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2023-03

今年のご近所桜2023 - 2023.03.31 Fri

例年は順番に開花していく桜が今年はどの木も一遍に満開を迎え慌ただしいことこの上ない。

わが地元岡崎は自転車でぐるっと小一時間もあればよそにわざわざ桜見に行く必要はないのである。(←自慢(^_^;)なのでちょっとひとっ走り花見へ。


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蹴上のねじりマンポからインクラインの桜を。


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人が多いと聞いてはいたがやっぱりすごい。この画像はそれでも少ない時をなんとかねらったもの。


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桜はきれいだが、のんびり花見の雰囲気ではない。このところ京都の観光客は国の内外を問わず爆発的に増えた。(顰蹙かもだが、すでにすかすかだったコロナの頃が懐かしい)


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蹴上げの浄水場の躑躅ももう咲くのではないか。まだ3月なのに!


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この喧噪に別れを告げて、一歩中へ入ると知る人ぞ知る大好きなお花見スポットがある。


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清流亭の枝垂れ桜
いつもはソメイヨシノより少し遅いのだが、もう見頃でびっくり。


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ご近所の人と桜が早いのと、人出が多いことを話題に少しおしゃべり。


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反対側から。


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もう一枚


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そして他に見る人もなき疏水分線の桜
ここはいっちお気に入りの場所。


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ここを南に下ると新しいお屋敷が建ったのは知っていたが、おや、ここにも枝垂れがあったのね。



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西行して岡崎疏水べりの桜。平安神宮の大鳥居の朱と京セラ美術館の屋根を背景に。


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近代美術館裏の疏水べり。この桜を見ながらミュージアムカフェ505のテラスで珈琲を、、というのはやみつきになるのだが、今年はこの観光客の多さでとてもはいれそうもない。



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通勤路でもある京セラ美術館敷地内の疏水べり、ここもジモティお気に入りの場所。


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夜桜はこんな感じになる。


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対岸の灯りを見ながらいつもおうちに帰っている。


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コロナから復活したさくら十石舟も大賑わい。夷川ダムまで行ってかえってくるのだが、船に乗って下から見るより地面から見た方がほんとうはきれいだと思うがなあ(^_^;


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どんどん西へ行くと鴨川


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北大路あたりの方がもっと美しいのだが、自転車ではちょっとしんどいのでこのあたりまで。


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これは他日賀茂街道を車で走ったときのもの。あの賀茂街道すら渋滞混雑する日だったが、かえってゆっくり街道の桜を楽しめてよかった。(いそいでなかったもので)


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もう桜の季節は岡崎疏水と鴨川があればそれでいい。



信楽の春を遊ぶ茶事 - 2023.03.29 Wed

京洛の桜は満開でも信楽の里はまだまだであった。


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いつもおなじみ、まさんど窯へ行く途中に信楽の作家・保庭楽入さんの壺中庵がある。


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楽入さんの工房でもあれば、茶事や作陶体験、お茶のお稽古、その上宿泊もできるという施設である。


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古いお家にリノベーションを良い感じにされていて、まずこのナグリの床に感動。こんな広い面積のナグリって初めて見た。


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寄付の座敷には楽入さんのお母上のものだという立派なお雛様が。お雛さまは恥ずかしいのか扇でお顔をちょっと隠しておられる。


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この壺中庵を借り切って、ついでに楽入さんの信楽焼の作品も借りてお茶事をしようと茶友のIMさんがお誘いくださった。ありがたい限りである。


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全員顔見知りの連客様方は、古典文学者、陶芸家、道具商、茶道学園出身のお茶の先生、、、と錚錚たる面面。みなさんお茶はいうに及ばず、多方面に一家言をお持ちのクセのある方々、もうにぎやかで厳しいことも言うが笑いが絶えない席となった。


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ちなみに腰掛け待合の足下の石も信楽の陶板なんである。


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二畳台目の小間の席は50年位前に楽入さんの先代が建てられたものだという。
軸は大徳寺管長をつとめられた高田明浦師の「花無心招蝶(花無心にして蝶を招く)」一文字が蝶の文様。

楽入さんは表千家堀之内長生庵でお茶をされているが、待合にあった色紙「桃花灼々 水潺々」が久田宗匠だったのでお聞きすると楽入さんは堀之内、奥様が久田半床庵で学ばれているとか。

さて、ご亭主の炭手前
一見瓢にみえるが実は信楽焼(軽い)という珍しいものを使われた。
香合がお雛様らしく三重の菱形だな、、、と思ったら三階菱・阿波の三好長慶(実は信長以前に天下をほぼとった人)の紋であった。ご亭主のIMさんが阿波ご出身のゆかりで。しかも大徳寺の聚光院は長慶の菩提寺、花押が現在の聚光院の虎洞和尚。



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懐石は広間の立礼席に場をうつして。
楽入さんの奥様とお嬢様のお手製。この四つ碗も驚くなかれ陶器なのだ。


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杯台にのった盃まで信楽焼!
お酒もたくさん用意していただき、車の私にはシャルドネのノンアルをご準備くださるとはなんというお心使い。


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煮物椀が(さすがにこれは漆器だった)お雛様仕様で、ピンクと緑に着色した大根の菱餅型が心憎い。

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懐石では途中で「どうぞお持ちだしを」と、亭主にも同席をもとめるのだが、ほぼ形式で、たいがい水屋で相伴いたしますとことわるのだが、IMさん、ちゃんと言われたら膳をお持ちだし、立礼席をテーブルにお召し上がり、なんだかとても新鮮。


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でました!これまた信楽焼の八寸!
遠目には焼き物に見えなくて、こんな形の焼き物って作るの難しいのではとびっくり。しかも薄くて軽い。


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お菓子も楽入さんの奥様お手製、ひっちぎり。


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後座
信楽といえば一つはほしい蹲(うずくまる)の花器に椿、クロモジ。


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席からはちょうど目の前に庭の沈丁花が見えた。


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水指はやっぱり信楽の迫力ある大きな筒型。
うるさく圧をかける客(^_^;に対し淡々と黙々とお点前を続けられるご亭主。濃茶美味しかったです。
主茶碗は弘入赤「滋賀里」、場所柄ぴったり。
茶入の銘が「三上山」と聞いてジーンときた。琵琶湖沿岸を走っていると目に飛び込んでくる美しい円錐形の三上山、別名も近江富士、あれが見えるとほっとするから、三上山は特別な山なんである。仕覆が木綿の唐桟というところも渋い。
茶杓は聚光院先代・寛海和尚の「都の春」



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薄茶はさきほどの立礼席にて室礼をがらっとかえておしゃれである。


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干菓子1
富山の銘菓「月世界」を壺中庵用にアレンジした<紫香楽宮礎>


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干菓子2
壺中庵でも求められる手裏剣クッキー(バターなしなのであっさりといくらでも食べられる)と兵糧丸。なんといってもここは伊賀の里ですから。


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薄茶の茶碗はIMさんの所有のもの、楽入さんのもの、いろいろ取り混ぜて楽しく。信楽って焼締めのイメージしかないが、きれいな絵付けの京焼風のものもある。こちらでは主に奥様が絵付けをされているそうだ。
茶杓が聚光院・利休の墓所近くの沙羅双樹の木で作った「雪月花」、これも驚きである。


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茶事のあとはギャラリーにて楽入さんの作品を見ながら、珈琲などもいただける。


