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2019-09

空櫁にて白秋茶会〜奈良高畑 - 2019.09.29 Sun

東大寺や春日大社あたりの喧噪を見ながら、ここ高畑当たりに来ると、、、



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あまりに人がいないので心配になる。



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ここらには春日大社の宮司さんの職舎があったり、、、



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こんな良い感じの土壁があったり、とても奈良らしいいいところなのに。
新薬師寺が心配になるよ。かといって、ここらまで観光客が大挙されるのもいやだけれど。



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新薬師寺からすこしそれて、奥まったところにひっそりとある空櫁(そらみつ)さん。
奈良のお気に入りスポットの一つである。



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古民家を改修したギャラリーはとても居心地が良く静かで落ち着く。しかも扱ってはるのが職人が作る暮らしの道具や民藝系のもので、ツボなのだ。



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庭の柿の木には柿の実がなっていて、いたずらものの烏がつついたあとも、なんかよい景色だ。



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この日は益子の若い陶芸家・生形由香さんの展示、テーマは「花と動物」
それにあわせて、生形さんの器を使った中国茶会「白秋茶会」が空櫁さんの座敷でひらかれた。
お茶担当は、吉田山大茶会でお目にかかったことのある、奈良の出張中国茶・囍茶さん。



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テーマは同じく「花と動物」

一席目〜花の席〜

白をイメージした茶席に奈良特産の白い蚊帳生地は、おりからの台風の接近で風にあおられあおられ、むしろ心地良い風を座敷に送る。



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生形さんの器は、底に美しい紋様がかくれている。更紗みたいな、アラビアの紋様のような。液体をいれるとさらにくっきり浮かび上がる。



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最初のお茶は貢菊(菊花茶)
お湯を注ぐとゆっくりと花びらが潤っていき、菊花の香り高いお茶になる。



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二つ目のお茶は圓圓茶
白茶を硬い丸いボールのようにしてあるのにお湯を注ぐ。花のようなお皿の中でゆっくりじっくりボールはほどけていく。何煎もいれることによってボールはだんだん茶葉にもどっていく。




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瓢杓ですくって杯にいれるのも楽しい。
杯の中で菊花茶と圓圓茶をブレンドしていただくもまた一興。



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点心は菊花鍋



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魚と豆腐のやさしいスープで、胡麻油と塩のはいった皿(生形さんの)の調味料を入れてまぜるとさらに美味。



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中立ではギャラリーでゆっくり生形さんの作品を見る。



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底の紋様が美しい。


2席目〜動物の席〜


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ここでは動物は兎であった。名月の季節であるから。
床に満月を思わせる漉き模様の入った和紙の前にかわいらしい兎のお人形。



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入れるお茶は東方美人茶である。
ウンカが作り出すこのお茶ははやくから西洋人をとりこにした芳香をもつ。
ああ〜、この香り、さらに杯に残った香りを聞くのも忘れずに。




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お菓子は囍茶さんお手製の月餅
もちろんこれは中国文化圏では中秋節に食べられるお菓子だ。周りの皮がこうばしくて美味しかった。



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何煎目かの東方美人茶に、桂花(金木犀の花)ジャムを入れて飲むとまた香りがたつ。
今年キンモクセイの花びらをあつめたら、自分でジャムを作ってみようかな。




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美しい茶会が終わって、空櫁さんから連れて帰ったのは森口信一さんの我谷盆の小さいサイズのと、あたらしい日常料理・ふじわらさんの瓶詰め<パクチーレモン>(パクチー嫌いのみなさん、ごめんなさい(^_^;)であった。




伯耆の国・玉兎軒でお茶事〜志野流のお茶 - 2019.09.27 Fri

伯耆の国へお茶事におよばれ


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京都から鳥取行きの特急はスーパーはくと(白兎)、車内のお知らせのジングルが「♪大きな袋を肩にかけ〜大黒様が来かかると、、、」
おお!そうだ、因幡の白兎で有名な白兎海岸は鳥取県であった。



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3時間余りゆられて降り立った鳥取はこれもウン十年ぶりで。
日本全国、茶事、茶会がらみで、いろんなところへ行けるのはありがたいことだなあ。

今回のご亭主はほぼ新婚さん、新婚さん2カップルお招きの茶事への返礼茶事ということでうれしい限り。奥さん(猫さんとお呼びする)が心茶会のかな〜り年のはなれた後輩になる。
茶事の場所が「山猫館・玉兎軒」と書いてあった♪(/・ω・)/ ♪




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(鳥取からローカル線に乗ったが、まんが王国のラッピング)


山猫館はご実家を茶事が出来るようにあれこれ研究して、工夫を重ねて改修されたとお聞きした。



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玄関を入るなりDIYだという溜精軒(裏千家今日庵にある茶室・この意匠は溜精棚に取り入れられている)ばりの下地窓に感激!

待合では、鳥取が生んだ山頭火とならぶ変人(ゴメン)俳人(名前失念!)の秋風の歌に、本席では大徳寺の管長もつとめた雪窓老師の「水和明月流」。雪窓老師は有名だが、鳥取出身の方だとはじめて知った。まさに猫さんの郷土愛にふれる。



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(署名帳には玉兎軒にちなむ兎の置物 かわいらしい)


蹲居がちょうど真珠庵庭玉軒みたいに屋内内露地にあって、連想していると、岐阜(金森宗和)も鳥取も同じ豪雪地帯だということに気づかされた。

猫さんは大学時代は裏千家であったが、現在は鳥取で広く広まっている志野流茶道をたしなまれている。志野流というと思いつくのはまず香道だが、この流派には茶の湯の作法もあって、鳥取藩主が好んだことでこの地方に広まったと聞いた。これは初めて見る作法なのでとても興味がある。



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ちなみに懐石担当の御主人は表千家なので、ご飯の入れ方が表千家バージョン(^_^;
汁の輪っかは鳥取名産、ちくわ豆腐。

帛紗の付け方で、女性が右、男性が左という性差がある流派ははじめてだ。帛紗の塵うちを2回するのも独特。柄杓の扱いなどは千家系と同じとお見受けしたが、懐石の順番なども若干違う。


玉兎軒は四畳半で、改修して新たに作ったものだそうだが、建築的にいろいろ制約もあるなか、上手に小間の雰囲気がでていて感心することしきり。堂庫もあるし、点前座の前の壁は塗り回しの楊枝柱、床は土壁ができないのを藍色の和紙をはることで補ってあまりある。茶道口が花頭口になっているのがうらやましい。天井の埋め込み式の灯りが照度を調節できるのもいいなあ。



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八寸

ご用意いただいたお酒が鳥取の地酒「満点星」
フルボディっぽいどっしりしたお酒だが、これを選ばれたのが「鳥取市は県庁所在地で唯一星空がきれいな場所(環境省星空継続観察で1位)」という自虐?なのか自慢なのかわからないキャッチフレーズにちなんだとか(^_^;

もっとも猫さん自身、星空を観察するのが昔から大好きで、御主人とむすばれたきっかけも、その星空観察だったと聞いた♡



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(主菓子 栗きんとん 美味しかった!)


