fc2ブログ
topimage

2017-11

口切りの茶事〜但馬の国 - 2017.11.26 Sun

口切り茶事は茶人にとって格別な茶事であって、何回経験してもうれしくわくわくするものである。

そらいろつばめ様が今年ルソンの壺を手にいれられた。それを使って初の口切り茶事に光栄にもお招きいただいた。
道すがら、渓谷の美しい紅葉を楽しみながら期待に胸がふくらむ。





IMG_9441.jpg

(待合の青銅製火鉢)


実はご主人が数年前、某国営放送の「ルソンの壺」という番組にでられたのだが、まさかほんもののルソンの壺を手に入れはるとは思わなかった。
ちなみにルソンとはいうが、これは出荷されたのがルソンであって、明時代の中国南部で焼かれたもの。


待合には蓮月さんの千鳥と初霜を歌った歌が。
蓮月さんのは比較的読みやすいはずなのに全然読めない、、、、しかし心配ご無用、この日の御連客はその道のエキスパートがいらっしゃる。





IMG_9443.jpg 

(腰掛待合)


そうなの。本日の御連客はすごい方々ばかり、宗教界からは師匠、建築士I君、茶道に関する学術論文をたくさん上梓されている方、某美術館の学芸員さん、Y流に出入りしているお道具屋さん、不肖ワタクシだけが普通(^_^;、、、という錚錚たるメンバー。このあたりそらいろつばめ様のご人脈の広さと深さがうかがえる。それでも一応みなさまと面識はあるのでそれほど肩はこらずにすんだ。





IMG_9447.jpg




いよいよルソンの壺拝見。
釉薬のなだれがとても景色の良い壺である。そして今までみたどの口切りの茶壺より大きい。女性が指先だけで持つには(体温で中を温めないように茶壺は指先だけで持つ)ぎりぎりくらいの大きさ。

いよいよ封印を切る、口切り。楽しみでもあり、どきどきもする瞬間。






IMG_9455.jpg





松籟園が詰めた碾茶の「御茶入日記」。
これを拝見してどの濃茶をいただくか相談して決める。今回3種の濃茶をご用意くださったようだ。
選んだ松籟の半袋(詰茶のなかに埋まっている紙の袋・10匁入り)を取り出して挽家におさめる。





IMG_9451.jpg 




詰茶は薄茶になる。




IMG_9462.jpg




今回ご亭主は茶臼までご用意くださった。これがまた良い宇治石の茶臼で!
客がそれぞれ挽かせていただく。学芸員さんが茶臼の研究もされている方なのでひき方とか、目が詰まったときの対処法とかいろいろご教授いただきありがたい。


初炭所望を予告無しでもすらすらこなす師匠、さすがである。
釜は宗旦好みの擂座釜、底が意外と浅いのが特徴。香合がF太朗君のベトナム土産の安南とは、ここでも茶縁を感じるなあ。




IMG_9466.jpg




そしてお心いれの懐石であるが、、、なんといっても特筆は今季初の蟹〜!!
こちらは蟹の産地も近い。蟹味噌いりの器もつけていただいて、早くも冬の味覚を堪能。
あ、但馬牛の芋煮もおかわりほしかったわね♪

懐石のお運びはご主人もお手伝いされる。ご夫婦で御茶、、、うらやましいな〜。




IMG_9467.jpg




ご亭主お得意のイタリアン系のサラダ。器が古伊万里のよくみると千鳥の形。
待合の千鳥の歌に響き合う。





IMG_9468.jpg




主菓子は御菓子丸さんの「甘い土」
雲龍ににたほろっとした小豆がほのかに甘く美味しい。甘い土、、なるほど。





IMG_9469 (1) 