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ご亭主のIMさんは前日こちらでお泊まりもされたそうで、いちどゆっくり泊まりがけで夜咄などもしたいなあ、という話にもなった。車で京都からなら1時間もあれば来ることができるので便利だし。
(ただし帰り道高速大渋滞、桜の季節だからねえ、、、)


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お土産に、とご連客様の著書をいただき、さっそく署名をしていただいた。

これだけ多彩で多才な方々を一堂に会させるのは、やはりご亭主の人徳ですねえ。ありがとうございました。





其中庵・鈍翁を茶事に招いたら〜跡見茶事 - 2023.03.28 Tue

裏千家系雑誌「なごみ」の<夢の茶会>シリーズ、「もしも○○を招いたら」という仮想茶会なのであるが、その2月号に其中庵さんが登場。


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(なごみ2月号)


鈍翁の「茶狂」の軸を旗印にお茶をされている其中庵さん、よって当然ながら招くのは近代数寄者の雄、益田鈍翁である。


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(なごみ2月号)


彼の最後の茶事に招かれたのが、彼に私淑していた実業家・横井夜雨と鈍翁がかわいがった年下の道具商・横山雲泉、彼らを連客にという想定である。
この「茶狂」の軸は雲泉へ茶室の名前として鈍翁より贈られたもの、まさにふさわしい客組なのである。

このたび、取材だけでなく、実際その道具を使って跡見の茶事をしてくれることとなり、喜んで鈍翁の連客となるべく出かける。


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待合の軸はもちろん「茶狂」
(それにしても自分が度が外れた茶狂いであるのに、後輩に茶狂いと揶揄するような軸を贈るとは、鈍翁、しゃれがききすぎ〜)


「鷹峯太虚庵」の名前が鋳込まれた鉄瓶。鈍翁は光悦会法人としての初代会長であったから、これも心憎い鉄瓶である。



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あいにくの雨であったが、これも春雨、しっとりとした雰囲気をかもしだし、笠、露地下駄を使う。
もうひとつうれしかったのは、10年あまり前に徳川茶会をご一緒いただいたK様ご夫妻と再会し、連客となれたことである。(11年前!だった)


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小間据えにした本席で、夕ざりの初座は花、木五倍子(きぶし)に椿、花入れが鈍翁手作りの「萬代(よろづよ)」と銘のついた竹尺八。小田原に住んだ鈍翁が利休をならって小田原の竹で作った、、という感じかしら。

釜はすっかりおなじみの宮嶋釜、家康と神田上水を拓いた大久保主水のエピソードのある釜で、鈍翁が愛蔵していた釜の写し。ベンジャロン焼の香合は其中庵さんがタイでもとめた古いもの、「これに鈍翁の箱があったらな〜。」と無理筋をおっしゃるが、ほんま、そうだったら価値がはねあがりますね。


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懐石は蕎麦懐石。
ご飯ではなく蕎麦の替え玉(?)が引重でなんどもでてくる。鴨もでてきて鴨南蛮、最後の〆が湯でなくて蕎麦湯というのもしゃれが効いている。鈍翁もきっと面白がって蕎麦茶事もしたであろう。(と、思ったら鈍翁が喜三郎につくらせた蕎麦懐石皆具をお持ちなんですって!)


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お値打ちは酒器、鈍翁お抱えの陶芸職人であった大野鈍阿の三島写し酒器であるが、箱にびっしり鈍翁の解説と謝辞が書かれているもの。
向付は寄せ向こうで、私のは七官青磁の八角皿であった。強肴が乗る蓮弁古染と祥瑞の針木皿が並んででてくるところに眼福を感じる。ついでに南京赤絵と呉須赤絵のそろい踏みも。
「なごみ」に向付として載っていた磬型呉須は強肴の器として。


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ふかふかの薯蕷をいただいて中立、後座へ

軸は宋の禅僧・雲耕慧靖、当時中国に留学していた聖一国師(円爾弁円)が日本へ帰国する時の送別の偈。春風にのって帰って行く、、、まさに今の季節。

主茶碗は、何度も拝見してのんでもいる茶碗だが、ここはこれしかない!という鈍阿作、鈍翁の銘「いはほ(巌)」。覚々斎原叟が手尽くねの黒楽「鈍太郎」に似る。鈍太郎を手に入れた鈍翁はこれを鈍阿に何個も写させたという。そのひとつだろうか。

秀次(利休の塗師)の棗を濃茶器に、茶杓がびっくりの丿貫!銘を「落葉」
高原杓庵の絵付き添え状ものちほど拝見。それによると杓庵が知る丿貫の茶杓は3本しかないそうで、そのうちの一本がこれなのね。利休の繊細華奢な茶杓なぞクソ食らえ!とでも言うような対極の茶杓でありました。


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薄茶の主茶碗は、鈍翁の30歳も年下の茶友・横山雲泉が還暦の記念に作った伊賀の茶碗に、最晩年の鈍翁が「若かへり(若返り)」と銘をつけたもの。
茶狂の軸とともに鈍翁と雲泉の間にあった深い交流に思いを馳せてみる。(そういえば其中庵さんのお茶の親友K氏も鈍翁・雲泉ゆかりの香合をお持ちだった。)

しかし、いい年をした男達がこれほど命がけの情熱をかけて、お茶にのめりこみ遊ぶことができた時代はなんと幸せな時代であったのだろうか。ひたすらうらやましい。
かくして鈍翁と雲泉が客である茶事の末席も末席につらねていただいた如き茶事はお開きとなった。


<おまけ>


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この席にてジャワ更紗二枚をはぎ合わせて作ってもらった帯、デビュー。



蓮の植え替え2023〜BIGな鉢 - 2023.03.26 Sun

ソメイヨシノが咲く頃に蓮は植え替え、、というが今年は桜が早すぎてあわてた3年目の我が家の蓮である。


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ご覧のように根が回りすぎて全体的に浮き上がり、土がこぼれるという状況で、そのせいかどうかワカランが昨年は薄紅色数個、白1つしか咲かなかった。葉っぱはすごく茂ったけれど。

一昨年は薄紅豊作、白咲かず、であったので昨年のゴージャズ八重咲き白はうれしかったなあ。今年こそ!豊作を祈って大きな鉢をネットで買ったところ、、、、思ったよりでかくてびびってしまった。(右上)


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これは一昨年の薄紅


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これが昨年のたった一輪の白である。


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さて、まず薄紅さんから鉢をひっくり返す。
水面から見ると枯れた茎ばかりで生きているのかと心配だったが、蓮根はぷりぷりと生きが良い。
根は下へ下へともぐりこんでいくので、一番底が一番太くて新しい。



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先端を切って、これにしよう。


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大鉢に投入。


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白さんの方はもうすごい根の張りよう。


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よさげなのが3本もとれたが、またわさわさ繁殖するのは目に見えているので、一本だけ選ぶ。


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土をかぶせて水をいれる。毎日いれかえるとあふれるくらいになるからとりあえずこのくらい。

、、、しかし、こんな重たいのどう動かせば〜〜〜(´・_・`)
はじめから下に台車をかませるとよい、と聞いたのはあとから。もっと早く教えてよ〜。

とりあえず、今年の開花は如何。



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庭のすみで花をさかせたシラユキゲシが笑っておった。




御所の春〜近衛の糸桜など - 2023.03.24 Fri

ついこの前梅の話をしたところなのに、桃をすっとばして桜が咲く。
小雨が降る天気ではあったが、毎年御所で魁けに咲く近衛の糸桜(近衛邸跡〜近衛池のしだれ)開花の噂を聞いておちつかず。


