池大雅〜京都国立博物館 - 2018.04.27 Fri
あいにくの雨の中、国立博物館の池大雅展へ。
池大雅と聞いて、名前はけっこう有名でよく知っているにもかかわらず、どんな作品か?と聞かれると意外に知らないことに気づく(^_^;
なのでいろいろ調べつつ拝見、まずは南画の天才という。
、、、、で、南画ってなに?これもなんとな〜くはわかっていても、定義をはっきり知っている人はあまり多くないのではないかと。
江戸時代後期、御用絵師だった狩野派にあきたらず、もっと自由な作風を求めておきた作風であり、中国の元・明時代の風景を描く南宗画がもとになっているそうな。わりと新しい。
その大成者が池大雅(と与謝蕪村)なのだ。
中国の風景画をお手本にしたものなので、見たことのないはずの中国の山水の風景画が多く、中国趣味に満ちている。漢詩を題材にしたものも多く、赤壁の賦とか、漢詩とか、これは漢詩好きにはたまらん。
しかしそれだけにとどまらず、彼は日本全国スケッチ旅行もしていたのだ。「日本十二景図」では、宮島、妙義山、玄界灘、東尋坊、松島、髙砂、錦帯橋、三保の松原、、、、と現代でもJTBなんかイチオシの観光地をくまなく歩いて絵に残しているのだ。
このポスターは大作「五百羅漢」
もとは萬福寺の障子絵だったそうだ。
筆ではなく、紙縒りや指を使って描いた線はとぎれとぎれの特徴的なもの、描かれているのは一人として同じ表情ではない羅漢さんのモブシーン。これは隅々までみるととても楽しい。獅子や象や虎などの動物もユーモラスに描きこまれている。
印象的だったのは「西湖春景・銭塘観潮図屏風」
右双の春の西湖の景色は細かく細かく描きこまれ、何本も何本も線を重ねた水の表現がすばらしい。
対して左双の秋の観潮図は右大半がほとんど空白に近い。よく見るとうすい線が水を現しているのだが。この対比を持ってくるところが心憎い。俺はどんな手法もマスターしてるんだぞ〜、という感じか。
池大雅は若くして父を失い、15歳で二条樋ノ口町で扇屋をはじめたという。樋ノ口町は今の河原町二条東入るで、私にはなじみの場所、現在貝葉書店のあるあたりかなあと想像するのも楽しい。
妻は玉瀾と号して、彼女もまた画才あふれる人で、その画も展示されている。この玉瀾さん、真葛が原、今の円山音楽堂のあたりにあった(西行庵のあたりかな)茶屋の娘で、祖母、母も歌人として有名だったそうだ。のちにこの夫婦はこのあたりに家をかまえる。夫婦そろってちょっと奇人っぽいところがあったようで、おもしろい逸話も残るという。
彼の生きた時代、売茶翁や白隠禅師などもいて、交流があったことを知る。彼の才能を見いだした柳澤淇園や、あと合作の「十便十宜図」(国宝)がある与謝蕪村も、けっこう文人綺羅星の時代だったのだな。煎茶道の隆盛時代とかさなるのもなんとなく納得。
「十便十宜図」は切手にもなったので、さすがにこれは知っている。展示の最後の最後にでてくるんだものなあ、、、憎いわ。これは川端康成が所持していたことでも有名なのだそうだ。ノートサイズの意外に小さな絵であった。
さすがにこれだけたくさんの池大雅をみるとお腹一杯になったが、リアル胃袋はむしろ空いてきたので、、、、、
お向かいのハイアットのグリルでちょっと贅沢ランチとしゃれこんだ。雨に濡れた緑の景色も美しかったよo(^▽^)o