平安神宮薪能2023〜雨天ロームシアター - 2023.06.09 Fri
昨年3年ぶりに帰ってきた平安神宮薪能、今年は例年通りと期待していたが、、、

な、な、な〜んと、2日ともけっこうな雨天のために屋外開催できずロームシアターにて開催。コロナ以外10年以上毎年通っているが、これは初めて!
(線状降水帯のバカ〜!!(T-T))
まあ、これはこれで、観能だけならかえって見やすい。
しかし!
平安神宮を背景に暮れていく空、日没までの西日の暑さ、日没後の寒さ、火入れされる薪、松明の灯り、会場を渡る風、、、それらがすべてがすてきな舞台装置なのだなあ、、と思ってしまうわ。
今年のサブタイトルは<安寧を願い巡る京都の九寺社>
2日にわたって演目が
①賀茂(上賀茂下鴨神社) ②熊野(清水寺) ③舎利(泉涌寺) ④経正(仁和寺) ⑤百万(清涼寺) ⑥鉄輪(貴船神社) +平安神宮(になる予定だった(^_^;)
これ演目聞いただけでどこの寺社かわかる人はかなりの能通。
2日目の今日は「経正」から。琵琶を弾かせれば竜神も感応すると言われた名手、一ノ谷の合戦で命を落とした平家の若い公達・経正の幽霊がでてくる物語。琵琶の名器「青山」を下賜されるが、都落ちの時に仁和寺の法親王に形見として返上する逸話は有名。金剛流であったので、ちょっと謡本が違ったな。
そしてわが能の師匠の「百万」、特に今このクセを練習中なので、思い入れあり。
奈良に住まいする女、百万がいなくなった我が子を訪ねて嵯峨野の清涼寺までたどりつき、芸尽くしを見せているうちに、ついに我が子に巡り会うお話。
クセの部分は奈良坂(般若寺のあるところ〜)から始まって、西の大寺(西大寺)、かえりみかさやま(かえりみる、と三笠山をかける)、佐保の川(桜の名所佐保川〜)をうち渡り、、、玉水(山城の玉水、楽一元の玉水焼〜)ではおのが姿を映し、山桜の盛りを過ぎたころの嵐山、とうとう嵯峨野の大寺(清涼寺〜大念仏中で貴賎とわずごった返している)に着いた、、、
土地勘がありすぎて景色が目に浮かび、うれしすぎるわ。
しかもクセの冒頭が万葉集の<奈良山の児手柏(このてがしわ)の両面(ふたおも)にかにもかくにも侫人(ねじけびと)の伴>からの引用、奈良坂の奈良豆比古神社のコノテガシワの切り株があるの知ってるんで、よけい萌える。
他にも、花の浮き木の亀山(盲亀浮木)や〜とか、隙の駒〜(時間が早く過ぎること)など掛詞、本歌どりがいっぱい、全部はワカラナイところがつらいが、、、(昔の人は教養あったんやな〜)
ここに昨年の平安神宮での薪能の写真を貼っておく。
神楽が音楽的で美しい狂言「石神」(幸神社)のあとはご存じ丑の刻参りの「鉄輪」。
地名としては<かんなわ>だが、能では<かなわ>と読む。後シテは頭に蝋燭をつけた五徳をのせ、顔を赤く塗り生なり(泥眼 般若になりきる前の状態)の面をつける。男に捨てられた女が、男を呪うのだが、安倍晴明がこれを撃退、でも「I'll be back!」と言って消えていくのが小気味よい。浮気男なんぞいてもうたれ!と心で思っちゃうので(^_^;
いずれも迫力あって、薪能用に短くしてあるので、テンポが良くて楽しめたわ〜。
惜しむらくは、室内、、平安神宮のあちこちに掛けられて美しい提灯も、室内ではどうもな〜と思いつつ、来年の晴天をいまから祈っておこう。