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2021-06

金毛院月次茶会90周年記念茶会 - 2021.06.16 Wed

法然院のたもとにある金毛院では毎月(コロナ前まで)月釜をされている。最初に来たのがもう10年以上前、それから単発的に時々お邪魔していたが、その歴史が90年とはしらなんだ。
数年前に月釜の釜を掛けさせていただいたご縁で、お招きいただく。



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和尚様ご丹精の露地は今緑と紫陽花が美しい。浄土宗のお寺である。
(金毛院〜金毛=獅子〜しし〜ししがだに〜鹿ヶ谷?)

開山は18世紀前半の忍徴上人。後水尾天皇の皇女・光子(てるこ)のちの法内親王照山元瑶尼に「金毛院」の号と額字を賜ったとのこと。その扁額はいつも拝めるが、その御染筆そのものの軸が待合にかけられているとは。法内親王(修学院離宮そばの林丘寺初代門跡)は、寛永時代の一級の文化人であった父帝の薫陶を受け、和歌や書、絵画にすぐれた才能を有した方であったそうだ。たしかに勢いがあって端整な書体だわ。



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(苔の間の水引草の残し方が絶妙)


ごみのおさん(後水尾天皇)といえば、天皇さんの中でもお茶がとても好きな方で、法内親王もしかり、修学院の茶室を金毛院に移築されたとのこと。
明治になり荒廃した茶室であったが、淡々斎の肝いりで谷川茂庵(裏千家老分)、円山伝衣上人(大徳寺)などの尽力により復興、昭和6年第一回月次茶会以降、現在まで脈々と月釜は続けられているのである。


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今回その歴史は初めて勉強させていただいた。京都の歴史を語らせたら一級品のM女史とご同席させていただいたので、有り難いことにその解説付きで。
もちろんお茶を愛してやまないご住職のご解説もたっぷり拝聴。御当代しか存じ上げないが、茶の湯を愛することはずっと先代先々代からとのことで、続けて茶の湯好きの家系ってあるんや〜と少々うらやましい。いや、そこまで続いていることが奇跡か。


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(数種の紫陽花も美しくご丹精のたまもの)

青洋さんの誂え菓子「ここのえ」(道明寺の中に夏蜜柑ジャム、上に九片の花びら)をいただき、小間・凌雲亭へ。入り口に紙が一枚敷いてあったので、御宸翰?と思ったら法親王のお父上、後水尾天皇の御宸翰であった。「廬橘(夏蜜柑→あ、お菓子のジャム!)」「水鶏(くいな)」の和歌である。
宗旦の竹花入は来歴がはっきりしているものだが、その色がすごい。もはや竹の色でなくメタルっぽいグレー、造型は大きくへこんでいるのがみどころの銘「さしひき」。花は石榴と笹百合。
炭手前から拝見できたのはうれしい。



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(金毛院近くの哲学の道)

和尚様(まだお若い)はかなり道具がお好きと見えて、お寺の歴史とお蔵の深さを感じさせる正統派から、かなりマニアックなものまで、たくさん拝見させてくださり、語りも熱い熱い。ほんまに茶の湯がお好きなんやなあ。


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濃茶のあと、薄茶用干菓子が法内親王の御染筆「金毛院」の焼き印がはいった煎餅。


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それに五彩の雲に乗って飛翔する鳳凰の羽根、、、のイメージの雲平、これも青洋さん製。干菓子がのっている盆に闇蒔絵(夜桜棗の技法)の牡丹と鳳凰が描かれていたので、その鳳凰の羽根なのね。

薄茶もたくさん御茶碗をだしていただいたが、マニアックすぎて(^_^;覚えきれない。雲州伊羅保はよかった。古備前の種壺水指も和尚様が自慢されるだけあって、360°どこから見ても景色がかわるという逸品、古染の蓋もうらやましい。
茶杓が復興に尽力された伝衣上人ゆかりの伝衣椿を以て作ったというところでめでたく大団円である。


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江戸時代も茶の湯はそれなりにさかんであったし、ごみのおさんみたいな天皇もおられたが、遠州より後の茶の湯の歴史ってすっぽり自分の中からぬけおちてるな、と思うことがあって、陶工の名前も聞いてもワカランのばっかり。今後これは勉強していかなあかんと思う。


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点心までいただき、先代ご住職のお酌もいただき、ありがたく帰途につく。
コロナで5月開催予定が6月に延期になり、お道具組的にもたいへんであったと推察するが、お見事でございました。次は100周年めざして続けられますことを。(そのころ自分はどうなっているかワカランけど)


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点心の時に自家製梅酒が入っていたガラスの器、引き出物として拝領いたしました。



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