其中庵〜瓢・名残の茶事 - 2018.11.01 Thu
(数日同じ道具組で茶事をされるというので、アップ控えてましたが、追って会記もいただいたことだし、お許しもでたと解釈、そろそろよかろうかとアップ)
亀岡楽々荘を去られて、其中庵様が現在の土地に居をうつされて、はや2年近い時がたとうとしています。時の流れははやいなあ。

こちらで茶事を開始された今年の3月、春雨の茶事にお招きいただいたが、今回は2回目、名残の茶事です。ご力作の露地も灯籠の影に植栽が増えるなど、ちょっと育ってきたようです。
春の時には春の嵐でめくれあがって大変だった腰掛け待合いのテントも、なんとがんじょうに補強がしてあって、ここで腰を据えて茶事をする気合いを十分に感じるのです。
これから名残の茶事も数会されるようなのですが、この日の席はその第一陣、そしてお正客が「掛け物の四季」を著された数寄者の菱本先生でありました。先生のお茶会は2回行ったことがありますが、素晴らしい道具をお持ちで、たしかに掛け物がなんといってもすごかった。茶会にもたのしいテーマがあり、とてもお茶がお好きなのだなあと思ったものです。まあ、先生が正客をされるとお聞きしたので,この日に是非に!と。
(その後、「掛け物の四季」拝読しましたが、知識、精神性、いずれも格調高く、感動しました!)
ご亭主の迎え付け。
夕ざりなのでまずは花
これも何回も拝見してみるたびにいいな〜と感動する宗旦の瓢箪花入「ゾロリ」に秋明菊、秋海棠、水引、糸薄、ホトトギスなど亀岡で摘んでこられた秋の残花
そして、大迫力で存在感のある鉄のやつれ風炉・与次郎
中置き・赤の前瓦、掻き上げ灰はなによりの名残の季節のご馳走です。
懐石は今回も亀岡時代からずっと、の富山万惣の中尾さん。
いつも端整で、出過ぎず引きすぎず、ちょうどよいあんばいの懐石でした。
折敷は数ある中から選ばれた瓢盆。
「不改其楽 賢哉回也」だったかな、とにかく瓢ひとつで人生を楽しんだ孔子の一番弟子・顔回の「論語」の一節が書かれ、ここにふたつめの瓢。
向付はお約束で寄向こう
私のは七官青磁、他に高取、南京赤絵、織部志野などなど、いずれもすてき。
お酒が「菊水」というのは旧暦重陽にちなんだものでしょうか。
もう〜煮物椀が鱧と松茸(長野産)なんてヽ(≧∀≦)ノ
八寸でごちそうとして、凝りもせず、下手なQueenを(菱本先生の前で)歌ってしまうバカは私です(恥ずかしい!)
お正客の菱本先生は茶の湯、茶道具への造詣が深い方で、御亭主と道具談義をかわされるのですが、深くてついて行けないところも多いです。
でも、あいまに「お茶事はされてるの?」とか「お茶は楽しいね」とか、ほんとうに楽しそうにお話しくださるのがうれしくて。
お菓子は老松さんの栗きんとん
栗がたっぷりはいって、店頭の物よりはるかに濃厚で美味しい。
中立のころにはもう早い秋の日は暮れて、これまた新兵器の露地照明がよい雰囲気です。
後座・蝋燭の灯りのもとでみる沢庵さんの消息(秋でさびしいから遊びに来てね、、云々)、主催されている茶狂会のフラッグである鈍翁の「茶狂」にちなんだ鈍阿の濃茶茶碗はなんどか拝見したことがあります。
茶入が真塗棗、桃山時代のビッグネーム塗師・秀次ですが、形だけみて「これは秀次ですね。」と看破された菱本先生、さすが、というかすごい!!
濃茶の茶杓と薄茶の茶杓は呼応しあうもので、しかも濃茶の茶杓には瓢の隠喩が複数かくれていて、これはほんまツボでした。この茶杓はまた使われるよし、くわしくは伏せますが、伏せるのがとても残念なくらい、ようそろえはったなあ〜と感動しますよ。
薄茶茶碗は綺羅星のオンパレードで、二服目はリクエストで好きな茶碗で飲めるといううれしさ。私は一碗目、黒織部沓形(桃山)、二碗目はこれまた何回もお目にかかって大好きな熊川「白菊」で頂戴いたしました。瀬戸唐津が渋くて人気でしたね〜。他にも仁清の三玄院天目、刷毛目、宗入の(青にしか見えない複雑な色の)赤楽など。
と、またたくまに楽しい時は過ぎ去り、名残の茶事はお開きとなりました。
たくさんたくさんお宝を使って使わせてくださる其中庵様に感謝、茶人として憧れるお正客の菱本先生、いずれもお茶にのめり込み方が尋常でないご連客のみなさま、ありがとうございました。たっぷりと瓢をたのしませていただきました。
おまけ
銀ねずの一つ紋無地に、お茶友でもある友禅作家・本間美也子さまに描いてもらった縮緬名古屋帯
茶事の後、ちょっとした事件をおこしたことは忘れます(^_^;
でも、ご迷惑をおかけした方々にゴメンナサイ