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2023-03

宝塚で目利きさんの茶事 - 2023.03.11 Sat

かつて20年近く住んだ宝塚へ久々に足を運ぶ。
阪神間北部(阪急沿線)は独特の文化圏を有する。いうなればハイソでおしゃれ。その中でもこのエリアは高級住宅街である。(私が住んでたところはそれほどでもない、、、(^_^;)


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おそらくお茶をする人なら、ああ、とだれでもご存じのお店(敷居高いよ)の目利きさんとこへ茶事のお招き。お庭には桜の木もあれば蝋梅、南天、椿、とたくさんの植木がお手入れされていたが、この日は枝垂れ梅が見頃で、遠くからでもわかる芳香を放っていた。


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こんなにたわわに花をつける椿を何種類かお持ちなのはうらやましい限りだ。
ご亭主は石州流のお茶をされる。裏千家のなんでも聞きたがりはちょっとうるさいかな、と思いつつも何もかも詳しく聞きたい思いがうずうずして、あれこれお聞きしてしまう。
ついでに火鉢の灰は前日湿したのに筋をつけておくと翌日まで筋がこわれない、という秘訣も教えていただく。


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ご亭主は手作りもお好きだそうで、このペーパータオル置きもご自分でお造りになられたよし。きっとこの蹲居の蓋も、灯籠の障子も御自作に違いない。

三畳の小間が居間の隣にうまいこと作られていて、垂涎の洞庫もある。ここの茶室はちょっと珍しい隅炉。
床には小さいが、美しい料紙に書かれた斎宮女御(三十六歌仙で佐竹本のは超人気で鈍翁が手に入れた)の有名な歌が書かれる。
  
  琴の音に 峰の松風通ふなり いづれの緒より 調べそめけむ

そして炭手前の練香の銘が「松風」なのである。
石州では練香は大きくひとまとめにして、火箸でちぎっていれるのだ。(ピラミッド型にするのは裏千家だけ、多分)


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懐石は広間にて。
本日の懐石方さんが偶然にもおさそいしたご連客様のお弟子さんであった!
ご飯がやたら美味しいと思ったら、岩手の<ひとめぼれ>、お酒も岩手の<あさ開き>、これは何かの伏線か?


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ふわっふわの蛤しんじょう、お雛様だしね。
このふわっふわ具合の秘密が知りたくて、料理人さんに聞いたことがあるが企業秘密らしい。ちなみにこの器は喜三郎。懐石道具も豊富なご経験の目利きで集められたもの。手桶型のガラ入れのような容器などのちょっと珍しいものもあれば、お手製の燗鍋の蓋などもあって洒脱。
八寸の、牛蒡の新芽の天ぷらが絶品。酒盗もでてきてちょっと酒盛りしてしまった(反省)。


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これは小吸物、食用の花であるが、ビオラであるところに宝塚を感じる。(♪ スミレの花〜咲くころ〜)
昔、宝塚に住んでいた頃、阪急の中でよく宝塚歌劇学校の生徒さんをみかけたが、制服をきてなくてもオーラがすごくてすぐわかったのを懐かしく思い出す。



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後座は石州(古石州:石州流は流派があまりに細分化されてよくわからないが)のお点前を。
道具に対する知識も、流派に対する知識、歴史的知識、われわれなどよりもはるかに深いものをお持ちながら、さりげなく飄飄とお点前される姿勢が印象的。

花入はやはり石州の竹一重切、お庭の紅白の椿のつぼみにて。
古信楽の堂々たる水指に裏千家の我々に気を遣っていただいて、圓能斎箱の古瀬戸茶入、そして、、、
本日のご馳走、紅葉呉器、銘を「最上川」!
ご飯とお酒の岩手シリーズはこれの前振りだったと考えるのはうがち過ぎか。
時節柄「山桜」の銘のある堅手、後二碗は現代の作家で村田浩一さんはわかるとして、茶友の平金さん(まさんど窯)の井戸(これは一目でわかる)であって、御縁にびっくりした!宝塚でであえるとは。
茶杓はいわずとしれた石州公である。華奢!

茶事のあと、居間の本棚の古美術、茶の湯に関するおびただしい書籍に圧倒され、最後に、いつまでもお見送りいただいた姿が心に残る。お招き感謝、ほんとうにありがとうございました。






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