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2021-04

初夏の暁の茶事 - 2021.04.30 Fri

寝静まる洛中、西に沈みゆく十三夜の月を見送る寅の刻(午前4時)に乙女4人つどいて、、、
なにやらあやしい集会でも?、、、いえいえ、はじめての暁の茶事に参席。



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本来、暁の茶事(夜込めの茶事とも)は厳寒の季節のものだが、本日のご亭主は突き上げ窓をどうしても使いたいので、初夏ではあるが季節外れの暁もまた侘び、とお招きいただく。
京都はコンパクトシティーなので、こんな時間でもタクシーが罪悪感なく使える距離感なのがありがたい。


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寄付の立派な端午の節句飾りに、ああ、もうそんな季節かと思う。
腰掛け待合いにて迎え付けを待つ。


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まだ夜は明けない。そして生活音ゼロの静けさ。露地行灯のゆれるのを見ながら、夕ざり茶事も後入りの時の露地はこんな感じだが、この静けさはない。空気もピリッとした感じで、同じ暗さでも質が違うと感じた。


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手燭を持って亭主のお迎え。


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客は、足元におかれた手燭を持ってご亭主と、手燭交換を静かに。
連客は遅れないように、手燭の灯りが足元を照らしてくれる距離で雁行する。


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四畳向切枡床の小間である。
お軸はご亭主の御流儀、山田宗有(山田寅次郎・宗偏流8代目)の軸で「柿之種楽八年後」。
彼はトルコに長らく滞在し(本来は和歌山沖で遭難したエルトゥールル号への義援金を持参するのが目的だった)そこに事業と日本文化の伝播の種をまいた。その種が実る8年後が楽しみという、彼の伝記をしっていれば味わい深い言葉である。

さて、釜はすでに湯がわいていて、ゆっくりと前茶をいただく。
その釜をあげて、流れた炭を半田にとりあげ(廻り炭みたいな感じ)種火を残して初炭。そのあと釜を水屋に引き上げるのだ。
釜に入っているのはこの日の寅の刻以前に汲んだ水なので、半分ほど捨てて寅の刻以後に汲んだ井華水(せいかすい)に換え、濡れ釜にして掛ける。これが暁の風情の一つ。
(午前4時ごろ、井戸の水の不純物は沈殿していて一番きれいと思われていた)


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朝の5時前、懐石となる。
厳寒の候ではまだまだ暗いが、この季節はほんのり明るくなる。もちろん膳燭は必要。


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こんな早朝からご準備、ほとんど徹夜でされているのではないかしら。これを厳寒にやるとなるとさらに過酷な茶事で、客もそれなりに覚悟がいる、というのがよく分かる。
しかしながら早朝からこんなにご馳走をいただいて、胃がビックリしているだろうな(^_^;

懐石道具は蒔絵、螺鈿の美しい物。旧家によく残されている10客くらいの揃いの一部かな。よいものをたくさんお持ちだ。(ここのお家自体が美術品のお屋敷)



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懐石中、いよいよクライマックスの突き上げ窓開け!


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小間なので、客が突き上げ窓を文字通り、突き上げてあける。
室内に居るとわからなかったが、おお、外はすでにこんなに明るく、、、といってもまだ陽の光は直接は届いていない。


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窓から見る朝の青楓のすがすがしさ。
そういえば、洛中ど真ん中なのに、鳥の声が聞こえる。ああ、夜が明けた。
夜込めをともにして、ともに朝を迎えた客はほのかな連帯感に結ばれる感じだ。


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かわいらしいお皿にて主菓子をいただく。ご町内の亀屋則克さんのお菓子である。


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中立の間に待合で、それぞれ歌や俳句の所望、みんな朝から頭を悩ませながら、なんとか一首、または一句ひねりだす。短冊にしたためて後入りを待つ。


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席入りしたときの暗さがウソのように、明るくなった露地を眺める。時のうつろいを体感するひとときである。


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お役目を終えた燈火たち。

後座
床の花はなんとめずらしいうらやましいウラシマソウに九輪草。ウラシマソウはほんとうに浦島太郎っぽく、釣り糸をたれているようで、葉は蓑の形をしているのだ。
宗偏は宗旦四天王の一人であったから、お点前は千家系と似ている。
ありがたくも唐物の茶入、台天目にて濃茶をいただいた。



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薄茶の干菓子は桜のつぼみの和三盆に浮島。器もおしゃれ。
薄茶をそれぞれいただいてお開きとなった。

夕ざりは暮れていく景色を、それに対して暁は明けて行く景色を五感で楽しむ。
時の移ろいを感じつつ、ひととき過ごす、これぞ茶事の醍醐味。
主客に過酷な暁であるが、参席するだけの価値がある。これを酷寒の時期にやれば、またどんな違う景色がみえるのだろうか。亭主はちょっとできそうもないが(^_^;、客としてまた体験したいものである。

ほぼ徹夜でご準備くださった、ご亭主様、朝はようからお付き合い下さった御連客の乙女のみなさま、ありがとうございました。







茶箱女王様の驚愕感動の茶事デビュー(でも秘密(^_^;) - 2021.04.28 Wed

茶箱の女王様とおよびしている方、茶箱のお茶会はベテランでいらっしゃるが、今年いよいよ茶事デビューなさるという。その最初のお客として(実験台とも言う(^_^;)、これまた10年来のお付き合いという其中庵さまにご相伴させていただくという栄誉に浴す。


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伺ったのは洛中なる高層マンション、外の景色を見るとあたかもここが空中にあるような心地して、いかなる茶事をなさるのかわくわく興味津々。


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待合兼懐石をいただくスペースは屏風に仕切られ、屏風は三保の松原(天橋立説も)に天女の羽衣?さてはこれを身につけて茶事に降臨されるのか。
其中庵様が喜びそうな松永耳庵の一行「森羅万象大文章」
大文章の意味は不明ながら、万象と韻をふみたかった耳庵の遊びかも。


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手摘みの茶葉を微発酵させたお茶を汲み出しに、硯箱から汲み出しから、女王様お好みのステキかわいいコレクションに圧倒される。懐石道具も可愛いと思えば、そう来るか?といいたくなるオランダの印判向付とか、そのすてきなコレクションは茶箱だけではなかろうと思っていたが、実に想像以上であった。


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煮えばなのご飯も美味なるかな。
煮物椀もすばらしい!(中身も器も。「うるわし屋」さんで売っている物はすべてチェック済みというウワサは本当だった!?)



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お酒あり、なし、のご手配もぬかりなく。


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般若湯には鈴つけて、盃台の桜の青貝もいいなあ。ひとつひとつが間に合わせでなく、吟味して吟味して選ばれたのがわかる。これだけ懐石道具持ってたら、今後もどんどん茶事していただかなくてわ。


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湯桶も朱塗盆もセレクトされているよなあ。
八寸のご馳走は其中庵様のお謡「吉野天人」、まさに羽衣つけた女王様にぴったり。
 
   ♪ 乙女はいくたび君が代を 撫でし巌もつきせぬや


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主菓子がお善哉であったのだが、この中のお餅が東大寺修二会(お水取り)の須弥壇を荘厳せし壇供(終了後関係者、信者へ配られる。私も今年ゲット!)、練行衆の行法の間、煤を被っていたありがたい餅なのだ。ありがたし南無観南無観♪



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正客の其中庵さまと女王様の深く長いお付き合いは、この雑誌の取材〜編集、、から始まったそうだ。となると10年以上前からなのだなあ。お二人の関係は、じゃれ合っているようでもあり、尊敬しあっているようでもあり、長いおつきあいの間に、他者はいりこむ余地ないながら、不肖わたくし、お相伴させていただいたことに感謝限りなし。



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空中の露地で蹲居を使って後座、、、

ああ、ここからが言えない言えない。この茶室の件は、ちょっと秘密にしていてほしいという女王様のご意向に従うほかないが、言いたくてたまらないほど、「こう来たか!!」と仰天驚愕感動歓喜、、、もうふんわり夢の中、桃源郷に遊ぶが如し。



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藤波の干菓子に、そっと懐石の時に話題にしていた喜三郎の超絶薄い盆がでてくるあたり、お蔵は深いとみた!(マンションの中で居住空間を道具が占拠増殖しつつある想像、、、、)


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さすがに一筋縄ではいかぬ女王様の茶事は、感性と日ごろ茶箱で鍛えた美意識とユーモアにあふれて、これも一つの侘びのあり方ではないかと不肖わたくし、思ったのである。



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最後に其中庵さまの揮毫、真ん中に貼り付けた桜の花びらは、先だって私の桜川茶事でとっておいた花びらを押し花にしたものであった。(たまたま懐紙にはさんであったという、、、(^_^;)
詳しくは書けないが、この日の女王様の茶事を象徴する言葉となった。


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最後に拝領したお土産まで、かわい美し、若狭屋久茂「La vie en rose〜バラ色の人生」!




美食と名器に酔う〜ごだん宮ざわ - 2021.04.26 Mon

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毎度予約の取りにくい美食でお世話になっているクラブエリーさん、今回のごちそうの会はごだん宮ざわ。じき宮ざわには行ったことあるが、こちらは初めてだった。
もうなんというか、美食はいうにおよばず、もう出てくる器すべてが垂涎のホンモノで、こちらにいたく感激してしまったのである。



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光りを透かしてみれば雲英の下絵のある唐紙に書かれた山桜の歌は、なんと光悦!!
一瞬ここは光悦会かと思いましたわ。
楽の花入れになげいれられた花は木苺と鞍馬の山の中でスタッフがつんできたというアケビ。


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月の桂で有名な京都の増田徳兵衛酒造さんの「稼ぎ頭 純米酒」、これジュースかと思うほど少し甘口微発泡でするする行ける。すっかり気に入った、買わなくちゃ。ちなみにグラスはルネラリック。



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汲み出しからして古染付け。


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これは期待できると思ったらいきなりガツンときた!これ桃山の志野やん!!
(料理は西京区塚原の筍)


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うわ〜うわ〜!とすっかり興奮してしまった。これが何人分もあるなんて!


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次も古染がきたよ!
料理は太刀魚真子の蕗巻


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椀物はキジハタの沢煮(たくさんの野菜とお魚のたいたもの)
キジハタがぷりぷりで美味しい。


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お造りが甘鯛なんだが、また来たぞ〜古染!


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ちょっとよごれててスミマセン。でもこの脱力系の兎なんだかよく分からない生き物が古染っぽくていい。


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初物の鰹のお造りなんだが、器も七官青磁なんだと!
生臭さが全然なくてこりゃ初物食べたしちょっと寿命がのびたかもね。


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宮ざわさんといえば、胡麻豆腐が有名なんだが、その胡麻豆腐を焼いてうすい豆のソースを。焼いた胡麻豆腐って初めてだけれど美味しいのな。


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蛤の天ぷらも初めてだが、もしかしてこの陶筥は、、、、


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うわ!ホンモノの乾山や!
古染のお皿にはいっていたタレが、ん?ウスターソース?と思ったら(これがやけに美味い。そのまま飲んでしまいたいほど美味い)


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「薄垂惣酢」、、、、うすたーそーす!
宮わざさん自家製のウスターソースなんだそうです。1本2500円で販売中とか。



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玄米ご飯にウナギ、花山椒というテッパンの逸品。花山椒、季節よねえ。


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ご飯の前にエクストラで手打ち蕎麦にこれも自家製カラスミのすりおろし。とってもカラスミがクリーミーで、タレがなくても、これだけで蕎麦が食べられるなんて、新たな発見。(自家製だからこんなに潤沢にかけられるのだけれど)

そして、これ!この器!李朝の粉引かもしくは粗質白磁=井戸といってもいいかも。(一番もってかえりたかったやつ(^_^;)


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羽釜で炊いたご飯の最初は裏千家っぽく一文字、蒸らしておかわり、自家製の味噌漬けの漬物と。ここらでお腹がいい具合にいっぱいに。
ちりめんじゃこのふりかけが入っている鼠志野の器は、家にある火入れと同じ、瀧川恵美子さんのだった!(京都の個展の案内もこちらでもらっちゃった)


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デザートは枇杷ゼリーに、ミニ最中


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お薄を最後にいただいたが、もしかしてもしかしてこの茶碗、呉須赤絵?と思ったら、ただの呉須赤絵ではないよ。


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な、な、なんと!
大将がだしてきてくれた五藤美術館の「向付」図録にのっているそのものだった!

ご馳走が美味しかったのはいうまでもないが、とにかく器のゴージャスさに圧倒される。大将がお好きなのだろうなあ。それにしてもこれらの名器を実際の料理に盛って使ってくれるというのは、いくら仕事とは言え、ありがたく、そして感激なのである。




里桜の御所〜出水の小川 - 2021.04.24 Sat

ソメイヨシノや紅枝垂れが終わった頃、八重桜を中心とする里桜が満開を迎える。


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京都に移住する前から、ここ、御所の出水の小川の里桜は知っていて、京都ブロガーさんたちと楽しい花見宴会をしたのも懐かしい思い出。


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里桜は咲き方に節操がなくて、そこがまたいいのだけれど、


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圧倒的暑苦しさでぐいぐい押してくる感じ。


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この出水の小川あたりは山吹や、


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ドウダンツツジも美しい。


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観光客はほとんどいなくて、地元の人たちの、主にわんこ散歩のルートになっている感がある。おかげでいろんな犬種をここでみることができる。(私は猫派だが)主にお話しが弾むのは同じ犬種の飼い主同士みたいな気がする。


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里桜は種類がありすぎて、名前は全然わからない。これは少し控え目化粧の里桜。


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ひとつ一つの花もゴージャス。
桜のポンポン。昔実家にあった桜も八重桜だったなあ。


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ここの桜は地面すれすれに枝を伸ばすので、桜の枝のカーテンをくぐる楽しみも。


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ソメイヨシノ系はもうサクランボをつけている。


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桜のカーテンの向こうでかくれんぼ


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見事なカーテン


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早春に、近衞の糸桜と同じ頃咲く出水の糸桜もきれいに緑になっている。そのお向かいにあるのが、、


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御所で唯一の御衣黄(ぎょいこう)だ。


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ぱっと見、桜と思えないくらい地味な緑色だが、珍しいので人気が高い。


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今回、御衣黄は花びらが散らずに、花ごと落ちるのを知った。



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桜を楽しむご近所さんたち。


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数日後、盛りが過ぎた頃、もう花吹雪が見られるかな、と再訪。


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風が吹くたびにすごい花吹雪
しかも花びらが多くて大きいだけに、ソメイヨシノの吹雪よりよっぽど迫力がある。


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花吹雪を愛でながら、抹茶を点ててのみながら、しばらく積ん読になっていた「古染付と祥瑞」の本を読む。(途中差し入れもいただく。ありがと!)


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里桜はさかんに花びらをまき散らしながらもまだ元気。


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とはいえ、季節は確かな歩みで新緑の季節へ。
この空間を自由に出入り楽しめる、、、京都にあってよかったもの、鴨川と、ここ御苑である。






久しぶりの但馬の国茶事〜そらいろつばめ邸にて - 2021.04.22 Thu

前回口切りの茶事にお招きいただいたのは1年半前。


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1年半ぶりであるが、全然ブランクを感じないくらいに慣れ親しんだそらいろつばめ様の邸宅である。建築系雑誌にも載るようなお家なのに、茶室周りの露地も含めた空間となんの違和感もなくつながっているのが面白いなあと改めて思う。


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コロナまでは多くの地域の方々が月一の講演に集った100人キャパのサロン、このコロナの時期が過ぎればまた再び人の姿はもどってくるに違いない。
この地は今新たに演劇の町としての歩みを始めた。劇場が新たにでき、演劇の大学ができ、その流れの中にしっかり足跡を残しておられる、すてきなそらいろつばめ様ご夫婦にまた、お目にかかれてとてもうれしい。



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お天気の良い日の屋外のこのブルータイルの腰掛け待合いがとても好きだ。季節も薫風香り出す頃、とても気持ちがいい。


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山吹の花に見送られながら階段に導かれ茶室へ。


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先ほどのタイルの腰掛けとがらっと雰囲気のかわる茶室空間へ。

茶室は閉めきると普通の広間の茶室なのだが、戸を開け放つと、ここは家の中二階になるので、ちょうど空中に浮いている茶室のような錯覚をおぼえるのである。

床は遠州の歌四首
これがまた読めそうで読めないんだわ。まだ勝率6割だし、、(進歩ない)古筆の勉強もされているそらいろつばめ様にさらさらと読んでいただく。
「靏」という字が「鶴」の古字ということを学ぶ。また但馬の人にとって、「鶴」はcraneではなくて「コウノトリ」なのだそうだ。
かろうじて読めて覚えていたのが「花にうえなきみよしのの山」
う〜ん、このまえ初吉野経験したばかりだったからしみる。



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ご実家のお蔵からもってこられたお祖父様お祖母様の物、こちらのお家のお蔵の物、いずれもうらやましいお道具の数々である。馬の絵の古染向付も垂涎。
毎回ご活躍の水屋スタッフTMさんの有能ぶり、懐石も美味しゅうございました。(なにしろ蟹に但馬牛という二大グルメ!)
お酒を飲めない方にはカリンジュースを。お酒も飲みつつこのジュースも美味しくてついいただいてしまった。


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昔、牡丹で有名な松江の大根島からここまで籠をよく売りにきていたそうで、その籠を炭斗に。不昧公のお膝元から来たのだと思うと感慨深い。また現在復旧が急がれる熊本城の瓦釘を火箸に。
香合がやっぱり鶴で、裏を見るとちゃんとかわいい足が刻まれていて思わずにっこりしてしまう。


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お菓子が東京からとりよせてくださった、あさ貴和菓子(あさきわがし)さんの「花霞」
そういえば、洛中ではすっかり終わった桜が、但馬までの道のりには、いくつか咲いているのを見かけたな。中が桜餡で美味しい。


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後座
これもお祖父様の物だったという四つ脚台と小さな可愛い古銅の花入れに、椿を一輪。

濃茶はいずれも思い入れやエピソードのあるお道具にて。一つ一つ、手にれられたいきさつにストーリーがあって、それをお聞きするのも楽しい。粉引の塩笥型茶入が、ころんとして可愛くて、粉引の感じも好きなタイプ♪

後炭も省略なしでなさって、炭の値段の高騰する昨今、もうそんなにいれたらモッタイナイ〜!と客が悲鳴をあげそうなくらい(^_^;ついでくださった。
水次が古道具屋で見つけたとおっしゃる珍しい出石焼の染付。出石は磁石(じせき)が豊富にとれるため、かちっと石みたいにシャープで固いのが特徴なんだとか。一つ勉強した。



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お盆の上の春爛漫、お花見気分は主菓子と同じく、あさ貴さんのもの。摺り琥珀はほんのり桜の香り、州浜もふつうのよりもっちもちして美味しかった。



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一会お開きになって、このお家が初めて、の御連客にお家のご案内をしていただく。できるまでのエピソードや、台風で半地下のサロンが水に半分沈んだあとの顛末や、私も何度聞いても感嘆する。
地域の人や、職人さんや、行政関係の方、あらたに加わった演劇の方など、たくさんの方とのご縁を大切に築いてこられた軌跡でもあるなあ、と思うのである。



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ほっと一息、リビングでコーヒーをいただきながら、開け放った部屋と一体になったこの眺めを見るこの爽快さ!。
このあと、近所に出来たプライベートシアター(もちろん協賛されている)もご案内いただいて、また2時間ちょっとの列車の旅、茶事の思い出を反芻しながら京都にたどりついた。




スライド式〜炭炉↔電熱炉 - 2021.04.21 Wed

某つぶやきをネットにアップしたところ、すごく多いイイネをもらったので、みなさんとても興味がおありなのだな〜と、思ったので、記事にしてみた。
スライド式で、普通の炭・灰の炉と、電熱(HI)炉を簡単にスイッチできるスグレモノのおはなし。

芦屋の古美術O商店さんの店舗奥の茶室にて、どちらか一方を使っているときは見たのだが、実際に動かすところは見たことがなかった。
ここを設計した建築士岩崎さんが、先だって茶室相談会をここで開かれ、(相談はないけれど)遊びに行った時に実際にスイッチして見せてくれたのだ。



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まず炉縁をはずして、、、


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これは現在使用中のHI炉


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軽くスライドさせるだけで、、、、


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灰の入った炭用の炉に早変わり。
(岩崎さんのブログの記事→


ここは新築で、あらかじめそう設計されていたから問題なかったと思うが、すでにある炉を変えられるかどうかは専門家じゃないのでわかりません。ご興味のある方はどうぞ、岩崎さんにご相談あれ。



御車返しの桜〜常照皇寺 - 2021.04.19 Mon

今年の桜は早すぎて、見足りないという思いを抱えていたので、もしや京北あたりではまだいけるかと、未練たらしく足を伸ばした。(車で1時間ちょっと)

鷹ヶ峰を越える当たりから山桜がまだ咲いているので、これはいける!と。(行きは京見峠のシンジラレナイくらい細い道で)



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常照皇寺の前に来ると、、わ〜い!まだ咲いている。


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洛中でほとんど見る機会のなかった枝垂れが迫力。


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常照皇寺
桜の最盛期を過ぎていたので、着いたときは他にだれもいなかった。京北の静かな山の中。
(といっても今はここ京都市右京区なんだよ、びっくり)


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開いたのは北朝初代とされる光厳天皇、南北朝の動乱の時代を生き、院政をおこなったが、晩年は隠棲を余儀なくされ、この寺を建て禅僧として生き、この地で亡くなられた。一説には闘茶を始めた方とも。


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最初に目にはいったのは、寺の築地塀の上に咲いたスミレの一群。そして、、



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勅使門の向こうに見えた!御車返しの桜、なんとか間に合った!


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圧倒的だ。
後水尾天皇でなくても二度見三度見するよね。

(御車返しとは、かつてここに遊んだ後水尾天皇が、この桜のあまりの見事さに何度も車を引き返させ、眺めたという逸話による)


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静かな方丈へ入る。


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この方丈は独特で、体育館みたいながらーんとした空間がひろがっていて、仏様は?というと天井から吊り下げられた棚の上においでだった。ちょうど見下ろされている感じ。その足元を通らせていただく。


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ここは桜だけでなく、赤い若葉をつける(ノムラモミジ系?)楓も美しい。


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方丈から見る桜はもう盛んに散り始めていて、風がふけば文字通りの花吹雪うわ〜うれしい♪


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足元も花びら絨毯


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この桜は同じ枝に一重と八重の花が咲くといわれる。なんという種類なのだろう。


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残念ながら国の天然記念物・九重桜、左近の桜はもう花のかけらもなく、葉桜に。


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なんでも京都府唯一の天然記念物だそうで、光厳天皇お手植えとされるから、樹齢600年以上ということか。かなりの老木だ。(御車返しは400年とか)


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庭に降りて桜を見る。


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ひとつひとつの花は可憐なのに、全体をみるとおそろしいまでの迫力を感じる。


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庭から見た方丈


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おいとまする前に、後水尾天皇ではないけれど、なんどもなんども振り返ったよ。やや遠出ながら、ここまでやってきてよかったと、思った。


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京北はその道すがらにも美しい桜がまだ残る季節であった。


<おまけ>

京北にある道の駅・ウッディー京北に、、、


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ヒカゲノカズラが1パック150円で、


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また生きたメダカがビニール袋詰めで売られているのにいたく感銘を受けた。
(買いはしなかったが、、、、(^_^;)



蝋燭能「経正」〜弘道館 - 2021.04.17 Sat



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1年ぶりくらいお久しぶりの御所西、弘道館
本日は弘道館サポートのクラウドファウンディングのリターンで、「京菓子X能の座敷へ御招待」。


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コロナ下でもあり、オンラインで楽しまれる方も多かったと見え、リアル参加者は10名にも満たないという贅沢さ。


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まずは弘道館館長の濱崎加奈子さんと、観世流林宗家・林宗一郎さんの演目解説などを。


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(オンラインのための機材があるのはしょうがないわね(^_^;)
奥に飾ってあるのは、「青山」にたとえた琵琶である。


本日の演目は「経正」
清盛の甥であり、敦盛の兄であり、詩歌管弦に秀でた若き平家の公達である。仁和寺の覚性法親王に愛され、琵琶の名器「青山(せいざん)」を授かるなど、仁和寺に愛された人であったが、一ノ谷の合戦で若くして討ち死にした。その供養の為、仁和寺の行慶法師が法要を営んでいると、経正の幽霊が現れ、法親王に可愛がられたころを思いだし、琵琶を奏で夜遊の時をすごすが、やがて修羅の時となり、戦に苦しむ様をみせ、その姿を恥じて「あの燈火を消したまへとよ」と灯りを消して消えていくのだった。


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修羅物では「修羅の時」というのがよく出てくるのだが、林宗一郎さんの解説がおもしろかった。
つまり修羅道におちた霊魂は、定期的に修羅の時=かつてのいくさのありさまをなぞるように、何度も何度も繰り返させられるのである。たいがいの修羅物は、それを堪え難い苦しみと描くが、唯一の例外が義経なんだと。

そういえば、「今日の修羅のかたきは誰そ なに能登守教経とや あ〜らものものしや 手並みは知りぬ」(「屋島」)と、なんだかうれしそうだ。



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「経正」といえば、以前それをテーマにあわじの師匠が茶事をしてくれたのだが、私はそれに値する知識が足りず、認識できなかったという苦い思い出が、、、、(^_^;(あれから勉強しました)


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さて、いよいよ日も暮れてきて、座敷に蝋燭の灯りがともる。部屋の空気が一変してかわる。
幽霊がでてきてもおかしくないし、時は鎌倉時代の仁和寺の庭園になるのである。

ワキの行慶法師に続いて、ひそやかに冥界から姿を現した経正。面は中将、片袖脱ぎの烏帽子姿、太刀は佩くが、武家と言うよりむしろ公家の品格、それでいておのれの悲劇をうらむような悲壮感、そして哀しさ。
扇をかかえて琵琶を弾く場面もある優雅な前半から、修羅のスピード感ある激しさ、そしておのれの姿を恥じてまた冥界に姿を消す。もちろんシテは宗一郎さんである。


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能舞台と違う、座敷能の舞台の近さ、同じ高さで見ることができる迫力。また座敷の闇が刻々と深まっていく変化も楽しめ、これはまたそれなりの良さがあると思った。
今まで何度か弘道館には「宗一郎の能遊び」に参加していたが、これだけの少ない観客で、これだけ間近に蝋燭の灯りのもとで拝見できるのはまた格別にすばらしかった。



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お開きになって、帰る頃には外も暗い。


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コロナ下ゆえ、持ち帰りとなった老松特製菓子は「いのり」
美しいお菓子であった。
揚羽の紋は清盛一党の紋にて、若くして討ち死にした公達のイメージに重なるのである。



吉野山2日目〜蔵王堂朝の勤行〜如意輪寺 - 2021.04.15 Thu

翌朝は早朝の吉野である。


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6:30AMの蔵王堂朝の勤行に間に合うように、5時半に宿をでる。まだ日の出前の吉野山。


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とった宿は蔵王堂まで歩いて20分はかかると思われ、無人の道を行く。なんとすがすがしい。朝の桜もまた美しい。そもそも一泊しようと思ったのは、早朝、まだ観光客がおしよせる前に桜を楽しもうという趣旨だった。もっとも時期を外した今回は、観光客もともと少なかったが。


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朝日が少し顔をだす。
本居宣長の歌を思い出す。

  敷島の大和心を人問はば 朝日ににおう山櫻花



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やっと集落のはずれへたどりつく。


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金峯山寺最初の鳥居である銅の鳥居が見えてきた。
蔵王堂までもう少し。


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朝の蔵王堂
午前6時過ぎ、それでも2,3人、勤行に参加されるとおぼしき人がもう来ている。


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朝の蔵王権現像は、照明があたっていないので自然光で見ると、ちょっと優しい感じにみえるなあ。
勤行は40分ほど、法螺貝に、間断なく続く太鼓の音がお腹にひびく。
修験道というも、密教的な要素も多く、現在は金峯山修験本宗として独立しているが、歴史的には真言宗や天台宗の配下にあったらしいので、なるほどと頷ける。


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朝の勤行が終わると、温泉谷、ささやきの小径と名付けられた道を歩いて如意輪寺をめざす。


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だ〜れも歩いていない道を40分ほど延々と歩く。(自動車道はある)
如意輪寺は吉野のメインストリートから外れているので行かない人も多いかも。


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途中で車が通れない道になって、このあたり遅咲きの桜がまだチラホラと楽しめる。
なんといっても野鳥の声がすばらしい。ウグイスはモチロンのこと、何の鳥かよく分からない鳥のさえずりも。


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如意輪寺の参道に入ったらしく、石畳の登り道があらわれた。周辺は墓地になっているようだ。


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うへっ!
最後にまたこの階段か、、、


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さて如意輪寺
創建は平安時代、そして吉野に南朝を建てた後醍醐天皇が勅願寺と定めた。すぐ近くには後醍醐天皇陵もあるのだ。


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南朝と室町幕府との戦いである、四條畷の戦いで討ち死にした南朝側の楠木正行(大楠公、正成の嫡男で小楠公ともよばれる)が決戦に赴く際に髻を切って仏前に供え、如意輪寺の扉にやじりをもって辞世の歌を刻んだという。(宝物殿に展示されている)

 かえらじと かねて思へば梓弓 なき数に入る 名をぞとどむる


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なぜかこのお寺のおみくじは猫みくじで、あちこちに猫の人形が、、、
猫好きにはうれしいが。


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後醍醐天皇がお座りになられたという石の上にも猫、、、


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猫、猫、、、頭にお賽銭乗っけて、、、萌える、、、
(一説に一時荒廃して無住だった時代に猫がお堂を守っていたとか)


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あ、桜の花びら、、、と思ったら赤い石で、何かと思えばなんと「二河白道」、釈迦如来(現世)→阿弥陀如来(浄土)、、を表していたのね
(赤い方は怒りや憎しみを表す火の河、白い方は貪りや執着を表す水が渦巻く河、浄土にわたるには真ん中の白い細い道をいかねばならない、、という浄土教の説法)



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ここからは吉野のメインストリート、蔵王堂なども遠くに見ることができる。


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残念ながら多宝塔の前の枝垂れは終わっていた。ちょうど翌日NHKの撮影がはいるとかで、多宝塔の前には撮影機材が山積み、桜は残念だったね。


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南の桜園ではまだなんとか間に合った桜。


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日陰にはシャガの群生が美しい。


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境内にありながら、ここだけ宮内庁管轄の後醍醐天皇陵。数奇な運命に翻弄されあらがった天皇は、京都の方向を向いて、ここに眠っておられる。普段は静かでさびしい吉野も、春だけはにぎやかでよろしいですね。

帰りはメインストリートへのショートカットの細い道を歩く。


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途中、五郎平茶屋公園による。かつてここにそういう名前の茶屋があったそうだが、現在では広場になっているだけだが、ここから如意輪寺方向の眺めがすばらしい。


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ここのベンチが思いのほか心地良く、お茶をしてみた。
もっと早ければ目の前には桜色なんだろうけれど、葉桜もまた美し。


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おりしも散りかかった花びらを一片、茶にうかべて喫す。

かくして初吉野の旅もこれにておひらきである。




初の吉野山見参〜1日目 - 2021.04.14 Wed

実は人生初の吉野山、しかも桜の時期!
昨年、朝の吉野の桜を見ようと、宿を予約していたのだがコロナで断念。今年リベンジを期して正月に早くも宿をとったのだが、、、この日あたりと思い定めた日が今年の早すぎる桜のせいで、上千本まではすでに花期を過ぎ、なんとか奥千本間に合うか???のタイミングになってしまった。



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吉野山入り口、金峯山寺総門でもある黒門、このあたりも桜の名残はあって、たまに花びらがどこからともなくチラホラ。


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まずは金峯山寺国宝蔵王堂にお参りせねば。
(ここも桜おわってる〜)


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この日は8日、ちょうど花祭り灌仏会の日だったので、法要が行われていた模様。修験道のお寺らしく法螺貝の音が鳴り響く。お堂の中では天上天下唯我独尊の小さな像が花で荘厳され、参拝者全員、これに甘茶をかけさせていただく。


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今年はなんだかお坊さんの行列のあとばかり追いかけているような気がするなあ(^_^;


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蔵王堂は桃山時代の建築、大きな柱が桜や梨や桧と、あまり手を加えず立てられているのが特徴なんだそうだ。
そしてごっつい迫力の青い顔、独特のポーズ(あれ、真似してみたがお腹の筋肉がつった)の金剛蔵王権現三体。絶対秘仏であったものを勧進のため最近では開扉されているという。

最初の印象が「顔でかっ!!」であった(^_^;(おゆるしを)
胴体とお顔の大きさが一緒なんですもの。憤怒の色を赤にせず、青いにしたところがすごいセンスだと思う。(7〜8世紀作か?正確には書かれていない)
これを下から見上げ、権現様に見下ろされると、おのずと敬虔な気持ちになれる。そんな迫力がある。



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桜を求めてさらに奥へ。
道はなだらかな、あるいは急な起伏に富む。桜が終わったせいか、コロナのせいかあまり混んでいない。それでも花の満開時には多かったと聞く。


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行くことに決めてここにも行こうと思っていたTSUJIMURA&Cafe kitonさん。


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この日と翌日と二回も、葛餅とあんことソフトクリームのスイーツをいただいた。


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さらに奥に行くと南朝皇居であった吉水神社
そうか、そうだった、ここは南北朝時代に南朝があった場所で、さらに遡れば壬申の乱まで、大海人皇子が隠棲していた歴史ある場所だったのだ。
しかし、こんな山の中、、、、都を追われた後醍醐天皇の寂寥感に思いを馳せる。


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この神社の前に「一目千本」と呼ばれる景観が広がる。
、、、、このちょっと色の変わってるところが桜色だったのね、脳内で色を変換してながめるわ(^_^;
さぞや息をのむ景色であっただろうなあ。

吉野山 峰の白雪踏み分けて 入りにし人の跡ぞこひしき

また静御前が義経と今生の別れをしたのもここ、吉水院だったとか。


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さらに奥へ
吉野のわんこ
吉野山のお店や宿は多くは家族経営なんで、アットホームな感じがある。



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吉野の宿で有名なのが竹林院群芳園。聖徳太子建立の寺院とか。


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格式高く、皇族方も泊まられると聞く。まあ泊まれないが庭園は料金をはらうと見せていただけるのだ。


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庭に見上げると見事な枝垂れ桜の(葉桜の、、)大木が。きっと満開の頃にはシャワーのような花が見られたことだろう。


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かろうじて残っている桜もあって、なかなか美しい庭園である。


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里桜や椿は花盛り。

さて、奥千本〜西行庵まで、歩くことも検討したがなかなかの山道で距離もある。ここは竹林院前からのバスに並んで乗ることにした。


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バスの終点は金峯神社。吉野山の地主神社である。ここまでくると桜がまだ見頃であった。
神社は小さいけれど藤原道長がおさめたといわれる経筒なども発掘され、なかなかの歴史があるのだそうだ。


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さらに奥の奥千本、西行庵をめざす。
かなりの上り坂の山道で、本格的トレッキングウエアの人も多い。柵のない崖の道もあり、かなりスリリング。


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奥千本、なんとか桜まにあった。
このあたりはほとんどが山桜、花と同時に赤い葉っぱを出すので、微妙な色彩のグラデーションが見られる。


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さてと、西行庵の前でお茶一服。


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お菓子はもちろん?吉野葛の「西行桜」である。
これがしてみたかった。


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この地にしばらく隠棲したという西行法師に一服献上つかまつる。


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そこから奥千本をくだる。
振り返れば、おお!!
これは遅まきながら来た甲斐があった!


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わ〜!
美しいなあ!


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美しいなあ〜
二度言いましたよ(^_^;


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下山はバスで上った道をてくてく歩いておりる。おかげでこの日の歩数は26000歩くらいになって、さすがにこたえた。
この景色は途中の高城山展望台にて。なんと!二上山が見える!(正面)左隣は葛城山。やっぱり吉野は奈良なんだ。あたりまえだが。

西行庵をさらに奥に行くと修験道の大峯奥駈道が続き、さらにその先には熊野古道があるんだなあ。
前に仕舞「花月」を習ったときに山巡りのところで「山上大峰釈迦の岳」というのがあって、なんのこっちゃ?と思っていたが、氷解したよ。そうか山上ヶ岳に大峰やったんや。



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さらにくだるとひっそりとあるのが吉野水分神社(よしのみくまりじんじゃ)。左手の拝殿の長い軒が独特で、この向かいに本殿がある。正面は幣殿という独特の造り。(桃山時代・重文)



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奥に咲く枝垂れがことのほか美しく、実はこの桜が今回の旅で一番心にのこったかもしれない。


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そろそろ里に近づいてきた。人家のお庭も花が美しい。


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竹林院の向かいの桜本坊から法螺貝の音が聞こえてきたので、行ってみると灌仏会の火渡り式をしてはった。やっぱり修験道のお山やなあ。一般参拝客も参加できるとあって、みなさん、裸足になって参加。(以前狸谷不動尊でしたことあるけど、全然熱くないのよ)


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それを見守るお地蔵様。

宿に帰り着くまでに早めの晩ご飯。なにせ宿は素泊まりなうえに、たいがいの食堂は16時くらいで閉まってしまうので、へたをすれば食いっぱぐれる。
宿でごろごろ、夜桜ライトアップもあると聞いたが、宿の辺りは全部葉桜なので早々にひきあげ、翌日の朝勤行にそなえて早めに就寝す。





夜桜夜咄の茶事〜速水流・滌源居 - 2021.04.12 Mon



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平野神社の桜も間に合わなかった。すっかり葉桜となったこの神社の畔にある速水流お家元の滌源居(てきげんきょ)にて夜桜夜咄の茶事におさそいいただいた。

昨年秋のしぐれ夜咄茶事に続いて二回目の滌源居夜咄である。


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前回もほんとうに時雨れたが、今回も本格的春雨、ここは雨についている。
広間の待合では、春の嵯峨野に桜をつと(土産)に持っていく大原女の姿。そこから雨の中でも笠を使って、美しく清められた露地をつたって今回は三畳向板、枡床に逆勝手隅炉!という極侘びの茶室「清冲軒」へ。
この茶室入らせてもらうのは初めて、なんと侘び極まれりの感のある茶室だが、流祖の書き残した絵図からおこしたものなんだそうだ。そこにまた侘びた鉄製の自在にかかる釣り釜、鐶が蜻蛉の轡、侘び侘び。炭出前の香合が燕であって、お家元お名前が宗燕にちなむものなのだが、ちょうどこの日、72候で「玄鳥(燕)至る」だったのよねえ。

千家系から出たにもかかわらず、殿上人とのかかわり(光格天皇、聖護院門跡など)がつよかったため、佗茶よりも書院茶を主に研究した流祖・宗達も、こんな侘びた席を作るんだ、と驚く。


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だが、さらにビックリは、その清冲軒の貴人口を開け放ち、毛氈をしきつめた縁台をもうけ、そこを客座としておられたこと!もとより雨なので、雨仕様の透明天井つきである。



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そこから正面に見えるのが、滌源居名物?臥牛垣、その上に広がる葉桜である。もっと早い時期ならば、満開の桜になったであろうが、紅葉の青葉とあいまって負けない美しさ。

これを眺めながら一献、懐石、お家元は懐石の間ずっと縁台でご一緒して給仕やお話しをしてくださった。どんなつまらない質問にも、マイルドボイスで丁寧に受けて答えて下さるのはほんとうにうれしいし、ありがたいなあ。


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ちらほら散った花びらが席に散りかかるのもいと雅び。
先代のお家元が聖護院からいただいた隠居名「養寿」のはいった扇子はそれぞれに、京風食事マスクのかわりに、口元をかくすため。ひととき平安貴族の女官になった夢をみる。

千家系では家元は大徳寺で参禅修行をされるが、速水流では聖護院だから修験道修行をされた、というお話しも非常に興味深かった。

後座
バカラのワインクーラーに水と桜と桜型のフローティングキャンドルをうかべる心憎い演出。お点前の帛紗は橘襲である(速水流の帛紗は襲の色目にあわせて斜めに二色入っている)。桜と橘、まさに殿上人の世界。
茶入が仁清のころんと可愛いものであって、薄器の薬器が我が岡崎に住まいしたところの文化人、土岐二三(ときじさん)であった。(先だっての兄さん茶会でも二三の軸がでていたので、はやっているのか二三?)
出し帛紗に、平野神社桜祭り献茶で作ったというキラキラ糸の入った桜の織物がでて、蝋燭の灯りに特にうるわしい。いかにも本日の茶事にふさわしく、いいなあと思ったのだ。

お開きになるまでに太い和蝋燭が次々と燃え尽きてゆき、これもまた贅沢なことであった。



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お開きのあと、玄関で振り返れば、小やみになった雨の中、露地行灯の明かりが幻想的にお見送りをしていたのである。



鑑真和上と戒律のあゆみ〜京都国立博物館 - 2021.04.11 Sun

京都国立博物館で開催中の「鑑真和上と戒律のあゆみ」展を見てきた。
久々に国宝鑑真和上像を拝みたいと思ったのだ。


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しかし、展示物が8割を古い経典が占めるので、かなり渋い(地味な)展示になっている。鑑真によって日本にもたらされた戒律と、その後の戒律に対する仏教界の変化をたどる展示で、仏教の歴史に興味のない人には少々退屈かも。


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鑑真以前、日本の仏教にははっきりした戒律(僧や信者が守らなくてはならないきまり)がなく授ける人もいなかった。朝廷の授戒の師として招請を受け、5回も来日に失敗し、その苦労から失明までしてもなお日本に伝戒のためやってきて下さったことは語るまでもなく、多くの人が知っていることである。


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遙か唐では南山律の祖とよばれる南山道宣が律の研究をし大成したと伝えられる。鑑真はその孫弟子にあたる。