後座の花は竜胆、月見草、トラノオ、吾亦紅、、に庭の猫じゃらしが1本、猫さんらしくてかわいらしい。

濃茶点前は茶入の清め方が独特で、帛紗を上下に動かしながら回すのね。こういう流派は初めてみた。御茶碗が、京都に来られたときに(猫さんご夫婦はよく上洛されるので、なにかと京都でしばしばお目にかかる(^_^;)川口美術でもとめられた(私の大好きな)全日根さんの粉引?であったのもうれしい。

志野流点前には裏千家で言うところの奥伝・真の扱いが平点前に残っている。これは他の流派でもよくあるので、裏千家が時代とともに点前所作を簡略化してきた歴史の結果なのだろうと思う。



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後炭もはしょらずにしていただき、薄茶へ。
干菓子が、私がなんども作ろうとして失敗、ついに成功しなかったお手製「月の雫」(山梨県銘菓)である。生の葡萄のまわりに砂糖のコーティングをするのだが、つるつる滑ってなかなか砂糖がのらないのだ。これは上手に出来ていたし、美味しかった。




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もう一つの干菓子が鳥取銘菓「風紋」
いわれれば鳥取砂丘の砂の風紋にしか見えない。
ずっと水屋で大活躍してくれた御主人さんにも席にはいっていただき、それぞれ二服たててもらって、猫さんには私が一服お点てした。

お茶のこと、郷土愛のこと、ご夫婦でお茶大好きというチームワークのこと、あれこれお話しして、楽しい時間は過ぎる。今度はまた京都でお目にかかりましょう、と約束して山猫館を辞しました。






更待月茶会〜月日社 - 2019.09.25 Wed

更待月(ふけまちづき・二十日の月)の茶会を



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場所は紫野、月日社

宵からあいにくの雨になって、月は見えぬ、、、



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せめて月と兎のお皿で(この日買ったばかりの伊藤明美さんの染付)青洋さんのむら雲のお菓子を。
、、、と、思ったら、



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お客様が「水屋見舞がわりに」と、霧吹き持参で土壁にこんな更待月を作ってくださった!
すてきな月見茶会になりそう。



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本当は高台に茶箱を持っていって野点する予定だったが、そういう次第なので縁側で月日社の主が茶箱・月点前を。庭に降る雨の音が静かで、たまに虫の声、秋の夜にふさわしい席になった。



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ススキはうちの庭のをサクッと適当に切って、根元を縛って投げ入れたら、案外良い感じ。あとは秋海棠、山ホロシ、ムクゲなどなど。

お菓子とお茶を一服そのあとは後段へなだれこむ。



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それぞれが持ち寄った肴に、あるじの作ってくれたお蕎麦がついて、なかなかゴージャス。



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私は先ほどのお皿といっしょにゲットした伊藤明美さんの「福福福、、、」ぐい飲みをマイぐい飲みとして持参。
日本酒、ワインちゃんぽんで飲んでしゃべって、そうこうするうちにご近所さんも来て、ひとしきり盛り上がったあとに、、、、



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台湾帰りのお客様が、現地で手に入れた茶道具と茶葉で中国茶を入れてくれる。



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蓮の模様の茶托がかわいい。
何煎でもほとんどエンドレスに出る中国茶なので、何煎もいれてもらって、おしゃべりが尽きることなく夜は更けてゆく。更待月は心の目で愛でながら。



Oriental Afternoon Tea閑是〜薫習館〜LAKE WALL - 2019.09.23 Mon

いつも中国茶会でお世話になっている銀月サロンの高田さんが、今年洛中は夷川室町にオープンさせた中国茶閑・閑是にやっとおじゃまできた。



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築100年の京町家を改修したお店である。



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玄関をはいたっところ。
町家ウォッチングとしても楽しい。



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出格子の内側から夷川通りを眺める景色もよい。



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銀月サロンでいただく中国茶と点心の美味しさに、いつか両方きちんと提供できる場所があればなあ、、という高田さんの願いと町家が時を得て出会い、すてきな場所になった。



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床は木のぬくもりの床。机も椅子もレトロ感たっぷり。
残念ながら高田さんはこの日海外出張中でおめでとうが言えなかったが、スタッフの方々はみなさん感じよく親切であった。



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食事が出るまでの間、水出し武夷山岩茶をいただく。
さわやか。



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一品目はサツマイモ+菊花
箸置きもおしゃれだ。



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古伊万里のお皿に載るのは鶏肉のうえにたっぷりかけた野菜+パクチー(これは好みでなしでもできます。私は大好きなもので)



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2種の小籠包に、具のたっぷりはいった豆乳スープ。お酢を使っているそうで酸味のある豆乳は新鮮な美味しさであった。
さすが、いつも銀月でこの点心思い切りたべたいなあ〜と思う点心を提供されているので、こちらの点心は大満足なのである。



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食事の後は9種の中国茶から好みの物を選べる。
もちろん、私は大好きな香り最高!の鳳凰単叢密蘭香を。



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お湯を沸かしながら席でスタッフの方がいれてくださる。
これは台湾でいった茶藝館のスタイルだな。
オールガラスの茶器類が美しい。



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う〜ん♪
この香り、いつもながらうっとり。



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そしてでてきたこちらのお菓子のスタンドをみて思わず歓声をあげてしまった!
いずれも美味しい、特に下の蒸しパンのもちもち感が最高。

ということで、すっかり高田ワールドにひたってしまった。季節を変えてまた来ようと思う。

ここを出て、近かったので以前から行きたかった香老舗・松栄堂さんに連なるお隣の薫習館(約1年前オープン)にも足をのばす。



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お香の松栄堂さん(炉の練り香、風炉の白檀等々、お茶人さんはみんなお世話になっているはず)が、日本の香文化の素晴らしさを伝えようとオープンされた香りに関して勉強できる体験型ミュージアムとでもいうか。
香りBOXとか、血圧計の加圧器でシュッシュと空気を吹き込んで、柱の中の香料の香り(やさしい香りの乳香から強烈!な麝香まで)を嗅ぐことが出来る展示とか、目に見えぬ音にも聞こえぬ香を上手にプレゼンテーションしているのがすばらしい。

お香の香りを聞くとすぐ茶室を連想してしまうのは刷り込みとして、もっと日常生活でも生かしたいなと思った。

入場料無料なので、ふらりとどうぞ。



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こちらも新しくできたばかり、烏丸の稲葉薬師のところの木と根さんの分室,
御所南のギャラリーLAKE WALL



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ビルの二階の窓からは御所の緑が見えるきもちのいい眺め。
ここでは不定期に展示や、中国茶会や行われている。



