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2021-12

師走雑記2021 - 2021.12.30 Thu

いつのまにやら大晦日も近い。来年の手帳は12月からもう稼働しているので、貫く棒のごとき物的に12月と1月は地続きなのだがどうして年末はこうばたばたせわしない気分になるのだろうか。

どうってことない今年の師走の雑記。


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これは12月第一週目の露地


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3週目の露地
この季節劇的に変化する。燃え上がる紅葉の華々しさの後に静けさ。でも日当たりはよくなるし、庭掃除は楽になるし、冬はきらいではない。


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円窓からの景色も残しておこう
そういえば来年のお題は「窓」とか

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蓮鉢に初氷の日
また来年蓮を植え替えなくちゃ。


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恒例の年末北野天満宮参り


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お正月の大福梅をいただきに
だいふくうめ、、ではありません、毎年言っているけど おおぶくうめ


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来年の梅の季節がまた楽しみな天神さん
25日、しまい天神に来たけれど、車停められず(周辺のしっているとこ皆満車)断念したわ。コロナ前にもどったかのような大賑わいやった。


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今年も奈良へはよう行った。
来年覆いがかけられ当分見られない興福寺五重塔をしっかと何回も見る。


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12月のおん祭もライブ配信でおうちでぬくぬく見た。数時間の長丁場、御旅所前はほんまに寒いので、ありがたいのか、どうなのか微妙(^_^;
画像は大好きな細男(せいのお)、これ黄昏時に演じられるのが妖しさ倍増で心憎いのよね。


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近鉄奈良駅裏のおはぎ屋さんでゲットしたおはぎ(上生にみえるでしょ?)
右のベリー味のを食べて、もひとつは帰宅してから食べようと楽しみにしていたのに、帰るとすでに相方の腹の中にはいってたとさ。くやし〜〜


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それから東大寺でもらった下足入れのビニール袋、もったいなくて使えず、そのままにしてある。


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和菓子クッキング♪
百合根と白あんをまぜて、数年前に買ったまま使ったことのなかったきんとん篩いを初使い


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そぼろはまあまあうまくできたのだが、、、


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餡種がぱさぱさすぎて(水分飛ばしすぎ)そぼろがうまくくっつかず、二個しか成功しなかった。


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というので、茶事当日は改善してまあまあの百合根茶巾しぼりできたよ。(そぼろは諦めた、、、)


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クッキングついでに大量にもらった柿の消費方法を一つ
プロセッサーにかけて牛乳、生クリーム(好みで砂糖)を混ぜて冷蔵庫にいれるだけ。柿のペクチンで固まって柿プリン簡単に完成。うまいよ。


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某所より拝領の祇園祭細見
もっと早くこれ読むべきだった。刊行されたのがまだ綾傘鉾も蟷螂山も復活されていない頃だからかなり前。鉾の名前が明治政府の横やりで勝手に変えられたり(琴割山→伯牙山、釜掘り山→郭巨山、花盗人山→保昌山とか)、山のテーマがたまたま能好きな(室町時代のはやり)町衆の好みで決められた結構適当なものだったり、消えた山鉾の事など興味はつきない。



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大好きな復興・我谷盆(わがたぼん)
川口美術さんの我谷盆展でゲットした新しいお仲間
下のは佃真吾さんの娘さんの作品


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師匠のお寺の開山忌茶会、今年はK先生ご担当
はるばる2時間半かけて行った甲斐があった。濃茶と薄茶をいただく。お誂えのお菓子が一見小石のような求肥菓子で銘を「温石」と聞いて得心がいく。よいお道具をたくさん見せてもらった。


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これは最近もとめた赤穂段通であるが、ふとしみじみ見つめて気づいた。


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縁の模様のこれ、雨龍やん!
今頃気づくなよ〜
雨龍、かわいくて好き❤️


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庭の這苔を買いに大原野まで
9号線混み混みで往復2時間はたっぷりかかった。その大原野でも物集女街道でも、冬の虹が見えた。
プリズムの原理、物理学的現象とわかっていても虹が見られるとうれしいね。




今年最後、瓢樹さんも最後の歳暮の茶事 - 2021.12.28 Tue

茶事におよばれして、茶事にお呼びして、今年はコロナ下にもかかわらず(コロナ下ゆえ大寄せの代わりにということもあるが)ほんとうにたくさんの茶事を経験させてもらった。
今年の最後の茶事は瓢樹さんにおよばれ。


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洛中六角通りにある瓢樹さんは日本画家・今尾景年のお屋敷にある。残念ながら今年いっぱいでこちらでの営業を終了、別の場所で仕出し専門でやらはるという。こちらには何回か伺わせていただいたが、よい雰囲気のお庭と茶室、数寄屋のお屋敷であった。今後この建物もどうなるのか、わからないらしいのがちょっとこわい。(壊さないで〜〜〜)



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ご亭主はお世話になっています、芦屋の古美術・O商店さま、遠州流の茶事である。きれいさびの遠州のお道具はどことなくしゅっとしててスマートだ。
待合に遠州流の先代宗慶宗匠の画賛、方相師と「昨日といい今日とくらして飛鳥川、、」の有名な歌(春道列樹)。方相師は節分の追儺式にでてくるもの、節分は旧暦の大晦日にあたるので、年の瀬にふさわしい画題なのだ。

本席は六畳、藪内好みだと以前聞いた。軸は「普化振鈴」の普化和尚(鈴をふりながら遊行した唐代の奇行の臨済僧であったという)に沢庵宗彭の画賛、これが禅問答でさっぱりわからない(^_^;
鈴を振る=サンタクロースの意味もこめて(^_^;


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炭道具も綺麗さび。
印象的なのは、胴炭を手でいれたあと、裏千家では懐の懐紙で指先を清めるが、遠州流は袖の中にいれた紙でわざと音をたてながら清める。「清めましたよ〜」のパフォーマンスなのね。黒い枝炭、薄さ1cmないくらいの薄い薄い輪炭、小指の先くらいに細い点炭、他流の炭は見所が多い。
かわいいサイズの染付の六角香合は、碁を打つ人物が描かれている「碁打」(型物香合番付にあり)。それから、遠州やったのか!の練り香をちぎって入れる流派は。
南蛮の薄いお皿みたいな灰器もよかったな。



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(主菓子「雪餅」 末富)


懐石はさすが瓢樹さんの、美味しくいただきお酒もたっぷりいただいた。(河内の天野酒)燗鍋の蓋も三種、それぞれ違う素材ででてくるのが遠州のお約束なのだそうだ。半開扇の古染付向付6客そろいは(すごい!)O商店さんのもの。酒器がオランダデルフトで、ほんま細かい絵が描かれている。石杯もたくさん、かわいい唐津の山杯は正客のY和尚が離さなかった(^_^;



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後座の花は藪椿と檀香梅(?)、石州の竹一重切に。
棚は木工細工のような千家ではまずおめにかかることのない装飾性の高い遠州の棚に、遠州七窯の一つ高取の水指である。
濃茶の茶碗におもわず「出たっ!」と叫んでしまう。1年ほど前からO商店さんで目をつけているが高くて買えない御本の茂三(もさん)出たっ!朝顔型に鉢開き、還元と酸化の色変わり、かすかな内の鶴刷毛目、何回みてもいいお茶碗なのだ。(買えないけど)
自分の茶碗でもないのに他の方に自慢してしまうこの心理、わかる人にはわかりますよね。
ならんで玄悦もでてきたので、比較できて勉強になる。

茶入が堺の眼科医であった正意の作、小堀権十郎(遠州の三男)が「あけぼの」と命名。同じ権十郎の茶杓「山の端」とともに。(春はあけぼの、、、山の端すこしあかりて、、、「枕草子」)



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薄茶の干菓子は写真撮り忘れたが、どうみてもたこ焼きにしか見えない(お正客さまの別名・たこ焼き和尚)末富さんの黒糖松露が美味しくて、今度自分でも買いに行こうかと。

形がどうみても光悦っぽい信楽は空中(光悦の孫)信楽??、古萩、旦入の黒、古唐津、薩摩?、雲州伊羅保、薄器が庸軒の孫弟子くらいの人の作になる庸軒好み凡鳥棗(蓋の甲に桐の絵 桐に住む鳳→分解して凡鳥)。これに添うのは庸軒と同じく宗旦四天王であった山田宗偏の茶杓「錦手」。

さすがお道具屋さんの茶事だけあって、眼福のみならず、それでお茶をいただけるというありがたさ。このせわしない年の瀬に茶道具の世界にみなさんと遊べてほんとうに幸せだ。そしてありがたい。水屋(なぜか藪内(^_^;)のKさんにも感謝である。



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さて、この瓢樹さんののれんももう見られなくなる。押し詰まった最後に行けてよかった。



今年最後の我が家の歳暮の茶事 - 2021.12.26 Sun

怒濤の三週連続茶事(もう二度としないぞ!)の最後、今年うちでする最後の茶事。


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寄付には鬼の寒念仏の大津絵をかける。


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待合にはグレゴリオシャント、一応クリスマスを意識して。


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この人たちにもクリスマスリースを。


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今年最後の歳暮の茶事のお客様は師匠はじめ、皆様裏千家茶道学園の卒業生ばかり。こりゃ緊張するわ。しかも懐石のお店の奥様もおいでとは、一体どんな懐石だせっちゅうねん!((;´・ω・`))、、とドキドキしながら迎え付け。


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この日まで持つか、と思われた紅葉は前日の初雪にすっかり落葉してしまった!掃除の大変さ、わかる〜?


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諦めて敷紅葉で行こうとした内露地は落葉の厚さ数センチになっている。それにしても紅葉の枯れ葉って、良い匂いするのね。


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前日は蓮の鉢に氷が張ったりしたので今年初めての湯桶を準備。


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初座の花は我が家でなんとか間に合った白玉椿(ちょっと小さくてバランスわるいが、これが精一杯)と辛夷。花入は新羅土器(8世紀)。


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狸に見えるこの香合(実は兎)もこの秋使い倒した。(卯年でもないのでなかなか出番がなかったやつ)


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炉の季節はやはり火が恋しくていいよね。昔の人は炭火の扱いには慣れていたと思うが、われわれ現代人には炭をさわることが特別で、火鉢など、いじっていると心が落ち着く。(炭火セラピーとかできんかな)


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家庭料理に毛の生えたような懐石しか出せなかったが、まあそれでも家庭の味ってことで(^_^;

ご連客様は師匠と学園の同級生でいらしたので、お話がはずんでいる模様。苦しいきつい修業時代、同じ釜の飯を食った仲間って一生ものだなと思う。

写真は最近川口美術でゲットした、石杯でだした李朝白磁の耳杯。この形、すきやわ。


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この日はお菓子屋さん二軒に断られたので(日曜日だった)、ならば、と自分で作ろうとがんばった百合根茶巾しぼり。前日お仲間に試食してもらって、餡の水分調整になんとか成功した一品。銘を「雪華」にした。


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さて、手燭交換もした後座、これをついにやりました!ずっとしたかったんだよね。(わかる人にはわかる奉書敷き)この秋の数会に敷きまくりました。本日で当分おしまいなので写真アップ。



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下鴨のMASAさんでゲットした新しい灯火器も投入。茶杓もちょっといいものを投入。

とりあえず師匠のダメだしはなかった(と思う)のでなんとか無事お開きに。学園の卒業生の皆様にはびっくりするようなこともあったかと思いつつ、いろんな流派ごちゃ混ぜながらお点前だけは美しくしようと心がけるのだ。


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これで今年の茶事は終了。

コロナの時代、少人数の茶事はけっこう時代にマッチしていると思う。数えたら今年16会も茶事していて、自分ながらあきれる。さすがにちょっとしんどかった(^_^;
(来年は少し回数をセーブしよう。)

寄付からはじまり後座におわり、トータルで趣向を楽しめる茶事ってやはりはまってしまう。またすべておいでくださるお客様あればこそとも感謝するのである。






忙中閑〜歳暮の朝茶 - 2021.12.24 Fri

四季それぞれ、朝の御所茶の仲間で、今期冬の朝茶を計画したのが京都に初雪が降った日だった!
よってさすがの寒さと、恒例の場所になにかが建つらしく、いつもの木陰テーブルが使えなくなったので、急遽我が家に集合!(ちなみに御所茶はまたロケハンしてあらたな場所をみつける予定)



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お茶とはいえ、とりあえず飲みたい(^_^;人たちなので(筆頭自分)お酒の用意も忘れずに。


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それぞれ持ち寄った朝ご飯、お酒のあてなどなどで、場所がかわれどたちまち宴会、、、もとい!朝の茶会スタート。


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寄せ集め〜。
おひとりが、なんと一塩のグジ(甘鯛)をまるまる一匹持ってきてくれたので、台所で焼く。これは家ならではできる技だね。みんなでお酒のあてにつついたあとは、彼女が骨と皮を持って帰る。これでお出汁をとるのだと。さすが京女の始末ってやつ。そういえばおにぎりにまぜてあったのも、カブラの葉っぱであった。


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和三盆を食べながらまずは煎茶。
これは何杯でもおかわりできるのでエンドレス。


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そうこうするうちに、、、あ!


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雪だ〜!!
御所でしてたらけっこう悲惨なことになってたかもね。


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秋の名残の干菓子を食べつつ、、、


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一応抹茶も点ててみる。
上生らしきものは、私の和菓子の試作。翌日の茶事の菓子に向けて問題点を洗い出し、改善する予定、、、というかみなさんに実験台になっていただいた。

お酒もお茶けも飲んで、とりとめもないことをしゃべって2時間ほどで解散、それぞれ次の場所へ。
お互いの負担にならずにひとときを楽しむ、君子淡交、これまた良きかな。

次は桜の頃、御所で!



夜能〜五夜連続源平盛衰記〜最終夜「碇潜」 - 2021.12.23 Thu

連続五夜(一月に1回)の源平盛衰記も今月でおしまい、最終演目は「碇潜(いかりかづき)」、うちの師匠がシテ方をつとめまする。



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最終だし、人気の味方玄師だからか、今までのうちで一番人が一杯、ほぼ満席だったのではなかろうか。

碇潜の主人公は壇ノ浦で敗れ入水した平知盛で、今、京都新聞の連載小説「茜唄」の主人公なので、すごく感情移入してしまうわ。同じ知盛でも「船弁慶」は義経側から描かれているが、碇潜は平家の終焉を平家側から描くという悲しい物語である。
当時平家の総大将は宗盛(三男)であったが、ほんとうの総大将は相国(清盛)最愛の息子といわれた四男知盛であった。

鞆の浦に平家ゆかりの僧が回向におとずれ、法華経誦経を船賃のかわりにと舟人(前シテ)に交渉し、向こう岸に渡る。回向をしていると大船が目の前に現れ、壇ノ浦での平家の滅亡の修羅の様を見せるのである。

最初舟には幕が引かれているので、舞台に出てきたときに何人乗っているのかわからないのであるが、幕が取り払われると、なんとあの狭い作り物の舟に4人も乗っている状況なのだ。

安徳天皇(5歳という設定なので子方)、二位の尼、大納言の局(重衡の妻か)そして知盛である。



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平家物語での人気者、平家一の武勇を誇った能登守教経(「屋島」にも名前が出てくる)の最後、源氏の兵士を両脇に抱え込んで入水する様を見せる。
そしてついに平家滅亡を覚悟した二位の尼は幼い孫でもある安徳天皇に、
「見えたる波の底に龍宮と申してめでたき都の候 行幸をなし申さん」とその玉体を抱き波の底に沈む。
(このとき抱いて入水した神璽、神鏡はのちに源氏が拾い上げ、天叢雲剣のみ失われたという)

すべてを見届けた知盛は「見るべきものはすべて見つ」と鎧兜を二つ身につけ、さらにその上に舟の碇を引き寄せて兜の上に戴いて入水するのである。
これは浮き上がって源氏にとらわれないためであり(実際兄の宗盛はなまじ泳げただけに捕らえたれている。)、この碇をかずく様が碇潜の意味するところ。歌舞伎でも碇を頭上にもちあげ見栄を切るらしい。錦絵ではこの様を絵に描くにひげ面の強面おじさんの顔で描かれるが、知盛は武士とは言え公達でもあり、35歳の若さなのでもっとしゅっとしたように描いてほしいなあ。

その前の戦で知盛は嫡男知章を16歳の若さで失っている。(仕舞「知章」最近習った)教経は親友でもあった。二位の尼は母、そして安徳帝は平家の旗印、すべてを失って波に沈む知盛に、感情表現がおさえめの能なのに涙せずにはいられないわ。

船弁慶の印象が強くて、知盛は敵役的なイメージをもっていたが、実は人望、知略、武勇に優れた悲劇の名将だったんだなあ、としみじみ。それを並々ならぬ力量で見せてくれた味方師匠にも感動でした。五夜最後を飾るにふさわしい源平合戦であった。



ヨルモウデ平安神宮〜NAKED, INC. - 2021.12.22 Wed

平安神宮の夜間参拝ならまあ普通だが、アートがらみのイベント<ヨルモウデ>と聞いて、徒歩圏内ゆえふらふらと平安神宮へ。(12月15日〜30日まで)


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応天門からしてライトの色が次々変わる。
平日でしかも小雨模様ゆえ、他には数組だけの参拝者、なにやらいろいろ独り占めできそうな予感。


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境内は異次元空間になっている模様。ライトの色は呼吸をするように次々かわっていく。


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一組にひとつ、無料でいろんな色の提灯をかしてもらえるのだが、これを持った人がゆるゆる歩いていると提灯のあかりもゆらゆら、とても幻想的な雰囲気。
有料だが、周囲の景色に反応して色をかえるインタラクティブ提灯もあるそうだ。



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NAKED蹲居というのがあって、手をさしだすと水の音と手のひらに花が咲くという装置。


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コロナで神社の手水が使えなくなった昨今のアイデアだね。

このNAKED, INC.というのはクリエイティブカンパニーということだが代表者を見てびっくり!横浜で茶道教室SHUHALLYを主催している松村さんではないか!


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広い境内では左近の桜右近の橘の周辺も幻想的にライトが踊っていたが、雨が急に強くなったので写真なし(^_^;

お目当ての東神苑へ。
泰平閣では色がかわる提灯が点滅、そして橋を歩く人が手にするいろんな色の提灯がゆらゆら動いていく様は映画の中の場面のように美しい。あそこでなにやら秘密の妖しい宴会でもしているのかしら、という雰囲気だ。



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尚美館はプロジェクションマッピングで四季の様子が映し出される。


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池に映る姿も美しい。

さて、泰平閣、こんな日なので人が居ない時を狙い撃ちで写真に撮る。
次々に光の色がかわるので、何枚か撮ってみた。


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とどめはこの一枚だな!(自画自賛)


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堪能して帰った後で気づいたのだが、入り口でもらったポストカード、実はARマーカーになっていて、これを立ち上げるといろんな処に花が咲いて、それを写メできるようになっていたらしい。
仕方ないので家の中でやってみたら、これけっこう面白い。


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タンポポの綿毛がとんで次々と家の中に花が咲く(もちろんスマホ内でのみ)


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世の中面白い物を作る人がいるもんだなあと感心した。



東大寺開山忌〜国宝・執金剛神〜おん祭り直前の奈良 - 2021.12.20 Mon


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ちょっとはげた感じの若草山を見ながら二月堂よこの法華堂(三月堂)をめざす。


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12月16日、東大寺開山の良弁上人の忌日である。この日来年の練行衆のお名前が発表され、一日だけ法華堂の秘仏、国宝・執金剛神(しゅこんごうしん)のご開帳がある。
すでに列ができているがそれでも例年の半分くらいらしい。


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コロナゆえ15人ずつのグループで少しずつ移動するというなんともはがゆい進み方である。


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法華堂の前の石灯籠には今年の3月の修二会の輪結界がまだ巻かれたままだ。


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かつて法華堂にはご本尊の不空羂索観音の脇侍に、これも国宝の日光月光菩薩がいらして、私子供の時から大好きだったのだが、現在は東大寺ミュージアムへお引っ越しされてしまって、以来法華堂の中はとんとご無沙汰だった。


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執金剛神はちょうどご本尊の背面におられて、厨子の中、見上げる形になる。というか思ったより小さい!というのが第一印象(^_^;
護法神ゆえ金剛杵を振りかざしているお姿、はるか天平時代の作で良弁上人の念持仏とも。秘仏であるゆえ彩色も比較的残り、腕の朱の色ははっきり見える。



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法華堂のとなりの二月堂、来年の修二会の和上は橋村師なのね。来年は聴聞がかなうや否や。


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二月堂の前の開山堂もこの日のみ中へはいることができる。
良弁上人の御像、裏側に実忠和尚(修二会を始めた)の御像を拝んで、、、


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いつもお隣の四月堂の縁側から背伸びしてやっと見える糊こぼし椿もきちんと見ることができた。修二会の頃盛りをむかえるので、まだ早く、一輪だけつぼみがふくらんでいた。


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次は手向山八幡宮から古梅園の前を通って春日大社の参道をめざす。


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奈良公園の秋もそろそろ終わりで、


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若草山も先週の日曜から入山できなくなっている。


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参道脇にある水谷茶屋の有名な敷紅葉もすでに色あせてしまっていた。


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今年の秋はなんだか目が回るくらい忙しくて、、、


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この茶屋は大正年間に建てられたもと四阿だったらしいが、戦後現在のように壁を作って家の体裁になったという。
かつてこのあたりに水谷窯という窯場があってお茶碗など焼いていたと先日奈良っ子のD先生にお聞きしたが、どのあたりであったのだろうか。


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来年は真っ赤な絨毯の景色を見たいなあ。


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そして春日さんの参道、今宵(16日〜17日深夜)若宮さまはこの道をくだって御旅所におでましになる。御旅所までの参道がほんとうにきれいに掃き清められているのはさすがだ。


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御旅所には鼉太鼓(カバーかけられている)もすでにセットすみで神様を待つ。
あの真っ暗な中、炎と香で清められた道を警蹕の聲とともに「青山の動くが如」く神様が目の前をとおり過ぎられる瞬間の感動は忘れられない。残念ながら今年も一般参拝できないのだが。(2年前の暁祭


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これは2年前の暁祭の写真。


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御旅所の入り口の結界


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毎年菰で新しく作られる神様の御座所
本来ならこの前で、17日の午後から御旅所祭で賑やかに芸能が繰り広げられるはずだが、今年も神様限定のものになる。


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餅飯殿商店街の一角にある春日大社大宿舎、おん祭りに奉仕される人が潔斎される場所で大宿所祭がおこなわれるのだが、こちらも今年は一般参拝なしで立ち入り禁止になっている。ああ、残念だわ、、


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最後にことのまあかりさんで来年の奈良旅手帳をゲットして(雪丸シールはおまけ)帰宅す。



古都大和・歳暮の茶事〜三五夜 - 2021.12.19 Sun



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月釜に時々行かせてもらっている奈良・三五夜さん。
春に茶事にお招きしたお礼にと、歳暮の茶事にお招きいただいた。


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いつもの月釜では使われていない蹲居周辺に水が打たれ、苔がこんなにみずみずしかったのかと。初めて使わせてもらう。


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こちらも月釜で使われていなくて、もったいないな〜と思っていた腰掛け待合、使わせてもらった。


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その腰掛け待合の煙草盆、青々とした竹の灰吹き。

ご一緒していただいたのは、うちの茶事で三五夜さん、D先生とご連客になってくださった奈良にお住まいのYさん、うちの茶室を設計してくれた建築士Iさん、三五夜さんのこの前の月釜で席主をされたO先生(最近うちに茶事にもきてくださった)、となんて豪華な?メンバー(^_^;


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広間の待合では赤々と火鉢。ふんわりした見事な藁灰は、本日の水屋をつとめてくださったAさんのお手製。
待合の掛物は「鐘聲何処」の歌一首。そういえば除夜の鐘まであと幾日もない。


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本席の四畳半に入ると目の前にすごい迫力で床の掛け物の字が迫ってくる。

「筆硯得佳友」

そして、ふわっと敷き直したばかりの畳の新しい藺草の匂い。こちらの炉は前から切ってあったけれど畳の敷方が正式の茶室ではなかったところ四畳半の正式の敷方にかえたばかりだとか。

こちらで表千家の教室をされているD先生がおでましで、前茶をいただきながら、軸の説明を拝聴。
大和にある三尼門跡の一つ、圓照寺(他は法華寺、中宮寺 ちなみに圓照寺は非公開 後水尾天皇とお与津御寮人の間に生まれた皇女が初代)は山村御所とよばれ、最後の皇室からの尼門跡となった文秀女王(幕末〜大正)の手になる物。
とても尼門跡の書かれた字とは思えない勢いのある字は、皇室に伝えられる有栖川流といわれる宸翰流の書体なのだそうだ。
圓照寺はまた華道山村御流の家元でもあり、これについて先代の面白いエピソードもお聞きした。D先生は生粋の奈良人、奈良のディープな情報をたくさんお持ちで、つい私の奈良愛に火がついて、盛り上がってしまう。初座のはじめにすでに楽しきこと限りなし。

炭手前の炭斗は瓢で、この時のみ、炭の組み方が乱れ組になるそうだ。(表千家は本来、裏千家の真の炭みたいな組み方をされる)



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本日の懐石は、D先生のお弟子さんのプロの料理方さんのもの。表千家の丸いご飯。向付のカブラ蒸しが熱々で、これはやはり私にはマネできないわ。


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煮物椀のしんじょう、美味しい。
コロナ対策として、飯器はださず、新しい飯椀にご飯を盛ったものを入れ替える方式、これはスマート。ただし飯椀の数がないとできないが。


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表千家では一番懐石で気合いが入るといわれる八寸。
なにしろ八寸を客がわざわざ手に取って全員拝見するのだから。(裏ではこれはない)柑橘の香りの蛸が美味しいので、ついつい飲み過ぎてしまうわ。



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D先生の茶事恒例だという干支の石杯、自分の干支を選ぶが、年がばれるから言わない(^_^;けれどおあつらえむきに、我が干支のは石杯のなかで一番でかいものであった。


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奈良の和菓子といえば菊屋(創業年についてこれも面白いお話あり、いや楽しい♪)の「寒牡丹」をいただいて中立。


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後座の花は二月堂お松明の竹で作った一重切に白い加茂本阿弥、桃色の西王母、照り葉はシモツケ。
すべてD先生のお庭でとれたものである。うらやましいこと、一度お庭拝見してみたい。

濃茶はこちらもかつての尼門跡・中宮寺の先々代?手作りの黒楽でいただいた。中宮寺はお茶も盛んで中宮寺御流という流派もあるそうだ。私には弥勒半跏思惟像、天寿国繍帳のある好きなお寺の一つ。
梨宮家女王にして朝鮮王朝皇太子に嫁ぎ、戦後も韓国で福祉活動にたずさわりその地に骨を埋めた李方子さん手作りの井戸写しは感慨深い。さらに数年前特別公開され、でかけたところの尼寺、興福院(こんぶいん)の記念の茶碗もあった。

膳所の肩衝茶入の仕覆が龍村の「イアルの牛」という裂で、丑年にちなんでお水屋のAさんが作られた物。彼は本職ではないがいろんな仕覆をプロ並に作っておられる。毎年干支にあわせて作られていて、今年で7年目、この茶入は7枚も仕覆をもっているのだが、めざすは12枚コンプリート、来年は寅年にちなんだ裂になるのだろう。
(イアルの牛;古代エジプトで楽園の様子をあらわした文様らしい)

茶杓の名が「梓弓 細太刀」
そう、この日は春日若宮おん祭の直前であったから梓弓(神事に用いる)。


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(干菓子は伎芸面と奈良の香 鶴屋徳満)


後炭〜薄茶は亭主スイッチで、三五夜さんがつとめられる。三五夜さんは本来煎茶の人なのだが、今は表千家、雅楽も香道も嗜まれる風流人。
後炭で感激したのは灰器!なんとあの元興寺の軒丸瓦に灰を!元興寺の瓦と言えば天平時代の瓦、この軒丸はそこまで古くないにせよ、よかったわ〜。奈良らしいすてきなアイデアだ。

香合が赤穂・花岳寺(大石家墓地)、大石良雄手植えの松の古材、この日、14日討ち入りの日であった。

薄茶は、10月に三五夜さん特別茶会〜白洲正子にちなむ〜の亭主をされた美術品コレクターであり陶芸家でもある古橋尚さんの大きな志野茶碗でいただく。銘が「山姥」。私、仕舞の山姥好きなのよね。イメージわかる。
薄器は而妙斎好み粒菊蒔絵の本歌で、他流ながら而妙斎のフルバージョン花押を教えてもらったのである。

最後に薄茶の茶杓が「宝船」(藤井誡堂・三玄院)
まもなく正月の宝船と、赤穂浪士「明日またるるその宝船」に掛けた御銘でとどめをさす。

ほんとうに楽しかった二刻であったこと!
奈良ゆかりのお道具もたくさん見て、奈良マニアック情報もたくさん仕入れたし、ご連客も今期ベストかもしれない。
D先生、三五夜さん、Aさん、懐石方のお二人に心から感謝します。
ご連客の皆様、奈良愛が暴走してご迷惑おかけしました〜(^_^;ありがとうございます。



歳暮の茶事第二弾は白隠禅師座禅和讃から - 2021.12.17 Fri


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歳暮の茶事第二弾
紅葉も一本はもう散り果てて、残る一本もぎりぎりかなあ。


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寄付には川口美術の我谷盆展で新しく手に入れた佃みちるさんのトレーを置いてみた。


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茶事の前日、こんな感じで落葉掃除がいかにたいへんかおわかりいただけるだろうか(^_^;、、



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苔は冬にはいりかえって元気で、落葉の赤に緑がよく映える。



