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2018-10

真葛窯尚古軒〜跡見花月茶会 - 2018.10.30 Tue



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清水坂茶碗坂、とおりすぎて馬町あたりにはここららしい看板も。



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馬町から東西にのびる通り、京都なのに渋谷通りって言うんね。
ここに京焼の真葛窯・宮川香斎さんのお宅がある。
真葛は、お茶をされている方ならよくご存じの憧れの茶碗ではあるが、なにしろけっこうお値段が、、、(^_^;

ご当代のご子息、宮川真一さんはご交遊も広く、東京にも進出、この6月に根津美術館で宮川香斎家・花月茶会を、SHUHALLYの松村さんといっしょにしはったらしい。せっかくだからと今回京都のご自宅で、跡見の茶会をされることになった。



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陶板の「真葛」の扁額は表千家の即中斎。

寄付に箱書きがずらっとならべてあったが、一番惹かれたのはかの大正名器鑑(高橋箒庵編纂)の入った大きな木の箱がどーんとおいてあったこと。あれオリジナルやろか?復刻版でもけっこう高いんよ。中見たかったなあ〜。




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待合
(写真もSNSアップへもどうぞどうぞの太っ腹)
軸は而妙斎一行「花月一窓交」、花月茶会にちなんだ一行、和漢朗詠集より。脇にある大きな花瓶は真一さんのもの。

われわれの席にはなんと祗園祭の宮本組の面々がたまたまならんではって、びっくりした〜!
(今回の干菓子を担当しはった鍵善さんやら、抹茶の一保堂さん?辻利さん?、和風照明の三浦照明さんとか)




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こちらには広間のお茶室(尚古軒)があるのね。真一さんはお茶もよくなさる方らしい。(即中斎扁額)



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軸は吸江斎一行「萬年松」
花入は竹置筒「青山」、啐啄斎(如心斎の息子)、花は吹上菊とドウダンツツジ。
吹上菊は浜菊ともいう、とご当代から説明を聞く。
お正客は数寄屋建築の才門俊文先生で、ご亭主とのかけあいがとてもお上手で、客のお手本はかくあるべし、と思う。



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こちらは表千家なので、主菓子は食籠ででる。こちらは当代(6代)がご襲名の折、作られたという黄交趾、七宝透かし彫り。もう一つが4代が作らはった同じ意匠の食籠。こうして世代を超えた物がならぶのが、さすがというべきか。ちなみにお菓子はとらやさんの栗粉餅。



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印象的だったのが虫明かとも思った細水指。
これは横浜真葛(香山)の流れになる幕末の名工・宮川長造の作品である。宮川家のお宝ともいえる藁灰釉の水指。(真葛が原に窯をはじめて築いたのがこの長造さんで、その息子が初代の香山となる)

落雁の絵、これに呼応するのが、、、、



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久田尋牛才斎好み、琵琶湖の浮御堂古材で作った葦波蒔絵、甲に「鳰の湖(におのうみ=琵琶湖)」
近江八景・堅田の落雁である。(浮御堂は堅田のランドマーク)




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お薄は二服、そのたびにいろいろ真葛のご当代や、真一さん、先代の茶碗がたくさんでてきて楽しい。お互いに客同士みせあって、楽しかった。
これは真一さんのJack'oLantern、そうかハロウィンか。中には月と蝙蝠の絵もあって、真葛もこんな楽しいのがあるのか。ちなみに下絵は私の大好きなニッポン画の山本太郎画伯。




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干菓子がご同席いただいた鍵善さん製。左はおなじみ菊寿糖だが、右のは東京の根津でやったときの特注品で、さきほどの落雁の反対に空に飛び出す飛行機、銘も「FLY」。ここらへん、SHUHALLYの松村さんテイストだなあ。中の餡は季節に応じて今回黄色にかえたとか。京菓子はほんま芸がこまかい。




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お茶をいただいたのが、これもさきほどの長造さん作、信楽の土にて藁灰釉、ふくら雀茶碗。宮川家が代々守り伝えていくべき茶碗であったことは光栄。

宮川家は、初代が、江戸中期に長浜から京にでて、知恩院前に居を構え陶料をあきなったのを初めとする。その後横浜真葛は独特の発展をして、2年前東洋陶磁で宮川香山展で見て、その記憶もあたらしい。京都真葛は茶に寄り添って続いてきた。跡継ぎの真一さんも独特の感性と新たな道の模索と、なんとも頼もしくお見受けし、今後の真葛はますます発展されることと思い願う。
(憧れなんだけど、ちょっとお高くてなかなか買えないんだけどね〜(^_^;)







名残の夕ざり茶事 - 2018.10.28 Sun

春に茶事をしたっきり、今年はいろいろファミリーマターが多くて、全然できなかったのだが、やっと心身共におちついたので久々に夕ざり茶事を拙宅で。




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待合

半年ブランクがあると勘がにぶっていると思う。やはりほそぼそでも続けないと。




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我谷盆をちょうど行李蓋の大きさに作ってもらった煙草盆

今回のお正客は、夏に能の「天鼓」と「楊貴妃」をテーマに、プロの能楽師まで登場させてしまうというすごワザ茶事にお招きくださった方。



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くみだしは中国茶の菊花茶で

お返しにこちらも謡曲の一つをテーマの茶事にしてみたが、これは来月跡見でまた使うので、今回は伏せておく。



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ちょうど蝙蝠の柄の帯があったので、年甲斐もなく、ハロウィン仕様、、、なんちゃって。



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夕ざりは正午と夜咄のいいとこどりで、おわりも深更にならないから、片付けの時間もある。
さらに時は10月、名残の極侘びの季節、夕ざりがいかにもふさわしい。



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また、枝折り戸閉めるの忘れた。



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席入りは15時、この季節まだ外は明るいが、



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席中はほのぐらい。
けれど障子に映る日の影のうつろいが味わえる時間帯だ。

極侘びなので、風炉には全日根さんの大鉢を使った。実は今年、風炉の灰を作るのはじめて。前夜、電灯の下で作ったときはまあまあのでき、と思ったのだが、朝の光の下で見ると、、、ぎゃ〜〜〜!!なできであったが、しかし時すでに遅し。極侘びだし、、とか言い訳をしてみる。



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残花
李朝の民具(おそらく魚籠かなんか)に庭のすすき、コムラサキシキブ、茶の花を

茶の花はおもいっきりうつむくので、いれるのがむつかしい。



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名残の季節の寄せ向こう
古染付、古伊万里、ちょっとフライングの織部

名残の時期は普段使わない背の青い魚などもOKだと教えてもらった。



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例によって、懐石に力を使い果たす、、、、点前がなあ、、
皿は妙全さん



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初炭
この籠も李朝の民具、小さくて風炉の炭斗にぴったり。



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李朝白磁の祭器に盛るのは愛信堂さんの栗きんとん
栗だけの甘みでとてもあっさりと香り豊か(もちろん亭主は味見しますよ)



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中立のころはもう薄明
廊下の端っこに燈火をおいてみる。



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露地の灯籠や、あちこちに灯りをつけてまわる。
できれば燈火専門のお手伝いがほしいところ。



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後座の席入りの躙り口



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手燭や、李朝燈火器などでてらすと結構茶室内は明るくなる。
灰のまずさとかもみえなくなる(^_^;
周りが暗くてよくみえないので、灯りが届く範囲だけの凝縮された世界、そこでの主客のまじわり。
茶事のクライマックスだ。

今回いただきものであるが、小山園のずぬけて高い(自分ではよう買わん)濃茶を使った。もちろん事前味見、ちょっと独特の今まで味わったことのないような茶であった。あとは好き嫌いの問題であろう。



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亀廣保さんの干菓子 稲穂・鳴子・すずめ

薄茶では、ここぞとばかり、初使いの茶碗をならべる。ほとんど高麗(どんだけ高麗李朝好きなんだ)。普段気心のしれている方ばかりなので、話ははずんだ。



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露地の夜景
ここをとおって帰ってもらうはずが、気づけばけっこうな雨、お帰りは室内の廊下を通って。
秋雨も風情があってまたよし。お着物のお客様には帰りたいへんだったろうが。

かくしてリハビリ(?)茶事第一弾、無事におひらきとなった。
後片付けもしたら、めっちゃ疲れた。これはしばらくしなかったせいか、歳のせいか?