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スペース自体はとても狭いが、居心地のよい空間になっているのはやはりセンスだな。
この日はArt de Vの秋冬コレクション。大地の色、着心地重視、お手頃なお値段。一枚秋のコートを買いました。



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ここはお気に入りのうるわし屋さんにも近く自転車で行けるエリアなので、またお邪魔すると思うわ。日程が合えば堀口一子さんの中国茶もいただきたい。





墨東にて小間の正午茶事〜重陽〜 - 2019.09.21 Sat

はるばるお江戸は浅草より東、ほとんど初めて足を踏み入れる地にて、とても勉強になる正午の茶事へ。

というのも、TLでフォローしているお江戸の某御茶道具屋さんの、流派にこだわらないお勉強のなさりぶりに感心し、茶事教室もされているようなので、行ってみようと思った次第、なんと偶然東京のお茶友・Kさんとご一緒できることになったのだ。



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あきれるくらい熱心にお茶事の勉強をしておられるKさんは何度目かのご参加、道案内いただき無事到着。お道具屋の二階にその小間の茶室はあった。
待合に「露」の一文字、腰掛け待合いでは錦帯橋の古材の煙草盆で、節目の穴が印象的。火入れが、私も作陶体験させていただいたことのある吉村楽入さんの青楽で、京都の作家さんに江戸であうのもまたうれしや。

小間は四畳台目というやや変則的な造りながら、私がいままで見たビル内にしつらえられた小間の中では最上級の茶室だと思う。建築構造上様々な拘束の中があろう中、最大限に空間を生かし、ご亭主が智恵をしぼって作り上げたという、市中の山居。特に木材・銘木が意趣に富んでいて、すばらしいな、と思ったら江戸指物師であった先々代がストックしてあったものをつかわれたそうで、納得。
ビルの中ながら一方向の障子から自然光がとりいれられ、陽のうつろいも楽しめるし、なんと突き上げ天井まで!

本席の床にかかるのは戦前の大徳寺管長であった伝衣の「採菊」
待合の露は菊に置く露であろうか。陶淵明の「採菊東籬下 悠然見南山」をイメージしつつ今回の茶事のテーマは重陽〜菊の節句だなと思う。

懐石で、お酒を入れたガラスのちろりに黃菊一花がまるごと入っていてビックリ。たしかに中が見える方が菊酒としてはいい見せ方。(先日茶事で菊酒をだしたが、注ぎ口が細すぎてうまく菊の花弁がでなかった、、、)お酒は久保田でこれ好き♡
煮物椀の鱧は、骨切りの仕方が関西と違って若干粗め、骨までざくざく食べる感じ、さすがサムライの土地だわ(^_^;でも秋の鱧は美味しい。関東の魚屋に鱧が並ぶようになったのは最近のことだと、と御連客に聞いた。

焼きもの皿が中里太郎右衛門さんの絵唐津であったのもうれしい。八寸に出たアワビの厚切りが美味しい(*≧∪≦)
ご亭主はお茶は表千家を習われているが、お点前も懐石の作法も、他流派であってもこなされる。今回の御連客はほとんど裏千家であったが、お一人いらした表千家さんには八寸を手渡す表の作法通り、うまいことスイッチできはるんや。

表千家の懐石道具で興味あった2点
1)飯器が手付きの割蓋 南鐐のしゃもじ (夏用か?)
2)湯斗がかないろ(自流では汁をセルフでとってもらうときに使う)


一番流派のバリエーションが多い炭手前、同じ千家系でもかなり違う。灰型も風炉の種類によってだいたい決められているんだそうだ。
炭道具も全部拝見させてもらった。豆の鞘火箸、中に豆があるがごとく鞘が膨らんでいる感じを写して、おまけに先端がエンドウのしっぽみたいにクルッとしているところに萌える。

香合が一閑張の菊、食籠が赤膚焼奈良絵の菊型、中に菊の主菓子、菊に菊を重ねて重陽、めでたい(*^_^*)



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(こちらは広間も立礼席もある)



後座では突き上げ窓を開けて。
西からの自然光がはいって点前座を照らすのは計算されたものだと思う。
床は根付の竹一重切花入れに、名残の底紅木槿、水引。

なんといっても古備前の水指の存在感がすごい。黒っぽい中にも一点抑えた赤の牡丹が見える。蓋をとるとき、上に溜まった水を建水にあける。見た目も音も清々しい所作。(まねしよっかな)聞けば久須美疎庵(宗旦四天王)所持のものだとか。あとでこの水指も手にとって拝見させていただいた。


後炭もきちんとされて、薄茶点前
干菓子は、向島にあるという江戸砂糖漬の有名な梅鉢屋さんの甘納豆と椎茸の砂糖漬、珍しいものをいただいた。

竹の薄器が菊彫の蓋、茶杓の銘も「秋菊」、建水まで菊割モール、、、実はご亭主のお名前にも菊がはいって、いったいいくつ菊がでてきたでしょう。菊尽くし、ほんとうに陽が重なるめでたい時代になればいいなあ。

ご亭主は、職業柄お茶は嗜まないといけないにしても、義務ではなくて心から茶事を、お茶を、お道具を楽しんでおられるご様子で、こちらも遠慮なくいろいろ伺うことが出来て勉強になったうえに楽しかった。




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茶事のあと、品川でKさんとお茶談義、話は尽きないがそろそろ京都へ帰らねば。10月に茶事によんでいただく再会を約しながらお別れ、充実の一日は暮れてゆく。




野口家住宅花洛庵〜cafe FUDAN - 2019.09.19 Thu

 油小路四条上ル、京都市指定文化財の野口家住宅・花洛庵が一般公開されると聞いて最終日にすべりこんだ。



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野口家は享保年間から代々呉服商を営んでいるお家で、りっぱな表家造りだ。
しかしなんだか様子が違うな、と思ったら、今回の公開は兵庫県立人と自然の博物館企画のWhere culture meets natureの展示会場としての公開だったらしい。



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おもての板の間の座敷は京町家らしい良い感じであったが、、、



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うぬぬぬ、、、イノシシとか鹿に見つめられるって、、、、


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茶室にニホンカモシカがいた日には、、、
これはちょっとどうも(^_^;

このお屋敷のあちこちに展示されている動物の剥製は上記博物館のもの、コンセプトが
<歴史的建造物がもつ空間の趣と自然史標本のもつ美しさを融合させ、日本の自然と文化の関わりを伝える>のだそうだ。純粋に町家を見に来た人にはちょっと仰天の組み合わせだわ。



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センチコガネの自然の色の個体差をグラデーションで展示した、これはよかったが。
今回のテーマはJapan colorだそうだし。



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残念ながら小堀遠州の伏見屋敷の座敷を移築した、といわれる奥座敷ははいれなかったが、二階にあがれた。