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かろうじて残る錦
私の茶事は半分はこの露地なので(露地がなかったら茶事なんて楽々よ〜と思わないでもないが)せっせと掃除。


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本日のお客様は三人様、みんなばらばらの流派で、しかも裏千家が一人もいらっしゃらないという珍しいケース。


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よって、裏千家玄々斎お好みの鴨箱炭斗の由来について得意げに語ってしまった。(玄々斎が田安家から拝領した鴨が入っていた箱を炭斗に見立ててつくらせた)
といっても、この鴨箱、炭斗でなくて花入に見立てた。水仙はこの会にあわせてバッチリのタイミングでさいてくれた我が家のもの。ああ、水仙ってなにもしなくて投げ入れただけでも絵になるなあ。花って偉い。



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唐津の残欠を箸置きに。

膳をお出ししてお酒をと、襖の前にすわると中から聞こえてきたのは、、、白隠禅師座禅和讃でありました(^_^; (衆生本来仏なり、、、云々。かなり長い)
お客様お二人が某禅寺管長さんのお弟子さんなので。よって、襖をあけるのをやめてしばし拝聴。久松真一の「茶道箴」で対抗?しようと心の中で唱えてみる。(われら今幸いに露地草庵に入って、和敬清寂の法を修することを得、、、)



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レンコン餅、百合根餅といろいろ作ってきたが、煮物椀はやっぱりしんじょうが美味しいわね。


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今日も台所と茶室を小走りに何往復しただろう。足音を聞かれないように心がけてはいたが、多分途中からもうドタバタ。


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主菓子はみのり菓子さんの「冬ごもり」
きなこ餡に求肥にはカカオニブ(カカオ豆をローストして細かく砕いたもの)入り。これ、はじめての食感。


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冬至も近いので、中立のころに手燭が必要。露地が暗いのであちこちに灯火をつけて回るのが、これけっこう一苦労。手燭交換も無事。

百戦錬磨の茶人さん方なので、道具の説明も打てば響く小気味よさ。やっぱりこの客組にしてよかった、と思う一会である。


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干菓子は亀廣保さんと亀屋良永さんのコラボ。
この雪だるまは一つなので取り合いになるかな、と心配したが、結局お詰めさんが食べられました(^_^;(やさしい正客様、次客様)
薄茶では1年前おいでくださった時に次客様から拝領したお手製の茶杓をこのときとばかり使った。もうあれから1年か、早いな〜の思いとともに。


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お茶の話は会がおわっても尽きない。
待合にてしばし茶談義。さすがにこのときは電気をつけたが、それまでは昔にかえって暗さを楽しむ趣向にて。


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お見送り後に見上げる西天に上弦の月さやけし。



ミネアポリス美術館日本絵画の名品〜MIHO museum - 2021.12.16 Thu

信楽まで気持ちの良いドライブでMIHO museum へ。


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会期ギリギリの(こんなんばっかり)ミネアポリス美術館の日本絵画名品展へ。


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ミネアポリス美術館はアメリカミネソタ州にある美術館で、東洋美術に関してはアメリカで1,2を争う質の高さを競っているのだそうだ。本国では入館は無料だとか。ここでは無料とはいかないが、写真取り放題という太っ腹である。



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外国のコレクションゆえか日本人にはあまりなじみのない画家から超有名どころまで、ジャンルは水墨画から浮世絵、琳派、狩野派、南画、近代絵画まで幅の広さがすごい。
だいたい美術館にくるときはテーマが決まっているので、そこに意識と知識を集中するのだが、あまりに幅広すぎてちょっと降参!、、、であった。


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水墨画になると海北友松以外は知らない画家ばかりで、狩野派では探幽(永徳の孫)かなあ。清原雪信は久隅守景の娘で探幽は大叔父になるという。女流画家が狩野派にいたとはしらなかった。


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一番印象的だったのは、長谷川等哲の「白梅図屏風」。雪をかぶった梅の大木のその雪が立体的で、そこから一枝梅の小枝の先に梅一輪、なんだか心にしみる。ちなみに等哲は等伯の弟子で、岩佐又兵衛の息子といわれる画家。


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池大雅の妻で画家の玉蘭(おかしな夫婦で真葛が原、今の円山公園あたりに住まいした)の絵もあった。(西湖図)彼女は円山公園あたりにあった茶屋の女主人・百合を母にもち和歌を習い、絵は最初柳沢淇園に学び、のち大雅に学んだという。交友関係は川上不白(江戸千家祖)、木村蒹葭堂(文人、コレクター、その他)など名前を聞くに少しうらやましいサロンであったようだ。


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有名な秋を歌った「三夕」の三つの歌、なかなかすぐには出てこないが、この三夕図を見ていると、なんとなく覚えられそうな気がする鈴木其一。
「浦の苫屋の秋の夕暮れ」「槙の葉に霧立ちのぼる秋の夕暮れ」「鴫立つ沢の秋の夕暮れ」



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つい最近まではコロナで、来てもほぼだれもいなかった美術館、この日は久々にたくさんの方がお見えで、ちょっと賑やかすぎたのが残念。ついこの前まで、しゃべるとスタッフがとんできて静かに!と言っていたのに。


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大好きな柴田是真の漆絵、雪笹の下に潜んでこちらを見る虎、好きやわ〜。


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ポスターにもなっている曾我蕭白の鶴、近づいてみると目の瞬膜が下半分をかくして笑っているようにみえるの、これも好き。

最後に幕末の佐竹永海という(知らない)画家の「風神雷神図」は面白かった!風神は鷲におそわれ風の袋はずたずた、雷神は海の大蟹に脚を挟まれ太鼓も壊れて、両者とも神様なのに情けない顔、、、というユーモアたっぷりの風神雷神のカリカチュア、さすが近代に近い時代の絵だ。


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いっぺんにたくさんの時代の絵画を見たので頭いっぱい。さらにMIHOのレストランでおにぎり三個も食べて、お腹までいっぱいになって帰ったのだった。



利休の里にて茶事 - 2021.12.14 Tue

堺は利休の里である。
里といえども、本当は大都会である(政令指定都市だし)。利休が生きた時代も海外貿易、文化のクロスロードとしてたいそうな賑わいであっただろうと想像する。

このたび茶事にお招きいただき、堺に数年ぶりにやってきた。



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利休と同じく堺がルーツの与謝野晶子の歌に出迎えられ、本席では大徳寺・拙叟和尚の円相、師走やなあ。

ご亭主お手製の懐石は手際よく、美味しい。さすが年季が違うの感。
向付が湊焼。名前だけしっていた堺の焼物である。ノンコウの弟・道楽が堺で豪商に招かれて指導したのが創始という焼物だ。だから楽のテイストがある。

ご亭主は裏千家学園の早い時期からの卒業生の大先生である。おそらく現在以上に学園生活はきびしかったのではないだろうか。それをのりきらはった先生はほんまにキビキビしてはる。無駄がない。男前である。半東をされたお弟子さんは、めちゃくちゃ楽しい方で、巧まざる笑いを席中に巻き起こす。なんて絶妙のコンビネーションなんだ!と感心してしまった。



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今回のご連客は其中庵さんと、口切り茶事をしてくれたEさん(いつもお願いしているスーパー水屋さん!)。実は彼女は堺出身、大先生とは幼少の頃からの顔見知りとか!年月たってここで茶事に主客として同席というのも不思議な茶のご縁だ。

写真は八寸、今回も其中庵さんにお肴の一曲、「四海波」の祝言を聞かせていただいた。

(このあと半東さんと会話が弾みすぎた時と、中立のあとの席入りの銅鑼で忘れられない大笑いがあったのだが、ちょっと内緒にしておくね(^_^;)

主菓子の百合根きんとんがまったり美味しく、聞くとこれもご亭主お手製だった!