中立は寒いので囲炉裏のそばで。暖かいシアワセ。

熱々の美味しい濃茶をいただく。今年もよいお茶ができた、これからの1年、よいお茶をたくさん飲めますように。




IMG_9470.jpg





干菓子がこれまたビックリさせられるものであった。
麩の焼きのうえに塗られたペースト状のもの、味はほのかに甘くほのかにすっぱく、、、これは一体なんだろう?だれも当てられない。それもそのはず、京丹後のフルーツガーリックという初めて食したニンニクペースト。とてもニンニクとはどうしても信じられない味なのだ。全然ニンニク臭もない。これはやみつきになりそうだ。

薄茶の朱というよりは赤い雪吹の茶器と、少々扱いにくそうなやたらと長い茶杓が点前中、気になったが、、、、なんと!これは水屋のMさん所蔵の黒田辰秋の作であった!





IMG_9444.jpg
(露地の楓の落ち葉もまたよき風情にて)



最後まで、いろいろ驚きや初めてやで楽しい仕掛けをたくさん仕込んでいただいた口切り茶事、さらに道具についてあれこれその道専門の御連客の解説付きというまことに贅沢な茶事、心より堪能いたしました。ありがとうございました。
ご主人様、水屋の方々にも御礼申し上げます。






NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

最新コメント

プロフィール

しぇる

Author:しぇる
京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

最新記事

カテゴリ

未分類 (14)
茶の湯 (385)
茶事(亭主) (82)
茶事(客) (172)
茶会(亭主) (17)
煎茶 (9)
京のグルメ&カフェ (94)
町家ウォッチング (10)
弘道館 (7)
岡崎暮らし (108)
MUSIC (4)
能・歌舞伎 (65)
京都めぐり2023 (29)
京都めぐり2022 (29)
京都めぐり2021 (30)
京都めぐり2020 (19)
コロナ緊急事態宣言下の京都2020 (12)
京都めぐり2019 (28)
京都めぐり2018 (20)
京都めぐり2017 (30)
京都めぐり2016 (34)
京都めぐり2015 (34)
京都めぐり2014 (39)
京都めぐり2013 (36)
京都めぐり2012 (6)
本・映画 (14)
美術館・博物館 (138)
奈良散歩 (128)
大阪散歩 (1)
着物 (8)
京の祭礼・伝統行事 (60)
祇園祭2023 (9)
祇園祭2022 (11)
祗園祭2021コロナ下 (5)
コロナ下の祇園会2020 (1)
祗園祭2019 (18)
祗園祭2018 (11)
祗園祭2017 (17)
祗園祭2016 (18)
祗園祭2015 (16)
祇園祭2014 (13)
祇園祭2013 (14)
修二会2023 (10)
修二会2022 (8)
コロナ下の修二会2021 (6)
修二会2020 (5)
修二会2019 (3)
修二会2018 (4)
修二会2017 (4)
修二会2016 (3)
修二会2015 (3)
修二会2014 (3)
修二会2013 (3)
その他の町散歩 (10)
京都和菓子の会 (4)
ソウル紀行2023 (3)
イスタンブール・カッパドキア紀行2013 (8)
英国田舎紀行2015・湖水地方とコーンウォール (7)
パリ紀行2014 (7)
ノルウェー紀行2016 (4)
古筆 (1)
ポルトガル中部〜北部紀行2017 (7)
京都でお遊び (13)
ギャラリー (4)
暮らし (13)
中国茶 (48)
京都の歴史・文化について勉強 (3)
過去ブログ終了について (0)
猫 (1)
滋賀さんぽ (21)
オランダ・ベルギー紀行2018 (9)
ニュージーランド紀行2019 (9)
台北旅行2018 (3)
高野山 (2)
骨董・工芸品 (1)
東京散歩 (2)
諏訪紀行2021 (4)
金沢さんぽ (1)
御所朝茶 (4)
有田2022 (1)
熊野三山巡り (2)
兵庫さんぽ (1)
太宰府 (2)
丹後旅行 (3)
仕覆制作 (3)
信州旅行2023 (2)

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR