広沢池にて立待月を待つ - 2021.09.29 Wed
映るとも月は思わず 映すとも水は思わぬ広沢の池 (沢庵宗彭)
嵯峨、広沢池は月の名所である。
これは今年の1月、水が抜かれる季節にたずねた広沢池の写真、鯉揚げなどもおこなわれる。

水がないので、グランドみたいに見えるところが本来の広沢池、その西側に池につきだした小さな島を観音島という。観音様の石像と、この写真のお社に弁天様がいてる。
ここは平安時代、大覚寺と並んでおおきな堂宇を誇った遍昭寺の池で、本来観音島という島があったそうだが、失われた。それを明治になって地元有志が新たに作ったという人工の島である。
ここで月見をしたらさぞ美しいだろうなあ、、、と思って密かに思っていた。そして酔狂な人たち、、、いや、(^_^; 有志が集まったので、ここは一つ月待ちをしながらお茶を飲む、という会が成立。
なにせ灯りがないので真っ暗、観音様も全く見えない、懐中電灯がなければ足下も見えない。そんな中仲間たちと、弁天様のお社の手前に店を広げる。
この日の月は十七夜、立待月である。月の出が19時過ぎだったので、あのあたりかな〜と少し明るんでいる池の上の空を眺めつつ、みんなで持ち寄った軽食、お菓子をいただきつつ、各自お茶を点てて飲む。
お仲間のもってきてくれたおにぎりと、菊花茶に夢中になって、あ〜!というひとりの声に降り向けば、月はもう上っているではないか!上る瞬間をおにぎりに気をとられて逃す、、、という、、、(^_^;
でも来た来た〜っ!
少し欠けた下弦の月は東の山の端に昇るときは大きくそして赤い。
池に長くのびた月明かりのトレーンも赤い。
虫の声、夜なく鳥の声、風の音、さざ波、すべてが美しく、平安の昔からここが月の名所であったことに納得する。
そうこうするうちに弁天様のお社の上に月は昇って、やや雲も出てきた頃、月見の宴はおひらきに。
あちこちの自然の中に野点スポットがどこにでもある、京都はやっぱりいいとろだなあと思うのである。
そしてこんなお遊びに快く付き合ってくれるお茶友さんたちにも感謝である。