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後座の花はロウバイの照り葉と妙蓮寺椿。なんともかわいらしいおちょぼ口の椿だ。
楽歴代のお茶碗がたくさん出てくる中、やはり湊焼に心引かれる。
一見赤楽だが正面にバーンと見たことのない、読めない大きな印が押されている。湊焼の「絲印茶碗」。かつて中国との生糸貿易に使われた割り符(絲印)を押した物でいかにも貿易港であった堺らしい茶碗。(関係ないけど伊勢の絲印煎餅大好き❤️)

学習したのが一方堂焼。一瞬お茶舗の一保堂かと聞き直してしまった。高瀬川で有名な角倉家のお庭焼なのね。(仁阿弥道八が指導したとか)瓢の中に<一方堂>の印がわかれば。
堆黒の薄器の花紋の細工も素晴らしかった。
とどめの茶杓が良かったなあ。常修院宮(公家きっての茶人、三千院門跡〜天台座主)お手作りでしゅぱっと櫂先に向かっていれた刃物の切れ味がすごい。



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干菓子の白いのは、名古屋の亀広良さんの「いちまいのみず」という摺り琥珀。日本酒がたっぷり使われているのがわかるくらいで美味しかった。そして、、、これだけは書いておきたい、半東さん、「いまいちのみず」と言いまして〜、のご説明にまたまた大爆笑。利休さんも思わず苦笑いしてはるやろうなあ(*^_^*)




吉田家無名舎〜最後の吉田塾 - 2021.12.12 Sun

洛中にかろうじて残る伝統的な表家造りの京町家、最近は絶滅危惧種になりつつある。大きなお屋敷が一晩にして更地になってしまうさまを何度も見てきた。



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北観音山の鉾町のランドマーク的存在が吉田家住宅だ。ながらく山鉾連合会の会長をつとめられ、前祭後祭の復活の推進力となった吉田孝次郎先生はいまなおかくしゃくと、山鉾巡行全行程を裃つけて歩かれる。


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この家はNPO法人の管理もはいり、いずれ京都市に寄贈されるため、町家は残ることに一安心だが、京町家の伝統的な暮らしや文化は継承されていくのだろうか。



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(ここで餅つきをした)

それを残しておこう伝えて行こう、と9年前から孝次郎先生のお話を聞く会、吉田塾は始まった。数年前から参加させていただき、いろんなことを教えていただいた。


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年末には餅つき、納豆餅を初めてしったのもここだし、祇園祭の山鉾巡行をここの二階から眺め、北観音山の曳き初めもさせてもらった。


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宵山の宵に念願の奥座敷でご飯をいただくこともできた。↓ (なつかし〜〜)


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一番印象に残るのが、2年前ここでひらかせてもらった新旧乙女茶会である。孝次郎先生もお道具を出してくださったり、炉があくのは10年ぶりだとおっしゃったり、楽しかった〜。

(薄茶席の様子 ↓ )

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その孝次郎先生もまだまだお元気ではあるが、少々お疲れやすくなられたこととか、諸般の事情で吉田塾、今回が最終回となった。来年以降はまた新たなこころみをNPOの方々が考えておられるようだが、かなり残念である。後半はコロナであまり参加できなかったし、講座の後の表の間での懇親会が楽しかったのに、それもできなくなっている。


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今回は吉田家の建物と先生の歴史を漫談的にお話くださった。
昭和50年ころまで、この大きな表家が看板建築になって下宿屋になっていたとは知らなかった。それを少しずつ元の姿に戻していかれたのが孝次郎先生である。5人兄弟の末っ子で次男だったのに、最終的に最後まで家を守られたのが先生だったのだ。



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東京の美術大学で絵画を学び、その審美眼でもって天神市や弘法市で掘り出し物を見つけられる話は何度聞いてもおもしろい。(きっとあちこちの市で先生のお姿は今後も見られると思う。)中でもヨーロッパになくて日本に3枚だけ残されている(北観音山、函谷鉾所有)八つ星メダリオン絨毯の4枚目を発見された話は忘れられない。



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(吉田塾の主な開催場所であり懇親会場でもあった表の間)

いつも奥座敷の一番良い場所で晩酌していたお父上が、少し話し相手がほしくなるとベルを鳴らし、相手をすると引き出しにかくしてあったバターをスライスしてご褒美にくれるのが楽しみだった、というお話も印象的だった。

そして!
吉田家で一番私が好きな場所は、、、、


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ここなんである。
走り庭。
実は京都に移住する10数年前、一度予約してここのおうちを拝見させてもらった。今より10歳ほどお若い孝次郎先生みずから案内とお話をしてくださったのだ。当時京都に町家風の家を建てるにあたっていろんな町家を見て回っていて、ここの走り庭にどれだけ憧れたことか。残念ながらこんな走り庭は造れなかったが、、、、


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それでもこの火袋の準棟纂冪(じゅんとうさんぺき・寺院建築に準じて木組みを見せる工法)は少しだけ取り入れることができた。



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このじんとぎの流しも、来年からのイベントとかに備えて新しいユニットを入れることに先生は積極的だ。機能は上がると思うがちょっと惜しい、、、ので写真に残しておこう。


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走り庭に面しただいどこの間。昔は使用人がここでご飯を食べた場所だが、この奥の舞良戸に先生の茶道具コレクションがぎっしりなのを知っている。



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流しの横には火の用心のお札や正体不明のお札がならぶ。町家のだいどこらしい風景だ。


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そして今も現役のおくどさんもこの日は静かにお休み中であった。

現代的機能的生活は快適である。反対に町家での暑い寒いの暮らしは面倒なことも多い。生活していくための作業は多く煩わしい、けれどそこで培われる生活の、ひいては生きるための知恵はなんらかの形で継承していかねばと思う。かといって寒がりの自分に町家暮らしはちょっともう厳しいかなともおもってしまうのだが(^_^;

吉田塾終了で気軽におじゃまできることはできなくなると思うが、また何らかの形でおたずねしたいと強く希望している。








師走落葉甚茶事 - 2021.12.10 Fri



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少し遅めのうちの露地の紅葉、このあたりがピークだろうか。よいタイミングでおこしの今日のお客様。


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落葉はもう雨のようで、拾っても拾ってもきりがない。ここはあきらめて敷落葉を楽しんでもらおう。

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朝は肌寒いので待合に火鉢を動員。


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腰掛け待合には手あぶりも今年初。


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本日は半年ぶりに其中庵さんをお正客に(ここのところ2回連続で其中庵茶事に伺っているお礼もかねて)1年ぶりのそらいろつばめさんもご一緒に。


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この時期、1週間だけ芳香をはなつマルバヒイラギの花も楽しんでもらえただろうか。(この葉っぱの春の落葉にはほんと、毎年苦労するが、、、)


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席入りの様子を陰からうかがうが、紅葉の背景が美しい。


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初座の花は名残の菊。これはちょっとこの日のテーマと関係して。
花入れに見立てたのは玄々斎好みの鴨箱炭斗である。本歌は5つしかないという。田安家から拝領した鴨を入れた箱を炭斗にみたてたもの。これをだれかに預けたら、鴨がはいって戻ってきたらいいな(^_^;


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懐石のうちのふろふき大根。


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八寸では、開催中の畠山記念館の名品展(国博)(先だっての其中庵さんの茶事のテーマが阿畠山即翁だった)の話、泉屋博古館の住友家の茶道具の話、みなさんお道具におくわしいので茶談義がとまらない。