それぞれの茶会3席 - 2018.10.26 Fri

茶会が目白押しの秋です。いいですね〜。
一日でどれだけバラエティに富んだ茶会を味わえるか、洛中洛外をとびまわってみました。




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まずは朝の真葛が原西行庵。朝日をうける茅葺き屋根が美しい。
保存会3回目の例会は、毎年この時期、朽ちていた西行庵を復興させた宮田小文法師の小文忌茶会である。


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とてもお気に入りの二畳の茶室でお菓子(老松さんの栗きんとん)をいただき、円相床と道安囲が有名な皆如庵、高山右近ゆかりの茶室でもあるここで濃茶と続き薄。ご亭主は庵主である。円相床は背後から朝日を受け、時のうつろいとともに光の具合を変えていくのがなによりのご馳走なのである。



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茶杓が小堀遠州の四男・十左右衛門政貴の共筒「夕影」で、二畳に掛けてあった待合掛けが、この茶杓を茶杓300撰で有名な高原杓庵が写生し、説明を書いた物の軸装であって、響き合ってとても面白かった。

点心をいただいている最中に、匂いにつられて影の庵主(?)猫のくーちゃんにまた会えたのもうれしい。今のご時世、こんなすばらしい茶室を管理維持していくご苦労を思う。こうして使わせていただけるありがたさも感じつつ。



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日中は暑いくらいの陽気、建仁寺塔頭正伝永源院へ。
この寺は細川家の菩提寺であり、客殿は細川三斎が復興、現在の襖絵が細川護煕さんによって最近描かれたのも有名。



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またここに織田有楽が隠棲し、かの有名な如庵を建てた場所でもある。これは最近建てられた如庵写し、ここで一度口切り茶事に参席したことある。

と、いうことで、ここで有楽流と三斎流というめったに見られない流派の茶会がひらかれるのは、まことに縁が深いというべき。この二流派合同の茶会は今回2回目だそうだ。どちらも京都にお稽古場があり、武家茶道の興隆を、とはじめられたよし。




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有楽流ははじめてだった。待合は幽斎(三斎のおとうちゃん、古今伝授の巨人)の歌、本席では有楽の消息、中納言(どの中納言かは不明)宛の口切り茶事の案内状。皆具の織田木瓜紋がそれらしい。亭主はここのご住職。

三斎流は5年前、建仁寺栄西800年遠忌四頭茶会の時の副席ではじめてしった。お家元は出雲の方と聞いていたが、今回のご亭主は、京都に嫁がれたそこのお嬢様だった。女性用の「姫点前」ということで、しずしず細かい歩数で歩くのがいかにも姫っぽくていい。三斎流は多くの武家流がそうであるように、血縁でつなぐものではなく、後継者は弟子の中から選ばれるそうだ。だから点前の内容をかえることはないから、三斎のいた時代の点前に近いと思われるとのことであった。




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さて、夜の部
ここは紫野にある某高台
ここで鴨茶のTさんが新たに開発した?組み立て式茶室「阿吽居」である。おりしも後の名月、十三夜である。



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これはほんまによくできた構造で、ほぞのはいった棒をくみたてるので、自由自在融通無碍なのだ。組み立ても、撤収もあっというま。
ここで名月を仰ぎ見ながらの茶会、これまた楽しい。



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阿吽居は茶室の中から月見ができるし、どこでも躙り口になって、茶道口になって、自由なのがなにより。気の合う茶友との語らいもまた。


というわけで、栗名月を眺めながらこの日の茶会をしめくくり。佳き一日哉。





有職造花〜最初で最後?の雲上流展 - 2018.10.24 Wed



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十月の秋晴れの一日、蹴上の国際交流会館の和風別館へ



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ここで有職造花雲上流の造花展、おそらく最初で最後ではないかといわれる展示へ行きました。

有職造花は平安時代後期頃から、宮中の節会で用いられた儀式花を起源とするそうです。江戸時代、雲上流有職造花師開祖の華林家に初代村岡家が弟子入りし、以後その流れをうけついできましたが、当代の村岡登志一さん(村岡松華堂)が最後の伝承者になりました。(後継者がいないのはどちらの伝統工芸も同じですね(´・_・`) )




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まずは茱萸嚢
お茶をする人にはお馴染みです。9月9日の重陽の節句に飾られます。宮中で、端午の節句に飾られた薬玉をこの日に茱萸嚢にかえるならわしです。中には呉茱萸という漢方にも使われる薬草がはいっていて、厄除けに。
うちにも法輪寺でもらった小さいのがありますが、こんなりっぱなの、掛けてみたいな。




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端午の節句
葉菖蒲と蓬 昔はこれで屋根を葺いて厄除けしました。
すっきりして良い感じです。



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こんな見事な端午の節句飾りもありました。



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これこれ!一番ほしいやつ。
七夕には梶の葉!これもお茶やっている方にはなじみの乞巧奠の飾り。乞巧奠はかつて宮中では大事な節句行事でしたから、こんなのをたくさん掛けていたのでしょう。本物の梶の葉もいいけれど、あれはなまもんだから扱いがむつかしいので。



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上巳の節句(3月3日)は右近の橘左近の桜
お雛様の桜、橘の飾りもありました。




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ところでよ〜く見ると、この五色の糸の撚り方が交互になっているのがわかりますか?
ちょうどヘリンボーンみたいになっているの、芸がこまかい!有職故実ってここまでこだわるのね。



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五節句だけでなく、毎月の花の飾りもあって、これはそのなかの5月、藤の花
いずれもあまりに繊細で美しすぎる。

色味がいずれもはっきりしているのは、かつての宮中や屋敷の中は薄暗いので、そのなかで見せるためと聞きました。舞妓さんが白塗りなのと同じようなものね。あるいは秀吉の黄金の茶室も蝋燭の火でみると艶めかしく美しいのと同じ。



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はじめて知ったのは薬玉にも真行草の三種があること。お茶をやっている人にはお馴染みの真行草。
真ん中の薬玉が真で、宮中で好まれた物、左が行、お公家さんや茶人仕様、そして一番お馴染みの右の丸いものが草、町方の薬玉なんだそうです。なんだか行が一番りっぱにみえる(^_^;




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大きな物ばかりではなく、こんな舞妓さんの髪飾りにでもしたいようなかわいらしいものもあります。



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一つ一つを間近でみると、とてもとても細かい作業で感動します。
特にこの桜のしべや、、、、



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この柳の花!
ほそいほそい絹糸なんですが、これはほんとうにすばらしいです。その先の花粉まで、うお〜〜〜!っと萌えすぎました。



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このような有職造花は絹を手染めするところから始まって、和紙を裏打ちしたり、小さな布片に球形のこてをあてて花弁の丸みをつけたり、ひとつひとつ作るのです。ちょっと気が遠くなるような手作業。当世のはやりではないとて、それだけに当代で後を継ぐ人がいらっしゃらない。あまりに残念すぎます。

需要はまだ、お雛様などの飾りにあると思うのですが、五節句の意味をしらない人もふえた昨今、大きな物は飾られることもなくなったでしょうね。



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この展示のもうひとつのお楽しみは和風館の庭での添え釜。
実は主催者が想定したよりはるかに多くのお客様がこられたので(800人とか)、この日は30分でお茶席がなくなったそうです。私は事前になくなりそう、という情報をゲットしたので、なんとかすべりこみ、無事茶席へ入れました。

このスタイリッシュな点茶盤は金沢の釜師宮崎寒雉さんの弟さんがてがけたもの。



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風炉もそれで、釜は当代寒雉という兄弟コラボ、ご亭主もゆかりの方で。
この風炉、電熱なのですがとっても良い感じです。



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脇山さとみさんのとぼけたお皿には、展示にちなんで桜橘の松露
愛用している和菓子・青洋さんのもの。

さらに、、、



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青洋さんが、今回の有職造花各季節をイメージして作ったという干菓子の数々!
あまりにすてきすぎて、どれも良くて、どれを選ぶかかなり迷いましたよ。なんとか席にまにあって、このお菓子がいただけてしあわせです。





信楽・まさんど窯の窯焚き - 2018.10.21 Sun

十数年ぶりの完徹(途中ちょっと寝オチ)をした。さすがにこの歳ではこたえたが、翌朝のすがすがしく晴れた心持ちはなんともいいようがない。



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夕刻信楽朝宮に着いたときには、上弦の月がもうこのように空高くのぼっていた。
井戸茶碗つくりとサラリーマンの二足の草鞋をはく、まさんど窯のあるじ、平金昌人さんの手作り窯(2号機)の窯焚きをにぎやかしに。(まさんど窯の記事が次号「和楽」に出る予定)

なにしろ今回は、先だってここで生まれて初めて自分で轆轤をひいた茶碗および五輪塔etcが混じっているのだ。



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古民家の母屋からちょっと離れた窯場。左手にはうずたかく積まれた薪の山。

迷って迷って、電灯一つない暗い小森沿いの小径で、正体不明のケモノの鳴き声におびえつつやっと到着した。窯焚きを見たい?手伝いたい?ギャラリーも数人。私ははじめからお手伝い人員外(^_^; 賑やかし専門。


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前日からオイルバーナーで徐々に窯の温度を上げているという。



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窯の温度はこのとき1149度、いよいよ薪に切替。



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窯の鋼鉄の蓋は真っ赤にやけている。先ほどの月も沈んで、周りはほんまに真っ暗だから、この赤い炎だけがこの世界みたいだ。



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温度を確認しながら、窯の後方の煙突の炎の色を見ながら薪をくべていく。
これが体力勝負、気力勝負の過酷な作業とわかるのは後ほどである。



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薪をくべると水蒸気とともに炎は赤くのぼるのだが、しばらくすると炎は透明になってくる。これが温度があがった印なのだそうだ。透明になる瞬間がまた見たくて、なんども煙突に目をやる。



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中をちらっとのぞくと炎は高温すぎて赤と言うより白く、渦をまく。なかで白熱している茶碗が瞬間見えたが、なにか神々しいような感じがする。

数分おきに窯に薪を数本入れる、閉める、また入れる、、、を一晩中いったい何回繰り返すのだろう。
前日、火をいれてから、一睡もしていない平金さんは今夜二日目の徹夜である。



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窯場においたテーブルには野菊の花がいけられるなど、これは心の潤い。ここ、朝宮に手作りの窯を築いて、今回は1号機の失敗(らしい)をふまえての2号機、この2号機4回目の窯焚きだそうだ。
過去3回に失敗もあったそうだが、今回はなんか温度の上がり方が良い感じなのだそうだ。シロウトにはよくわからないけど。



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ノートには30分おきに窯の温度の記録が。
薪を入れるたびに一度下がってあとはぐんぐん上昇する。上がれ!上がれ!とつい心で応援してしまう。最終的に1200を少し越すところまでいった時にはおもわず万歳。黒楽茶碗が1200〜1300度というから、かなりの高温である。



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さて、サポート班はいちど母屋にもどって、、、



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みんなで窯場飯(?)作り。
メニューは豚汁と鮭ご飯(ご飯のストックがすくなくてご飯鮭になったけど(^_^;)ご近所のMさんの手際のよさ、Hさんの椎茸の軸まで刻む包丁さばきがひかる(^ ^)



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ご飯は仕込んで窯場のカセットコンロで炊き上げた。これがまたご馳走でなんである。



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窯場のまわりは漆黒の夜なのに、ここだけ明るい火の前でご飯をたべたり、お酒やビールをのんだり、談笑したり、この夜をすごす時間が貴重だ。
平金さんは一番疲れているはずなのに、みんなが寝オチしないように、いろいろ窯のはなし、茶碗の話、お茶の話をいろいろしてくださる。ギャラリーは途中で帰る方もいたがMAX8人で、窯焚きへの思いもさまざま、お話しを聞くのは興味深い。



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あるじ以外に大活躍した、茶友の一番若いEちゃん。薪をいれる体勢がもうプロで男前だった。そして針金でしばられた薪をせっせとばらしていた(これも結構重労働)Iちゃん。彼は自分で茶碗も作る。こんな助っ人がいてもしんどい作業、これは一人ではできん仕事だわ。




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不肖ワタクシも割烹着へっぴり腰で数回薪いれをさせてもらった。。
熱い!ほんま熱いのよ、これが。
外が気温がどんどん下がって吐く息が白いのに、この前で作業すると大汗をかくのもわかる。

窯の前の椅子にすわっていると顔はあつくほてるが体は温泉にはいったみたいに(遠赤外線効果?)ほかほかで実に気持ちよく、、寝てしまうわ、、、。



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時々搔きだされる熾はきらきらと白く輝く宝石のようで美しい。

対して、寒い寒い少しはなれた真っ暗な場所では、空を見上げておもわずうなってしまった。

銀河がみえるのだもの。夜中もすぎると華やかな冬の星座がもう登ってきている。オリオン座、すばる、双子座、牡牛座、北の空にはカシオペアもみつけた。

半分眠っていた脳を一度に覚醒させたこの景色は、一生忘れないんじゃないかな。



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夜中の3時もすぎると少々疲労の色がみんなにでてくるが、ここでミニ茶会がはじまる。お菓子の差し入れもいっぱいあるし。



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茶箱の女王(?茶箱好きが高じて茶箱の本までだした)Hさんの茶箱で一服。夜中の胃袋にしみわたる。健康で、このひとときを楽しめることに感謝。



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私が持参した茶箱では中国茶を。極上の単叢蜜香烏龍茶どす。
もつ鍋の中身をさしいれてくれたSさんも自慢の沓形茶箱をみせてくれた(みんなどれだけ茶箱が好きなんだ!)