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こちらではテーマのJapan colorをメインに、岩絵の具とその原料鉱物の展示がきれい。



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そして自然がくれた草木染めで染めた布とその染料となった植物の展示、ここのパートは染司よしおかさんがかんでいるらしい。関連セミナーもあったようだ。確かにこの布は美しい。



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呉服商らしい展示としてはこの紅花染めの振袖。



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染料となる紅花の展示も



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野口家に伝わる大福帳、雑用帳などにも興味がある。



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まあ、ちょっと動物剥製はおいといて、町家の雰囲気が味わえたのはよかった。いつか奥座敷も公開されるといいなあ。



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野口家をでてすぐのところにある亀屋良長(御池煎餅は亀屋良永)さんの醒ヶ井の地下水をいただく。ここは紙コップまで用意してくれてはる。
もともと名水・佐女牛井(さめがい)は堀河五条あたりにあったのだが、同じ水脈になるのだろう。




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さらに足をのばして(バスに乗ったけどね〜)、寺町の古美術いもとさん(わたくし大好き李朝〜民藝系)の奥様がこの9月に開店されたばかりという堀川丸太町近くのカフェへ。
民藝と古い器のcafe FUDAN さんへ。



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まだ出来たばかりの新しいカフェ、内装はシンプルでさりげなく河井寛次郎の版画がかかってたりするし、なにげに釣瓶の花入れなども。



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お食事メニューも充実、そしてなによりお一人様シートの居心地の良さ。
ちょっと生活圏はずれるけれど、またランチをいただきに来たいわ。




<戦後京都を設計した男〜建築家・富家宏泰 生誕100年記念回顧展> - 2019.09.17 Tue

建築家・富家宏泰の名前を聞いたのは昨年だった。

ご子息とお知り合いになり、来年生誕100年の記念イベントを計画中、というお話しを聞いて初めてしった名前だったが、富家が京都で設計したたくさんの建築の名前を聞いてびっくりした!



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(ご子息 大器さん)


え?あの建築も?あれも?それも?これも!

、、、、と、日ごろ町中で目にし、使ってもいるたくさんの建物が富家設計だったとは!
なのに、なぜ知名度がそれほど高くないのか謎だった。

富家宏泰は京大工学部建築学科卒業、徴兵されたりもしながら、戦後京都府京都市の公共建築、大学、図書館、美術館など2000点以上の設計を手がけたという。
なかには谷崎淳一郎の大阪の私邸まである。



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もっと評価されていいはずの建築家で、その思いはご子息・大器さんにはもっと切実だった。そして、いろんな方の協力を仰ぎながらついにこの9月(〜末日まで)京都府立京都学・歴彩館(旧京都府立総合資料館)にて回顧展を開催された。



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今回2000を超す作品のなかから絞って100作品の写真を展示された(中には残念ながら現存しないものもある)
いくつか例をあげてみるが京都にお住まいの方、京都がお好きな方には絶対なじみのある建築がたくさんあるはず。



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京都を代表する企業のワコール本社
府立体育館 市立体育館
京都市歴史資料館
立命館大学や同志社大学、京都薬科大学の諸建物


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なかでも身近なのが京大付属図書館(残念ながら卒業後だったわ)
毎度お世話になります観世会館!
人間ドックでお世話になってる第2日赤病院
祗園祭でお世話になってます八坂神社新常盤殿
買い物いってます、藤井大丸!



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あの大好きな、四君子苑を見下ろせる北村美術館のガラスの屏風、
それにあの裏千家茶道資料館までが〜〜!!
表千家の方には不審庵来賓館がありますよ。



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南座の前で和装小物にはかかせない井澤屋さんも、十字屋さんも



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現在はもうないけれど、学生の頃なじんだ四条通りのアーケードもそうやったんやなあ。


基本は使い勝手というか機能を重視し、シンプルが身上。装飾もやり過ぎずそれでいてセンスが良い、そんな印象をうけた。
人目を引くようなアバンギャルド建築、使い勝手無視の装飾重視はやりであったご時世に、それにさからうがごとき建築ポリシーがゆえにかえって目立たず、自然になじんで、空気のようにあまり意識することがなかい、、、というあたり、富家の知名度が低い原因であろうか。(かなり取材も嫌い、な人であったそうな)



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ここの幼稚園に通ってはった人には懐かしい河原町カトリック教会。
当時の司教と相談の上、近隣の寺院の屋根に似たフォルムの屋根にしたとのことだが、それも高い設計技術あればこそ。

富家は、当時の建築業界とゼネコンとの癒着をよしとしなかったことなどにより、最終的に経営的危機に陥り、事務所を畳まざるをえなかったと聞いた。むしろ当時の業界に抹殺されたというような感がある。
しかし、これだけ普段なにげに見たり使ったりしている建築を見るに、もっと見直されてよい建築家だと思う。特に京都においてこそ。



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しかし、時とともに壊される建築も多いと聞く。耐久年未満なのに、こんな美しい、そして機能的な建物を壊してどんな建築を作りたいのか、責任者に聞いてみたい。
ちなみにこれは今年壊された京都中小企業会館のエントランス。これも壊すことに物議をかもしていたことは記憶に新しい。
この床のモザイクが失われるのを惜しんで有志がひきとったと聞くが、それはそれでよいことながら、これもこの建築のこの場にあってこそのものだと、ご子息はおっしゃる。

本展示を拝見して、いままで知らなかった、けれどよく知っている建築をウォッチングしながらの京都の町歩きがさらに楽しくなるはず。できればどんどん中へ入ってみよう。




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最後にお父上と同じポーズを大器さんに決めてもらった。
うん、よく似てる!


<生誕100年記念回顧展>9月末日まで
京都歴彩館 (コンサートホールの南です)





久松真一・還暦・明月その他もろもろ〜夕ざり茶事 - 2019.09.14 Sat

たまたま茶事に都合の良い日が中秋の名月だった。



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<玄関>


そうでなくても秋の茶事はお題がたくさんありすぎて困るのに。



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でもちゃっかり名月をテーマにとりいれたりして。



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(待合の座敷 この夏仕様もそろそろ替えねば、、)


待合には西田幾多郎の弟子にして禅・思想家、京大心茶会の創始者、久松真一先生の色紙を。
先生の「茶道の哲学」はいまだに我が茶の湯の精神的バイブルである。
(ちなみに代表的哲学書「東洋的無」は1ページ目にして挫折した。難解)



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なんとなれば本日のお正客さま・其中庵さんは一時、久松真一の茶道の哲学等読みあさったという方なれば。

待合の色紙は、学生時代に久松先生から直々に頂戴したものを、苦労してなんとか軸装したものである。、、、読めない、、、が長年続いて、最近やっとこうだろうな、とあたりはついた。しかし意味が難解すぎてワカラナイ。「一體不二」とか「ポストモダン」とか、ご著書に散見する言葉はあれど、、、。