戒律とは、(仏教学的知識がないので理解しているとは言いがたいが、)一番基本的な五戒は、殺すな、盗むな、邪淫するな、ウソをいうな、酒を飲むな(きびしいっ!)ということらしい。ほかにも色々あって僧が守るべきもの、在家が守るべき物、比丘、比丘尼、と細かく別れて具足戒とかいうのになると、200〜300もの項目があったそうだ。息がつまりそう。


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それに異を唱え、大乗仏教的戒律・大乗戒(菩薩戒)のみを守れば良いと朝廷に進言したのが最澄であった。これもよくは理解できていないが、具足戒よりもっとゆるく、己の中にある仏心に目覚めるべく努力せよ、ということらしい。
厳しい修行をした者だけでなく、本来衆生仏なりという如く、男女の区別なく出家在家の区別なく授けられた。これがさらに法然、親鸞になると悪人でも往生できるともっと救済の裾野をひろげていく。


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ところが一方鎌倉時代の南都、戒律がすたれて乱れた仏教本来の姿をとりもどすべく、覚盛、叡尊、忍性らによる戒律復興運動もおこるのである。
西大寺の叡尊は、茶道文化検定テキストで、あちこちで儲茶をした人として書かれ、それしか知らなかったが、実は戒律復興のキーパーソンでもあったのね。忍性はその弟子である。

明治になり神仏分離の嵐の中で、「(僧侶は)肉食妻帯勝手たるべし」という太政官布にいたっては、仏教衰退に拍車をかける。これにあらがった明治の和尚さんの話で、この展示の流れは終わる。

今書いてきたような歴史を資料や経典、仏像仏画、僧侶の頂相などで理解してもらおう、という展示であった。
戒律という切り口で仏教史を見たことがないので、新たな見識を得た気持ちである。




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しかし一番感銘をうけたのは、やはり鑑真和上像なのである。
展示室一部屋に、正面に鑑真さん、左右にそれぞれ空海像、叡尊像が安置され、おもわず手を合わせた合掌。

  若葉して おん目の滴 ぬぐはばや  (芭蕉)

和上忌にあたる6月5日から7日の三日間だけ和上の御厨子は開かれる。
昨年唐招提寺に和上像にお目にかかりに行った時は、お堂は改修中で、仮座での参拝であった。やはりお堂の中で、その苦難の道のりに思いを馳せ、しみじみ手をあわせたいものだと思う。



嵯峨野〜大沢池の散桜 - 2021.04.09 Fri

大覚寺の大沢池は桜の名所で、桜の頃は嵯峨天皇奉献華道祭が行われ、池には竜頭鷁首の舟がでるのだが、残念ながら今年はゆっくり見に行く暇がなかった。もう散り果ててはいるだろうが、名残をもとめて奥嵯峨へ。


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大沢池畔に立つ、たくさんの茶室のある望雲亭。昨年はここで桜の頃舟遊茶会をする予定であったのだが、コロナでだめになってしまった。すっきりした形でやりたいので、今年もパス。来年できるといいがなあ。


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かつて大沢池のほとりをめぐるのは出入り自由であったが、3年前の台風で大覚寺はかなりの被害を受け、その復興のための資金調達として有料となった。


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桜は、、、う〜ん、見事に散っているが、それでもかろうじて見られる木もある。



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華道祭に使われた竜頭鷁首舟も、片付ける前のお掃除をみなさんでされていた。


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お寺のそばを流れる小川の桜も名残


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それでも花筏が滝のようになっているのは見事。


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桜だけではないよ。赤い椿も美しい。


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聖天堂前の桜もなんとか


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古い物では平安時代のものもあるという(嵯峨天皇や空海の時代のものかしらね)石仏群。

NHKの「京都人の秘かな愉しみ Blue修行中編」のエンディングテーマである「北山杉」、これは私が大学生の頃はやった歌だからもうウン十年前の曲なのだが、その二番の歌詞に
「あの頃ふたりは大覚の古い石仏触れたり見たり」
とあるのだが、その石仏がこれなのかな。



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池をぐるっと回る。
望雲亭を対岸から見る。

大沢池は月見のためだけに嵯峨天皇が離宮に作った人造湖である。


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池の北西の天神島でも桜はわずかに残っている。
池にうかぶ小さな島は菊が島。ここに咲く菊を手折って花入れに嵯峨天皇がいれたのが、いけばな嵯峨御流のはじまりというが、ほんとかな。



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嵯峨天皇がどれだけ空海大好きだったかわかる漢詩の碑もある。久しぶりにであって旧交を温めたのち、高野山へ帰る空海に送った詩である。望雲亭の名前はここからきたのかも。
(漫画「阿吽」にでてくる空海と嵯峨天皇の顔がうかんでいかんわ)


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花筏の上にはもう若々しい緑が。


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池の北にある名古曽の滝跡

「滝の音は絶えて久しくなり塗れど 名こそ流れてなほ聞こえけれ」
百人一首にも歌われた場所であるが、歌った公任の時代にはもはや枯れていたようだ。


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まあ、どおってことない石組みなんだけれど、歌を知って見るとまた味わい深い?



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このあたりは春の草花も美しく、タンポポ、スミレがたくさん顔をだしている。


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これは池の水門だろうか。


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対岸から見る天神島の向こうに大沢池のシンボル的心経宝塔も見える。

これでだいたい一周、夏はまた蓮が美しく、秋には月や紅葉が美しい。季節毎に訪れて飽きない大沢池である。






謡曲「桜川」によせる茶事 - 2021.04.07 Wed

あたら桜の あたら桜の とがは散るぞうらみなく
   花も憂し 風もつらし ちればぞさそふ さそえばぞ 散る花鬘  (謡曲桜川)



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「桜川」をテーマに茶事一会

数寄者の大先輩、其中庵さまと昨年岐阜ですばらしい一会をもよおしてくださったこれまた数寄者の方、そして私が「茶箱の女王」とおよびする(御所朝茶でもお世話になってます)方をお招きした。若干緊張するわ。



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寄付には隅田川香合
桜川と並ぶ、いなくなった子を探して物狂いの母を描いた謡曲「隅田川」にちなんで。
隅田川はいざこととはむ都鳥(炭点前の香合=鳥)で有名だけれど、最後は悲劇に終わるのに対して、桜川ははれて巡り会った母子は国へ帰ることができるのだ。


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今日のこの方達は
「つくばねのみねよりおつるみなの川 恋ぞつもりてふちとなりぬる」
なぜこの歌なのか?
謎解きは後座にて。



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お友達の日本画家、諫山寶珠さんに描いてもらった桜川の名場面の絵である。(軸装間に合わず!)

