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2017-09

美ささ苑獨楽茶会〜席主宗和流宗匠 - 2017.09.24 Sun

八王子の料亭、美ささ苑は月例茶会や文化サロンなどを開催する楽の会という会を主催されています。美ささ苑から茶会のご招待が来て、本日はこちらまで。

なぜに八王子くんだりまで茶会にやってきたのかというと、今を去ること4年前、岡本浩一先生の茶会がここであったということと、本日の席主、金森宗和流家元・宇田川宗光さんの根津美術館で懸けられた寒鴉斎号披露茶会に行かせてもらったこと、なにやらご縁を感じまして。





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4年ぶりの美ささ苑。
こちらが有する茶室獨楽庵は二畳壁床、利休が宇治田原にたてた茶室が原点になります。さまざまに所有者がかわり移築をくりかえし、幕末には松平不昧公が所持していたそうです。大正年間、実業家・武藤山治(鐘紡)が松平家より多くの所縁の品を譲り受け、獨楽庵も寺院ゆかりの古材を使って北鎌倉に復元されたとか。



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北鎌倉では戦後「好日会」が作られ、そうそうたる財閥数寄者が釜を懸けたそうです。
そして獨楽庵は巡り巡って現在、八王子の地に安住することになったのです。




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料亭の隣のこの入り口から入るのですが、アプローチが八王子の町中と思えないくらいステキで、写真を撮ろうと茶会のあとに行ったらもう閉まってました(^_^;
なので4年前の写真を参考までに。




あぷろーちみささえん 




ここの奥を行くと市中の山居、すてきな露地がひらけるのです。



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まずは広間で薄茶席。
席主は木工芸の人間国宝、須田賢司さんのご子息。なんでも慶応大学時代から宇田川宗匠と先輩後輩の仲だったそうで。

お祖父様も指物、木工の名人、母方のお祖父様も蒔絵の名人と一族だけで塗り物指物ひととおりそろうという、、、うらやましいお家ですね。

掛け物も二幅、これも慶応ゆかりの実業家・藤原銀次郎(工学部を設立した)の蘇軾の漢詩。

「月入戸尋幽人」
「杏花飛簾散徐香(原文では「春」)」

煙草盆も,薄器の蒔絵も、黒柿の茶杓も全部ご一族の作品。

寒鴉斎披露茶会でもでて、お土産にもいただいたsghr(スガハラガラス)のガラスの茶碗もたくさん。なかでも気になったのは仁清の鱗紋波の有名な茶碗をデフォルメしてガラスに写し取ったもの、宗和と言えば仁清だものね。すてき〜♪

宗和流のお点前は前に拝見したので学習済、他流派を多く知った今となってはそれほど違和感がありません。




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お菓子もほんのり菊花とお酒の香り、菊酒をイメージした琥珀と摺り琥珀の葉っぱ。とても上品でカワイイお菓子。(お名前を失念しましたが若い女性の和菓子職人さん作)




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続いて獨楽庵、三畳台目逆勝手枡床席で主菓子をいただく。ここの床柱が一抱えもある寺院の円柱とおぼしき(もしくは橋桁?)太い柱で意表をつきます。
お菓子は季節の栗きんとんだけれど、中の餡に葡萄の果汁がはいっているとか。


二畳の獨楽庵の方に掛かっている瓢箪の上を切って、下の部分を漆塗した花入は、根津所蔵の利休作「ふくら雀」を模した宇田川宗匠のもの。(宇田川さんは根津の学芸員でいらした)
この瓢箪は生の状態で、慶応同窓の官休庵宗屋さんに拝領したものなのだとか。黄蓮華ショウマがいれてあり、土壁に霧吹きで作った、きりぬいたような満月の姿が美しい。





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宇田川宗匠の濃茶席は船越伊予(織部、遠州に学んだ作事奉行)好みの三畳台目にて、宗匠直々のご説明、お若くていつもにこにこされている印象(つい荒○良○を連想してしまうイケナイ私)。

床には宗和の消息、花入が宗和をお気に入りだった梶井宮(慈胤法親王)作の竹一重切り、花は赤い実をつけたマユミとオケラ。宗和は姫宗和と言われる優美な茶風から当時の宮中のお気に入りの茶人だったので、その交友範囲は後水尾天皇はじめ鳳林承章とか近衞信尋とかそうそうたるメンツ。

獨楽庵をひらいた武藤山治が不昧公の茶道具の多くを譲り受けたので、それにちなむお道具がメイン。

主茶碗(これでいただいたのだが)が不昧公所持の斗々屋「松風」。茶室は暗いので手の中で沈んだ色をしていましたが、陽の光がさすと赤い窯変がうかびあがって朝陽がさしたように見えたのでありました。

茶杓が金森宗和作、共筒。華奢。これにも宗屋さんが箱を書いて「タマハリモノ(賜り物)」の銘を。(ほんまにお二人、仲がよいのね)

茶入がまた度肝を抜く細長く背の高いもの。松平家執事の譲り状付き、不昧公がつくらせた出雲焼。まさに仁清の背高肩衝「存命」写し。手にとらせてもらったが、下三分の一は上げ底になっているらしく、けっこうずっしり、これで安定感あるのね。この高いのに、茶杓を唐物のように掛けるので、なんだかイッパイイッパイの高さがおもしろかったわ。

解説を聞く前に見たので見損なったのは小林如泥の箱。
この肩衝には雪月花、と三つの仕覆がついているのですが、どれかひとつが如泥独特の太い木釘で作られた箱なのだそう。(ちなみに如泥は不昧おかかえの大工、指物師)




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宗和流は、金森家が幕末までに断絶したので、弟子の中でもっとも優秀な人材を選んで継いでいったという血脈による世襲制をとらずに現代まできている流派。お若いながら抜擢された宇田川宗匠、背負うモノも大きいだろうとお察ししつつも、独創的なセンスでりっぱに継いではるなあ、、、とも思います。これからもご縁をたまわればうれしいです。




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最後に美ささ苑のおいしい懐石をいただきました。お酒もトックリを独占して(まわりの方が飲まれない)頂戴いたしました。
はるばる八王子まででかけた甲斐がございました。







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