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<露地のコムラサキシキブ>


お一方、アクシデントにて遅れ、濃茶まではお客さまは其中庵さんと、いつもお世話になっているにいさんこと黙楽庵さんお二人。



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なので、心のゆとりが持てて、亭主もゆったり味わえるええ感じの茶事になった。



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15時席入り、日の陰り方が早くなった気がする長月。
朝方雨が降って、(露地の水うちの手間がだいぶんはぶけた〜)久々に涼しさを感じる。



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夕ざりの初座は花、李朝の籠をかける。
其中庵さんがお正客の時の恒例の花所望である。



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其中庵さんといえば茶花、というくらい花がお好きで、長年花をいれてこられた。だから僭越にも私がいれるなんてとてもこわくてできないわ(^_^;

用意した花は半分はうちの庭で調達したもの
  桔梗、吾亦紅、女郎花、山ホロシ、秋海棠、蓼、矢筈薄

さて、どれを選ばれるかな。



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おお〜!さすが。入れすぎずさびしすぎず絶妙のバランス。
蓼、芒、山ホロシ



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懐石の汁の中にサツマイモの満月を落とし込む。
(汁の量によってむら雲がかかったりして)

いつもは省略する汁替えも久々にきっちりこなした。



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八寸の千鳥では、菊の花びらを盃にうかべる。お客人の長寿を祈りて。
(燗鍋の口が小さすぎて中に入れた花びらがでてこなかったのだ(^_^;)

八寸と言えば、お肴がつきもの、其中庵さん、練習中のお謡をひとふし披露くださる。まもなく還暦を迎えられるよし、「鶴亀」のめでたい長寿の言祝ぎの曲。

   ♪ 君の齢も長生殿に 還御なるこそめでたけれ



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主菓子は千本玉寿軒さんの「葛葡萄」、まんま、餡の中に葡萄が一粒はいってた。



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後座
この季節まだまだ外は明るいが、茶室内は燈火がいる。

後座の掛けものは、この茶事一番のご馳走だと思う。
久松先生の自詠の書なのだが、これは学生時代から心茶会の茶会で時々かけられていたもの。先生直々に拝領された心茶会の大先輩がお持ちで、いつも見るたびにいいな〜と私も後輩たちも口をそろえて言うという、それを今回無理をいってお貸しいただいた。これをお借りしたときに、茶事のテーマの最後のピースがピタリとはまった感じがした。



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「意は剛く なさけは深く 知は密に 厳しくきたえ 人はおおらか」

学生たちにかくあれ、と教えさとすような、理想的な人間像だと思う。
意志強く、緻密にインテリジェンスを磨く、かく人はややもすると、とかく理にはしったり、偏狭だったり、他人を見下したりしがちだが、最後の「人はおおらか」でぐっとくるのだ。
人間おおらかであれ、これは自分への戒めでもある。

難解な禅語の書が多い久松先生だが、こんな平易な胸にすっと入る箴言もあるのだ。其中庵さんを迎えるのに、難解な禅語でなくてこの言葉で迎えるのが私らしいような気がして。
私自身、この言葉を胸に残りの人生生きていく。




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干菓子は亀廣保さんの芋と芋の葉、芋名月だからね。
蟹(甲羅)に尾花をもたせているのは「華甲(還暦)」のこじつけ。
あと、これも還暦お約束の、赤い糸かがりの茶筅。



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薄茶は釜と柄杓を使った茶箱・月点前で。
やってみると中置きみたいで意外としっくりくる。
社中のお稽古で予行演習をさせてもらったのに、けっこう間違えたのが残念〜。

この時刻には露地の虫の音がいいBGMとなった。
遅れたお客様も到着し、黙楽庵さんの恒例のダジャレも炸裂しつつ一会は無事おひらき。



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お見送りするころは露地行灯がいる。
これから秋に向けて其中庵さんの連続還暦茶事シリーズがふた月続くという。あれこれお楽しみ(+苦しみ)でご準備中と思うが、無事かけぬけられますよう、本日の茶事はその壮行会ということで。



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お帰りになった後、露地の片付けをするころ、先ほどまで分厚い雲に覆われていた名月がちょっと顔をだしていた。ええ月やな〜。


<おまけ>


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月兎

見えなかったと思うけれど蓋置も実は金工の兎でしたの。




黄梅院〜昨夢会2019 - 2019.09.11 Wed

紫野大徳寺、この日もぶりかえした暑さに、朝から雲一つない青空がうらめしい。



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塔頭の黄梅院にて木津宗詮宗匠の昨夢会茶会にお招きいただいた。



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黄梅院は非公開ながら、何度も茶会で来させてもらっている茶味のある塔頭、利休の作庭といわれる広大な庭園と茶室をもつお寺なのだ。ご住職の小林太玄和尚は軸もたくさん書かれているから、ご存じの方も多いと思う。



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これは玄関庭園であるが、緑がほんとうに美しい。

木津宗匠は、黄梅院の幕末頃の住職・大綱宗彦和尚が木津家初代の参禅の師であったご縁で、こちらで法要を兼ね毎年茶会をされている。今年で3回目。

*)木津家については文末に以前書いた拙文を掲載、ご興味があればお読み下さい。


まずは本堂で歴代宗詮、物故社中の法要として香を手向ける。



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濃茶席は昨夢軒にて

紹鷗好みの四畳半に書院を開放して広間とする。宗匠ご自身のお点前にて。
書院の棚に不昧公賛、狩野栄川画の利休居士像に三具足。これは利休へというより、初代が可愛がってもらったという不昧公へのオマージュだな。

最初の席とて、例によって徳禅寺の和尚様が参席されていたので、道具についていろいろつっこまれてお聞きになるので、たいへん勉強になる。

この席は不昧公と同時に大綱和尚をしのぶ席になっていた。



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軸は「親しきもうとく成りゆく人の世に 月はいくよの秋もかわらじ」 (大綱和尚)
これは私くらいの年代の人には心にしみる歌だと思う。今までたくさんの人としりあって、別れて疎遠になって、また出会っての繰り返しが人生だ。

花入は瓢をくりぬいたその名も「回也(顔回)」、大綱和尚の箱
花は、すすきと、、、もう萩がでているのね。

茶入が珍しい油滴の楽(紫野焼)、一見醤油さしにみえなくもないのが面白い。大綱和尚箱
主茶碗 伊羅保、初代松斎箱、かなり大ぶり、これはやはり黃伊羅保かな。

茶杓が不昧公 あの硬い鉄刀木(たがやさん)を削りだしたもので、木目が複雑かつ細かく、非常に美しかった。これは不昧から不昧の塗師・不入に拝領されたものを、のちに大綱和尚が所持された、と聞く。

