能・社中発表会「桜川〜網の段」 - 2020.03.19 Thu
開催があやぶまれた社中の発表会である。観世会館は2年前からおさえ、プロの能楽師、囃子方をおさえ、中止なら大変だと思っていたが、いろいろ配慮して敢行することになった。

入り口では社中の若い方が入ってくる人全員の手にアルコールスプレー、マスクしてない人には手渡し、演目の間に定期的に窓を開け放って換気、時々手すりなどをアルコールで拭く、観客は社中のみで、知人友人はその演目だけ見てでていく、というできることは全部しての体制。
なので見所(観客席)はがらがら、なんともさびしい限りであるが、致し方なく、また緊張しなくてもすむというメリットも(^_^;
今年は仕舞、「桜川」の「網の段」をやった。
いでたちは昨年と全く同じなのだが、桜川だからやっぱり桜の小紋じゃないとね。袴は今年もYouTube先生におそわりながら、けっこうぎりぎり締めたので、ゆるむことなく、だいぶん上手につけられるようになったと思う。
扇は毎年演目にあわせて先生にお借りする。昨年の笠の段はシテが翁だったので渋かったが、今年は桜だ!舞扇はどれも意匠がすてきであれもこれも欲しくなる。まあ、どんな美しい扇を持っても芸がね〜、、、(^_^;
「桜川」はご存じ、貧しい家を助けようと自ら人商人に身を売った桜子(さくらご)をたずねて歩く母が、常陸国で寺子となった桜子に再会する話である。「隅田川」と似た筋立てであるが、あちらは悲劇であるのに対し、桜川はハッピーエンドが用意されている。
「網の段」は、狂女となった母が、川面に散る花びらを網ですくって物狂いの様を見せる場面で、物狂いと言えど、そこに品と教養がともなう。昨年、この会で片山九郎右衛門先生が舞われた。
見せ場は川面の桜をすくってしばし見入るが、「これは木の花!(桜のはなびらであってわがたずねる桜子ではない!)」と扇をかえして花びらを捨てるところで、好きな箇所なのだ。しかし、その前の六拍子(足拍子)をちょっと外したのがくやしい。バックにプロの能楽師のお謡いで舞えるのは贅沢なことであるが、毎年自分にあまり進歩がないのが残念である。今年もあとでDVD一回見てお蔵入りさせるんだろうな(´・_・`)
社中の方々の仕舞、舞囃子は見ごたえあって、鬼神がかっこいい「野守」、足拍子がそのまま太鼓の音になっている構成に感激した「富士太鼓」、衣裳面をつけてされる能「羽衣」、いずれもよかった。
コロナの影響か欠番になった舞囃子「邯鄲」を代わりに先生が舞われたのはうれしい贈り物であった。邯鄲、かっこいいし好きやわ。
私は舞囃子は長くて覚えられる気がしないのと、詞章のない部分がちょっと退屈してしまうので、当分は仕舞だけでいく。
いつもなら打ち上げ反省会を竹茂楼でするのだが、今年はやっぱりとりやめとなりこれは残念であった。
最後にコロナ対策にがんばってくれた社中の若い方々に感謝である。