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ムラサキ木蓮に迎えられ、


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御所の入り口のお向かいにある白木蓮の見事な大木にも挨拶を。


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近衛邸跡の入り口にたついつものトンネルをくぐって、


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近衛池手前の散り椿


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今年も見事な糸桜


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近衛池にしだれかかる


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雨のような花の枝


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ひとつひとつの花は小さく可憐だ


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なのに群れになると圧倒的な力でせまってくる


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ほとんど白だが、木によっては薄紅


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おや、いつのまにこんなところに笹屋伊織のカフェが?!
昨年できたばかりの近衛邸跡休憩所だが、以前なにがあったかすでに覚えていない。(なにもないとこだったかな)


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なるほど、中から桜を愛でながらお茶を飲めるわけか。だから大人気なのだな。


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早速抹茶ソフトをテイクアウト

近衛邸跡は御所の北の方になるが、今度は南へむかって、先日御所茶をした出水の小川へ。


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近衛をみたらこの出水の糸桜も見なければ。


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花に香りはないが、なぜかむせかえるような匂い立つ桜。

今年も無事生き延びて愛でることができたことに感謝。



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桃林では、すっとばされた桃がさかりを迎えている。梅林ではまだがんばっている梅もあって、このところ梅・桃・桜が同時に咲いているという現象がおきて、季節もなにもあったもんじゃない。もっとゆっくり季節の移り変わりを楽しみたいのに(^_^;



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ユキヤナギも満開


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そして例年4月後半に咲く里桜もそろそろつぼみが動き出していた。
ああ、花を追いかけるのに忙しい、、、これは幸せなことなのかな。



仕舞「山姥」キリ〜観世会館にて舞う - 2023.03.22 Wed



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そもそも今年の能の社中の発表会、「山姥」キリ(最終部のクライマックス)を舞おうと思ったのは、この扇に魅せられたからである。
山姥扇、山姥にしか使われないのであるが、この意匠がなんとも好みで。月に叢雲、どこかおどろおどろしい雰囲気をたたえる。、、、というので自前で買ってしまった。これを持って舞うならやはり「山姥」であろうと。鬼女ものでキリはスピード感があり好きなんだな、これが。


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数年前に一度習っていて、今年になってから再稽古を始めた。ゆっくりじと〜っという仕舞が苦手な私であるが、山姥はいい。修羅物みたいに男性っぽいわけではなく、でもキレが要求される。社中の人に、なんか楽しそうに舞ってるねと言われるくらいに好き。

「山姥」のあらすじはざっくり言うと山姥のまねをして評判をとった百ま山姥という女性の舞手が信濃の国の山を越えるときにホンモノの山姥にであい、一度舞ってみよといわれる。月待つ頃に山姥はほんとうの姿を見せ、そもそも山姥は、、、と邪正一如、煩悩即菩提、など禅の境地を語りつつおのれは煩悩の塵つもって山姥になった、と語りいずこともなく消えていくのだ。

山姥というとイメージ的にはおそろしい、人でも食らいそうな鬼女とおもわれるが、この山姥は違う。どういう存在なのかいまだよくわからないが、樵が疲れてやすんでいるとその重荷を背負って里まで送ってやったり、機織女の手伝いをしたり砧をうったり、なんだかいい人なのである。

山の精といおうか、縦横無尽に山また山に雲に身をかえ水に身をやつし移動するかっこいいばあさん、でも煩悩からはなれられぬ悲しさもただよわせる、、、そんな感じ。


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(黒い着物でいきたかったので、模様はちょっとかわいらしいが黒の小紋に袴)


キリでは、春は桜をたずねて山巡りをし、秋は月影を訪ねて月見る方へと山巡り、冬は雪をさそって山巡りする様を描く。

  巡り巡りて 輪廻をはなれす 妄執の雲の 塵つもって山姥となれる
    鬼女がありさま 見るや見るやと 峰に翔り 谷に響きて いままで ここに、、


最後のクライマックス、急に速度が速くなって終わりをむかえる、このパート大好き♪


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というわけで、毎年この舞台に立つこと今年で8回目、先生の目は厳しいが、ようやく自分では初めて満足のいく舞ができた、、、つもりである(^_^;

せっかく山姥扇買ったので、来年は「山姥」クセにしようと思っている。



お雛様とお水取りの茶事 - 2023.03.20 Mon

二月堂修二会も終わってちょっと修二会ロスの日々。
修二会にまつわるあれこれと、月遅れのお雛様と、で茶事。


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長いこと玄関に赤い実を投げ入れていたが、やはりもう芽吹き(芽吹きすぎておいつかない)の季節、ネコヤナギを投げ入れ。


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(中田文花:「青衣の女人」)

鎌倉時代、修二会でお籠もりの僧が過去帳を読み上げていると「なぜ私の名前を読み落とした」と青い衣の女人が夢の如く現れる。とっさに「青衣の女人(しょうえのにょにん)」と読み上げると姿を消したという。かくして修二会オタクは期間中2日しかない過去帳読み上げの時の為に、この名前を聞き逃すまじ、と聴力をとぎすますのである。(私は未だ一度も成功していない)



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待合はお雛様と同席していただく。


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今年も無事おでましいただいた。私の初節句のお雛様。道具や飾りはかなり散逸してしまっているが。


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二月堂内を荘厳する和紙で作られた(練行衆が別火の間につくる)椿「糊こぼし」の造花。これはホンモノではないが、いつかお堂で行法を見守った煤にまみれたホンモノの糊こぼし、手に入れたいなあ。(ちなみに糊こぼし椿は二月堂向かいの開山堂にある椿の種類である)


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待合の軸は数年前に軸装した「牛玉札」
お籠もりの間の2日間だけ、練行衆の手によって刷られる。一人25枚しか刷ってはいけないという誓詞に署名するのだが、今年東大寺ミュージアムに室町時代から綿々と続くこの牛玉誓詞が展示されていたのでわざわざ見に行った。今年新入がおられたので、最後の行に署名されたはず。何年か後にそれも歴史の名前になる。



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露地の苔も芽?がでてきた。(あれは胞子?)


