0先生の新規店舗の茶室にて茶事の試運転に招かれる - 2020.04.07 Tue

芦屋にはこんなきれいな桜並木があるのね。沿道はおされな店ばかりでさすが〜と思う。
うちで時々茶席付き茶道具講座をひらいてくださっている古美術商のO先生が、この桜並木の途中に新規店舗をオープンされる。改修工事を終えて、引き渡しが2日前だったというひっこしで大変なさなか、茶事の予行演習(本番はお家元をお招き)をしようと、実験茶事にお招きいただく。(本来この日茶会をする予定がぶっつぶれた3人含む)
お店の入り口のガラス戸には遠州流宗家お家元揮毫の店名が。
戸をあけると、正面に、、え?ここビルの一室でしたよね?、、、と驚く。
この障子の向こうが茶室になっているのだ。お家元揮毫の「和月庵」の扁額がかかる。
茶室の手前が店舗部分になるが、茶事の時には待合にもなるし、勉強会ができるスペースとなっている。この障子の下が、、、
なんとたっぷりキャパのある収納スペースに。
ビル内に店舗+茶室を作るにあたって、どんな仕掛けやアイデアが施されているのか、改修の設計監修をされた建築士・岩崎さんもお客さまとして入られたので、解説を聞きながら茶事をする、というある意味贅沢な一会となった。
建築については彼のブログ記事にくわしいので、そちらを是非。
収納式の障子を開け放つと茶室があらわれる。三畳(上台目)
店舗として使うときはここにも道具を並べて、またはお茶を一服のんでもらうこともできるのね。
障子を閉めてしまうと、ここが店舗の一部とはとても思えない。
独立した茶の湯空間になる。
遠州流(宗家)の炭はこれまた独特。丸ぎっちょを横に寝かせるのにはびっくり。枝炭が胡粉化粧していないのは知っていたけれど。
実はこの炉壇、スライド式になっていて、電熱炉にもすばやく替えられるのだ。(岩崎さん考案)いちいち灰をとりださなくても、お手軽にいつでも電熱でお茶を楽しめるのはポイント高い。
懐石、点心は先ほどの店舗部分に椅子をおいて、茶室の畳をテーブル代わりにする使い方を試された。人数が少なければ茶席で懐石もできるが、客としては椅子の方が確かに楽。小林逸翁美術館の茶席・即庵をほうふつとさせる。
いつもO先生のお手伝いされて、この日水屋で活躍のKさんが薮ノ内流なので、八寸は薮ノ内流儀で三種(海の物、山の物、里または川の物)
後座の花は馬酔木、寒芍薬(クリスマスローズ)、黒文字の枝。
右に墨蹟窓があって、自然光にしか見えないが、実は、、、、
裏はこうなっていた!
茶室の照明は暗い↔明るいの調節が自在で、店舗部分の床の間の照明も蛍光色〜電球色に切替できるなど、ビル内ならではの工夫があちこちに。
(蝶々の雲平はKさん手作り、これ言っとかないと(^_^;)
濃茶は障子を閉めて、薄茶はこのように開け放つととても開放的な雰囲気になる。
ここはああしたほうが、こうした使い方も、、とご一緒した師匠のアドバイスがとぶ。
お道具はO商店の名品揃いでこれもうふふ、、である。テーマは「桃〜三千歳〜西王母〜祓邪」
(桃は古事記で伊弉諾尊が黄泉比良坂で桃の実を投げて難を逃れた話があり、桃の枝は魔を祓うといわれる)
最後にバックヤードと水屋拝見。きちんとして立派な水屋だわ。ただ水回りに問題は多少残っているとか。
引っ越しの荷物でひっくり返っている中、ありがたくも模擬とは言え茶事にお招きくださり感謝しかない。コロナ禍のさなか、船出されるのは大変だと思うが、ますますのご発展をお祈りします。
嵐が過ぎたら、できれば秋にまた京都で茶道具講座してくださいね。その日を楽しみになんとか生き延びよう。