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そうこうするうちにも薪はどんどんくべられ、、、

明け方朝ご飯を仕込みに母屋へかえったサポート隊、そろそろできあがり、、のころに窯焚き終了したと、窯焚き組が帰ってこられた。




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食器の片付けに窯場までもどるとすっかり夜はあけて、あたりがこんなに開放的な場所だったのか、とはじめて知った。
窯の火と作業小屋の灯りだけの世界にやわらかく抱かれて繭の中のような閉鎖的空間にいたような錯覚をもっていたが。



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とりあえず玄米ご飯と昨夜の残りの汁で朝ご飯をすますと、二徹夜した平金さんは爆睡しに寝室へ。我々も即席ベッドで仮眠。昔は仕事柄しょっちゅう夜中おきて仮眠してまた寝てが平気だったが、さすがに年寄りの冷や水、こたえかたがちがうわ〜。でも一時間ほど眠るとかなり回復した。



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9時前においとましたが、そのときの座敷にはいりこむ朝の光の美しいこと。私は仕事全然していないけれど徹夜した、仕事を見とどけた(?)という達成感?でより美しく感じたので、ほんとうに仕事をこなした人たちにはどんなに美しかろうと思う。ただし、平金さんはたぶん夕方まで爆睡だと思うが。

窯出しは後日、自作の茶碗の完成形に出会える。自信作では全然ないが(そもそも自信作なんてないけど)わくわくしながら待つとしよう。






手作りの懐石とお菓子がとても楽しみな〜K庵様の名残の茶事 - 2018.10.18 Thu

洛南東寺のほとりで毎月点心付きの月釜をされているお茶友のK庵さま。(A庵様と3人で奥伝稽古を昔した仲です。)
お料理がとてもお上手なので、ついつい懐石やお菓子目当てに(^_^;行きたい〜と思えど、なかなか人気で予約がとれない。



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ところが今回海外から帰国中のお茶友さんのご所望でエクストラに茶事をされるとのこと、お相伴にあずかることができて、なんとうれしいこと!



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そういえばこちらへ伺ったのも久しぶり。一軒のおうちを上手に茶事茶会のためだけにリノベされて、露地もいい感じに苔がなじんできました。

「(語尽)山雲海月情」の軸に見守られて、顔見知りばかりの御連客様と、語り尽くす一期一会です。(ほとんど'ガールズトーク’(^_^;)



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(すみません。待ちきれず写真を撮る前にちょっと食べちゃいました)

最近の戦利品とおっしゃる小ぶりの折敷、四つ碗ではなく雨傘にて。汁の小豆銀杏入りの生麩(麩嘉さんの萩麩)が美味しい。
名残の茶事にふさわしく、寄せ向こうで。私のは黄瀬戸、他に古染写、青磁、乾山写など。皮をあぶった鰆がまた濃厚。



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煮物椀がこれまた意表を突く牛蒡豆腐にウナギ+冬瓜。
牛蒡豆腐なんて、家でつくれるなんて思わなかったよ。



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魚の名前は忘れましたが、一見太刀魚かな、と思った焼物。肉厚でぷりぷり、この包丁の入れ方がプロですわ。

私の懐石は、なるたけ手間をはぶこうと、いつもワンパターン、これだけの物をだしていただくと、自分のはおだしするのも恥ずかしくなるわ。



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柿なますの白和え。
御連客のおひとりは、これまたとても美味しい懐石を手ばやく作られる茶事の達人さんなので、これのレシピは、、、とか、こういう工夫をすれば手早くできるとか、いろいろスキルをおうかがいできたのもありがたかったです。

海外でお茶をおしえておられる(この茶事の発端となった)御連客も、茶事の工夫や懐石をあれこれ頭にメモっておられる。海外ともなれば食材の調達とかもご苦労は多いこととお察しする。




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きれいな丸灰に仕上げた小ぶりの朝鮮風炉に、大板がご馳走。お約束通り名残の季節の「寄せ香」、しかもわざわざ香を削って紅葉の葉にくっつける「付け干香」を作ってくださる、という手の掛かりよう。すばらしいです。ほんまによく勉強してはるな〜と、感激。

初炭のあとはこれまたお手製の主菓子。こなしの上に栗のきんとんをのせた「枯れ野」と命名されたお菓子。
これがまた美味しくてね〜。菓子もプロ級なのでなにをかいわんやですわ。(私は絶対に人様におだしする菓子は作りません!だって出来がひどすぎ、、、、)

  


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中立後の後座、残花も名残
ピンクのベンケイソウが愛らしく、一見ヤブミョウガの実に見えるのがヒメヒオウギの実という、これは初見。

呉器に濃茶は一人1匁(3.75g)をきっちり測って練ってくれたので、結構なボリュームになりましたが、美味しかった!(私はいつも一人3gなので、かなり濃いめ)
茶入はころんとしたかわいい祥瑞でしたが、よくこれに4人分15g入ったなあ〜と感心します。
茶杓の名が「柴之戸」

   柴之戸に茶を木の葉搔く嵐かな (芭蕉)



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後炭の時に所望した風炉中拝見(横から撮ってます)
そろそろ火の暖かさが恋しい季節になりました。

薄茶はなんと茶箱の月点前で!
もう一人の御連客が茶箱のプロフェッショナルでいらして、茶箱の本まで出されている方だったので、これはなるほどの演出です。
箱の蓋裏には圓能斎の句と花押あり、茶箱に附属してきた、という虫明茶碗もとてもよかったです。替え茶碗がなんと、まさんど窯の井戸でした〜(^∇^)



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そしてまた感動してやまないのが薄茶の菓子、もちろんお手製。
栗の渋皮煮、無花果のコンポート、なにより手間がかかってすばらしいのが干琥珀をまとったブドウ。山梨の銘菓「月の雫」(私はいちど自作しようとして挫折した)を彷彿とさせるもので、見た目も美しくさらにおいしい。

というわけで、懐石とお菓子がメインのリポートになりましたが、期待にたがわず、いやそれ以上、美味しい美味しい名残の茶事でありました。
K庵さま、ありがとうございました〜ヽ(´∀`)ノ





梅湯ツアー〜旧五条楽園散歩 - 2018.10.15 Mon

新旧乙女でサウナの梅湯ツアーをいたしました。




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実はこの銭湯が建っているのは五条楽園という、まあいえば遊郭がつい最近まであったところです。2010年警察の手入れがあって以降、ほとんどの「お茶屋」が廃業してしまったので、その昔のその筋の建物が廃墟っぽく残っていますが、それ以前はちょっと足をふみいれることができない場所でした。(今でも某指定B団の事務所あるし)

そんな場所にあった老舗銭湯、数年前廃業されようとしたときに、受け継いだのが20代の若者だった、ということでちょっと有名になりました。この方にさる飲み屋さんでお目にかかったことがあり、一度は行きたいと前々から思っていたのですが、声をかけたら「私も!」という乙女が数人、で、ならば梅湯ツアーを、ということに。



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昔の銭湯の番台は男女湯両方見渡せる場所にあったけれど、そこはリノベーションして、番台だけ独立型。入浴グッズも完備なので、手ぶらで入れます。
脱衣所なども手作り感あるリノベ、そしてドライヤーとか、クレンジングとかローションとか、使いやすい工夫があちこちに。でも脱衣ロッカーはレトロな昔のまま。学生時代は銭湯にほんまにお世話になったので、懐かしい!