常陸国までやってきた物狂いの母は、桜の名所桜川にながれる花びらを網ですくいとろうとする。花びらはすくい取れても、これは木の花、まことわがたずねる我が子、桜子ではない、と流れに捨ててしまうのである。


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桜も終わっていないのに、もう新緑の候???ですか、の今年の早い春。


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初座


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穴あきの古銅の香炉をなんとかつくろって、やっと間に合わせた、一度したかった利休のマネ(あれは梅だったけれど)


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やはり桜川といえばこんな感じでしょう。


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懐石の間にお煮えもよくついた。
八寸、千鳥のお肴を正客の其中庵さんにお願いする。

  花桜木のよそほひ いづくの春もおしなめて のどけき影は有明の
       天も花に酔へりや 面白の春べや あら面白の春べや

これもこの場にふさわしい謡曲「田村」にて。


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主菓子は何と美しい!
みのり菓子さんの「桜川」
川にうかぶ桜の花びら意外にありえない意匠、お見事でございます。


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後座
掛けた軸は小堀宗中による定家の歌
「行く春の流れて早きみなの川 かすみの淵にくもる月影」

待合の「みなの川」はここにでてくる。そして、筑波の国の、みなの川は実は桜川の支流なんである。この軸は直前に入手したものであるが、見たとたんこれだ!と着想がまとまったの。



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日も長くなったがさすがに濃茶が終わる頃には燈火がいる。
岐阜の数寄者さまのお席に庸軒の息子、藤村正員の花入をだしておられたので、お応えして濃茶の茶杓を庸軒のものにした。


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干菓子は吉野の吉田屋「西行桜」とやはりここは水でしょう。それに春の花を(亀廣保)


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薄茶は茶箱の女王様に敬意を表して茶箱にて。炉の茶箱点前(主に和敬っぽい点前)もわりとスムーズにできるようになった。もちろんブロークンではあるが。


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其中庵さんには茶事について道具や懐石について教えていただくことはほんとうに多い。マネはできないが、スピリットは十分学び取らせていただきたいと思う。
またご遠方からおいでくださった数寄者さまには、麗しい糊こぼし椿の色絵を前礼状に描いていただき、これもうれしく、また末永くお付き合い願えれば、と思う。女王様はまた御所茶にて(*^_^*)

いずれにしてもこの一会が成り立つに謡曲の教養をお持ちの方々の存在が必要であった。
茶事にて知的バトルをしてみたい、これが長年の希望であり今回それが叶った感がある。


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最後の趣向
待合で一会終えてお出しした桜焙じ茶は、、、茶友でもある陶芸家A君の「桜川茶碗」にて。
網で桜すくってください。


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先だって薮ノ内の若武者宅で見た白井半七の吉兆好み、0.7合徳利がいたく気に入っていたところ、其中庵さんの茶事で同じ物が出て、これはうちにもお迎えせねば、と思っていたところ、なんと!それをお土産に拝領してしまった!
感激、これは振り出しにならんこともないが、やっぱり一人飲みの徳利が一番。



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かわりに、、、なってないけど(^_^;お菓子の宝石と呼びたい、紫野源水の桜有平糖をお土産に。


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これにて桜川の一会おひらきでございます。


花も桜も雲も波も見ながらに すくひ集め持ちたれども

  これは木々の花 まことはわが尋ぬる桜子ぞ恋しき わが桜子ぞ恋しき  「桜川」



岡崎の夜桜下にてお茶 - 2021.04.05 Mon

同じ地区に岡崎疏水と京セラ美術館、近代美術館などなど桜のきれいな場所があるのはありがたい。


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もう実際の桜は散ってしまったけれど、少し前の記録。
東山の稜線、夜桜、月


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夜のお散歩だけでこれだけ楽しめる。


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昨年から、この時期、岡崎のテニスコート横の桜の木の下で、一日だけ晩ご飯を食べることにした。


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そして適当に弁当を食べた後は茶籠をとりだす。


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今年は忙しくて遠方の桜は見に行けなかったが、もうご近所だけで十分、と言えるありがたさ。


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茶事用にとりよせた吉野の吉田屋の葛菓子「西行桜」をお菓子に一服

またしても春宵一刻値千金〜♪と高歌放吟したくなるのである。


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背景は京セラ美術館。
今年もソメイヨシノは行く。でもこれからまだまだ里桜の季節は続くのだ。



ゆるっとふわっと春の茶会〜月日社 - 2021.04.04 Sun

紫野・月日社で庵主主催の不定期茶会、春の茶会に招かれた。


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式正の茶事でもなく、かといって単なる茶会でもない、なんでもありで、ゆるゆるのふわっとした庵主そのものの茶会である。


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お雛様の画賛の下に、たくさんのバイモ。
お客さんは3人、いずれも陶々舎時代からのゆるいお付き合い。


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庵主手作りの点心にはやくも筍ご飯が!
久々に食べた西京漬けの焼き魚が春らしくて美味しかった。


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椀物が、お粥??と思ったら、お粥はお粥でも米でなくて蕎麦の実だったのにはビックリ。独特の噛み応え、こういうのもありだなあ。そういえば庵主は前に玄米の茶飯釜という冒険もしてたっけ(^_^;



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お茶を点てるのに火の勢いが強くなるよう、お客さんが火吹き竹でふーふー。この竹は鴨茶人為さん考案の、腰をかがめて使わなくていいように長めにしてある。ただvoid volumeが大きいので、それなりに肺活量のある人向き。


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お茶は客の希望に応じて、濃茶あり、薄茶あり!
なんと自由な!


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しかも最後は煎茶セットを持ち出してその場で煎れてくれる。
まあ、何て楽しい破格の茶会であることよ。
またよんでくださいね。ありがとう!







春・桜の御所朝茶 - 2021.04.02 Fri

昨年の晩秋というか初冬、御所茶(御苑で朝お茶+アルファをする)の楽しみをおしえてくれた茶友さんたちと、ふたたび春の御所茶。


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前回はお弁当係お菓子係お茶係とくじ引きで決めたけれど、今回はあっさり役割分担決定、私はスパークリングのお酒(朝酒(^_^;)と、それに似合うグラスと(実は100均)お菓子をバスケットに詰め詰め。


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朝8時
中立売休憩所のあたりにも桜は咲いているのだが、われわれはそんなの見ちゃいねえ!(^_^;


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目の前のすてきなお弁当と獺祭スパークリングにがっつり集中!
お弁当係は三友居さんの花見弁当を頼んでくれていた!桜の絵が描かれた曲げわっぱにぎっしり、春のご馳走が。



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あっというまにお弁当を美味しく頂戴し、ボトルも1本あけたところでお茶!
茶箱といえばこの人!という彼女が持参された茶箱でお茶をいただく。



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朝の一服、お腹一杯の一服、そして飲んだ後の一服は格別なんである。


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お菓子は私が持参、桜色の最中の皮に自分で桜餡を詰めて口にほおりこむ。できたて?の最中はパリパリとしてこれもお茶にぴったり。


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さらにお持ち下さったのはボトル入りの中国茶、葉っぱの状態で。
これにお湯を注いで急須かわりに、これも何杯でもおかわりできる。


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抹茶を飲み、お菓子をパリパリ、中国茶をエンドレスに。

御所の朝はほんとうにさわやかで、鳥の声も繁く、こんななかでいただく物はなんでも美味しいに決まっている。御所茶って楽しい♪ それもこれも気の会う茶友がいればこそのありがたみをかみしめる。それぞれのセンスももちよっている感じ。



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唯一残念だったのが鳥寄せ失敗(´・_・`)
パンの耳を持ってきてくれて、近くの地面と机の上にばらまいてみたが、鳥の声と姿はあるのによってこない。持ってきた茶友さんの「バードウォッチするぞ!」の意気込みオーラがすごくて、こわくてちかよれなかったのかも〜(^_^;






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