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2018-11

光悦会2018 - 2018.11.18 Sun

3年ぶりの光悦会



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鷹ヶ峰光悦寺では洛中より紅葉が早い。それでも3年前の写真に比べたら、赤がまだ浅いかな。年によって紅葉具合をくらべるのもまた楽しからずや。



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光悦会は、濃茶も薄茶も呈茶だし、茶会ではなく、東京、京都、大阪、名古屋(金沢と年交代)の各美術倶楽部が、ご自慢のお道具をこれでもか!と見せて下さる会と心得る。ただし、いずれも光悦寺の庭園に散在する小間広間の茶室で、釜に湯も沸かし、茶席仕立て、自然光のもとで拝見、時に手にとることもできるというのがポイント。


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そしてお菓子がそれぞれのお国のお菓子屋さんが腕によりをかけて作った特注の逸品ぞろいなのもまた楽しみ。



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最初は三巴亭の東京席

待合が遠州の消息(今年は遠州の消息が多かったな)東山公こと木下長嘯子(ねねさんの甥)宛、先日の会合で歌を詠むのをわすれたから、今読んで送るね、、云々

呈茶の茶碗は海上がりの青磁?白磁?みたいな茶碗で。
お菓子が吉はし製「木守」 柿の餡をはさんだ薄焼きにイチョウと紅葉の焼き印、柿の甘さ加減が絶品

花入は伊賀、表と裏の景色の違いがすごい。
花は綿の緑の実、はじけた実、葉っぱと綿の三様+寒菊




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(庭園の休憩所に掛けられた釜 藁灰がすごい)



本席では俵屋宗達絵、烏丸光廣詞の「西行物語」断簡
勝手に出家しといて漂泊の末久々に都へ帰り、知人宅に掛け込んで、捨ててきた家族の消息を聞く場面とか。この人、出家するときにすがりつく幼い娘を足蹴にしたんだよね、なんて考えながら見ると人生とは、、、と考える。

水指が古染付の葡萄。有名な葡萄棚八角のと違って、平水指、葡萄の絵もさらに写実的、中にまで葡萄の絵があり、これは逸品やわ。



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(かの有名な光悦垣、または臥牛垣)


次に回った大阪席(騎牛庵)がすごい行列で、本席に入るまでに寄付(本阿弥庵)、待合席(自得軒)と回って待つこと約2時間!



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寄付の清巌宗渭の一行「心不是佛 咦」の「心」の字にうたれた。たたきつけるように、墨だれもあり迫力。宗旦の参禅の師でもあり、今日庵の命名のもととなった清厳和尚である。ちなみに咦はにっこりした様、との解説であったが、現代の中国語では「おや?」。

香合が雲州蔵帳中興名物・呉須台牛。普通香合番付では交趾なのだが、ここでは呉須、めずらしい。



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(鷹ヶ峰三山の一つ、たぶん、、、鷹ヶ峰。他に鷲ヶ峰、天ヶ峰)


やっとはいれた本席の軸はこれも雲州蔵帳にある無準師範の墨蹟、というか消息、円爾弁円(東福寺開山)宛。このコンビは「橋渡しの文」で有名。不昧公の極箱付き。

茶碗の青井戸「四もと(よつもと)」は青井戸のなかのこれぞ青井戸というお手本です、と言われたが、後の名古屋席でも同じ事をいわれた青井戸が出た(^_^;はやりなのか?青井戸。
銘の「四もと」とは蹴鞠の時に場の隅に4本立てる竹の事らしく四本懸かりともいうそうな。さすがに蹴鞠の家である、飛鳥井家の箱だわ。




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茶杓が、40才で亡くなった蒲生氏郷・共筒、筒に「文禄二年十月八日造」とあり、亡くなる一年前の作とわかるのだそうだ。(どうも氏郷というと「へうげもの」で伊達政宗と大げんかした場面を思い出していかんわ。実際敵対関係であったし)

お菓子はなんとあの奈良の樫舎さん(かしやという菓子屋)の栗きんとんであった!和菓子の材料は優れた農産物を作る農家がなくなってはなりたたない、と日ごろ言っておられる樫舎さん、栗きんとんの材料も厳選された物であろう。甘みが上品で美味しかった。




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さて、名品揃いで、そろそろお腹がいっぱいになってきたぞ、、、消化しきれん!