湯船につかってほんまにほかほか。サウナもあるけど、私は苦手なのでパス。
ここの客層は、昔っから愛用している地元の方々(五条楽園にも普通の民家があるとは実はしらなかった)、若干年齢層高し、と国内外の観光客もけっこういるみたいです。

湯からあがったら、これもリノベされた二階で休憩できるので、サイダーとか、お約束の珈琲牛乳とかマミーとかゆっくり飲めるのです。ここの窓ガラスは古いなみなみガラス(波打っている)で良い風情。




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経営者がお若いので、いろんなアーティストや職人さんとのコラボで、梅湯グッズも販売、タオルは迷わずゲットしました。ほかにケロリン洗面器がすっぽりはいるビニール引きのトートバッグとか。
帰りは彼が番台にいなかったっけれど、「ボイラー室にいます」の札に、がんばってや〜と思わず声をかけたくなりました。



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風呂上がりには高瀬川向かいのキコク食堂へ。
キコクとはすぐ向かいにある枳殻邸(渉成園)からきた名前でしょう。




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良い味出してるおっちゃんがやってる食堂で、メニューが昭和でなかせます。
ビール飲みつつあれこれ注文、フライ系が多くておいしいのだけれど、



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唯一首をかしげたのが「シュウマイのフライ」
なんでシュウマイをフライにするかな〜(^_^;
あとラーメンではなく中華そば!!めちゃ美味しかったです。



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そのあとは風呂上がりほろよい加減で夜の旧五条楽園散歩。ガイドはかつてご近所に住んでた乙女。
昔なら考えられんことやけど。

これは高瀬川べりに近所の住民が勝手においたとおぼしき涼み台?ここで川風にふかれるのも気持ちよいです。



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本来ならばツアーの予定にはいっていた「眼科・外科医療器具歴史博物館」、これも行きたかったのですが現在休館中。歴史を感じさせる仕舞屋でしたが。



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あとは迷路のような楽園をぐるぐる。

これもその筋のお茶屋だった建物。廃業後ゆえ、まっくらですが、建物的には雰囲気があります。こんなお茶屋建築がたくさん廃墟となって残ってますが、これを観光資源として利用しない手はないので、数年後にこれは旅館とかレストランとかカフェとかになるのではないかと思います。今でも楽園内の小さな飲みやさんとか、外国人観光客がたくさんはいっていました。



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そしてあの任天堂の旧本社もこの五条楽園にあるのです。



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建築は昭和8年とか。


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お茶屋建築と同時にたくさんのこっているのがタイル張りの壁が特徴のカフェー建築。
おしゃれなカフェじゃなくて、女給さんがサービスしてた時代のカフェーです。それが今じゃほんまのおしゃれなカフェにリノベ。



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楽園で遊ぶ前後に利用した人も多いのでしょう。でもかわいい。



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こんな建物をウォッチングするのも現在ならでの楽しみ。写真もたくさん撮ったのですが、真っ暗すぎてこのくらいで。あとは是非、梅湯につかりがてらおでかけください。



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ツアーの最後は五条近くの鴨川の河原で鴨茶。
乙女のMちゃんが道具一式をさらっとだしてあっというまに茶席のできあがり。鴨川眺めながらのお茶はいつもながら大変美味しいです。




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そしてお茶している横をとおりすぎる通行人も、「まあ、鴨川だからね」とやさしくスルーしてくれるのが京都のいいところ。鴨川万歳!です。

残念ながら月は見えませんでしたが、楽しい乙女ツアーでありました。みんなありがとう。






興福寺中金堂再建落慶法要〜慶讃茶会 - 2018.10.13 Sat

藤原不比等によって建立されたのち、幾度か、1717年、最後に焼失した奈良・興福寺の中金堂、平成22年の平城京遷都1300年をきっかけに再建するプロジェクトが動き出した。そして今年ついに完成、めでたく落慶法要をむかえる。



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ああ、見えてきた見えてきた。雲一つない青空を背景に立つ中金堂。

法要はなんと5日間も行われ、毎日日替わりで法要の内容も、藤田美術館+千宗屋主催の慶讃茶会の道具内容も変わる、、、という中身の濃さ。毎日行ってもその価値がある、といわれたが、残念ながら仕事のある身、私がいったのは3日目(10月9日)であった。



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この壮麗さ、華やかさ!これはやはり奈良の寺院なればこそ。いつもは春日大社国宝殿におさまっている鼉太鼓も登場。(春日大社も興福寺も藤原氏ゆかりの寺社だからね。)

法要にはこの日だけでも3000人という参列者。



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法要を行われる猊下・式衆の沓



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この日は南都諸大寺(薬師寺・東大寺・法隆寺・西大寺・唐招提寺)の僧堂の方々。晴天に華やかな僧衣が美しくまぶしい。




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まるで天平時代の一大ページェントをみているようだな。

行くことがかなわなかったが、翌日は南都北嶺と並び称せられ、いずれも暴れん坊(強訴)で教義的に敵対関係にあった比叡山の天台座主が600余年の歳月を経て、興福寺の法要においでになる、という歴史的な法要になったらしい。天台声明も実によかったそうだ。



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まずは南都楽所による舞楽、「振鉾三節」
儀式の最初に舞われる曲だそうだ。いかんせん,遠くてあまり見えないが、オーロラビジョンでなんとか。これって音楽のライブみたいだな〜(^_^;



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5日連続で献茶される武者小路千家の若、千宗屋さん。のちに濃茶席を藤田美術館館長さんと担当される。


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これもオーロラビジョンじゃないと見えないわ。
この時のBGM(?)が薬師寺管主さまの唄匿(法要の最初に唱えられる声明)
錫杖の音を響かせる法隆寺式衆、そして、、、



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晴天に舞い上がる散華!
美しい風景

この散華は中金堂再建のために寄進された善男善女が二枚書いた、その一枚だそうだ。もう一枚はこの中金堂の天井裏に納められたと聞く。

散華の後は東大寺による梵音(声明の一)



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この日は舞囃子が演じられたが、なんと!!
当日の式次第を見てはじめて知ったのだが、私の能の師匠ではないか!
しかも演目が大好きな「菊慈童」 一番のサプライズであった。
ただ、お堂に向かって舞われるので、ほとんど後姿ばかりでしたが(^_^;
(後に先生は3000人にお尻向けて舞ったのはじめて、とおっしゃってました)

つづけて祝辞、読経、焼香と続き、この日の法要はおひらきとなった。

こんな壮麗な落慶法要なんて、ほとんど参加する機会はないので、たいへん貴重な体験であった。(お手配下さったFさまに感謝)



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そのあと慶讃茶会へ
濃茶席担当が藤田美術館、しかも道具日替わり、というのでとても楽しみにしていた。
(藤田は現在建て替え休館中)

その期待にたがわずすばらしい席であった。
なによりお点前が木津宗匠、半東に千宗屋さん、藤田の館長という贅沢さ。
慶讃茶会に藤田を引きずり出したのが宗屋さん、お二人は同年代なのでとても仲よしらしいです。