其中庵さんにお願いしたお肴は付祝言

 ♪ 千秋や萬歳と 俵をかさねてめんめんに、、、(「靫猿」)


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みのり菓子さんにお願いしたお菓子は「木守り」
生の柿がまるまるついてきたのには意表をつかれたが、昔の菓子の甘さの基準が柿の甘さだった、ということを思い出した。中の羊羹にはプルーンがはいってアクセントのあるおいしさだった。(亭主役得にて2個食べる)


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夕ざりではあるが中立の頃はもうすっかり暗くなってしまって、手燭交換には良い季節になった。足下が若干危険だが。


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夕ざりの待合。あちこちに灯火を入れる作業がけっこうたいへん。タイミングをはかるのも難しいね。

後座の軸は内緒だが、ちょっと気合いをいれた。これについても茶碗についてもまたまた茶道具談義がはじまるのである。


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干菓子は亀廣保さんの藪柑子と雪華。
みなさま、ご自分で茶事をされる方なのでそれぞれの苦労話もまた参考になり、特にこのコロナ時代のお茶や懐石についてもアイデアを披露し合って今宵も楽しくふけていったのであった。









ほとんどDIYの茶席にて茶事! - 2021.12.08 Wed



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東本願寺と西本願寺の間、織部の茶室、燕庵を擁する茶道藪内流がある。
そのほど近くに、藪内流の若武者が新しく店を構えた。
お披露目もかねての茶事のおさそいに一も二もなく。



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ビルの2Fにおおおお〜っ!
小間の茶室や!
変哲もないビルを茶室に変えるにあたって、ご自分と友人とでほとんどDIYだったと聞いてびっくりする。(多少大工さんははいったが)
茶道口に壁を継ぎ足して一回り小さくした、、、というのもDIYだと聞いてすごいな〜と。


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天井の落としも半分はご自分で。それからそれから、菰天井!
これは雪国などで木を寒さから守るために巻く菰を買い取って自分で天井にしたとか。


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天井のRもお見事!
釣釜もできる仕様になっている。


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土壁も共通の茶友であるところの陶芸家A君のいい仕事!なんと茶筅でこの筋をひいたのだとか。
ビルの中ゆえ畳の寸法なども特注だったり、水回りの水屋が、実はもとトイレで、そのまま水道を使って自分でシンクや棚をしつらえたのだとか。すごいなあ。

そんなDIYとは思えぬ上出来の茶室にて茶事をしてくれた。


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茶室の隣の小部屋は待合に。4人すわったらもういっぱいだけれど、ちゃんと床もある。茶壺のこの紐の結び方は?ご流儀なのか我流なのか?でもこれなら私でも毎年本見て苦しみながらじゃなく、紐飾りができそうやわ。


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藪内の霰灰と隅のハマグリ(蛤型のすきま)。
軸は藪内六代比老斎(江戸中期〜後期)「通利不通情」(反語的意味だそうだ)


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いつもながら料理を習いに行こうかなと思っちゃうくらい美味しいお手製懐石をいただく。胡麻入りの白味噌汁の美味しいこと。


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たっぷりとした煮物椀の風味も抜群。


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そしてついついお酒がすすんでしまう八寸。藪内の八寸は三種盛りなのだ。気心の知れた茶友ばかりなので話もはずんでしまう。


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先日川口美術さんの茶席でお世話になった、あかま和菓子さん、こちらでもいただいた。この形は???と思って割ると中は鶯色の餡、なんと茶壺薯蕷だったのね。


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後座の花ははしばみと白玉。
茶入が新兵衛(有来新兵衛・京で唐物商として活躍しつつ作陶もした。「へうげもの」にも登場してましたね〜)
いろいろなお道具に藪内の歴代の書き付けなどもあって、私すっかり藪内の歴代に詳しくなってしまったことよ。(自流の裏千家の歴代の花押見て、だれこれ?と言っているのに、、、(^_^;)


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干菓子器の小さな小さな縁高!扇子と大きさを比べてみてほしい。男子なのに女子のツボを心得てはるわ〜。

茶事はもうすっかり慣れてはるので、流れるように。ほんとうに茶事がお好きなんだな、と思う。
新しい店も持ったことだし、家族も増えたことだし、これからもどんどん活躍していってほしいと近所のおばちゃん目線で思わずにいられない。


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後座の炉縁、惺斎の花押などもあるこの雪華は浄益の金物なのだ。かなり心惹かれたわ〜。


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楽しかった時も過ぎ、帰り道、東本願寺の銀杏がみごとであった。



Bonjour!的壺中口切り茶事 - 2021.12.05 Sun



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洛中の町家Bonjour!現代文明さんの宵である。


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焼物作家谷口晋也さんの個展がひらかれるのにあわせて、お社中を持つ若き先生(スーパー水屋さんとしてお世話になってます〜)Eさんの口切り茶事、谷口さんの作品を使って、、、である。

谷口さんの作品を見ていたら、思い出した!今から5年前、建仁寺両足院で御菓子丸さんのお菓子とF太朗君のとコラボでみる・たべる・のむ茶会で不思議な軟体動物みたいな流動する器みたいな作品を見せてくれた方であった。 ↓↓


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(2016年両足院で撮影)


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さて、待合には、、、銀杏の葉を敷き詰めて、、、前日はまだたくさん葉っぱのついていた楓の紅葉、最後の席でとうとうこんなになってしまったようです。一枚水盤に浮いた葉っぱがそれはそれできれいであった。


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さて、茶室は、、、なんとこの町家にあるかつて防空壕だった地下室。
四畳半ほどのまさに壺中、ここでどんな茶事がまちうけているのだろうか。


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いつもは磁器が多い谷口さん、今回茶事に合わせて初めて茶壺、黒楽茶碗に挑戦されたとか。

茶壺は少し小ぶりで縄文土器をイメージしたという耳付き。Eさんが大徳寺近くの皐蘆庵茶舗さんに碾茶を詰めるのを依頼して(このお茶屋さんも茶壺に碾茶をつめたの初めてだったそうだ)濃茶も薄茶になる詰茶も本格的に。

封印した茶壺に小刀をあて、口切り、そして取り出した半袋を、、、、


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カーテンの陰に控えるお弟子さんにわたすと、おお!さら〜さら〜っと石臼を挽きはめる。本来は水屋での仕事で姿は見えないのだが、こうして少しだけ挽く手が見えるのがなんともゆかしくてすてきだ。


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その音は懐石の間中休みなく地下室に響いて、脳波を安定させるのかとても良い気持ちになる。時折碾茶を追加するときに音がとまるとかえってはっ!として我に返るというか、なんとも粋な演出であった。


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5年前の谷口さんのご縁でもあり、F太朗さんがお正客、お酒がすすむ懐石についつい飲んでしまうわ。


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そして中立の時、ずっと石臼を挽いてくれていた勇ましいたすき掛けのお弟子さんに、思わすご苦労様!と声をかけずにはいられない。


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お菓子はあつあつの粟善哉。


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そして後座は地下の壺中にて、置き炉を囲んで谷口さん初挑戦の黒楽で、挽いたばかりの濃茶をいただいた。すごくまろやかに挽けてていて、石臼の威力と挽き手の根性?を感じるお茶であった!
茶名「壹福」
ごちそうさまでした!



がっつり流派の茶事2021 - 2021.12.04 Sat



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紅葉が美しい法然院である。
このほとりにある業躰先生のお茶事に昨年に続いて参席(師匠、おさそいありがとう〜!)