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朝方そうでもなかったのに昼過ぎにもう楓が緑の葉を開いているのに驚いた。今年は何もかも早い。気持ちが追いつかない。


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みほとけに花奉る、、、、柄香炉にいけたのは季節にまにあった我が家の卜半(月光椿)唐子咲きでこの花は開いた状態で茶花とされる。


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お雛様なので、恒例のちらし寿司


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水前寺海苔の端切れも使いよう(^_^;


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そしてやっぱり蛤しんじょう


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最初の一献の酒器はお雛様道具に白酒を。


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この修二会茶事にしか使えないけどお松明の竹でできた炉縁も。今年も出すことができてよかった。来てくださるお客様に御礼。修二会の予習をしてきてくださったのもうれしい♪


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昔の化粧道具をお雛様の道具っぽく香合に。


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主菓子は毎度おなじみ?みのり菓子さんにお願いした修二会のお松明。時折お松明の表面にはしる炎を赤いオレンジピールで表してくれた。



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後座
お水取りの桶になぞらえた水指に、2月21日注連縄撒きでゲットした輪注連をかける。榊の葉だけは新しいものにかえた。この輪注連は練行衆をだされる塔頭の門に飾られたり、大きな灯籠の宝珠に引っかけられたりするもの。


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蓋置はやはりこれでしょう。二月堂瓜灯籠。
ご自分で作陶もされるお正客さんの茶碗を見る目がきびしくてタジタジ(^_^;


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亀廣保さんの有平糖が春の花畑である。


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この器に、一見してわからない黒漆で描かれた燕が隠れていることを先刻ご承知のお客様でした(^_^;


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さて、薄茶はせんだって三五夜さんより拝領した紅茶巾を使った。お雛様だからね。宗旦が東福門院の為に考案した口紅がついてもめだたない茶巾、私は以前一度よそで見たことがあるが、皆様初めてみたいで、これはやったぜ!の気分。



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釣釜、灯火で実物より少し割り増しに見える春宵二刻、本日も佳き時間でありました。


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お土産は、自分の趣味を押しつけた感ありだが、小さなお松明の燃えさし。

今年の修二会の思い出をたどりながらこれを書いているとなんとも幸せでありました。



城南宮〜しだれ梅、、、は散って、椿が見頃 - 2023.03.18 Sat

伏見の城南宮へ。この前しだれ梅を久々に見に行こうとしたら、まだ早かったので油断してたわ。ここ数日の暖かいというより暑い日々に、、、


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しだれ梅「おしまい」やがな〜(´Д`*)
この季節の早さによう追いついていかん。


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しかし、そこは気をとりなおして名残の梅を愛でるとしよう。


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葉っぱがでている木もあるが、それでもまだまだがんばっている。


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薄紅色に少し緑がまじってしまうが、それでもまだまだ美しい。
盛りの頃は、ここ、夢みたいに淡い美しさなの。


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なんとか花びらの絨毯も楽しめた。


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舞妓ちゃんのびらびら簪のように


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きりっとした紅梅のお嬢ちゃんももう散っているけど少し大きくなった。


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淡い紅の中に一本だけ立っている紅梅なの。


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こちらは柔らかい雨の如く

さて、苑内に何十種類もある椿は今まさに見頃


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こちらが有名な散り椿、苔の絨毯に鮮やかな赤


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これがねえ、枝垂れ梅を背景にすると尚映えるのだが、やはり少し遅すぎましたわ。


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撮影条件を変えてなんとか、、、(^_^;


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やはり椿は花ごとぼたりと落ちるのね。武士は嫌ったらしいが、なんとも潔いではないか。


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ここ伏見の地はかつて白河院の離宮があり、多くの貴族達が別業を構えたなんとも雅な場所なのである。一方後白河院の承久の変や鳥羽伏見の戦い勃発の地でもある。そこに一輪落ちる椿


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境内には植木市もあって梅や椿の苗木も。これだけ花を見た後なら欲しくなるが、もう植えるスペースもないので断念。


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苑内に咲いている日光椿を見つけたので、


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我が家の初咲きの月光椿(卜半)もあげておこう。
唐子咲き(おしべが花びらみたいに太い)で、茶室に開花した状態でいれることができる椿である。これが咲くと旧暦のお雛様だなあ、、、と毎年思う。



久々の朝の御所茶〜出水の小川で梅見つつ - 2023.03.16 Thu



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ここのところの暖かさ、、いや暑さ?にいっせいにほころんだ梅を見つつ朝の御所茶を出水の小川で。(出水の小川・御所西南の人工の小川、里桜の名所でもある)


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梅の木の下でシートを広げ、それぞれ持ち寄りで。なぜか自然に分担ができてしまうのが不思議〜。
おにぎり、サンドイッチ、だしまき、香物、打ち合わせしたわけでもなく、このバランスの良さよ。私は主に酒部(^_^; 奈良より持ち帰りしぶと饅頭(萬萬堂良則)もあるよ。


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翡翠豆もきれい♪
春の味覚


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ミニおはぎと桜餅は某○城○井のものなだのが、この吉野塗りの小さい縁高にいれると、すごくグレードアップする。(もちろんそのままでも美味しいよ)


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お菓子もいただきつつ茶箱女王の新しく組んだ茶箱ご披露。御自作の仕覆や古帛紗、茶杓袋もあって、茶箱ってやっぱり楽しいな。茶碗もマイ茶碗それぞれ持ち寄り。


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茶箱はなんと紙製!

きりっとした抹茶はご存じベルギー人T先生のブランドtea craneの「awareness」、日本名を「即今」。直訳では「覚醒」だからえらく禅的な命名だわ。



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お次はナッツをつまみながら中国茶を何煎でも。
杯がばらばらなのもいいね。チャフーは私も好きな土本夫妻のだ。



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朝8時から初めて9時半には解散、まだまだ一日楽しめる時間にお開き、これもまたよし!



修二会2023〜3月10日・参籠衆記念撮影〜日中上堂 - 2023.03.14 Tue

満行も近い10日目


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例のごとく食堂作法後の生飯投げのあと、参籠者全員の記念撮影がある。昨年もその現場にでくわして、厳しい行法の合間にふとなごんで素の顔をみせる時もあるのだな、と思ったのだ。


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昨年は生飯投げのあたりで集合写真だったが、今年は参籠宿所前での撮影らしい。三々五々集まってこられる。


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クライマックスの深夜のお水取りを2日後に控えておられるが、10日間の行法を終えられた方々、ふとゆるむひとときである。


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一緒に参籠される童子さん方も大集合。行法もあと一息ですね〜。


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ばらばらに宿所へかえる練行衆、これくらいの時にしか会えない家族の方々、お子さんたちが見に来ているのめざとく見つけて手を振る方もいらっしゃる。厳しい行法者からふと父親、夫としての顔に変わる。


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童子さんたちもほっとなごんでおられる。

しかしすぐ日中堂上しなければ。


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宙を走る?練行衆、そういえばそろそろ<走り>の行も始まるね。


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東側から撮るとシルエットになって、修二会オタクはこの影をみてどなたかわかるという(^_^;


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12日〜13日にかけて深夜、お水取りがおこなわれる閼伽井屋も、周りの榊が青々としたものにかけ替えられていた。真ん中にハチノスといわれる独特の紙弊がかかるのは明日かな。今年もコロナのためにお水取りの時はだれも近寄れない。静寂の中で粛々と行われるのだろうな。

3年前のお水取りの画像アップしておく。

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今年はより多くの修二会オタク、、いや(^_^;詳しい人たちとお知り合いになれて、いろいろ勉強させてもらった。まだまだ奥が深いことになぜか安心する。ありがとうございました。

これにて今年の修二会レポは終了。是を書いている時点でまだ終わっていないので、ひたすら無事満行を祈る。






修二会2023〜3月9日・初夜上堂〜半夜・後夜・晨朝〜下堂 - 2023.03.13 Mon

3月9日初夜


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上堂する練行衆の行く手を照らすお松明があがる。


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この日は最前列をゲットしたので、盛大に火の粉や灰をかぶる。(もちろん服の穴あき防止レインコートは着用)