道具をいずれも奈良の古寺の法要というのを念頭におかれて決められたとか。

待合の軸は鎌倉期の虚空蔵菩薩画像に、伎楽面・迦楼羅(天平時代の伎楽面師・基永師作)
(他日は、興福寺伝来千体聖観音菩薩立像とか、法隆寺夢殿所要の青銅風鐸とかいずれもすごい〜)



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本席の軸は5日通して聖一国師(円爾弁円)の南都勧請尺牘と会記に書いてあったが、この中日だけのサプライズ、法隆寺伝来の金銅灌頂幡の一枚。飛天の透かし彫りのある金銅製板だが、これを藤田家の古材でつくった板にとりつけてあり、これは館長みずから工作されたそうだ。
灌頂幡は後に知った名前だが(博学のM女史に聞いた)調べてみるとたしかにこんな感じの板が何枚も連結されてぶら下がっていて、そのうちの一枚だとわかった。1300年の時を経て、なお金色の輝きを放つこれは神々しくて胸をうった。(灌頂幡・参考→

釜は与次郎の東陽坊、水指:南蛮〆切芋頭、茶入:唐物肩衝「蘆庵」島津家伝来、花入:砧青磁、茶杓が珠光作「茶瓢」宗旦文添、で、なんとも変わった形。

主茶碗が日替わりでこの日は三井家伝来彫三島「あらがき」
外の檜垣紋がとちゅうで抜けているので荒垣、と名付けられたそうだ。これがけっこうどっしりした大きめの彫三島で色もグレー〜薄紅と窯変が美しく、なによりしっかりした高台がいいと思った。高台の半径、高さの比率がいい、というのはこういうことか。

実際木津宗匠が練られた正客の茶碗は一入の黒楽、私がいただいたのは三玄院天目。仁清の写しが有名だがそのもとになったもの。

ちなみに他日は、紹鷗伝来の大井戸「蓬莱(もしくは武蔵)」、長次郎赤楽「恩城寺」、柿の蔕「大津」、志野割高台「朝陽」(これ見たかったな〜)いずれもすごいラインナップ。

お菓子は奈良・樫舎さんの千代見草(=菊)、これも法要の五色(赤・緑・黄・紫・白)を日替わりで。この日は黄色であった。

法要でしびれ、茶席でしびれ、ほんまに満ち足りた一日であったなあ。
このあと新しくなった国宝館で久しぶりに阿修羅に会いに行ったのは言うまでもない。(昔はふつ〜にしょぼいガラスケースの一角にならんでいたのにえらく出世したよな)



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引き出物が茶席の茶入の仕覆の一つでもあった「興福寺銀襴」(龍村製)であったのも佳き記念になる。


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散華





台湾旅行2018〜その3・十分ランタン飛ばし - 2018.10.11 Thu

九份から1時間に1本しかない平渓線の電車で30分ほど、十分(シーフェン)という町がある。



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ごらんのとおり鉄道の両脇にぎりっぎりまで店が建ち並ぶ。



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そして、1時間に1本しかないことをいいことに、観光客は線路内へはいりまくりなのである。



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ここは大きなランタン飛ばしで有名な観光地なのだが、あいにくの大雨、こりゃあかんわ、、、、と思っていたが、大雨でもみんなとばすのだ。
ここに積み重ねられているのが畳んだ状態のランタン。




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びしょぬれになりながらも線路内で飛ばしてる人たち。



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ちょっと他の人のを偵察



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手をはなすと、、、



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なるほど、こんな感じで飛んでいくのね。



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こんなイメージだったけれど、若干違う〜。
まあ、くどいけど大雨なんで、絶対的観光客数は少なかったと思うし。

ちなみにこの絵はがきは旧正月におこなわれるランタン祭りの時のもので、ほんまにすごいらしい。「塔の上のラプンツェル」のランタン飛ばしのモデルになった祭りだ。




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単色もあるが、4色のを選んで4面に願い事を書く。色にはそれぞれ意味があるらしいが、この際無視。年長さんの願いなんてこんなもんよ。



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お店の人が写真撮影をせっせとしてくれるので、飛ばす前にまず一枚。



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熱源はオイルをしみこませた紙。これに火をつけて、、、、



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ふくらんだところで手を離す。
もちろん線路内(^_^;



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雨にもかかわらず飛んでいった。



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異国の言葉が書かれた、他の人があげるランタンも楽しみながら、、、



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あがるたびに歓声があがるのもまた楽しい。みんな童心にかえっているね。





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このランタン飛ばしの場所のすぐ近くに鉄道の十分駅がある。こんな風に落下しているランタンもあり、燃えたままおちてきて、火事にならないかと心配だったり。



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さあ、一時間に1本の電車が来た!
このローカル線にゆられて、また台北にもどる。

その足で空港へ、そして日本へ。
けっこうタイトな旅であった。子供連れだと時間が普通の1.8倍かかる、という計算で行動せねばならないのも学習。しかし、年々子供は成長するから、来年には1.3倍くらいですむかもしれぬなあ。

楽しい思い出となりますように。




台湾旅行2018〜その2・九份 - 2018.10.10 Wed



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昼過ぎに台北駅から鉄道で



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またしても英語表示より漢字表示を読もうとして、「月台?」ってなに?
プラットホームのことなんね。



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平渓線の急行で約40分



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瑞芳(ルイファン)駅に到着


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さらにタクシーで20分ほど、山道をぐるぐる、一大観光地、九份(ジウフェン)に到着!
ひょ〜!海が見える。

なんでこんな山の中、、、というとここはかつて豊富な金鉱があって、戦前はゴールドラッシュでわいたらしい。戦後閉山したが、レトロな町並みが近年見直されて一大観光地となったとか。




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こんな坂道がずっとあちこちに迷路のようにつらなる。
映画「非情城市」の舞台となってさらに有名になったらしいが、残念ながら、その映画はみたことがない。



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日本では「千と千尋の神隠し」の湯ば〜ばの屋敷のモデルとなったとして有名。
あちこちにカオナシのオブジェがあった(^_^;



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細い斜面になった道の両脇は食べ物屋やお土産物屋がところせましと並ぶ。



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観光客は主に台湾、中国(今外交問題あるけど)、韓国そして日本から。



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うちらの世代にはどこか懐かしい夜店的風景。



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どこまでも続く商店街


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食べ物を食べ歩きしたり、買い物したり、、、



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夜景がいっそう「千と千尋」みたい。



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ここはかつて鉱山の男たちが楽しんだという映画館の跡をレストランにした店
二階で夜景を見ながら、これもはずせない小籠包を食べる。



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夜はさらに更けて赤い提灯が美しい時間帯、観光客の数はまだまだ減らない。



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どこかの茶藝館でお茶をのみたかったので、こちらのお店に。



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阿妹茶酒館

「非情城市」の舞台となっただけあって、外観も中もなかなかステキだ。



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あ、こりゃますます「千と千尋」だ。



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こちらの棟で中国茶を
ここからは夜の海の展望がのぞめてそれもすてきであった。



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4種のお茶菓子に、、、



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阿里山烏龍茶
一煎目はお店のおばちゃんがいれてくれたが、あとは足元にある大きな火鉢にかかった土瓶からお湯をついで、何煎でもいけるのだ。