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寄付に宗旦忌を意識して大綱和尚の宗旦狐の画賛が掛けられている。画に「永楽」の印が押してあって??と思ったら、絵が永楽保全だったのね。宗旦狐はよく見るけれど永楽の絵と印はめずらしい。
待合には見事な嵐山紅葉図(私はついに行けていない秋の嵐山、、、)、幕末〜明治の幸野楳嶺。(竹内栖鳳の師匠)よく見ると小雨が降って神社の鳥居、これはどこの神社になるのだろう。


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露地に出ると見事な紅葉と常緑の緑が息をのむほど美しい。法然院の借景もある。四つ目垣、柴折り戸のみならず茶室の横の袖垣も青青とした新しい竹で、棕櫚箒も。

昨年はコロナで人数が多かったし、広間での懐石になったが、今年はありがたくも如庵写しの小間(四畳半+一畳半+鱗板+暦張)にて。天井の意匠も床柱の古材もすごく侘びて凝っている。

床には江雪和尚(破鞋子)「且緩々」、一休さんの「あわてない、あわてない」みたいな意味かな。(江雪宗立・江月和尚、沢庵和尚の弟子)

炭点前では昨年も拝見した茶室名にちなむ三猿釜(蓋のつまみと鐶付がそれぞれ見猿言わ猿聞か猿)、香合が布袋さんでとっても細かく顔が刻まれているのに楽の印があって、楽でもこんなのつくるんだ、と思ったらさすがノンコウであった。



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懐石は、舞鶴で懐石を作っておられるお弟子さんの手になる物、蟹味噌入りのしんじょうのお出汁が鰹節をつかわず昆布だけでとってあって、これがとってもいいお味だった。


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これは後日改めてもとめたものだが、主菓子が緑庵さんの紅葉きんとん、こんなに美味しい餡子は久しぶりだわ。(なので後日買いに走った!)元斎宗哲の黒漆菊蒔絵の縁高にて。

後座の床は寒菊(今年よくあちこちで拝見する)が玄々斎の小さい尺八的竹花入れに。ここらへんからがっつり流儀の茶事らしく、裏千家歴代の宗匠の名前が次々でてきて頭が沸騰しそうになる。(ので、間違えてたらごめん〜〜)

水指は南蛮、ハンネラの蓋が凸と凹で二つ添っており、炉は下に下がって置くので凹の蓋を使うのだとか。これは知らなかった。各服点てながら黒楽ばかりでてきてびっくりする。主茶碗は一入で長次郎の「東陽坊」写し。ここはかつて東陽坊があった真如堂にも近い。

茶入が背の高い、ちょっとデザイン的に餓鬼腹に似ているこれは何か???みんなわからない。楽?とか織部?とか。実は古丹波で銘を「山猿」、いかにもお似合いの銘だが、丹波はちょっとわからない。
茶杓が又妙斎「無事是貴人」。ふだんお稽古用でよく使われる先の丸いさらっとした茶杓の形だが、これが又妙斎型だったとわ。



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薄茶ではまたたくさんお茶碗をだしていただき、私は仁清の三玄院天目でいただく。いままで何個も見た三玄院のなかではちょっと変わったタイプ、釉薬が茶緑、底には「三玄院」と墨書。ええな〜、数はあるらしいので一つほしいな〜、、、(^_^;
結構マニアックな出自の茶碗もあってなかなか面白かった(が、おぼえきれない、、、)

最後に薄器が圓能斎好み汐汲棗(ほんまは金輪寺型)、蓋に「松風」蓋裏に浦千鳥。淡々斎の箱に「父好む」とあったのが印象的。村雨の茶杓をのせたいなっと(^_^;

久々に裏千家歴代の花押攻め、千家十職の歴代攻めであって、たくさん流儀の勉強、させていただきました!







伝世の茶道具〜珠玉の住友コレクション〜泉屋博古館 - 2021.12.02 Thu

徒歩圏内にあるのがありがたい泉屋博古館、「伝世の茶道具」展に行ってきた。
もうよだれがでるくらいすごかった!



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泉屋といえば住友家代々だが中でも(男前だし京都の公家西園寺家出身で、個人的にとても好きな)春翠のコレクションは青銅が有名ながら茶道具もすごいのだ。もう何回か見たことのある物が多いのだが、これだけまとめてどーんと出されるとクラクラする。

ポスターになっている小井戸「六地蔵」はそれだけで一つ展覧会ができそうなのだが、他もすごすぎて、あまりになにげに並んでいるところが懐の深さを感じるわ。
大正8年、大阪の茶臼山本邸(現・慶沢園 大阪市に寄付)にて春翠は先代の追善茶会を開いたときに、この茶碗(先代が入手したまま使う機会なく亡くなった)に合わせるため、瀬戸肩衝「真如堂」を手に入れたという。どちらも伝世茶道具の本にはかならず載っているという有名なシロモノ。


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さらにこの時、今日庵の命名の由来となった「懈怠の比丘明日を期せず」の清巌宗渭の軸と、これと対になる宗旦の「邂逅の比丘明日を期せず」が両方出た、というからすごいわ。

その後今日庵の宿願をかなえて、この二本は現在今日庵裏千家にあるという。その代わりというのかどうか、コレクションには玄々斎の「懈怠の比丘、、、」の軸があり展示されていた。両家の関わりを考えると感慨深い。(コレクションには裏千家歴代のものが多い)


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他、宗旦のものあれこれ、かの有名な佐竹本三十六歌仙の一つ、源信明、これも成書にはかならず載っている14世紀の古銅象耳花入「キネナリ」、天下三舟花入れの一つ「松本舟」などなど。いずれもすごいお宝だが、集め方が品があってまんべんなくって、、ところが春翠さまだと思う。(先代以前のコレクションもあるけど)



ミニミニ茶席at 杉本玄覚・貞光展 - 2021.12.01 Wed



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下鴨川口美術にて、信楽の杉本玄覚さんこと貞光さんの個展。


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お庭はきれいに色づいて、ここの片庇にてお茶席を、、、と思ったら、この日から寒〜〜〜っ!


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ということで老体にむち打つのはつらいから(^_^;ギャラリーの二階に即席ミニミニ茶席を設営。


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杉本さんの作品は多彩で、信楽、高麗、朝鮮唐津、楽まで、しかも作陶のみならず軸に絵、陶人形、板絵、、、まで。一人の作家が作られたとはとても思えない。


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(茶器は川口美術の李朝木挽容器の見立て)

杉本さんのお茶碗、とくに高麗写しはすてきだけれどちょっとお高い、、、と思っていたら「湯飲み」と書いてあるどうみても抹茶茶碗は一桁ちがっていて、ええ?いいの〜?これ、、、、と思ううれしい意外なお値段。


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今回お菓子をはじめてお願いしたのが和菓子のあかまさん。
若い男性で、おひとりで店舗をもたずにされている。以前茶友さんの茶事で真っ黒い練り切りのお菓子がでて、印象に残っていたのだが、杉本玄覚さんと聞いて、「玄、、、くろ、、、黒!」彼に頼もう!、、、となってお願いした黒いお菓子がこれ、銘を「玄」にした。



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見た目窯の中ではじけた陶器みたいでもありごついが、黄身時雨なので口にいれるとほろっととけて、刻んだ柚子の香りがほんのり、、、とても美味しいお菓子になった。
(いろいろ試行錯誤でご苦労して作ってくださったようでありがたい。)


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お客さんは三々五々でゆっくりさせてもらったが、いろんな方からいろんなお話を聞き、情報も仕入れ、杉本御大にもお茶をふるまい、あかまさんも交えてしばしお話、亭主がすっかり楽しんでしまった。


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川口さんとこにいけられた花は、照り葉でありながら花まで咲いているという不思議なユキヤナギΣ(゚д゚)



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