立春の湖国〜茶飯釜・粥茶事 - 2023.02.12 Sun
寒かったり暖かかったり立春過ぎて気候はまださだまらない。
そんな季節に久しぶりに湖国の茶事にお招きいただいた。
窓の外にお手製の柚餅子がぶら下がっている。あれ、美味しそうだな、、、
ここへ来るとつい、美味しいご亭主の精進懐石が食べられる!とうれしくなってしまうのだ。
リビングには古色の大きなひな壇飾り、もうそんな時期かと焦る。ここのお雛様の道具にはりっぱな台子飾りがあるのがうれしい。
以前と同じくアカンサスで縁取られた蹲居をつかって席入り。
一足お先の釣釜は茶飯釜、火力が必要なので、炭はいつもの倍近くつぐ。炎が立つまで火吹き竹で酸素を送り込む。
茶飯釜には決まった作法がないぶん、亭主の炭の力量が問われる。以前茶飯釜をされた時に、釜が吹き出して客の私はあわてたのだが、ご亭主動じず、ちゃんとタイミングをみはからってご飯をたきあげたのだった。今回は炊き上げず、だんだん濃度を増して行く粥である。
コロナの時期ゆえ客がお手伝いする火吹き竹もそれぞれ一本、ご用意くださった。これで頬をふくらませながら客が交替で火を熾らすのもまた楽しい茶事である。
さて、お待ちかねの懐石!
蕪蒸しにたっぷりの餡、芳しい柚子の香り、中に百合根やら美味しい物がいっぱいつまっている。
粥ができるまで、待つことしばし。
粥に合う少し塩気のある縁高のなかみ、これすなわちお酒にもあうってことだよねえ(*^_^*)
琵琶湖の冬の味覚・氷魚(鮎の稚魚)とヤブカンゾウの若芽をあえたご馳走!大根餅もあれば、先ほど美味そう〜と思っていた柚餅子もはいってた。5時間もことこと炊いた柔らかい梅牛蒡、シャキシャキの菊芋、お手製の醤油(!!)を絞ったあとのモロミ、などなどどれもお手間がかかっていて、お粥ならぬお酒がすすんでしようがない。
そうこうして飲んでいる内に湯気があがる。
まずは重湯を。
これが思いもかけずとても美味しかった。米ってすごいなあ。
以後は釜は炉からだしたまま、お粥は中で少しずつ濃度を増していくのである。
五分粥から七部粥ときて全粥、ちょっと病院の術後食をおもいだしちゃった(^_^;
お米食文化萬歳!で香りも楽しみつつのお粥、完食である。(あまり完食する客はいないらしいが(^_^;)
釜の代わりに炉にかけていた鉄鍋の中身がけんちん汁(根菜汁)、お出汁は昆布と椎茸だけであるが、根菜からでた出汁でしみじみ美味しい。こんにゃくが絶品であった。
、、、って食べ物のことばかり書いたが、どうしてもここに来るとそれが楽しみなの(*^_^*)
鍋を上げた後の炉中拝見、倍ついだはずの炭はきれいに燃えて、胴炭も半分はいっている。ここで変則ながら後炭を。胴炭が見事に二つにわれて、また火勢はあがる。この炭を見るのってみんな好きだよね。いつまでも見ていられるわ。
中立で待合に帰ると置き火鉢には饅頭がのっている。客同士わいわいいいながら炙り目がついたところで熱々をいただく。中の金柑入りほかほか餡子が美味しい、そしてこの緑は蓬ではないし、、、と思ったら春菊であった!(お嬢様手作りとか)
濃茶を美味しくいただいたあと、薄茶のお菓子でまた大騒ぎ(^_^;
三角形のお菓子は山形のからからせんべい。
割るとばらばらになってしまうのが食べにくいのだが、中に小さな民芸玩具がはいっているのである。私のは小さい独楽、打ち出の小槌の根付けや、ミニミニ団扇など、楽しいばかりでなくしっかり黒糖風味の煎餅もとても美味しいものだった。
ご亭主は古民具などの見立てがとてもお上手なのだが、一つどうしても何なのかワカラナイものが、、。この蓋置である。あとで種明かしを聞いてびっくりした。これは秘密にしておきますね。文具系ガジェットとだけ(^_^;
最後に客のわがままとして、炉中の最終形態を拝見したく、釜を上げてもらった。おお〜!すっかり白い灰になっている。お見事、これを拝見できて良かった〜!
美味しくて酒の肴になりすぎる醤油のモロミ、お土産にいただいた。思わずきゃっほ〜!とはしゃいでしまった。もろもろありがとうございました、そしてごちそうさま!