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毎年、今年も見ることができたことに感謝しつつ拝む。


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コロナ前、お堂の下の柵内の芝生は立錐の余地もなく人でぎゅうぎゅう、中にはあまりお行儀のよろしくない人も混じっていたが、人数制限されるとゆったりゆっくり見ることができるので、あながち悪いことばかりではない。


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欄干を走るお松明


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飛び散る火の粉は鍛冶場にも似て


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画像でみることはできても、杉の葉が燃える匂いはやはり現場でないと味わえない。


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お松明のはぜる音、熱、もそうだ。それに匂いとが渾然一体となってやっと味わえる境地、これこそ私の、いや多くの参拝者の修二会の原点だと思う。
お松明だけ見てお水取りってこんなもんだ〜とすぐ帰っていたころがなんだか懐かしい。





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今年もお堂で聴聞できないのだが、一度宿に帰り食事入浴をすませて再び二月堂へ夜の「壁耳聴聞」へ。(この言葉は修二会の大先輩の造語だが、とても気に入っている(^_^;)


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堂内からは半夜〜後夜(22時半〜)の行が続く。すでに数人の方が熱心に壁耳聴聞されていた。今年は昨今まれにみるあたたかさ、というか日中はむしろ暑いくらいの年で、寒さがなくてつらくないのだが、じっとして夜も更けてくるとやはりしんしん冷えてくる。


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毎日ある「法華懺法」(三人の練行衆が内陣を出て礼堂でおこなう声明)を拝聴したいと思ったのだが、耳で聞いて想像するしかなく、どこから始まってどこで終わっているのかわからずじまい。お隣に座っておられた方から「今法華懺法おわったとこですよ。」と教えてもらい、え〜?わからなかった〜、、、、と落ち込んだり。これも来年の課題。来年こそは局で聴聞したい。


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御前1時前、晨朝がそろそろ終わりに近づく頃、童子さんたちが三々五々北の出仕口に集まって下堂のための準備を始めるあわただしい気配が。


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まずは正装姿の堂童子さんの下堂。





晨朝の行法の様子・回向文が聞こえる、最後に「向天下(こうてんげ〜!)」、差懸の音、鐘の音などあわただしく入り乱れる。

やがて三職の方が先に下堂、手水手水〜!の声が元気がいい。すごいスピードで走り去っていかれた。

手水手水〜は練行衆が留守にしている間、行法を盗もうとする天狗達に「手水=トイレにいくあいだだけ留守にするがすぐ帰ってくるからお堂に入るなよ」と牽制している意味。





ついで残りの8人が下堂される。
光が飛び去るように消えて二月堂は静まりかえる。


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あとに残ったお掃除の方が大きく外陣がみえるように開け放って掃除されるので、久々に中をちらっと拝見することができた。

深夜の道を歩いて宿へ、心は満足、、しかし、、、花粉症の症状がひどい、、、(^_^;
(東大寺付近は杉が多く、目の前にでかい良弁杉もあるので花粉症は最悪、、、)





宝塚で目利きさんの茶事 - 2023.03.11 Sat

かつて20年近く住んだ宝塚へ久々に足を運ぶ。
阪神間北部(阪急沿線)は独特の文化圏を有する。いうなればハイソでおしゃれ。その中でもこのエリアは高級住宅街である。(私が住んでたところはそれほどでもない、、、(^_^;)


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おそらくお茶をする人なら、ああ、とだれでもご存じのお店(敷居高いよ)の目利きさんとこへ茶事のお招き。お庭には桜の木もあれば蝋梅、南天、椿、とたくさんの植木がお手入れされていたが、この日は枝垂れ梅が見頃で、遠くからでもわかる芳香を放っていた。


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こんなにたわわに花をつける椿を何種類かお持ちなのはうらやましい限りだ。
ご亭主は石州流のお茶をされる。裏千家のなんでも聞きたがりはちょっとうるさいかな、と思いつつも何もかも詳しく聞きたい思いがうずうずして、あれこれお聞きしてしまう。
ついでに火鉢の灰は前日湿したのに筋をつけておくと翌日まで筋がこわれない、という秘訣も教えていただく。


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ご亭主は手作りもお好きだそうで、このペーパータオル置きもご自分でお造りになられたよし。きっとこの蹲居の蓋も、灯籠の障子も御自作に違いない。

三畳の小間が居間の隣にうまいこと作られていて、垂涎の洞庫もある。ここの茶室はちょっと珍しい隅炉。
床には小さいが、美しい料紙に書かれた斎宮女御(三十六歌仙で佐竹本のは超人気で鈍翁が手に入れた)の有名な歌が書かれる。
  
  琴の音に 峰の松風通ふなり いづれの緒より 調べそめけむ

そして炭手前の練香の銘が「松風」なのである。
石州では練香は大きくひとまとめにして、火箸でちぎっていれるのだ。(ピラミッド型にするのは裏千家だけ、多分)


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懐石は広間にて。
本日の懐石方さんが偶然にもおさそいしたご連客様のお弟子さんであった!
ご飯がやたら美味しいと思ったら、岩手の<ひとめぼれ>、お酒も岩手の<あさ開き>、これは何かの伏線か?


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ふわっふわの蛤しんじょう、お雛様だしね。
このふわっふわ具合の秘密が知りたくて、料理人さんに聞いたことがあるが企業秘密らしい。ちなみにこの器は喜三郎。懐石道具も豊富なご経験の目利きで集められたもの。手桶型のガラ入れのような容器などのちょっと珍しいものもあれば、お手製の燗鍋の蓋などもあって洒脱。
八寸の、牛蒡の新芽の天ぷらが絶品。酒盗もでてきてちょっと酒盛りしてしまった(反省)。


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これは小吸物、食用の花であるが、ビオラであるところに宝塚を感じる。(♪ スミレの花〜咲くころ〜)
昔、宝塚に住んでいた頃、阪急の中でよく宝塚歌劇学校の生徒さんをみかけたが、制服をきてなくてもオーラがすごくてすぐわかったのを懐かしく思い出す。



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後座は石州(古石州:石州流は流派があまりに細分化されてよくわからないが)のお点前を。
道具に対する知識も、流派に対する知識、歴史的知識、われわれなどよりもはるかに深いものをお持ちながら、さりげなく飄飄とお点前される姿勢が印象的。

花入はやはり石州の竹一重切、お庭の紅白の椿のつぼみにて。
古信楽の堂々たる水指に裏千家の我々に気を遣っていただいて、圓能斎箱の古瀬戸茶入、そして、、、
本日のご馳走、紅葉呉器、銘を「最上川」!
ご飯とお酒の岩手シリーズはこれの前振りだったと考えるのはうがち過ぎか。
時節柄「山桜」の銘のある堅手、後二碗は現代の作家で村田浩一さんはわかるとして、茶友の平金さん(まさんど窯)の井戸(これは一目でわかる)であって、御縁にびっくりした!宝塚でであえるとは。
茶杓はいわずとしれた石州公である。華奢!

