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2018-05

楽さんのギャラリートーク・能と楽茶碗〜楽美術館 - 2018.05.01 Tue

楽美術館の展示が「能と楽茶碗」と聞いて、MIHO美術館も「猿楽と面」だったし、能、きてる!と思ったのだが実際はどうなんだろう。

ひとつは当代の楽さんが、もう長いこと金剛流宗家で謡を稽古されていることとの関連だろう。
(ちなみに5月3日に楽さんと金剛永謹さんの対談イベントが金剛能楽堂である。私は別件で行けない、残念すぎる)

能と茶の湯は多少の前後はあるものの、ほとんど同じ時代に大成された芸能、芸術であるし、それを好んだのは武家社会であったという共通項もある。茶道具に、謡曲にちなむ銘がおおいこともご存じの通り。
なのでこの2つはとても親和性があって、回りをみるとお茶と能を2つやっている方は意外に多い。習わないまでも興味のある人はもっと多い。

今回の展示は、楽茶碗の銘にちなむ金剛家やその他所持の貴重な能面をいっしょに展示する、という画期的なもの。出目家の(これMIHO で学習したわ〜)是閑、河内という桃山時代の面打ちの名工の面が楽茶碗とともに拝見できるのだ。





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特別企画として、3回の当代によるギャラリートークがあった。いずれも一般客のいない時間におこなわれ、すかさず第3回を申し込んだのだが、1回2回とそれぞれ内容がちがって3回でやっと展示物全部を網羅するとのこと、、ということだった。通しで行くべきだったな。





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常慶の「長袴」は狂言袴からきており、ややゆがんだ姿は織部の時代の空気があるとのこと。

3代道入と4代一入の茶碗が期せずしてならんで「須磨(黒)」「明石(赤)」と銘打たれているのは源氏物語の須磨の侘びと明石の明るさをあらわして納得。

6代左入の「姥捨黒」はまさに能の姥捨で、月の光をあびて捨てられた姥の魂が浄化される雰囲気がよくでているとおっしゃる。たしかに月の光を連想させる姿だが、並んでいる9代了入の姥捨は赤楽で明るくて、ちょっとイメージがわかない。ちなみに銘をつけたの啐啄斎だそう(^_^;

左入の「祗王(赤)」「祗女(白)」ほんまに色が違うだけでうりふたつの茶碗で、どちらも真ん中が少し反っていて非対称、解説には体をそらした浮世絵に描かれた祗王の写真が添えられていて、このイメージか、と書かれている。私はむしろ白拍子の烏帽子の形に見えたが。

14代覚入(当代のお父上)の茶碗の銘はご母堂がつけたものが多いそうだ。最近能の「国栖(くず)」を見たところだったので、そう名の付く黒楽は横に筋が何本もつけられていて、たしかに水の流れを連想させる。(国栖魚は鮎のこと)

9代了入・10代丹入・11代慶入コラボの式三番叟、それぞれ白の翁、黒の三番叟、赤の千歳もおもしろい。

そうそう、観世会館で舞わせてもらった「三輪」の銘のつく長次郎の筒茶碗も忘れてはいけない。これは赤楽というより、土の色という印象的な茶碗。釉薬の景色が三輪の神木・杉に見えるからではないか、とおっしゃる。なるほど。

一番聞きたかったのは長次郎「シコロヒキ」
これは昨年の近代美術館の楽展でもでていたのだが、どういう意味の銘かスルーしてたもの。しころとは兜の後に矢よけのためにあるびらびらの部分のこと。平家物語で、怪力の平景清が相手の源氏の武将のしころを引きちぎった、という一節による。
一部が裂けているのでそういう銘がついたのだろうというお話だったが、私にはどうしてもその裂け目が見つからなかった、、、


しかし、なんでこんな銘がついた???というような、わけのわからないものもないではない。しかし、それはお茶の家元がつけたりするものなので、楽家に責任はないよ(^_^;





IMG_1213.jpg



ポスターになったこの茶碗は長次郎「道成寺」 (+後シテの般若の面)
ひっくり返せば確かに鐘に似ている。形は熊川に激しく似て、天王寺屋会記にある「はたぞりの茶碗」は、これではないかと目されている。まだ利休の今焼として完成する前の、高麗物を写している初期の時代の作品ではないかとおっしゃってた。

そしてふっと、,,目をあげると向こうの壁にかけられた小面と目があってしまった。
静かにひたすら美しいのだが、笑ったりすましたりしているように見えてちょっとコワイ。これが能面だよね。あらゆる感情を内包する。「能面のように無表情」というセリフはウソだよね。

最後に当代のアヴァンギャルド系焼貫茶碗「砕動風鬼(世阿弥言うところの妄執を抱えた人間の霊・姿は鬼でも心はまだ人間)」
楽では禁じ手の金彩銀彩のある茶碗、それに対する面は現代の面打ちさんで、この茶碗に触発されて打ったもの。黒い肌に金色の牙をもち、ゆがんだ顔の般若、ただし楽さんにいわれて角を切った、、というもの。これは見事に呼応していた。角を切らせた楽さんの感性もするどいと思う。なにせ心はまだ鬼になっていないのだから。




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(お土産のシールやポストイットなどなど)



茶碗の話をしだしたらとまらない楽さんと、能面のはなしをしだしたらとまらない金剛のお家元とのお稽古はいつまでたってもおわらないときもあるという。そんなエピソードも拝聴しながらのギャラリートーク、充実した90分であった。






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