まるっとしたほんまに地球儀みたいな丸釜は、大綱和尚と同世代の光格天皇好み、同じく同世代の浄雪作。

令和という時代を感じたのは、今上天皇の立太子礼(だから30年前だね)の折、賢所より拝領の唐衣のような有職紋様裂を出帛紗に仕立てた物。美しい裂であった。

お菓子が初代お好みの「さざれ水」(鶴屋製)、葛+白餡のなかに小豆入りのさっぱりと涼しげなもの。



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薄茶席は立礼席の関庵にて

点茶盤が武者小路千家の先代・有隣斎考案の物で、点茶台が革張り、風炉先がスチールパイプという実にハイカラなものであった。この発想は官休庵やなあ、と思う。

床に初代の自画賛 「落栗のおとおもしろし 中くぐり」
ちなみに武者小路千家では中潜りは使わないそうだ。(千家系では表さんだけ)

花入がとてもおもしろくて、足軽の帽子(笠)をひっくり返したような吊り花入れで、よく見ると鎖部分まで樹皮で編んであるのにびっくり。花は山芍薬のはじけた実(あの赤いやつね)と水引、あと一つはなんだっけ、めずらしい花だった。

お菓子が、これも官休庵ゆかりの、すはま屋さんの州浜。(官休庵の若さまの結婚式の引き出物だったというあれ)



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点心は大徳寺一久さんにて精進料理



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ほんまのお精進は、派手ではないけれど、どれもしみじみ美味しく、社中の方の料理の素材についてのお話しなども聞きながらいただいた。特に香茸(黒茸)についての、「松茸以上の味とお値段」の力説はおもしろかったな。

宗匠のお社中には顔見知りのお弟子さんも何人かおられて、こじんまりと和気藹々とした雰囲気が伝わってきて楽しい。また来年も来られるといいな。


   *   *   *

<参考:木津宗詮家について〜以前書いたブログ記事より>

津宗詮家は初代が松平不昧公に師事し、その後武者小路千家八代一啜斎の門下となったことから始まる。 一番有名なのが、のちに一代限りの宗泉名を貞明皇后から授かった三代目宗詮(聿斎・いっさい)、明治から昭和戦前に茶人としてより、むしろ数寄屋建築家・造園家として活躍した人である。 私でも知っているのは、大宮御所に貞明皇后の命で作った茶室・秋泉亭の設計。後に淡々斎が好んだ秋泉棚(楓の透かしのあるやつ)もこの茶室の名に由来して作られた。 今回当代(七代)宗詮宗匠が上梓しはった本によると、宗泉が設計したのはそればかりではなく、よく知っている茶臼山の住友家・慶沢園、ご近所南禅寺畔の看松居(レストラン桜鶴園の中)、奈良高畑・山田安民(ロート製薬創始者)邸棲霞園、延暦寺大書院、興福寺茶室・静観寮、四天王寺茶室・払塵亭、、、などなど。
 茶人としては、一時武者小路千家家元を預かっていたという功績がある。先代がなくなり当時10歳だった武者小路千家12代(後に愈好斎)が表千家にひきとられ、後に成人して再興するまでの間、家元預かりだった(大阪最後の数寄人財閥といわれる)平瀬露香・息子の露秀からさらに預かったという経緯もある。




Journal du Theの三日茶寮〜市川孝茶車茶会 - 2019.09.08 Sun

滋賀県の陶芸家、いやむしろ最近では陶芸もする中国茶の茶人といっていいような(^_^;市川孝さん。(作品たくさん愛用してます〜)このたび、Journal du The主催三日茶寮と題して、三日限りの茶車茶会をされた。

(*Journal du Theはお茶文化を世界に発信するロンドンのインディペンデント雑誌。英語。知人のお茶人さんが載っていてびっくりした)



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場所はややこしい迷路のような北白川にある某仕舞屋。
中も昔ながらの町家様式でよかったのだが、それはまた別の話、今日の茶会はそのお庭で。



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玄関前の小さな庭に葦簀が影をつくるすてきな席ができていた。



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川口美術の茶会でも使わせていただいた、市川孝作・茶車の何号か。炉もテーブルもセットされた、かつ猫車のようにして移動できるスグレモノ、究極の野点セット、最近さらに進化したらしい。



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せんだって、琵琶湖畔や淡路島の海岸で沈む夕陽の刻々とかわる色を楽しみながらの茶会をされたので、それの跡見的に、深まり行く秋、、、がテーマだそうだ。

まずは秋の香り、台湾の菊花茶の冷茶から


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熱湯で煎れて氷を一片、あわいあわい薄緑の菊花茶
かおりはカモミールティーに似ている。



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色違いをもっているところのこの土瓶も市川作品なら、モバイル七輪も市川作品、
陶器も木工も金工もいるものは全部ご自分出作ることが出来るうらやましさ。



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この菊花茶の淡い緑に抹茶の緑をかさねる。
昔の奉公人のお膳セットみたいな茶箱からはなんでもでてくる。
ブロック塀をうまく利用してつくった水屋部分も絵になる。



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手の上で点ててもらって、杯は手渡し、掌(たなごころ)に載せる。たなごころ、という言葉の響きがお好きだという市川さん。



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最初のお菓子は佐賀県で活躍されている余韵(よいん)さんの。
氷の上に並べて。

そこで、さあ困った、下に敷く皿がない!
でもご安心を、なんでもそこにあるものをうまく使うのは市川さんの得意中の得意。



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庭の石蕗の葉っぱをちぎってお皿に。
普通のお皿よりなんぼかすてきだ。



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竹の皮をはがすともっちり外郎の中に、この季節初めての栗あんがほのかな甘み。
余韵さんは韓国系のお菓子を得意とされているそうだ。



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続いて私の一番好きな単叢鳳凰烏龍茶、蓋碗にて。
お茶をいれる茶匙も庭の青楓の一枝。



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お茶の色は緑から薄い茶色へ
もう、この飲んだ後の杯の香りが麻薬的にたまらんのよ。



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陽射しはまだ暑い一日ながら、ここだけ清風がふく。
なんと心地良いひととき



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単叢烏龍茶に紅烏龍を足していく。
茶杯のなかで煙のように混じり合う薄茶色と紅色、秋はさらにすすむ。



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最後に普洱茶、いただきものだそうだが、かなり高級なお茶だという。
紅烏龍に混ぜたとき、ほとんどプーアルの独特の香りがなくて烏龍のさわやかな香りだけなのにおどろいた。


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単独の普洱茶はついに秋も深まった、、、感じの色になった。
単独でのむと、ああ、やはりプーアルやな、と。(とても上品)



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気になっていた氷の器の下の五穀、これなんだろう??