茶事のあと、居間の本棚の古美術、茶の湯に関するおびただしい書籍に圧倒され、最後に、いつまでもお見送りいただいた姿が心に残る。お招き感謝、ほんとうにありがとうございました。






修二会2023〜3月7日初夜・小観音出御〜お松明の点火周辺 - 2023.03.09 Thu

3月7日上七日の最終日、修二会のおりかえし、下七日のご本尊小観音様(絶対秘仏)出御が18時過ぎに。


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この頃、お堂下の芝生に入るために16時からならんで17時に入って、お松明を待つ人になっていたら、18時過ぎ、お堂の方から雅楽の音が聞こえてくる。ああ、小観音様おでましやな〜と。

この小観音様出御と深夜の後入(本尊の場所におさまられる)まで見届けるのが手向山八幡宮宮司さんである。修二会友のアップした画像では、その宮司さんが折烏帽子に直垂、長刀というお姿でお堂に上がられる。(17時30分くらい)これも拝見したいもの。(この日だけだし)



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そうこうするうちに日も暮れてきた。

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7日はこの小観音出御のために練行衆は先にお堂に上がられているが、初夜上堂前に手松明の灯りの下いったん下堂される。

19時すべての電灯が消されて、、、


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チョロ松明を持った加供奉行の三度の案内(あない)
三回出仕口まで上堂をつげるのだが、

1回目 「時香の案内」 処世界「三寸」 (この日は小観音出御なのですでにすんでいる)
2回目 「用事の案内」    「おう」
3回目 「出仕の案内」    「承って候」






動画は二回目の用事の案内(耳をすまして聞いてね)


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いよいよ初夜上堂、お松明に先導されて練行衆上堂

細殿では加供奉行さんが、それぞれの童子の名前を呼びながら、時間をはかり、竹に火をつけていく。






これは衆之一さん(北座衆之一・平衆のトップ)のお松明が点火され登っていく動画。
「はい、衆之一さん行きま〜す!」
この役職の名前を呼ぶ感じがええわ〜。

(12日の籠松明のときは「かんまえた〜かんまえた〜○○さんの童子 △丸!」という独特の呼び出しあり。今年はだれも見られない。ニコ動見よう)



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登っていくお松明


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導かれる練行衆は壁際で待機されている。


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この日も10本のお松明があがった。(12日以外は処世界は一足先に上堂しているのでお松明はない)


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この日陣取ったのは出仕口の近く、この方向からお松明を見たのははじめてだなあ。
いつも真下に陣取っているから(^_^; 今年は他日、それをねらう。


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今年も無事火の粉を拝めました。感謝。



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お松明の後、燃えさしを蒐集するのがお約束だったが、コロナ以降それもできず、四月堂前の箱の中に入っているのを少しだけお持ち帰り。この焦げた匂いがたまらん。いくら画像でみてもこの香りだけは再現できないのだ。



修二会2023〜3月7日・食堂作法〜謎の言葉「あらいくも」〜数取り懺悔 - 2023.03.08 Wed

来るたびに新しい発見のある修二会である。
この日は折り返し、上七日の最終日、夕刻ご本尊が大観音さまから小観音様に変わる日。



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食堂(じきどう)周辺をあれこれ。
12時に練行衆は食堂に入られるが、これが作法なのか、うれしそうにぴょんぴょん跳ぶような足取りでこられる。そりゃ一日一回の食事だからうれしいよね、って気持ちになる(*^_^*)


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湯屋に見える竈の炎


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湯屋から運び込まれる汁。祈りが長いので食べるときはすっかり冷めているとか(^_^;


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階段も重そうだ。


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合図があって食堂の中へ。


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おお、もう飯器が下がってきた。練行衆食べるの速い。


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これは飯をいれていたものかしら。


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すでに練行衆付きの童子が片付けの準備、食器をさげる桶を抱えて食堂口へ。


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練行衆が残したご飯が童子や院士さんたちのご飯になると聞いた。(だから完食してはいけない)

そして2年越しで待ち構えた「あらいくも」
瞬間なのであせったが、なんとか録った!!





食事の終わりに堂童子が顔をだして(だいたい12:25頃)よばわる「あらいくも」

洗い湯汲もう、、、の意ともいわれるが、オリジナルを失った言葉、これを合図に白湯が運び込まれるのである。昨年意図せず目の前で見て、え?あれなに?とうろたえたので、今年はしっかり準備して拝見。(すごくオタッキーやけど(^_^;)


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しばらくして食堂口が開いて、名物生飯投げ!


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残した飯を柔らかい薄紙でつつんで生飯とする。練行衆各位の投球フォームはそれぞれ個性があって楽しい。


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ちゃっかりと鹿が待ち構えていたりする時もある。


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あ、新入の処世界さん、やはりお父上(和上・上司師)によく似ておられる。投げているのは昨年修二会満願後お話を聞く機会があった望月大仙師、Twitterもよくされている(おこもり中はもちろんできないので予定投稿)


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13時から日中の法要、食事が済んだばかりなのにもう上堂される。


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この練行衆の法衣ってほんと、しびれるなあ。


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お松明でこすれてへこんだ手すりから眼下に奈良の市街。
今年もまだ中へは入れないので、しめた扉から壁耳聴聞(?!)散華や南無観コーラスなど聴聞。

聞きたかったのは、、、、数取り懺悔という日中最後の礼拝。5,7,12.14日の日中法要の時だけおこなわれる3000回の礼拝、これは初めて。ほんまに3000回もやったら死ぬので(^_^;そこは仕掛けが、、、(本来ならば礼拝する姿が局で見られるのだが、今年は気配を聞くのみ。)





一遍、二遍、三遍、五遍、六遍、六遍、、、(四は忌み言葉なので飛ばして六を二回)
十遍、二十遍(とここでいきなり10はしょる)、、、百遍、二百遍、、、(100はしょる)、、、で3000回なのであるが、それなりにしんどいそうだ。そりゃそうよね。

ちなみに役の重さで回数は減っていく、下っ端ほど回数が多く、3000回になる。



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日中もおわり初夜上堂にそなえて参籠宿所へお帰りになる練行衆。


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しばらくしてお堂からおりてみると、どうやらご入浴中らしかった。

さて、私もお松明に向けて腹ごしらえをしておこう。(つづく)



有馬温泉にて茶飯釜と花月の茶事 - 2023.03.06 Mon


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京都駅から高速バスで約1時間、なんと有馬温泉に着いちゃった!
うちを出るときには庭にうっすら雪がつもっていたが、有馬では吹雪いている感じで、さすが北の方。(でも神戸市北区)


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有馬温泉に来るのはもう20年ぶりくらいではなかろうか。宝塚に住んでいたときには車でシュッと行けたのだが、京都からはすごく遠いと思っていた。
有名な有馬筆のお店もあるお土産物ストリートも懐かしい。あまり変わっていないように思える。


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さて、今回茶事にお招きいただいたのは、有馬にお茶ができる別宅を構えたご亭主。昨年から何度も計画しつつ諸般の事情でのびのびになり、本日やっと念願叶った。
露地もいい苔が育っている。飛び石も蹲居もご主人とおふたりで運び込んだお手作りだそうだ。玄関には枝垂れ梅の植木があるのだが、さすがに雪が舞うこの寒さには縮こまってまだつぼみは固い。



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なんの予告もなく、席入りしたら茶飯釜がかかっていてびっくりした。かくいう私、茶飯釜を自分でしたことがない。なのでかなり難しい、、、というイメージがあって、客としても緊張するのである。でも、ご亭主は茶飯釜がお好き、とて、さらさらと軽々お点前されるのである。


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ご飯が炊けるまでのおつまみにて燗酒を少々いただく。お皿は奈良絵(赤膚焼)と九谷の盃。
床の軸は大徳寺瑞峯院の和尚様にご亭主が書いていただいた物、「遠山無限碧層々」。碧巌録の言葉であるが、有馬は山の中、この有馬の風景を連想する。今は東山無限雪霏々であるが(^_^;


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約10分ほど、おお〜!お見事、美味く炊けました!
炊きたてのご飯の美味しいこと。一文字によそうのがご亭主のこだわり。


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煮物椀がとっても美味しい治部煮。なんと!本日の懐石はすべてご主人がお造りになられたのだそうだ。や〜、いいな〜ご主人に懐石方やってもらえるなんて。(ちなみにご主人はお茶はされないそうである。懐石のみ習いにいかれているとか〜)さらに茶事が終わる頃、食器も洗い終わっているというなんてすばらしい!!


