大聖寺特別公開〜俵屋吉富・京菓子資料館 - 2020.03.13 Fri

烏丸今出川以北は同志社村とでも言おうか。赤煉瓦の大きな学舎がたくさん建ち並ぶ。(ここ数年でさらに増殖したようだ)
そんな同志社学舎の林の中にひっそりとある尼門跡・大聖寺、普段は非公開だが18日まで特別公開中。
なんといってもここは室町幕府・花の御所の遺構の一部なのである。
北朝初代・光厳天皇妃にして、足利将軍義満の御台所・日野業子の伯母である日野宣子を室町御所内、岡松殿に迎えたことから始まる尼門跡寺院。
その後焼失などもあって場所を転々としたが、江戸中期にこのゆかりの場所にもどってきたという。
山号岳松山は岡松殿に由来する。
桃山時代、正親町天皇のご息女入寺に際し、尼門跡第一位の綸旨を受け、また幕末の光格天皇のご息女入寺に際し、現在の書院を賜ったとか。このように皇室とゆかりの深い寺で、昭和の時代になってから青山御所から移築されたのが本堂、というのもあって、展示物は明治天皇・昭憲皇太后に纏わるものが多かった。
(背景が同志社でなんともシュール)
奥の書院で西洋人形の赤ちゃんの洋服を着た京人形が明治天皇愛用にお椅子にすわっているのも(ポスターになっている)シュールだ。昭憲皇太后ご遺愛の人形だそうだ。
印象に残るのが明治天皇が描かれたという八甲田山雪中行軍の図。(それを布に写した物)
明治35年陸軍第8師団歩兵隊の雪中行軍で、210名中199人が遭難死したという、映画にもなった最悪の山岳遭難事件であった。(「八甲田山」)
雪の林の向こうに兵士達が進軍する様子を描いた絵で、意外といったら失礼だが構図も絵もお上手だ。この絵を布に写して掛け布団とし、生涯これを使われたという。多くの皇軍兵士を失った痛みを生涯背負って行かれたのだな、とそのお人柄が垣間見えるような気がした。
あとは庭園の美しさ。京都市指定名勝となっている。
花の御所ゆえ、四季の花が美しいという。小川をおびただしい丸石で表した枯山水の庭園は、雨ゆえよけいに苔の緑が美しく、芽吹く直前の木々の梢のやわらかさ。多種におよぶ椿がいまは盛りで、ちらっとではあったが、真っ白な八重咲き「玉兎」椿も見ることができた。(玉兎は光格天皇皇后様命名)
書院の前に入寺した皇女たちの丈にあわせた背の低い藤棚、そして菊の御紋の入った信楽の壺がずらっと並ぶ。季節になれば「雲居の鶴」という杜若が咲くそうだ。その頃また公開されるといいのにね。ちなみに雲居の鶴は鶴の紋様がお好きだった光格天皇からの拝領なのだそうだ。
絵葉書をもとめる。この白いのが玉兎
きれいだ。
その後は近くの俵屋吉富さんの京菓子資料館へ。
10年ぶりくらいかしら。
お庭もきれいにされている。
展示は工芸菓子や、季節の菓子の元になる昔の図案帳など。
興味深かったのが唐菓子。これ本では名前だけ見る「梅枝、餢飳(ぶと)、索餅、歓喜団、、」などの実物模型があって、ああ、梅枝ってこんなんか〜と初めて納得した。
こちらの茶室でお茶を一服
お菓子はもちろん俵屋さんの「弥生花(桃)」
ここには腰掛け待合いもある小間の茶席もあって、使われているなならいいな、と思った。
ランチは俵屋さん近くのnatural riddimへ。なんかかわいいお店。
もともとハーブティーのお店らしいが、チキンカレーを注文。サフランライスも美味しゅうございました。