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と、言うわけで点心ブレイク



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鷹ヶ峰を正面に眺めながらいただく点心は、、、



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今年も瓢亭卵のはいった瓢亭のお弁当。美味しく、本当の腹もいっぱいである。




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エネルギーチャージして次は京都席、徳友庵

花入が印象的、備前の耳付・銘「会釈」
その名の通り、胴はまっすぐながら口のところが前にかしいでいて、真ん中に割れ目、確かに人が軽く笑顔で会釈しているようなのだ。一度見たら忘れられない。さすが鈍翁さん旧蔵品。
花は嵯峨菊の黄色、木イチゴの照り葉の赤、菊の葉の緑、が備前の色で締まってとてもきれいであった。

茶碗が黄伊羅保なのだが、黄伊羅保には珍しい刷毛目が表と中にはいっている。これは手にとってみせていただいた。重くてごつい、竹節高台がくっきり。鴻池家伝来なんだと。



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茶杓がまた見事でねえ、、、宗旦共筒、二本組、「二人しずか」
一本は蟻腰、もう一本は直腰、色もシミ竹の具合が少し違っていて、それでいてペアであると感じさせる。(二人静は有名な謡曲でもある。菜採女と静御前のシンクロナイズド舞なのである)

蓋置も宗旦在判、なんでも今年表千家の家元が代わられ、先代が「宗旦」と名乗らはるのにあわせたとのことであった。(表千家では宗旦が何人もいらしゃるのか???)

お菓子は京都席らしく末富さんの柏餅型薯蕷に紅葉の焼き印、銘が「鷹ヶ峰」




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さあ、ラスト!名古屋席、がんばろう(ここらへんでもう頭煮えてた、、、)
寄付・了寂軒、本席・太虚庵(小間)

お菓子は美濃忠さんの「紅葉映え」
薯蕷なのだが中の餡が柿餡で、今回一番美味しかった!

寄付では床はふたたび遠州消息、沢庵和尚宛
香合が七官青磁の二羽鷹で、蓋の上に大小二羽の鷹が羽根を広げている珍しい物。
これが本席になると、なんと砧青磁に格上げ。大名物青磁蕪無、豊公が北野大茶会で使ったという、、、おお〜〜〜(;゜0゜) 入れてある花はハシバミの照り葉に太郎庵椿。薄紅の蕾がまた青磁の色に映える。

茶碗がふたたび青井戸「池」、一見伊羅保のような印象、茶入が中興名物真如堂手「藤重」、、、
この席は56年前(え〜っと、、生まれてましたがなにか)の光悦会の、ここ太虚庵席を再現した物なのだそうだ。それだけ売らずにとっておいたってこと?とシロウトは思うのだが。



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そして今回一番印象に残ったのが、かの石山切、伊勢集、伝公任筆。

かつて行った何回かの光悦会の記事をよみなおしていたら、毎回いろんな「石山切」に感動してるのよね。なんか惹かれるものがあるのだろうな。

料紙の美しさで名高い石山切であるが、今回のはすごいよ。これは小間の茶室で見たからの僥倖であって、ガラス越しではまず無理。

正面からあるいは右から見ると料紙の紋様ははっきりせず、文字だけが美しい。ところが左から見ると料紙がきら〜っと銀色に光って鮮やかな唐紙の雲英刷りの紋様がびっしり浮かび上がり、文字が消えるのである。最後の最後にちょっと感動した。




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道具に、また紅葉の景色にお腹一杯胸一杯になりながら帰宅。



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会記を読み直し、とったメモを読み直し、余韻にひたるもまた楽しからずや。




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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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