシュールな場での茶席をより堪能できた。




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これにて今年の華厳茶会も無事終了。
来年もまた来ることができますように。

そして毎年楽しみな記念品は、、、、




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三つ目になる田原陶兵衛さんのお茶碗。
その年の管長さんの直筆の文字がはいる。今年は狭川普文管長の文字。
なんとこの管長さんは書家・榊莫山先生の書のお弟子さんだったのだそうだ。

銘は「華(華厳経)」ながら、書かれている文字は24種あるそうで、私のは「道」であった。
ちなみに同行した友人のは「観」であったそうな。



久松真一先生を偲ぶ〜飯後の茶事 - 2017.05.05 Fri

私の茶道の原点である心茶会は昭和16年、当時大学哲学科の教授であった久松真一先生によって創設された。
在学中はとにかく茶道ではなく坐禅とお掃除倶楽部と思って活動していた。けれど先生の茶の精神についてあまり深く考えることもなくすぎていって、卒業と同時にお茶のことはすっかり忘れていた。




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(今回名水をくませてもらった梨木神社・染の井)



40代、お茶を再開した時、お稽古をしていてなんか違う、なんかおかしい、、、と思うこと多々あり、久松先生の佗茶の精神、茶道の哲学について書かれた著書を初めて手にした。当時お掃除も坐禅もつらいなあ、いつお茶の稽古するんだろう?と疑問におもっていたことが次第にほどけていくような気がした。

しかし、、、、先生の本はむつかしい!難解である。何度も途中で挫折し、完全に理解とはほどとおい途上にいる。




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(あっというまに緑陰の露地)



読むときはなるほどと、理解できたような気がしていても、しばらくするとそれも忘れて、あれ?これは佗茶といえるのだろうか?茶道箴に曰わく「遊戯悦楽に流れ 好事驕奢に走り、、、」ではないのんか?
たまに立ち止まって考えないといけないと思いつつ、時に流され、、を繰り返して今日まできてしまった。




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生前の久松先生に隠居所の岐阜までお目にかかりに行った最後の世代の学生だったと思う。当時、先生の凄さはさっぱりわからなかったのだが、お目にかかれた、という感動だけはしっかり残っている。
その先生に直接学生時代薫陶をうけられ、学生たちのお世話をしてくださっているK先生、たまにお目にかかると久松先生の逸話がお聞きできるのがとても楽しみであって、それならばお茶事にお招きしてお話しをたっぷりお聞きしたいものだと思った。





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K先生のご希望で、久松先生をしのぶのにさらりと、とのことで飯後の茶事とした。

手元には近年せっせと集めたのと、学生時代にいただいてそのままになっていた色紙などを改めて軸装したものなど、けっこう久松先生の書があるのだ。

寄付には唯一読める「薫風自南来」

待合には全然読めなくて、SNSで読み方を尋ねてやっと読めたという、けれど難解な色紙。
これはK先生にお伺いしてやっとその意を半分くみとれた。
「一と多と 一体不二の念珠をば、、、」 一と多がなぜ一体不二なのか、それを説明するのにバラバラにした数珠を使われた、という。なので念珠なのか。

本席では「閑」の一文字を。




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炭手前で種火が熾きなかったというトラブルもありつつ、なんとかリカバリーして飯後独特の軽食をお出しする。




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飯後では向付+煮物椀+八寸ということが多いが、そこはきまりがないので臨機応変に。
(K様より拝領でここのところずっと使っている)曲げわっぱにちらし寿司+筍しんじょう。
八寸をお出しして千鳥をさらりと。




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お菓子は愛信堂さんの「玉ノ井」。
ちょっと先生を偲ぶには華やかすぎるような気もするが、これ、ほんまに手の掛かった雲錦のお菓子なのだ。
漠然と禅をテーマになにか作って、、、とお願いしたところ一生懸命考えてくれはって、歌舞伎の「身代わり坐禅」のクライマックス、片身代わりの衣裳を写した物だった。ちなみに玉ノ井は登場する悋気な奥方の名前。





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中立のあとの後入り。




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本来ならば後座では軸は片付けて花だけになるが、今回は先生を偲ぶ会なので、そのまま飾残しとした。
先生に見守られながら、しのぶ話をしよう。

今も学生が使っている道具には久松先生が購入された物が数多くある。いずれも無名の陶工のものだったり、当時無名でも後に人間国宝になった人のものだったりするようなものだ。当時の値段ではあるが、500円くらいだった茶碗もある。




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(一応名水点のしつらいで)



それは学生時代に私がとても好きでよく使った茶碗で、今でも年に一度の学生茶会で再会できるととてもうれしく懐かしい。そう思うのは私だけでなく、私より上の世代、下の、、はるか下の世代の人も「懐かしい〜」と声をあげる。こういうのは、いわゆる名物茶碗より愛されている茶碗ではなかろうか。

そんなお道具を先生が入手されたときのお話しを聞くのがとても楽しみで楽しみで。




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(続き薄、干菓子は亀廣保)



自分の茶の道に迷って、これでいいのかと模索しつつ、久松先生の御本はとてもむつかしくて理解できませ〜ん、と言うと、K先生は「何回も繰り返し読んでいれば、そのうちわかるようになりますよ。」とおっしゃった。

そのお言葉に勇気をもらって、また難解な御本に挑戦しよう、、、きっとするだろう、、、するかも??(^◇^;)
高い山を前にまだちょっとひるんでいる段階。
そして自分の茶について、時に立ち止まってまた考えなければ。




