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2021-01

雪の大原〜惟喬親王墓をたずねて - 2021.01.21 Thu

先日京都市内にも雪が積もった。はかないもので午前中にはとけてしまったが、もしかして大原ならまだ残っているかも。



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とても車30分で行ける同じ左京区とは思えない景色。
ああ、そうだ、大原へ行くならせっかくだからこの前本で読んだばかりの惟喬親王の墓所を見に行こう。


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近江の神官である著者の惟喬親王にまつわる旅行記なのだが、これがまたこまめに伝説のあるところ全国(主に滋賀、洛北)を来訪されているのだ。(「惟喬親王伝説を旅する」() )神社では縁起をひもとき、地元の人に話を聞き、それをまとめた記録である。



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三千院などのある観光スポットより少し国道南、それから東の山の方へ向かう。

惟喬親王は「伊勢物語」の82,83段に登場する。業平が仕え、親王の別邸であった渚の院(枚方市)で歌われたのが有名な「世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」である。

文徳天皇の第一皇子でありながら、藤原氏のごり押しで母が藤原である生後8ヶ月の第四皇子(のちの清和天皇)が立太子、天皇の位につくことを断念せざるをえなかった。青年期の無聊を狩猟や和歌を詠むことで慰めたがついに29歳の時に出家、小野の里に隠棲、54歳で薨じられた。



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田んぼのなかの道はまだ雪がしっかり積もって、足の下でぎゅっぎゅと音を立てる。寒さはそれほどではないが静かだ。誰も歩いていない。


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惟喬親王の名前を気にしだしたのは、洛北のあちこちに親王伝説があるのに気づいたからである。気にはなっていたが散発的な知識しかなかった。最近、上記の本にも登場する方にこの本を紹介してもらってがぜん興味がわいたのだ。

親王伝説は、なぜか京を離れて滋賀県の愛知川一帯(君ヶ畑、蛭谷など)に轆轤挽物の方法を発明し杣人に伝えた木地師祖神というものもある。ほんとうに親王が滋賀に隠棲したのか(藤原氏の放った追っ手から逃れるため、という説も)明確な資料はないらしいが、非常におもしろい。むしろ惟喬親王といえば轆轤挽物を連想する。
いつしか菅公が雷神になったように、当時の人々の中に悲劇の皇子への哀悼の気持ちが生みだした轆轤伝説かもしれない。



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山の際、少し登ったところに階段が二つ。右はこの墓を守る小野御霊社(親王は小野に隠棲されたので小野の宮ともよばれた)あたりは杉林で、溶け出した雪が雨のように上からぽたぽた落ちてくる。左の階段を登ったところが親王の墓所である。



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墓の場所は諸説あるが、ここは明治9年、宮内庁が親王の墓と定めたところである。
「文徳天皇皇子 惟喬親王御墓」の碑。
父である文徳天皇は親王を特にかわいがり、天皇につけたいと腐心されたがついに藤原氏の勢力には叶わなかったのである。

余談であるが我が愛読書(漫画だけど)「応天の門」にでてくる幼い帝が清和天皇(第4皇子)ね。


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ひっそりと杉の林にかこまれて静かにたたずむ五輪塔。そっと手を合わす。

「応天の門」には業平も主要人物としてでてくるが、伊勢物語の83段。業平は比叡山の麓、雪に埋もれた小野の里に出家した親王を訪ねる。そこで昔の思い出話など懐かしくされ、なくなく辞去するのである。

   忘れては 夢かとぞ思ふ 思ひきや 雪踏み分けて 君を見むとは

業平が訪ねていった小野の里もこんな雪だったのかなあ。



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せっかくここまで来たから、観光ルートの雪景色も見ておこう。



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三千院前から勝林院へのゆるい下り坂、この景色が一番好きだな。



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額縁庭園の雪の写真をあてこんで、一番奥の宝泉院に行ってみたが、、、、



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すでに庭の雪は9割方なくなっていて残念。雪景色とまではいかなかった。和尚さんが、朝方はまだきれいに積もっていて三々五々カメラの人がおいでだったとか。出遅れた。



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でもそれなりに人は少ないし(ゼロではない)雰囲気はよいのでしばしここで休憩。


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インバウンドが消えて、やっとおちついた京都の冬らしい景色になったと思う。(いい面も悪い面も)ちょっと前までは京都の冬ってこんなもんだった。だから好きなのだ、冬。



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石仏に供えられた青竹のすがすがしさ。


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お正月のお飾りをしてもらったお地蔵様はまだ雪の中。



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2013年の千年響流法要、一昨年は修正会にお邪魔して以来ファンであるところの天台声明道場・魚山勝林院。無住ながら宝泉院さんと実光院さんが管理しておられる。最近NHKで歴史発掘ミステリー「京都 千年蔵」(歴史学者磯田先生出演)の舞台となってちょっとうれしい。


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黄金の阿弥陀様に別れを告げ、本堂から雪の境内を見て、同じ左京区ながら、ちっとも雪のかけらも残っていない家に帰ろう。



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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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