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これをゆっさゆっさゆすると、あ〜ら不思議!中からお菓子が顔をだした。
秋がふかまり大地のめぐみが芽吹いた様子をあらわしたかったのだそうだ。



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写真ではわかりにくいけれど、芽をだしたお菓子を堀りあげるとナッツを飴で固めたお菓子(これも韓国干菓子)。これもやさしい甘さのお菓子だった。

これにて深まり行く秋茶会〜市川さんの茶車茶会お開き。
市川さんの言葉は気取らないポエムだなあ、今回もほんとうに佳き時間に感謝。

なにか一つでも得るものがあって、持ち帰ってもらえれば、とのお言葉に、たくさんのインスピレーションを持って帰りましたよ、と答えたい。



最後に秋のグラデーションを、、、

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長浜散歩〜季の雲 - 2019.09.06 Fri

きっかけは長いこと行きたいと思っていたギャラリー季の雲(ときのくも)で、ガラス作家の荒川尚也さんの展示があることだった。
(お馴染みの陶芸家・市川孝さんもここでよく個展+中国茶会をしてはる)



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JR長浜駅におりたったのは学生の時以来!

とてもそそられる駅舎の建物だわ、と思ったら、現存する日本最古の鉄道駅である旧長浜駅舎をモチーフに2006年に完成した物だった。(本歌は長浜鉄道スクエアに移築保存されているとか)明治政府のお雇いイギリス人の鉄道技師の設計。



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季の雲は駅からかなり遠い。せっかくだから長浜の町をぶらつきながら行くとしよう。
なにせ江戸〜明治のレトロな町並みが京都よりよく保たれていると言うし。

駅からすぐのところに長浜旧開知学校の建物。
明治7年の建築、国の登録有形文化財。開智学校と言えば松本市のが有名だが、こちらの方が2年古いのだそうだ。現在は店舗や展示場、会議場などとして使用されているとか。



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さらに行くと江戸時代の北国街道(北陸道 米原〜直江津)で、この両脇に江戸〜明治の町並みが一番良く残っている黒壁スクエアになる。



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たしかに、この町並みは萌えポイントがいっぱいだ。

長浜はかつて今浜とよばれ浅井家の領地であったが、秀吉が浅井攻めの功で拝領、彼の最初の領地となり、長浜に改名。秀吉がここを統治したのはわずか7〜8年であるが、その間に城下町として整備し、形作った名残がみてとれるようだ。




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中には入らなかったが、安藤家住宅、明治38年の建築。奥には魯山人の襖絵があったらしく、行けばよかったな。




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虫籠窓に楼閣、これはナンダ?!と思ったら、ここ、お寺さんだったのね。(浄琳寺)





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これが黒壁スクエアのランドマーク、黒壁ガラス館。
その名称は文字通り黒い壁にある。黒壁銀行として親しまれた第百三十銀行(明治32年竣工)。



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この建物もご多分にもれず取り壊しの危機があった。しかし、旧市街の保存と再生のため、長浜市は地元民間会社と第三セクター株式会社「黒壁」を設立し、黒壁ガラス館として再生、この建物を守ったのである。



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中は優美な階段とかかつての面影を残し、作家物からお手頃のものまで多種多様のガラス製品の販売。



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銀行らしい蔵みたいな窓

しかし、ハテ?長浜ってガラスが伝統産業だったっけ??と思ったら、やはりそうではなくて、町作りの中心産業として新たにガラス製品を、という市の構想によるものだそうだ。





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株式会社「黒壁」は黒壁銀行の他、周辺の古建築を次々と美術館、カフェ、レストラン、ギャラリーに再生、長浜市の観光スポットとしてにぎわっている。長浜市、偉い!というか見識高い。(どこかの市みたいに町家ぼかすかつぶしているところとはエライ違いや)



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おっと、ここにも滋賀県が発祥の地である「飛び出し坊や」!



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時間があればあちこちの店舗をひやかしたいとろこだが、、、、



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あ、でもここのギャラリーだけはちょっとのぞいてみよう。


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ギャラリーアミス
ガラス作家さんの作品を展示、写真は撮れないけどいい雰囲気であった。(でも、これから季の雲へガラス見に行くしね、、(^_^;)




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長浜曳山をかたどった入り口のあるアーケード商店街も黒壁による再生物件が多数ある。




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もちろん、それと関係なく昔からお商売されているお家もあって、こういうお店が昭和生まれには懐かしくて。



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かつて町中にこんなドブ川(ドブではないけど、、)あったなあ、と思いながらこの左手の建物にいたくひかれる。



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のぞいたら、ギャラリーのような普通の住宅のような。



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その脇に川まで降りていける洗い場みたいな場所もあって、これって昭和やねえ、、と感慨にふける。



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こちらはさらに整備された小川、美しくも懐かしい風景。



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モンペも売っている衣料品店も昭和の匂いがプンプンしてたまりません。



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お、なんかこの町並みもすてき!と歩いて見たら、、、



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長浜別院大通寺の参道だった。(真宗大谷派=東本願寺派)



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この山門、絢爛豪華な装飾がすごくて、これ本願寺の勅使門みたいやと思ったら、それに習って造られたそうだ。しかも本家の東本願寺が幕末のどんど焼けで焼失したあと、本家がまた大通寺の山門をモデルに再建したというから、おもしろい。



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せっかくだから中へ入ってみたが、思いもかけず中も広大で立派でビックリであった。本堂や大広間などは重文。王羲之の「蘭亭曲水」の様子を模した蘭亭の間は有名らしいが、中国趣味な感じがすてきである。庭園などは手入れがあまり行き届いていないのが残念。これだけ広大だと修復維持にもかなり費用が必要なのだろうな。



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大通寺を出て、こんどこそ季の雲をめざす。
ああ、ここも立派な湖国の町家、メリヤスというのが懐かしい。



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昭和の子供にはもう懐かしくて懐かしくて。よく残ってたなこんなお店。



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さあ、最終目的地、季の雲さんに到着。



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お噂はかねがね、入ったのは初めて。
とてもすてきなギャラリーだった。(交通の便が難点)



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ギャラリーの一画にカウンターがあって、ここで定期的に中国茶教室もひらかれる。軽食がでる展示もあって、市川さんからご案内をいただくも、なかなかそういうイベントの時に来られるとは限らなくて。いつかここでお茶飲みたいな。



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ギャラリーには、荒川さんの個展だけでなく、お名前をよくしっている方々の作品がたくさんあって、これもびっくり、みんなつながっている。

というわけで、この長浜さんぽの土産は、荒川さんのガラスの茶壺(チャフー)台に、一度お目にかかったことのあるチェコの陶芸家、マルティン・ハヌシュさんの茶壺、やっぱり煎れるのは中国茶よね。




年に一度の蔵酒場・佐々俵!2019〜佐々木酒造 - 2019.09.03 Tue

夏の終わりとともにこれがやってきた!



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洛中唯一の造り酒屋・佐々木酒造
佐々木蔵之介さんのご実家といった方が通りがいい。




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ここの蔵を開放して一夜限りの飲み放題、蔵酒場・佐々俵、今年も参戦、3回目!