壬生大念佛会2017 - 2017.05.03 Wed

3年ぶりに壬生寺の大念佛会、通称壬生狂言を初日に見に行った。




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壬生寺道のバス停をおりて、梛神社、隼神社二つの神社がひとつの境内にあるという不思議な神社を通りぬけ(隼神社がこちらに引っ越してきた)、新撰組も通ったであろう坊城通を南下。





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嵐電の線路をまたぐこの参道は節分の時には両側に焙烙売りやら屋台やら、賑やかな通りなのだ。



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壬生寺は京都ではめずらしい律宗の寺院(総本山が唐招提寺)、ご本尊が地蔵尊なので、かつて町中にあって世話する人のなくなったお地蔵様を預かっておられる。地蔵盆の時など、お地蔵様のない町内に貸し出しもしているというユニークなお寺なのだ。




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本堂と、その向こうに見えるパゴダみたいなのは千体仏塔。




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4月末から5月初めにおこなわれる大念佛会、観客席は突き当たりの建物(=壬生寺保育園)の上、演じられるのはその向こうにある大念仏堂(重要文化財)。
もともと佛の教えを民衆にわかりやすく説くために、鎌倉時代の円覚上人が考え出したものといわれる。




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本日の演目。
焙烙割は必ず毎日最初に演じられる壬生狂言のシンボルみたいな演目。




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開演の30分前に行ったにもかかわらず、座席はほぼうまっていて、仕方なく階段にすわって見ることにした。

千本ゑんま堂の狂言はセリフがあって、能楽堂で演じられる狂言に近いものがあるが、こちらの狂言はまったくの無言、パントマイムなのであるていどストーリーを知っていた方がよい。まあ、しらなくても所作などみているだけで笑えるのだが。




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ちなみにこれは今年の節分の時の写真。ちゃんと焙烙おさめたので、それを割るところも是非とも見なくっちゃ。





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焙烙割はストーリーは単純、鞨鼓(太鼓)売りと焙烙売りのいさかいのあげく、ずるした焙烙売りの売り物の焙烙を鞨鼓売りが全部割ってしまうというもの。

これはパンフレットの写真だが、年々参拝者が増えるためか、積まれる焙烙はこの倍以上の高さであった。つぎつぎと出てくるわ出てくるわ、こんなにたくさんの焙烙、とびっくりする。
並べるのは狂言にたずさわる壬生の地元のひとたち、将来狂言をしょって立つはずの小学生くらいの男の子たちもがんばっていた。


1時間くらいの演目なのだが、そのクライマックスのあたりで一天にわかにかき曇り、強い風が木の葉をとばし狂言堂のうえには稲妻がはしり雷鳴も、、、というまにすごい雨!(いそいで屋根付きのところに退散)
嵐をバックに土埃をあげて次々割られる焙烙!これはまさに鬼気迫る物があったぞ。

フラストレーションといっしょにこれだけたくさんの焙烙を割ったらさぞや気持ちいいだろうな〜。




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嵐はしばらく大雨をふらせたのち去って、青空が見えてきた。なんとも不安定な春の空。

次の演目は歌舞伎でも能でもおなじみ「土蜘蛛」。
蜘蛛の精が手に持った蜘蛛の糸(極細紙テープ)をつぎつぎに放つので人気の演目、これ見たかったんだ。舞台から飛び降りたり、蜘蛛の糸が客席にも投げられたり、ケレン味たっぷり。

土蜘蛛登場の時に、小袖を被いで地面に這いつくばう姿は、ほんとうに蜘蛛にしかみえなくて感激した。小学生らしき子も頼光の太刀持ちでがんばって演じていたよ。

狂言はここでお別れしたが、その後壬生寺お向かいの清宗根付館へ。




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根付は面白いのだが、私的にはむしろ京都に唯一残る壬生郷士・神先家の武家屋敷建造物に興味有り。武家らしい書院や座敷、おくどさんも残る走り庭や火袋などもあって、かなりツボであった。壬生寺へ行かれるときは是非足をはこばれることをおすすめする。




白茶を自分ちの茶葉で作る - 2017.05.02 Tue

今日は八十八夜(立春から88日)、それにふさわしい茶摘み(?)のおはなし。



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毎年うちの坪庭でも茶ノ木が新芽をだす。とはいえ煎茶製法の殺青(摘んですぐ蒸したり炒ったりして加熱して発酵をとめる)、捻揉(もみこむ)はうちでは無理だし、両手にほんのひとすくいしか採れないし、もったいないなあ、、と眺めていたのだが。

昨年人から聞いたのは中国茶の白茶なら簡単に作れるよ、というはなし。
白茶は摘み取った茶葉を萎凋させる微発酵茶、天日にそのまま干すだけでできるという。




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摘み取った新芽の茶葉。
きれいな浅緑。

ちなみに煎茶などは無発酵の緑茶、紅茶などは完全発酵茶、青茶(烏龍茶など)は半発酵茶。




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この新芽を2〜3日天日に干してできたのが左側。右の茶色いのは市販の白茶。
この段階で,乾燥しきってかなりパリパリ。




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早速いれてみた。

おお〜間違いなく白茶の味わいや!
中国茶独特のよい香りもする。味はほのかに甘い。市販のやつと遜色ない、、、といったら言い過ぎか。

しかも5〜6煎いれてなお美味しく煎れられる。


同じ茶ノ木の葉なのに、普段飲んでいる緑茶類とどうしてこんなにちがうのか、不思議でしかたない。発酵の力はすごいのだな。昔はそこらの野原にはえていたであろう茶ノ木。それを飲用にしようと考えた人はほんとに偉い。
そしてその後の製茶方法は大陸日本を問わず、多くの人が研究して編み出した成果。その恵実を労せずして味わえるというのはしあわせなことだ。





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茶をいれたあとの茶葉は市販のものより青く、翡翠色。これもまた美しい。



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