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九份の夜はもう赤提灯のめくるめく世界



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九份に泊まって、一夜明けると朝は大雨
まだ観光客の姿がまばらで店もあまり開いていなくて、昨夜の喧噪がうそのようだ。



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朝は商店街以外の迷路のような通りを散策。



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なんか郷愁をそそる建物だなあ。



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ここに住み着いた若手陶芸家さんもたくさんいるらしく、あちこちに陶芸ショップもあった。



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ここで朝ご飯を食べようとおもったが、どこも開いていない。



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厨房に声をかけたが、お店の人もいない。



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たまに開いている店があり、ここの試食のパイナップルケーキが美味しかったので、お土産に買う。




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このあとゲリラ豪雨的な大雨におそわれ、雨宿りをしたのが、その名も「非情城市」というレストラン。まだ開いていないけれど、良い雰囲気だ。



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これで九份をあとにするのだが、ここの景色の中での一番のお気に入り。
入りたいのに、ダメとか待て!といわれてこの姿勢でずーっとけなげに待っていたわんちゃん(*^_^*)




台湾旅行2018〜その1・故宮博物院 - 2018.10.10 Wed

連休を利用して台湾旅行、、、、といいてもたかだか二泊だし、孫1号を連れての旅なので、ピンポイントねらいの旅である。(できれば後日ゆっくり大人だけで行き直したいわ〜)




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台北桃薗国際空港
浸水の被害の跡もなまなましい関空から二時間半、ほんっと近いのな。



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おりしも10月10日(辛亥革命の始まった日=共和制の中華民国建国)は台湾の建国記念日(国慶節)なんで、こんなプレイベントそしてのパレードがくりひろげられていた。



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バイクの連隊がなんかかっこいい。



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さて、とりあえず一番行きたかった国立故宮博物院
ここははずせないでしょう。



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朝の8時半に入館したので、中はわりとスムーズにはいれたが、帰る頃には団体さんでいっぱいでえらいことになっていた。なんでも早めがおすすめ。



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ここの荷物入れのロッカーがおしゃれ♪



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最近日本にも来た翠玉白菜、これはここの超目玉である。(ミュージアムグッズも白菜グッズだらけ〜)

日本で見損ねて、やっとみることができたが、意外と小さいのね。でもなんという精巧な美しさ。
へばりついているキリギリスとイナゴもばっちり見たわ。玉のこの色の部分を探り当てて彫った職人の超絶技巧!

この博物館もヨーロッパなみで写真OKなのがうれしい。



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お!東坡肉!
と言いたくなる肉形石
よくこんな天然石、見つけたねえ。そしてよく肉を連想したねえ、、、



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さてさて、孫の年長児さんは早くも飽きてきて、走り回るし、それをなだめつつ拝見するのはけっこうたいへんだった。要所要所しか見られんなあ。



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この玉もまたまた超絶技巧。これ以上の精緻な物もたくさんあったが、そういうわけで、じっくりとは見られなかった(^_^;



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翠玉の衝立も灯を透かしてみるとさらに美しい。
歴代皇帝のコレクション、こんな調度に囲まれて暮らしていた時代に思いをはせる。

もとより中国の紫禁城にあったもので、戦争やら内戦やらで海を渡った数奇な運命の宝物。
中国(中共)から返還要求もあるらしいが、そこは政治的問題、なかなかむつかしい。



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特別展は香道具



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これは金属の重香合で、香の道具もここ、中国から日本へわたってきたもの、道具がなじみのある。



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日本の香道具とほぼ同じ。



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個人的には青花(染付)の焼物をみたかった。
これらは14〜15世紀のもので、日本で人気の古染は17世紀だから、それよりかなり古い物になる。


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やはり宮中で使われたのだろう、端整な美しさ。ときどきぽとっとコバルトの釉薬が液だれして濃くなっているところがツボ。



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これもちらっと見たよ。
唐代の傭立女傭。正倉院の鳥毛立女図の原型だなあ〜。



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もとより中国語はさっぱりわからないので、英語の表示をさがすのだが、つい漢字の方を読もうとしてしまう。そのあげくだいたいわかるものもあれば、なんだこれ???と首をひねるものも多く、英語を読んでようやく納得。最初から英語表示をよめばいいのに、同じ文字を使う民族のさがかしら。



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このお持ち帰りもわかるようでわからないよねえ。



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これはわかるけどね〜ヽ(´∀`)ノ




銀月サロン・秋の茶会2018〜銀月アパートメント - 2018.10.07 Sun



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北白川、疏水近くの銀月アパートメント
築年数不明、映画のロケ地としても有名。




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エントランスの枝垂れ桜は、もう葉っぱが色づきはじめて、金木犀が今盛りを迎え、あたりに佳香をはなつこの季節。




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ここのぎしぎしいう階段をのぼって、、、、



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二階の部屋の銀月サロン
夏の間はクーラーがないのでお休みだったので、お久しぶり




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小さなサロンのなかにも金木犀の香りがいっぱい、、、と思ったら、ここにも小さな枝



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足元にも金木犀〜桂花



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さて、本日の茶会のテーマは、、、、
東方美人茶(Oriental Beauty)を飲み比べよう!

東方美人茶は、葉をウンカにワザと食害させ、それに茶葉が防御のための物質を生成する、それが独特のアロマを生むという茶だ。ウンカに食べさせるため農薬は使えない、だから規模が小さい台湾の茶縁でしか管理できないので作られていない。(中国本土はプランテーションだから) 




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お菓子は銀月さんが台湾で仕入れてきた、クセになりそうな椎茸のフリーズドライ、今まで食べたどれより美味しいマンゴーチップ、パイナップルチップ、そして今台湾で人気というヌガー。




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お茶は、、、
1)台湾の店頭でよく売られている東方美人茶(それでもそこそこ高価)
2)農園で直接買い付けた茶葉 
3)同じ農園だが一斤(約600g)18万する最高級茶葉



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実のところ、一番安いものでも結構美味しい。独特の香りが東方美人!という感じで。
ところが続いて2)3)を飲むと、はじめむしろインパクトが少ないのでするっと入るのだが、そのあと口に広がる甘い香りが全く別物なのだ。




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左が2)、右が1)
茶葉の大きさも茶殻の美しさも違うのだ。

しかし、600g18万はやっぱり買えないよね〜(^_^;




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この日の点心は、秋刀魚の粥と大根餅+生姜、椎茸二種の醤で

鰯と豚肉を特製豆板醤で味付けてお粥にのせているのだが、これがまた美味しい。実は点心が楽しみで参加しているようなもの?(^_^;



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デザートは豆花に特製グラノーラに岩茶の蜜(岩茶に黒砂糖、生姜)
お茶の蜜がこんなに美味しいとは!