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八寸のお皿がもうおいしそうな瓦煎餅にしか見えない。よくこんなの見つけてこられるなあ。

茶飯釜に作法はあってないようなもの、ご亭主のはたらきでいかようにもなる。おこげが釜にこびりついて、同じ釜で茶も点てないといけないので、これをはがすのに苦労すると聞くが、ご亭主は湯を入れてそのまま炉にかける。そしてそれを湯斗かわりに。そうするときれいにご飯がはがれるのだそうだ。(いつか自分でするときのためにメモメモ)


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お菓子は叶匠寿庵の歌留多に餡子をはさんだもの。ちょうど季節柄、先日梅見茶事で使ったところの紀貫之を選ぶ。(人はいさこころもしらずふるさとは 花〈=梅〉ぞ昔の、、、)


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濃茶をいただいたあと「お薄は花月で」

この文句を茶事で聞くとは思わなかった〜!花月初心者の方もおられたが、そこはみんなでよってたかって指導(^_^;するのも楽しいものである。



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茶飯釜に花月、ほんとに楽しいご趣向だった。
茶歴もお茶のスタイルもみんな様々でそれぞれ違うが、茶の湯という共通言語があることのありがたさをかみしめる。


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帰り、バスを待つ間少し有馬散歩。
遠くまでは行けなかったが、1時間で来れるとなるとまたゆっくり温泉につかりにこようかな。



修二会2023〜3月1日深夜・開白上堂から下堂まで - 2023.03.04 Sat

大中臣の祓が終わって宿に直行、そのまま仮眠して深夜12時前にふたたびごそごそ二月堂を目指す



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奈良の夜は暗い、ほんま。
裏参道を登り二月堂の灯りが見えてきたときにはほっとした。(途中イノシシがでる場所もあるらしいよ(^_^;〜)


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静まりかえった湯屋。参籠宿所の前にはもう数人の方がお参りに来られていた。(修二会オタク仲間〜)昨年は私をいれて3人だけだったな、と思い出しつつ。


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0:45ごろ、参籠宿舎に「おめざ〜おめざ〜」の加供奉行の声が響く。
「小綱の房、小綱の房、大膳殿の出仕なら鐘をつきやれ、、(と言っているらしい。早すぎてききとれん)」練行衆が細殿に出仕し、食堂に入られる。その後、食堂の扉を堂童子が開けて「駈士、駈士、宝物を荷(か)こう!」というのは聞き取れた。


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小走りに数珠をすりながら食堂に入られる練行衆。


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中ではうかがい知ることはできないが和上による受戒がおこなわれているはずである。ここからは聞き取れないが、食堂裏手に回ると比較的よく聞こえることに気づいた。(←来年用に)

連子窓に映る影。
「、、、、練行の諸衆今日より七箇日夜の間よくたもちたまふや否や」
「よくたもつ よくたもつ、よくたもつ」
、、、と言ってるんだろうなあ、たぶん(^_^;


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さて開白上堂にそなえて先回りして二月堂下、芝生の竹矢来のそばでカメラとスマホを持って待機。
(ちらっとニコ動にうつってたりして(^_^;)


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見下ろすと深夜なのにまだきらめく市街地の灯りと朧月、美しい眺め。


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1:40AMごろ
登廊の下に童子さんたちが並んで、加供奉行の
「只今堂上〜!只今堂上〜!」の大音声。
いよいよ練行衆が初めて二月堂に入堂される。






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他日は初夜上堂時、練行衆はそれぞれの大松明に先導されてお一人ずつ上堂されるが、開白だけは童子が持つ手持ち松明とともに一気に上堂される。


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この幻のような景色が大好きで、胸が一杯になる。今年も来ることができたことに感謝。

ちなみに堂司だけは遅れてお一人で上堂され、それを待つ間、他の練行衆は差懸(さしかけ・木沓)を履いて床をリズミカルに踏みならす。そろったところで一気に内陣になだれ込む気配を聞き取る。



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堂内に入られて後お堂にあがる。扉はとざされ(コロナ対応)中をのぞくことはできないが、ごとごと内陣の荘厳など準備をされているような気配。


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二月堂は夜でもこのように電灯はついているのだが、、、


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2:15AM 瞬間、すべての電灯が消される。蝋燭のあかりのみ、の闇。この景色もまた感動的なのである。このとき堂内では一徳火といって、行の間中使われる灯火の元となる火を切りだしているのである。

電灯復活で無事切り出されたことがわかる。扉のすきまに耳を近づけて声明を聞く。
声明の中で一番好きな「散華」を待つ。

  、、、普現一切大神力 光明熾盛 十万摧滅 三界魔破旬抜 除苦悩観世音、、、

来年は局で聴聞できるだろうか。


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3:00AM過ぎ そろそろ下堂にそなえて童子さんたちが手持ち松明に火をつけていく。


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この景色も好きだなあ。


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先に四職が下堂、早すぎて追いつかん、、


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影のように飛び去る。


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しばらくして残りの方々の下堂。これも早い。
これをお見送りしてお堂をあとにする。


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参籠宿所の前の松明の竹置き場では意外と多くの鹿がたむろしていた。あ、名物「さだまさし」の墨書の竹もあったよ。
宿にかえると午前4時、翌日もゆっくり楽しみたいところだがそのまま大阪に仕事にでかけにゃならん。結構つらいスケジュールだが、修二会アドレナリンがでているから大丈夫〜。

これからの14日間の無事を祈って。

<おまけ>

今回初めてお世話になったのは小さなホテル奈良クラブさん。昨年処世界の役目を終えられた望月師のお話会を聞きにきてからの御縁。この間2回お泊まりの機会をあれやこれやで失して、今回3度目の正直でお泊まり。


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なによりオーナーの谷さんがすばらしい奈良通でいろんなお話が聞けるのがうれしい。今期もいろんなところでお会いして、やっとホテルへ宿泊。残念ながら評判の朝食は、仕事のために断念。次回はもっとゆっくり泊まりたい。


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修二会2023〜2月28日<参籠所入り〜湯屋〜大中臣の祓> - 2023.03.03 Fri

28日、翌日からいよいよ修二会本行が始まる前日、練行衆の方々は戒壇堂の別火坊をでて参籠宿所入りされる。以後満行まで結界の外にでることはない。


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練行衆が到着するまでに荷物を宿所に運び込み、空の箱を仏餉屋に運び入れる童子さん仲間さんたち。


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15時別火坊をでられたとおぼしき時間の少し前、今回参籠されないお坊さん、長老の方々が参籠宿所前に三々五々おいでになる。かれらを娑婆古練という。


