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2019-05

島原にて光悦を愛でた宵 - 2019.05.03 Fri

はじめ暗い小間の茶室で、タライ・ラマ師が濃茶を練っている御茶碗を見るともなしに眺めていた。練りあがった茶碗を手のひらに載せた瞬間、その感触に思わず「あっ!!」と思わず声が出てしまった。
はじめて光悦の茶碗を掌に受けた瞬間であった。



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(この茶碗はまた別の大好きなやつ、、、)


ここは都を遠く離れた長崎は島原、タライ・ラマ師の心友、M和尚様のお寺である。少なくとも江戸初期までには遡れる古い歴史のお寺に、いつの頃からあったのか、いまではわからなくなった茶碗で、以前はご家族でこれにお茶を点ててよく飲まれていたとか。
今は亡き林屋晴三先生が、蓋を開けるなり本物、と断定され、15代楽さんのお墨付きも得た光悦の赤楽である。



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M和尚様がご自分で勉強されて作られたという三畳台目の席にて、この光悦で濃茶をいただく、これはなんという僥倖か。まさか我が身にそんなことがおこるとは思わなかった。

姿や色はガラス越しにしかみたことのない「乙御前」に似て、なんと柔らかい下半身のフォルム、めりこんでしまった高台がこの手に光悦、と思わせた柔らかさ。裏返すとその艶々とした色とあいまって、女性の豊かな健康的な乳房を連想させる。しまいこまれずにずっと使われてきたからこその艶であろうかと思う。
ふちは緩やかにうねり、見る方向によってシルエットが変わる。口造りは切れ味のよさが光悦なのだ、だから蓋をあけるなり本物だとわかったのだ、と聞いた。
人肌の色に近い赤楽に薄く白い釉薬がたなびく。正面に少し、中にたくさん。銘を「峯雲」と。
ああ、はじめて光悦に唇をつけてしまった。この端整な燈火の茶室で。




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毎年この時期に焼物の町、唐津で行われる唐津やきもん祭に、古唐津に造詣が深く厖大なコレクションもお持ちのタライ・ラマ師がイベントのひとつとして茶会を開かれるようになって4回目となる。私も昨年はじめて参席させてもらい、師と現地の陶芸家さん方をはじめ、さまざまな人たちとの温かい交流、絆を目のあたりにして感動した。
同じくその茶会で、庭の二畳の四阿の李朝席を持たれたM和尚様に初めてお目にかかった。そのハイレベルな李朝コレクション、造詣の深さ、李朝への愛情、自分も李朝の文物愛する心、人に遅れはとらないつもりでいたのだが、それは見事粉砕されたのだ。

そして今年、タライ・ラマ師の御供?で、唐津をこえてはるか島原まで、とうとう来てしまった!

昨年、李朝席で展覧されていた粉引のすごくいい茶碗を「いいな〜いいな〜」とヨダレをたらしていたのを覚えていて下さったのか、この茶碗で薄茶をよばれる、これまた僥倖にみまわれた。お心遣いが涙がでるほどうれしい。

茶杓も普通はさわらせてもらえんくらいのビッグネームの、しかも銘が「客僧」というようなあまりにぴったりのを手に取らしてもろうて、、、あ、きりないからこれくらいでやめとこ、、、(^_^;)




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濃茶、薄茶をいただいたあと、母屋にきてまたびっくり!!
こ、、これは!
小盤(ソバン・李朝の小卓)を折敷に、取皿、酒器が、高麗、古唐津、初期伊万里、古染、、、なんなのこれ。ひとつあれば十分うれしい本物で、懐石すべてをカバーしているなんて、うらやましすぎる。小盤を折敷の代わりにすることは私も考えた。けれど器で傷がつくしな〜とためらっていたのを、こんなに惜しげもなく、、、、

さらに心づくしのお料理も美味しくて、、、



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お酒もすすむ。
これも超レアという鉄釉のみの鶏龍山。こんなのははじめて見た。口がくるっと土をまるめてつけたとても小さいもので、液体のキレが抜群に良く、気持ちがいい。




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焼きものの話、お茶と仕事(僧職)の話、重い話も軽口も、すべてが楽しく忘れられぬ夜になった。



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島原名物「寒ざらし」もいただいた。
豊富な湧き水が有名な島原ならではのお菓子だが、こちらのお寺にも玄関の脇に湧き水があふれ、せせらぎを作っているのには驚いた。




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島原のホテルに一泊後、翌日のやきもん祭茶会の準備のため、ふたたびタライ・ラマ師と訪れる。お庭には季節の花が大事に育てられ、枝折り戸も。



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ふたたび茶室でお茶をいただく。朝の茶室はまた違う顔をみせる。
昨夜は、江月宗玩の厳しい「本来法」の一行がかかっていた床に、穏やかなお顔の小さな掛仏様が。なんて心憎いのか。



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また違った御茶碗でお茶をよばれ、朝日の中でふたたび光悦をためつすがめつ。



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出発する間際に、こうやってかわかしておく、とおっしゃって、タオルでぐるぐる巻きにされ、丸いタッパーにおさまった光悦を見て、またビックリあんぐり。貴重な物と腫れ物に触るが如くまつりあげられるのもよいが、こんな風な愛され方のなんてすてきな!


なにより、こんなご縁をいただいた私は果報者というべき。
李朝への愛情ひとつでうけいれてくださったM和尚様、ご縁をつないでくださったM和尚様の心友、タライ・ラマ師に心より感謝いたします。こんなすばらしい先達(私の方が年上やけど(^_^;)にふれてしまうと、自分と比べて困ったことになるが、そこはそれ、己は己の茶の道を突き進むのみ、とも思うのである。





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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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