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サロンの器もとてもセンスがよい。
これは古伊万里の葡萄と栗鼠(「武道を律する」に通じて武家にはやった紋様)紋様。こんなのなかなか探してもないよ。




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最後に、部屋中にただよう金木犀を集めたような、桂花烏龍茶(金木犀の花のドライ入り)をいただいてお開きです。
今回も美しい美味しいひとときであった。







活版印刷リバイバル - 2018.10.04 Thu

文庫本をはじめて読破したのは中学生になってからだった。
いままで少年少女版を読んでいたので、ちょっと大人になったような気がした。当時は文庫本も、印刷物はほぼ活版印刷で、薄茶色の紙に活字のところだけへこんでいて、文字が紙に食い込んでいる感じがとても好きだった。

いつのころからか(70年代〜らしい)、それはなくなって、印刷物はほぼオフセット印刷になり、紙のデコボコはなくなってしまった。
活版印刷は活字をひろって間も埋めて、版をつくるとても手間の掛かる作業だから、簡単きれいなオフセットにとってかわられるのはわかるのだが、あの微妙な紙の凹凸の陰翳や手触りがなくなったのはさみしい。




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しかし、CD全盛の時代でも、音楽はレコードプレイヤーでないと、というファンがおられるように、印刷はやっぱり活版印刷がいいなあ、という人は結構多いのだ。
かくいう私も、唐長で特注した名刺の紙には活版印刷でないと、と河原町二条の十分屋さんにお願いした。
この絶滅危惧種だった活版印刷、いままたひそかにリバイバルブームなのだ。
梅田阪急デパートでなんと活版印刷特設会場が期間限定で!




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全国から、活版印刷の魅力に気づいてそれをなりわいとしている小さな印刷屋さんが数店あつまって商品の販売やら、実際に活字を組んで刷ってもらうワークショップなどなど。
使われる印刷機は手刷りの小さなのものだけなので(本などを印刷するのはもっと大きい機械が必要・十分屋さんにあった)、ハガキやカード、名刺、メモ用紙といったたぐいだ。




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これが活版の活字
樹脂で絵も版におこせるらしい。



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これこれ
写真ではわかりにくいと思うが、字が紙にくいこんでいるのよね(萌え)インクのにおいまでするようだ。



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これが手キンとよばれる手動式平圧印刷機
手動なので、小さな物しか刷れないが、ハガキ大なら充分。
あちこちのブースでこの手キンをおいていたし、まだまだ活版印刷の機械はこっそりサバイバルしていたのだな。
ピンチは活字の方だと聞いた。金属でできたそれは、もう作る職人さんがいないので、今使っているのがなくなったら、もうできないのだそうだ。印刷機だって、ほんとうは今のがこわれたら部品もないらしいから、なくなるしかないのだそうだ。

でも、活版のよさが見直されている昨今、需要が増えれば復活してくれないだろうか。
むなしい願いかな。




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お客さまの注文にあわせて便箋作成中の手キン




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ついついうれしくて、ステーショナリーフェチなのもあって、これだけ購入。
くっきり線がへこんでいるメモ用紙には、ガラスペンで文字を書きたい。



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ハガキは宮沢賢治の「星めぐりのうた」
これは飾っておきたい。印刷自体が作品を主張している。
オフセット印刷ではそんな気にならないが。

賢治と言えば、ジョバンニが家計をたすけるために放課後働いていた活版印刷所で、活字を拾う仕事をしていた「銀河鉄道の夜」、これを思い出した。








リニューアル!野村美術館講座〜「武家茶の湯の変遷」 - 2018.10.02 Tue

南禅寺畔野村美術館、長い長い改装休館だったが、9月、やっとリニューアルオープン。
1年前だと思っていたのに、はや2年もたっていたのだ。



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そういえば碧雲荘脇のこの疏水分線の小径もなんだかひさしぶり。

2年ぶりの野村美術館の講座、お久しぶりやら、しょっちゅうお目にかかっているやら、いろんな方に無事再会できてうれしい。



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エントランスはかなりかわって、いままでスリッパに履き替えていたのがスムーズに土足のまま入館できる。ただ、展示室や奥の座敷の茶室はほとんど変わってない印象。トイレはきれいになって、絵はがき販売コーナーあたりがきれいになったかな?

いつもはスルーする講座についてる呈茶も久々だからはいってみた。あら〜!いつもは野村のガラスの向こうの珠光青磁の茶碗や安南、古唐津がでてる〜(*^_^*)(もちろん、これでいただけます)



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展示物は、やはりリーニューアルオープン記念とあって、野村のお宝がごっそりでていて感激。
野村のHPのアイコンだったりする利休筆「妙一字」がでてた。意外と小さい。
上杉瓢箪、坂本井戸、長次郎赤楽、などなど本によく載っている名品揃いだが、休館長かったので、よその美術館に出張中も多いそうだ。

印象に残ったのは伝・義政所持(ほんとうは年代があわないらしい)南蛮毛織抱桶水指。金属製の水指で、インドでは夏にはこれを抱いて涼をとったという入れ物の見立て。細かい装飾模様の打ち出しに、口にアルファベットが書かれ、16世紀インドムガール帝国由来のもので、藪内から西本願寺に伝わったもの。(野村得庵は藪内)
抱桶水指はたまに茶会で見ることもあるが、これが本歌か〜。

後期もまた楽しみである。(チャリでいける距離なんよ、くどいけど(^_^;ありがたし)




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さて、講座の方は最初であるから、館長の谷晃先生の講演、「武家茶の湯の変遷」

武家茶の源泉から武家茶の確立、さらに大名茶の湯への変遷は、これは過去のおさらいみたいな感じで復習する。

徳川将軍の「御成」(各大名の上屋敷へ将軍が御成になることに付随するあれこれ)が武家茶の確立に大きく影響したのだが、その準備のため受け入れ側は総勢2000人あまりが動員、ときにより藩の財政の半分をもっていかれるという、財政逼迫をねらった幕府の陰謀でもあったらしい。だから参勤交代という新たな財政逼迫制度が確立した家光以降はおこなわれなくなった。

御成、御成というけど実際になにをするのかよく分からなかったが、一応懐石炭手前、濃茶薄茶の茶事に、能狂言鑑賞やら、本膳料理である七五三の膳(茶道検定で勉強したやつ)やら、ほんまにフルコースやったんやね。御成のための御殿まで建てたと言うから、そら大変だっただろう。

いざという御成の時のための「茶具足」としての茶道具から、コレクションとしての道具蒐集になっていくのが大名茶の湯への変遷、大名茶の湯の代表として今年没後200年の松平不昧公のお話しへ。
茶道具の厖大な蒐集(大名の中ではナンバー1)と記録、研究書、かつ芸術家のパトロンでもあり、独自の茶の湯論書、、、とあらためて茶人としての不昧の存在の大きさを感じる。
そして、彼は近代数寄者の嚆矢となった。同じく幕末の数寄者としては如心斎の高弟にして江戸千家をおこした川上不白(門人になだたる大名多い)、そして井伊宗鑑。
(不昧著の有名な「贅事(むだごと)」で茶の湯で国をおさめる、という発想はその後井伊宗鑑、近代数寄者で松殿山荘を建てた高谷宗範に引き継がれたという話を聞いた後、以前から知己である、宗範の御子孫にこの講座でおめにかかれてビックリ(^_^;))

明治維新で茶の湯は衰退したと認識していたが、没落に瀕したのは家元たちであり、実は大名クラスの茶の湯は変わらなかった、というのも新たな知見であった。

そして近代数寄者のひとりである、野村得庵はこの大名茶好みで、その道具もほとんど大名家の売りたてでコレクションしたそうだ。特に不昧の雲州蔵帳に載っている道具が多いらしい。今そのおかげをもって、我々はそのコレクションを鑑賞することができるのである。ありがたや〜〜。







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