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佐々木酒造の(お兄さん=蔵之介さんより男前の評判高い)社長と、書動家(!?)の俵越山先生こと越前屋俵太さんのコラボ酒場、18時いよいよ開場です。



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毎年オリジナルの手ぬぐいと(昨年から注染のいいやつになった)、、、



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オリジナルのお猪口がついてくる。
今年はアクリルの透明升、これを持って開場内のカウンターでたくさんの種類の佐々木酒造のお酒飲み放題なのである。



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普段は酒蔵として稼働する蔵の中はこの日ばかりはきれいに片付けて、奥にビールケース?でにわか造りの酒カウンターが。



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そしてあちこちに俵越山の書が堂々と、あるいはこっそりとちりばめられている。



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社長と越山先生と、ミス酒3人で鏡割りをして乾杯。あとはお猪口を片手にふらふら浮遊する酔っぱらいたちの宴となる。



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一番目立つところに、これ去年もあったけれど全然気づかなかった!弘法大師の「座右銘」じゃないか!(人の短をいうことなかれ 己の長を説くことなかれ)というか、今年の大師会で初めて知った言葉なんだけれどね(^_^; 越山先生、深いわ。




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何年か前に短冊を書家としてお願いしたことがあって、覚えていてくださった。

「探偵ナイトスクープ」に出てはったときも、TV局の意向を全く無視?して迎合せず、独特の俵太ワールドを作り上げていた頃からのファンである。最近はツイッターでもフォロー、ええことつぶやいてはるわ〜。現在はいろんな大学で(京大でも)非常勤講師として講座ももってはると聞いた。いよいよ来たな、感慨深い。



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いつもの帳場?とおぼしきカウンター的なところに基地を作って、、、、



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蔵の外のお店でアテを買って、べっぴんさんばかりのカウンターへいそいそ。



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このべっぴんさんたち、今年のミス京都のファイナリストさんなのだ。
納得。


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で、お酒は全種試したが、この平安四神が一番お気に入りだったかな。



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お仲間と来ている人もいれば、私みたいにお一人様もいて、袖振り合うも他生の縁とばかり、見知らぬ同志お酒のいきおいでおしゃべりはあちこちで弾むのである。
午前の部から通し出来ている人もいて、ほとんどヘベレケ、何を言っているのかさっぱりわからないほど酩酊している方もいらしたわ(^_^;



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佐々木酒造のお酒の小売もあれば越山先生グッズ売り場もあって、ちょっとこの偽スタバTシャツほしかった。(STARBUCKSの代わりにTAWARABUCKSになっている)



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お猪口片手に蔵内を浮遊して、ああ、ここはやっぱり造り酒屋なんだと納得する景色をみたり、、、



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あちらこちらでみんなのお相手をしてくれているミス酒の写真を撮ったり(後を駆け抜ける佐々木社長)



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こんな名札を見つけたり、、、


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蔵の外の屋台で売ってる、普段は絶対食べない(ダイエット)鶏の唐揚げをたべたり、ふらふら飲み歩きがこんなに楽しい。そろそろ頭がもうろうとしてきたぞ。



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蔵の外では地ビールの販売も。



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あっというまに楽しい時は過ぎ、あちらこちらに酔っ払いを輩出して、今年も佐々俵めでたくお開き。来年も是非是非参加できますように!(ガンバレ、肝臓さん)



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越山先生の書のハガキをお土産に。
「きゅうりはぱぱ」が個人的には気に入っている。こういう斜め上をいく発想が好きなんや。



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それと、これもお約束、佐々木酒造のノンアルコール甘酒的な「白い銀明水」
これはここでしか、買えませぬ。




京博寄託の名宝〜美を守り美を伝える〜 - 2019.09.01 Sun

京都国立博物館のほぼ常設展
特別展と銘打っていないから520円(私は団体割引料金で410円!)で、これだけの国宝・重文が拝見できるとは、数年前の国宝展4期に1〜2時間並んだ苦労はなんだったのだろう。



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ここでいう寄託とは寺社や個人が持っているお宝を自分とこで管理維持できないので、預けますから管理もお願いね、そのかわり展示してもいいですよ〜というやつ、たぶん。



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特別展を見に来たときに常設展もちらっとのぞいているから、もうすっかりお馴染みになった美術品もけっこう多い。ポスターになった頼朝の似絵は新館開館記念展示の時にも見たなあと懐かしい。お隣はあの時と同じく平宗盛。武家と半分公家の対比が面白いのだ。



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宗達の風神雷神図屏風、琳派展のときに、宗達、光琳、抱一のそろい踏みを見たのもなつかしい。

聚光院の狩野永徳・国宝襖絵は、昨年だったか、聚光院に里帰りしてかつてのままの状態で見ることができたのもしあわせであった。向かい合って長谷川等伯の襖絵があったのも意図的はからいだろう。

おそらく何回もみているだろうが、記憶が消えているやつもたくさんあるので(^_^;けっこう新鮮な気持ちで見ることができる。



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おもしろいのは寄託している寺社の名前をチェックすることだ。有名なお寺あり、身近でよく知っているなじみのお寺あり、初めて聞く名前のところもあり、奈良からも談山神社の名前をみつけた。和歌山の熊野速玉神社もあったな。

昨今の防犯事情や経済事情では国宝を自分ところで管理するのはかなり大変なことと思う。寄託もむべなるかな。でも、本当は元あった場所で元の状態で見たいのが本音。
奈良の寺社もずいぶん自分とこでがんばっているが、法華堂(三月堂)の日光月光菩薩が東大寺ミュージアムへいっちゃったのはとても残念。あのお堂の中で見た感激は忘れられないのに。新薬師寺の国宝・十二神将もいつガラスケーズにいれられるかと、どきどきしている。



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お気に入りは空海の国宝「灌頂歴名」、国宝展にもでていたように思うが。

唐から帰って、ようよう入洛を果たした空海が高雄山寺(神護寺)でおこなった灌頂を受けた人の名前がずらっと並ぶ。最初に「最澄」とか「泰範」とか有名どころの名前が見られる。書き出しこそきちんと書かれているが、だんだん数がふえたせいか、走り書きになったりマチガイを墨で塗りつぶして消したり、行もそろわず、いたずら書きみたいになっているところに、彼の息づかいまで感じられてとても好きなのだ。

520円で思いがけず楽しめます。
9月16日まで

そして、、、、



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10月12日からはお待ちかね!切断から100年、奇跡の再会、佐竹本三十六歌仙絵!
これはとても期待している。楽しみだ。



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帰りのコーヒーは、七条通に面した、私が学生の時からある喫茶Amazon。
学生の時(ウン十年前)、この近くのお宅に家庭教師に行っていたので、まだ健在なのがうれしい喫茶店(カフェではなく)なのである。




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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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