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15時過ぎ、意外と早く参籠所にご到着


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練行衆は娑婆古練に黙礼して宿所入りをされる。


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無事入所を見届けて自坊にお帰りになられる方々、これだけの長老さんに一度にお目にかかれる機会はめったにない。長老さん方はかつて練行衆をつとめられた強者ばかりである。良い天気につい頬も緩む。


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16時過ぎからの湯屋での入浴のための準備が湯屋でおこなわれる。この井戸が使われるのは修二会の周辺の期間中だけである。


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湯屋の中


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童子さんが練行衆の食堂作法につかわれる飯盛の器を運んでおられる。


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この童子さんは中灯(ちゅうどう・練行衆の役職で主に書記)の童子さん、書記だから常に灯りを手元に、、という意味で灯明の紋がおしゃれ。


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この前注連縄撒きをされてた堂童子さんも正装の白い衣。これが満行近くなると煤で真っ黒になるのだ。


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湯屋の前に仲間(ちゅうげん)さんたちが湯帷子や手ぬぐいを持って待ち構える中、宿所の「お湯屋へござろう〜お湯屋へござろう〜!」の駆士の声が聞こえる。


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一斉に湯屋へ入浴に向かわれる練行衆たち。


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仲間から湯帷子など受け取って、四職は右の障子から、平衆は左の障子からはいるのだそうだ。(ここのところ10歳からお水取りにはまっているという方に教えていただいた)


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一人ぽつんと取り残される処世界さん。
これが今年のハイライト!
これは新入さんが居るときだけの作法で、「湯屋の場所がワカリマセン」で途方に暮れているというシーン(もちろんマネ)。前回の望月師の処世界入り以降だから3〜4年ぶりかな。(望月大仙さんは今年権処世界に昇進)


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今年の和上上司師のご長男、初の練行衆入りである。


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そこへ駈士が迎えに来て、、、

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無事湯屋へ先導されました、、、という小芝居(^_^;


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15分ほどの入浴終了し、手ぬぐいなどを仲間にわたして参籠所へお帰りになる。

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18時からの大中臣の祓に向けて待っていると湯屋の煙だしの窓から、夕日が差し込んできて美しかった。


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大中臣の祓松明到着


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待っている間に細殿の庇に松明の火除けのカバーを発見。こんなんこの時期しか見られないよ。


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松の木片に火をつけて、


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小綱が持ち、松明に火をつける。祓の間小綱さんはずっとこれを捧げ持つのである。


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「お祓いにござろう〜お祓いにござろう〜」の合図で和布袈裟(めげさ)をつけた練行衆が細殿の北側の壁に一列に蹲踞する。(この角度からは和上しか見えないが)


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祓えは咒師が行う。その間他の練行衆はずっと数珠をすり続ける。


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ここで大中臣祓詞を黙誦するがその前に和布袈裟を肩からはずす。これは大中臣祓詞が神道のものにより、ここで僧侶ながら神官の役目を担うからと言われる。


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黙誦なので声は聞こえない。
これにより翌日深夜より上堂する練行衆と、この場を修祓する。


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今年の咒師は上野師(娑婆古練に杖をついて出てこられた道善師の息子さんかな)





動画も是非。


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祓が終わると気づかないうちに日が少し暮れていた。ここで最後の結界が参籠所前に張られた。


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中天に半月。


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帰り道の裏参道からの夕焼けが息をのむほど美しい。
明日からの本行、無事満行されますように。


(そして深夜開白上堂にでかけるわたし、、、続く)


兄さん記念茶会2023 - 2023.03.02 Thu



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八坂さんの紅梅がきれいに咲いていた。


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八坂さんとこ近くのかがり火さん、今年も兄さん(23)の一年に一度の記念茶会。

兄さんとはいつもお世話になっているN様、毎月23日祇園一力の隣で月釜をされている。その前の祇園小路の火の見櫓でされてたときからの知り合いだから、もう何年のお付き合いになるかな。祇園大茶会のまとめ役でもあり、引きずり込んでくれた方でもある。(コロナで今年も中止、残念)

2年前に茶会とお鍋という100回記念やってから、すっかりその楽しさに味をしめたか(^_^;毎年2月23日にする〜!と兄さん。


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かがり火さんの広い座敷を立礼席にして、今年はちょっと夕ざりっぽく暗くして灯火、いい雰囲気です。2月23日というと毎年今上陛下のお誕生日になるのだけれど、今年は特にそれを意識して橋本関雪の「壽」。兄さんは関雪旧宅の白沙村荘との御縁が深いので。陛下に敬意を表して棗には大きな菊の蒔絵。

古芦屋の釜が電熱に乗っているのも面白いが、この電熱、高取風の焼き物になっていてなかなかのスグレモノ。鈍阿の水指に玄々斎が宗旦の「松風」を写した茶杓、先だって桐蔭席を懸けられた時(行けず残念)の跡見的床飾りも。(跡見をしてもらわねば〜)



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お菓子は八幡の走井餅、これも兄さんがお世話されている若い職人さんグループのメンバーさん。このお皿も同じくA君(お世話になってま〜す)の。



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茶会のあとは同じかがり火さんでしゃぶしゃぶ+飲み放題!
おなじみTT舎仲間と鍋を囲んで楽しいおしゃべりのひとときであった。空いた一合徳利7〜8本で隣の席の方にあきれられていた。


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そしてこの会の定番となった、石段下いづ重さんの創作寿司!
毎回うれしいわ、これ。エディブルフラワーにナッツたっぷりの美しくて美味しいの。(大将は美大卒)


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そしてそのいづ重さん、店舗リニューアルのためしばらく仮店舗で大将のお姿も拝見できなかったが、やっとオープン!ご本人にもご挨拶できて、早速後日食べに行くことにしたのである。

さて、兄さん茶会、来年はなんと!一力で芸舞妓あげての宴会付きとな?!
少々会費は高いが速攻申し込み、即日満席とか。来年もまた元気で参席できますよう!



梅宮大社〜梅見の神苑 - 2023.03.01 Wed



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御所の梅がまだまだだったし、城南宮も未だ咲き始めとのことで、松尾大社も近い梅津の梅宮さん(梅宮大社)へ行ってみた。梅宮さんはお酒の神様なので酒樽たくさん♪


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神苑の中へはいると紅白の梅に松の緑


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ここは季節の花が楽しめるのだが、そういえば梅以外の時に来たことないわ。名前が梅宮さんだから〜(^_^;


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白梅も


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紅梅も


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美しくさいている木もあるが全体として少し早いようだ。神苑入り口の梅なんかまだほとんどつぼみ。


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  遙かに知る 是雪ならざるを
  暗香の来たれるあるがために (王安石)


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梅の花は桜ほどの派手さがないので、集合体としてみるとちょっと地味だが、そこが梅のいいところなのである。


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これは入り口近くの源平(同じ木に紅梅と白梅が咲く)の梅。


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ちなみにこれは橘かな。ここの神社の社紋でもある。嵯峨天皇の妃、檀林皇后(九相図で有名)=橘嘉智子のゆかりの橘氏の神社だから。


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梅宮さんでも一つ有名なのが神社猫である。神社の飼い猫もいれば外猫も。この子はどちらかな。行けば必ず猫に会えますぞ。


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中には猫にしつこくつきまとって写真撮りまくってうざがられている猫好きもいらっしゃいます(^_^;



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京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

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